白鷺千聖と幼なじみの話   作:いしころ

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駅ホームにて

「あら?四宮くん?」

 

 駅のホームで待つ俺に懐かしい声で話しかけてきた女学生がひとり。

 

「...白鷺さんひさしぶりだね。」

「四宮くんこっちに戻ってきてたのね、連絡くれれば良かったのに。」

「高校入学と同じくらいに帰ってきたからどたばだしててできなかったんだ。」

 

 今話しかけてきた彼女は白鷺千聖。

 幼い頃から女優として活動している芸能人。

 

「ほんとに久しぶりね、最後に会ったのは小学生になるくらいかしら?」

「たびたび連絡はとってたから話すのはそうでもないよ。」

「ところで、電話の時と話し方が違う気がするのだけど...、それに目も会わせてくれないし。」

 

 彼女とは小学生に上がる前に知り合い、家が近いこともあってよく遊んでいた。

その頃から女の子として意識していて、親の仕事の関係で引っ越してからは電話で何回か話していたけれど顔を合わせることは一度もなかった。けれど白鷺への気持ちはなくなることはなくテレビや雑誌で彼女を見かけるたびに小さいころの自分の気持ちを断ち切れない情けなさと、叶わないと心の底から思い知らされる虚無感で胸がいっぱいになっていた。

 

 電話で話していたとはいえ改めて顔を合わせると話し方がぎこちなくなってしまい悪く言えば突き放しているように感じられる話し方になった。

 

「前からこんな感じだよ、それより今日はお仕事ないの?」

「ええ、今日はお休み。久しぶりにゆっくりできるわ。」

「最近ドラマとか舞台とかよくやってたよね。」

「うれしいことだけれど、なかなか疲れがとれなくて大変ね。」

 

と言葉では言っているけど嬉しそうな雰囲気は伝わってきた。

 

「四宮くんは部活とかしないの?」

 

 いつまでも目を合わせようとしない俺に見かねたのか顔を近づけてくる。

 まあさすがに友人として駄目だなと思い、白鷺のほうに顔を向ける。

 

「...っ、ぶっ部活はいいかな、うち運動部とか厳しいらしいから。」

 

 目で見てやっと理解というか認識したというかほんとにあの白鷺千聖本人なんだと、俺が小さい頃遊んでた女の子は成長して素敵な女性になっていたんだと。

 あとは、困ったことに会っていなかったから諦めがついていた気持ちを再認識してしまった。

相手は多くのファンを持つこれからが大切な時期の女優、俺みたいな平凡な高校生が手を出していい相手じゃない。

 そうは思っていても血気盛んな高校生、そんなに早く気持ちを整理できるわけない。

そう思っている間に電車が来た。

 白鷺にはこの電車じゃないのかと不審がられたけれど今同じ電車に乗ってこれ以上話していたら何を言い出すのかわからないし、心臓が耐えられなくなりそうだから、適当な理由をつけてその電車には乗らなかった。

 

 別れ際に白鷺は「またね、匠。」

 

 なんてドラマじゃないんだからいきなり下の名前で呼ばないでくれよ...。

 




つたない文章ですがいかがだったでしょうか。
よければ感想などよろしくお願いします。
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