「ヒタキくん、君には僕が試作した新型神機の実地試験を行ってもらいたいんだ」
「……はい」
フェンリル極東支部の研究室で、私は死の宣告を受けた。
試作型神機の実地試験。この任務を受けて帰らぬ者となったゴッドイーターを私は二人知っている。
「知っての通り、実地試験では大型のアラガミと戦ってもらう。大型のアラガミであれば相手は君の自由だ。
勿論、いざという時の為に護衛を付けるよ」
「…………はい」
「気分が乗らないようだね」
「……気にしないでください」
「そうか、では1週間以内に希望のアラガミの依頼を持ってきてくれるかい?」
「……はい」
1週間後、私の神機が魔改造されて帰ってきた。
これまで私はスナイパー型の神機を使ってきたのだが、今は、その銃身の下部に刀身がくっついている。
これって銃剣じゃん。
いや、効率的なのは分かるけど、私はスナイパーだからね。接近戦なんてできないよ。
「この銃剣型モジュールは、オラクルの回復手段を回復錠から攻撃に変えてくれるんだ」
リッカさんが銃剣の利点をやたらと輝いた目で説明してくるけど、前提条件が間違ってるよ。
それと接近戦をするために必要不可欠な装甲が無いんだけど…………
やはり私はあの二人と同様の末路を辿るのだろうか?
うぅ……頭が痛い。
私は頭を押さえながら任務を受けるために受付に向かった。
任務を受け、やはり頭痛に襲われながら贖罪の街に来たが、そこに護衛の姿はなかった。
取り敢えず、通信でヒバリさんに聞いてみる。
「ヒバリさん、護衛の方が居ないんですけど……」
『安心してください。今回の護衛はリンドウさんです』
おお!ヒバリさんの言葉で頭痛が治まった。
リンドウさんが居れば生きて帰れるだろう。
『ただ……寝坊で遅れるみたいで………作戦開始予定時刻の5分後に到着予定だそうです』
「……作戦開始時刻の変更は…………」
『作戦地域の周辺に複数のアラガミがいるため、原則禁止となっています。私としてもオススメできません』
希望が絶望に変わるとこんなにも虚しくなるのか…………
『ヒタキさん、ヴァジュラがそちらに接近しています。時間を考慮すると、そろそろ交戦したほうがよろしいかと』
ひばりさんに言われて覚悟を決める。
5分……5分持てば生存確定なのだ。
ヴァジュラは何度か討伐したことがある。ミスさえしなければ問題ないはずだ。
ヴァジュラの死角に入るように移動し、神機を構える。
接近戦はリンドウさんが到着してからやるとして、銃としての使い心地を確認しないと。
スコープの倍率を目一杯上げて尻尾の付け根を狙い撃つ。
神機から放たれたレーザーは寸分違わぬ箇所に的中し、ヴァジュラが突然の攻撃に怒り咆哮する。
銃身に剣が付いても特に感覚は変わらなかったので、今まで通りの戦いにシフトする。
何度もレーザーを当てるが、ヴァジュラは怯むことなくこちらに突っ込んでくる。
ヴァジュラが飛び跳ね、私を踏みつぶそうとしたところで銃剣を構え、ヴァジュラの下を掠めるよう回避しながら刀身を空中に浮いた無防備な体に叩きつける。
こうすることでダメージを与えつつ、
こちらの攻撃が掠った程度でも最低でもレーザー1発分のоpが確保できた。
接近戦はさっきのが初めてではない。リンドウさんがいつまで経っても到着しないので、оpが切れてしまったのだ。
私は今日は護衛の方にほとんど任せるつもりだったため、Оアンプルを持ってきていなかった。つまり、оpの回復手段は接近戦しかなかった。
оpが切れたからといって逃げ続けていても、体力が切れてやられるのが目に見えている。
そんなわけで銃剣による接近戦をやってみたのだが、案外楽しい。特にギリギリで躱した時の快感は狙撃でピタリと当てた時と同じ位気持ち良かった。
私は案外、接近戦に向いているのかもしれない…………スナイパーだけど。
このままいけば、一人で倒せるかも。
そんなことを思っていたのが悪かったのだろうか?突然、ヒバリさんから緊急の通信が入る。
『作戦地域に大型のアラガミ反応!
この反応は……ヴァジュラです!』
まさかの2体目追加!?
『ヴァジュラ付近にゴッドイーターの反応!
リンドウさんです』
まさかのリンドウさんが既に戦っていたパターン。
でもヴァジュラに合流されると、私というハンデもあるし、いくらリンドウさんが強いといってもまずいかも?
『現在増援を要請しています。ヒタキさん、もう少し頑張ってください』
増援を待つのも良いけど、待ってたら確実にヴァジュラに合流されるよね。
ここはリンドウさんを信じて、こっちのヴァジュラを移動させないように誘導した方が良い。
仕方なく此方からヴァジュラに接近する。
「ヒバリさん、もう一方のヴァジュラは何処にいるの?」
『作戦エリアの西方面です』
現在私がいるのは作戦エリアの東にある教会の中だから、結構距離は離れてる。
ヴァジュラが電撃を飛ばしてくるのを転がって回避する。
ヴァジュラは中型のアラガミと比べて攻撃の威力や体力などが厄介だが、攻撃そのものは慣れてしまえば単純で回避しやすい。
それが私が試験にヴァジュラを選んだ理由だったが、別の事でも良い感じになっている。
電撃がなかなか当たらないのにしびれを切らしたのか、ヴァジュラは突進を多用してくるようになった。
狭い教会の中では回避しづらいので外に向かって走る。
外に出ると、私の前には何故かヴァジュラがいた。
どうして!?ヴァジュラが此方に来ているといった通信はなかった筈。
『…タキ…ん!応答……さい!……キさ………』
通信機からノイズが混じった声が発せられる。
嘘でしょ!こんなときに限って通信障害!?
私は驚きの余り動きを止めてしまっていた。
前後からヴァジュラの咆哮が聞こえる。
私はやはり死ぬのだろうか?
そもそも、小型アラガミが居ないことから気がつくべきだったんだ……
此処は
前後からヴァジュラが駆けてくる衝撃が伝わってきて、
そして…………
2話は多分今日か明日に上がると思います。
なお、5話以降は書き溜めなんてないので投稿日時は完全に未定です。
7/21 22:30 :擬音語を削除