ガールズライフ(仮)   作:ぴんきー☆

2 / 3
第2話

 

彼女を初めて見たのは入学式だった。

 

隣のクラスの列に並んでいるのを見かけ、美人な子だな、と思った。万人が息を飲む程ではないが、そんじょそこらのアイドルよりは断然可愛い。しゃんと伸びた背筋も、形のいい脚も、綺麗な黒髪も、心にポートレートのように焼きついた。

 

すぐさま、手元の入学生名簿で確認した。D組。出席番号12番。名前は、木下クルミ。

 

クルミ。

 

彼女にぴったりの、素敵な名前だった。

 

しかし、入学したてで隣のクラスとなると、なかなか関わる機会はなかった。2クラス合同の体育の時間に眺めるのと、たまにギターケースを背負って軽音部の部室に入って行くのを見かけるくらいだった。

 

その頃は、時々見るだけで十分だった。

 

そんな中、転機が訪れたのは丁度今から1年前、高校一年生の7月だった。

 

ある日、趣味用のアカウントでTwitterを見ていると、こんなツイートが流れてきた。

 

『大切なベースが盗まれてしまいました。先週の金曜日、××駅にて少し目を離してしまったところ、なくなっていました。見かけた方はご連絡ください!』

 

そして、見覚えのあるギターケースの写真。ドコモダケのストラップと、ニコちゃんマークの缶バッジ。クルミがいつも背負っているものだ。

××駅は、高校の最寄駅。そして、そのツイートのアカウント名は。

 

Kurumi。

 

胸が高鳴った。見てはいけないものを、見つけてしまった気分だった。

 

元より、クルミのアカウントは知っていた。もちろん、今見つけたものとは違うアカウントだ。友達の友達のフォロワーを辿って、D組の子のフォロワーから見つけたのだ。

けれど、それは4月に3回ほど呟いた限りで終わっていた。あまりTwitterはやらないタイプなのだろうと、諦めていた。そちらの方が、イメージ通りだった。

 

おそらく、学校の人に見られることは想定していないであろうアカウント。だが、一度見つけてしまっては好奇心は止められず、KurumiのTwitterを開いてしまった。

 

まず、プロフィール。軽音部のバンドでベースをやっていること、好きなバンド、芸能人が書いてあった。アイコンはおそらく好きなバンドのキャラクターであろう、あまり可愛くない魚の絵。そして、誕生日も初めて知った。私は後日、手帳の、11月28日に赤でハートをつけた。

 

ツイートは好きな曲や、バンドのこと、ライブ情報のリツイートなんかが大半だったが、私はその方面に関しては全くの門外漢なため、流し読みした。

 

けれど、時々、学校生活の話もあった。

 

『数学の課題わかんなーい!国語ならいくらでもやるんだけどっ!』

 

『友達にちょっと嫌なこと言われて凹み中……(´・ω・`)』

 

そこから更に遡る。二週間くらい前だ。

 

『2年の先輩に告白された!全然知らない人だったけど……イケメンだしOKしちゃったσ(´ω`*)』

 

『先輩と放課後にデートした!アイス食べるのに必死で写真撮り忘れw』

 

まあクルミほどの美人なら、イケメンにいきなり告白されても何も不思議なことはない。けれど、私の知らないうちに、私の知らない男とクルミが付き合っていることに、何とも言いようのない嫌悪感があった。

それだけではない。クルミが面食いなことも。好きなバンドも。嫌いな教科も。全部知りたい。もっと、クルミのことを知りたい。

 

私はその日から、1日たりとも欠かさず、KurumiのTwitterを追いかけ始めた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。