提督の息子って結局は一般人だし、艦娘もほとんど年頃の女の子だし、すなわち一緒に住むと大変です 作:鳥王族
「山風の姉貴急げって!」
「待って江風。寝癖が…」
「そんなの適当でいいだろ!急げって初日から遅刻はまずいって!」
今日から新しい学期が始まり、俺は進級し白露たちは学校に初めて通うことになる。そのため、みんな張り切って朝から準備してる
いくら家が大きくても洗面台には限りがある。そのため、女所帯のこの家は朝からごった返していて、未だに山風が髪の毛がまとまらず半泣きになりながらやってる。
「山風、貸して」
「ありがと、海風ねえ」
江風にせかされ慌てていたところを海風が代わりにやるために、海風はブラシを山風から受け取った。
「江風もそんなに急ぐ時間じゃないんだから」
「でも、本当に初日遅刻なんてハズいだろ!」
「まあ、まあ、江風は早く学校に行きたいんだよね」
「ちょ、時雨の姉貴!何言ってンだよ!」
江風は時雨に核心をつかれて顔を赤らめる。
「でも、僕も早く行ってみたいよ。どんな人がいるのかとか、どんな授業をやるのかとか。初めてのことがいっぱい待ってると思うと楽しみだよ」
「あたしも楽しみ、友だちいっちばん作る!」
「夕立も負けないっぽい!」
「五月雨もがんばります!」
みんな、初めての経験ということで気合いが入っている。しかし…
「遅刻するぞー」
俺は玄関の扉を開けながら言った。
「「「「あっーーー!」」」」
俺が家を出た数秒後、全速力で10人の少女が飛び出してきた。
●●●
俺はギリギリではあるがなんとか間に合って学校に着いた俺は校舎前に張り出されたクラス表を確認し自分の教室に向かった。
教室に着くと、今度は黒板に張り出された座席表をもとに席に着くと友達の山田が寄ってきた。
「ようつかさっち。今年もよろしくな」
「おう、そういえば五年連続だな」
「そうだな。つかさっちとは妙な縁があるな」
俺は、共学の中高一貫校に通っているのだがこいつは中一の時からずっとクラスが一緒の縁だ。
「それより、聞いたか?中等部の一年から高等部の三年まで各学年に新しく女の子が5人ほど入ってくるらしいぞ」
「そ、そうか」
俺は山田の入った情報に心当たりがあったのでつい慌ててしまう。
「大丈夫か、つかさっち」
「ああ」
「それで、さらにこの集団転入は元艦娘とかなんとか聞いたんだが」
「へー、そうなんだー」
「…つかさっち、嘘下手なんだからやめなって昔から言ってるよね」
「な、なんのことだが」
「やっぱり、知ってたか。別に元艦娘だろうと今は普通の人なんだろ。つかさっちは複雑かもしれないが」
俺は変に噂になるのを嫌いなので提督の息子ということは隠してる。まあ、例外でこいつには教えたが。
「いい子たちだといいな」
「ああ」
なんやかんや言っていい奴なので無理に話聞いたり、偏見を持ったりする奴じゃないので大丈夫だろう。
ていうか、白露たちが中等部に入るのは知ってるが高等部にも誰か入るのか?
●●●
あの後、式が終わって、教室に戻った。先生が帰ってこないのでみんなは好き勝手喋って盛り上がってる。
そんな時、扉が開いた。担任の先生とその後ろに一人の女の子が入ってきた。
「どこから嗅ぎつけたかもう噂になってるらしいが転入生を紹介する。ほら、自己紹介を」
先生が言うとその子はかなり眠たそうな顔しながら黒板に名前書くと
「どうも〜、北上だよ〜。よろしく〜」
「……終わりか?」
「うん」
「そうか、じゃああそこの一番窓側の奥の席が空いてるからそこに座ってくれ」
かなりマイペースというかゆるゆるした子に先生がちょっと困惑しているが空いていた俺の隣の席に彼女を案内した。
「櫻井、北上の面倒を出来たらみてやってくれ」
「あっ、わかりました」
隣の席に彼女を案内した時から嫌な予感してたがやっぱり、世話役を頼まれたので返事をする。
「それじゃあ、今日は終わりだ。気をつけて帰るんだぞ」
HRが終わり、先生は教室から出て行った。俺は荷物を持ち帰ろうとした時
「あっ、隣よろしく〜」
北上とか言った少女が俺に話しかけてきた。
「あっ、よろしく」
「うん。やっぱり似てるよね〜」
彼女は傾けながら顔を俺の顔に近づけてきた。
俺は恥ずかしくなって顔を背けようとすると、彼女は両手で俺の顔を挟み無理やり自分の目の前に動かした。
「う〜ん、似てるね〜」
彼女は俺の顔を見てうなっている。
そんな時、廊下の方から地鳴りのような音ともに何かが近づく音が聞こえた。
そして、その音がうちの教室の前で止まると壊れるかと思うほどの勢いで扉が開く音がした。
「き・た・か・み・さ〜〜〜ん!帰りま…」
扉が開いたと同時に女子の声が聞こえた。なぜか、途中で声が途切れたが。
まあ、北上のせいで顔を動かせないのでよくわからんが北上の知り合いが迎えに来たらしい。
俺はこの体勢から解放されると思って安心した。
その時…
「北上さんに何してやがるんですかーーー!」
そんな怒号が飛んだと思ったら北上は俺からすっと離れた。俺は急解放されたと思った瞬間、背中に衝撃が加わりふっとばされた。
俺は何事かと思い後ろを振り向くと北上を守るように仁王立ちで女の子が立っていた。