死神と妖精の尻尾   作:夜月ライト

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学校で忙しくなり、更には書いた話が吹き飛ぶという事が起こり、前回から1カ月もの期間が空いてしまいました。
本当にすみませんでした。


少女に迫る闇

ルーシィとシルフが契約を交わしてから早3週間。

クジャと銀竜がルーシィと入れるのは後1週間程度となっていた。

今日とて朝食を摂り終え、ルーシィと歩いているとスペットが手紙を持ってやってきた。

 

「ああ、クジャ殿、ここにおられましたか」

「スペットさん?何か御用でしょうか?」

「ええ、旦那様が近況を聞きたいとの事ですので旦那様の元へ向かっていただけないでしょうか」

「...分かりました。今から出発します。銀竜、キミは残ってルーシィを頼んだよ」

『はい、クジャも気をつけてくださいね』

 

クジャと銀竜の間で話がまとまるとルーシィが不安そうな顔をした。

それを見てクジャは言い聞かせるように言った。

 

「大丈夫だよ、用が終わったらすぐに帰ってくるから」

「絶対?」

「ああ、だから銀竜と待っててくれるかい?」

「わかった。いってらっしゃい」

 

ルーシィの返事にクジャは笑いかけてからスペットに話を聞く。

 

「それで、場所は書かれてますか?」

「はい、この手紙に地図が付いていますので」

「では、すぐに行ってきます」

「どうか、お気をつけて」

 

スペットから手紙を受け取り、クジャは出発した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

残されたルーシィと銀竜はルーシィの部屋でシルフも交えて話をしていた。

 

「ねえねえ、シルフが言ってた『しょうかんじゅう』って言うのと星霊って、なにがちがうの?」

『よく聞いてくれたわねルーシィ!いーい?私達召喚獣は自分が認めた召喚士としか契約しないの!星霊は自分を呼び出した星霊魔導師とホイホイ契約するみたいだけど、私達は自分が認めた召喚士とだけ契約して力を貸すのよ!』

「しょーかんしって何?」

『そうねぇ、召喚士って言うのは私達召喚獣を呼び出すことができる人間よ!元々は別世界の種族なんだけど、ある事件があって数名の生き残りがこの世界で生きていく為にツノを切り落としちゃったの。で、私達を今ルーシィが持ってる召喚石の中に閉じ込めて置いてかれちゃったのよ!酷いわよね!世界が違っても私達は簡単に切ったりしないのに!』

「べつせかい?しょーかんせき?」

 

ルーシィはシルフから聞かされた話の内容が殆ど理解出来ておらず混乱している。

シルフが更にマシンガントークを続ける前に銀竜は釘をさす。

 

『はいはい、シルフ、ルーシィが話についていけてませんよ。まだルーシィ程の年齢だとついて行けるわけがありません。もう少し大きくなってから話した方がいいでしょう。ただでさえ、コッチの魔法とアッチでの魔法は違うのですから』

『むぅ...分かったわよ...』

 

シルフがむすっとしていると、ルーシィが空気を読んだのか話掛けた。

 

「ねぇシルフ、シルフの話だとまだほかにもしょーかんじゅう?っているんでしょ?」

『いるわよ。まぁ、殆どが姿を見せる気は無いみたいだけど』

 

そう言いながらジトーっと召喚石を睨みつけていたシルフがハッとして中に戻った。

 

「どうしたの?シルフ」

『出てきてくれそうなのが1組いたわ!』

「え?!だれ?」

『待って、今だすっ...から!』

 

シルフのえーいと言う声が聞こえたかと思うと、召喚石から黒い翼と杖を持った黒魔導士が3体出てきた。

ルーシィよりも背が高く、何も話さない彼等を見て、ルーシィは怖がりながらも話しかけた。

 

「えっと...はじめまして。私ルーシィ」

「「「...」」」

「貴方達はなんて言うの?」

 

ルーシィがそう問うと、黒魔導士は抑揚のない声で話しだした。

 

「「「我らは黒のワルツ」」」

「私は黒のワルツ1号機」

「我は黒のワルツ2号機」

「我は黒のワルツ3号機」

「「「我らの主人、ルーシィ・ハートフィリア。命令はなんでしょう」」」

 

黒のワルツにそう問われ、ルーシィが戸惑っていると、部屋の扉が叩かれた。

 

「お嬢様、お時間、よろしいでしょうか?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

現在、クジャはヘイストをかけ、グライドをフル活用しながらハートフィリア家に向かっていた。

1時間前、彼はスペットから渡された手紙が偽物だという事を聞かされた。

それを聞いた彼はすぐにテレポを使って戻ろうとしたが、テレポは発動しなかった。

それが分かった彼は自身の出せる最大の速さで屋敷に向かっていた。

 

(やられた...偽物をつかまされるなんて...でも、僕にこの手紙を渡して屋敷から出して何をしようとしてるんだ...?あそこに今いるのはルーシィに数人の使用人、銀竜と召喚獣...成体となり、主人を見つけた守竜をわざわざ狙う奴なんていない...召喚獣についてはこの世界の人間は知らない、なら今あの家が襲撃されたと仮定した時の敵の狙いって...)

 

そこまで考えた時、彼は1つの可能性に気づいた。

 

「ハートフィリア家の1人娘である、ルーシィか...?」

 

その可能性に思い立った時、クジャは効果の切れてしまったヘイストをまたかけ、先ほどよりも焦りながら道を急いだ。

クジャが屋敷に着くと、屋敷が異様に静かだった。

クジャが急いで屋敷の扉を開けると、玄関ホールに現在屋敷に残っていた執事やメイド全員が倒れていた。

クジャがメイド達の容態を見ると、ある事に気づく。

 

「外傷は無し。だけど、この魔力...アイツの魔力か...」

 

メイド達の体から少量ではあるが、守竜の村で王国兵に引き渡したはずの男の魔力があった。

クジャは全員にディスペルをかけ、ルーシィの部屋へ向かった。

部屋の扉を開けると、ルーシィと銀竜の姿はなく、黒のワルツだけが待機状態で立っていた。

クジャは黒のワルツの前に立ち、全て見ていた彼等に聞く。

 

「黒のワルツ、ルーシィ・ハートフィリアおよび銀竜、シルフはどこだ」

「「「行方は存じておりません」」」

「ここで何があった」

「ハートフィリア家に使えている執事の1人が部屋を訪れ」

「それに続き複数の人間が部屋に入り」

「ルーシィ・ハートフィリアを拘束、シルフは召喚石の中に我々と交代しており召喚石の中、銀竜はルーシィ・ハートフィリアを人質に取られ無抵抗で捕縛」

「「「以上にございます」」」

 

抑揚のない、淡々と語られた話にクジャは舌打ちをしながら行動した。

 

「これより黒のワルツの主導権をクジャに移行、ルーシィ・ハートフィリアおよび銀竜を探しダテレポにて現場に僕を呼べ」

「「「了解しました」」」

「行け、黒のワルツ!」

 

クジャの言葉に黒のワルツは飛び立ち、三方向に別れた。




次回は出来るだけすぐに投稿出来るように頑張ります。

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