死神と妖精の尻尾   作:夜月ライト

16 / 16
リアルが忙しく、なかなか執筆出来ず、申し訳ありませんでした。
しばらく不定期になりそうです。


フェアリーテイルのサラマンダー

ルーシィはナツと別れた後、公園で雑誌を読んでいた。

雑誌の名前は『ソーサラー』

ソーサラーには先程ルーシィが話していたフェアリーテイル等の魔導士についての情報が記載されていた。

 

「村を半壊ってやりすぎ。相変わらずぶっ飛んでるわね。あーあ、フェアリーテイル、入れるかなぁ」

「フェアリーテイルに入りたいのかい?」

「?!」

 

突如聞こえた声にルーシィが視線を投げると、そこには先程違法な魔法道具を使っていたサラマンダーがいた。

ルーシィは軽蔑の視線と共に言葉を投げかける。

 

「なに?言っとくけど、私にはもうチャームは効かないわよ」

「おやおや、気の強いお嬢さんだ。」

 

ルーシィが警戒して腰の鍵ホルダーと首飾りに手を持っていくと、サラマンダーは両手を上げて降参のポーズをした。

 

「なにもしないよ。それよりもキミ、フェアリーテイルに入りたいんだっけ?」

「それがなに?」

「僕がマスターに言って入れてあげようか?僕にかかればキミを入れるのなんて雑作もないよ?」

「サラマンダー様♡」

「君変わり身はやいね?!」

 

サラマンダーの言葉にルーシィは即座に食いつき、猫撫で声で接した。

サラマンダーは若干引きつつもルーシィに笑顔で言う。

 

「じゃあ、今日の9時に僕の船のパーティーに参加してね。待ってるよ」

「はーい♡」

 

サラマンダーが片手を上げて去っていくとルーシィは冷めた顔をしながら宿に戻った。

宿でルーシィがパーティーに参加する為の服を来ていると、宝石からシルフが出てきた。

 

『ねぇルーシィ、本当にあの男についてくの?』

「なに?シルフは不満?」

『だって、ルーシィはあんなにフェアリーテイルに入るために頑張ってたのに、最後の最後で人の力を借りるなんて』

「たしかにそうだけど、私はどうしてもフェアリーテイルに入りたいの。どんな手を使っても、絶対に」

 

そう言うルーシィの瞳はどこか曇っていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

時刻は夜10時

パーティに参加する人は皆船に乗り込み、船は出航した。

ルーシィはサラマンダーと2人きりで食事を楽しんでいた。

 

「いやぁ、それにしても、君はどうしてフェアリーテイルに入りたいんだい?」

「フェアリーテイルは私の憧れなんです。それに、フェアリーテイルでどうしても会いたい人がいて」

「へぇ、まあ、フェアリーテイルにはたくさんの魔導士がいるからね。探すのも大変だろう。僕が探し人までエスコートしてあげるよ」

「あ、ありがとうございます〜」

 

サラマンダーの馴れ馴れしさに嫌悪感が顔に出そうになったルーシィだが、自分に言い聞かせて押し込める。

そんなルーシィに構わずサラマンダーがグラスに入った飲み物を魔法で浮かせ、ルーシィの口元へ飛ばす。

 

「ほぉら、口を開けて。フルーティーで美味しいよ」

 

サラマンダーに言われ、ぎこちなく口を開けたルーシィだったが、飲み物が口に入りそうになった瞬間手を振るって飲み物を弾き、怒りを表した顔で問い詰めた。

 

「どういうつもりかしら?睡眠薬よね」

「ほぅ、よく分かったね」

「勘違いしないでよね。私はフェアリーテイルには入りたいけどアンタの女になる気はないのよ」

「しょうがない娘だなぁ。素直に眠っていれば痛い目みずに済んだのに...」

 

ルーシィの言葉に本性を表したサラマンダーが仲間に声を掛けると十数名の男達が出てきた。

ルーシィがすぐに鍵のホルダーに手を伸ばすが、すぐに仲間の1人に捕まってしまう。

 

「くっ、離して!!」

「兄貴、コレ、どうします?」

「女の方に傷は付けるなよ。なかなかの上玉だ。ふーん、星霊魔導士か。その鍵は捨てていい。契約者にしか使えないからな」

 

サラマンダーの言葉を聞いた男はルーシィの鍵を海に投げ捨てた。

ルーシィは恨みを込めた目で睨みつける。

それをサラマンダーは勝ち誇った顔で眺める。

 

「他の乗客達は?!」

「全員、コレから奴隷になるのさ。キミも含めてね」

「ほんっとに最低ね!コレがフェアリーテイルのやる事か!」

「おおっと、何を勘違いしてるか知らないけど、俺はフェアリーテイルの人間じゃないんだぜ?変な言いがかりはやめて貰おうか」

 

サラマンダーの言葉にルーシィは騙されていたと知り、悔しそうに顔を歪める。

その時、船の甲板にいた男を空から降りてきたナツが殴り倒した。

ナツは怒りに満ちた目でサラマンダーを見る。

 

「フェアリーテイルの名を騙ったのはてめぇか!俺はお前なんて知らねぇぞ!!」

「なんだ?...ああ、キミ、昼間のか。なんだい、生憎今は忙しいからねえ。熱狂的なファンなら後から...」

「が!」

「きゃあ!」

 

サラマンダーの話を聞かずにナツはルーシィを拘束していた男を殴り、ルーシィを空に投げ飛ばした。

咄嗟のことにルーシィは目を閉じるが、何かに掴まれた感覚で目を開けると、羽を生やしたハッピーがルーシィを掴んで飛んでいた。

ナツはハッピーに叫ぶ。

 

「ハッピー!」

「あいさー!」

「え!ちょっと、ナツはいいの?!」

「ナツは強いから大丈夫だよ」

 

ハッピーの言葉にルーシィがナツを見ると、ナツは乗り物酔いで船に沈んでいた。

 

「ちょっと?!アレ大丈夫なの?!」

「...........多分」

 

ルーシィがナツの状況に焦っているとハッピーが話しかけた。

 

「ねぇルーシィ」

「なに?!」

「魔力切れた」

「え?!」

 

ハッピーが言い切ると、ハッピーの羽が消え、2人は海に落ちていく。

海に落ちる衝撃に備えた2人は何かに受け止められた。

2人が恐る恐る目を開けると、そこには紫色のローブを着て黒いリボンを巻き付けたトンガリ帽子を被った黒のワルツがいた。

黒のワルツは呆れたように言う。

 

『ルーシィ、貴方は我々がいる事を忘れていたな?』

「ご、ごめん!すっかり忘れてたわ」

「ルーシィ、この人誰?ルーシィの恋人?」

「違う!!」

『違う。我は黒のワルツ1号機ことアインス。ルーシィと契約している召喚獣だ』

「召喚獣ってなに」

 

アインツが自己紹介し、ハッピーが更に質問していると、ルーシィは思い出したように叫ぶ。

 

「あ!私の鍵!!」

『問題ない。私が持っている』

「増えた!!」

ルーシィが声を上げると同時に今度は青いリボンを結びつけたトンガリ帽子を被った黒のワルツが飛んできた。

その手には鍵束が握られている。

 

『私は黒のワルツ2号機ことツヴァイだ。ルーシィ、ドライはあの男を助けに行った』

「そっか、ありがと」

 

4人がそうやって話していると、3人目の黒のワルツが飛ばされて来た。

ツヴァイは慌てて受け止め、どうしたのかを聞く。

 

『おい、どうした』

『あの方...加勢に来たと言っても聞く耳を持ってくださらなかったですが、何故でしょう』

『敵味方の区別がつかない程の興奮...バーサクでも使ったのか?』

『それならば我々はもう近づかぬ方が得策か。バーサクを使われたのであれば味方は近づかぬ方がよかろう』

「ナツはバーサクとかいう魔法を使わないよ?」

「ワルツ達、考察始めると長いから...あ!そうだ、あの船には女の子達が乗ってるの。どうにかして押し返せないかしら...」

 

ルーシィはしばらく考え込んだ後、アインスに指示を出す。

 

「アインス!あの船を押し返すから海に降ろして!」

『承知』

「ツヴァイ、ドライは船がの方向が港に向かうように誘導して!」

『『承知した/承知しました』』

「ルーシィ、何するの?」

「まあ見てて」

 

ルーシィはそう言ってアインスに海に降ろしてもらい、金色の鍵を取り出した。

 

「開け!『宝瓶宮の扉 アクエリアス』!」

 

ルーシィが言うと鍵が輝き、美しい人魚が出てきた。

ルーシィは人魚に支持する。

 

「人魚!!」

「アクエリアス!あの船を港に押し返して!」

「ああん?!それよりも小娘、今度鍵落としたら...ぶっ殺す」

「は、はい!!」

『正確にはツヴァイが間に合ったから落としてはいないぞ』

「小娘が落とした事には変わりないだろ!!お前らはそういう所だよ!!」

 

アクエリアスの低い声にルーシィは顔を青くし、アインスは冷静に返した。

アクエリアスはアインスに言い返すと手に持っている瓶を振りかぶった。

 

「小娘、1つ言っておく。今度鍵落としたら殺す」

「ご...ごめんなさい...」

「オラァ!!」

 

勇ましい声と共に瓶から大量な水が勢いよく飛び出し、ルーシィとハッピーを巻き込みながら船を港に押し返した。

港で目を回しているルーシィを見てアクエリアスは言った。

 

「チッ船まで流しちまった」

「アタシを狙ったのか!!」

「じゃあな、1週間は呼び出すなよ。これから彼氏とデートだ、彼氏とな」

「2回言うな!!」

 

彼氏と言う言葉を強調してアクエリアスは帰って行った。

そこに黒のワルツ達が飛びよる。

 

『ルーシィ、問題ないか?』

「アインス!アンタ1人だけ逃げたでしょ!!」

『我はツヴァイ達の補助に回っただけだ』

 

ルーシィの追求にアインスは目を逸らしながら答えた。

ルーシィはため息を吐きながら思い出したように言う。

 

「あ!ナツは?!」

「ふっかーつ!!」

 

ナツは船が止まったことにより乗り物酔いから解放され、大きな声を上げた。

船から港に投げ出されたサラマンダーも呻く。

 

「いった...何が起きてるんだ」

「お前がフェアリーテイルの魔導士か?」

「それがどうした?!」

「よォくツラ見せろ」

 

ナツの言葉にサラマンダーは顔を見せた次の瞬間。

 

「オレはフェアリーテイルのナツだ!!おめェなんか見た事ねェ!!」

 

そう言いながら取り巻きを殴り倒した。

ナツの右肩にはフェアリーテイルの紋章があり、そこにいた一同は驚く。

 

「ナツがフェアリーテイルの魔導士?!」

「あの紋章、本物だぜボラさん!!」

「バカ!その名で呼ぶな!」

 

サラマンダーの本当の名前を聞いたハッピーがボラについての話をした。

 

「ボラ、プロミネンスのボラ。数年前『タイタンノーズ』っていうギルドから追放された奴だね」

「おめェが悪党だろうが善人だろうが知った事じゃねぇが、フェアリーテイルを騙るのは許さねぇ」

「えぇい!ゴチャゴチャうるせえガキだ!」

 

ナツがボラに激怒した時、ボラはナツに炎を放つ。

ナツは炎に呑まれたが、燃えていた炎はある1点に集まり消えていく。

炎が無くなった時、炎が集まっていた所にはナツの口があり、炎を食べたナツはボラに文句を言った。

 

「まずい。なんだコレ、お前本当に火の魔導士か?こんなまずい火は初めてだ」

「はぁ?!」

 

一同がナツに驚く中、ハッピーは言った。

 

「ナツに火は効かないよ」

『炎を食す人間がいるのか』

『興味深い』

「食ったら力が湧いてきた!!いっくぞおおおお!!!『火竜の」

 

ナツが魔法を放つ体制をとると、ボラの手下の1人が叫ぶ。

 

「ボラさん!俺はコイツ見た事あるぞ!!桜色の髪に鱗みてぇなマフラー...間違いねぇ!コイツが本物のサラマンダーだ!!」

「咆哮』!!」

 

ナツの口からボラのものよりも強力な炎が吐き出され、ボラ共々吹き飛ばされた。

ナツはボラに近づき、ボラに言う。

 

「よーく覚えとけよ。これがフェアリーテイルの....魔導士だ!!」

 

そう言って炎を纏った拳や足でボラ殴り、蹴りを繰り返す。

ナツの魔法を見ていたルーシィは戸惑う。

 

「本当にこれ、魔法なの?!」

「竜の肺は焔を吹き、竜の鱗は焔を溶かし、竜の爪は焔を纏う。これは自らの体を竜の体質へと変換させるエンシェントスペル」

「なにそれ?!」

「元々は竜迎撃用の魔法だからね。滅竜魔法。イグニールがナツに教えたんだ」

「竜が竜退治の魔法教えるってのも変な話ね」

 

ルーシィが呟くと、ハッピーは今気づいたと言うような顔をし、それに呆れたアインスがツッコム。

 

『気づいていなかったのか』

「ドラゴンスレイヤー...凄いけど...やりすぎよぉ!!!」

 

そのルーシィの叫びと共にナツの強い魔法が放たれ、港が半壊した。

無残な港の姿にルーシィは叫ぶ。

 

「港がめちゃくちゃー!!」

「あい!」

「あいじゃない!」

『見事に1人でここまで破壊したものだ』

『やっぱりバーサク使ってたんですね』

『恐ろしい奴だ』

「アンタ達も呑気にしないで!!」

 

ルーシィが全員にツッコんでいると、軍隊がやってきた。

 

「軍隊!」

 

ルーシィが言った時、ナツはルーシィの腕を掴んで走り出した。

 

「やべ!!逃げんぞ!」

「なんで私までー?!」

 

ルーシィの叫びに、ナツは笑顔で言う。

 

「だって俺達のギルドに入りてんだろ?来いよ」

 

ナツの言葉にルーシィは笑顔で返事をし、しっかりとした足取りではしりだした。

 

「うん!!」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。