そして、今回場面転換が激しいです。
ある月夜の深夜、村の中央広場に1人の男が立っていた。
男が地面に手をかざすと村全体を囲うような魔法陣が展開され、少しの間光った後、見えなくなった。
魔法陣が消えると、男は怪しく笑い、1人呟いた。
「ククク...これで準備完了だ。ババアに印をつけれなかったりあのガキが時間を掛けて村人に施した印を壊されて失敗したのは驚いた。だが、お陰でババアは始末出来たしガキと邪魔な竜はいなくなったし、半年掛かったが村人達の印もつけられた。もう邪魔する奴は居ない...明日だ、明日で全て終わる...クククク...」
男は不気味に笑い、夜の闇に紛れて行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ギルダーツ達と協力関係となった次の日、クジャと銀竜はいつもの様に見回りをしていた。
2人は世間話をしながら歩いていたのだが、突然止まり顔を顰めた。
「ズル賢いネズミが入ってきたみたいだね」
『3箇所から入られたなら昨日までの私達なら守れなかったでしょうが、運が悪かったですね』
「銀竜、キミはギルダーツ達に応援を頼んで貰えるかな。僕は一番遠い地点の奴を叩く」
『分かりました』
2人は二手に分かれそれぞれの仕事をしに行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ギルダーツ達が朝食を食べ終え、部屋でくつろいでいると窓が叩かれた。
「なんだ?村のちびっ子達のイタズラか?」
「ふんふん...この匂い、銀竜だ!」
「は?!」
「バカ、声が大きいぞ」
エルザにナツとグレイが注意されながら4人が窓に近づくと、虫程度の大きさになった銀竜が窓を叩いていた。
ギルダーツが窓を開け、銀竜を中に入れると、銀竜は通常生活サイズになり、応援を頼んだ。
『突然すみません。先程三方向から外部の人間が侵入しました。私とクジャだけでは対処しきれないので手伝ってもらえないでしょうか』
「分かった」
「よっし!じゃあ俺がいく!」
「待てよナツ、俺が行く」
「なんだとグレイ」
「やんのかナツ」
「やめんか!」
「はあ、たくお前らは...」
『侵入者は近くまで迫っています。早く決めてください』
「エルザ、お前が行け」
「分かった」
「なんでエルザなんだよギルダーツ!」
「お前ら2人は連絡係だ。ナツの鼻は連絡に必須だからな。グレイはなんかあった時に手数があるから残れ」
『決まったのでしたらエルザさんは村の外に。私が近くまで乗せて行きます』
「分かった」
エルザは銀竜と共に侵入者の排除に向かった。
それを物陰から見ていた男はニヤリと笑い、その場を後にした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーー数時間後
戦闘を終えたクジャ達は傷の手当てをしていた。
「すまないな」
「協力してもらってるのはコッチだからね。この位はするさ。ケアル」
クジャが魔法を唱えると、エルザは黄緑色の光に包まれ、あっという間に傷が治った。
そこに、ナツが走ってきた。
「ナツ?何かあったのか?」
「む、村の奴らが、急に襲ってきて、卵のある祭壇の方に向かったんだ。今はギルダーツ達が食い止めてる!」
「半年前と同じ...銀竜!」
『はい!』
「乗って!」
クジャが銀竜に呼びかけると、銀竜は大きくなり、クジャ達は背に乗ったのを確認し、銀竜は村へ向けて飛び立った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
村ではギルダーツ達が村人の進行を食い止めていた。
「なんなんだよコイツら一体!」
「クジャの言ってたやつだろうな。また洗脳されたんだろう」
「エアロ!」
ギルダーツ達がそんな話をしていると、村人が吹き飛んだ。
振り返ると、銀竜に乗ったナツ達を見てギルダーツはニヤリと笑った。
「やっと来たか」
「僕が洗脳を解くからキミ達は足止めを、銀竜は祭壇の近くを頼むよ」
「分かった」
『はい』
「ディスペル!」
クジャが魔法を唱えると、村人達は糸が切れたように倒れた。
村人はそれを気にせず、光の無い目で詠唱をしているクジャに近づいていくが、ナツ達が食い止める。
「オラ!」
「はあ!」
「アイスメイクフロア!」
ナツ達の連携により、村人は全員洗脳が解けて地面に横たわっていた。
事態が終息し、ナツ達が息を吐くと、物陰から1人の男がヒステリックに叫びながら出てきた。
「なんでだ!半年前より強力に!強固に!コイツらの奥深くにまで張り巡らせたのに!なぜ!なぜお前は解けた!ギルドの連中はどうして邪魔なコイツを殺さない!お前達にも仕込んだ筈なのに!どうして言う通りに動かないんだ!」
「あ?お前誰だ?」
「バカかナツ、俺達に依頼してきた村長だろ」
ナツ達の前に姿を現したのは村の村長だった。
村長は何も聞こえていないかのようにヒステリックに叫び続ける。
「なぜだ!なぜだあなぜだなぜだ!ボクはただ誰にも裏切らないボクだけの世界を作りたかっただけなのに!どうしてみんな邪魔をする!どうしてみんなボクを拒絶する!あと少しで、あと少しでボクだけの世界が完成したのに!なぜみんなボクの邪魔をするんだ!ボクの言う通りにならないんだ!」
「......お前が、みんなを操ったのか?」
クジャが感情のこもっていない声で呟くと、村長は聞こえたようでニヤニヤと笑いながら種明かしをしていく。
「クハハハハ...そうか、お前はなぁんにも知らないんだったなぁ。そうさ、ボクがやったんだ。こんな能の無い連中や化け物に村を支配され、それを崇拝する無能に管理されるこの村に価値はない。本当に価値があるのはボクの様な有能な人間による化け物と人間の管理だ!化け物にボクの印を付けさえすればボクの下僕!ボクによるボクの為のボクだけの世界ができたんだ!それなのに、なぜ邪魔をする!」
村長の話を聞き、クジャは酷く起こっていた。
彼がいくら冷静になろうと思っても感情は高まり続け、クジャが一瞬光に包まれた。
全員が驚きクジャの方を見ると、そこには赤と白の体毛に覆われ、赤い尻尾のある獣人と化し、今までで一番の殺気を発しているクジャがいた。
トランスー感情の爆発により自身の力が跳ね上がる現象。
村長はそんなクジャに腰を抜かし、それでもなお、生き残ろうと後ろに後ずさった。
それを追う様にクジャが一歩ずつ距離を縮めていく。
「ひっや、やめろ...近寄るな、バケモノめ!」
「バケモノねぇ...その呼び方はやめてもらおうか、ボクは...」
クジャは村長との距離を縮め、耳元でこう言った。
「...死神さ...」
それは、クジャから村長に当てた彼なりの死刑宣告であった。
次で守竜の村編はラストです。