死神と妖精の尻尾   作:夜月ライト

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今回でようやくクジャがフェアリーテイルに入ります。


第零章:精霊魔導士の少女編
死神の新天地


村を出たクジャと銀竜は誰かに付けられているのが分かり、足を止めた。

 

「用があるなら言いなよ」

「まぁバレるわな」

 

そう言いながら姿を現したのはギルダーツ達だった。

クジャはつけられたことに対して不機嫌そうに聞いた。

 

「それで?わざわざ僕達をつけてきて、一体なんの用だい?」

「ああ、それなんだけどよ、お前、行くとこあんのか?」

 

クジャはギルダーツの質問に対し少々疑問に思う所もあったが嘘を吐く必要はない為、正直に答えた。

 

「ないけど」

「そうか、ならフェアリーテイルに来いよ」

 

ギルダーツの提案はクジャ達にとって良い提案だったが、クジャ達は自分の素性を考え、難色を示した。

 

『私達にとっては嬉しい誘いなのですが...』

「僕達の様な人殺しで素性もハッキリしない人間を入れて大丈夫なのかい?」

「ああ、フェアリーテイルは身寄りのない孤児や訳ありのやつも多い、それに、お前は本意で殺しをしたわけじゃねぇしな。大丈夫だろ」

 

まだ悩むクジャはナツ達にも目を向けたが、ナツ達も頷いた為、決断した。

 

「分かったよ、そこまで言うならフェアリーテイルに身を置くのも悪くないかもね」

「よっし!それじゃあさっさと行こうぜ。ここから3日は掛かるからな」

 

グレイの言葉にクジャは呆れた様に言う。

 

「まさか歩いて行くつもりかい?」

「他にどうやって行くんだよ」

「空からさ。キミ達を特別に空の旅へ招待してあげるよ。銀竜!」

『はい!』

 

クジャの掛け声に銀竜は全員が乗れるほどの大きさになった。

クジャはそこに飛び乗り、ナツ達に乗る様に諭す。

 

「ほら、コッチの方が速いだろう?乗りなよ」

「すっげえ!ドラゴンにまた乗れるんだ!」

 

ナツ達はそれぞれはしゃいだり恐る恐る乗ったりした。

クジャは全員が乗ったのを確認し、銀竜を飛ばす。

 

「すっげえ!イグニールと同じくらい速え!」

「たっけえ」

「これが空の景色か。綺麗なものだな」

「いやぁなかなかいい風だな」

 

銀竜の乗り心地にナツ達はご満悦の様だ。

クジャはフェアリーテイルの場所を聞く。

 

「で、フェアリーテイルは何処にあるんだい?」

「ああ、ここから北西に行ったマグノリアって街の所だ。あるのは街中だから街の近くで降ろしてくれ」

「分かったよ。それまで空の旅を楽しみなよ」

『落とさない様ゆっくり飛んでいますが危ないので気をつけてくださいね』

 

銀竜とクジャはナツ達を乗せ、マグノリアに向かって飛んだ。

数十分程飛ぶと、フェアリーテイルのギルドマークを銀竜が見つけ、街の郊外に着地した。

その後、銀竜は手の平に乗るサイズになり、クジャの肩に乗った。

ギルダーツはまだはしゃいでいるナツ達に声を掛けてギルドに向かって歩いた。

その途中、クジャは元いた世界とこの世界の街の様子の違いを横目で観察しながら歩いた。

街の中央を抜け、少し行ったところに魔導士ギルド『妖精の尻尾ーフェアリーテイルー』があっり、中からは賑やかな声が聞こえてくる。

ギルダーツがギルドの扉を開けると、ギルドメンバーの視線が入り口に集まる。帰ってきた仲間にメンバー達は労いの言葉をかける。

 

「おお、ギルダーツ達帰って来たのか」

「おかえりー、どうだった?」

 

そんな中、1人がクジャの存在に気づいた。

 

「あ?誰だ?ソイツ、見ねぇ顔だな」

「ああ、コイツは新しく入る奴だ。マスターは?」

「ああ、マスターならカウンターの方にいるぞ」

「分かった。クジャ、コッチ来い」

 

ギルダーツに呼ばれクジャはカウンターに座っている老人の元へ歩いて行く。

 

「マスター、戻りました」

 

マスターと呼ばれた老人ーマカロフーはおちゃらけた感じで話しだした。

 

「おお、よく戻ったのぉ。それと、お前さんはギルドへの加入希望者かの?」

「はい、それと、僕だけではないですけどね。銀竜」

 

クジャの言葉にマカロフは不思議そうな顔をしていたが、銀竜がクジャの肩から降り、少し大きくなった事で納得したようだ。

するとマカロフはカウンターの奥からスタンプの様な物を持ってきて質問した。

 

「分かったぞ。お前さん達、どこにギルドマークを付ける?」

 

そう聞かれ、クジャは右手を、銀竜は尻尾を差し出した。

マカロフはそれぞれにギルドスタンプを押し、快く歓迎した。

 

「ガキ共、ようこそフェアリーテイルへ。これからお前達はギルドの仲間じゃ!」

 

マカロフは新たな仲間の誕生を高らかに告げた。




次回からまた新章です。

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