蒼「大変だちゃんもも! 紫苑がだおウイルスに感染しちゃった!」
桃音「だおウイルス?」
紫苑「あかんお、これめっちゃ喋り方おかしなっとるお! 大変だお!」
桃音「うわあ」
蒼「だおウイルスは、それはそれはおっそろしいウイルスなんだ。命の危機とかそういうのになるわけじゃないけど、語尾に必ず「お」ってつけるようになっちゃうのだよ!!!」
桃音「な、なんて恐ろしい……。でも、どうして感染したんですか?」
蒼「あー、それは……」
紫苑「すいにゃん先輩、よく達磨の中に入ってるやお? 中はどんな感じなのか気になって入ってみて、出てきたらこうなってたお」
桃音「出てきたらこうなってたって……」
蒼「中身はどんな感じだったの?」
紫苑「それが、真っ暗で何も見えなかったんだお」
桃音「でしょうね」
紫苑「うちには達磨の中を体験するのは早すぎたみたいだお」
桃音「いや、そういうことなんでしょうか?」
蒼「それより口調を元に戻す方法を考えなきゃ! このままだとX室メンバーのだお濃度がより高くなっちゃう!」
桃音「! そ、そうですね! だお語尾のまま残りの人生を過ごすなんて余りにも紫苑ちゃんが可哀想です!」
紫苑「一番可哀想なのは翠玉先輩やと思うお」
桃音「というわけで専門家を連れてきました!」
黄奈子「いきなり連れてこられたんだけど……」
翠玉「どういうことだお?」
桃音「実はかくかくしかじかで」
黄奈子「あー……なるほど。紫苑が達磨の中に入っちゃったのか」
紫苑(こくこく)←頷いている
翠玉「それで、だおウイルスに感染しちゃった、と」
桃音「はい。お二人ならこの対処に詳しいんじゃないかと思って」
翠玉「まあ確かに詳しいといえば詳しいけど……どうしてすい達じゃなくて先にももちゃんに伝えたんだお?」
蒼「勿論探してたんだけど、先にちゃんももが見つかったのでやんす」
紫苑「や、やんす?」
黄奈子「……まあいっか。それで、肝心の治療法だけど……」
翠玉「特徴的な口癖を持つ人の血を輸血すると中和されて元通りになるお」
桃音・蒼・紫苑「特徴的な口癖?」
黄奈子「例えば、語尾に『やんす』とか、『ござる』とか、『ずら』とか、『ですわ』とかを付ける人がいるじゃない?」
翠玉「そういう特徴的な口癖を持つ人の血を輸血すると、普通は特徴的な口癖が遷移しちゃうんだお」
黄奈子「やんすが口癖の人のを輸血すると、自分もやんすが口癖になっちゃうってことだよ」
桃音「普通……そうだったんですか、普通はそうなるんですか……」
翠玉「でも、既に誰かの口癖に感染している状態で輸血すると、中和されて口調が元通りになるんだお」
紫苑「ということは、先輩と同じくらい癖が凄い口癖の人の血を輸血すれば治るってことだお?」
翠玉「そうだお。元通り、いつもの関西弁に戻れるお」
黄奈子・蒼・桃音(……なんか、だお口調が二人もいるの、すっごいややこしいな……(ですね……))
紫苑「じゃあ癖が凄い口癖の人を探せば!」
黄奈子「……といっても、先輩と同じくらい癖の強い口調の人探すのって中々面倒くさいよ」
紫苑「えっ」
翠玉「そりゃそうだお。紫苑だって関西弁っていう割と癖のある喋り方だったけど、今じゃすいと同じだお口調だお。並大抵の口癖じゃ対抗できないお」
黄奈子「『えっ、こんなの語尾にする人現実にいるんだ』くらいじゃないと……」
紫苑「えー……」
桃音(黄奈子ちゃん、何気にめちゃくちゃ失礼なこと言ってますね)
蒼「……そんな人いるかな? すいにゃん先輩レベルの口癖に対抗できる人というと、それこそさっき挙げたような「やんす」とか「ずら」とか、「ですわ」みたいなのを口癖にしてる人しかいなくない?」
翠玉「そうだお。だから、そういう人を見つけるところからやらないと……」
桃音「え、「ですわ」が口癖? ……あの、皆さん。それって白雪先生じゃ駄目なんでしょうか?」
黄奈子「…………」
蒼「…………」
紫苑「…………」
翠玉「…………」
桃音「…………」
黄奈子・蒼・紫苑・翠玉「……あっ」
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白雪「……それでわたくしのところに来たんですのね」
蒼「白雪姫せんせーならなんとかなるんじゃないかって思って」
紫苑「元の口調に戻したいんだお、お願いします先生」
白雪(うわあ……)
白雪「分かりましたわ、可愛い生徒のためですもの」
紫苑「それじゃあ……」
白雪「ええ。輸血してあげますわ。というわけで、どうぞ」
黄奈子「……? どうしたんですか先生、目を閉じて、首を紫苑ちゃんに向けて見せびらかして」
紫苑(うわ、めっちゃ肌白い……まるで白雪姫みたいや)どぎまぎ
白雪「……? 輸血するのでしょ? ほら浦上さん、早く首にかじりついて下さいません?」
紫苑「えっ」
白雪「がぶっと! 首から! 血を吸って!
吸血して! そうしてわたくしの血を取り入れて、だおウイルスを中和するのですわ!」
紫苑「ええっ!?」
玄恵「……あの、白雪先生? 輸血ってそんな、ドラキュラみたいにやるわけじゃないですからね? 分かってます?」
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次の日。
桃音「昨日は大変でしたね、黄奈子ちゃん」
黄奈子「そうだね桃音。白雪先生がいてくれたからすぐになんとかなったのは運が良かったけどね」
桃音「もしいなかったら紫苑ちゃんは暫くあの口調で過ごさなきゃいけなくなってたと思うと、ちょっとぞっとしますね……」
黄奈子「私だったら学校に来れなくなるだろうなあ」
桃音「またそんなこと言って……。私は黄奈子ちゃんがどんな口調になっていようと会いたいですし、一緒にX室で居残りしたいです」
黄奈子「…………!」
黄奈子「……居残りにならないように終わらせるのが一番いいけどね」
桃音「そ、それはそうですけど~! そういうことじゃないんですよ~!」
黄奈子「……ふふっ」
蒼「あっ! ちゃんもも! きなこっこ! いいところに!」
黄奈子「ん?」
桃音「蒼ちゃん? どうしたんですかそんなに慌てて」
蒼「紫苑が……紫苑がですわ口調になっちゃった!」
紫苑「大変ですわ、何だか喋り方がおかしいのですわ!」
翠玉「どうやら昨日、白雪先生の血を輸血しすぎちゃったみたいだお」
紫苑「大変ですわ~~~!!!!」
桃音・黄奈子「うわあ」
終われ