死した鶴   作:Гарри

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02.「衝突」

 とんだ大失敗だ。しくじった。敵の方が一枚上手だったし、私は油断していた。翔鶴姉に合わせる顔がない。真っ暗な世界で、私はそういう後悔が意識を埋め尽くすのを感じていた。それを、冷水を頭から掛けられたような刺激が洗い流していく。気づけば、私は自分がまだ死んでいないということを発見していた。それは奇妙な感覚だった。死んでいるものと思っていたのに、そうではなかったとは。だが、視界が塞がれているのは変わりなかったし、更に言えば私は椅子に座らされていて、背もたれの後ろで手を縛り付けられていた。両足も、足首のところで括られている。抜け出そうとするが、途端に二回目の冷水が私を襲った。コップ一杯分ほどだったが、それは私の動きを止める力を持っていた。

 

「目は覚めたか?」

 

 顔を締め付ける感じがしなかったので、目隠しを巻きつけられているのではなく、布袋を被せられているのだと分かった。喉まですっぽり覆われていて、口元に袋が触れると、ざらざらとした感触が唇をくすぐって不愉快だった。私は全力で冷静なふりをしながら、ゆっくりと頷いた。布越しに声を聞き、記憶と照合しようとする。落ち着いた響きの、少年のような声だ。聞き覚えがあるようにも思えたが、誰かは分からなかった。考え込んでいると、私を叩きのめしたその艦娘は小さな足音を立てながら、こちらに近づいてきた。気配は私の背後に回る。微かな呼吸音が耳元に聞こえ、次いで声が届いた。

 

「僕の質問に答えろ」

 

 頭突きをしなかったのは、相手が一人称を明かすというミスを犯したからだ。艦娘には各人に共通する個性がある。一人称もその一つだ。私の軍歴は昏睡期間を抜いても短くはない方だが、自分のことを「吾輩」ではなく「(わたくし)」と呼ぶ利根(とね)や、「うち」の代わりに「あたし」を使う龍驤(りゅうじょう)を見たことはない。そして一人称として「僕」を使う艦娘は、かなり限定されていた。駆逐艦に五人、重巡洋艦に一人……ああいや、重巡には例外が一人いるから二人だったか。何にせよ、これでかなり絞れた。まず、重巡ではない。これは声色からだけではなく、取っ組み合った時に知った、相手の大まかな身長から分かったことでもある。彼女は小柄な軽巡か、背の高い駆逐艦だ。

 

 となると、私に思い浮かべられる候補は「皐月(さつき)」「時雨(しぐれ)」「Z1」「初月(はつづき)」「松風(まつかぜ)」の五隻だ。この内、皐月と時雨、松風には会ったことがある。皐月は戦争中、叢雲が来る前のことだが、私と同じ艦隊にいた。いい奴だった。時雨は私がいたのとは別の艦隊に所属していて、妙に気が合ったので話す機会が多かった。松風は、今の艦隊員の一人だ。気に入らない新米ではあるが、その声を忘れるほど私は耄碌(もうろく)していない。

 

 私の背後にいる艦娘の声は、記憶にある彼女たちの声とは一致しなかった。つまり、彼女はZ1か初月なのだ。もしレーベレヒト・マース(Z1)なら、かなり厄介になるだろう。何しろ彼女の所属は、基本的にドイツ海軍だ。伝統ある日独艦娘交換協定以外を理由として日本海軍に在籍するZ1の話など、聞いたためしもない。ということは、ドイツ海軍が翔鶴姉の事件に関わっているか、関心を示しているということになる。だとしたら、翔鶴姉を飲み込んだ闇は、私には想像もつかない深さになっているに違いない。溜息を一つ吐き出して、私は言った。

 

「とっとと聞きなさいよ」

「何をしにここに来た?」

 

 嘘を言うか迷った。でも、嘘を言って自分の命が助かりそうな状況には思えなかった。それで素直に言った。「翔鶴姉を殺した奴を探してるの、個人的にね」「翔鶴を?」聞き返す声には、不信の気配が濃厚に表れていた。私は少し意外に思った。こいつは翔鶴姉を知っているみたいだ。それに、不信の気配には“翔鶴を殺した犯人を捜す奴がいるなんて信じられない”という色合いがあった。今や威嚇を兼ねた敵意と警戒を露にして、この姿を隠した尋問官は厳しい口調で訊ねた。

 

「お前は誰なんだ」

「あんた、私が寝てる間に懐を探るぐらいしなかった訳? 財布に入ってる軍のIDカードを見れば分かるでしょ」

「答えになってないぞ。第一あんなもの、幾らでも偽造できる」

「私は瑞鶴よ。殺された姉の妹、殺された一番艦(旗艦)の二番艦。どう、満足できる答えだった?」

 

 この返答を聞いた彼女は小さく唸り声を上げた。どうしたものか、悩んでいるようだ。と、彼女は短く「ふむ」と漏らした。何か思いついたのだろう。今は、それが私にとって最悪な思いつきでないことを祈るばかりだ。翔鶴姉の後を追うことになる覚悟はできているが、もし可能なら、その理由は老衰でありたい。一発の弾丸とか、一振りのナイフなんて理由は願い下げだ。

 

 袋が乱暴に取り外されて、私の目を強い光が刺激した。顔をしかめ、まぶたを半ば下ろすが、涙が出そうになる。怯えて泣いていると思われたくはないが、それで油断させられるなら涙を見せるのもいいかもしれない。光に慣れると、光源が上ではなく前に存在することに気づいた。部屋の明かりは落としてあって、卓上ライトか何かで照らしているのだ。お陰で私には周りが見えず、自分がどの部屋にいるのかも分からなかった。ただ光源の後ろに、人の気配を感じ取ることはできた。その気配は言った。

 

「お前が翔鶴の二番艦を務めていた艦娘だというのは、信じがたい話だな」

「誇大表現ね。“信じがたい話”っていうのは、私のたった一人の姉妹艦が、何処かのクソったれに殺された、みたいな話のことを言うのよ」

「……だが、その場をわきまえない噛みつき癖は、僕が翔鶴から聞いた通りの特徴だ。少し、信じてもいいと思っている」

 

 私は混乱した。翔鶴姉と、この姿を見せない駆逐艦娘が知り合いだった? 突拍子のないことだ。でも、そうだとすれば彼女がここにいる理由も分かる。彼女もまた、私と同じように翔鶴姉の死に怒りと決意を抱き、私と同じようにこの場所へとやってきたのだ。または私にそう思い込ませようとしているだけなのかもしれないが、そんなことをする必要性があるだろうか? 翔鶴姉を傷つけた誰かに与する立場なら、私を殺して終わりにする筈だ。嘘で操ろうとはするまい。けれど、顔も見せないような奴を頭から信じるのは、もちろん愚かの極みだ。

 

「お前の名前は?」

 

 無言で応じる。口ではっきりと「二度も自己紹介する気はないわ」などと言うよりも、洗練されたやり方だ。これを正しく身につけるには長い軍隊生活を必要とするが、こういう時に極めて役に立つ。すると駆逐艦娘は小さく笑い、「ああ、艦娘としての名前だとか、艦娘になる前にどう名乗っていたかって話じゃあない」と言った。じゃあ、どんな話だというのだ?

 

「僕が聞きたいのは、お前の一番新しい名前のことさ」

 

 彼女が言いたいことに思考がたどり着くまで、私は屈辱的な数秒を必要とした。内心はひどい気分だったが、私は彼女が翔鶴姉と知り合いだったことについて、渋々ながら疑いようがないと認めた。私の今の艦隊員たちが、不幸にも麻酔なしの抜歯を受ける原因になった名前のことを知っているのは、ごく限られた人数だ。翔鶴姉、榛名、そして私が右手で可愛がってやった歯抜けたち。提督には原因抜きで、乱闘だとしか伝わっていない筈である。

 

 榛名は元広報部隊だ。他人の罪のない不名誉について、決して口にしない賢さがある。それと生来の優しさもだ。これは賭けてもいい。歯抜け連中も、あれはあれでまあ艦娘だから、プライドがある。自分たちが叩きのめされる原因になった事柄について、ぺらぺら喋りはしないだろう。でも翔鶴姉は、彼女だって口が軽い性格ではないのだが、前線に立ち続けてきた艦娘だ。つまり、冗談の種にできそうなことは冗談にする類の人なのである。それが本当の秘密と呼べるものでなければ、私がこっそり彼女に言ったことが、数分後に他の艦隊員たち全員の知るところとなっていたとしても、驚きはしない。彼女はそういう人だった……私や、他の戦友たちだってそうだったように。

 

 ともあれ、私の羞恥心は生き延びるということへの欲求を塗り潰すことができるほど、強靭ではなかった。恥など幾らでも()いてきたし、それと同じぐらい(そそ)いできた。この恥だっていずれは拭い去ることができるだろうし、そうならなかったとしても、羞恥の余りに死んだ艦娘など、存在しないのだ。まあ、それでも「ああ、“三年寝太郎”のこと?」と答えた時には、恥から起こる、へらっとした笑みが顔に浮かぶのを止めることはできなかったが。そうして私の返事を聞くと、尋問官は初めて人間味を見せた。こらえ切れなかった笑いを、ほんの僅かに漏らしたのだ。「んふっ」とか「んんっ」とか、その程度だったが、それで場の緊張が少しほぐれた。

 

 ぱちりと音がして、こちらに向けられていたライトが消された。数秒の間、真っ暗闇の中で私は確かな足取りの靴音を聞いた。その音は私から離れ、壁があるだろう方に向かった。壁紙を撫でる気配に次いで、部屋の明かりがつく。残像に顔をしかめながら、周囲を見回してみる。ここは書斎だ。辺りには地震でも起きた後のように本が散らばり、壁に沿って配置された本棚の幾らかは完全に空っぽになっている。翔鶴姉がこの様子を見れば、必ずや額に青筋を浮かべたことだろう。尋問官女史の姿はなく、背後にいるものと思われた。

 

 それを裏付けるように、背もたれの後ろで縛られていた手が、一度ばかりぐいっと引っ張られるや自由になった。縛られていた場所を見てみると、布で締めつけた痕が残っていた。シーツか何かを裂いて作った、急ごしらえの縄を用いたのだろう。手が使えるようになれば、足の戒めから抜け出すことは難しくなかった。立ち上がると、急な動きのせいか頭がずきずきと痛んだ。おまけにトイレや気つけの水で濡れた髪が、じめっとしていて不快極まる。シャワーでも浴びたいところだ。私は歯を噛み締め、不機嫌になりながら振り返った。

 

 そこにいたのは、大体の部分で私の推測通りの人物だった。「“初月”とこの距離で顔を合わせるのは初めてよ」と言うと、彼女は「そうか。僕は、お前と同じ顔を嫌というほど見てきた」と答えた。私たちがもしこういう形で出会ったのでなければ、私はこの駆逐艦娘を大いに気に入ったことだったろう。あるいは心底好かないで、不意打ちや闇討ちなんかを企ててやったかもしれない。何度も実戦を経験した艦娘にとって、心身問わず相手を傷つけるのは、ある種のコミュニケーションのようなものだ。ただ言うまでもなく、やりすぎると違法になるので注意が必要である。

 

「あんたは?」

 

 短く省略して訊ねる。この初月は誰なのか、翔鶴姉とどんな繋がりがあったのか、何をする為にここに来たのか──そういうことを一つ一つ丁寧に質問して時間を浪費するのも悪くないが、私の頭を便器の中に沈めた相手にそんな礼儀を尽くす理由はなかった。また初月の方でも、自分に対してそこまでの敬意を払って貰えるとは思っていないようで、私の敵対的な態度にも、気分を害した様子は見えなかった。彼女は言った。「今までもこれからも、お前の知らない誰かだ。翔鶴のことを思うなら、放っといてくれ」その気取った喋り方に、抑えていた私の敵意が再びむくむくと膨らみ始める。

 

「翔鶴姉とは知り合いだったのかもしれないけど、だからってあんたが怪しくなくなった訳じゃない。その上、あんたは私の姉妹艦の家を荒らしてる」

「彼女じゃなくて僕が殺されてたら、翔鶴は僕の家を引っくり返して、出てきたものは砂の一粒まで調べて回ったろうさ。それに、お前だって似たようなことをしにここに来たんだろう? お互い様だ」

 

 何の勝算もなしに、自分を打ち倒すことのできる相手へ突っかかるのは、賢い行いではない。だが、何処の誰だかも言おうとしない奴と一緒くたにされて、頭に血が昇った。私が既に言ったことの全てを、初月が何とも思っていないようなのも気に障っていた。それで私は、思い出させようとするように彼女へと怒鳴った。「私は翔鶴姉の二番艦なのよ!」その言葉への反応は顕著だった。初月はその冷笑的な仮面をかなぐり捨てると、感情のままにこちらへと怒鳴り返したのだ。

 

「僕だって相棒だった!」

 

 彼女の叫びの後で、部屋は静かになった。私はじっと初月を見つめた。彼女は歯を食いしばって激情を抑制すると、その表情にうっすらと後悔の気配をまとわせ、これ以上何も言うまいとするかのように唇を引き締めた。それでは困るので、私は質問を投げかける。「相棒って、どういうことよ」返事をしてくれるとは期待していなかったが、予想を裏切り、初月はぶっきらぼうに言った。

 

「僕は軍警察官なんだ。そしてお前の姉……翔鶴も、そうだった」

 

 私が促す前に、初月は懐から手帳を取り出すと、開いて見せた。手帳の表紙裏の透明なポケットに、軍警察のIDカードが挟まっている。私がカードから初月に視線を戻すのを待って、彼女は手帳を閉じて元の場所へ片付けた。私はそれを見ながら、おかしい、と感じていた。警察でも軍隊でも、身内は大切にするものだ。軍警察だってそれは変わりないだろう。もし身内が殺されれば、復讐する。丁度今、私がそうしようとしているのがいい証拠だ。彼ら彼女らの復讐は恐らく、私のと違って法に則ったものになるだろうが、仲間の死の報いを受けさせるという点では違いがない。

 

 ところが軍警察は、そういう熱意を見せなかった。私には一回会いに来ただけで、それ以降は数週間経っても、何の接触も連絡もなかったのだ。一ヶ月もしない内に捜査が進むことを求めるのが間違っていたとしても、被害者が死ぬ直前に会った人物への聴取を、ただの一度で済ませるものだろうか? 初月が嘘を言っているのか、軍警察が何らかの理由で事件の捜査に消極的なのか、私には判断することができなかった。情報が少なすぎ、またこういった事案に関する経験も不足していた。仕方ないだろう、私は艦娘だ。根本的には、艦娘の仕事は仲間を守り、目前の争いに打ち勝つことであって、殺人事件の捜査は専門外なのである。

 

 無論、専門外であることが諦める理由にならないのは知っていた。瑞鶴の専門は制空権の奪取と航空攻撃の指揮だが、砲を撃って敵を仕留めた経験だってある。やらなければならない状況下では、何だってやるしかないのだ。

 

「軍警察官だったのが、翔鶴姉の死に関係していると思うの?」

「そうじゃなかったら、誰が艦娘を選んで殺す? どんな普遍的な目的であれ、他に狙いやすい相手がごまんといるのに。個人的な遺恨からの犯行なら話は変わってくるが、心当たりがあるか?」

 

 私は首を横に振った。私の姉妹艦は、誰かに恨まれるようなことをする人ではなかった。その彼女が恨まれたのだとすれば、軍警察の仕事の結果だろう。だとしたらやはり、初月の言葉が正しいことになる。「そうだろう」と彼女は、こちらの返事を予想していたように頷いた。気に入らない所作だった。私が姉と慕った唯一の女性について、誰よりも知っている気にでもなっているのだろうか? 内心の不満を隠しながら、最近の彼女が何について調べていたのか知らないか訊ねると、初月はあっさりと答えた。一般警察や軍警の捜査官につきものの、あの守秘義務という真実と私を隔てる高い壁は、存在しないかのように扱われていた。

 

「艦娘や元艦娘の失踪事件を調べていた筈だ。僕は彼女に頼まれて別件に掛かりっきりだったから、詳しくは知らないんだ。だから、彼女の捜査資料を求めてここに来た。軍警はその手のものを自宅に持ち帰って保存することを禁止しているが、彼女がそれを守っていたとは、どうしても思えなくてな」

 

 その推測については、私も反論できなかった。

 

「で、書斎を散らかした以外に、家捜しの成果は?」

「すごいぞ、なんと翔鶴の妹を蹴り倒した上、トイレに顔を突っ込んで溺れさせてやったんだ。とても気晴らしになった。それを除くと、特にないな。僕とお前で、ここへ来たタイミングにそう差はなかったから」

 

 つくづく気に入らない艦娘だが、許してやることにする。「付いてきて」と言い、私は書斎を出た。初月はそれを止めず、素直に私の言葉に従った。自分が知らないことを、私が知っているかもしれないと思ったのだろう。それは正しい判断だ。私と翔鶴姉は、長いとは言えなくても濃厚な時間を艦隊で過ごした。私たちは多くのことを分かち合い、彼女は私について多くのことを知り、私もまた彼女について知った。合意を得て知ったこともあれば、一方的に知ったこともあった。どんな食べ物を好むか。よく読む本のジャンルや、お気に入りの歌。どの海域で戦ってきたか。給与。大体の貯金額。財布をどのポケットに入れるか。そして、本当に隠しておきたいものを、何処に隠すか。

 

 翔鶴姉が、彼女の秘密の隠し場所を私に知られているということを覚えていたかどうか、もう知る術はない。覚えていれば、彼女は隠す場所を変えているかもしれず、そうなら私は空振りに終わる。でなければ、何がしかの発見ができるだろう。私はこの家に来て最初に訪れた場所、姉の寝室の様子を思い起こした。まずベッドに飛び込んだが、部屋にはその他にも色々と置いてあった。くつろぐ為のテーブルや椅子、お茶やアルコール類の為の棚、小さめの冷蔵庫、その上に電子レンジ、クローゼット、ハンガーラック、テレビとテレビ台。さっと挙げられるだけでもこれだけある。

 

 初月を連れて寝室に入り、明かりをつけて見回す。ベッドには乱れたシーツと掛け布団。先に挙げた家具類に加えて、本棚があった。ベッドサイドに置かれた、小さな棚だ。「それで」と初月が肩をすくめて訊いた。「寝室に僕を連れ込んで、どうするつもりなんだ?」「妙なことをする気はないわよ」そう言ってから、ふと考えを変える。「そうでもないかも。うん、少し妙なことをするわ、今から」冷蔵庫の上の電子レンジの扉を開き、耐熱陶器製の厚いターンテーブルを掴む。金属の台を離れたそれを、じっくりと調べた。表にも裏にも何もないが、だからどうすればいいか分かった。

 

 床に叩きつけてターンテーブルを割る。白い陶器の破片が飛び散るも、そんなことより気にするべきことがあった。破片の間からこぼれ落ちた黒くて四角いもの。メモリーカードだ。翔鶴姉は海軍時代、よく自室の電子レンジの中にものを隠していた。それこそ現金から、こういった電子的な記録媒体まで。隠し方は幾つかあったが、ターンテーブルを重ねて、その間に隠すことが多かったと思う。うっかりミスさえしなければ、簡単でいいアイデアだと言えるだろう。普段、電子レンジを使う時に、一々ターンテーブルの厚さなんか気にしないからだ。それにもし隠しているものを闇に葬らなければならなくなったとしても、特にそれが金属や電子回路を含むものならだが、すぐに破壊してしまえる。陶器はマイクロ波を通すからだ。

 

 私がメモリーカードを拾う一方で、初月はターンテーブルの破片を拾った。破壊された部分を眺めて、溜息を漏らす。「二枚を接着して、表面の継ぎ目は消してある。周到だな」彼女はそこで一旦言葉を切ったが、躊躇った後で結局は続けた。「やや周到すぎる。これを探しに誰かが来ることになると、予期していたみたいだ」「してたんじゃない?」驚きはない。翔鶴姉は、自分だけは何があっても死なない、なんてことを信じるほど子供ではなかった。自分が恨まれ、狙われ、殺されてしまうことだって承知していた。私には、そう確信できる。やっぱり彼女は、私が隠し場所の秘密を知っていると承知していたんだろう。自分が死ねば、妹が何を始めるかについても。愛する姉にこうも深く自身を理解されているというのは、奇妙な幸福だった。

 

「翔鶴がそういう形で資料を残していた時の為に、ここにはノートパソコンを持って来た。カードリーダーも付いている。書斎に置いたままだが、使ってもいいぞ」

「じゃ、あんたもこのカードの中身見ていいわよ。それとはい、これ持って」

 

 電子レンジのコンセントを引き抜き、初月に渡す。ついでに翔鶴姉の冷蔵庫に入っていた冷凍食品も数パック出して、レンジの上に乗せた。この家に着いた時には既に夜中だった。そこから乱闘と気絶、尋問を挟んだのだ。空腹だった。書斎に行く前にキッチンへ寄り道し、箸やフォーク、スプーン、皿、コップに加え、キッチンの冷蔵庫から口の開いてないお茶のペットボトルを拝借した。初月は書斎に着いて抱えていたレンジや冷凍食品を床に下ろすと、理解しづらいものを見る目を私に向けて言った。

 

「お前は随分と楽しそうだな」

「そうかな」

 

 ここに至るまでを思い返してみると、そうかもしれなかった。また、それで当然のようにも思えた。私の半身、私の翔鶴姉が死んだのは悲しいし、とても許せないことである。だがそれは、確固としたものをこちらに与えてくれた。復讐という目的だ。昏睡から回復して以来、私は迷子も同然だった。平和な戦後社会で、何をして、どんな風に生きていけばいいか分からなくなっていた。毎朝、寝床で目を覚ましては、自分の果たすべき使命が最早存在しないことを思い出し、ひどく不安に苛まれ、孤独な気持ちになったものだ。今日からは違う。私には成すべきことがある。私は艦娘であり、艦娘にはいつだって目的が必要なのだ。戦友を守ること。任務を果たすこと。祖国の為に戦うこと。額面は何だって構わない。その為であれば死んでもいい、と思うことができるなら。

 

 ノートパソコンの用意を任せて、私は電子レンジに冷凍パスタを乗せた皿を入れ、温め始めた。出来上がりを待つ間に、コップへ注いだお茶を飲みながら、初月に気になったことを問い掛けることにする。彼女は軍警察官で、翔鶴姉と組んでいたと言った。それなら、わざわざ家を荒らして捜査資料などを探したりしなくとも、軍警察のデータベースに(最新ではないかもしれないが)何がしかの資料を見つけることができただろう。もうそれを済ませてここに来ているのか、それともさっきの彼女はその場しのぎの嘘を言っていたのか、理由があるのか。最後の一つであることを願いながら聞くと、初月はパソコンを操作しながらぽつりぽつりと、これまで通りの平坦な口調で答えた。

 

「僕はこの案件から外されて、目下、休職中の身だ。だから、関連資料へのアクセス権限がない。あったとしたって……」

 

 電子レンジから、温めが終わった知らせのベルが鳴って、彼女は言葉を区切った。間の悪いベルだ。続きを促そうとすると、初月はそれを遮ってパソコンをこちらに渡し、私の隣に腰を下ろした。具体的にどんな操作をしていたのかは知らないが、用意ができたようだ。メモリーカードを専用の挿入口にかちりと音がするまで押し込み、ほかほかと湯気を立てるパスタをレンジから取り出しながら読み込みを待つ。資料を読む前に少しでも胃に入れておこうと、急いでフォークに麺を巻きつけて口に運ぶと、途中で赤茶色のソースが一滴跳ねて、パソコンのモニターに散った。横の初月はあからさまに嫌な顔をすると、手帳を取り出した時のようにポケットティッシュを出し、それでモニターを拭った。私は思いっきり麺をすすってやろうかと思ったが、翔鶴姉の本を汚してしまうかもしれない、と考え直した。

 

 読み込みが終わると、同時にウイルススキャンが始まる。翔鶴姉が遺したものが電子的に汚染されているとは思いたくないが、当然の処置だろう。幸い、パソコンに損害を与えるようなものは発見されなかった。表示されたカード内のデータを見て、初月が横で怪訝そうな声を漏らす。保存されていたファイルは、二つしかなかった。一つは巨大なサイズの、拡張子が削られたファイル。どうやって開くのかも分からない。もう一つはそれより小さめのサイズで──と、ここで初月にパソコンを奪われた。立場が逆転し、私が彼女の隣から首を突っ込む形になる。

 

 初月がそのファイルを開くと私の知らない名前のソフトが起動し、中からは履歴書のようなものが出てきた。一人のものではなく、それなりの人数分が保存されているようだった。写真付きで、艦娘の姿で写っているものもあれば、普通の人間の、オリジナリティに溢れた顔で写っているものもあった。

 

「これは名簿だな。翔鶴が事件に関係していると考えた連中を、片っ端からデータにまとめたんだろう。最初の一歩としては、悪くない収穫だ。褒めてやってもいい」

「そう? ありがと。お礼にその鼻をへし折ってやってもいいわ。それで、怪しいのはいる?」

「まあ待て、僕も読み始めたばかりなんだ……まず、失踪者と居場所の分かっている者で選り分けよう。翔鶴はこまめだったから、個々人のデータにタグをつけているに違いない。後はソート機能がやってくれる」

 

 彼女の推察は当たっていた。翔鶴姉の地道な努力が、過酷な運命を越えて私たちを煩雑な作業から救ってくれたのだ。が、パソコンが非力なのか古いのか、ソートが終わるまでには数分の時間が掛かりそうだった。私といけ好かない駆逐艦娘の間に、気まずい沈黙が流れる。私は黙って、電子レンジを彼女の方に押しやった。その上にはまだ、幾つかの冷凍食品と余分の皿、スプーンや箸が乗っている。彼女はむっつりとして口を閉じたまま、冷凍ドリアを取り出して温め始めた。ちん、と鳴る数秒前に、ソートは完了した。

 

 私はパスタにフォークを突っ込んでくるくる回しつつ、初月は熱々のドリアを冷ます為に一口分をスプーンでかき混ぜながら、設定された基準の下に仕分けられたデータをにらむ。居場所が分かっている者の数は、そうでない者と比べて多いとは言えなかった。所属していた鎮守府や泊地、基地もばらばらだ。艦種は駆逐艦や軽巡ばかりだが、これは艦娘全体におけるこの二艦種の比率が、そのまま反映されているだけだと見ていいだろう。事実、行方不明者たちの方には戦艦や正規空母なども見られた。このデータの中にいる者全員が関係者だとしたら、一体どんな大事(おおごと)に翔鶴姉は踏み込んでしまったのだろう。

 

 三百ほど数えてから、私は初月に改めて聞いた。「で、どう?」「皆目見当もつかない。別の視点から見直してみるべきか……ああそうだ、ド素人の視点からならどうだろうな?」頬がひくつくのを我慢してパソコンを再び手中に収め、私はぴんと来る奴らがいないか探した。初月に口を慎むことを教えるのは、後でもできるのだ。後でできることは、後でやる。これは軍が学ばせてくれる中でも、かなり人生の真理に近いところにある教えである。何人分かの資料を表示しては最小化するということを繰り返していると、何となく一人の艦娘に目が留まる。最小化をせずに情報を読んでいると、初月がそのデータで記述されている艦娘の名前と所属を読み上げた。

 

「軽巡洋艦、五十鈴(いすず)。訓練終了後、佐世保鎮守府に配属。配属時期は終戦直後……いわゆる戦後組だな。彼女がどうかしたのか?」

「現年齢が二十一歳って書いてあるわ。でも大抵は十五か十八で艦娘になるでしょ? 終戦から四年ちょっと経ってるんだから、十九か二十二のどちらかでないと不自然よ」

「それは『不自然』と表すよりも、『変わった奴もいるものだ』とするべきところだな。僕は高校在学中に彼氏に振られて、その勢いで艦娘になった奴を知ってるぞ」

 

 説得力は彼女の言の方にあった。私とて、こいつは怪しい、などと本気で言っている訳ではなかった。彼女がどのような経緯で艦娘になったのか、少し気になっただけだ。最小化を済ませ、別の艦娘・元艦娘たちのデータを呼び出して一読していく。初月はと見れば、私が手掛かりを見つけることをほとんど信じていないみたいで、たまにちらりとモニターを見てはいるが、そうでない時はもっぱらドリアをちびちびと食べていた。ふうふう吹いて冷ましているところを見るに、猫舌らしい。翔鶴姉の仇討ちに興味を失ったのではなく、何かと邪魔な私がこれ以上彼女の捜査を引っ掻き回さないよう、諦めるのを待っているのだと思う。

 

 鼻を明かしてやりたい一心で、私は更にデータへと目を通し続けた。その途中で、ふと気になることがあって、データをソートし直す。またしても数分の時間を取られたが、ソートが終わったデータ群を調べてみれば、待った甲斐はあったと分かった。これなら初月を見返してやれそうだ。「ほら、これを見て」と言うと、彼女は口にスプーンをくわえたまま、一人の艦娘の情報を読み始めた。駆逐艦娘「浦風(うらかぜ)」。現在の所属は呉鎮守府だが、一昨年まで単冠湾泊地にいたという。今は呉で第二艦隊三番艦の座にあるものの、戦中は第三艦隊旗艦である軽巡艦娘「天龍(てんりゅう)」の下で二番艦を務め、彼女の戦死後は転属までの間、旗艦として艦隊を引っ張り続けたそうだ。立派な経歴である。私のとは大違いだ。

 

 これがどうしたんだと言われる前に、次のデータを開く。その次のデータも。またその次のデータも。初月は真剣な表情に変わると、口からスプーンを引き抜いて言った。「単冠湾泊地の、それもある一人の提督の下にいた艦娘が、艦隊単位で集中的に失踪しているな。残っているのは浦風だけで、第三・第四艦隊は全滅か?」私は彼女の言葉に付け加えて言った。

 

「転属か、退役の後で、ね。しかもそれはみんな、同時期に行われてる。加えて、第一艦隊・第二艦隊には失踪者なし。その頃に単冠湾で何かあったか、聞いてない?」

「確か、爆破テロがあった。弾薬庫や燃料庫が破壊されて、死者も出たらしいが、犯人が捕まったという話は聞かないな。関係していると思うか?」

「さあね。でも、この浦風って艦娘が何か知ってる可能性は高いと思うわ。だって、こいつだけ消えてないのよ? 流石にこれは怪しさ満点すぎるでしょ」

 

 そう言って、私がこれまでモニターに向けていた顔を初月に向け直すと、彼女の笑みが目に入った。私は仰け反りそうになるのをやっと押さえて、表情だけで不快感を表した。初月の笑いはそれだけ気味が悪かったのだ。まるで亀裂のような、唇と唇、歯と歯の間に相手を飲み込んでしまいそうな笑みだ。こんな笑い方をする艦娘は、性格が悪いと相場が決まっている。私が何を見ているのか分かったのだろう、彼女は嘘のように無表情へ戻ると、私の意見への賛意を簡素な言葉で表した。

 

 浦風の話を聞くことは決まったが、まだ他にも何か知っていそうな者がいるかもしれない。私は浦風のデータに「重要参考人」という名前の新しいタグをつけ、再び情報の海へと埋没しようとした。けれどもその時、遠くから聞いたことのあるサイレンが聞こえてきた。二、三秒ほど、私はそれを聞き流していた。でも突然、その音色は私の心臓を飛び跳ねさせた。こちらに近づきつつあることや、私の無許可離隊者という立場を考えれば、彼らが何を目的にしているかなど想像するまでもない。逃走経路を頭の中で思い浮かべる──連中がこの場所に辿り着くのは予想より早かったが、今ならまだ間に合う。

 

 諸データを一気に閉じ、メモリーカードをリーダー内から排出する。服のポケットにカードを突っ込み、立ち上がって逃げ出そうとしたところで、同じく立ち上がった初月に腕を取られた。「何処へ行くにせよ、捜査資料は置いていけ」協力し合う気もないらしい。鼻で笑い、彼女を振り払う。難しいことじゃない。駆逐艦と正規空母、その純粋な力の差は明らかなものだ。だから彼女の狙いも予測できた。植物の()()が木に巻きつくように私の体に取りついて、初月はこちらの首を絞めようとしてくる。不意打ちなら落とされもしようが、読めていたなら防御は容易い。まして、私に彼女を打倒するつもりがないなら余計に簡単だ。

 

 私の首を絞める筈だった腕を掴み、書斎を出て二階へと駆け上がる。まるで子供をおんぶしているみたいな格好だ。執拗に膝を背中に打ち込んでくる、物騒な子供だが、不安定な体勢からでは威力が乗らず、決定打とはならない。それは彼女とて分かっているだろう。初月は、私が苛立ちに支配されて攻撃的な行動を取るように仕向けたいのだ。そこにこそ脱出の機会があるからだ。そんな努力をしなくても、離してやるというのに。階段を上がった勢いのまま、三度目になる翔鶴姉の寝室への進入を果たす。足は止めない。止める必要がない。寝室には見逃すことのできない大きな窓があり、そこが私の目的地だったからである。

 

 窓を割って宙へ飛び出した時、背後の初月が驚きの声を漏らすのが聞こえた。私はそれに満足しながら、手の力を抜き、目を開いて衝撃に備えた。直後、これまでに感じたことのないショックが全身を襲う。突き飛ばされるような力を受けて、私は地面を転がった。湿った土の感触から、自分が裏庭に落ちたのだと悟ったが、それを幸運として感謝できるほどの余裕はなかった。壁か何かにぶつかって止まる。肺から息が押し出され、痛みに筋肉が硬直し、窒息しそうになる。浅い息を繰り返し、体の痛みを確かめる。二階から飛び降りるのは、三階から飛び降りることに比べれば安全だが、それでも危険が全く存在しない訳ではない。腕や足を折っていたら、極めて厄介なことになる。ありがたいことに、左の薬指が逆側に曲がっていることを無視すれば、私は無傷らしかった。

 

 なら、寝転がってはいられない。あちこちぼろぼろな体を叱咤して立つ。庭から家の裏の細い車道に出る時、ふと振り返ると地面に倒れている初月の姿が見えた。体調が万全なら走っていって蹴とばしてやるところだが、歩くだけで全身に痛みが走るほどだし、今日は勘弁してやるとしよう。体重が掛かるとじんわり痛む足を引きずって、道を歩く。サイレンの接近が翔鶴姉の家の前で止まり、内容は聞き取れないが男女の声も聞こえた。恐らく、警官たちだ。あるいは軍警かもしれない。彼らが何を見つけるにせよ、きっと刺激的な夜になるだろう。口の端を持ち上げて笑っていると、エンジン音が聞こえてきた。足を止めて聴覚に意識を集中するが、大きさからして遠くのものだと分かった。心配することはない、と気を抜く。

 

 またしても私は甘かった。油断していた。背後から白い光に照らされてそちらを見ると、ハイブリッド車特有の静かなエンジン音を響かせながら、車が一台突っ込んできていた。咄嗟に左に跳び退るも、運転手側のドアが開いたのを見て、私は諦めた。弾き飛ばされて、道を転がる。車は少し離れたところで止まると、もう一度運転席のドアを開いた。仰向けに倒れた私は、何とか首を持ち上げて轢き逃げ犯の顔を見ようとしたが、これは答え合わせがしたかったからに過ぎなかった。初月以外の誰がこんなことをやる? 横を見ると、大型車の通行や塀をこすられるのを防ぐ為か、コンクリートブロックが積んである。私はそれに手を伸ばし、一つ抱え込んだ。

 

 案の定、初月が車から降りてきた。よろよろとした足取りで、私の方に近寄ってくる。カードを我が物にしようという魂胆なのだ。私から復讐を奪うつもりなら、それ相応の覚悟をして貰わなくてはならない。私まで数歩のところに立ち止まった初月は言った。「お前──」いや、訂正しよう。言おうとした、だ。私が投げたコンクリートブロックは、彼女の頭に当たった。全力とは言いがたい投擲(とうてき)だったが、それを避けられなかったところを見るに、初月にもそれなりのダメージが蓄積していたようだ。彼女は後ろに倒れ込んだ。呼吸音が聞こえたので、死んではいないみたいだった。数分か、数十秒ほどか、私たちは横たわっていた。何をするにも傷つきすぎていた。やがて、初月が長い溜息の後に言った。

 

「分かった、瑞鶴」

 

 恥じることなく認めよう。この時の私は、既に半分以上意識を失い掛けていた。けれども彼女の小さな声が届くと、それが私を不思議とすんなり、現実世界に引き戻したのだ。ある程度クリアになった意識の中で、私は初月の苦々しげな提案を聞いた。

 

「手を組もう。僕らが無意味に自滅する前に」

 

 そして今度は、私が賛意を表す番だった。

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