でも、また遅れそうな予感……。どうかご了承下さい……。(泣)
「こんな短期間で6つもジュエルシードを集めるだなんて流石、私の息子ね。昨日のジュエルシードの事は仕方ないわ。光忠、気にしないでね?フェイト、貴女も見習いなさい」
「はい、母さん」
「義母上、僕が集めたんじゃないですよ。コレらはほとんどフェイトちゃんが集めたんです。僕は何もしていない」
「光忠、貴方は謙虚過ぎよ。あの厄介な坊やの相手をしていたじゃない。少しは誇っても良いのよ?それに比べてフェイト、貴女はあんな素人染みた魔導師に手古摺るなんて、母さんを失望させないでちょうだい」
「は、はい…」
フェイト達が居るのはなのは達が居た世界とは違う別次元に存在する空間。名を【時の庭園】という場所であった。
そしてその場所の主にして光忠【燭台切光忠】の育ての母であり、フェイトの母親であるプレシア・テスタロッサの城である。
今日は定期連絡の日。
フェイトは母が喜んでくれるかもしれないと光忠にお願いしてミニケーキを作ってもらった。
そして、ケーキを持参し、【時の庭園】に着く。
城をしばらく歩くと1つの部屋にたどり着き、アルフを廊下に残して部屋に入る。
するとそこにプレシアが居た。
すぐにケーキを渡そうとプレシアに近寄り、ケーキの入った箱を差し出した。
「光忠が作ってくれました」と言うと、叩き落そうとして振り上げた手を下げ、静かに箱を受け取った。それにホッとした表情をするフェイト。
そして、ジュエルシードを渡し、冒頭の話に戻るのであった。
「フェイト、貴女はこの部屋から出ていなさい。光忠と話があります」
「……はい」
「……ケーキ、ありがとう」
「! はい!」
部屋を出て行こうとしたフェイトにプレシアはケーキのお礼うを言う。
その言葉を聞いたフェイトは輝かんばかりの笑顔でプレシアに返事すると部屋を出て行った。
少しの間、2人は話さない。そしてやっと言葉を発したのは光忠だった。
「……義母上、フェイトちゃんに嫌われようとワザと冷たくするのは止めて、認めたらどうですか?”アリシア”ちゃんの事は諦めきれないのも分かりますが、フェイトちゃんだって義母上の娘です。アリシアちゃんとフェイトちゃん、2人は別の人間なんだから別々に愛せないんですか?」
「……黙りなさい、光忠。あの子は私を慰める為のただのお人形。それ以上でもそれ以下でもないわ」
「じゃぁ、さっきのお礼の言葉は何ですか?」
「………」
「あれはどう聞いても”僕”に言った訳じゃないでしょう?引き離すなら言うべきではなかったですね」
「……ただの気まぐれよ、私の家族はアリシアと貴方の2人だけ。それ以外は居ないわ。それより、貴方が相手をしていた彼、何者なの?……貴方で実験なんて出来ないから彼を捕らえて試すのも、手かもしれないわね」
”実験”。その言葉を聞いた瞬間、光忠は驚きで目を見開き、思わず怒鳴ってしまう。
「!? 義母上!」
光忠は自分の代わりに廣光【大倶利伽羅】を捕まえて実験なんてさせないと怒る。
それに分かっていたっという風にプレシアは苦笑して光忠の頭を撫でた。
「ごめんなさいね、貴方と同じで特殊な魔力だから、研究者として興味を持ってしまったの。それに冗談よ、貴方と旧知の仲なのでしょ?手は出さないわ」
それを聞いて嘘ではない様なので安心した。
だが、
「さぁ、そろそろ行って。どうか母さん…アリシアの為にジュエルシードを集めてきて頂戴」
「……はい」
彼女はフェイトの事が気になっているのに、自らの気持ちに蓋をして頑なに認めようとはしない。
フェイトもまたプレシアが作りだし、生み出した存在だというのに。
なんとかしたいが、プレシアは病に侵されている。それも不治の病に……死期が近いのだ。
それが彼女の焦りになり、周りが見えていないのである。
アリシアが死に、アリシアの”クローン”として生まれ、代わりとしてのフェイトだったが色々な所でアリシアとの違いを見せられ、娘と認めたくなくなった。だが、光忠が居るおかげなのか、気にはなるし、やはりこの子も…と心の奥底で思っているのに素直になれない。影ではとても思い悩んでいた。
そして、少しの時が流れ、ついに決断してしまう。
アリシアを蘇らせようと。
光忠はプレシアが病に侵されている事と、ジュエルシードを使ってアリシアを蘇らせようとしているのは知っているが、そこまでである。
どういう使い方をするのかを全く聞かせてはくれなかったからだ。
そこが心配だが、今はとにかく言われるがままに集めるしかない。
とても口惜しいが”家族の為”と思い動こうと、そう思うのだった。
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ジュエルシードを廣光達が切った翌日、なのはは前に進むと決めた。
ちゃんとフェイトとお話したい!そう覚悟し、まずはアリサとすずかに謝った。
魔法の事以外の話せる範囲まで話した。
悩んでいた事、心配かけてしまった事。
とにかく、色々だ。
それを聞いてアリサとすずかは顔を見合わせ苦笑し、アリサは「こちらこそごめん」っと謝り返してきた。こうして無事に仲直り出来て一安心である。
そして学校の授業も終わり、家に帰る4人。
家に着いたなのはは真っ先に自分の部屋で回復したレイジングハートをユーノから受け取った。そんなレイジングハートに問いかけるなのは。
「また一緒にがんばってくれる?」
[All right, my master!(オール ライト、マイ マスター!)]
「うん、よろしくね!」
「そういえば、なのは。廣光は?今日は話があるんだってね?
昨日の切っちゃったジュエルシードの事かな?それとも廣光が内緒で持っていたジュエルシードの事かな?ふふふ」
っと黒い表情で笑うユーノ。中々に怖い。
廣光は一旦、祖父母の居る家に帰ってから行くっとなのはに伝えてある。
確かに無理だろうと思ったジュエルシードの切断。
なのは達に内緒で持っていたジュエルシード。
気にならない訳ではないが、話す内容が気になるなのはであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「「え!勝負をする為の対価?!」」
「何もないんじゃ、本気にならんだろう」
その言葉を聞いて慌てたのはユーノだった。
「いやいや!他の物を対価にしてよ!なんでよりによってジュエルシードなのさ!」
「アイツとの勝負はジュエルシードを賭けるに相応しいからな」
「賭けって言った!?」
「無論、アイツもジュエルシードを対価としていた。何も問題ないだろう」
ふとなのはは光忠が言っていた事を思い出した。
「でも、えっと光忠君だっけ?あの子、ひろ君の圧勝とか言ってなかった?」
「……気のせいだ」
「え」
「気のせいだ」
「でも」
「気のせいだ」
「ア、ハイ」
あれ?なんかデジャヴなの?とか思ったなのはだった。(魔法少女リリカルなのはFechter 4振り目を参照)
「とにかく!もう、隠すのは止めてくれよ?改めて言うけど、ジュエルシードは危険な物なんだから」
「……わかった」
その間の空いた返事を聞いたなのはとユーノは「「本当にわかってるのかなぁ?」」とか思っていたりする。
「じゃぁ、どうやってジュエルシードを切れたかだけど」
「………その事なんだが」
「「うんうん」」
「自分でも分からない」
「「はい?」」
意外な言葉が出て来た。
しかし、廣光は本当に分かっていない様子だ。
それはそうだ。
光忠もではあるが”無意識”だったのだから廣光にも分からない。
「ただ」
「「ただ?」」
「なのはとテスタロッサのおかげだろうという事は確かだと思う」
なのはは「え?!」っと心底驚いている様である。
ここで自分の名前とフェイトが出て来た事が信じられないという感じだ。
あの時なのはとフェイトはただ見つめる事しか出来なかった。
なのに自分とフェイトのおかげとは??
なのはの頭の上にハテナマークが乱列している。
「廣光、とりあえずなんでココで、なのはとあの魔導師の子のおかげなのか話してよ」
ユーノの質問に無言になる。
ここで前世の話をするべきか、なのはとは主従関係にあるという話をするべきなのか、果たして信じてくれるかが謎だった。悩んだ結果は。
「俺はこれから稽古だ。話はここまで」
自分なりの誤魔化し方?で話を中断させて、立ち上がり、なのはの部屋を出て道場に向かうのだった。
「なのは、彼は本当に何者なんだい?最初は魔導師じゃなくてただ協力してくれる人って感じだったけど、昨日の彼のストレージデバイス、【ドラゴンソウル】だっけ?いきなり出して来たよね?彼の考えてる事や、自分がやている事を理解しているかい?」
「デバイスの事は私も知らなかったよ。でもひろ君が考え無しに行動してる訳じゃないのも分かってるの。ユーノ君、少しでもいいからひろ君を信じてあげてほしいの」
「なのは、彼の事、信じてるんだね」
「うん!”信用”もしてるけど、”信頼”もしてるの!」
ニッコリとユーノに微笑みかける。
その表情はとても輝いていたと後に語るユーノだった。
プレシアママンの迷いでした。
果たして彼女はフェイトを本当はどうしたいのか。
こんなのプレシアじゃない!とお思いの方々、すみません。
どうか見守ってくださると嬉しいです。