作戦準備のため、格納されていたエヴァが列車型の貨物台に乗せられて運び出される。転車台が2号機を乗せて上昇したところで3体が揃った。
「えぇーっ!手で受け止めるぅっ?」
ミサトの作戦を聞いたアスカが大声を上げる。
「そうよ。飛来する使徒を、エヴァのA.T.フィールド全開で直接受け止めるの。目標は位置情報を撹乱しているから、保障観測による正確な弾道計算は期待できないわ。状況に応じて多角的に対処するため、本作戦はエヴァ3機の同時展開とします」
「ムダよっ!私一人で殲滅できるもん!」
ミサトの説明を蹴散らすようにしてアスカが身を乗り出す。
「ムリよ。エヴァ単機では広大な落下予測範囲全域をカバーできないわ」
ミサトはパイロットたちにモニターに映し出されたシミュレーションデータを見せる。
「この配置の根拠は?」
レイがそれを見て質問する。
「女の勘よ」とミサトはサラっと答える。
「何ったるアバウト」
アスカは腕を組んで呆れ顔になる。
「・・・・・(モグモグ)」
シンジはナツメヤシの実を食べながらミサトを見る。ミサトもシンジの視線に気づいたのか彼の方を見る。
「シンジ君。何か質問でも?」
シンジの挙動にレイとアスカが注目する。ナツメヤシの実を食べ終えた後、シンジは話す。
「勝ち筋はあるのミサト?」
シンジの質問にミサトはサラッと答える。
「神のみぞ知るってところね」
その博打の予想のような答えを聞いたアスカは、自分を主張するかのようにして声を強くして言う。
「フンッ!だから他のエヴァは邪魔なの!人類を守るくらい、私一人で充分よっ」
「このオペに必要なのはシングルコンバットの成績じゃないの」
ミサトは、どうにかチームワークを作り出す方向に持っていこうとするが、アスカが聞こうとしない。
「私の才能を認めないわけね」
「違うわ。あなたたち三人の力が必要なのよ。奇跡を起こす為に」
「奇跡って、そんなのー」
アスカがまだ何か言おうとする前に
「やろうよ、式波」
シンジが強く発言すると場が静かになり空気が変わる。
「七光り・・・・アンタ」
「やらなきゃみんながいるこの街が吹き飛ぶんだろう?トウジもケンスケも委員長もいた第三東京市が、僕達の居場所が無くなるなんて・・・・絶対に後悔する。僕は戦う」
(碇君・・・・)
「今回の作戦は僕達3人の力が必要なんでしょう?奇跡を起こすんでしょ?なら使わなきゃ、使わないと0だ。何もない。結果は無くなるだけだ。だから僕の力使わせてあげる。ミサト」
「シンジ君・・・・」
「僕はミサトを信じる。この場所、守りたいから。僕は戦う。全力を出すよ。ミサトの方も頼んだよ」
そう言って、シンジはミサトに近づき右手の拳を見せる。その動作を見てミサトは自然と自分の右手を握りシンジの拳へと付ける。
「任せて。軌道修正とバックアップはこちらも全力でやってやるわ。私達で奇跡を起こしましょう!」
作戦決行前。エヴァ3体は、使徒を捕らえるために、それぞれの待機場所に構えていた。
シンジはコックピットの上で精神統一をするようにして目をつむっていた。
(さて・・・・今日は落ち着くな。バルバトス。準備は良いか?・・・・わかってるただ聞きたかっただけ)
その時、発令所内に警報が鳴り響く。
『現在、目標の軌道を補足中。重力要素を入力』
オペレーターの通信が騒がしくなる。
「おいでなすったわね。エヴァ全機、スタート位置」
待ち構えていたミサトは、腕を組んで作戦の合図を送る。
ミサトの合図で、エヴァ3機はリレーの選手のようにスタートの姿勢を作る。
「2次的データが当てにならない以上、以降は現場各自の判断を優先します。エヴァとあなた達に全て賭けるわ」
ミサトは、エヴァパイロットたちに最後の思いを託す。
「目標接近!距離およそ2万」
使徒が近づいてきたことを、シゲルが伝える。
「では、作戦開始……発進」
ミサトはいつにも増して緊張感のある声で慎重に号令を掛ける。それと共に、エヴァの外部電源装置が切られて、活動限界までのカウントダウンが開始される。
「いよいよ・・・・か」
徳四郎もまたミサトのいる発令所でその様子を見ていた。
「さぁ、奇跡を見せてくれぇシンジ君・・・・Plus Ultra!」
地を蹴って走り始めるエヴァたち。巨大な足が地面を踏みしめるたびに地響きが起こる。初号機は、市街地を抜け、山を高く飛び越えると、水田の見える景色へと急降下していく。
零号機と2号機は、ハードルを飛び越えるようにして高圧線を跨ぎながら前へ進んでいく。
上空から飛来した使徒は、身にまとっていた黒い空間を剥がして、真の姿を表に出す。
すると、形が変化したことによって影響が発生したことをシゲルが報告する。
「目標のA.T.フィールド変質!軌道が変わります!」
「くっ!」
ミサトが奥歯を噛み締める。
「落下予測地点、修正02」
シゲルは報告を続ける。
「目標、さらに増殖」
マコトが使徒の変化を捕える。
「何よ!計算より早いじゃない!ダメ!私は間に合わない!」
アスカが上空から落下してくる使徒を見上げる。
「僕がやるっ!ミサトっ!!」
シンジは前を見据えて走り続ける。
「緊急コース形成!605から675」
ミサトはマコトの席に食らい付いて指示を出す。
「はい!」
マコトが指示を実行すると、初号機が走っていた市街地に、巨大な装甲板の足場が何枚も立ち上がり始める。装甲板によって形成されたバンクを利用して、初号機はスピードを緩めずにカーブを駆け抜ける。
「次っ!1072から1078スタンバイ!」
次の指示で、タワー型のボックスがせり上がり、階段状に足場を形成する。初号機はそれを利用して一気に駆け上がると、思いきりジャンプをして距離を伸ばす。初号機は加速を続ける。遂に、超高速で街を走り抜ける初号機の後ろにソニックブームが巻き起こり、駐車していた車を吹き飛ばしてしまう。
使徒は急降下を続けて地表に近づくと、球体だった体を広げて蝶のような形に変化する。10枚の羽を広げた使徒は真ん中に目のような部位を残して、羽の輪郭には無数の触手のようなものを立ち上げた。
「目標変形、距離1万2千」
シゲルは、素早く使徒の変化を報告する。
シンジは使徒の真下に辿りつき、足を前に出して急ブレーキを掛けると、迫り来る使徒を見上げる。
「行くぞぉ!!バルバトスッ!!」
初号機は天に向かって両手を広げると、全面に巨大なA.T.フィールドを広げた。
遂に地表近くへ接近した使徒は、初号機のA.T.フィールド目掛けて突っ込んでくる。
そして、A.T.フィールドの表面に到達した使徒は、コアがあると思われる中心から人の上半身のような部位を覗かせる。その人型の部位は、両手を伸ばすと、初号機の両手にがっちりと手を合わせる。
次の瞬間、使徒の手が槍状に変化して初号機の手を突き破った。
「っ!!ぐぅぅぅぅ!!」
シンジは激痛を堪えて態勢を踏ん張る。義手の方の手は痛みは感じないが、右手の方の手は確かに痛みを感じた。
使徒は初号機の何倍もある体を、覆い被せるようにして迫る。
「七光りーっ!」
遅れて落下地点に到着したアスカが声を上げる。
「2号機、コアを」
レイがアスカの方を見る。
「分かってるわよっ!私に命令しないで!」
2号機は両肩に装備されたラックからプログレッシブ・ナイフを取り出すと、二刀流で使徒に飛び掛る。
「とぉりゃぁぁぁーーーっ!」
弐号機は一刀目で使徒のA.T.フィールドを切り裂くと、二刀目でコアを突いた。
「外したっ!?」
コアは、目のような部分から飛び出した人型の部位の周りを、衛星のようにして回転する構造になっていた。アスカは、その円の上をぐるぐると回転して逃げ回るコアを目で追いかける。
「ちょこまかと往生際が悪いわね!」
活動限界のカウントが残り少ない。
「あと30秒……」
焦りを感じるアスカ。使徒の羽に生えた触手部分は、2本の足と2本の腕が生えた人形のような形をしていた。その人形の腹の辺りに目のようなマークが浮かび上がる。数え切れない程の触手は、海底で揺れる海草のようにゆらゆらと揺れる。初号機が使徒に押しつぶされそうになる。もはや一刻の猶予も許されない状況だった。更に使徒から別の手が生えて来て、初号機に槍状の手を肩筋へと突き立てる。
だが
「いってぇぇなぁ!!」
負けじと初号機のATフィールドが強度を増し更に巨大になる。掴んでいた使徒の腕を握りつぶし、更に押し上げた。すると使徒のコアの動きが鈍るのをレイとアスカは見逃さなかった。
「今だぁ!!アスカ!!」
シンジの声に零号機が使徒のコアを掴み動きを封じる。そこへ更に2号機がプログ・ナイフを振りかざして、その刃を正面からコアに突き刺す。両手のナイフをハの時型に突き刺すと、体に反動をつけて更に追い討ちを掛ける。
「どぉりゃぁぁぁぁぁ!!」
2号機は、膝に仕込まれたナイフを突き出してコアに膝蹴りを追加した。次の瞬間、使徒のコアはガラスが砕けるような音を響かせて真っ二つに割れると、大量の血を撒き散らして跡形を無くす。
コアを潰された使徒は、力なくぐったりと羽を下ろす。羽に生えた触手は硬直し、本体は黒く変色する。そして、エヴァの何倍もある巨体から血を噴出して洪水を発生させた。
血の濁流は山を下って街を襲い、第3新東京市のビルや民家を飲み込んでいく。その後に残ったのは、真っ赤に染まった街と、使徒の立ち上げた光の十字架だけだった。
「ありがとう……みんな」
発令所で使徒の殲滅を確認したミサトは、なんとか作戦が成功したことで、安堵の表情を浮かべる。
「電波システム回復。碇司令から通信が入っています」
ミサトが気を抜いている暇もなく、シゲルが報告する。
「お繋ぎして」
音声のみの通信ではあったが、ミサトは姿勢を正してモニターの前に立つ。
「申し訳ありません。私の独断でエヴァ3体を破損。パイロットにも負傷を負わせてしまいました。責任は全て私にあります」
ミサトの説明にまず答えたのは冬月だった。
「構わん。目標殲滅に対しこの程度の被害はむしろ幸運と言える。おや?君は確か・・・・」
モニターからこちらを見ている冬月が徳四郎に気づく。その反応を見て徳四郎が口を開く。
「お久しぶりです。私、戦略自衛隊、中将の御神徳四郎です」
「まさか、君が此処に残っていたとはいったい何故?」
「なーに。子供が必死で戦っているのに、おめおめ逃げるってのも嫌なのでネルフに『手伝い』と『協力』をしただけです。それより今回の作戦、初号機パイロットが良い働きをしてましたよ。録画もバッチリですので見ては如何かと」
徳四郎の話した後にゲンドウが口を開く。
「あぁ、よくやってくれた葛城一佐。初号機のパイロットに繋いでくれ」
「……え?」
ミサトは意外な展開に返事を忘れる。そして、シンジの乗る初号機の元へ通信が回される。
『話は聞いた。よくやったなシンジ』
エントリープラグの中でゲンドウの声を聞いたシンジは、今までなかった発言に対しても戸惑いもなく返事した。
「あぁ、どうも。(肩いてぇー)」
『では葛城一佐、後の処理は任せる。徳四郎中将、ご協力感謝する』
『いえいえ、ありがとうございます』
『はい。エヴァ3機の回収急いで』
ミサトの指示をマヤが現場へ回す。
『搬入は、初号機を優先、救急ケージへ』
使徒殲滅の現場で瓦礫に埋もれて待機するアスカは、コックピットの中で膝を抱えてうずくまり、今回の戦いのことを考えていた。
「私一人じゃ……なにもできなかった……」
これで誰もが作戦を終え、無事に勝利したと思えただろう。皆は安堵してEVAの回収と街の緊急態勢を解き、終わる作業をこなせば良いだけだと思っただろう。しかし、警報が鳴る!
「まってくださいっ!!上空に巨大なATフィールドの反応ありっ!!これは新たな使徒の反応っ!?」
「なんですってっ!?」
突然、マコトの報告にミサトは、職員たちは驚愕する。
「そんな、在り得ないっ!!使徒は一体しか現れないはずよっ!?」
リツコの発言に徳四郎は冷静に達観し口を開く。
「どうやら・・・・奴は『様子見』をしに来たようだ」
徳四郎の台詞にミサトとリツコは反応し彼を見る。
「何か知ってるの!?」
「『奴』は本来、存在しないはずの使徒だった。だが、『奴』は現れた」
「存在しないはずの使徒?何を言ってるの?」
「あれは今までの使徒とは違う。今、攻撃を受ければひとたまりもない。葛城一佐。現在動ける機体はどれだけかな?」
「そんなの‥‥ないわ」
EVAは外部電源がないと活動時間は5分ジャスト。故に殆どのEVAは動けない状態。電池切れと言っても良い。その意味は新たに現れた使徒に対する対抗手段がないという事だ。通常兵器では使徒を倒しきれない。決戦都市の砲台や防御壁では確実に突破される。まさに絶対的危機である。手を出し尽くし、もはや打つ手無しと言う状況になってしまった。こんな事態を何処かで思う所があるのかリツコが何か言う前に通信が飛んで来た。
『ミサト‥‥バルバトスが動く』
「っ!?シンジ君!」
「初号機、再起動を確認。ハーモニクス、シンクロ率安定しています!」
マヤの報告にリツコは信じられないと言う顔をしてコンソールのモニターを見る。
「ありえないわ、活動時間を超えてるのにケーブルも無しに動くなんて!」
「だが、現実にこうして動いている。それに私はある言葉を教訓にしている。ありえない事なんて、ありえない。もはや何が起きてもあんまり、驚かない様になった。それに赤城博士この現象、心当たりあるだろう?」
徳四郎の台詞にリツコは思い当たる事を閃く。
「まさか‥‥蟲がEVAに干渉を?」
「アレはそんな役割を持った代物でもある。だが、もっとだ!碇シンジ。アラヤシキ・モドキ。初号機。この要因が揃っていると何かがまだある!私はそれを見たい!!シンジ君、動けるかね?」
「徳四郎中将?」
突然の徳四郎の豹変にミサトは唖然とする。
『大丈夫。行ける。ミサト僕はどうすれば良い?』
「使徒の注意を引きつけて、そこには活動限界になった零号機と弐号機があるわ。二人を巻き込ませない為にその場から距離を離すのよ。お願いシンジ君!」
『了解』
シンジの返答の後、マコトが次の報告を飛ばす。
「映像、出します!」
モニターが切り替わり、立ち上がっている初号機と上空に発生しているATフィールド写し出される。
「ATフィールドの空域から空間歪曲が発生。何か出ます!!」
マコトの報告でついにその使徒が姿を現す。それは天から降りて来るかの様に大きな翼を広げ、両手に紅い剣を持ち、白の外装と黒の体積、胸部の中心あるコアをもったヒト型の巨人が顕現した。その姿はたとえで言えば羽を生やしたEVAに似た姿と形をしていた。
「ちょっとアレ、EVAなのか!?」
「いいえ、パターン青。間違いありません、使徒です!」
シゲルの発言の次にマコトが報告を告げる。
「あの使徒は‥‥まさか」
巨人型の使徒の姿に昔の記憶が蘇る。4体の光の巨人の光景を。すると徳四郎がミサトの肩に手を置きながらモニターを見る。
「いや、あれは違う。あの使徒は異端使だ」
「異端使?何ですかそれは?」
「端的に言えば使徒の亜種と言っても良い。旧時代の記述でそれらしい存在を見つけて我々はそう呼称する。あれは間違いない『奴』だ。セガンド・インパクトを発端に奴は目覚めていた。曾て旧時代の戦いの眠りから・・・・恐ろしい!」
徳四郎はミサトの肩から手を離し、頭を抱える。その目は赤く血走っているほど何処か、『興奮』していた。
「あの使徒は見ているだけで解る。あの使徒は強い。シンジ君でも、何処までいけるか‥‥」
顔を上げ、何時もの様子に戻った徳四郎はモニターに映った使徒を見る。
「シンジ君‥‥」
ミサトは立っている初号機を見て、シンジの無事を祈り、レイとアスカをどうするか思考を巡らす。
シンジは初号機を操作して、使徒に臨戦態勢を取る。ウェポンラックからナイフを握り、引き抜く。そしてATフィールドの武器を形成。メイス状に展開して、構える。
(不思議な感覚だ。この感じ‥‥そうだアラヤシキの時と似てる。お前もまだ止まりたくないのか?バルバトス。じゃあ、行こうか)
使徒はそのまま上空から、ゆっくりと下降して瓦礫の地上に足を着く。翼が折り畳まれていく。使徒の兜の様な頭部がこちらを見る。
(あの顔‥‥チョコレートの人が乗っていた‥‥名前なんだっけ?とりあえず、ここから離れなきゃ。レイと弐波が巻き込まれる)
そう考えたシンジは直ぐに行動する。初号機が一気に身を屈め、ATスラスターを吹かし後方へ大きく跳躍する。
それを見た後を追う様に自らも大きく飛び上がり、初号機を追跡する。初号機は零号機と弐号機がいる地点から大きく離れ、別の地表に着地する。後ろを振り返れば、使徒も着地して、こちらを見る。互いに沈黙して、使徒は二振りの紅い剣に、初号機はATフィールドのメイスを構えて、互いに間合いを計る。
(この使徒、光線とか撃ってこない?そんな能力コイツにはないのか?)
シンジは使徒を見て考えていた。目の前にいる使徒が何か攻撃性の能力を持っている可能性を、光線か、音速の鞭か、加粒子砲か、変化形の武器か、厄介なのを想像する。使徒を見ながら考える。
(ケーブルはない。その分動きやすい。再起動した理由はわからない。けど、今はどうでもいい。バルバトスが動ければ、それで良い。コイツが使徒なら、倒すだけだ)
シンジが思考するのを止めると使徒が先に動く。二刀流の剣を内側に振るい切り付ける。対し初号機はメイスで向かい撃ち互いの武器がぶつかり合う。そして互いに距離を取り、また鍔競り合いと打ち合いを繰り広げる。初号機のメイスが、使徒の紅い剣が、激しい攻防を繰り広げる。初号機がATフィールドを展開して殴りつける動作をするとATフィールドの壁が使徒に向かって飛んで行く。しかし、使徒はその壁を一振りでぶった切り、砕く。
「なんて戦いだ、初号機にあんな技があるなんて・・・・」
「信じられません。シンジ君はATフィールド武器にも、攻撃にも応用出来るのを見たのは初めてじゃありませんがここまでだなんて・・・・あれだけ激しい戦いを繰り広げているのにシンジ君のハーモニクスが乱れた傾向はありません。彼はまだ、戦う気なんだ・・・・すごい」
オペレーターのシゲルとマヤがそれぞれ思う事を口にする。
「これが初号機の力・・・・あそこまでの力を以てしてもあの使徒を仕留めきれないなんて、まだいるの?あんな化け物級の強さを持った使徒が」
ミサトの声に徳四郎はモニターからミサトの方を振り向き話す。
「我々が調べた限りでは異端使は旧時代の戦いで殆どが死に絶えた筈だった。アダムと
「奴を含めて4体!?それにあなた何故、『ガフの部屋』の事を知っているの!?」
「リツコ?」
リツコの様子にミサトは疑問を浮かべる。
「まぁ、そんな事よりシンジ君の戦いの方に注目するべきだろう。私が『ガフの部屋』の事を知っている事を問い詰めるよりも、ね?」
そう言って、初号機と使徒の激戦が繰り広げられているモニターへと視線を移す。
ガキンッ!!
初号機のメイスの一撃に使徒は剣で上手く防御して後方へ飛んで距離を取る。
(・・・・なんだ?距離をとったぞ)
シンジは警戒して、構えを解かず様子を見る。このまま追撃を考えたが使徒の様子が得体のしれない空気を出しているのをシンジは感じた。使徒は構えを解き、そのまま立ち姿を見せてるのが不思議だった。もう、戦う気がない様な立ち姿に。
「なに、急に様子が変わった?」
「ふむ、あの様子・・・・用は済んだみたいな感じだ。こっからどう出る?」
ミサトと徳四郎の台詞の後にモニターに映る使徒が翼を広げる動きを見せる。すると使徒は浮き上がり、初号機を見つめた後、そのまま空へと飛んで行った。その様子を初号機は、碇シンジはただ見ている事しかできなかった。
「飛んでった・・・・奴は一体何をしたかったんだ?」
「使徒の考えなんて、分かりませんよ・・・・何れにせよ助かりましたね?」
シゲルとマコトの台詞に皆はホッと一息付く。これで状況が今度こそ終わったと思い口にする。
「えぇ、そうね。でも今回我々は何も・・・・できなかった。何も、初号機が動かなければどうなっていた事か・・・・反省点がいっぱいよ」
「葛城一佐」
ミサトが右手で目元を抑えて緊張を解しながら落ち込む様子を見せる彼女に徳四郎は声を掛ける。
「そう、気を落とすな葛城一佐。たとえ、一度失敗しても、それを認めて次の糧にして成長する事が出来るのが大人の特権だ。いや、人類の特権とも言うべきだろう」
「徳四郎中将・・・・」
「マヤ。初号機の様子は?」
「初号機、活動停止。シンジ君は無事です」
リツコの声にマヤが現状報告をする。そして活動を停止した初号機のコクピット内でシンジは
「ZZZZ・・・・」
寝ていた。
とあるエントリープラグのモニターには初号機と使徒の激戦が写し出されていた。それを見た少女はただ唖然とするしかなかった。
(これが、あの七光りの力・・・・何よあれATフィールドを武器に使うとか何なのよっ!?)
この映像に式波アスカはシンジの実力を知り、心に騒めき覚えた。そしてもう一人綾波レイはシンジの無事にただ安心して愛おしそうに見ていた。
(・・・・よかった。碇君。無事でホントに良かった・・・・碇君。私強くなる。碇君と一緒に生きたいから)
次回更新も何とか、作っていきたいと思います。さて今回のオリジナル使徒。上位種の使徒異端使。彼らは進化の果てにそれぞれの強さと特性を持って眠りから目覚めた。目覚めてしまった。