新世紀エヴァンゲリオン・鉄華。   作:トバルカイン

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やっと、納得いく作品に出来たと思います。アイディアがホントに閃きにくい。
どうか、楽しんでくだせぇ。


第15話・命に定めを持つ者が栄華を歌う時

某所

 

「初号機の変異と自己進化・・・・それに異端使の襲来か」

 

「これも、『彼女』の意思か。それともEVA自身か。いずれにせよ、これは見過ごせない事案だ」

 

「3人目を別のEVAに乗せ換えるべきだ。初号機が計画に障害を及ぼすほど変異する可能性がある」

 

「そこまでの変異は『彼女』の望む事はない。むしろこの変異が良い方へ向かっていると見るしかない。使徒や異端使に対抗できるほど自己進化を続ければ計画は進んでいける。それに初号機と3人目を離すのは危険だ。自立起動する兆候が見られる。別のパイロットを乗せた場合精神汚染の危険がある。封印も凍結も危険だ。そんな機体を3人目、碇シンジは使いこなしてる。彼と初号機の戦力は貴重だ。これからの戦いは激しいモノになる、もはや『彼』の言う通り、条約がどうのう言っている場合ではない様だ」

 

「それでは・・・・」

 

「『彼』の言っていた様に今のNERVの戦力を増設し、協定も条約も見直す必要がある。もう神話の様な戦いが始まった。我々の望みはそれからだ」

 

 

NERV医療区画。

 

綾波レイは検査を受けていた。身体の異常や、遺伝子の状態や、細胞の変化。リツコは彼女の事を知っている。『生まれ』も知っている。そして『何処から』来たのかも、今日は随分長い検査だと彼女、綾波レイは検査用の寝台にその身体を寝かせて考えていた。下着一枚でその華奢な身体には煽情的な雰囲気を感じさせる様だった。

 

「レイ。もう良いわよ」

 

彼女の声を合図に検査する機械が停止して行き。リツコが来て、降りやすい様に機械を退かしていく。そしてレイが降りて、地面に足を着く。リツコから服を受け取る。

 

「ごめんなさいね、レイ。今日はこんな検査をして疲れた?」

 

「いえ・・・・大丈夫です。私もありがとうございます。様子を見ていただき」

 

「良いのよ。これも仕事だから、この検査で身体の調子がどうなっているか解るから。貴方はもう行って良いわよ。後は私がやっておくわ。お疲れ様、レイ」

 

「はい‥‥失礼します」

 

そうしてレイは医療区画の更衣室で服を着て部屋を後にする。リツコは資料を見て医療区画に用意された椅子に座り、珈琲を一口飲む。そして資料の結果を見る。そして他に写真をシャウカステンに張る。

 

「これは・・・・どういう事なの?レイの細胞が『正常』に生きているなんて。もう調整日を受けなきゃいけない筈なのに何の兆しも起きていない。これはどうして?」

 

「おやおや、お困りですかな?赤城博士」

 

「ッ!!」

 

突然現れたこの男、御神徳四郎。最近よくNERVを入り浸る様になっているのがいつの間にか、定着していた。

 

「いきなり現れるのやめてくれるかしら?心臓に悪いわ。特に貴方の場合」

 

「おやおや、それは失礼した。その資料に写真、綾波くんのかね?」

 

その台詞にリツコは眉をひそめる。当たりかと言い、徳四郎は笑う。

 

「最近、シンジ君の料理を食べて栄養がついたから健康になったかも知れないね」

 

「まさか、そんな事であの子の身体がここまで健康に維持できるなんて・・・・ありえないわ」

 

そう言ってリツコは用意してた珈琲を一口飲む。

 

「まぁ、都合がいいじゃないか?EVAパイロットの一人がちゃんと乗れる様ならな。それに・・・・彼女の心はシンジ君の方に向いている。『あの』シンジ君にだ。ゲンドウ君からね。ある意味、君にとっても・・・・ね?」

 

「どうかしらね・・・・貴方が渡してくれた資料なのだけど、俄かに信じがたい事ね。異端使が使徒の亜種で、聖なる旧支配者(ミスティック・オールドワン)を倒す為に変異した個体なんて。貴方の言う旧支配者って何なのかしら?」

 

聖なる旧支配者(ミスティック・オールドワン)。それはこの地球に既に存在し、アダムを薙ぎ払い、リリスをひれ伏せた。そして古代の時代より支配者として人類達を、最大級の恐怖と聖なる狂気と大いなる力を持った『神』さまとして恐れられ、支配して来た。その旧時代、人類はを本物の神様として崇め、ひれ伏し、その支配を受け入れ、甘受して来た。中には反旗翻し支配者を討とうとした者たちもいたが・・・・みな無意味に散って行った。可哀想に・・・・」

 

「その聖なる旧支配者(ミスティック・オールドワン)は使徒なの?それとも強大な『生物』なの?」

 

「アレを使徒や、怪獣みたいなカテゴリに含めない方が良い。聖なる旧支配者(ミスティック・オールドワン)とはマギの解析では測れない。それほどの強大で、恐ろしく、絶大な存在だ。そして再び目覚めれば人類は確実に、絶望と、恐怖と、狂気が、何処からともなく現れ、恐ろしい事が待っている・・・・それこそが聖なる旧支配者(ミスティック・オールドワン)

 

徳四郎の話すその一言と言う一言にリツコは圧を感じ、彼のその目には深く恐ろしい『闇』を写し出していた。そこの見えない恐ろしい理を込めた闇を。リツコはとりあえず自分を落ち着かせる為に珈琲を飲みこみ気持ちを切り替える。

 

「もしそんなのがいれば、人類は本当に詰みね・・・・貴方の言う旧支配者なのだけど、その言い分は今は眠ってるって事かしら?」

 

「そうなんだよね。今は眠っていて何もしない事を選んだかの様にいるのだが、本当は目覚めていて我々を見ているかもしれない。あるいは、我々やリリスなどに飽きて寝ているだけかもしれない。まぁ、何れにせよ今は使徒の襲撃に備えてのテストや整備のスケージュールで一杯かな?」

 

「えぇ、そうね。最近『誰かさん』が部品提供を良くしてるモノだから何とか次の決戦に備えられるわ。何が望みなのかしらね?」

 

リツコは椅子から立ち上がり、歩いていく。そんなリツコの背中に徳四郎は包み隠さず言う。

 

「勝利だよ。リツコ君。我々は『勝利』して、前に進まねばならぬ。だから、ゲンドウ君の事はいつでも手を切れるんだよ?」

 

その台詞にリツコは立ち止まる。

 

「言ったはずだよね・・・・・ゲンドウ君が破滅する所を見せてあげようかと?」

 

「まさか・・・・貴方が!?」

 

徳四郎の台詞にリツコは驚愕して、振り向く。その様子を見ながら徳四郎は微笑み次の台詞を言う。

 

「真実を少しだけ見せてあげようか?ミサト君や、シンジ君達を誘って『ピクニック』なんてどうだい?」

 

NERVシンクロテスト施設。

 

L.C.L.に浸けられたエントリープラグが並ぶ巨大なプールで、実験が行われていた。

 

『パイロット、2次シンクロ状態に異常なし。精神汚染濃度、計測されず』

 

 シンジ、レイ、アスカの三人は、データ収集のためエントリープラグ内に入り込んでテストを受けていた。

 

「あーあぁ。退屈ねぇ。使徒が来ないとチェックばっか!まいっちんぐね」

 

 アスカは聞こえるように不満を漏らす。コントロールルームでは、ミサトがオフィスチェアに乗ってぐるぐる回りながらそれを聞いていた。

 

「いーんじゃないのぉ?使徒の来ない、穏やか〜な日々を願って、私らは働いてんの、よっと」

 

「昨日と同じ今日、今日と同じであろう明日。繰り返す日常を謳歌。むしろ、感謝すべき事態ね」

 

 リツコはコンソールに寄りかかりながら、コーヒーを飲んでいた。その時、何かを知らせるアラームが入る。

 

「チェック終了です。モニター、感度良好」

 

 マヤの報告を受けて、リツコはパイロットに通信を入れる。

 

「お疲れ様。三人とも上がっていいわよ」

 

 アスカは、L.C.L.の中でモニターに映されたシンジを見る。しかし、直ぐに通信が途切れてしまう。

 

『L.C.L.排水開始、3分前……』

 

 

「はい、はい。あーそうですか。わかりました。それではその様に報告します。はい。ありがとうございました」

 

従業員用の列車に乗って徳四郎にミサトとリツコ、マコトとマヤは移動中だった。

 

「どうかしましたか?徳四郎中将」

 

徳四郎の携帯電話での会話を気にしてたリツコが話しかける。

 

「うむ。常任理事国・非常任理事国全ての会議である決議が決まった。それをこれからネルフ、延いてはミサト作戦指揮官殿や赤城リツコ博士に報告をと・・・・」

 

「な、なんだって!?」

 

徳四郎の台詞にマコトが驚きを露にする。

 

「それで、なんて報告なのですか?」

 

ミサトの言葉に徳四郎は彼女の方を見る。徳四郎は彼女を見て笑顔で答える。

 

「君達にとっての嬉しい結果と報告だ」

 

ある一室で二人の男が報告書を見ていた。ゲンドウと冬月。ゲンドウは何時もの様に司令室のデスクに座り何時もの手を組むポーズで見ていた。

 

「良かったな、碇。これで『我々』の計画は上手くいくな?いいんだ。いいんだ。君は何も言わなくても直ぐに解るから。もう良いんだ」

 

「・・・・いつから」

 

「君がシンジ君を捨てたあたりかな・・・・それからしばらくして、私は『彼女』に逢った」

 

冬月は思い出す。白衣を纏った女性が失望の中で忽然と現れた時と過去を。

 

「私はあの時、『彼女』は私に『真実』を見せてくれた。だから、私はこの先、『彼女』の未来へ付いて行く。○○君の『明日』へ。君とはまぁ、その時まで付き合って行くさ。だから・・・・」

 

冬月はゲンドウ頭を掴み、自分の方へ向かせて顔を見る。

 

「君はまた、記憶を都合よく『リセット』され明日を迎えると良い。でもこの報告書の内容は覚えておくんだぞ」

 

報告書にはこう書かれていた。

 

『使徒殲滅の為、建造中のエヴァンゲリオンの優先所有権を全て日本に優先するものとする』

 

『これは常任理事国・非常任理事国全ての可決が通った決議であり、ヴァチカン条約より上位とするものである』

 

『アメリカで建造中の『3号機』『4号機』、月で建造中の『6号機』も完成次第ネルフに輸送する』

 

「他にも、我々に力を貸してくれる所もあってな。正に至りつくせりだ。良かったな碇」

 

「計画に支障がなさすぎない・・・・・冬月、お前もシンジを崇めるのか?」

 

「崇める?君にはそう見えるのか?可哀想だ。私はただ○○君の望んだ世界を見たいだけだよ」

 

そう言って冬月は笑う。ゲンドウはサングラス越しから彼を睨む。

 

「大丈夫だ。碇。我々は進んでいるよ。『人類』の『救済』への道へとね」

 

「・・・・あぁ、そうだな」

 

ゲンドウの目付きが力なく緩んだのを見て、冬月はゲンドウの頭を掴んでいた手を離す。

 

「大丈夫だ、碇。『君は何も不安に思わず自分の計画が上手く進んでいるのだと思えばいい』大丈夫だ、碇。全て上手く行く」

 

そうして、ゲンドウは肘を付き手を組むポーズをして他の報告書に目を通すのであった。

 

NERV身体トレーニング施設。

 

「・・・・ッ!・・・・・ッ!・・・・・ッ!」

 

シンジは上半身裸で懸垂を続けている。かれこれ10分以上。そんな彼の周りにはNERVのスタッフの日向と青葉が体力の限界にねを上げ、へばっていた。

 

「し・・・・シンジ君。きみ、すごいね。ぜっ!・・・・はっ!こ、ここまでとは」

 

日向が息切れしながらも、未だに懸垂を続けてるシンジに声を掛ける。

 

「さ、すがに・・・・参った!・・・・ぜッ!・・・・これが14歳の子供・・・・かよ?」

 

青葉は仰向けに床で寝て、息切れ。日向同様に限界に達しシャツが汗で濡れていた。ことの経緯は身体トレーニング施設でシンジを見かけた二人が思い切って声を掛け、一緒にトレーニングをすることに。

 

「うん・・・・ッ!何時もやっているから、これぐらい普通でしょ?」

 

「いやいや、君の回数。尋常じゃないでしょ。ぜぇ、ぜぇ、その筋肉もすげーよ。幾つぐらいから、鍛えてた?シンジ君」

 

「んー。物心ついた時かな、こんな時が来るんじゃないかと予想していた事もあるけど、強くなきゃ生きてけないと考えているから、何時も鍛えてる」

 

「そりぁ、凄いなぁ。だからそこまで仕上がっているんだな・・・・」

 

そうして、懸垂を終えたシンジは鉄棒のトレーニング器具から手を離し降りる。そして上着を持ち、二人に近づき手を差し伸べる。

 

「・・・・すまないね」

 

その手を日向は掴み起き上がる。青葉の方はまだ休むと笑い。そのまま仰向けのまま寝る姿勢をとる。

 

「シンジ君、やっぱり君はすごいよ。良く鍛えている」

 

「そうかな?」

 

「あぁ、一人の男として断言するよ。だから、あんなに強い訳だ」

 

「そんなに、強かったかな?」

 

「あぁ、強い。それなら使徒や、異端使に勝てるかもしれないな」

 

そう言って日向は立ち上がり掴んでいた手を離し身体をほぐし背筋を伸ばす。

 

「そうだ!シンジ君。知ってるかい?実は先日大きな会議があって僕達の日本支部が優先的に戦力が大きくなるらしいんだ!」

 

「それって、新しいEVAとか、武器が来るって事?」

 

「それだけじゃないぜ。聞いた話じゃ、あの篠山グループを筆頭に様々の技術部門が俺達に協力してくれて、新しいシュミレーションやら、設備が出来るらしい。至りつくせりだ」

 

息を整えて休んだ日向と青葉とがシンジに情報を話す。

 

「これなら、使徒との決戦に備えが色々出来るかもしれないから、シンジ君もそこんとこ頭に入れといてくれ。もしかしたら新しい武器が出来たり、EVAが配備できるかもしれない。それで最近、EVAの整備がちゃんと出来て整備の連中から嬉しい声が来てるんだ」

 

「そうなんだ」

 

「ここだけの話、前は部品をやり繰りして真面な整備が難しかったんだよ。初号機を優先した整備で弐号機や零号機はギリギリだったんだ。それが改善出来て本当に良かった」

 

日向はその時の苦労を話し、どれだけ改善されたか良く話す。そんな二人と雑談をして、シンジはその場を後にして、更衣室で着替えて、帰り道に付いた。

 

ミサト宅。

 

「御神徳四郎?あの国連軍の中将からのお誘いがアタシたちに?」

 

「そう。リツコがさぁ私達も来なさいだって、何でも観光みたいなモノらしいのよ。どうせ何らかの見せ自慢したいものなんでしょうけど、断りたかったけど。リツコがどうしても来なさいだって」

 

「徳四郎中将ね・・・・無駄弾を浪費してた国連軍のヤツがアタシ達にお誘いね・・・・どんな所へ案内するのやらバカシンジーアンタはどう思う?」

 

「さぁ、とりあえず弁当の準備はしとかないとね。ご飯、もうすぐ出来るからー」

 

『はーい』

 

リビングの間でミサトとアスカはテーブルにそれぞれの席に付きシンジの料理を待つ二人。そんなシンジが作った今日の晩御飯は・・・・・

 

「おまたせ『キムチ鍋』だよ」

 

豚バラ薄切り肉 300g

 

白菜 1/4株

 

長ねぎ 2本

 

えのきたけ1袋

 

ニラ 1束

 

豆腐 1丁

 

エバラキムチ鍋の素300ml

 

水 600ml

 

この食材と材料のレシピにより作られたシンジの『キムチ鍋』

 

「おぉー、これは随分と美味しそうじゃない!今日もありがとうシンジ君!」

 

「豆腐と豚肉は特売セールでなんとか手に入れたから良く食べると良いよ。野菜の方もしっかり食べてね?」

 

「そうなの?確かに帰って来た時、少しボロボロだったのってもしかして・・・・」

 

ミサトが見たのはシンジの笑顔だがその顔は戦場を生還した勝者の様な微笑みだった。

 

「あれは、頑張ったよ。だから・・・・しっかり噛んで食べてね?」

 

その気迫に二人は思わず「はい」と声を合わせて答えた。

 

(さすが、シンジ君。私も一緒に付き合わせて来た事があったけど、あれは本当に戦場だったわ・・・・もう私、シンジ君に完全に逆らえない気がして来たわ・・・・どうしよう)

 

(これが、キムチ鍋と言う料理ね。一応、箸の持ち方練習したから問題ないと思うのだけど・・・・食べてやろうじゃない!バカシンジの料理を!)

 

鍋敷きの上に置かれたシンジが作ったキムチ鍋に食欲がそそる二人。シンジも自分の席に付き手を合わせるのを見たアスカとミサトも手を合わせて。

 

『頂きます』

 

そうして食べ始める3人はそれぞれの小皿にすくい網やレードルをなどを使い、ぐつぐつと言う鍋から具を掬って食べ始める。

 

「それにしても赤いわね。コレが日本で言う鍋料理なのかしら?」

 

「これはその中で韓国で広められていた鍋料理で辛口の鍋料理とスープ料理なんだ。ピリ辛さを堪能して食べる鍋料理。肉だけでなく、豆腐も、野菜も、染み込んでいるから。アスカは辛いの平気?」

 

「そうねぇ、アタシを美味いと言わせる程かどうか味わおうじゃないの」

 

「まさか、鍋料理をこんな形で食べられるなんて思わなかったわ♪食べましょう♪」

 

そうして、3人は小皿に乗せた具を白米と共に食べ始める。シンジ曰く、白米はキムチ鍋の音もとも言われてるらしい。そうしてアスカはさっそく豚肉と豆腐の具を食べる。すると濃い旨味と辛味が二人の味覚を刺激する。

 

(ピリ辛い!でも旨い!それに何よ、この豆腐と言う柔らかいの美味しい!?)

 

(野菜も上手く染み込んで、更に他の具材まで箸が進んでいく!やっぱり美味い!!それにご飯も進むわ!)

 

そうして、シンジの調理した『キムチ鍋』は彼女達の舌に快感と歓喜を齎し。瞬く間に鍋は底を尽き3人の胃袋へと消えて行った。

 

『ご馳走様でした!』

 

食後の満足感に浸る二人を他所にシンジは食器洗いを開始する。

 

「それじゃあ、私お風呂入るわね!今日も美味かったわーシンジ君!」

 

「どういたしまして。ミサト、今日は晩酌のオカズ作ったから」

 

「ホントッ!?」

 

「たまには労わないと思うし、今日は多少のだらしなさは瞑ってあげる」

 

食器洗いを止めてミサトの方を見て片目を閉じて言う。

 

「ありがとうシンジ君っ!愛しているわ!!」

 

そう言ってラフな格好しているミサトはシンジに抱き着く。その豊満な胸にシンジの顔が埋まる感じに。

 

「んっ、まだ食器洗うから離れてね」

 

「あら、ごめん」

 

しかし、シンジは無反応だった。

 

(あれー?シンジ君、こーゆ事には興味がないのかしら?)

 

とミサトは自分のスタイルの自信がシンジに通じなかった事に少し落ち込む。そんな二人の様子を歯磨きを終えて戻って来たアスカが見ていた。

 

「ちょっと、アタシの前で何やっているのよ?」

 

「あ、あら、これはまた失礼しました。あはははーじゃ、私風呂入るわねー!」

 

その場をはぐらかしミサトは風呂場へと進んでいった。そんなミサトをアスカはジト目で見送るとシンジへと向き直る。

 

「ねぇ、ミサトって何時もアンタに対してあんな感じなの?」

 

「あれはミサトなりのからかい方なんだと思うから、それに今日はミサトに労いを与えたいから大目に見てよ」

 

「ふーん。ま、アンタがそこまで言うならアタシもそうしますけど・・・・アタシにもなんかないの?」

 

「実はアスカにも今日は作っておいたモノがある」

 

「ホントッ!?」

 

シンジは冷蔵庫からあるモノを取り出す。小皿に乗せたそれは・・・・・

 

「これも特売のイチゴを使った。デザート。既に仕込んでおいたモノその名も『練乳クリーム掛けのイチゴミルク』」

 

「こ、これは・・・・」

 

そう、それは先日かシンジが仕込んでおいたイチゴのデザートの一つである料理。

 

材料。

 

イチゴ 8個~10個

 

練乳  適量

 

ミントの葉  適量

 

イチゴは分量外の塩少々を入れた水でサッと洗い、水気をきる。ヘタを取り、大きい場合は半分に切る。器にイチゴを盛って練乳をかけ、ミントの葉を飾る。

 

完成。デザートイチゴミルク。

 

シンジはフォークを用意してテーブルに置く。そしてアスカを見る。アスカはフォークを使いさっそく一口食す。すると、アスカの口の中が歓喜する。それはイチゴならではの甘さと旨味。それに練乳が更にその味を極み美味しさを増す。

 

「な、なかなかじゃないの、アンタの腕がここまでだなんて・・・・ホント料理の腕は誉めてげるわよ。けど、調子に乗らないでよね?まだアタシはアンタを認めちゃいないんだからね!」

 

そう、棘のある台詞を言いながらもアスカはシンジの作ったデザートを食べ始めた。シンジも席に付いてテーブルに頬杖を付きアスカがデザートを食べる様子を温かく見守っていた。

 

「・・・・・・」

 

「な、何よ?」

 

「いや、美味しく食べてくれて嬉しいと思ってさ」

 

「ふ、ふんっ!本当に料理の腕はあるわねっ!このアタシ食べさせる事に成功した事を光栄に思いなさいよねっ!?」

 

「うん、そうだね」

 

「ところで・・・・その、『シンジ』。アンタ、徳四郎の言う旅行みたいなの行くの?」

 

「行くよ。なんか気になるし、弁当が必要みたいだし、その日の為に今日はオカズになりそうな食材をトコトン買って来た」

 

「そうなの・・・・そう言えばアンタ今日、少し疲れた顔してたわね。やたらと買い込んでいたみたいだし何を作るのよ」

 

アスカはデザートを食べ終えて、空の器を突きながらシンジに聞く。

 

「おにぎりと沢山のオカズ。仕込みは色々出来ている」

 

「よし、解った!アンタ、エスパーね!絶対そうでしょ!!」

 

 

当日。駅前。

 

「やぁ、みんな良く集まってくれた。実に感謝する。今日はとことん、ツアーするから『楽しんで』くれたまえ」

 

集合場所の第三東京市の駅前に御神徳四郎を中心に集まるシンジ達。

 

(まさか、コイツまで呼ばれてるなんてね・・・・まぁ想像してたけど)

 

(碇君と一緒に住んでる弐号機パイロット・・・・もやもやする、好きじゃない)

 

レイとアスカはそれぞれ思いを抱きながらもその場に留まる。

 

「それで、徳四郎中将。今日は何処へ連れてってくれるのでしょうか?」

 

ミサトの質問に御神徳四郎は答える。赤城リツコもそれに気になる。

 

「向かうは第14村。その場所までは特別な列車で乗車して向かう」

 

「第14村ってまさか!?」

 

「どうしたのリツコ?」

 

驚愕するリツコの様子にミサトは不思議に思う。それに答える様に御神徳四郎は答える。

 

「指定コード619の名の下に『封印』された村だ。このコードと情報は一部の人間達しか知らない事だ。そうだろ赤城リツコ博士?」

 

「まさか、貴方があの村の事を知ってるなんて・・・・・そこに何があると言うの?」

 

「ちょっと、何なの?」

 

リツコの様子にミサトはただならぬ空気を感じたがそれに構わず徳四郎は話す。

 

「真実だよ。赤城博士。この世界に古くから実在した『神様』眠る聖地へのご案内さ。そろそろ列車が来るだろうし、行くとしますかな?」

 

そう言って徳四郎はガイドの様にみんなを先導する様子をみてアスカがシンジに尋ねる。

 

「なんか胡散臭いわね。付いて行って大丈夫なのかしら?」

 

「どうだろうね。だけどまぁ、気になるから行こうと思う。それに疼くんだ」

 

「疼くって・・・・何がよ?」

 

「背中のアラヤシキが、だから行こうと思う」

 

シンジが自分のうなじ辺りを触る。それを見たレイがシンジの近くに寄る。

 

「碇君、背中痛いの?」

 

「いや、大丈夫だよレイ。心配しなくてもだから安心して」

 

「・・・・うん」

 

その様子を見たアスカはあからさまに不機嫌な様子で声を掛ける。

 

「ちょっと距離が近いわよエコヒイキっ!バカシンジもデレデレしない!」

 

「私はそんな名前じゃない。私は綾波レイ。碇君の名前もそんな名前じゃない」

 

「何よ、そうやってポイントを稼いでいるのかしら?意外とセコイのね!」

 

「私はそんな事してない、弐号機パイロットは碇君にひどい事言っている。やめて」

 

「何よっ!!」

 

「ちょっと、やめなさい、あんた達!!」

 

レイとアスカが口論を始める。シンジを挟んで、その様子を見たミサトが流石にと止めに入るがその前にシンジが口を動かす。

 

「二人とも、やめて」

 

ぞわり・・・・・ただそれだけの台詞なのにシンジの言葉にその場の全員が圧を感じた。空気がまたガラリと変わる。

 

「アスカもレイも喧嘩はやめて。二人とも喧嘩をする為に此処に来たんじゃないでしょ?」

 

そう言ってシンジは交互に見て、少し前に出て二人を見る。

 

「今日はそんな日じゃない。僕達はEVAパイロットで仲間でこれから戦って行くんだから。二人にはそうなって欲しくない。だから喧嘩も仲間割れもやめて、でないと・・・・」

 

シンジはずっと持っていた風呂敷を二人に見せる。

 

「今日の昼飯、二人とも抜きにしちゃうぞ?」

 

「ぐっ!!」

 

「・・・・・」

 

シンジの台詞に固まるアスカと、無動のレイ。二人の胃袋はシンジの料理に掴まれているのとシンジの圧でこれ以上の口論も喧嘩も無意味だと言う意識が芽生えた。

 

「ま、まぁーしょうがないわね!」

 

「ごめんなさい碇君」

 

「うん。仲良く行こうね?レイ、アスカ」

 

シンジが収まった二人を見て、空気が変わる。シンジが穏やかになるのを見てミサトはホッとした。

 

「大丈夫かい?シンジ君。このまま案内を続けても」

 

「うん。いいよ。行こうか?ミサト、レイ、アスカ」

 

「えぇ、そうね。行きましょ列車も来るし、貴方たちもほどほどにしなさいよ二人とも?」

 

ミサトの台詞にレイは頷き、アスカは不機嫌に顔を横に向く。

 

そうして6人は駅のホームへとたどり着く。そこへ丁度、赤い列車が来てシンジ達のいるホームへと止まる。

 

「さて、それではみんなに渡したいモノがある。みんなはいどうぞ」

 

そう言って徳四郎は何処からかある物を取り出し、みんなへと配る。それは・・・・

 

「これは・・・・『銀の弾丸』のペンダント?何故これを?」

 

不思議に思うミサトに徳四郎は話す。

 

「これは『すごく必要な物』だ。第14村に入ったら付けてくれ。絶対にだ。手放したら危険だからね」

 

「これは、魔除けの類のモノかしら何故これを?」

 

リツコの質問に徳四郎は真剣な顔付きで話す。

 

「その『シルバーブレッド』には確かな魔除けのまじないを施している。何か悪寒や、気分の悪さや、気がおかしくなりそうなら、その弾丸に念じて、意識をしっかり持て、幾分楽になる。だから絶対に無くすんじゃない。正常にいたかったらね。そうじゃなければ・・・・意識を『持ってかれる』だけでなく恐ろしい事が君達を待っている」

 

「それって、ピクニックじゃないわよね?」

 

「まー要するにだ、何があっても銀の弾丸を手放すなと言う事だわかったかね諸君?」

 

「いったい何なの?第14村って?」

 

ミサトはとりあえず銀の弾丸の首飾りを付けて徳四郎へと話しかける。

 

「聖なる旧支配者《ミスティック・オールドワン》の眠る聖地だよ葛城くん。そしてシンジ君のアラヤシキと大いに関係のある場所だ」

 

 

 




今日まで遅くなってすみませんでした。アイディア枯渇して大変なんですよ。さて次回は古き神は未だ眠り、目覚めの時を待つ!!
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