新世紀エヴァンゲリオン・鉄華。   作:トバルカイン

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何とか出来た。どうか不快な事はないと良いですね。やはり、アニメと旧劇のシンジ君。うぅ。あんまりだ・・・・。よよよ。


第一話・使徒襲来。

ある日。気が付いた時。僕は周りの普通と違っていた。

僕にとっては普通なのに、周りのある人は『おかしい』と言っていた。

 

僕は読み書きが少し苦手だった。よく先生に丁寧にしなやかに書いてみなさいと。

 

知ってる『友達』が上級生にいじめられていた。僕は彼らを裏庭に呼んで彼らにいじめるのは何故と聞いた。『弱いヤツを攻撃するのが楽しいから』と答えた。だから、僕はそんな彼らに『攻撃』の『痛み』を教えた。そいつらはみんな弱腰になって地面に頭をこすり付けて命乞いをした。僕は『痛み』を教えただけなのに・・・・。まぁ、どうでもいいか。こいつらは潰した方が良いよね?。オルガ。翌日。そいつらは二度と学校には来なかった。

 

更に次の日は僕が『集まった』みんなに僕の『考え』と『行動』を全部話してみた。そしたら・・・・。

 

みんな逃げた。蜘蛛の子散らす様に。不思議だね。オルガ。叔父さん。

 

14歳の夏。僕の元に手紙がきた。あぁ。父さんか。手紙には一言『来い』と書かれていた。叔父さんと叔母さん。そして『友達』が僕を送りに来てくれた。僕は行く。

 

オルガ。俺は前に進み続ける。その先にいるよね?。だから進むよ。邪魔するヤツは・・・・誰だろうと潰す。それで良いんだ。これが僕なんだ。みんな。

 

 

―第三東京市―。

 

「生きてる?」

 

「えぇ、だい・・・丈夫よ。シンジ君は?」

 

「生きてるよ。車。大変だね」

 

 

シンジの手伝いでミサトは横転した車から脱出できた。戦略自衛隊が使用したN2地雷による爆発の衝撃で葛城ミサトの運転していたルノーはひどい有様だった。

 

「あーずいぶん酷い有様ね。ゴメン手伝ってシンジ君」

 

「いいよ。このままだと親父の所に行くのは難しいから」

 

そう言って、シンジはルノーの屋根に手を付き二三度揺らし車体を無事に戻すことが出来た。

 

「力あるのね。シンジ君」

 

「大した事ないよ」

 

(よく見ると。ガッシリした腕をしてる・・・・鍛えてるのね♪)

 

「改めて、私は葛城ミサト。ミサトで良いわ。よろしくね碇シンジ君」スッ

 

「・・・うん。よろしく。ミサト」

 

差し出された手を見て、シンジも彼女の手を握り。握手を交わした。

 

「えぇ。心配無用。彼は最優先で保護してるわよ。だから、カートレインを用意しといて、本部まで直通のやつ。そう。迎えに行くのは私が言い出したことですもの、ちゃ~んと責任持つわよ。じゃっ!」

 

(しっかしもうサイテー!。せっかくレストアしたばっかりだったのに早くもベッコベコ。ローンがあと33回+修理費かぁ、おまけに一張羅の服まで台無し。せっかく気合入れてきたのに・・・トホホ)

 

ミサトは色々考えてる間。シンジは拝借したバッテリーの様子を眺めていた。

 

(車の電池って、こんな風に充電するんだ。おもしろいな)

 

しばらくして、バッテリーは無事に回復し。ルノーに乗りその場を走り去った。

 

「さっきの怪獣みたいなの何?。みんな攻撃していた様だけど」

 

「私たちはアレを『使徒』と呼んでるわ」

 

「使徒?。誰かが作った兵器とかじゃないの?」

 

「いいえ。正体不明。何時、何処で、誰が造ったかも不明。判っているのはアレが人類を滅ぼそうとしている、という事だけ」

 

「ふーん。『敵』、なんだ」

 

「そうよ。ところでシンジ君、お父さんからは何か聞いてない?」

 

「いや。手紙にはただ、来い。と書かれてたけど」

 

「そ・・・そう。あ、もうすぐよシンジ君」

 

 

 

「特務機関ネルフ?」

 

カートレインに乗りこみ、二人の会話は再開した。

 

「そ、国連直属の非公開組織。あなたのお父さんがいる所よ」

 

「そうなんだ。凄いのそれ?」

 

「もちろん。使徒と戦ってるんだから凄いに決まってるわ。何たって、人類を守るお仕事なんだから」

 

「人類か・・・・ミサトもそうなの?」

 

「えぇ、そうよ。あっ。そうだ。シンジ君ID貰ってない?」

 

そう言うとシンジはカバンから、黒いカードのモノを取り出した。

 

「コレの事?」

 

「そうそう。あっ。そうだこれ読んどいて」

 

ミサトから極秘と書かれてる冊子を渡された。そこには「ようこそNERVへ」と言う字が書かれていた。

 

「ふ~ん。これ必要なの?」

 

「えぇ。必要な事と守らなきゃいけない事が書かれてあるから目を通しておいて」

 

「わかった」

 

「・・・・ねぇ。シンジ君。お父さんの事、興味ないの?」

 

「親父?・・・・は、僕を捨てたみたいな事を叔父さんが教えてくれたけど?。それが何?」

 

「・・・・そう、ごめんなさい。変な事を聞いたわね」

 

「へいき。叔父さんと叔母さんが良く育ててくれたから。特に問題はなかった」

 

「シンジ君・・・・」

 

(ここまで無関心なんて。大丈夫かしら?。それにこの子の目。迷いがない。ホントに14歳なの?)

 

冊子を読み始めたシンジを横目で見ながら、ミサトは些か不安になる。それでもシンジをゲンドウの所に連れて行かない訳にはいかないと解っていたが。やがて二人の目に、電灯の物とは別の光が入って来た。

 

「これが、ジオフロント。・・・・綺麗だ」

 

変った光景を見てシンジが声を零す。地下にこの様な綺麗な空間があるとは思わない。

 

 

「そ、世界再建の要、人類の砦となる所よ」

 

「地下に砦なんて・・・珍しい事するんだね。ここまで作った人間って凄いや」

 

外のジオフロントの光景を眺めてるシンジを横目に見ながらミサトは少し、ホッとした。少し笑った彼の顔に。

 

 

 

シンジとミサトはNERV本部に入っていた。未だ目的地に着いてはいなかったが。

 

「ミサト。もしかして、迷った?」

 

「そっ!!。そんな事ないわよっ!!。ちょ、ちょっと待ってね~」

 

シンジに知ったか振りを通し、何とかしようとアタフタしてるとシンジがミサトの手を取った。

 

「し・・・・シンジ君?」

 

「こっちだよ。ミサト。ついて来て」

 

「えっ!?。解るのっ!?」

 

あたかも自然にシンジはミサトと手を繋ぎ。歩調も合わせ。歩き出した。

 

「うん。匂いでわかる」

 

「に・・・匂い?」

 

そして、エレベーターまで、辿り着いた。ミサトは驚きを感じた。匂いだけで彼はここまで来たのか?と。シンジはここでミサトの手を離した。

 

「凄いわねっ!!。シンジ君っ!!。ホントに匂いだけでここまでたどり着くなんて」

 

「鉄の匂いはよく覚えてるから。『普通』だよ」

 

「そ、そう?」

 

「これに乗れば良いの?。ミサト」

 

「えぇ。そうよ。あと、私が迷ったって事は出来れば誰にも言わないで。お願い」

 

手を合わせてシンジに頼むミサト。どうやら本人の沽券に係わる様だ。

 

「んー。わかった」

 

二人はエレベーターに乗り。しばし待つ。そして辿り着くと扉が開いた。中から金髪の女性が現れた。

 

「あー」

 

「この非常時に何やってたの?。葛城一尉?」

 

「ごめーん。リツコ。ちょっち迷っちゃって・・・・」

 

現れるなり刺の生えた言葉を投げ付けるリツコに、ミサトはバツが悪そうに答える。リツコは溜息を一つ吐いてミサトから視線を外し、シンジに目をやる。

 

「例の男の子ね?」

 

「そ、マルドゥック機関の報告書によるサードチルドレン、碇シンジ君よ」

 

シンジは聞きなれない言葉に眉を少し顰める。が、リツコはそれに気が付かなかったのか、構わずシンジに話し掛ける。

 

「そう。私はここで技術部長を務めている赤木リツコよ。よろしく、碇シンジ君」

 

「うん。よろしく。赤木さん」

 

シンジは此処で叔母に教えてくれた事を思い出す。返事と挨拶はしっかりね?。と。ここは返事をしとくとシンジは判断した。

 

「リツコで結構よ」

 

「うん。わかった。リツコ。聞きたいんだけどサードチルドレンって何?」

 

「悪いけど、説明は後でするわ。ついて来て」

 

「・・・・」

 

シンジの様子を見て、ミサトは思ったのか。優しく声をかけた。

 

「大丈夫よ。シンジ君。ちゃんと説明してくれるから」

 

「わかった」

 

首を少し傾げながら答えたシンジの挙動に少し愛着が湧いたミサトであった。

 

「それで、初号機はどうなの?」

 

「B型装備のまま現在冷却中」

 

「それ、ほんとに動くの? まだ一度も動いた事無いんでしょう?」

 

「起動確率は0.000000001%。……O9システムとはよく言ったものだわ」

 

「それって動かないって事?」

 

「あら失礼ね。0ではなくってよ」

 

「数字の上ではね。でも、どの道動きませんでしたじゃ、もう済まされないわ」

 

シンジは難しい話をしている二人を見ながら、ある気配を感じた。とても大きいモノがここにあると言う事を。

 

(背中が、ざわざわする。なんだろう?。『あの時』でもない。でも、知ってる感じだ)

 

前世の記憶にある、人を『殺す』機械が最初に起動した。感覚とも違う。嘗ては感覚で人の判別が出来た事があるのを思い出しながら気になっていた。

ガコンッ。

 

「着いたわよ。シンジ君。ついて来て・・・・って。どうしたの?」

 

「うん。平気。ここなの?ミサト?」

 

「えぇ。暗いから気をつけて」

 

やがて三人は一つの扉をくぐる。扉が閉まるとそこは真っ暗になるが、音の反響などからそこがかなり広い空間である事は見当が付く。もっともシンジは明かりが無くとも、そこにある“存在”を認識していたが。照明が点灯すると、そこにある存在が目にも明らかになる。シンジは黙ってそれを見詰めた。

 

「これは人の造り出した究極の汎用人型決戦兵器。人造人間エヴァンゲリオン。その初号機。建造は極秘裏に行なわれた。我々人類の最後の切り札よ」

 

沈黙したまま何の反応も見せないシンジに焦れたのか、リツコが声を掛ける。

 

「これが、親父の仕事ってヤツ?」

 

「そうだ」

 

男性の声がして、顔をあげて見てみると、初号機の頭上に設けられたブースに髭面にサングラスの男が居た。シンジは三十秒程その男を見詰め、漸くそれが自分の父親であると認識したが、

 

「アンタが俺の親父?。久しぶり」

 

「ちょ!?、シンジ君?」

 

シンジはあたかも、『普通に聞く』様にゲンドウに右手を上げて挨拶して初号機に顔を向けた。その様子を見たミサトが驚き、ゲンドウは片頬をひくつかせるが、抑え込んで命令を下した。

 

「・・・・出撃」

 

シンジの目線が再びゲンドウを見ると同時にミサトが叫んだ。

 

「出撃!? 零号機は凍結中でしょ? ……まさか、初号機を使うつもりなの?」

 

「他に方法は無いわ」

 

そんなミサトにリツコは冷たく言う。

 

 

「だってレイはまだ動かせないでしょ? パイロットがいないわ」

 

「さっき届いたわ」

 

「……マジなの?」

 

「碇シンジ君。あなたが乗るのよ」

 

シンジを見て言うリツコに視線を移し。また初号機に視線を移した。

 

「待って。レイでさえEVAとシンクロするのに7ヶ月も掛かったんでしょ?今来たばかりのこの子にはとてもムリよ!」

 

「座っていればいいわ。それ以上は望みません」

 

「しかし!」

 

「今は使徒撃退が最優先事項です。その為には誰であれ、EVAと僅かでもシンクロ可能と思われる人間を乗せるしか方法はないわ。解っている筈よ。葛城一尉」

 

ミサトは少し考え、シンジを見た。

 

(シンジ君・・・・)

 

ミサトの視線に気づいたのか。シンジも初号機からミサトに視線を移した。

 

「・・・・シンジ君。私はー」

 

「ミサト」

 

ミサトは何かを言う前に、シンジは声を発した。

 

「僕は何をすれば良い?」

 

透き通る眼が。矛盾のない目が彼女を写す。

 

「シンジ君・・・・」

 

ミサトから更にゲンドウへ視線が移る。その迷いのない視線がゲンドウを見る。

 

「親父。これに乗れば良いんだよね?。さっきの使徒って怪物と戦うの?」

 

「そうだ」

 

「訓練も受けず操縦の仕方がわからなかったら、どうするつもりだったの?」

 

首を少し傾きながらシンジは問うた。その様子にリツコとミサトは顔を顰める。

 

「お前は、乗れば良い。後は説明を受けろ」

 

「事情の説明なの?」

 

「操縦のだ」

 

「・・・・・はぁ」

 

この時、シンジは叔父の言葉を思い出した。『その言葉どおりゲンドウはダメだと認識した』そして初号機を見て更にため息をしてゲンドウを見るシンジ。ミサトはどうしたものか考えたが。悪寒がした。

 

突然。シンジから凍てつく空気が吹き荒れる。一言で言うなら『恐怖』。リツコも感じたのか一歩も動かない。

ガラス越しから見ているゲンドウにも届く。ゲンドウは顔を顰めた。シンジから来る視線が全身を駆け巡る。それも、恐ろしく。自分を見る目がとても、とても、とても。

 

哀れで醜いモノを見る顔をしていた。

 

「なん・・・だ。その顔は」

 

「・・・・・」

 

ジッと見る。その目が自分を見ている。醜く。哀れな。生き物に向ける。自分が一番見られたくない『子供』に。気圧され、自分が小さく感じた。ゲンドウは見られていた。醜く不快なモノを見て必ずなる顔で。ゲンドウはついにたまらなくなり、怒鳴り散らす。

 

「いい加減にしろっ!!。子供のくせにその目をやめろっ!!。さっさと乗れっ!!。乗る気がないのなら帰れっ!!」

 

あのゲンドウがヒステリックに怒鳴る様を初めて見た二人は茫然する。普段はあんまり表情をださない男が初めて醜いモノを。親の醜い一面を見せた。

 

(あの司令が、あんなに・・・・)

 

(何なの?。この子。いったい・・・)

 

しかし、シンジは見る。そして。首を傾げた顔に片手を頬に当て。表情を変えた。ゲンドウには見覚えがあった。

そのしぐさ。愛した妻のユイがしていた仕草。ミサトとリツコは横からその表情の一部分を見てしまった。

 

憐憫の相。ユイが時々する仕草を真似ながら見せたそれが更にゲンドウの精神を逆なでした。それが決め手だった。

 

「冬月っ!!レイを呼べっ!!。今すぐにだっ!!」

 

「つ・・・使えるのか?」

 

「死んでいる訳ではないっ!!。とっとと呼べっ!!」

 

「わっ・・・わかったから。冷静になれ碇」

 

そして、衝撃。ケイジが揺れた。その揺れと共にゲンドウは少し冷静になった。

 

「っ・・・・奴め。ここに気付いたか」

 

リツコも揺れの衝撃で、冷静になり。シンジに恐れを抑えながら言い放つ。

 

「シンジ君。時間がないわ」

 

「・・・・・」スー。

 

シンジは手を戻し。表情も何もなかったかの様に元に戻っていた。いつもの可愛げのある顔でミサトを見た。

ミサトは多少たじろぐも、状況を思い出し。無理を承知で。言わせないでとお願いしながらと思いながら言う。

 

「シンジ君。乗って。貴方がやらないと人類が・・・・」

 

「うん。分かった。乗るよ」

 

「えっ?。いいの!?」

 

「うん。ミサトはやって欲しいんだよね。助けてくれた礼はするよ」

 

「シンジ君・・・・」

 

ケイジの向こうから、新たな人が来たのを確認したシンジがそっちを見る。ストレッチャーに乗せて運ばれた来た少女を見て。少し驚いた表情をした。

 

「あれ?。この子。幽霊の子?」

 

シンジはその少女に見覚えがあった。昼間の街で見かけた幻影の少女だった。水色の髪とアルビノの少女にシンジは違和感を感じた。『前に見たことある』既知感を感じた。

 

「レイ。もう一度だ」

 

「待ってくださいっ!!。シンジ君が乗ると決めたのに怪我してる彼女を乗せる気ですかっ!?」

 

「愚かな子供に用はない。葛城一尉」

 

「何故っ!?。そんなー」

 

ミサトが何か反論しようとする前に警報がなった。

 

『第二撃、来ます』

 

先程より激しい振動がケイジを襲う。シンジは見た。頭上のライトが落下しようとしているのを。シンジは行動した。少女を助けると言う行動を。ミサトの脇を抜け、レイの所に行き、その身体を掬い上げる。ミサトは見たシンジとレイの頭上からライトの破片が落ちてくるのを。そして。

 

「危ないっ!!」

 

ザバァッー!!。

 

シンジとレイの頭上に初号機の手が現れた。落ちて来た落下物は跳ね飛びゲンドウがいるガラスに直撃した。強化ガラスの様で無事だった。

 

「まさか!? 有り得ないわ! エントリープラグも挿入してないのよ! 動く筈ないわ!」

 

その騒ぎから離れた所に居たリツコは困惑の声を上げる。

 

「インターフェイスも無しに反応してるの?。というより、守ったの?。彼を!・・・・いけるっ!!」

 

ミサトは何とか立ち上がり。シンジとレイが無事なのを確認した。

 

「・・・・大丈夫?」

 

「・・・・あなたは・・・」

 

「後は僕がやる。休んでね。大丈夫だから」

 

シンジはレイが無事なのを見て。優しく『微笑んだ』。その表情を見たレイは心が満たされる気持ちを覚えた。彼の笑顔は彼女に安らぎを与え。レイは安心の気持ちのなか安らかに目を閉じた。

 

「・・・・バルバトス・・・お前なのか?」

 

誰にも聞こえない感じでシンジは初号機に声を出した。

 

エントリープラグ内。LCL注入。

 

「これ、なに?」

 

「大丈夫。肺がLCLで満たされれば、直接血液に酸素を送り込んでくれます。すぐに慣れるわ」

 

やがてLCLはプラグ内を満たし、シンジは目を閉じると言われた通りゆっくりと肺の空気を吐き出しLCLを取り込んでいく。呼吸が落ち着くとシンジは体の力を完全に抜く。

 

「ホントだ。息出来る」

 

「さすが、男の子ね。ところで、シンジ君。何故上半身脱ぐの?」

 

ミサトの言う通り。シンジは制服の上半身を脱ぎ。その逞しい上半身を晒していた。

 

「んー。なんとなく」

 

「すごい筋肉ですね」

 

「あれで本当に中学生なのか?」

 

オペレーターの青葉と日向が感想を延べる。マヤと言うショートヘアー女性に至っては。

 

「はわわ」

 

顔を赤くしていた。発令所では初号機の発進プロセスが進み。人々が機敏に動いている。

 

「主電源接続」

 

「全回路動力伝達」

 

「第二次コンタクトに入ります。A10神経接続異常無し」

 

「思考形態は日本語を基礎原則としてフィックス」

 

「初期コンタクト全て問題無し。双方向回線開きます。シンクロ率……えぇっ?」

 

マヤの驚きにリツコが反応し近づく。

 

「どうしたの、マヤ?」

 

「シンクロ率が・・・・120.0%です!!」

 

その場に居た全員が驚き。マヤのいるコンソールの画面を覗き見た。

 

「ひゃ、ひゃく!?」

 

「うそっ!?。いきなりっ!?」

 

「まじかよ・・・・」

 

「何者だ?。あの子」

 

それぞれの反応を他所に冬月とゲンドウはひそひそと話した。

 

「碇・・・・これはどういう事だ?」

 

「・・・・わからん・・・・くそ」

 

組んだ両手の奥に隠した口の中で歯を噛み鳴らしながら、ゲンドウは驚きをかくしながら台詞を吐いていた。

オペレーターやメカニックの人たちはすぐに持ち場に戻り作業を開始した。驚いてる場合じゃなかったと直ぐに冷静になる一同であった。

 

「ハーモニクス、すべて正常値。暴走の危険ありません」

 

「いけるわ!」

 

無事に起動しリツコは喜びの声を上げる。ミサトは深呼吸して指令を下す。

 

「・・・・発進準備っ!!」

 

号令を受けてスタッフやメカニックの人たちが慌ただしく動く。

 

「発進準備!。第一ロックボルト外せ!」

 

「形状確認!。アンビリカルブリッジ、移動開始!」

 

「第二ロックボルト外せ!」

 

「第一拘束具除去。一番から十五番までの安全装置解除」

 

「解除確認。現在、初号機の状況はフリー」

 

「外部電源。充電完了。外部電源接続。問題なし」

 

「了解。EVA初号機。射出口へ!。進路クリアー、オールグリーン」

 

全ての発進寸前までの工程が終了したのをリツコは確認し。ミサトに言う。

 

「発進準備完了!」

 

ミサトが確認するとゲンドウの方を見る。

 

「了解・・・構いませんね?」

 

「もちろんだ。使徒を倒さぬ限り我々に未来は無い」

 

「碇。本当に良いんだな?」

 

冬月の小声の問いにゲンドウは何も答えず。表情を動かす事はなかった。

 

「発進!!」

 

ミサトの命令により、リフトにのった初号機が上昇して行く。やがて夜の帳に包まれた第3新東京を映し出したモニターに初号機が現れ、使徒と対峙する。それを見ながらミサトは呟く。

 

「……シンジ君、死なないでよ……」

 

その言葉は偽りではなかったが、――“子供”を死地に送り出しておいて今更な台詞ではあった。しかし、罪悪感は今でも感じている。あの時、助けてくれたシンジを思い出しては無事を祈る気持ちは確かにあった。

 




次も書きます。思いっきり暴れます。

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