新世紀エヴァンゲリオン・鉄華。   作:トバルカイン

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戦闘模写は初めての投稿であるが、変な所ありませんように・・・・・


第二話・戦慄のシンジ

「ミサト。いきなり、敵の目の前に出るなんてマズイと思うよ」

 

「あっ」

 

よく考えてみれば、わざわざ新兵器を真ん前にだすのは愚の骨頂。指令室の空気が氷点下な程、冷たい空気が通っていた。子供を怪物の真正面に放り出すと言う愚かな失態。一般的な論理感をもった大人はまず焦る。しかし時は遅し。言い訳を考えていた自分にミサトは後悔した。しかし、誰も咎める人間もいない。

 

「それで、動かし方は?」

 

「か、考えた動きがそのまま反映されるわ。歩く事だけを考えてみて」

 

「次は、しっかりしてね」

 

それだけ言ってシンジは動きをイメージした。この感覚。シンジには見覚えがある。嘗て己の魂が体感した。戦いの記憶。リフトのロックが外れ。初号機が動き出す。一歩。その足を進めた。

 

「歩いた!」

 

リツコはモニターに映った初号機を見て身を乗り出す。

 

「ホントに動いた。ずごいな」

 

シンジは二歩目を踏み出し。少し立ち止まる。両腕の動きをイメージした。両腕を広げ、右掌に左拳を打ち鳴らす。

 

ガキンッ!!。

 

「だいたい、わかった・・・後は」

 

シンジは次の動きに意識を集中した。その行動は、駆けるー

 

「まさか、真正面から行くつもり!?。シンジ君っ!!」

 

「初めてなのにここまで動かすなんて彼、何者?」

 

使徒に向かって走り出す初号機。そして右手を振りかぶり、右ストレートを突き出す。しかし、その拳は使徒の目の前に出現した。八角形のバリアな阻まれた。

 

「ATフィールドっ!」

 

リツコはモニターに映し出された。使徒が展開したバリアを見て声をあげる。

 

「駄目だわATフィールドがある限り・・・・」

 

使徒の展開したATフィールドに初号機の攻撃が跳ね返された。

 

「・・・・使徒に接触できない!」

 

リツコが半ば、諦めかけた時。シンジからの通信が入った。

 

「ねぇ?。これ何?。何か硬いけど」

 

「ATフィールド。使徒のバリアみたいなものよ。シンジ君!。一度距離を取って!」

 

「わかー」

 

シンジが次の台詞を言う前に、使徒の身体の中心にある赤い球体。『コア』が赤く光る。その光が使徒の右腕の筋をなぞる様に走り、腕が少し膨らむ。そして。使徒はその腕を振り上げる。

 

ガンッッッッッ!!。

 

その衝撃で初号機が高く飛ばされた。

 

「・・・・え?」

 

思わず、間抜けな声を上げたリツコの他にゲンドウも驚きを露わにした。予想外の使徒の反撃の行動にみな言葉を失った。初号機はそのまま落下に身を任せ、ビルが崩れる音を立てながら転がって行った。しかし、すぐに初号機は態勢を上手く立て直した。衝撃が強かったのか。地面を削る感じで止まろうと踏ん張り。何とか止まった。

 

「痛いなコレ。なんで?」

 

鼻血を垂らしたシンジの声に皆、我に返る。

 

「し、シンジ君、落ち着いて!。あなた自身が殴られてる訳じゃないわ!」

 

「エヴァの防御システムは?」

 

リツコがマヤに確認を取る。

 

「シグナル作動しません!」

 

マヤはモニターを見つめながら報告する。

 

「フィールド、無展開!」

 

オペレーターの日向が声を上げる。

 

「だめか!」

 

リツコは主モニターに映る初号機に目を向ける。初号機は何とか立ち上がり、状態を確認する仕草をした。

 

「シンジ君!。動ける!?」

 

「大丈夫。『慣れた』。武器ないの?」

 

「えっと・・・・ごめんなさい。あるのは肩のウェポンラックにある。プログレッシブ・ナイフしかないの」

 

そう聞いたシンジは確認した。初号機の肩のラックが開き。ナイフの柄が出る。それを抜いて。ナイフを確認した。こちらに歩みを進める使徒を見て。シンジはナイフを構えた。しかし。シンジの視界があるモノを見つけてしまった。

 

「っ!?・・・ミサト!」

 

「何!?。シンジ君!」

 

何か異常が起きたのかと思い声を上げるミサト。シンジの次に言う台詞は予想外のものだった。

 

「子供が北東の道路の脇に倒れてる!」

 

「何ですってっ!?」

 

シンジが初号機の指を動かして方角を合図する。モニターがシンジの示した所を拡大する。

 

「女の子!?」

 

「まさか、逃げ遅れ!?」

 

モニターには少女がうずくまって怯えてる少女がいた。足を怪我して動けないでいる様だ。

 

「ミサト・・・・このままじゃ本気を出せない。避難させる事出来る?」

 

「わかったわ。直ぐに保安部を出動させる!」

 

「使徒は僕が抑える。動きを止めてる間に頼むよ。ミサト」

 

「どうする気!?。シンジ君」

 

 

リツコは声を上げたが、シンジはそれだけ言うと初号機は走り出す。使徒も自分に向かってくるのを確認したのか動きを止めた。

シンジはイメージした。止める行動を。使徒を抑える方法を。そしてシンジが出した結果は。使徒に向かってATフィールドを展開した。

 

「ATフィールドの発生を確認っ!。発生原は初号機です!。でも、これって・・・・ありえない」

 

初号機が発生させたフィールドが使徒を囲む様に展開した。ナイフの持ってない片手を突き出し。使徒を『捕まえた』。使徒はもがくが初号機が出した『檻の壁』に身動き取れなかった。

 

「こんなこと・・・・まさか、一瞬で使徒のATフィールドを中和したの?。いえ、違うわ。なんて強力な浸蝕なの。シンジ君。貴方は一体?・・・・」

 

「ミサト・・・・まだ?」

 

使徒が更に暴れだし、壁を叩いたり、もがき続ける。初号機の突き出した手に限界が来てるのか、震えだした。

 

「シンジ君、要救助者は確保したわ!命に別状は無いわ。付近に別の要救助者が居ないかカメラで確認したけど市内はもぬけの殻ね。貴方のお陰よ、ありがとう」

 

ミサトからの報告を聞いたシンジはフィールドを解いて、バックステップで下がる。フィールドを出していた手を振り。具合を確かめる。

 

「ん・・・。よかった。じゃあ」

 

使徒が初号機に向かって来る。その長い腕を振りぬき頭部に掴みかかる。刹那―

 

ガコンッッ!!!。

 

使徒が横薙ぎされて吹き飛ぶ。

 

「思いっきり、潰せるね!」

 

そう言って、シンジは右手で鼻を擦り。操作レバーを握り直す。初号機はナイフを持っていた手からATフィールドを展開。その展開の形状が予想外のモノだった。マヤが報告する。

 

「しょ、初号機。ナイフからATフィールド展開。鈍器の様な形状になりました!!」

 

「ATフィールドを武器の形に!?。こんな事が出来るなんて!?」

 

「凄いわっ!!。シンジ君っ!!」

 

リツコは更に驚愕し、ミサトは驚くしかできない。誰もが目の前の光景に驚いた。それはゲンドウも例外ではない。

 

「碇・・・これは」

 

「・・・・・シンジお前・・・」

 

初号機が立ち上がった使徒に駆ける。ATフィールドで形成したメイスを振りかぶり、使徒に叩き込む。強く。激しく。初号機は使徒にメイス、膝蹴り、ブロー。を叩き込む。使徒も反撃するが、それより速く初号機は小さく躱しカウンターを決める。使徒は転倒し、更に初号機は攻め込む。使徒の仮面に向けてメイスを叩きこむ。更に振り上げて、叩く。振り上げて、叩く。メイスで使徒を解体作業の様に暴力の嵐を吹き上げる。誰もが言葉に詰まる。モニターに映る初号機による一方的な攻撃に使徒は活動停止寸前だった。まだ、起き上がり態勢を立ち直そうとするが初号機が踏みつける。そして。

 

「終わりだ・・・・ッ」

 

初号機は止めにメイスを弱点らしい部位の赤い球体に突き刺した。使徒はボロボロの腕を上げるが、空しく力尽きその活動を停止した。

 

「終わったよ。ミサト。次はどうすれば良い?」

 

シンジの声が発令所に響く。ミサトは頭を一つ振って気を取り直した。そして命令を下す。

 

「現状、報告して!」

 

「・・・・パターン青、消滅。使徒、殲滅を確認!」

 

「・・・初号機、損傷軽微!」

 

彼等の報告に頷いたミサトはシンジに告げる。

 

「シンジ君。お疲れ様。今、回収用のリフトを指示するからそっちに向かってちょうだい」

 

「わかった」

 

ミサトに肩を叩かれた日向がキーボードを叩き始めると、続いてモニターの初号機が動き出した。それを見てミサトはリツコに小声で尋ねる。

 

「リツコ。あれは何なの?。初号機の動きもそうだけど。シンジ君は何者なの?」

 

「わからないわ。・・・調べてみないと・・・」

 

初号機で移動してるシンジはふと夜空を見た。

 

「あっ・・・・三日月だ」

 

その欠けた月が初号機を照らし輝いていた。その月を見てシンジは初号機の事を考えた。

 

(この感じ・・・・懐かしい。バルバトス。やっぱりお前なんだな)

 

 

 

 

 

 

 


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