新世紀エヴァンゲリオン・鉄華。   作:トバルカイン

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ストレスでおかしくなりそうだ。そして書く時間できた。


第八話・決戦第3東京市

ミサトとリツコは、仕事が終わってからバーで飲んでいた。ジオフロントに格納されたビル郡が一望できる大きな窓のついた店内には、二人以外の客の姿は見当たらない。リツコは3本目のタバコに火をつけてから、ミサトにシンジのことを尋ねる。

 

「どう? 彼との生活は?」

 

「お陰様で、ご飯が美味しいわ。彼、本当に家事も出来て頭が上がらない・・・・」

 

少し複雑ながらも、頬杖を付いて食事の環境が大幅に変わった事を話すミサト。

 

「あら、意外ね。男と暮らすの、初めてじゃないでしょ?」

 

「8年前とはちがうわよ、今度のは恋愛じゃないし」

 

ミサトは手をだらんと振って昔の記憶を払いのける。

 

「それはどうかしら。シンジ君、あなたがいるから残ったんじゃない?」

 

「んー。どうかしらね、彼はもしかしたら別の『意味』で残ってるかも、私の事は次いでで」

 

リツコはタバコを持った手を止める。その弾みで長くなっていたタバコの灰が落ちる。

 

「シンジ君にね。私なりにご飯作ってみたの・・・・」

 

「まさか・・・・あんたっ!」

 

リツコの脳裏に一度ミサトが作ったと言う『カレーライス』が頭をよぎる。そして、ミサトは残っていた酒をぐいーっと飲む。そして・・・・・頭をテーブルに打ち付ける。

 

「ちきしょぉぉぉぉぉっ!! シンジ君、私がせっかく作ったのに一目見ただけでゴミにしたのよーっ!! そして使った皿を念入りに洗っちゃって、それだけじゃなくハイターまで使って徹底的によーっ!! 私、汚い事した!?」

 

よよよと泣きじゃくり、愚痴を喋りまくるミサトを見てリツコはあーと呆れた。

 

「あろう事か、私にレトルトカレーを出して。自分は綺麗な『オムライス』なんて作っちゃって!! ペンペンにだってなんか手作りゴハンを味わってるしっ! もう、殆どシンジ君に服従ですよっ!? 飼い主は私なのにーっ!!」

 

「ペットにまで見放されたのね」

 

リツコは新しいタバコを取り出し火を点ける。一息吸い、煙をふ~と吐く。

 

「今思えば、一緒に暮らしてから2日経ったある日だった。シンジ君がご飯をあげる時、何時も腹を出して服従のポーズなんかしてんのよー!? もう、あっちに鞍替えしたわー!! ペンペンの視線まで私を何か残念そうな目で見てるしっ!! シンジ君の言う事は聞いて、私には構ってすらもらえないっ!! 完全に住居の主導を取られたわーっ!!」

 

「自業自得ね。今まで怠けてたツケが回って来たのよ」

 

頭を打ち付けたままミサトが喋る様を見てその肩を撫で、慰める。そしてタバコを灰皿に置き、酒を飲む。

 

「ホント、しっかりしてるわシンジ君。14歳なのにあそこまで・・・・どんな生活をしたらあんな風になるのかしら?」

 

「そうね・・・一応報告では彼、幼少時に熊討ちに行った事があるみたい。叔父の竜彦がよく連れていたらしわ」

 

「熊討ち・・・・それであそこまで変わるもんなの?」

 

ミサトが少し落ち着いた様子を見て、リツコは肩から手を放す。

 

「セガンドインパクトで環境は劇的に変化したから、シンジ君が幼少時に居た町には『ヒグマ』がよくいたらしいわ」

 

「ヒグマ?」

 

ミサトが興味を持ち。上体を上げリツコの話を聞く。

 

「色々な種類のヒグマもいたみたいよ。竜彦はそのヒグマをシンジ君の目の前で仕留めた報告もあったみたい。それからしばらくした後、シンジ君もヒグマを狩る様になったわ・・・・それも『単発銃』で」

 

その内容にミサトは驚く。最近の猟銃でも5発は装填出来るライフルだってあるのに『単発』式のライフルを使って現代のヒグマを狩る事は時代遅れも程がある。にも拘わらず。ヒグマをシンジは一発しか入らない銃で狩って来たのだと言う。俄かに信じられん話であった。

 

「勝負は一発って言う、その叔父の決め事みたいよ。それで二瓶竜彦とシンジ君は一山のヒグマを狩り尽くしたとか」

 

「すごいわーシンジ君。そりゃ、あんなに強いわよ」

 

ミサトはその後、テーブルに目を落とし。ため息をつく。リツコは少し外の景色を見てタバコの煙を吹く。

 

「さて、と。時間だし、戻らなくちゃ」

 

リツコはタバコを灰皿に擦り付けると、バッグを持って席を立つ。

 

「相変らず仕事の虫ねえ」

 

ミサトは少し呆れてみせる。

 

「ミサト。帰るからこれ。シンジ君の正式なセキュリティーカードと、綾波レイの更新カード。さっき渡しそびれて。明日シンジ君に頼めるかしら」

 

リツコは、バッグからシンジのIDカードとレイのカードを取り出すと、重ねてミサトの前に置く。

 

「ああ、いいけど」

 

ミサトは少し意外だというような表情をして要件を受け取る。

 

「それからね・・・・たぶん。シンジ君があそこまで強いのはそれだけじゃない気がするわ」

 

「他に何があるのよ?」

 

「気にならないの? シンジ君が使徒と戦った時も、EVAに乗った時も全然動じてない。彼の精神が動物の狩りであそこまで形成できるかしら? 彼の背中の蟲と良い。初号機のシンクロ率とATフィールドも。前にも言ったわよね? シンジ君の目付きが人じゃないって・・・・戦いにも、命を奪う事にも、彼は『慣れ過ぎ』ている。彼はもしかしたら・・・・」

 

ミサトはリツコの言うその先を予想してイヤイヤと手を振り否定する。

 

「ちょっとリツコ、彼はまだ子供よ? そりゃあ、熊討ちをしたからって・・・・そんな事、ないわよ」

 

 

「・・・・そうだと良いのだけど」

 

翌日、シンジはレイのマンションへと訪れる。相変わらず無機質な鉄の音が響く所だとシンジは思った。

シンジはとりあえず、呼び出しボタンを押して彼女に呼びかける。返事はなし。もう一度押すが、返事はない。

その後、ドアを確かめる。鍵が掛かってない。少しドアを開けた。

 

「レイー? いるー?」

 

返事がないのを確認すると、シンジは鞄をドアの横に置き。腰の後ろへと右手を回し『あるモノ』に手を付ける。左手でドアノブを回してドアをのぞき込み中を確認する。キッチンへと続く廊下を確認した後、中に入って行く。

 

「・・・・レイ―? 入るよ?」

 

中で声を掛けるとシンジの耳にシャワーの『音』が聞こえた。音が止まり、人の『気配』をシンジは感じた。

 

「碇君・・・・?」

 

ガラガラと音を立て、風呂場の戸を開けて此方をひょっこりと見るレイがいたのを確認する。人の『匂い』も『音』もレイだけだと確認した後、ホッとし腰に回していた手を戻す。少し低くしていた姿勢を正す。

 

「お風呂入っていたんだね。無事で良かった」

 

「どうして?」

 

「玄関の鍵が掛かってなくて、泥棒とかいるかと思った」

 

シンジはそう言って、玄関の方を振り向きレイに視線を戻す。

 

「泥棒?」

 

そう言ってレイが風呂場の戸から出ようとして、シンジが手を上げて制止する。

 

「まずは着替えてからにしよう。外で待ってるから大丈夫。風邪ひかない様にね?」

 

「・・・・うん」

 

レイが無事なのを確認して、警戒を解いたシンジはこのまま中で待つのは悪いから外に出る。玄関を出て行ったシンジを最後まで見た後、レイは少し早く着替えようと思った。彼に心配されたのが少し嬉しいと思った。

 

「はい、IDカード。新しくなったから渡してくれってミサトに頼まれた」

 

シンジはそう言ってレイにIDカードを渡す。レイは受け取りポケットにしまい、シンジと一緒に歩いて行く。

 

「碇君。泥棒って何?」

 

「勝手に人の家に入って悪い事をする奴。レイも家に帰ったら鍵を締めて用心した方が良いよ。何かあったら大変だからさ」

 

「・・・・うん」

 

鞄を握り締め、少し俯くレイにシンジは反応する。何処か暗い表情をしているのをシンジは見逃さない。シンジを見たレイはすぐに視線を戻し足を止める。シンジも立ち止まりレイを見る。

 

「碇君はどうしてEVAに乗るの?」

 

レイの質問にシンジは少し考える。何と言えば良いかと。

 

「そうだなー。居場所を守って、その先へ行く為かなー」

 

「居場所?」

 

シンジの台詞にレイは興味を持ちシンジの声に耳を傾ける。

 

「ミサトの部屋を掃除したり、栄養を取れたご飯を食べさせたり。トウジやケンスケと委員長と一緒に学校に行って授業受けたり。マヤと話したり。みんなといる普通の日常を過ごせるこの場所を残す事。後は使徒を全部倒したら考えるよ」

 

「・・・・そう」

 

レイは少し興味を無くした様な声を出して歩き出す。シンジもレイの歩調に合わせて歩いた。

 

「それから・・・・僕の言う居場所にはレイもいて当たり前なんだ」

 

シンジの次の台詞にレイは少し目を見開き、シンジを見る。シンジはレイに目線を合わせながら次の台詞を話す。

 

「レイは親父の事とEVAが自分の生きる意味とか言うけど、他にも見つけられる。だって人は絆も、生きる意味も自分で見つける事が出来る。その権利は誰にでもある。僕はここに来て、ミサトやみんなだけじゃなくて、レイとも一緒に生きたい。みんなで生きて、その場所に辿り着きたい」

 

「それって・・・・どんな所?」

 

その問いにシンジは既知感を感じた。何もなかったあの頃から、生きる意味を見出した瞬間を。

 

「そうだなぁー。きっと、普通の日常が過ごせてさ。住む所もちゃんとあって、食べ物もあって。温かい寝床もあって。それから・・・・」

 

いつの間にか二人は互いに自然と歩みを止めレイはシンジの声に聞き入った。

 

「あとは・・・・・。行ってみなけりゃ、わからない。辿り着いて見なきゃわからない。僕は行きたい。『また』見てみたい。レイも行こうよ?」

 

そう言って、シンジは自然と彼女に手を差し出す。レイは彼の手を見て迷う素振りをする。

 

「碇君。私は『代わりが』いるの・・・・そんな私が一緒にいて良いの?」

 

「レイの代わりなんていないよ。僕の知っている綾波レイは、僕のご飯を喜んで食べてくれて、綺麗な目をしていて、そして・・・・僕と絆を結んで仲間で、友達になったのは僕の目の前にいるレイだけだよ」

 

「碇君・・・」

 

「僕は死なない。まだ死なないから、大丈夫。レイも死なせない。一緒に生きよう。一緒にご飯食べよう。一緒に笑おう。もしも、苦しい事が起こったのなら、その時は僕を呼んで、僕に頼っても良い。必ず僕はレイの所に行く。僕はレイを忘れない。一緒に・・・・行く?」

 

差し出されたシンジの手を・・・・レイは初めて彼から差し出された手に触れる様にシンジの手に触れた。

 

シンジはレイの手を優しく握る。レイはシンジの手を強く繋ぐ。

 

「碇君・・・・一緒にご飯食べても良いの?」

 

「うん」

 

「また、味噌汁を食べても良いの?」

 

「良いよ、何時でも作る。僕も好きだから」

 

レイの問いにシンジは順番に答えてく。そして最後に

 

「私は・・・・生きていて良いの?」

 

「生きて良い。またミサトとペンペンと一緒いよう。自分の為にも、みんなの為にも生きて良いんだ」

 

「・・・・私、は人形じゃ・・・・ない?」

 

レイの言葉が途切れる。心から込み上げるモノが彼女の中で感じた。

 

「そんなの当たり前だよ。代わりなんていない。君が、君だけが綾波レイだ」

 

シンジの台詞がレイの心に深く届いた。いつの間にか彼女の目尻から滴が落ちる。

 

「私・・・・泣いてるの? 何故?」

 

レイの持っていた鞄が落ち、空いた手で触れる。暖かいモノが溢れる気持ちを彼女は止められなかった。

 

「ほら・・・・レイは人形じゃない。だから、一緒に行こう?」

 

「アリガトッ、碇くん。ありが、とうッ」

 

そう言ってレイはシンジの胸に飛び込み、彼の腕の中で泣いた。ずっと誰か行ってもらいたかった思いが、押し込めていたモノがレイの中から抜けていく。シンジはレイが落ち着くまで、そのまま彼女を優しく抱きしめ続けた。

 

 

使徒。出現。

 

第3新東京市上空に、巨大な飛行物体が現れた。まるで機械のように正確な正八面体をしたその形状は、ゆっくりとジオフロントがある方へと近づいて行く。早くも第1発令所では「分析パターン:青」を確認し、第6使徒として認定していた。

 

『監視対象物は、小田原防衛線に侵入』

 

『未確認飛行物体の分析を完了。パターン青。使徒と確認』

 

そこへゲンドウと冬月がブリッジに乗って上がってくる。

 

「やはり、第6の使徒だな」

 

と冬月が言い。ゲンドウは少し胸を抑えた後、姿勢を何時もの両肘を付き、両手を組むポーズへと変わる。

 

「あぁ、初号機を出撃させる」

 

ゲンドウはそう言って指で眼鏡を上げる。

 

「エヴァ初号機。発進準備」

 

ミサトの指示がケイジ内に響き渡る。

 

『第2指令具、換装』

 

「目標は、芦ノ湖上空へ侵入」

 

シゲルが状況を伝える。

 

初号機・エントリープラグ内。

 

シンジがミサトへと通信を飛ばす。

 

「ミサト。わかってるよね? 今度は敵の眼前に出すの無しだよ」

 

『えぇ。解ってるわ、使徒から距離を取った所へ射出した後。武器を受け取って。C17番よ」

 

『了解』

 

立体モニター通信からマコトの声が聞こえた。それを聞き終えた後、シンジは通信を切り。シートに体を預ける。

 

「・・・・いこうか。バルバトス」

 

初号機の目がシンジの声に答える様に光り機動を確認する。

 

 

エヴァ射出口。

 

発射場所へと初号機を乗せたブリッジが移動して行く。発射口、到達。

 

「エヴァ初号機、発進準備よろし!」

 

「発進!」

 

ミサトの号令と共に、初号機が地上へ向けて射出される。その時、シゲルのモニターに使徒の変化を知らせるシグナルが表示される。

 

「目標、動きあり!体積の表面から何かを射出しました!」

 

「何ですって!?」

 

使徒は八面体の体から小さい何かを上空に打ち上げた後。ソレは都市の地面に落下する。落下したモノは球体で穴が4つ。その穴から煙を噴射し周りを煙で埋め尽くす。更に使徒は上部から何かを射出し少し距離が離れた所まで飛んで地面に突き刺さる。杭状のモノからも煙が噴射され、都市一帯を煙で覆い尽くす。

 

「ん・・・・? 煙い」

 

地上に出た初号機の周りが霧に包まれた様に視界を覆う。近くの障害物やビルは視認出来る。拘束が解き。そのままカタパルトから出て、武器庫からライフルを取り出し、メイスを掴もうとした時だった。

 

「煙? まさか・・・・毒ガス!?」

 

「毒素は確認しません。この濃度は・・・・煙幕?」

 

「目標内部に、高エネルギー反応!」

 

「此方の視界を妨害して・・・・まさか!」

 

リツコが主モニターの方へ身を乗り出す。ミサトは使徒の次の行動を予測し、シンジに向かって叫ぶ。

 

「よけて!」

 

使徒は、八面体の体を複雑に変形させると、中心のコアから高エネルギーの荷電粒子砲を発射した。粒子砲を受けたビルは高熱で融解し、そのまま貫通してしまう。そして、使徒の放った粒子砲は勢いの衰えぬまま、初号機に向かって飛んでくる。そしてシンジは

 

「っ!?」

 

瞬時に跳躍し、直撃を避ける。さっきまで初号機がいた所は薙ぎ払われ、煙幕が霧散し、十字の爆発が発生。モニターでは初号機が跳んだのを確認。ATフィールドを介した跳躍を見せる。そして、ライフルを撃ちながら降下して着地。そして駆ける。弾は使徒のATフィールドに弾かれ攻撃を無効化。

 

「跳んだっ!?・・・・やはりATフィールドを使うスラスターだったのね!」

 

「シンジ君っ! 直ぐに遮蔽物に隠れてっ!」

 

初号機はミサトの指示通りに、ライフルを抱えて姿勢を低くし、ビル群に隠れる。シンジは初号機の内部電源の表示を見る。残り4分52秒。先ほどの攻撃でケーブルが焼き斬れてしまった様だ。ミサトからの通信が入る。

 

「一時撤退。その周辺のブロックを開くわっ! そこに飛び降りてっ! 今から時間を稼ぐその間に移動して!」

 

「了解!」

 

海上を、無人ボートに牽引されたエヴァ初号機そっくりのバルーンダミーが、ライフルを使徒に向ける。次の瞬間、閃光が走りダミーはボートごと消滅した。つづいて、ミサトの指示が飛ぶ。トンネルから列車砲が現れ、砲撃を開始。砲撃は使徒へ一直線に向かうが、その手前で、ATフィールドで無効化。そして、次の瞬間、閃光と共に吹き飛んだ。本物の初号機は電源が切れる前に、素早く移動し、開いた区画へ向かう。

 

「十二式自走臼砲、消滅!」

 

「まだよ! 使徒の注意をこちらに向けるの! 頑張ってっ!」

 

続いて、芦ノ湖に浮かべられた無人艇が八隻。それらを順に展開して時間を稼ぐ。バルーンのライフルによる攻撃が使徒のATフィールドに無効化され弾かれる。次も荷電粒子で消滅かと思ったが使徒は何もしない。ATフィールドで無効化しながら何もしない。

 

「使徒が攻撃をしなくなった? まさか、ダミーバルーンが偽者と感づいた!?」

 

リツコの推測が正しかったかの様に使徒に変化を確認した。

 

「目標再び、内部に高エネルギー確認!」

 

マコトの報告にミサトはシンジに叫ぶ。

 

「シンジ君! ダミーがバレたわ! 急いでっ!!」

 

初号機がライフルを捨て、そのまま駆け抜ける。目の前に開いたブロックを確認。電源もわずか・・・だが、初号機の背後から、光りが煌めく。シンジは視線を移すと、使徒がこちらに向けて荷電粒子を撃とうとしている。撃たれる前に辿り着く! シンジはそれだけ考えて駆け抜ける。そして遂に、荷電粒子砲が初号機に向けて放たれた!!

 

「防壁アーマーを展開!!」

 

ミサトが指示を飛ばす。初号機に直撃する現実が来るかと思われたが、初号機の背後に防護壁が展開され直撃を防いだ。そしてそのまま初号機は開いたブロックへと飛び込んだ。真っ直ぐ落ちないように壁に手や足を添えて落下速度を遅めて降下しながらシンジは上の方で爆発音を聞いた。本物の初号機を見失ったのを確認したのか使徒は攻撃を止め元の形へと姿を変える。

 

「目標は、攻撃を中止」

 

シゲルが使徒の状態を伝える。少ししてズシンッと初号機がリフトに着地した音が基地内に響いた。

 

「初号機回収、ケイジに誘導します」

 

マヤが帰って来た初号機の対応する。

 

「パイロット。心拍。脳波。共に正常。異常なし」

 

マコトがシンジの状態を報告。

 

「シンジ君、応答して。大丈夫?!」

 

ミサトがシンジの身を案じ通信を飛ばす。

 

「んー大丈夫。ホッとしたらハラ減った」

 

シンジの変わりない返答にミサトは安どし笑みを浮かべる。

 

「そう、良かった。一応検査するからその後、食べても良いわ」

 

「わかった。後・・・・ミサト」

 

シンジか背伸びをする動作をした後ミサトに声を掛ける。

 

「なに? シンジ君。やっぱり何処か痛い?」

 

「ありがとうミサト。お陰で助かった」

 

シンジの意外な返答にミサトは虚を突かれる。少し顔を赤くする。

 

「え、えぇ。貴方を失う訳にはいかないから、当たり前よ」

 

「ん。終わったら、美味いご飯作るよ」

 

「む、無理はしなくて良いのよ! まだ使徒は健在。倒してからにしましょ!」

 

「わかった」

 

そして、通信が終わり。後ろからリツコがミサトの肩に手を置く。

 

「ミサト・・・・」

 

微笑ましい顔で。周りも何処か和んでる顔をしてミサトを見る。

 

「な、何よ?! その顔、とっとと作業に戻りなさいよ!」

 

「はいはい」

 

ミサトがシンジと話してる間にリツコが指示を進めていたのか皆は直ぐに次の作業へ移る。

 

「やれやれ。とても14歳の子供とは思えんな・・・・逞しい者だ」

 

「・・・・あぁ」

 

シンジとミサトの様子に冬月とゲンドウはそれぞれの感想を想うのであった。

 

初号機のケイジではシンジがエントリープラグから出て来た所を見てプラグスーツを着たレイが走って行く。シンジは作業員達と少し話した後、自ら救護班の所に行く途中に彼の傍に着いたレイを見て大丈夫という様に微笑む。そして彼女はシンジに抱き着いた。

 

「・・・・レイ?」

 

「・・・・・・碇君」

 

シンジは彼女が少し震えているのを見ると、大丈夫と言いながらレイの頭を撫でた。

 

その頃、使徒はゆっくりと飛行しながらジオフロントの真上まで侵攻していた。地下のNERV本部がある位置で停止すると、正八面体の地面に最も近い部分をドリル状に変化させて地面に突き刺した。使徒は、硬いガラスでありながら同時に液体であるかのように、自らの体の形を柔軟に変えていく。地面に突き刺さったドリルは、そのまま地下を目指して掘り進めて行こうとしていた。

 

「現在目標は我々の直上に侵攻、ジオフロントに向けて穿孔中です」

 

ミサトは戦術作戦部作戦局第一課に職員を招集し、使徒殲滅に向けた作戦会議を行っていた。

 

「奴の狙いは、ここネルフ本部への直接攻撃か。……では各部署の分析結果を報告して」

 

「先の戦闘データから、目標は一定距離内の外敵を自動排除するものと推察されます」

 

 男性職員がプリントアウトしたデータを見ながら報告する。

 

「エヴァによる近接戦闘は無理というわけね。A.T.フィールドはどう?」

 

 ミサトがマヤの方を見る。

 

「健在です。おまけに位相パターンが常時変化しているため、外形も安定せず、中和作業は困難を極めます」

 

リツコの隣に座ってノートパソコンを開いているマヤは、ミサトの方に体を向けて分かっている事を告げる。続いてミサトの後ろに立っていたマコトが発言する。

 

「MAGIによる計算では、目標のA.T.フィールドをN2航空爆雷による攻撃方法で貫くにはネルフ本部ごと破壊する分量が必要との結果が出ています」

 

「松代のMAGI2号も同じ結論を出したわ。現在日本政府と国連軍が、ネルフ本部ごとの自爆攻撃を提唱中よ」

 

リツコは眼鏡を掛けてデータの書かれた紙をめくる。

 

「対岸の火事と思って無茶言うわね。ここを失えば全てお仕舞いなのに」

 

ミサトは上を向いて愚痴をこぼす。

 

「しかし、問題の先端部は、装甲複合体、第2層を通過。すでに、第3層まで侵入しています」

 

とミサトの正面に座っている男性職員が伝える。

 

「今日までに完成していた22層の全ての複合特殊装甲体を貫き、本部直上への到達予想時刻は、明朝、0時06分54秒。あと、10時間14分後です」

 

 既にカウントダウンが始まっているモニターの光に照らされながら、シゲルがミサトを見る。

 

「おまけに零号機は未調整のため実戦は不可能」

 

マコトは言う。

 

「初号機は少し、微調整が必要だけどすぐに済むわ。出撃は可能」

 

「しかし、あの使徒。初号機だけで倒しきる事が可能でしょうか? 明らかに初号機だけを徹底的に狙ってまし。そして、あの強固なフィールド」

 

マコトが資料を見ながら言う。

 

「とても、あのシンジ君だけでも倒しきるのは、難しいわね。あの使徒。まだ何か隠し持っている気がするわ。うかつに彼に無理をさせるのは危険ね」

 

顎に手を当て、考える素振りをするミサト。

 

「情報は芳しくないわねぇ」

 

ミサトがやれやれといった感じで頭を掻く。

 

「まさに八方ふさがりですね……」と言ってマヤがミサトを覗き込む。

 

「白旗でもあげますか……」

 

そう言ったマコトの方を振り返って、ミサトは強い眼差しを見せる。

 

 

「そうね。……その前にちょっち、やってみたいことがあるの。確か戦自研の極秘資料、諜報部にあったわよね」

 

 

とある工場現場。

 

 

「どうだねー!! 上手く使えるまで完成出来たかなーっ!?」

 

その工場で大きく声を上げる男が一人。彼の声に作業員達が一斉に返事をした。

 

『だいじょうぶーすっ!!』

 

「うんうん!! 大丈夫だねっ!! よーしっ!! もう直ぐだよシンジ君っ!! いい武器が出来るから、身体を休めるのだー!!」

 

ひと際大きい36歳くらいの男性が元気よくその声を高らかに発声して。巨大な『兵装』を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 




本当はもっと先を書きたかったが、今日はこれでお願いします。
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