「で、何がどうなったら、こういう事になるの??」
「あはは、なんででしょうね……」
手続きは出来た、研修日程も決まり、宿舎にも案内された、が、しかしだ
案内だったはずの大和が何故か、叢雲の担当者に収まっていた
わけがわからない、鍛錬も満足にしていない新造艦を初期艦の教導に着ける意味は何処にあるのか、司令官の所では建造艦である長門の教導を初期艦がやったとはいっていたが、それは技量の差、つまり建造艦とドロップ艦の技量の差に寄るものだ、それを逆にする事の意義が如何にもわからない
当の新造艦は困った様に笑うだけだし、そもそも秘書艦の役職は如何したんだろ、両立出来るという事なのだろうとも考えてみたものの、如何にも合点がいかない
「兎も角、そういう事になりました、明日からよろしくお願いしますね、叢雲さん」
えっと、これ、このまま受けて良いのだろうか、問い質すとしても、相手はこの新造艦では手間の無駄使いにしかならなそうだし
「?叢雲さん、どうかされましたか」
おっと、何にしても長考してる場合ではない
「幾つも疑問があるのだけれど、貴方以外に研修について詳しく聞ける人はいないのかしら」
まただ、何故この新造艦は困った様に笑うのだろう、司令官の長門ならこんな笑い方はしない、絶対に
「それについては明日にしましょう、今日はゆっくり休んでください、明日0600に宿舎へ迎えに行きますので、朝食をとりながら研修についてお話しします」
先延ばしか、少し突いてみるか
「言い方が悪かった様ね、不慣れな気を使った言い回しで伝わらなかったし、ハッキリ言っても良いかしら」
お、困った笑みを消してきた、如何出るか、この新造艦
「私が老提督の秘書艦を務めている事はご承知ですね」
「老提督?」
視察官の事だろうが、老提督とはなんなのさ
「貴方が視察官と呼んでいた人物です」
「それが、如何したの?」
「……如何したのって、えっ、あの、まさか、もしかして、老提督をご存知ないのですか?」
「???」
言い様から有名人なのだろうとは思うが、妖精さんのお気に入りだし悪い人では無い、それはわかる、それが私の研修とどんな関係があるのか、まして私の教導艦にこの新造艦が収まった理由になるのか、最悪の事態を想定して対応策を考えなきゃならないかな、これでは
「老提督との通り名で呼ばれてはいますが、国際機関としての艦娘部隊の最高意思決定議会に席を持つ方で、現在この国における艦娘部隊の行動計画の進捗状況の査察をされておられます」
「??」
なにそれ、それと私の研修となんの関わりが、如何にもこの新造艦は話しが通じないらしい
「あの方は艦娘部隊を国際機関として立ち上げた功績を国連にて認められ、議会に指定席が設定されており、終身総帥としてその立場が保障され、発言権が確保されている人物です、何と言っても私達と同じ様に妖精さんを見る事が出来た最初の人ですから」
ん、なんて言った、最後の所、最初の人?
「……ご存知なかったんですか?」
「まったく知らないわ、興味ないし、そんな事よりハッキリ言っても良いかしら?」
なにを驚いた顔をしてるのか、視察官が何者でどんな立場にいるか、そんな事如何でも良い、さっさと研修を終わらせて司令官の所に戻るんだから
「興味ないって、それだけ、ですか??」
「なにを不思議そうにしてるのよ」
「えっ、だって」
まただ、新造艦とはいえ戦艦がそんな顔を駆逐艦に見せるな、……沈めてやりたくなるから
「貴方は私の要望に応えられない、だから応えられるものの元へ案内しなさい」
「そうお急ぎになりますな、建造艦で頼りなく見えるでしょうが、これでも老提督の秘書艦に指名されています、悪い様にはいたしません」
これは、時間の無駄だね、わかってないこの新造艦は
「私の要望は二つ、さっさと研修を終わらせる事、そして司令官の元に戻る事、だから応えられるものの元へ案内しなさい」
「……」
駆逐艦相手に気押される戦艦なんて何の役にも立たないに決まってる、まして新造艦なんて冗談じゃない、これはどう考えてもただの先延ばし、このまま受けたら流されて時間を浪費するだけだ
「おー、さっそく仲良しさんですな、さすやま!」
「さざ、なみさん……」
なんで戦艦が駆逐艦にそうも明から様なタスケテ視線を送ってるのか、この新造艦沈めたい
「お、叢雲ちゃん、やる気が漲ってるねー、もしかしてやまちゃんと演習でもしてくれんの」
「良い考えだわ、丁度この新造艦沈めてみたいし」
何故、この程度で青ざめる、駆逐艦の火力で戦艦の装甲を抜くのは容易ではない事ぐらいは知っているだろうに
「そんな叢雲ちゃんに良い物をプレゼントしちゃいましょー、大人しく受け取ってやまちゃんと演習にれっつらごーだ」
「ちょっ、漣さん?それは一体どういう……」
戸惑う新造艦など御構い無しに手を引いていくあの漣、初期艦だよね、なにを考えてる
「話しは後々、さあ、ついてきてもらおう、叢雲ちゃん」
「……はあ、なんなのよ」
新造艦を相手に時間の浪費をさせれられるのかと思っていたら、初期艦が出てきて戦艦と演習らしい、なにがどうなっているのか
大本営って所はどういう意味でもとんでもない所だという事だけは分かった