「兵装の具合はバッチリですな!」
いや、断言するな、装備してるのはあんたじゃない
「この四連装魚雷発射管って、もしかして最近開発された、のかしら?」
「お、わかるとはお目が高い、さすむら!」
さすむらって、それより問題なのはこの兵装を扱う妖精さんも不慣れだという事
「妖精さんが扱いに困ってる様に見えるのだけれど、ちゃんと使えるんでしょうね」
「およー、弱気です?始まる前から参ったしちゃいます?」
「……その喋り方、疲れないの漣」
兵装の妖精さんに確認しながら聞いてみる
「あー、少しね、でも、これも漣という個性、だそうなので、面倒臭い事に」
「他人の個性を模倣することが漣の個性ではないでしょう」
「あー、言いたい事はわかるんだけど、ここでそれやると色々厄介なので」
「厄介?」
「人は自身の理解の内に留まるものは理解できるし、予想も予測も出来るけど、そうでないと真っ先に拒否してきますからね、叢雲ちゃんだって人と話そうとして上手く行かなかったでしょ」
「見てたのなら、悪趣味な事で」
アレだけ難儀してたのに放置上等とは、ここの初期艦も大本営に染まってるのか
「まあ、不快に思うのは当たり前、その指摘は事実だし言い訳はしない、って事でその辺りの鬱憤ばらしにその魚雷でやまちゃん泣かせて見よーか」
「嫌よ」
「あっれー、おかしいな、じゃあ叢雲ちゃんはどうしたいのさ」
「沈める、私の前に立ち塞がる愚か者は」
一瞬、ポカンとした顔をした後腹抱えて笑い出したんだけど、壊れたかな
「よーし、わかった、この演習は夜戦アリにしよう、そうしよう」
立ち直ったと思ったら何を言い出すんだ
「思う存分沈めてきなさい、漣が許可します」
だからそのサムズアップはなんなのよ
「さみちゃん、聞こえるかーい」
壁際に設置されている無線機?内線?に呼びかける漣、大和が別の場合で兵装の準備をしているからそれを補助してる五月雨を呼んでいるのだろう
「はい、五月雨です、トラブルですか漣さん」
「まっさかー、漣の兵装チェックは完璧です、さみちゃんこそドジ踏んでない、46cmと間違えて41cm積んだりしてない??」
「……まさか、そんなこと、するわけないじゃないですかーハハハ」
「間違えたのね」
この無線機オープン仕様なので嫌でも聞こえる、だからつい言ってしまった
「つ、積む前にやまちゃんが気が付いたから積んでません、本当です!!」
「41cmじゃなかったですよ、確かに」
大和の声でもフォロー?が入った
「……あのさ、41cmじゃなかったら何と間違えたの、さみちゃん」
「35.6cmでしたね、アレ」
「あー、やまちゃん、しー、しー」
聞いていて大口径より小口径を選ぶのも悪くない選択だと思った、相手は駆逐艦、火力的には副砲でも十分なんだし
「で、今回の演習は夜戦アリになったからよろしく」
「えっ、聞いてないですよ、夜戦に入ったら私に勝ち目がないじゃないですか!」
アホか、それ戦艦がいう台詞じゃない、やっぱり沈めようあの新造艦
「大丈夫、昼戦やってから夜戦だから、夜戦が嫌なら昼戦の内に勝利を決めれば良いだけ、ね、簡単でしょ」
無線機の向こうでなんか言ってるがよく聞こえない
「こちら吹雪、漣ちゃんホントに夜戦までやる気なの」
いきなり割って入ってきた聞き覚えがあるのに聞き慣れない声、吹雪?
「漣が思ったより叢雲ちゃんのやる気が漲り過ぎって感じ、やまちゃん沈めるって聞かないんだよ」
「はぁ?沈めるって、ええと」
「いいじゃない、いい機会だわ」
「仲間同士での沈め合いはダメなのです」
えっ、今の、えっ、困惑した、自分の声が自分以外の所から出てきた事に
「ああ、叢雲ちゃん一応説明しとくと大本営では初期艦は五人一組で行動する事になっててね、漣が叢雲ちゃんを誘ってきて、さみちゃんがやまちゃん誘って、ブッキーとムラムラとプラズマが演習場の準備って分担に「プラズマじゃないのです、いなずまなのです!!」……そういうこと」
「つっこまないわよ、泥沼にとらわれそうだから」
二の句が告げないように間を取らずに言い放つ、漫才が長そうなので打ち切らせよう
「それは、賢い判断です」
さすが初期艦、いい笑顔が出来るじゃない
「演習時間は夜戦突入後六十分を予定、但し何方かが大破したらその時点で終了、他にも不測の事態があった場合には漣から中止の宣言を出すかもしれないから無線は切らないで、それと予定時刻には警戒担当の三人から照明弾が上がるからそこで終了だよ、いい?」
「わかりました」
「了解」
「では、開始の合図は三人から祝砲でお願いします」
祝砲ってなに、とか思ってたら三方向から発砲音が聞こえた
演習開始!