初期の艦これ   作:弱箔

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18 終了するはずだった

 

 

 

 

演習は夜戦突入後、大和大破で終了した、いや、終了するはずだった

「そこの新入り初期艦、夜はまだ始まったばかりだ、私と続きをやってもらうよ」

「「「えっ」」」

突然割り込んできた声に演習場の周辺警戒をしていた三人から驚きの声が聞こえた

新造艦が大破したのに終了の宣言がなかったからおかしいとは思っていたが、この状況は五人掛りで仕組んだのでは無いのか

だとすると漣の独断か、にしては当の漣が沈黙したままだし五月雨も大和の回収に動いている様子が聞こえてこない

どういう事だ、こちらはあのクソ硬い戦艦に殆どの弾薬を使ってしまっている、補給も無しに連戦させるのは私を排除するのが目的か、或は他のどんな意図があるのか見当がつかない

「棒立ちしてたら只の的だよ!」

さっきの割り込んで来た声だ、相手は私の位置を掴んでいるらしい

それともこれはブラフで動かす事で位置を掴もうとしているのか

発砲炎が見えた、どうやら私は相当な馬鹿だと判定されている様だ、この相手からは

「漣、状況の説明を、どうなってるの!?」

ムラムラが漣を呼んでいるが返答はない、夜戦に入ったから実況とやらを止めたと考えていたが、もしかしたら違う理由で実況とやらを止めたのか、或は止めさせられたか

「五月雨ちゃん、聞こえますか、五月雨ちゃん!」

いなずまが五月雨を呼ぶも応答無し、なにか不測の事態が起こってる

「叢雲から、吹雪へ、聞こえる?」

取り敢えず無線に声を乗せていない吹雪を呼んでみる、がこちらも応答無し、さっきまで通じていた無線だ、聞こえていないとは思わない

「お喋りとは余裕のある的だ」

この相手は私の位置を掴もうとしている、それはわかる、こんな安っぽい挑発で私を動かせると判断している辺りからも不実で見当違いの判定をしている事もわかる

さて、どうするか、このまま帰港するのは容易だ、しかし大破した戦艦を放置して行くわけにもいかない、誰だか知らないが乱入者の相手をするには弾薬が心許ない

乱入者は初期艦三人に気付かれずに演習海域に侵入したらしい事から技量だけは相応にあると判断出来る、仕込みの可能性はこの際捨てて置いた方がいい

「いなずまから、演習参加者へ、不測の事態です、周囲を警戒しつつ帰港してください、演習は中止です!」

「いなずまちゃん、その宣言は漣の担当でしょ、勝手な事しちゃダメだよねぇ」

電の無線に応答したのは挑発的に返す乱入者だけ、囮のつもりなのか、電がご丁寧に探照灯を点けた

事前の取り決めでは演習の終了は三人から照明弾が上がる事になってる、ここで照明弾は使えないのだろうとは思うが、あの探照灯なんか変だな

また発砲炎が見えた、着弾点に立つ水柱、電のおかげで大体の位置関係がわかったが、あの乱入者何が目的だ、アレを撃破すれば済む、そういう事態なのだろうか

「新入りの初期艦!さっきまでの威勢は何処にいった!」

なんか言ってるが、どうしようか

あの乱入者、こちらの位置を掴もうと躍起になってる、目標の位置も確認してないのに乱入してくるとか、もしかして頭の弱い子なのかな

「相当頭に血が上ってるわね、まあ、駆逐艦は血の気が多いとは言われるけど」

さっきまでと違い落ち着いた口調に戻ってるムラムラ、状況が読めたのか?

「ムラムラってば、落ち着いてないで、止めないと」

うわっ、いなずまがムラムラって、まあ、いいけど

「ここで止めても解決しそうにないし、殺し合いにはならないでしょ、お互い高練度艦だしね、滅多にない高度な夜戦技量を間近で見物……見学する事にしたわ」

ムラムラの言い様から相手が誰か分かっている様だ、その目的も

何方もわからないから聞いてみた

「ムラムラ、見物料がわりに教えてくれない?」

「……あんたにムラムラ呼びされると、イラっとくるわね」

理不尽な、コールネームってヤツじゃないのか、コレ

「で、何を聞きたいのよ」

「あれは誰で、目的はなんなの」

ここで回りくどい事をしても時間の無駄でしかない

「……私よりあんたの妖精さんに聞くといいわ」

なんだそれ、答えになってない

「捕まえたー!!」

無線から、周囲から、そして目の前から、ほぼ同時に音と声と発砲炎がした

こんなので捕まえたと思われるとは相当な低評価が私には付けられている、この相手は何処からこんな低評価を弾き出したのか

「支払い拒否とか、そんなに高値を付けたつもりは無いのだけれど」

「支払い拒否じゃないわよ、それを払う筋が無いってだけ」

「払うつもりはあるんだ、ならアレへの対応は?」

「お喋りとは、余裕だねー!!」

あんたもね、そんな当てる気もない砲撃とか、なんのつもりなんだか

「今は演習中、漣から思う存分に沈めて良いって許可出てたでしょ」

「ちょっ、ムラムラ!?」

お、応答出来ないんじゃなかったのか、という事は

「許可出したのは漣だし、あとよろしくねー」

「ちょっと!それは幾ら何でも薄情というものでは!?」

「そうですか?記録によると、ざみちゃんが独断で許可を出してますが」

「ちょっ、御姉様!?それはですね……」

「お話は後にしましょう、今は演習中ですよ、邪魔になってはいけません」

御姉様?漣以外に二人いた、ムラムラは妖精さんに聞くと良いとも、まさかの可能性に気が付いて妖精さんに聞く

なんてことだ、大当たりだ、しかし疑問も浮かぶ、あとの四人は別の鎮守府に着任しているから大本営にはいないはず、それなのに今ここに揃ってるのは何故だ

「さて新入りの初期艦、そろそろ本気出そうか、お互いに」

相手の声色が明らかに変わった、いや、戻したと言うべきか、元の本来の声に

 

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