「熟練の初期艦がドロップ直後の素人に本気出すって、大人気ないんじゃない」
散々挑発してきたお返しを少しだけしてやろう
「あ、バレたよブッキー、それでも続ける?」
「ブッキーいうな、同型同名艦がいんるだよ、混乱するでしょ」
「大人気ないそうですよ、吹雪のやりようは」
どうも向こうの二人はこの演習に乗り気ではない様子、事情が今ひとつ掴みきれない
それともう一人は何処にいる
「電は吹雪に賛成です、私達の一角を担うというのなら相応のものを見せて頂かないと納得出来ません」
「プラズマだ……」
無線から微かにそう聞こえた
「誰ですか、言いたい事があるなら電の前に出て来るのです」
勿論出て行くヤツはいない、それにしても一角を担うって、何の事だ
「電ってば、それを今言っちゃう?話がややこしくなるだけにならない?」
「そうですよ、初期艦とは言え新人さんなんですよ、五月雨はお茶会しながらお話したいなぁ」
無線を通して聞こえて来るところから推定すると、吹雪と電は演習海域にいる、漣と五月雨
は四人でお茶会中らしい
まったく、人を演習に引っ張り出して自身はお茶会とか、優雅な事で
「心配はいらないよ新入りの初期艦、大破ぐらいで済ませてあげるから、貴方が、大和にした様に」
「大和には電が付きます、遠慮なく演習してください」
今のは乱入してきた方の電だよね、元からいた方の電と吹雪は何処に、ムラムラは見物決め込んだけど
「待ってください!」
お、吹雪登場でも結果は見えてるんだよね
「邪魔だから離れていなさい」
吹雪の方を見もせずにいうブッキー
「そうはいきません!叢雲ちゃんは今日大本営に来たばかりなんですよ!?」
「それがどうしたというのです?邪魔です、離れなさい」
電にまで言われる吹雪、まあ、そうなるよね、で、押し切られると
「それは出来ないのです、先任のやりようは間違っているのです」
お、いなずまが来た、思わぬ来援だ
「いなずまは電のいう事が聞けないのですか?」
「先任のいう事でも聞ける事と聞けない事があるのです」
「……ブッキーもそんな感じ?」
無線から噴き出すのを堪える感じがしたが、ここはツッコミ厳禁だよね
「おーおー、二人共熱くなりすぎ、只の小手調べなんだから見物が最善手なんだけどねぇ」
何故にそれを無線に乗せるんだこのムラムラは、独り言なら誰にも聞かれない様に無線を切れ
「御姉様、コレ、まいうーですね」
「それ、五月雨の手作りだからね」
「えっ、そうなんですか、今度教えてください!」
「ってか、早く来ないとざみちゃんが全部平らげそうなんだけど、いいかなブッキー?」
お前ら何しに来た、ってか漣と五月雨まで演習をほったらかすな
管制組と演習組のこの温度差はなんなの、バカらしくなって来たんだけど
「漣!演習続行中、気を抜くな!!」
瞬間無線が静まった
「やれやれ、吹雪ってば超マジモードじゃん、叢雲の事はその子とは無関係だからね、八つ当たりなら手を貸せないよ漣は」
「五月雨も同意します、佐伯司令官が要望書を出して来た以上、相応の理由があるはずです、その話の方が先だと思います」
「その話ならここに当人がいるんだから吐かせればいい」
吐かせるってなに、ブッキーは何の話をしてるんだ、なんか話が変に伝わってる?
「佐伯司令官が要望書を出したからこそ、猶予はありません、即時決定しなければならなくなりました、そして最も短時間で決定出来る方法が演習です」
電もなにを決定するんだろ
「そこまで、にしてください」
「初期艦の問題に嘴突っ込むのですか?」
今の大和?電が付いてるって言ってたけど、気が付いたのか、回復の早い事
「この演習は私と叢雲さんの演習です、そして私の大破で終了しました、それがなぜ続いているのですか」
「招集がかかって来てみたら、丁度演習してたのでこちらの手間が省けたのです、こちらの問題も乗せてもらいました」
「それ、別の問題ですよね、こちらに無断で乗せないでもらえますか」
「ダメなのですか?」
「ダメです、叢雲さん連戦じゃないですか、これでは只の新人イジメです、そんな事は秘書艦として看過出来ません」
「連戦が新人イジメ?寝ぼけてるのですか?」
「これは演習です、連戦を想定していない演習です」
なんか大和が随分と食って掛かってる、私は帰って良いのかな
「……つまり、新人さんの演習としての想定外対応としては難易度が高過ぎる、大和の主張はこういう事ですか?」
「盛り込み過ぎて演習の目的が無くなっています、目的のない演習は演習とはいえません、違いますか」
「……盛り込み過ぎ?どういう事なのですか?」
「あー、それは叢雲ちゃんの兵装を見てもらえるとわかるかな」
かなりいなずま寄りの声色になって来た電に無線越しに漣がいってきた
「四連装魚雷発射管、兵装の実地検証ですか、戦艦相手に」
「えっ、気が付いてなかったの、まさかブッキーも?」
無線からの声は漣なんだけど、たぶん先任の方だと思う
「気が逸り過ぎました、反省です」
「そんな事はどうでも良い、私はあなたが私達の叢雲と同等の存在だなんて、納得いかない」
「だから、それじゃ只の八つ当たり、漣は手を貸したくない」
「五月雨もです」
「電は大和を入渠させないと、です」
先任の初期艦の過半数が演習の継続を諦めた、元からいた吹雪と電は未だ先任の吹雪と対峙中、どうしようか
「叢雲ちゃんも大和に着いて帰港して、分からず屋の先任はどうにかする」
吹雪からの提案だ、しかしどうなんだろう、漣が演習の終了宣言をしないのがどうにも引っ掛かる
「あら、せっかく見物しようとしたのになんの盛り上がりもないまま終わり?ガッカリだわ」
ムラムラだ、盛り上がりもなにも、って、そういう事か、分り難過ぎでしょ、こんなの艦娘だって察せれないよ、このレベルを新人に求められても、ねぇ
「それで、そちらの先任の吹雪は、私と演習しないと気が済まない訳ね」
「大破で我慢してあげる、やさしい先任に感謝する事」
「ちょっと、叢雲ちゃん?!」
「年寄りの冷や水って知ってる?」
「……ダメなのです、叢雲ちゃんがやる気になってしまいました」
「やれやれ、こうなるとは思ってはいたんだけどね、予想通り過ぎて呆れてしまいますな、まったく」
「ワザとらしく言い訳しなくていいわよ」
「おう、読まれていたとは、さすむら!」
いや、それはいいから
「覚悟は出来た?」
「あんたの都合なんて知ったことじゃない、私はあの新造艦を沈め損ねたから、八つ当たる相手を探してたのよ、良い所に出て来てくれたのがあんたってだけ」
「……大和は新造艦じゃ無いんだけど、ってか沈める気だったの!?」
「兵装の具合がね、もう少し習熟時間があれば出来たのに、惜しい事をしたわ」
「度胸だけは熟練だね、新入りの初期艦」