初期の艦これ   作:弱箔

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登場人物(艦娘)

先任の初期艦

吹雪:ブッキー、吹雪
叢雲:一期の鎮守府で睡眠中
漣:御姉様、大抵は漣
電:大抵は電、偶にプラズマ
五月雨:大抵は五月雨

演習組の初期艦

吹雪:大抵は吹雪、偶にブッキー
叢雲:ムラムラ、偶に叢雲
漣:ざみ、桃色兎、大抵は漣
電:いなずま、偶に電
五月雨:さみ、大抵は五月雨

研修に来た叢雲
叢雲の教導をする事になった大和


21 落ち着きましたか

 

 

 

「落ち着きましたか」

「少し……」

だから、人の頭の上でなにやってる、いい加減にしないとミミノアーレで邪魔するぞ

「私達の叢雲は、沈むのが分かっていたのですね」

「ええ、だから、乗員である妖精さんを退艦させた」

「それに妖精さんが従ったという事は、その事態は回避不能だったという事」

先任の電、五月雨、漣が状況を確認してる、私って退避先なの?

「という事は、あそこの鎮守府が初期艦を拾いまくってたのは……」

「おそらく、呼んでいたのでしょう、救援艦を」

ブッキーの問い掛けに五月雨が応えてる

「漣には、まったく聞こえませんでしたけどね」

相変わらずいい食いっぷりな桃色兎だこと、ってか食べ過ぎじゃない、大丈夫なの

「いなずまにも、聞こえませんでした、呼ばれていたのは新しくドロップする艦娘だけ、なのですか?」

「叢雲の状態から、呼びにいけるのは僅かな妖精さんだけと思われるのです、既に大本営にいる初期艦より行動の自由が効く新規のドロップ艦に的を絞ったのかも、全ては推論の域を出ない事なのですが」

いなずまに電が応じてる、そんな事、推測しなくてもここに当事者が居るんだけど

「その辺りは長門が協力してたわよ」

だから、なんで、私がなにか言う度にコッチに注目するんだ

「協力って、どんな事なのです?」

電が驚きながらも聞いてきた

「長門が叢雲の妖精さんを少し乗せてるのよ、それで叢雲は状況を把握出来てた、私は長門達と合流してから、長門に乗ってる叢雲の妖精さんから色々話を聞いたし、頼まれごとも引き受けたわ」

なんで、そんなにお目々真ん丸にしてんのよ、そんなに驚く事なのコレ

「ちょっと、まって、ええ、なにそれ!?」

真っ先に素っ頓狂な声を上げたのはムラムラだ

「長門って、戦艦でしょ、なんで駆逐艦の妖精さんを乗せてるのよ、ってか出来るのそれ!?」

ムラムラうるさい

「ちょっと聞いた事ないですね、艦種の違う妖精さんの移乗は、出来ないとは言いませんが、極めてを付けなければならない程困難なはず」

「乗せるだけなら難しくないでしょ」

なにやら折角の可愛い顔を顰めてしまった先任の五月雨に軽くいってみる

「乗せるだけって、それこそ至難なはずですよ、妖精さんはああ見えて縄張り意識というか持ち場主義というか、役割を持てない所へは行きたがりませんし」

演習組の五月雨だ、こちらも難しい顔になってしまっている

「だから、その役割があったって事でしょ」

なんで皆んな揃って、ああなるほど、って顔になってんのよ、ブッキーなんか膝まで叩いてるし

「でも、長門がよく承諾しましたね、駆逐艦の妖精さんを乗せるなんて」

先任の五月雨が感心した様にいう

「?そう、特になにもなかったけど、普通に乗せてたし」

「ながもん、なのです」

「ながもん?」×10

「聞いたことがあるのです、長門は無類の駆逐艦好きだと」

なんで嫌そうに言うんだ先任の電は、司令官の話では長門は駆逐艦の相手をしている時が一番楽しそうだといっていたし、あの鎮守府の駆逐艦達も楽しそうだった

なにが嫌なんだろ

「駆逐艦の妖精さんを乗せて喜んでる変質戦艦なのです」

「エッ、それって、まさか、今の話が歪んで伝わってるの、もしかして……」

思いもしなかった、そんな事態になっていたなんて

「おそらく、そうだと思うのです、長門も大変なのですよ、これから」

なに、電のその同情と憐れみの意味する所は

「叢雲ってば最後にでっかい風評被害をばら撒いていったってワケだ、しかも相手があの長門、やりますねぇ」

なにを感心してるんだ漣は

「はは、叢雲ってばこんな置き土産を残していくなんて、これってずっと残るよね」

ココ笑う所か?ブッキーよ

「間違いなく残りますね、長門さんも無くそうとはしないでしょうし」

その同意と予測はどう解釈すればいいんだ五月雨

「そう言う意味では物凄く懐の深い戦艦だよね、長門は、建造艦でもああいう頼れる戦艦が出てきてくれたのはいい事だ、五月雨の手作りお菓子、もう無いのー」

おい、食い切ったのかあれだけあったのに、というか長門を褒めてたと思ったらお菓子の催促って、桃色兎ってば長門をなんだと思ってるんだ

「それで、叢雲ちゃんは妖精さんを引き受けたワケだ、ありがとね、引き受けてくれて、後は司令官が解体してくれれば私達の叢雲は思い通りに事が運んで言うことなしって所ですかな」

先任の漣が言ってきた

「え、違うわよ」

だから、なんで私がなにか言う度に皆んなで同じ様な顔をするのさ

「違うって、妖精さんを移譲して、まだ、何かやるつもりなんですか」

先任の五月雨が驚いてる、そんなに驚く事なのかな

「私が先任の叢雲に頼まれたのは存在を継いで欲しいって事、その為に自身を改修に使って欲しいとも言われてる、司令官には全部伝えたし承諾ももらってる」

なんだ、この沈黙は

「改修?叢雲ちゃんを、叢雲で?」

「そう、それで技量も継げるって言ってた、余程時間が惜しいみたい」

「いけません」

お、なんだ突然、この新造艦は異論があるのか

「改修で技量を受け継ぐことは出来ません、それに叢雲さんはその技量を習得する為に大本営に研修に来られたのではありませんか、先任の叢雲さんの技量が如何程のものかは存じませんが、この大和、その受け継ぐ技量とやらを超える技量を叢雲さんに習得させて見せましょう」

言ってる事が滅茶苦茶なんだけど、大丈夫か、この子

「技量が理由なら、その改修には賛成出来ないかな、漣は」

「?なぜ」

「やまちゃんが言ってる通り改修で技量が継げるってのが眉唾過ぎる、初期艦の最低限の技量は研修で十分だし、何よりあの司令官なら初期艦にそれ程ハイレベルな事を望む必要が無いんだよ」

「?」

意味が掴めないんだけど

「あれ、聞いてない?あそこの司令官は提督だよ、現実的に初期艦不在でも鎮守府を運営出来るんだ、そんな司令官の元で叢雲ちゃんが叢雲の技量を継ぐ必要性はどの辺りにあると思う?」

「?提督、必要性?」

思うって、聞かれても、そういえばなんの技量なんだろ、それに提督って司令官の別称じゃないの、他に意味があるのか、長門は司令官をそう呼んでたけど

「提督というのは通称といいますか、司令官は公式な役職ですが、提督は私達艦娘の中で妖精さんとお話し出来る個体を初期艦と呼ぶように、司令官の中でも妖精さんとお話し出来る方を提督と呼んでいます」

「現状で司令官に求められているのは鎮守府の運営ノウハウの蓄積です、その為に試行錯誤と検証が必要なのです、初期艦に求められている技量はこの部分に集約されます」

先任の五月雨と電が解説してくれたんだけど、つまりどゆこと?

「叢雲ちゃんがそれ以上の事を聞いていないのであれば、叢雲が言っていたというその改修の目的は他にある、のかも知れません」

えっ、なにそれ聞いてない、五月雨ってば怖い事言わないでよ

「そんなに不安そうにする事ないでしょ、個体は違っても叢雲よ、卑怯とは無縁な事だけは確実なんだから」

ムラムラがいってくる、そんなに不安な顔をしてたか、私

「そうですね、あの叢雲ですし」

「叢雲なのです」

「まったく、叢雲は」

「叢雲ってば、最後まで格好付けなんだから」

なに、先任の四人がなんか納得顔してんだけど、なんなの

「あー、もしかしてアレです、惚気ってヤツです?」

は、ノロケ、惚気ってなにが

「長門さんはあの司令官さんについて行く事を決めたと聞きました、叢雲さんもそうなのですね」

このお茶会中大人しかったいなずまがポツリの呟くように零した

「うわっ、なんかすごい事聞いちゃたような感じなんだけど」

いたのか吹雪、あんまりに静かだから忘れてたよ、ブッキーが煩かったし

ってか、なんで顔を赤くしてんだ

「どうしたの漣、難しい顔して、食べ過ぎてお腹痛くしたの?」

ムラムラの声につられて見れば確かに何時に無く難しい顔の漣

「この漣が食べ過ぎたぐらいで難しい顔をするとな、失敬な!」

いや、しらんがな

「やまちゃん、叢雲ちゃんの研修って通常通りの六ヶ月コースだっけ」

「その予定ですが、なにか」

「うし、ざみちゃん明日から手を貸して」

「ほにゃ、なんですか御姉様」

こいつ、いま寝てなかったか、ってか御姉様ってその呼び方はなんとかならんのか

「ちょっと妖精さんを焚き付けなきゃならなくなった」

「ほほぅ、面白そうですな、どれくらい煽ります?目一杯いっときます?」

「えっ、先任の皆さんは大本営に留まられるのですか?」

いなずまが聞いてる、そう言えば先任の初期艦はなんで揃ってるんだろ

「あれ、話が通ってないのかな、私達は鎮守府から撤収命令がでて大本営に召集されたんだよ」

なにそれ、初期艦に撤収命令?大本営に召集?なにが起こってるんだ

「演習場の準備中に来た話ですから三人は聞いてないですね」

演習組の五月雨だ

「準備中に、先任達と合流してあの演出になったと、趣味悪いわよ」

おや、ムラムラが不愉快そうだ

「いや、アレは即興でああなっただけで、演出したワケではないんですよ、ホントですよ」

なんか桃色兎が言い訳してる

「いなずまが探照灯点けなかったら、私も参戦してたんだけど、その方が良かったのかしら」

「だそうですよブッキー、いなずまちゃんに感謝ですね」

「ブッキーいうな、そうなってたら、四対一か、良い勝負ができたかも知れないね」

あ、なんか空気が、変わったんだけど

「へぇ~、いい勝負、ふーん……先任だからって見下してると沈めるわよ」

おい、ムラムラなに啖呵切ってる、それ私の台詞だし、って同名艦か

「生きのよさだけは一人前、それだけじゃ勝負にならないよ、叢雲ちゃん」

ブッキーが喧嘩買ってるんだけど、放置でいいのかなって、そうもいかないか

「じゃあ、近接戦でやろう、それなら五分でケリが着く」

「ちょ、叢雲ちゃん!?」

「いいわね、それ、先任風吹かしたからには、逃げたりしないでしょうね」

あ、ムラムラ大マジだ

「あー、言わんこっちゃない、だから先任だの後任だの言い出したらキリがないっていってるのに、なんで蒸し返すかなブッキーは」

「学習能力が、ブッキーだからなのです」

「同感です、だからブッキーなんですよ」

「ちょ、ヒドイってか援護なし?!」

「漣は援護の必要を感じません」

「電、以下同文」

「五月雨、以下略」

「よし、決まりね、大和、格技場の使用許可よろしく、先に行って待ってるわ」

「か、格技場!?」

「あんたも来るでしょ」

ムラムラが私を誘って来た、断る理由はない

「では、先任とやらのなんたるかを教えてもらいましょうか」

隣のブッキーを掴んで立ち、ムラムラの後に続く

チラッと後ろを見ると残った皆がにこやかに手を振っていた

 

 

 

 

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