初期の艦これ   作:弱箔

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23-a 同意を見てからはなしを始める

 

 

 

五月雨、電の同意を見てからはなしを始める

「まず、仕掛けについてだけど、これは普段の通常運用状態なら機能しない様にロックされてるんだ、これを使うにはそのロックを解除する必要がある、この辺りは妖精さんならわかると思ってたんだけど、現実的に原因不明と回答してる以上分かるのはウチ等と、退席中のブッキーに着いてる妖精さんだけになる」

「あれ、叢雲ちゃんに着いてる妖精さんは?」

「良い質問だ吹雪ちゃん、そもそも叢雲ちゃんの艤装に着いてる妖精さんから話を聞いてるのに当の叢雲ちゃんを数えないのはなんでか、はい、五月雨よろしく」

素知らぬ顔してお茶してる五月雨にも働いてもらおう、漣一人で全部やる事ないんだし

「いきなり振ってきましたね、まあ、漣が買って出てくれる限り任せようと思っていましたが買い続けてはもらえない様ですし、仕方ないです」

こいつはカワイイ顔して結構良い根性してんだよね、その辺りを活用した処世術は漣にはとても真似できないが

「なにか」

「漣じゃなくて、吹雪ちゃんでしょ!?」

何故にこっちを見る、解説相手は漣じゃないぞ、迂闊な事を考えただけでこれだもの、カンの鋭さも半端ない

「叢雲ちゃんには確かに私達の叢雲が移譲した妖精さんが着いています、ですが艦娘と妖精さんは不可分な存在、叢雲ちゃんに着いてはいても本来の役割は果たせません」

「あっそうか、叢雲ちゃんにも妖精さんは着いてるんだから初めからいる妖精さんと役割が重なってしまうんですね」

よくできました吹雪ちゃん、人任せで啜る茶はおいしいねー、ってこっち見んな五月雨

「その通り、そして初めからいる妖精さんと叢雲ちゃんは不可分な存在、役割が重なれば移譲された妖精さんは退く事になります、そうなれば如何に初期艦と雖もその声を聞く事は出来ません」

「あの、聞いても良いですか」

あら、さっきのが効いてたりするのかな、気にしなくて良いのにいなずまちゃん

「いいですよ」

おっと、漣には向けてくれたことのない素晴らしい笑みを浮かべた五月雨、さっきのを気にしてるのがもう一人いたか

「聞いていて思ったのですが、改修で技量を継ぐというのは、妖精さんの立場を逆転させるという事なのですか?」

「逆転させても意味はないですよ、艦娘と妖精さんは不可分な存在なのですから、もしいなずまちゃんのいう様な立場の逆転が出来たとしても、それは同時に艦娘の立場も逆転するという事になりますから」

「いなずまのいう様な妖精さんだけを入れ替えるという事例は今の所ありません、でも、興味を引かれる発想なのです」

お、電も気にしてたのか、意外だ、ってこっち見んな

「理屈的には出来なくはなさそうなんですけどね、自身で試そうとは思いません」

ご尤もなご意見ありがとう五月雨

「入れ替えではないけど、抜き取ったらどうなるか、ってのは今妖精さんと色々試行してるよ」

その辺りは気になるんだよね、あたしとしては

「抜き取る?どういう事なのです」

意外にも電が感心を示してきた

「それは長くなるからまた今度、解説続けていくよ」

吹雪ちゃんやいなずまちゃんがもう少し突っ込んだ質疑をしてくるかと思って視線を向けてみたけど、特に異論はないようだ

「次に修復工程の分岐だけど、本来はロックされてるからこちらの分岐には入れないんだ、けど叢雲の時には何処かでロックの解除キーを持たされてたからその作用でこの分岐に入り込んでしまった、それを工廠の妖精さんが修復工程の不具合として処理作業に入ったものだから話がややこしくなった、まあ、何もしないわけにもいかなかったってのは分かるんだけどね」

「その処理作業がなかったらどうなっていたんですか」

いなずまちゃんは工廠の作業工程をあまり理解してないのかな、こういう質問が来るって事は

「んー、どうにもならないかな、作業量的な違いが出るのは工廠側の事務処理ぐらいだし、なにより叢雲が持たされたっていう解除キーだけではこの分岐に入れるだけで出られないんだ」

「修復工程が終わらない、のですか」

あー、何と無くウチ等以外には仕掛けが分からなくなってる事情が見え隠れしてる感じがしてきた

「いや、修復工程は終わるんだ、あの分岐はその後に続けて別の工程が始まる事になってる、だけどその工程を始めるにもロックを解除しなくちゃならない、叢雲が持たされたっていう解除キーはそこまでの作用はなかったんだ、それで工程が無くなったカウンターが停止したんだけど、空白の工程を進んでるんだよね、ロックされた工程で止まれば表面上は何事もなく終わってた筈なんだ、でも入渠場のカウンターはオールナインになってた、誤差ではなかったんだ、あのオールナインは、妖精さんはなんらかの工程が挟まれた可能性を言っていたけど、今となっては時間と共に消失して検証不能だってさ」

「その解除キーを持たされたっていう所、わからないですね」

「いい着眼点だよ、さみちゃん、でも、もっとわからないのがその解除キーを作ったのは誰なのかってね、アレは妖精さんにしか作れない、現状を当てはめればアレを作れる妖精さんは最初の初期艦に着いている妖精さんだけになるんだよ、理屈的にはだけど」

「?自分の妖精さんに持たされたって事ですか」

言いにくいことをあっさり言うね吹雪ちゃんは

「まあ、当時私達は別々の鎮守府にいた訳だし、単純に考えればそうなるんだけどね」

あ、吹雪ちゃんがこっちの顔見てやらかしたって顔してる

「その可能性は排除していいでしょう、吹雪ちゃん、排除する理由はわかりますか?」

「はい!妖精さんと艦娘は不可分な存在であり、一心同体、運命共同体です!お互いに不利益な行為は有り得ません!!」

吹雪ちゃんは生真面目なのか、融通が効かないのか、兎に角そんなに肩肘張らなくて良いのに

「それでは、及第点はあげられません、なぜかわかりますか?」

なんか五月雨の詰問が始まってるんだけど、妖精さんが絡むと容赦ないんだよね、この子

吹雪ちゃんの顔に縦線が増えてるし、お節介にでるかな

「漣が妖精さんから聞いたという話を前提にすれば、妖精さんも解除キーを持たされていた事に気がついていなかったのです、この事から叢雲に着いている妖精さんが作って叢雲に持たせた可能性は排除出来ます、そして艦娘が自身に着いている妖精さんに無断で妖精さんが作製したモノを持つ或いは装備すれば、それこそ妖精さんに撤去されるのです」

「電はこう言っていますが、吹雪ちゃんはどう思いますか」

何をこだわってんの五月雨、電が正解言ってんだから先に進めても良いんじゃないかな

「えっと、そうなると、その解除キーは妖精さんが作ったモノではなかったとか、妖精さんの好奇心を刺激するもので拾って来たけど仕舞い込んで忘れてたとか、になるんですか」

吹雪ちゃんもそっち方向に引っ張るね、でも、発想は面白いしやつらの探りの手段としてなら十分に有り得そうな話

「つまり、吹雪ちゃんは現状では最初の初期艦にしかわからなくなっているあの仕掛けを理解するナニモノかが存在し、かつ利用しに来ている、そう考えているのね」

五月雨ってばぶっ飛び過ぎでしょ、それは

「そう言う事なら辻褄は合ってきそうですね、状況としては極めてよろしく有りませんが、そのナニモノかというのがやつらだと仮定するのなら最早猶予はないのです」

おい、電お前もか、いや可能性はあるよ、でもそんなに高い可能性かそれは、視野に入れておく程度ではないのか

「あの、質問してもいいですか?」

いなずまちゃんってばそんな他人行儀な、もっと気楽にしていいのに

「勿論いいですよ」

五月雨のその笑顔漣にも向けて欲しいんだけど

「その仕掛けというのは鎮守府の設計に含まれているのですよね」

「そうですよ、元々妖精さんには分かる様に仕掛けていますから」

「でも、現状では妖精さんは設計通りにそのまま作る事は出来てもそれが何の機能を持つ仕掛けなのかわからなくなっている、そういう事ですよね」

「その通りです」

いなずまちゃん、随分と慎重な運び方をするね、なんか思い付いたのかな

「工廠の妖精さんがそこを広範囲に聞いて回ったとか、形振り構わずに調べたとか、そういった所からそのナニモノかに鎮守府の設計が渡ったのですか?」

「そこは、妖精さんに聞いてみないとなんとも言えないかな、いなずまちゃんは工廠の妖精さんとお話しした事はあるよね」

「はい、あるのです」

「その時の感じとして、工廠の妖精さんをどう感じたかな」

「とっても物知りさんで、なんでも出来て、すっごく頼れる妖精さんなのです」

「おー、工廠の妖精さんが聞いたら酒盛り始めるわ、仕事ほったらかして」

「え、ダメなのです?」

「ダメ?逆だよ逆、いなずまちゃんそんな事いわれたらあのお調子者、舞い上がって降りてこなくなるね、間違いなく」

「漣、言いたい事は分かりますが、脱線してますよ」

「んじゃ、路線戻しよろしく」

「まったく、漣の茶々は置くとして、いなずまちゃん、その頼れる妖精さんがさっきいった様な軽率な行為をするのかな、五月雨はそこが疑問」

「いなずまの質問もそこなのです」

「……鎮守府の設計流出経路を調べた方が……、でもそれは至難だし……」

お、何やらさみちゃんがブツブツと独り言を始めたよ

「設計の流出とは限らないのです、技術基盤が同じなら誰でも思いつく程度の仕掛けなのですから、解除キーも同様なのです」

「えっ、どういう事ですか」

独り言を言っていたさみちゃんが電に聞き返してる

「艦娘の艤装や兵装は妖精さんの技術で作られている、鎮守府の設備も同様、この事から件のナニモノかは妖精さんの技術を持っていると推定出来るのです、それなら解除キーを作れても不思議はありません、それに設計を知っているのなら、半端にしか作用しない解除キーをもたせて来た目的がわからないのです」

「……当てずっぽうで解除キーを作って、どれがどこに作用するのか、確かめてる、という事でしょうか」

「そういう可能性もあるよね」

さみちゃんの自信なさげな疑問だ、あたしとしては実現確率の低さから可能性としか言えないけど

「艦娘部隊が設立されて以降、遠洋まで出撃している初期艦は増設された鎮守府に配属された私達、最初の初期艦だけ、狙われたかも知れません」

五月雨は別の見解を持ってる様だけど、なにかあるのかな

「どういうわけか、やつらからは識別出来るみたいだしね、最初の初期艦は」

取り敢えず、思いついた事を言ってみる

「それは感じていました、電が艦隊に編成された時とされなかった時では統計的にも有意な差があるのです、お陰で近頃は鎮守府でお留守番の日々でした」

「ちょっ、電、なにやってるの、そんなもんが数字で出てくる程出撃したの!?」

「……鎮守府で司令官と言う名目の保育児の子守をしてるよりマシなのです」

あちゃー、どうしてこいつはこうも他のいなずまと違ってプラズマに寄り過ぎな性格してんのか、いや、初めからじゃない事は知ってるけどさ

「なにかもんだいでもあるのですか」

「ありません!マム!!」

条件反射で口から出て来たよ、プラズマ状態は勘弁してほしい

 

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