なんだこれ、頭がぼーっとする、なんか体が怠い
なんかムラムラがこっちに向かって何か言ってる気がする
大和の方を見ようとしたけど首が動かない、なんだこれ、どうなってるの
「叢雲!聞こえる!?」
突然の大声、声的にブッキーみたいだけど、視界がぼやけて見えない
「大和、叢雲ちゃんを抑えて、早く!!」
今度は声の方を向けた、ムラムラが大和を呼んでる、抑える?なんで?
「何かあったの」
え、なんだ、今の、私の声なのに私が喋ってるのに、私じゃない、ナニコレ
「抑えろ、といわれましても、こうですか?」
視覚的に大和が背後から抑える様子は見えた、けど、抑える大和との接触感がない
「離して、大和、抑える理由はないでしょ」
視覚的に大和が抑えてる私の腕が動いてるのが見える、けど、動かしている感覚も抑えられている感覚もない
「耳を貸しちゃダメ!、そのまま抑えてて!!」
いつになく焦り気味のムラムラ
「どうしたの、叢雲ちゃん、事情が全く掴めないんだけど」
「そうですね、取り敢えず抑えましたが、説明が欲しいです」
「負けた腹いせに協力させてるだけよ、だから離して大和」
まただ、私じゃない誰かが私の声で喋ってる
「聞く事ないわよ、それは叢雲ちゃんじゃないんだから」
はい?いや、合ってるのかこの場合、でもなぜ分かるんだムラムラは
「確かに叢雲ちゃんじゃないみたいだけど、どういう事なのこれは」
「なにを言っているの吹雪、私は叢雲、貴方と同じ最初の初期艦の叢雲よ」
「これは、語るに落ちるというのですかね、実際には初めて見ました」
「感心する所じゃないでしょ、あんた誰なの」
困惑気味のブッキーに、何か面白いものを見つけた感じの大和に、焦りが顔に出てるムラムラ
「私は叢雲、佐伯司令官の初期艦、だから離しなさい、大和」
「いい加減にしなさい、あんたが何処の誰か知らないけど私達の叢雲は卑怯とは無縁なの、わかる?」
なんかブッキーが不機嫌なんだけど
「それがどうしたの、私とは関係ない」
「最初の初期艦、佐伯司令官の初期艦、でも吹雪さん達の叢雲とは関係ないと仰る、難しい立ち位置ですね」
「だから大和、感心する所じゃないってば」
ムラムラが落ち着いて来た、なんか進展でも合ったのかな
「ブッキー、手を貸して欲しいんだけど」
「ブッキーいうな、なによ」
あれ、ブッキーいわれるのまだ気にしてるの、いい加減に諦めれば良いのに
なんか二人で内緒話始めたんだけど、悪企みじゃないでしょうね
「それで戻るの?」
「妖精さんがそういうんだからやってみるしかないと思うけど、ブッキーは反対なの?」
「妖精さんと話させてくれない?」
「悪いけどそれは出来ない」
「なんでよ」
「妖精さんが話したがらない、それに時間も無い」
「時間?」
「叢雲ちゃんが侵食される前にケリを着けなきゃならない、ブッキーが妖精さんと話して納得する頃には取り返しがつかなくなってる、話なら後で私からでも出来るんだけど、どうしても妖精さんから話を聞きたいのなら、私一人でやるから」
「まったく強情なムラムラだ、仕方ない、後で話を聞かせなさい、いいわね」
「えーと、あのー、お話はまとまりましたか?私はいつまでこうしていればいいのでしょうか」
大和が情けない声で内緒話中の二人に呼びかける、あんたホントに大戦艦か
「お陰様でまとまったよ」
「いい、大和、しっかり押さえてなさいよ」
ん、ムラムラがミミノアーレを手に持ってる、ブッキーもだ、なんのつもりだろう
「押さえる、こうですか」
視覚的にかなり密着しているのが見える、でもやっぱり密着感がない
それを見たムラムラとブッキーがこちらに向かって来た
「そのまま動かないで!」
二人の狙いが交換したミミノアーレな事がその視線から分かった、けど、どういう事なのかさっぱりわからない
「!」
上体を大和に押さえられたまま脚を出すのが見えた、同時にその脚を受け流す二人
「右確保、交換した!」
「左確保、取り替えたよ!」
大和の両脇を駆け抜けるようにしつつ、アレを戻したらしい、よくやる
「えっと、もう離してもいいですか」
「もう少し待って、確認する」
「叢雲ちゃん、わかる?ちゃんと聞こえる?」
ブッキーが心配そうに覗き込みながら聞いてくる
「あ、……」
あれ、続けられない、なんだこれ
「叢雲さん、どうされました、しっかりしてください」
大和にいわれて気がついた、全身に力が入らずに大和に吊られてる状態になってる、少なくとも自分の身体の状態が感覚的に分かるように戻ってる、けどこれじゃあどうしようもない
「早く入渠させないと、だけど入渠場は遠征組で一杯だし、どうしよう」
「叢雲さん、状況を教えてください、相応の事情と判断出来るのなら秘書艦権限で入渠場を確保出来ます」
なんだろうねこのお人好しが過ぎる戦艦は、こんな甘々な戦艦が戦場に立てるのか不安だ
「状態は安定してるみたい、どういうわけか極度の疲労で随意筋組織が動かせない様だけど、循環器系と呼吸器系は問題ない、慌てる必要はないと思うけど」
「そういうのわかるの」
凄く不思議そうに聞くムラムラ、それに不満そうな顔をするブッキー
「これでも最初の初期艦、色んな場面を経験してるし、この手の診立ても覚えなければならないくらいには実戦に出てるんだけどね」
「そういう事なら、後は叢雲ちゃんの妖精さんに異論がなければ回復を待つか……」
そういうと考え込んでしまったムラムラ、折角秘書艦権限まで持ち出したのに放置される大戦艦に私だけは同情する事にしよう
「叢雲ちゃんの妖精さんも回復待ちでいいって言ってる」
「取り敢えず、叢雲さんを向こうに寝かせますね」
いつまで吊り上げられたままかと思っていたら大和がいい事言ってくれた、お人好しなだけにいいヤツだ
「お願い、でムラムラ、お話は?」
「は、なに、お話って」
「後で私から話はできるって言ったでしょう、もう忘れたの」
「あ、ああ、あれか、あー、でもどうしようかな」
「話しなさい」
「いや、話したくないって事じゃないの、話すのなら揃った時に話した方が良いかなと」
「?揃った時」
「後三人、向こうにいるでしょ」
「では、こちらの使用は終了して戻りますか、叢雲さんは眠ってしまいましたが」
「えっ、寝ちゃったの?」
「そりゃ寝るでしょ身体的疲労を回復するんだから」
「参ったね、それだと戻るにしても分担をどうしようか」
「分担?」
「ブッキーってばまさか全部大和に押し付ける気なの、それはちょっと違うんじゃない?」
「?」
「だから、ここの使用許可取ってもらったでしょ大和に、でもって今叢雲ちゃんが眠ってる、向こうに戻るには両方を処理しなきゃでしょ」
「格技場使用後の清掃もありますよ」
「だってさ」
「……手を借りようか」
「そうなるよね、やっぱり」