25 寝呆けながらそれをしばらく見ていた
6月24日
起きて最初に目にしたのは見知らぬ天井
寝呆けながらそれをしばらく見ていた
「!」
え、なにがどうなった、ここはどこだ、大和に抱えられた事は覚えてる
それからどうなった
上体を起こして辺りを見回す、案内された宿舎じゃない、けど、医務室とかそういう部屋でもない、誰かが生活している部屋みたいだけど、どうなってるの
「あ、起きましたか、具合が悪いとかありませんか」
声の方を向くと見知った相手、丁度部屋に入って来た所の様だ
「大和?えっと」
なんて言えばいいんだ、こういう場合
「大丈夫ですか、入渠場の予約は入れたのですが、順番待ちになりまして、少し先になりそうです」
入渠?誰が?
「吹雪さんに蹴飛ばされた、ミミノアーレ?でしたっけ、ムラムラがいうには入渠しないと治らないそうなので」
あれ、ムラムラのと交換して、ああ、大和に抱えられた時にムラムラとブッキーが戻したんだっけ
その後どうした、あれ、思い出せない、なんかあった様な覚えがあるんだけど、思い出せない、なんで
「朝食は食べられそうですか?」
朝食??窓から見える限りだとそういう時間には見えないが
「えっと、何から言えばいいのか、先ずはありがとう、色々迷惑かけちゃてるみたいで、ゴメン」
「いいえ、お気になさらずに、何と言っても大和は叢雲さんの教導艦ですから」
えっと、なんか、なんだろ、取り敢えず大和が楽しそうにしてるから、いいの……かな
大和が用意してくれた朝食を食べてる最中に来客があった
「こんにちは、叢雲ちゃん」
五月雨だ、最初の初期艦の、それと電、この二人が何故ここに
「お邪魔するのです」
「はい、どうぞ」
なんか昨日よりニコニコが増してる様な気がする大和
「おはよう、食べ終わってからで良い?」
「勿論、ごゆっくりどうぞ」
「吹雪さんと漣さんは?ご一緒に来られるかと思っていましたが」
大和が二人に聞いてる
「漣は相方を連れて工廠で何やら悪企みなのです」
「ブッキーは、なんか、色々気にし過ぎて来づらい様でしたね」
なんだそれ、ブッキーが気にする様な事ってなにかあったっけ
二人に席を勧めてお茶を出してる、この大戦艦はどうも司令官の所の長門とは戦艦という部分で重なる所が見えない、いや、火力も装甲も耐久もトンデモナイのは演習でわかっているんだけど、なんていうか当たりの柔らかさが戦艦らしくない、これって偏見とか先入観ってヤツなんだろうか
「ごちそうさま、大和、食器は何処に片付ければいいの」
「ああ、置いておいてください、それより叢雲さんもこちらへ」
おそらくここの家主だろう大和がそういうのなら変に意地はる必要もないし、素直に呼ばれた
「普通に歩ける様ですね」
感心した様にいう五月雨
「?」
どういう意味だろ
「ムラムラの話では、頭のソレが壊れて歩き辛そうにしていたと聞いたのです」
お茶片手にいってくる電、言われてみれば、壊れたミミノアーレが戻されたのなら昨日の立ち眩みの様な症状が出てもおかしくないのに今は何ともない、なんでだ
「一々直していられないから直ぐに慣れるとも言っていましたが」
確かめる様な感じの五月雨、そんな顔されても私だって分からない
「慣れたのかしら、よくわからないわ」
「叢雲さんもどうぞ」
大和にお茶を出された、座ると同時にお茶を出されたんだけど
「ありがと」
良いんだけどさ、なんだろ、この感じ
「で、先任が揃って来たからには、遊びのお誘いってワケじゃないんでしょ、回りくどい事は抜きにして貰いたいのだけれど」
「そう急かさないで、今やまちゃんが片付け終わったら一緒に準備して、遊びに行きましょう」
はい?なんて言ったこの五月雨、まさか遊びの誘いに来たと本当にいってるのか、いやそんな事ない、きのうは確か大本営に召集されたっていってたから
なんでこうなった?!
誰か説明を
いや、話はしたよ、私が私服持ってないって話にもなったよ、それに支度金とかいう名目で結構な額を持たされてたのも知らされたよ、だけどそこから何で買い出し?ショッピング?になるんだ
研修は何処いった
大和曰く社会研修とか言ってるけどホントか、時間の無駄使いにしか思えないんだけど
「どうです叢雲ちゃん、大本営内の施設だけど中に入ってるテナントは民間企業なんですよ、鎮守府だと一々外出許可を取らないとこういったお買い物は出来ないから不便なんですよね」
総合デパートっていうのかショッピングモールっていうのか知らないけど、その中を散々歩き回って買い物して、なんの必要があって買うのかわからない物を大量に買い込んで支払い等のレクチャーを受けつつ今は併設されているオープンカフェ?らしき所で休憩中だ
ええと、なんて答えるのが無難なんだろ、私的には果てしなくどうでもいいんだけど
「うーん、叢雲さんには社会研修の実践は早かったでしょうか、軽くではありますが人の社会で生存していく事の必要性は説明したつもりなのですが」
私の無反応さを大和が気にしてしまった様だ
「休暇を楽しむ方法の習得が私の目的を達成するのにどういう関係になるのかを測りかねているだけよ」
「叢雲ちゃんの目的が何であれ、研修は研修なのです、習得してください」
ど正論をありがとう、電って見た目と中身の差が激しいよね、昨日から分かってる事だけど
「もう、電はなんでそういう言い方をするのかな、叢雲ちゃんは昨日の来たばかりなんだよ、やまちゃんの言い分じゃないけどそれじゃあ新人イジメになっちゃうよ」
五月雨が電に言ってる、昨日もそんな話が出てたよね
「こんなのでイジメだとか判断する様な基準しか持ち合わせていないのならそれまでなのです」
電は私になんか思う所でもあるのか、まあ私的にもこの程度でイジメだとか思える様な細かい性分は持ち合わせてない、それにこんなのがイジメなら先任の叢雲が長門にやった事はどうなるのさ
「それ、昨日も言ってたけど今はその辺りに規定でも出来てるの?」
それはともかく、気になった所を聞いてみる
「規定といいますか、指針でしょうか、根性で実弾は避けられないし気合いで怪我が治るわけでもない、物事は論理的に考えましょうというお話です」
「論理的に、ね」
艦娘に人の論理とか、ココ笑うところかな
「その線でいうのなら、稼働率の向上になりますかね、尊大なだけの上官や嫌な僚艦と組むより、信頼できる上官と信用できる僚艦と組んだ方がいい結果をより多く出す事が出来ます」
「ふーん、でもそれって逆に言えばいい結果を出すと信頼できる上官と信用できる僚艦と組んでるって見做されてしまうわね」
「より多く、です、この部分を満たせないのであればそうは見做されません」
「……そういう事にしておきましょう」
あまりに大和が自信タップリに言うものだから反論も莫迦らしくなった
この時私は気がつかなかった、五月雨と電が満足そうにしている事に、その理由が両手で支えてるコップを満たしている甘そうな香りの飲み物ではなかった事に