初期の艦これ   作:弱箔

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29 いたいた、ブッキー!

 

 

 

「あ、いたいた、ブッキー!」

 

妖精さんの後を着いて行ったら、すんなりとブッキーに辿り着いた

こちらの声に反応してブッキーがこちらを向く

 

「……叢雲ちゃん」

 

なんだ、その顔は、人の顔見て顔を背けるのはどういうつもりなのか

 

「ブッキー、艤装の調整をしてくれたって、ありがとう」

 

ブッキーがどういうつもりかはこの際気にしない、こっちはこっちで聞かなきゃならない事がある

 

「え、あ、うん、序でだったし、気にしないで」

 

「ついで?」

 

「え、ああ、自分の艤装の調整をしてたのよ、その序で」

 

なんだろうね、こちらを見ないし、明から様に言葉を選んでるし、ちょっとカマかけてみるか

 

「ふーん、ついでって言う割には色々弄ったみたいじゃない」

 

「え、弄ってない、調整をしただけで、交換とか換装とかはしてない!」

 

言ってからアッって顔してるんだけど、交換?換装??どう言う事???

 

「ねぇブッキー?艤装が艦娘にとってどういうモノか分かるよね」

 

「……」

 

こうも判りやすくなんか隠してますって態度になると流石に気にしない訳にはいかない

 

「話してくれるよね」

 

ブッキーが俯いてしまった、追い詰める気は無いんだけど、どうしようか

 

「それについては、場所を変えて話しましょうか」

 

いきなり出て来る先任の五月雨、そういえば先任達はここに居るんだった

 

「え、五月雨それは……」

 

戸惑い気味のブッキー

 

「話さない訳にはいかないのです、叢雲ちゃんも言っている通り艦娘にとって艤装は生命線なのです、叢雲ちゃんは知らなければならないのです」

 

続いて出てきた電、知らなければならないって、なんの話だろ

 

「あー、そっちでやっててねー、漣は手が離せません!!」

 

どこからか漣がいってきた、どこにいるんだ、見渡す限りには見えないが

 

「もう、漣ったら」

 

五月雨が不満そうだ

 

「仕方ないのです、吹雪はどうしますか、話しにくいと言うのなら無理にとは言えませんが」

 

おお、電に吹雪って呼ばれてる、てっきりブッキーで固定だと思ってたのに

当のブッキーは俯いたままだ、そんなに気にしているのなら話した方がスッキリすると思うんだけど

 

「叢雲ちゃんは今日の予定は終わったのでしょう」

 

五月雨に聞かれた、その筈だが、一応大和に聞いてみる

 

「終わり、だよね」

 

「ええ、港まで終わりましたし、今日の予定は終わってますよ」

 

「この後は電達とお話なのです」

 

いきなり予定を入れられたんだけど、強引な事で

 

「何処でお話しされるのですか?」

 

天然というか空気読まないというか、ある意味で大和の性格はスゴイ、この前だって初期艦の事情に嘴突っ込むなと電に睨まれてるのに

ほら、電がジト目になって大和を見てる

 

「今から空いている部屋の使用許可を取ります、大本営からは出ませんので御安心を教導艦さん」

 

五月雨がそういうと電が仕方なさそうに溜息を吐いていた

 

「え、やまちゃんが叢雲ちゃんの教導艦なの?!」

 

ブッキー煩い、でもやっと顔を上げてくれた

 

「そうですよ」

 

簡潔に答える五月雨、なんか、先任の五月雨って電並みに温度差というか裏表とは違う何かがあるよね

 

「でしたら、大和のお部屋でお話しされては如何ですか、丁度叢雲さんも同室ですし」

 

「……叢雲ちゃん大和と同室って、あの話受けたんだ」

 

なに、なんで五月雨はそんな意外そうにするんだ、え、ダメな選択だったの

 

「手続きはもう済んでいるのですよね」

 

電も確認してくるし

 

「はい、今日のオリエンテーションを利用して書類作成の実習がてら済ませてあります」

 

なんで大和が嬉しそうにいってるんだろ

 

「いいんじゃない、やまちゃんなら大抵のことには対処出来るし、叢雲ちゃんを見捨てたりしないだろうし」

 

ブッキーよ、それはフォローなのか、それに見捨てるって何?

 

「そうですね、前向きに考えましょう」

 

「なのです」

 

いったい、どういう状況なんだ、これは

 

 

 

 

 

ホントにどういう状況なの、こ!れ!は!

確かに御夕飯はこれからだったよ、向こうの三人もこれからだっていうのは時間的に分からなくはないよ

だからって、食材買い出しに繰り出して六人分の食事を作ろうって話に如何してなるんだ、何故か大和がそういう方向に牽引するし、五月雨も乗ってくるし、誰も反対しないし、いや、大和の料理上手は知ってるよ、五月雨だって手作りお菓子を大量に持ち込むぐらいの腕があるのも知ってるよ、けどね、あんたら私の艤装に何をしたんだー!!

そこを気にしてるのが私だけって如何いう事なの、さっきの深刻そうな話は何処いった

 

ただ、こういう状況になってみれば大和の部屋って一人で住むにはかなり広いと改めて思う、詳しくは知らないけどこの部屋の間取りって一人暮らし用ではない、でも大和は大本営所属艦?だったかな、ソレにはこういう居室が割り当てられるともいっていた、如何いう事だろう、なにか私の知らない事情でもあるのだろうか

居間のソファーに座って大和達を見ていたらブッキーが隣に座って来た

 

「ブッキーは手伝わないの?」

 

「叢雲ちゃんこそ手伝いにいっていいんだよ?」

 

そう、何故か買い出した食材をキッチンに運び込んだら御役御免とばかりに居間に追い出された、なんでだ、そんな風に見られてるのか

 

「手伝いが必要な様には見えないから、こっちでのんびりさせてもらうわ」

 

「叢雲ちゃんが一人で寂しそうだから構ってあげようかと思って」

 

ほほう、構ってくれるとな、いいでしょう構ってもらいましょうか

 

「初期艦が大本営に召集されたって言ってたけど、何があったの?」

 

「詳しい事情は聞かされてないんだ、そういう命令だとしかわからない」

 

「なら、今、鎮守府の方は如何なってるの?」

 

「撤収命令が出て、私達は既に鎮守府所属艦ではなくなってるよ」

 

なにそれ、それじゃあ鎮守府が運営出来ないじゃない、大本営はなにを考えてるんだ

 

「先任の叢雲も所属を解かれた、引き続き鎮守府で保護されてるけどね」

 

えっ、待って、という事は私があの鎮守府に着任する条件は整ったって事なのか

 

「叢雲ちゃんは研修中でしょ、仮状態だけど大本営所属艦なんだから変な事したらダメだよ」

 

顔に出たのかブッキーにクギを刺された、そうか条件が整ったのは鎮守府側だけで私の側の条件が整ってないんだ、焦ったらダメだ、司令官は着任に必要な辞令を取ってこいといっていた、この研修中に何としても取り付けなければならない、無理はするなともいわれてるけどね

 

「撤収命令に召集命令か、ブッキーは如何思うの?」

 

「如何っていわれても、こっちは命令ならそうするしかないし、大本営が何の考えも無しにこんな命令を出す訳ないし、出来ることから片付けていくだけ」

 

へー、その片付ける中に私との演習と試合があったって事ですか、そうですか

 

「なによ、なんか言いたそうな顔して」

 

「片付ける中に新人イジメが入ってるんだなーと思っただけよ」

 

「ちょっ、新人イジメってなに、そんな事してないでしょ?!」

 

ブッキーが抗議の声を上げたのと時を同じくして呼び鈴が鳴った、来客の様だからドアフォンで確認する

 

「出るわ」

 

キッチンに声をかけて玄関に向かうと何故かブッキーが付いて来た

 

「イジメって何の話をいってるの?」

 

あれ、もしかしてブッキーって冗句の通じない子なのかな、気にせずドアを開けて来客を迎え入れる

 

「急に呼び出さないでよ、まったく」

 

不機嫌を隠す気もないこの来客、ムラムラだ

買い出しの途中の話であの時格技場に居たムラムラも呼ぼうと誰かが言い出して、何故か連絡先を知っていた五月雨が夕飯をご馳走するとの条件で呼び出した

出迎えるなり不機嫌さをぶつけられたから少しトゲのある返しをしてみた

 

「そういう割には素直に来たじゃない」

 

「そりゃね、大和が料理上手なのは知ってるからね、折角の機会を逃す手はないわ」

 

ムラムラはトゲなど気にも止めず不機嫌を引っ込めてしまった

 

「だから叢雲ちゃん、何の話をしてるのよー」

 

ブッキー、まだいってたのか

 

「ブッキー?どしたの」

 

なにか心配気なムラムラ

 

「まあ、上がって」

 

そういったらムラムラに変な顔をされた

 

「?」

 

なに、変な事は言ってないと思うけど

 

「なんで、あんたが、自分の部屋みたいにいってるの?」

 

「あれ、聞いてない?」

 

そういえば、大和と同居だってさっきまで先任の初期艦達も知らなかった様な気がする

 

「なにを?」

 

「叢雲ちゃん大和と同居になったんだって」

 

ブッキーに割り込まれた

 

「え、うそ?ほんと?!羨ましい!代わってくれない叢雲ちゃん!!」

 

おいムラムラ、なんだそれは、代わったら私は何処で寝起きすればいいんだ

 

「ムラムラってば正直過ぎる、まあ、気持ちはわかるけど」

 

なんかブッキーも同意してるし、なんだかな

 

「叢雲ちゃん二人とブッキー、御夕飯の用意が出来たからどうぞー」

 

キッチンから五月雨が顔を出した、五月雨はブッキー呼びなんだ

 

「行きましょう」

 

いつになく真剣な顔を見せるブッキーを見て、ムラムラと顔を見合わせてしまった

 

 

 

 

 

 

 

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