「えっと、これで揃ったのかな?」
買い出しに出たのはいいものの大和から頼まれた買い物は品目が多く現物を揃えるのに苦労した
まあ、売り場を散々周っただけで済んだのだからショッピングモールってのは凄い便利なのだろう、私の覚えている所ではこれだけの品目を揃えるのに商店街をハシゴしなくちゃならなかったハズだ、それを思えば大した苦労では無いと思う
ただ、問題は、コレどうやって持ち帰ろうか、持ちきれなくは無いんだけど
持ったらそのまま直帰しないといけない
ちょっとどこかに置いて一休みとか、お茶など一杯というのは厳しい量だ
そんな事を朧げに考えていたら、レジの店員から声をかけられた
「御会計はどちらでなさいますか?」
なんのことかと示された画面を見たら、支払い方法が二つ出ていた
一つは個人決済、もう一つはグループ決済
ん、何故ここでグループ決済が出て来る?
聞いた限りの説明だと大和が近くにいればグループ決済が出来るという事、これは同居という事情からそうなるんだそうだ
大和が付いて来てる?そう思って辺りを見渡して見るもその姿は無い
知らない間にプレートだけ持たされたのかと思い、探してみたけれど大和のプレートは無い、電子マネーの性質からしても他人に無断で持たせる様なモノでも無いし、と悩んでいたが、ふと見れば会計の列が伸びている上に店員が困っていた
「あ、ごめんなさい、個人決済でお願いします」
グループ決済出来る条件が思い当たらなかった、なんだかわからない事態を招いてここに大和を呼び出す事になるよりはマシだろうと思っただけで何かしらの思惑があったワケではない
「えっ、はい、個人決済ですね」
「?」
何故か店員が不思議そうにしながら会計処理をしていた
買い出しの帰り道で声をかけられ、そちらを見れば演習組の吹雪と電がいた
「叢雲ちゃん?どうしたのその買い物は」
「一人で持つには多過ぎると思うのです」
おお、先任の方と違ってこの二人は心配してくれる上に優しい言葉までかけてくれるのか
ブッキーは今ひとつ何考えてるか分からないし、プラズマに至っては弩Sだし、同型同名艦でこうも違うとは、自分の事は棚上げするとしても不思議なものだ
「多い事は多いけど、持てなくは無いし、二人はどうしたの?」
「御夕飯に出て来たのです」
「そうしたら叢雲ちゃんが大きな買い物袋を提げて一人で歩いてるのを見かけたから」
「そう、私は見た通りの帰り道、それじゃあね」
夕食を食べに来たのなら長引かせる事もないから、早々に切り上げた
「幾つかいなずまが持つのです」
電がこちらに手を伸ばして来た、いや、持つって言われても、夕食に出て来たんでしょ貴方達
「そうそう、無理はしない、私も手を貸すよ」
吹雪、おまえもか、でもどうしよう、好意で言ってくれてるのは分かるし、どう言えばそこを否定せずに断れるんだろう
「叢雲ちゃん、私は特型一番艦の吹雪、あなたの姉妹艦で吹雪型のネームシップ、頼ってくれて良いんだよ」
お、おう、そこまで言われてしまっては断わり様がない、何がどう出るのか分からないけど
「それじゃあ、少し持ってもらっても良いかしら」
そんな訳で私の運ぶ量は三分の一になった
「あ、あら、吹雪さんに電さん、如何されたんですか?」
部屋に帰り着いて出迎えた大和が二人を見てこう言った
「大和、この量を叢雲ちゃん一人に持ち運ばせるのは如何かと思うよ、流石に」
「戦艦なら大した事では無いかも知れませんが、叢雲ちゃんは駆逐艦なのですよ」
間髪入れずに抗議を入れる吹雪と電
「えっ、あれを持ち帰ったんですか、叢雲さん、配送にしなかったんですか?」
「配送って、コレ食料品でしょ、配送にしたら不味いんじゃないの?」
私の覚えている所では配送なんて何日かかるか分かったものではないんだが、そんなに時間をかけたら買った食料品が傷んでしまう
「配送にしたらって、叢雲ちゃん、今は食料品でも傷まずに配送できる様になってるんだよ、前の頃では考えられなかったよね」
吹雪が解説?説明?してくれた
「そうなの?」
配送の手続きは前に教わったが、あの時の品物はまだ届いていないんだけど
「衣類とか生活用品とは配送の仕組みが違うのです、今は食料品でも安心して配送出来るのですよ」
こちらの疑問を感じ取ったのかいなずまが続けた
「そうなの?」
大和に聞いてみた
「そうなんですよ、大和としては配送にしないで持ち帰るとは思っていませんでした」
それであの量の買い出しな訳だ
「会計の時に店員さんから配送にするかと聞かれませんでしたか?」
大和に不思議そうにされてしまった
「いいえ、そんな事聞かれなかったわよ」
そういえばあの時の店員はなにか不思議そうにしていた、なにかやらかしたのかな私
「おかしいですね、グループ決済すれば聞かれる筈なんですけど」
大和が考え込んでしまった
「個人決済にしたわよ、グループ決済しようにも大和は決済機の周囲に居ないのだから使えないでしょ」
「「「はい?」」」
な、なに、なんで三人揃ってそんなに疑問形なの、これはもしかしなくてもやらかしたかな
「叢雲ちゃんは研修中な上に教導艦の大和と同居しているんだから、無条件でグループ決済が使えるよ、知らなかったの?」
吹雪が不思議そうにしている、私はそんな説明聞いてないんだが、でもこのグループ決済ってのはあの手続きマラソンの中で説明したと大和は言ってるんだよね、それを聞いたけど覚えきれなかったのは私だし、問題は私か
「決済機の周囲にいなければ使えないのは一時的なグループ設定の場合なのです、時限設定と期限設定を混同していませんか?」
いなずまに聞かれた、時限設定?期限設定?ナニソレ
「あ、そういう事ですか」
なんか大和が納得してるんだけど、事情が読めたのかな
「あの時の食材費はあの場にいた五人で支払っているんですよ、それであの場にいなかった叢雲さんが寄付という形に、あの説明は全員が支払っているという説明として大和は話したつもりでしたが、勘違いさせてしまった様です、ごめんなさい」
謝られる事では無いんだけど、元を正せば窓口トライアルで覚えきれなかった私の所為だし
「うーん、ムラムラから少しは聞いたけど、なるほどだね」
「大和は時々すごくスパルタさんになるのです」
苦笑いしてる大和、この場合私はどうしたらいいんだろ
「えっと、取り敢えず買い出し品を運んでしまいましょうか」
何時迄も玄関口に居ても仕方ないし、片付けられる所から片付けていかないとね
「そうですね」
苦笑いのまま応える大和、仕方ないか
「そんな訳だからもうちょっといいかしら二人とも」
「いいよー、乗りかかった何とやらってヤツだし」
「なのです」
三人で買い込んだ食料品をキッチンに運び込んだ