初期の艦これ   作:弱箔

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41 良く知らないと言っている艦娘について

 

 

 

「では、始めにじーちゃんが良く知らないと言っている艦娘についておさらいです」

 

先任の漣が講談師の様に話始めた、ノリというのかなんなのか

 

「じーちゃんは元海自の人でしょ、艦船が就役する迄の順番は知ってるよね?」

 

「大雑把に言えばドックで船体を造って進水させ、艤装を施し、兵装を載せ、乗員の慣熟訓練を経て就役、と言う所かな」

 

「流石じーちゃん、話が早い、そういう所が意図を読めるって事なんだよね、まあ、コレは本題じゃないので置かせて貰うけど、その順番で行くと建造艦とドロップ艦との違いは乗員の慣熟訓練を終えているかこれから訓練を行うのか、という事になる」

 

「工廠で建造された艦娘は就役出来る状態ではない、というのかね」

 

少し驚いた様子を見せる視察官、表情が作りモノでないなら本当に艦娘について知らない様だけど、それなのに妖精さんに懐かれてる、なんか違和感を感じるんだけど

 

「平時ならそれで通るんだろうね、でも、戦時ならそんな事言ってられなくなる、結果がどうなるかなんて帝国海軍の実例がある訳だし、じーちゃんは元海自、そこの説明は要らないでしょ」

 

先任の漣の言い様に難しい顔になって考え込んでしまう視察官

 

「護衛艦の場合、兵装を載せ換えるには艤装の変更も必須で相応の時間が必要なんだが、艦娘は兵装を容易に換装している、様に聞いている、コレはどういう事なのか?」

 

その難しい顔のままで質問して来る視察官

 

「護衛艦の場合はそうだろうね、動作系はもちろん制御系から載せ換えだ、ある程度パッケージ化されてるから破損した場合も丸ごとだ、艦娘の場合は艤装部分を妖精さんが直接担う事で動作系も物理的な干渉も問題ない様になってる、まあ、限界はあるけど、制御系は元から妖精さんだから、余程特異な妖精さんでない限り問題にならない」

 

「特異な妖精さん?」

 

聞いた事がない妖精さんの話に思わず口を挟んでしまった

 

「あ、えーと、その話は長くなるから、次の機会でいいかな」

 

どういう訳か困った様子を見せる先任の漣

 

「良くないな、なんだよその特異な妖精さんって、聞いた事無いぞ」

 

最初の天龍が言い出した

 

「妖精さんはそれぞれ得意とする分野がある事は聞いている、しかし特定の分野が問題となる妖精さんと言うのは聞いた事がない、私も聞きたいのだが」

 

視察官まで乗って来た

 

「えーと、その話はホントに長くなるから別の機会にしたいんだ、今回は叢雲ちゃんの艤装について話さないと、明日には入渠なんだし本人が知らないままでの入渠は予想外の問題が起こるかもしれない」

 

なにそれ、怖い事言わないでよ

 

「叢雲ちゃんは現状を正確に把握してる、それは間違いない、けどこっちの想定外の変な所で引っ掛かる場合がある、そうだよねやまちゃん」

 

大和に同意を求める先任の漣、言ってる事は先日の件だろう

 

「入渠で妖精さんの整理がされると聞いて塞ぎ込んでしまった事ですか?」

 

塞ぎ込むって、いや、言われても仕方ないけどさ

 

「それでなんで塞ぎ込むんだ?理由が分からん」

 

口の悪い天龍からだ

 

「先程天龍さんもお話しされていたではありませんか、先任の叢雲さんの妖精さんが着いていると」

「?それが」

「その妖精さんが居なくなるという部分を大袈裟に解釈されてしまった様です」

「?ますます分からんぞ、なにをどう大袈裟に解釈したら塞ぎ込むって事になるんだよ」

 

「叢雲ちゃんは鎮守府で私達の叢雲から頼まれ事を引き受けてる」

 

先任の漣が大和に投げた話を引き取った

 

「頼まれ事?」

 

最初の天龍からだ

 

「その頼まれ事を履行するのに妖精さんの助力がどのくらい必要か、そこを読み間違えたみたいだね」

「つまり、先任の叢雲から譲られた妖精さん抜きで、頼まれ事は履行出来ないと判断したって事か」

 

「判断したのはそこじゃないよ、まあ、強いて言うなら司令官の心象ってヤツかな」

「心象って、艦娘の与える心象なんて妖精さんでどうともならんだろ、いくら司令官でも着いてる妖精さんを全部認識出来る訳じゃない、アレは見えているだけだからな」

 

「佐伯司令官は提督だ、そういう結論は軽率かも知れないよ」

「ん、そうか、鎮守府で会ってるのか、しかも譲られた状態で、そういう事か」

 

「あー、そういう事なら気にするなって方がムリだな」

 

いい人の天龍が同意してきた

 

「初期艦に着いてる妖精さんなら見知っていて当然、それがそっくり居なくなってれば心象を悪くしかねない、と考えるのも分からなくないな」

 

口の悪い天龍も納得顔だ

天龍三人が腑に落ちたって感じにウンウンと頷いてる、なんだかなぁ

 

「こっちとしてはそこが問題になるとは思ってなかった、なにしろ佐伯司令官は提督だからね、妖精さんと話した上での事なのは当たり前と思ってた」

 

「当たり前過ぎて説明、と言うかこの場合確認か?しなかったのか」

 

最初の天龍が聞いてきた

 

「しなかったんですよ、それが必要だとすら思わなかった」

「まったく、初期艦がこれだけ揃って何やってんだよ、教導も大和に投げっぱなしなんだろ、少しは気にかけてやれよ」

 

「あ、いや、それに関してはなんとも……」

 

「一号の初期艦ってのはそこまで薄情なのか?それとも最初の初期艦って事で特別待遇だとでも思ってんのか?」

 

言い淀む先任の漣にいい人の天龍が言ってる

 

「そういうつもりはないのです」

 

電が反論してる

 

「状況の進行が速くて対応し切れていないだけです」

 

五月雨も異論がある様子

 

「命令と進行する状況と自身の行動と、どうすれば整合出来るのか読み切れないんです」

 

ブッキーのは、なんだろう

 

「アホか、そういう時の為に俺等がいるんだろうが、駆逐艦の面倒を見るのは軽巡の役割だ、この天龍さまは世界水準を超えてるんだぜ」

 

口の悪い天龍はそう言うけど、練度的には最初(一号)の初期艦の方が確実に上だ、それに天龍達は建造艦だと言っていた

なら、人の社会で過ごした時間も最初(一号)の初期艦の方が長いだろう

自身より練度が劣り経験も浅い相手を頼りにするのは、どうなんだろう

電は経験の重要性を言ってたし、他の三人も異論がある様な素振りはなかった

 

「この場に天龍を呼んだのは、そういう事なんだけど」

 

一組の漣が口の悪い天龍の言い様を肯定して来た

 

「まったく、こんなに混み入ってからかよ、ハナから頼って来いってーの」

「まあ、チビ共はチビ共なりに色々考えてんだろうけどな」

「独立独歩も自主自立も結構だが、それで袋小路に嵌ったら只の知恵足らずだな」

 

口の悪い天龍 、いい人の天龍、最初の天龍、三人とも厳し目の感想を言ってる

 

「……知恵足らず、か」

 

視察官が難しい顔のままでポツリと零す

 

「そんな訳なんで話を戻して良い?」

 

先任の漣がいつも通りになんの気負いも無く軽めに言ってくる

 

「事情はわかった、結論だけでいいから言ってみな」

 

最初の天龍は条件を付けてきた

 

「結論だけ、ですか、誤解が一杯出そうでヤなんですけど」

 

「アホか、この天龍さまがどんな誤解をするってんだよ」

 

口の悪い天龍だ

 

「誤解した所でどうなるってもんでも無いだろ」

 

いい人の天龍も結論を聞きたい様だ

 

「簡単にいうと、特務艦の建造が出来る」

「ちょっ、ざみちゃん!?」

 

アッサリ言った桃色兎に先任の漣が慌ててる

 

「特務艦というと?」

 

視察官が聞いてくる

 

「有名所では只の錨地を海軍拠点として機能させた工作艦、他にも給料艦とか測量艦とか、広く言えば輸送艦とかも」

 

簡単に答えてる桃色兎に先任の漣が頭を抱えてる

 

「補給艦が居れば洋上補給で行動圏が拡大出来そうだな」

 

口の悪い天龍が何故か嬉しそうにしてる

 

「あー、そういうことになるんだろうけど、だから話すのヤだったんだ」

 

先任の漣が不機嫌になってしまった

 

「今の話の何処が嫌なのだ?艦娘には良い話ではないのか」

 

視察官が不思議そうにしてる

 

「人は未だ艦娘の使い方を習得してはいません、そこに特務艦が加われば任務で出発した艦娘はどこの鎮守府にも帰る事が出来なくなるかも知れません」

 

先任の五月雨が怖い事を言い出したんだけど

 

「まさか、そうはならないだろ」

 

最初の天龍は先任の五月雨の言い分に驚いた様だ

 

「人に特務艦を持たせると工作艦による補修と輸送艦からの補給で艦娘を運用する、と言いたいのか、嘗て母港では無く泊地を拠点として運用された様に」

 

いい人の天龍が聞いてる

 

「工作艦の手に余る様なら洋上で処分されるでしょう、鎮守府は艦娘を建造するだけの施設となり、建造用資材を収集する遠征隊しかいなくなる」

 

先任の五月雨が答えてる

 

「随分と極端な話だな、そう考えるのはどんな実例を見て来たんだ?」

 

口の悪い天龍が意地悪そうに聞いてる

 

「現在の大本営を見れば、妄言とも言い切れないのではないですか」

 

先任の五月雨の台詞に天龍が三人揃って黙ってしまった

 

「遠征隊が資材を収集し建造を、今は解体している艦娘が処分に替わる、結果として艦娘の数は増えず、練度の向上もなく使い潰していくだけになる、そういう事かね」

 

視察官が確認して来た

 

「いかんね、反論が思いつかない」

 

いい人の天龍が天を仰いだ

 

「行動圏の拡大ってそういう意味じゃ無いんだが、大本営の士官なら、そうするだろうな」

 

口の悪い天龍も表情を暗くしてしまった

 

「その特務艦はどこの鎮守府でも建造出来るのか」

 

最初の天龍からだ

 

「わからない、けど、今の所建造例は無い、もしかしたら大本営の工廠だけかも知れない」

 

一組の漣が答えた

 

「大本営の工廠で特務艦が建造出来る事がわかったんだ、この点は士官達のおかげなんだけどね、特異な妖精さんが大挙して現われるキッカケもあった事だし」

 

なんか投げやりな感じの先任の漣

 

「おかげ?解体しまくった士官達の?」

 

不穏な目付きで聞いてくるいい人の天龍

 

「そう、そのおかげで大本営の工廠は妖精さんで溢れかえった、建造は艦娘を造るのと同時に妖精さんを発生させる事でもあるからね、建造と解体を繰り返した結果、工廠を増設しても間に合わないくらいに妖精さんが増加したんだ、そこに初期艦の解体まで加わったから妖精さんの間でもなんかあったみたいだ」

 

「初期艦の解体?」

 

先任の漣の言葉に思わず聞いてしまった

 

「ん、叢雲ちゃん?聞いてない?貴方の前にあの鎮守府から来た初期艦達は皆んな解体を申請してる、士官達は解体が大好きだからね、誰も異論を唱えずその通りに事が運んだんだ」

 

「あの子達は戦意を喪失していました、なにを見たのか、なにを聞いたのか、共通して返ってきた返事は、あの叢雲の状態は有り得ない、でした」

 

先任の漣に続けて一組の漣だ

 

「?有り得ないのはそうだけど、戦意喪失?」

 

私だって司令官の叢雲の状態は見てる、でも戦意喪失する様な事象は見ても聞いてもいない

どういう事だろう

 

「詳しい事は分かりません、私達の叢雲が目覚めなくなってから直接会った大本営所属の初期艦は一組の五月雨だけですから」

 

そういう五月雨は一号(先任)の五月雨だ

 

「あれ以来少し変わっちゃたんだよね、五月雨、笑わなくなったし、喋らなくなったし、ドシも踏まなくなったし」

 

一組の漣が思い出した様に付け加えてくる、その言い分だとよく笑ってよく喋る五月雨はドシを踏みまくる様に聞こえるぞ

 

「叢雲が絡む案件ですから、あの子には特に思い入れがあるのでしょう」

 

先任の五月雨だ、そう言えば一組の五月雨って一組の叢雲で改修したって天龍が言ってたっけ

 

「思い入れ、ね、わからなくはないが、初期艦といっても万能なワケじゃない、特に駆逐艦なんて単艦では碌な戦力にすらならない」

 

最初の天龍の尤もな言い分

 

「初期艦だからって単艦運用したのは士官だろ、一組の初期艦を纏めて事に当たらせれば良かったものを何故か五月雨だけ行かせたんだよな、あの件は」

 

いい人の天龍は何か不満な事がある様子

 

「改修の効果を見るとか意味分からん事まで言ってたしな、事案への対応と改修を受けた事にどんな関係を妄想していたのやら」

 

口の悪い天龍はヤレヤレな感じだ

 

「……その話詳しく聞かせてもらえないか」

 

天龍達の言い分に視察官が言ってきた

 

「老提督が気にする事じゃない、一組の五月雨は要請を受け調査し報告書を提出してる、気になるなら報告書を読めばいい」

 

答えたのはいい人の天龍だ

 

「報告書なら読ませてもらったよ、私が聞きたいのは報告書に記述の無い当時の事情だ」

 

なんかいい人の天龍と視察官が睨めっこし始めたんだけど

 

「これはダメかもわからんね」

 

先任の漣が言い出した

 

「なにがだよ」

 

最初の天龍が聞いてくる

 

「こっちの話が全然出来ない」

 

困った様子の先任の漣

 

「大和としても確認したい事があるので漣さんとお話ししたいのですが」

 

珍しい事に大和が口を挟んで来た

 

「あー、やまちゃんの話は何と無く想像がつくんだけど、それも長くなりそうだね」

 

苦笑いする先任の漣

 

「いや、すまない、そちらの話を聞くと言いながらこちらばかり話してしまった」

 

気まずそうにする視察官

 

「その辺は仕方ないんじゃ無いかな、ここに居る皆んながみんな話したい事が有って集まってるんだし」

 

どうしよっか、という感じの一組の漣

 

「アレですね、船頭が多いと船が山に登り出すってヤツ」

 

三組の漣(桃色兎)のは感想かな

 

「確かにこの状態じゃあ時間の浪費だな、かといって話を後回しにされるってのも面白くない」

 

最初の天龍も解決策は見つけていないらしい

 

「そんな事言ったら話の順番すら決められずにこのままグダグダ進行だぜ」

 

口の悪い天龍はそれに同意しつつもどうにかしたい様子

 

「一層の事話の内容で班分けでもするか、老提督は大本営再構築策の協力者探しだろ、漣たちは叢雲の艤装の話で大和は叢雲の入渠の話だ、どの班に行くのか決まらないのはこの三人になるが」

 

そう言いつつ一号の初期艦三人をみるいい人の天龍

 

「漣は提督の方に行くけど」

 

即答する一組の漣

 

「電はお爺さんの方に行きます」

「まだ班分けするって決まってないんだけど」

 

それに続く先任の電の言い分にブッキーが苦笑い

 

「入渠は明日の予定ですから今晩中に叢雲ちゃんに話して準備を整えてもらわなければなりません」

「そういう五月雨はじーちゃんの方に行くんでしょ」

 

先任の五月雨の言い分に先任の漣が嫌味成分を込めて言ってる、漣も電と同意見なのか、話があるから私の方に来る事になると思うけど

 

「いえ?叢雲ちゃんの方に行きますが、なにか?」

 

なんだろうね、ただ嫌味にトゲつけて返しただけじゃないこの感じ、もしかして五月雨も私になにか話があるのだろうか

 

「二班に別れるという事になるのかね」

 

視察官からだ

 

「俺等だってコイツの艤装やらなんやらの話は聞いておきたいが、老提督との話は俺等だけじゃなく艦娘全員に関わってくる話だ、嘴突っ込めるなら老提督の話の方が面白いな」

 

最初の天龍は視察官の話の方を重視している模様

 

「大和は漣さんとのお話次第では明日の入渠をキャンセルしようかと思っています、このまま確認が取れないのであれば必然的にキャンセルする事になるでしょう」

 

え、なに突然、確かに損傷判定としては小破未満なんだし今回入渠をキャンセルしても誰も疑問に思わ無いだろうし、何よりこの状態でも支障はない、ムラムラが言ってた慣れというのだろうか格技場での歩くのも難しくなる様な事にはなってない、誰かに入渠が必要かと問われれば答えに詰まる

入渠場は遠征隊の艦娘で一杯だとも聞いてるし、そこに割り込む必要性はどうなんだろう

 

「それは困る、明日の入渠予定は予定通りに実行してもらわないとこっちの準備が無駄になる、それにウチの叢雲がこっちの叢雲ちゃんに何を仕掛けたのか裏付けが取れなくなってしまう」

 

先任の漣が予定通りの入渠をする様に言ってくる

 

「仕掛け、ですか」

 

大和の眼がいつになくコワイんだけど

 

「仕掛けって言っても大体の事は分かってるんだ、ウチの叢雲が叢雲ちゃんに頼んだ事を出来る限り支援してるって、その為に自身の妖精さんを通常なら不可能な範囲まで移譲してる所までは確認出来てる、ただ、前例が無いんだよね、ここまで自身の妖精さんを移譲したのは、その辺りを入渠してもらって確認したいんだ」

 

大和に対応する先任の漣

 

「入渠時が一番妖精さんを観測し易いですからね、艦娘に着いた状態だと初期艦でも全ての妖精さんを見つけられない、あっちこっちで色んな所で一体化しちゃってますから」

 

桃色兎から解説?かな

 

「入渠時に妖精さんを追跡して叢雲さんの仕掛けを確定させる、そういう事かね」

 

視察官のは確認?かな

 

「そういう事、ただ叢雲ちゃんが不安定だと仕掛けが意図しない方向に作用するかも知れない、それは避けたいんだ、その為にも叢雲ちゃんにはウチの叢雲が何を仕掛けどう支援しているのか、そこを把握して欲しいんだ」

 

先任の漣が入渠の注意点の様なモノを言ってきた

 

「不安定?天龍にも言われたけど、私の何が不安定なの?」

 

再度の不安定との指摘に聞き直す、思い当たる所が無いし

 

「叢雲ちゃんが自覚出来ていない所からすると些細な所なんだとは思う、実際演習では安定してたし、でも何故か不安定なんだよね、理由がわからないけど」

 

続けて先任の漣

 

「妖精さんが定着出来てないって事じゃ無いのか?」

 

口の悪い天龍が思い付きを口にした、たぶん思い付きだろう、根拠があるとも思えないし

 

「それなら演習で安定してた事が説明出来ない、新規兵装を初見で使い切ってるんだよ、妖精さんが定着していないのなら艤装に問題が出てそこに繋がってる兵装なんて想定の半分も使えない事になる」

 

先任の漣が答える

 

「定着してるのに不安定、余剰の妖精さんがなんかしてるって事か、ちょっと有り得ない話だが」

 

最初の天龍は釈然としないって感じだ

 

「その可能性もある、だから入渠でハッキリさせたい」

 

先任の漣が入渠を言ってくるのは私の状態を確定させるのが目的なのか

 

「それにムラムラが言ってた頭のソレからなんか言ってきたって話も気になるしね」

 

桃色兎が付け加えた

 

「?頭のソレ、俺等にもあるコレか?」

 

いい人の天龍が自分の頭のソレを指す

 

「なんか言ってきたってなんだよ、そんな事聞いた事ないぞ」

 

口の悪い天龍だ

 

「コイツには妖精さんは着いてない、なんか言ってきたってのはどういう事だ」

 

最初の天龍まで乗って来た

 

「やっぱり話が長くなるね、取り止めがないというか、班分けする?」

 

困った様に言う先任の漣

 

「いや待て、そんな話を出されてハイそうですかって聞き流せるかよ」

 

口の悪い天龍はコッチの話を聞きたいのかな

 

「班分けの必要はない、私の話は機会を改めよう、そちらの話を続けて欲しい、私も聞いておきたい話の様だ、それに漣さんが私を呼んだのはこの話を聞かせる為だろうからね……彼は、佐伯司令官は此方の叢雲さんから提案された改修を行う事を渋っていた、優先度が高くないと言ってね、そして今も大本営からの初期艦撤収命令に質問状と称する抗議文を以って拒否、初期艦を保護している、彼がそうした理由と漣さんの話には通じる所がある様に思う」

 

「改修を渋ってた?」

 

先任の漣が視察官に聞いてる

 

「改修を行う予定をきいたのだがね、仇を見る様に睨まれたよ、私の短慮で不快にさせたのだとばかり考えていたが、これまでの話を聞いているとそれだけでは無い様だ」

 

「アレは司令官が自分の初期艦が目覚める可能性を捨てきれなかったから、だと思うけど」

 

印象でしか無いが思った所を言ってみる

 

「なら、今は目覚める可能性を捨てているって事になる、叢雲ちゃんに要望書を持たせているのですから、その決め手になったのは、何?」

 

先任の五月雨が堅い表情をしながら聞いて来た

 

「私の提案を妖精さんと協議してたみたいだけど、詳しくは知らない、直ぐに研修に来てしまったから」

 

「なんて言ってたの?佐伯司令官は」

 

先任の漣が聞いて来た

 

「自分の初期艦はもう目覚めない、これ以上我が儘は通せないって、それは誰の利益にもならないって、それに自分の初期艦が艦娘としては既に終わっている事も、今は工廠の妖精さんが維持してる事も知ってた、準備を整えて置くから大本営で鎮守府への着任辞令をとって来いって言ってくれた、だから私は研修を修了するまでに司令官の鎮守府への着任辞令を取りたいの」

 

「今、変なこと言ったね、工廠の妖精さんが維持してるって?」

 

先任の漣がとても不思議そうに聞いて来る

 

「司令官の叢雲にはもうほとんど妖精さんは着いていない、私に譲ってしまったから、それでも司令官の叢雲は眠っている、工廠の妖精さんのおかげでね、それのどこが変なの?」

 

「工廠の妖精さんは艦娘の存在とは関係しない、工廠の妖精さんが艦娘に出来ることは補修とか修復、兵装や装備開発といった艦娘が存在する事が前提、唯一の例外が建造だ、工廠の妖精さんが艦娘の妖精さんに入れ替えや交代では無く、鞍替えするのは建造しかない、建造で発生する妖精さんと鞍替えする妖精さんが合わさって艦娘と不可分な妖精さんに成っている、少なくとも大本営ではそうなってる」

 

先任の漣から説明が入った

 

「大本営では、自身に着いている妖精さんを自ら放出した艦娘を工廠の妖精さんが補完するなんてありえません、それが出来るのなら、艤装を放棄する事で生き残った艦娘達を工廠の妖精さんで補完出来る事になる、残念ながら大本営ではそうなってない」

 

一組の漣が先任の漣の説明を補強してる

 

「ちょっと御姉様方?漣が知ってる話と随分違うんですけど、工廠の妖精さんで艦娘が維持されてるって、あの引き籠もり達の案件で妖精さんと色々試行して来たのに、とっくに先任の叢雲が実践してるって、どうなってるんです?どういう事なんですか?」

 

桃色兎が文句?不満?を言ってる

 

「ああ、艦娘から妖精さんを何処まで引き抜けるかってのは、お前らが色々弄ってるんだったな」

 

桃色兎の文句を聞いた最初の天龍が軽く言った

 

「!?なんで天龍がそんな事知ってんのさ」

 

驚く先任の漣

 

「そりゃオレが天龍さまだからだ、駆逐艦の悪企みくらいお見通しだぜ」

 

なぜか口の悪い天龍が返してる

 

「ちょっとざみちゃん!?天龍にどこまで喋ったの?!」

「なんですか?喋ったらいけないんですか?駆逐艦だけで事を運ぼうとしても天井が低く過ぎです、事の次第に巻き込める他艦種が居るなら積極的に巻き込んで行くべきでしょ」

 

責める様に言う漣にいつも通りに返す桃色兎

 

「……ざみってば時々スゴく大胆」

 

一組の漣は呆れてるのか感心してるのか

 

「そんな事より、あの引き籠り達をどうにか出来るって、ホントか?」

 

いい人の天龍がいう

 

「あーもう、話があっちこっち跳んだ挙句にこんな方に転がって来るなんて、こうなったら、今夜は語り明かしてやる、文句は言わせない、ってか文句付けるなら今直ぐ退出して頂戴」

 

ヤケにでもなったのか先任の漣が無茶苦茶言い出した、なのに誰からも文句出ず、退出者も居なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 




登場艦娘

研修中の叢雲
教導艦の大和、老提督の秘書艦も兼務してるハズ

先任の漣、最初の初期艦の一人、桃色兎からは御姉様呼びされてる
先任の五月雨、最初の初期艦の一人、桃色兎からは五月雨御姉様呼びされる事も
先任の電、最初の初期艦の一人、今回もプラズマ成分無し
先任の吹雪、最初の初期艦の一人、居る、同席してる、大勢からブッキー呼びされてる
先任の叢雲、最初の初期艦の一人、一期の鎮守府で保護されてる

最初の天龍、32話オープンカフェで最初に声をかけて来た天龍
いい人の天龍、27話大和に苦情を言いに来たが、事情を知り頼って来いと言った天龍
口の悪い天龍、32話オープンカフェで可愛げが足りないと言って来た天龍

演習組(三組)の漣(桃色兎)、ざみちゃん呼びされてる
演習組(三組)の叢雲、ムラムラ呼びされてる

一組の漣、桃色兎からはちぃ姉様呼びされる事も

一組の叢雲、改修素材
一組の五月雨、改修済み

引き籠り達 (高練度ドロップ艦) 35話でいなずまが言っていた戦いの残存艦娘



登場人物

老提督
・研修中の叢雲からは視察官、一期で視察官として鎮守府に来ている時が初対面だったから
・最初の初期艦からはじーちゃん、お爺さん、艦娘部隊発足前から色々あった経緯から
・稀に最初の人、艦娘の言う妖精さんを見る事が出来た最初の人
・本編中では艦娘部隊上部機関からの要請で大本営を査察中、大変難儀中

佐伯司令官
・増設された鎮守府の司令官の一人
・先任の叢雲を保護している
・一期の鎮守府の司令官



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