初期の艦これ   作:弱箔

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48 前提の話は終わりかしら

 

 

 

 

「それで?前提のあいちゃんの話は終わりかしら」

 

あいちゃんの話を引っ張る事もないだろうから話を進めてもらおう

 

「まあ、色々と問題があるって事だけ分かってもらえれば取り敢えずは、叢雲ちゃんはどれから聞きたい?」

 

なんだか漣は話す気が有るのか無いのか、もしかして単に面倒臭いって思ってるんじゃ無いでしょうね

 

「どれって、そんなに困る程沢山あるの?」

 

取り敢えず探りを入れてみる

 

「えーと、ざっと見積もっただけでも、天龍達の話にやまちゃんの話に海兵隊の制圧行動の話に入渠場の動力停止に元艦娘妖精の確保の話にそこから出て来た話に、未だ未だあるけど、どうする?」

 

あっ察した、この屁理屈兎ジャンケンか何かでこの話をする役を押し付けられたな、私に聞こえて来ていない話は端折る気満々だ

 

「漣は叢雲を混乱させてどうするの、順序立てて話せば良いでしょ」

 

あいちゃんは時系列で順番に話せば良いとの主張に問題があるとは思ってない様子

 

「順序、ですか」

 

漣はソレに異論がある、らしい、繰り返されるあいちゃんの主張に乗る気配がない

 

「そう時系列で順序立てて行けば良いじゃない」

「じゃあ、あいちゃんに任せた、ヨロシク」

「はい?」

 

漣の言い分に目を白黒させるあいちゃん、まさかその役割を振られるとは思ってなかった模様

 

「事の初めからは知らないんだけど、私で良いのかな」

 

黙ってると何時迄も話が進みそうにないのでこっちから聞くことにしよう

 

「取り敢えず天龍達と大和はなんで連行されたの」

 

「それは工廠内での兵装使用が理由、発端は大本営制圧の任務に当たった海兵隊の制圧行動を大和がテロ行為と認定、艦娘部隊にも対テロ行動の規定はあるし、条件だけ見ればそれに当てはまる、でも天龍達がその認定に異議を唱えて大和と対立、結果工廠内で砲撃戦になってしまった」

 

「えっと、状況が想定出来ないんだけど、なにがどうなったらそうなるの?」

 

あいちゃんが説明してくれたけど、あの大和が天龍達と対立するという時点で想定出来ない、まして大和が天龍を砲撃するとかどう考えてもあり得ない話、一体なにがあったの?

 

「施設の制圧には真っ先に動力の停止がある、設備の機能を止めてから制圧するのは基本だし、海兵隊もそうしたんだよ、叢雲ちゃんが入渠中の工廠の動力も止められた、それをやまちゃんがテロ行為と認定、海兵隊の排除に出たんだけど、天龍達が止めに入ったんだ、やまちゃんがあんなに感情的になるなんてね、天龍達の声もまともに届かないくらいだったし、標的にされた海兵隊の皆さんは天龍に摘み出されてたよ、物理的にね」

 

漣も説明してくるが、今一わからない、ん、制圧の為に動力を止めた?

 

「おかげで死者は出なかった、天龍達が大和の注意と砲撃を引きつけてくれたから海兵隊はなんとか工廠から逃げ出せた、そこに情報ミスに気が付いた監察官が状況の沈静化に乗り込んで、どうにか収集したのよ」

 

あいちゃんからも説明が入るしそこにも疑問はあるが、漣の説明の疑問を解く方を優先させよう、こういう事は一つ一つ解いて行かないと誤魔化されてしまう

 

「ちょっと待って、工廠の動力を止めた?私が入渠してるのに?」

「それで、やまちゃんがキレたの、入渠中の艦娘がいるのに工廠の動力を全部落としたんだ、敵対行為以外の何物でもないからね」

「天龍達は海兵隊のユニフォームや装備を見るくらいには冷静だったけど、大和はそうではなかったと言う事ね、余程動揺したんでしょう」

 

動揺か、大和は私の入渠に反対してたし、それを天龍を含めて皆で説得した訳だし、想定外の事態が引き起こされれば然もありなんと言う所か

 

「工廠の動力が止まったのに、修復に影響はなかったの」

 

影響がなかった事は私自身が無事に入渠を終えている事から明らかだけど、何故影響が無かったのかが疑問だから聞いてみる

 

「通常なら影響なんてもんじゃない、修復に失敗して入渠中の艦娘はそのまま廃棄処分になる所だね、でも今回は事前の準備がてんこ盛りだったから、それに当座の動力を供給出来る馬鹿力の戦艦が二隻も居た、工廠中の妖精さんに協力を仰いでこの二隻から工廠内に動力を供給出来る様にしてもらって修復に影響が出るのは避けられたんだ、修復が終わる頃には通常動力も再開出来たし、なにより修復が無事に終わると聞いたやまちゃんが落ち着いてくれた、それまであいちゃんが力尽くで押さえ込んでたんだから、こっちとしては気が気じゃなかったよ」

 

漣のは説明なのか、ネタ振りなのか、情報を小出しにされてる感じがするんだけど、気の所為よね、ってエッ!?

 

「力尽くで押さえ込んだ!?あの大和を?」

 

思わず聞き返してしまった、大和の馬鹿力は私だって知ってる、しかもここまでの説明だと動揺している上にキレていたと、ソレを力尽くでなんてあり得ないんだけど

 

「そうだよ、あいちゃんの馬鹿力はやまちゃん以上だ、私等駆逐艦にはとても真似出来ない」

「馬鹿力って、さっきから黙って聞いてれば随分な云われようだわ」

 

あいちゃんが機嫌を損ねた様に口を尖らせる

 

「でも、アメリカでの建造が確かな事が証明された、大本営で建造されたやまちゃんを力尽くで押さえられるんだから、艦娘として建造された事は疑いようがない」

「もっとマシな証明方法は無かったの?」

 

分かり易く機嫌を損ねたまま聞いてくるあいちゃん

 

「別にこっちで方法を指定した訳じゃない、偶々それで証明されてしまったというだけの事だよ」

 

機嫌を損ねたままのあいちゃんだけど、ここまでの話からするとお世話になった様だしお礼くらいは言っておかないとだよね

 

「なんにせよ、入渠中知らない内に面倒をかけたみたいね、ありがとう、あいちゃん」

「どう致しまして、お役に立てたのなら嬉しいわ」

 

あれ、これで機嫌を直してくれたのかな、どうやらあいちゃんは引き摺るタイプの性格では無いらしい、色々と溜め込むタイプの大和とは対照的な性格ではなかろうか

 

「それで、工廠内で砲撃戦やらかした大和と天龍達は兵装の使用規定違反で連行されたと、でも誰に?大本営は海兵隊に制圧されて機能停止してるんでしょ?」

 

「提督が言ってたでしょ、上部機関の直接統括に置くって、今の大本営には監察官が複数入ってる、形式としては提督が統括者だけど監察官との合議制ってのが実態だ、誰にって言うのならその合議制の会議に席を持つ監察官達って事になるのかな」

 

「そっちは心配しなくてもいいわ、調書は取られるけど軽く済むと思うし、大事にはならない、ウチの司令官が入渠中の艦娘が居る工廠の動力停止がどう言う事態なのかを監察官達に説明して回ってたからまともな神経してる人なら情状を汲む余地がある事くらい認識出来るし、なにより当の海兵隊が事前情報との差異を認識しながら情報確認を怠った上に制圧を強行した事を認めてる、大和に一方的な非がある訳ではない事も理解できるでしょう」

 

漣に続きあいちゃんからも説明が入る

 

「?一方的な非ってなに」

「理由はどうあれやまちゃんは人に砲を向けた、まあ、主砲では無く副砲だけど砲には違いない、問題視されれば厄介な事態になるだろうね」

 

漣が応えてきた

 

「テロ行為として認定したから、でしょう?何故問題になるの?」

「単純に、艦娘が人に危害を加える意思表示をした、それを問題視する人がいても不思議はない、以前から人はソレを危惧しているんだ、艦娘が人と敵対したらどうするのかってね、大本営だって艦娘の管理と自立勢力として立たせない様にする事も職務に含まれていた、そっちに注力し過ぎて艦娘の数を増やすって事を忘れてしまったけどね」

 

「それに大和には前科があるし、問題視されると厄介なのは確かね」

「?前科って」

 

漣の説明にあいちゃんが補足してくるが、前科ってなんの事?

 

「やまちゃんの所為って訳じゃないんだけど、大本営で建造されてそれなりの期間が経っているのに未だに戦力化されてないって事も問題視されかねないんだよね、人の都合に振り回されただけなのに」

「それが前科になるの?」

 

漣の説明ではさっぱりわからない

 

「なんて言えばいいのかな、艦娘は艦娘部隊の一員として深海棲艦との戦いに備える必要がある、大和にはその備えがあるのかって話になりかねないって事」

「?わからないんだけど」

 

あいちゃんが補足してくれるけど、理解が及ばない、なにか足りない情報があるのかな

 

「これまで大和は大本営で人の接待役を命じられてきた、それに大和は従ってきた、人の相手をする事に慣れている筈なのに人に危害を加える意思表示をした、規定は規定としても大和の行動原則に不信を持つ監察官が出てきてもおかしくないって話よ」

 

続けて補足してくれるんだけど、あいちゃんの説明は私の疑問を解消してくれない

 

「そんなの大和を出撃させれば一蹴出来る話じゃない、問題視する事なの?」

「そう考えない人もいるって話なんだけどね」

 

この漣の一言で事情は察せられた

 

「ふーん、天龍が言ってた艦娘に対する当て付けって未だにあるって事ね」

 

「「……」」

 

漣もあいちゃんも困った様な笑みを見せた

 

 

 

 

 

 






登場艦娘

研修中の叢雲

教導艦の大和、老提督の秘書艦も兼務してるハズ、やまちゃん呼びされてる

先任の漣、最初の初期艦の一人、桃色兎からは御姉様呼びされてる

最初の初期艦は一号の初期艦とも呼ばれる

一組の漣、桃色兎からはちぃ姉様呼びされてる

天龍達、大本営には三隻の天龍がいる、遠征隊統括艦娘

アイオワ、アメリカの鎮守府で建造された戦艦種の艦娘、あいちゃん呼びされてる


登場人物

老提督
・研修中の叢雲からは視察官、一期で視察官として鎮守府に来ている時が初対面だったから
・最初の初期艦からはじーちゃん、お爺さん、艦娘部隊発足前から色々あった経緯から
・稀に最初の人、艦娘の言う妖精さんを見る事が出来た最初の人
・一組の漣からは提督呼びされてる

監察官
老提督の決断により上部機関より派遣された、退役軍人、国家代表、元上級官僚、という方々

大本営の制圧の任務に当たった海兵隊
・老提督の決断により艦娘部隊協力国より派遣された
・但し制圧対象は大本営所属の人であり艦娘は対象外の筈だった
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