初期の艦これ   作:弱箔

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66 同一の作戦行動を実施

 

 

 

 

7月14日

 

 

増設された鎮守府、最初の初期艦と同数の五箇所の鎮守府は現在同一の作戦行動を実施している

目的は大本営で修復し切れなかった移籍組の修復完遂、それに必要な資材集積だ

自己達成不可能な目標を掲げて鎮守府に達成しろと無茶振る大本営に対し増設された鎮守府司令官達が、思惑は如何あれ協力体制を取り目的を達成しようと取り敢えずは結託した

 

御老体の無茶振りは鎮守府の大規模増設なんだが、先ずは修復の完遂を目指そう

 

何方の計画も資材集積が必要な事に変わりはなく、鎮守府側の行動としてはあまり違いがない、変わるのは資材集積行動の期間だ、そこを曖昧にしたままで各鎮守府の協力が取り付けられたから作業船での老提督との話は他の司令官達に伝えていない、伝えた所でどうなるものでもないし、大規模増設の噂はとっくに知れ渡っているから左程の意味も持たないだろう

 

この鎮守府以外は初期艦を大本営に返却してしまった為に工廠が機能停止しており司令官は工廠の妖精さんを説得出来ていない

つまり、所属艦娘達を動かしても修復は勿論補給すら出来ない有様で、だからこれまで鎮守府としての活動自体が停止していた

 

各鎮守府から遠征隊旗艦を務める艦娘にウチの鎮守府に来てもらい入渠させて補給ができる様に艦娘に着いている妖精さんに対し技量というか技術指導、艤装にもウチと同様の追加を行い運用面での差異を縮小、この旗艦達が率いる遠征隊に限られるがこれで統一した指揮系統を構築できる様になった

引き換えに資材がゴリゴリ減った、ウチの遠征隊が途切れる事なく運び込んでくれた資材だが、相応のリターンが見込める以上先行投資として止むを得ない

各鎮守府から来た旗艦を務める艦娘達には入渠後に鎮守府合同作戦を改めて説明、各鎮守府司令官の承諾を得ている事はどの艦娘も承知していたから説明自体は大人しく聞いてくれた

まあ、こちらの話を大人しく聞いてくれる事と艦隊旗艦として実行する事、この間にある峡谷は深い、とても深く橋すら掛けられそうにない

 

こればかりは協力体制にある各鎮守府司令官が埋めてくれる事を期待するしかない

 

各鎮守府から申告された遠征隊の資材集積能力に殆ど差異はない、それが最大数であり、理想値である事を見なければ

実際の集積能力的にはかなりの差が生じている、原因は遠征隊に編成されている艦娘達の練度の差がそのまま成功率に反映されているからだ

桜智の所でも理想値の八割程度で、他は六割から五割、一番低い佐和の所だと四割を下回る

この状態を放置していたら計画の進捗なんて見込み様が無いので、鎮守府司令官の承諾を得た上で成功率の低い遠征隊からウチの鎮守府に直接資材を持ち込む様に指示、練度の向上はそんな短期間では出来ないが、艦隊旗艦には指揮系統の再説明と確認、編成されている艦娘達は全員入渠させて着いている妖精さんを懐柔、遠征の成功率向上に協力を取り付けた

 

合同作戦行動といっても基本的には資材集積行動でしか無く、各鎮守府で資材を貯めそれを必要に応じてウチの鎮守府に持ち込んで例の引き籠もり達を修復していく、予定になってる

ウチだけではないが鎮守府の敷地は確かに無駄に広い、自衛隊が移動指揮所とその運用補助機材を事前計画無しで設置出来るくらいには

 

だからといって、各鎮守府の遠征隊が集める資材を一括集積するだけの設備も無ければ場所も足りない

大和が言っていた様に今になって自衛隊の移動指揮所とその補助機材などの設置場所の問題に突き当たり、自衛隊側と協議が必要になった

自衛隊側は移動指揮所なのだから敷地内の移動なら幾らでも応じると言ってくれた、変な問題に発展しなかったので一安心だ

この時にわかったのだが、今回の合同作戦は自衛隊側としても非常に関心を持って注視している

通りでこちらの遠征隊に海域情報をくれる訳だ、時には深海棲艦の出現情報までくれる

おかげで遭遇戦が避けられ成功率の向上に繋がっている、向こうの思惑は如何あれ今は感謝しておこう

 

然し乍ら資材が備蓄されるに比例して各鎮守府で独自の行動を取る事態が頻発、その結果修復を必要とする艦娘達が各鎮守府内に多数発生してしまった

各鎮守府司令官は未だ工廠の妖精さんを説得出来ておらず、工廠は機能停止中だ、それなのに何故か艦娘達を出撃させたがる

資材だけあっても工廠が機能停止していては損傷した艦娘達を修復出来ない

 

こんな事は初めから分かっているのに何故司令官達は艦娘達を出撃させるのか?

 

理由はいくつもあるがその一つに自衛隊の行動限界が挙げられる

元々自衛隊の継戦能力は高くない、そこに対深海棲艦戦に於いて殲滅戦を選択した事で継戦能力の限界を表面化させてしまった

無限湧きしてくる相手に殲滅戦を選択した理由は様々あるだろうが、私が口を挟める所では無い

海自も空自も兵装に問題が発生している、平たく言って弾切れなのだ

噂では弾に余裕のある陸自の装備を活用するとかで護衛艦のヘリポートに固定して運用するなんて話まで聞こえてくるぐらいには追い詰められているらしい

他にも、防衛省は本気で安全保障条約を行使して米軍からの弾薬補給を検討しているとか、安全保障条約の発動は政府が強硬に反対しており中央官僚達が右往左往しているとか、色々と聞こえてくる

 

こういった状況の為に遠征隊の護衛任務として艦娘を出撃させ、損傷艦を出して修復出来ずにどの鎮守府も修復待ちの艦娘を抱えて行き詰まってしまった

断りも相談もなく出撃させて勝手に行き詰まりそのツケをウチに持ち込んでくる司令官達には呆れ返るが、遠征隊の資材集積能力を維持するにはなんとかしなければならない

正直な所、各鎮守府から出撃する必要は全くと言い切って良い程に無い

海域情報を提供してくれる自衛隊がいる訳で、時には深海棲艦の出現情報まで得られる環境が整っているのだ

 

回避すれば良いだけの話だ、こちらの目的は資材集積なのだから

 

自衛隊は国防組織としての事情と役割が有り、深海棲艦を回避し続ける訳にはいかなかった

そういった事情も役割も無い艦娘部隊の鎮守府司令官の中にも点数稼ぎのつもりなのかなんなのか、深海棲艦の出現情報を聞いて出撃させたがる輩がいる事を聞いて直ぐに取り止める様に申し入れたんだが、「艦娘部隊が深海棲艦を相手にしてなんの問題がある!!」との事で聞く耳を持たない鎮守府司令官もいた

この件に絡んで全ての鎮守府が当てに出来る訳では無いと判断、そこに所属する艦娘達には悪いが距離を取らせてもらう事にした

この辺りの詳細は報告書を大本営に提出しているし、五十鈴秘書艦の説得にも応じなかった事から合同作戦の目的達成を優先、聞く耳を持たない鎮守府は放置、何か言ってきたら大本営で処理する方向で承諾を得た

 

ただ、後味の悪い事にこれらの出撃を止めなかった鎮守府では所属艦娘の半分ほどが沈んだそうだ

逆に見ればそれだけの除籍艦娘を出したから、聞く耳を持たざるを得なかったとも云える

ウチを含め五箇所の鎮守府合同で始まったこの作戦行動も半ばにして参加鎮守府の減少となり、合同作戦の変更を余儀なくされたが、大本営の遠征隊が作戦参加して来たお陰で計画の進捗そのものには変更を加えずに済んでいる

 

先発隊が連れて来ている引き籠もり達、高練度の大型艦が多いそうだが、この修復に漸く掛かれる目処が付いてきた

ウチの工廠は作戦行動を円滑に行うべく既存の工廠も増設した

元からある工廠とこちらで増設した工廠と先発隊が新設した工廠、現在の所問題無く稼働しており艦娘の修復に役立っている

所属艦娘だけでなく、資材搬入に来る艦娘もある程度の損傷があれば入渠させているので空きが出来る事の方が希な状況だ

なにしろ現状で艦娘の入渠が可能な工廠はウチと大本営にしか無いのだから仕方ない

入渠時間の短い遠征隊だからなんとか回せているが、入渠時間の長い大型艦の入渠があれば一気に入渠待ちの艦娘が列を作る事が確実な状況だ

 

あいつが長門を戦力化すると息巻いていた頃もそうだったしな

 

いくらそれが目的で資材を貯めてきたからといってもこのままでは引き籠もり達の修復は実施出来ない

先ずは艦娘達の損傷原因である深海棲艦との遭遇戦への対策を講じないといけない

遭遇戦の発生率は低い、自衛隊からの情報により低い確率に留まっている

それでも十割の回避は出来ない、その結果損傷艦が出てしまう

あの鎮守府の司令官はこれが我慢ならなかった様だが、自衛隊情報からの接触回避すら覚束無い低練度の艦娘しか遠征隊に回さない、こちらで指揮系統を構築した遠征隊旗艦すら遠征に出さないという謎の運営方針を貫かれてはこちらとしても手の打ちようが無い、他にも色々とあるんだが、過ぎた事だ

 

対策として護衛を付ければ有効だが運用面での問題 (資材、指揮系統、その他諸々) があり、どうしたものかと悩んでいたら移籍組から提案を受けた

曰く、空母種の艦娘を用いて広域の制空権を確保し上空から飛行隊の護衛を付けてはどうか、と

その説明を五十鈴から受けた、しかし疑問も一杯だ

 

「戦艦より強力な攻撃手段を有し戦艦よりも速い速力を持つと、そんな艦娘がなんで兵装を扱えなくなっている?兵装を扱え無いという事は、艤装が無いという事だろう、あの移籍組は何故、艤装を持っていない?」

 

ん?五十鈴の顔色が、雰囲気が変わったか?

 

「……機能移転の行動計画書に書いてある」

 

五十鈴の返答は素っ気なかった、応えてはくれたから続けよう

 

「読んだよ、書いてあったのは作戦行動中に逸失した、それだけだ、これでも司令官としてこの鎮守府にいる身としては、疑問しかない記述だ」

 

「その話は、したくないんだけど」

 

あれ?なにその弱々しい言い様は、変な地雷でも踏んだかな

 

「五十鈴は当事者なのよ、その話は聞かないであげて」

 

これまで大人しく聞いていた初期艦が言ってきた

 

「当事者?」

 

なにそれ?どういうこと?

あの移籍組が艤装を逸失した作戦行動の当事者とは?参加したという事か?

こちらとしては艦娘が艤装を逸失するという状況が想像出来ない、ウチの艦娘達だって攻撃を受けて損傷する事はある、しかし艤装を逸失した事はない、そもそもどうすれば艤装を逸失出来るのかがわからない

移籍組の艦娘数はウチの鎮守府に着任している艦娘数を上回るんだが、こんな数の艦娘が艤装を逸失しているだけでも異常なのに当事者とは、五十鈴は艤装を逸失していないし初期艦達の話では大本営近海で深海棲艦を狩りまくっていたそうだが、話が見えないにもほどがある

 

「五十鈴?私から話しても?」

 

初期艦が秘書艦に聞いてる

 

「お願い」

 

おい、なにその雰囲気、私が悪いみたいじゃないか、あれ?どこか間違えたか?

 

初期艦は聞いた話だと、前置きしてから話始めた、嘗て行われた大規模海戦の結末

参加艦娘二百以上、当時日本に居た艦娘の九割が参加したそうだ

その内自力帰還出来たのは十に満たず、全滅と言っていい損失かと思われたが、帰還艦娘から周辺の陸地に漂着している可能性を指摘され、自衛隊が回収に当たり五十近い艦娘を日本に連れ帰った、他にも漂流中の艦娘を発見したり、ドロップ艦との邂逅があったりしたものの海戦前の半分ほどの規模になってしまった

 

この自衛隊が回収した艦娘達が鎮守府に接岸している旅客船にいる移籍組

大本営に改名前の最初の鎮守府で修復を試みたものの艦娘本体しか修復出来なかった、艤装も兵装も無い状態で修復された

 

余談ではあるがこの修復に掛かった資材は自力帰還した艦娘達と海戦に参加せずに残留した一割の艦娘達が集めたそうだ、今実施している合同作戦と同様な作戦行動が過去にも最初の鎮守府で実施されていたとは、なんて進歩の無い話だ

 

この修復は最初の鎮守府内で大問題となり原因探索が行われたものの修復された艦娘達に話を聞くくらいしか打つ手が無く、最初の鎮守府では原因不明となってしまった

修復を担当した妖精さんと話の出来る初期艦が資材集積で出払ったまま官僚や士官だけで原因探索したらしく、当時は鎮守府司令官の条件を満たす人というソレ自体が知られていなかった為に原因不明となってしまった

 

この時老提督は大規模海戦の後始末とそれに伴う組織改変に追われていたそうだ、構成要員が半減した為に組織自体を作り直さなくてはならなくなり、諸般の事情も絡まって大本営に改称となった、あの当時は艦娘達に関われる時間が全く無かった、と本人は言っているそうで一号の初期艦達もその点は肯定しているという事だ

鎮守府司令官の条件、それを満たす人、これらは老提督が最初の鎮守府から大本営へ作り直しをする際に妖精さんが見えない官僚達に問われ、自分以外にも妖精さんを見る事の出来る人は居る、と答えた事が端緒となった

 

この時点でも妖精さんを見る事の出来る人は複数人居た

しかし大本営に所属する人の中には一人も居ない、この事から妖精さんを見る事の出来る人を探す事になったそうだ、その実務はどういう経緯を辿ったのか曖昧ながら、自衛隊が担うことになり、周期的に行われる自衛隊基地の一般開放イベントで艦娘部隊参加者募集の張り紙になり、私はそれに応募したと

鎮守府司令官の条件は妖精さんを見る事の出来る人

それを満たす人は妖精さんとなんらかの手段で意思疎通を図り艦娘とも話せる人

妖精さんと会話の出来る人が見つかるとは思ってなかったそうだ

なるほど、それで想定外の妖精さんと会話の出来る変なのが見つかったから奥座敷まで拉致られたのか、迷惑な話だ

 

「それで、私が聞きたいのは兵装を扱えなくなっている理由と艤装を持っていない理由なんだが、それについては?」

 

余程話したく無いと見える、この初期艦が態と話の焦点をずらしてくるとはね

 

「兵装を扱えなくなっているのは、司令官が言っていた通り艤装を持っていないから、艤装を持っていないのは、そうしなければ生き残れなかったから、艤装を放棄して漸く生き残れるそういう戦いだった、そう聞いている」

 

そう聞いたのね、聞いただけならしょうがない、しかし足りない説明はどうにかしないといけない

 

「私の理解が悪いんだとは思うが、状況が想像出来ない、艦娘が生き残るのに艤装を放棄する必要など想定出来ない、私が知る限り、艦娘が生き残る為にこそ艤装が必要な筈だ、私にもわかるように説明してもらいたい」

 

「それは、私には無理、聞いた話だもの、そうなんだと思うしかないわ」

 

話を買って出た割に話自体を知らないのか、そうではない筈、何とか話を聞き出したい所だね

 

「初期艦は私と意見を等しくすると、いうのか?」

 

自分で言っている事に矛盾があるとわかっているのなら、なんらかの解答が出て来るだろう

 

「艦娘が生き残る為にこそ艤装が必要、私にもそうだとしか思えない、けど、実際は違うみたいね、聞いた所だと、幾つかの要因があるそうだけど、何と無くわかるのは、浮力の確保くらい、兵装は勿論だけど艤装は時として錘になる、沈みたくなければ放棄するしかない」

 

「艤装が錘?兵装が錘というのは聞いた事があるが艤装まで錘になるのか?」

 

「破損状況によっては、そうなるみたいね、大破以上の損傷という事になるのかしら」

 

「大破と判定される様な損傷でも艤装は錘にはならない、と聞いているが」

 

「大破以上の損傷と言ったでしょ、艦娘が沈むって、そういう事なんでしょう」

 

「……」

 

嫌な話を聞いた、そういう事なら艦娘本体が無傷でも艤装の損傷が重なると何処かで何かの拍子に錘となってしまい、その錘の所為で艦娘は沈むと、嫌な話だ

 

「その話からすると、艦娘の艤装は浮力を持つ事になるが、私が研修で聞いた話とは違うな」

 

嫌な話は取り敢えず置いておこう

 

「ああ、船なら浮力を持つのは船体、艦娘で言えばこの身体と説明されているんでしょう、それは人の解釈であって実際には違う、どう違うのかと聞かれても困るけど」

 

艦娘自身その辺りの事はわからないと、改めて艦娘のイイ加減さを聞かされた

 

「……妖精さんの技術は解明不能、物理法則を無視するにもほどがある、という様な話なら聞いた事はあるが」

 

「艦娘の持つ火砲ひとつ取っても、人には謎だらけ、名称と見かけの大きさは不一致なのに威力だけは名称と一致する、人と変わらない大きさで砲弾を何発持ってるんだって話よね、人にはわからない事だらけ」

 

その辺は資材の変換率というか変質性というか、艤装内で調整している様な話を妖精さんがしてた気がするが、よくわからない、もう少し続けてみるか

 

「駆逐艦の主砲でさえ、人と変わらない重さでは扱えない、にも関わらず、艦娘はそれを兵装として十分に扱える、何らかのアンカーの様な作用を持っているのではないかとは云われているが、それでも不十分なのだろ」

 

「威力から算出される砲弾重量とこれを音速に近い初速で撃ち出すと仮定しての計算だから、砲身の支えとして人と変わらない重さでは全く足りない、人が携帯可能な銃器でも拳銃弾なら兎も角ライフル弾になると安定した弾道を得るの為には身体で支えるのではなく床なり地面に設置しなければならないのが、人の重さ、艦娘の重さとは違うという事」

 

不十分というのは同意か、支える重さが何処から来ているのか予測も付けられないのかな

 

「その重さが、どうやっても観測出来ないから、物理法則を無視するにもほどがある、と云われるのだろう」

 

「そういう事になって来る、駆逐艦の主砲でさえ陸自の扱う火砲と並ぶ、あの火砲を手で持って撃つなんて言ったら、誰からも気が違ったのかと、思われるでしょうね」

 

「……撃つ前に持つ事さえ出来ないが」

 

「アレは艦娘でも持てない、人の技術で作られているから」

 

「妖精さんの技術で作られた兵装はあの大きさで、艦娘でも持てない陸自の火砲と並ぶ威力があると、自衛隊の技官の方々が頭抱えてる様が目に浮かぶよ」

 

話が脱線しているから戻す事にしよう

 

「今回の修復作業は移籍組が生き残る為に放棄した艤装を復元する事なのか」

 

「復元、とは違うと思う、船体だけになった艦娘に再艤装する、大規模改修的な感じじゃないかな、まあ、ただの船なら新造した方が良いと言いたいのだろうけど、艦娘はただの船ではない、新造艦よりあの高練度艦を再艤装する方が短期間で戦力化出来る、この際は資材と労力で戦力化迄の時間を圧縮しましょう」

 

ここでも時短か、急ぎ過ぎなんだよ

 

「大本営の元の計画もそうだが、この計画は何故こうも短期間での達成を目指しているんだ?これほどの規模の大きい計画ならもっと余裕を持って計画しても良いと思うんだが」

 

私の疑問に答えてきたのは先程大人しくなってしまった五十鈴だ

 

「それが上部機関に示した条件だから、老提督は短期間での実行と引き換えに艦娘部隊をこの国に残す承認を得た、だから計画の遅れは老提督を攻める材料にされてる」

 

もしかして、私は責められているのか?そうならかなり理不尽なんだが

 

「大本営に戻ってる一号の初期艦達が鎮守府大規模増設を容易に実行できる手段を構築してる、この国の建造物に関わる法令との擦り合わせは課題としてあるけど」

 

五十鈴の説明が続く

 

「容易に実行できる手段?」

 

ナニソレ?

 

「妖精さんは既に実行可能と言っているらしいのだけど、漣達が検証するって言い出してね色々試行中、それが終われば理屈の上で鎮守府開設の障害となるのは資材量と妖精さんの数だけになる、鎮守府の増設予定地はとっくに整地済みだそうよ」

 

妖精さんの数って、そりゃあ鎮守府を増設するんだから妖精さんも相応に居なければ鎮守府として機能しないのはわかるが、それに整地済みって、そこまで急かされてるのか大本営は

 

「まさか、鎮守府自体を妖精さんの建造技術で建てるのか、確かに妖精さんが建てるとしても鎮守府程度の規模なら可能だとは思うが」

 

ウチの鎮守府の工廠の増設は妖精さんの手によるものではあるが、疑問が一杯なんだが

 

「漣達が検証している妖精さんが実行可能と言っている手段というのは、言ってしまえば複製よ、既に在るモノをそのまま作り出す、建造よりも短時間で作り出す事が可能になる、漣達が気にしているのは複製元に問題があった場合、その問題まで複製してしまう事、複製元の選定を誤ると泣きを見るどころではなくなるからそこの対策を検証中」

 

「妖精さんが鎮守府を建造したことなんてあるのか?」

 

取り敢えず疑問の一つを聞いてみる

 

「鎮守府は全部そうよ、今の大本営だと艦娘側の建築物だけ、大本営に改名した時に人用に色々増やしたから」

 

「大本営の艦娘側?大本営では艦娘と人用に建物が別れてるのか」

 

「大本営は人の組織でもある、官僚達のね、当初予定があの海戦で実行できなくなって老提督一人では再建しきれなかった、官僚達の手を借りて大本営に仕立て直した、予定では構成要員の殆どを艦娘で占めていたけど仕立て直したら構成要員の比率が逆になってしまった、艦娘の組織になる筈が官僚の組織になってしまった、妖精さんの作った建築物は気味が悪いと言い出して官僚達用の建物を作ったのよ」

 

「鎮守府としての施設は揃っていたのにか?」

 

「官僚達には艦娘と共用の職場はお気に召さないらしくてね」

 

お気に召さないってそんな理由で増築したのか、自分の部屋を欲しがる子供だな、ああ、だから官僚達には理想郷なのか

 

「それにこの複製技術をもっと広範囲に使って艦娘部隊を増強する気でいるわね、一号の初期艦達は」

 

「それはどういう?」

 

複製とか嫌な予感しかしない

 

「鎮守府を複製して大増設するように艦娘も複製して数を揃えようって話、建造するよりは手間が掛からないそうよ、複製なら複製元の技量もある程度は受け継げるみたいだし戦力化するにも手間暇を掛けずに済むと言ってるわ、どこまで出来るのかはわからないけど」

 

「複製元の選定って、鎮守府ではなく艦娘の?」

 

取り敢えず聞いてみる

 

「両方よ、複製元が持つ問題なり課題を複製後に持ち込ませないように修正なり改変なりする方法を構築中という事」

 

「随分と都合のいい話に聞こえるが、大丈夫なのか、色々と」

 

やっぱり嫌な予感しかしないんですけど

 

「短期間の検証でどこまで詰められるかは一号の初期艦達の技量次第になる、三組の初期艦達も協力してるし、大丈夫じゃないかな」

 

なんという楽観論、何処かで一つでも躓けば一気に崩れるな、コレ

そうだとしても他に手が無いからやるしかないって事か、どこも行き当たり場たってるな

先の展望は老提督に任せるしかないのはその通りだし、こちらはやる事やるしかないか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







登場艦娘

初期艦研修中の叢雲、現在外地研修として特務艦隊を引率中、教導艦は天龍に変更されている

一号の初期艦、吹雪、漣、電、五月雨 (叢雲は鎮守府にて睡眠中)

一組の初期艦、漣、電、五月雨 (吹雪は解体、叢雲は改修素材で二名欠員)

老提督の秘書艦の五十鈴、艦娘部隊大本営代理人の側面を持つ

大本営の遠征隊、天龍等が率いる遠征隊、各鎮守府を巡回していたりもする

移籍組、本編中では引き籠り達として出て来ていた高練度艦達

各鎮守府から来た遠征隊旗艦
合同作戦を円滑に実施する目的で作戦主導している鎮守府との指揮系統を構築に必要な措置を入渠時に受ける、必要措置の中には艦娘に着いている妖精さんだけで補給を可能とする技量もあり、これを鎮守府に戻って所属艦娘に展開すれば補給自体は工廠の妖精さんに頼らずに可能になる筈、各鎮守府司令官は承諾済み

成功率の低い遠征隊、所属鎮守府司令官の承諾を取り、全員を入渠させ妖精さん経由で色々伝達

天龍の定期便でそれと同行する形で一号の初期艦と一組の初期艦が交代済み



登場人物

老提督
・研修中の叢雲からは視察官、一期で視察官として鎮守府に来ている時が初対面だったから
・一号の初期艦からはじーちゃん、お爺さん、艦娘部隊発足前から色々あった経緯から
・稀に最初の人、艦娘の言う妖精さんを見る事が出来た最初の人
・現在監察官の一人として大本営の監察中、大本営を上部機関が統括下に置いている間の臨時司令長官

監察官
艦娘部隊上部機関より派遣された、退役軍人、国家代表、元上級官僚、という方々、大本営を監察中

老兵
・老提督に続き妖精さんを見る事が出来た二人目の人、退役軍人
・老提督と同様に艦娘部隊上部機関に席を用意されてる艦娘部隊の重鎮の一人
・監察官の一人として大本営を監察中の筈
・現在大変な厄介事を抱え込み難儀中でもある

移動指揮所の自衛隊
佐伯司令官の要請で舞台となっている鎮守府に駐留、自衛隊内部で扱いが割れて紛糾中、現場の自衛官は艦娘部隊に協力姿勢を示している

桜智司令官、最初の鎮守府が大本営に改称された後に増設された五箇所の鎮守府の一つに着任している司令官

佐伯司令官、増設された五箇所の鎮守府の一つに着任した司令官、舞台となっている鎮守府の司令官

増設された五箇所の鎮守府には其々司令官が着任しているが他の司令官の出演は多分無い、筈



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