初期の艦これ   作:弱箔

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71 資材庫に向かう

 

 

 

 

 

7月19日

 

 

定期便が来た、その知らせを聞いて資材庫に向かう、今回は通常編成だそうだから持って来た資材を資材庫に入れたら直ぐに帰ってしまう

その前に天龍だけでも捕まえないといけない

資材庫に着き天龍を捕まえた、のは良いんだが、何故お前達が定期便に編成されてるんだ一号の初期艦、それに初見の軽巡がいる

 

「あー、やっぱり昨日のアレは何かの手違いとか、でした?」

 

私に気付くなり言ってくる漣

 

「そうなのか?事務艦がえらい剣幕だったが」

 

とても嫌そうに言う天龍

 

「取り敢えず資材庫に入れてしまってくれ、それと時間はどのくらい取れるか?」

 

「何かあったのか?」

 

天龍が聞いてくる

 

「まあ、それなりに、兎に角話をしたい、色々行き違ってしまった様だから」

 

「行き違いねぇ、それで良いか」

 

天龍がもう一隻の軽巡に聞いてる

 

「良いでしょう、こっちも話をしないと始まらないし」

 

この艦娘が五十鈴の言っていた姉妹艦か、しかしこの艦娘から何か良くわからない違和感、そういえばこんな違和感を持つ謎艦娘を以前にも見た覚えが有る様な無い様な

 

「なに?」

 

おっと違和感に気を取られ過ぎた、初見の艦娘に不思議そうに聞かれてしまった

 

「以前にも同じ様な艦娘を見た気がしてな、何処でだったか忘れてしまったが」

 

「同じ様な艦娘?」

 

「ドロップ艦でも建造艦でもない艦娘、何だろうな」

 

「ドロップ艦だけど、ドロップ艦には見えないって事?」

 

「視えなくは無い、それとは違う風にも視える、と言うだけで」

 

「まあまあ、話は何処か落ち着ける所で座ってお茶でもしながらゆっくりとしましょう、良いでしょう?」

 

漣が割って入って来た、仕切りたがりか?

 

 

 

 

 

場所を小会議室(という名目の空き部屋)に移し話を始める

 

「先ずはコレを見てもらいたい」

 

出したのはあの実態報告書とかいう書類、天龍を始め六人が回覧するのにはそれなりに時間がかかる

その間にお茶セットを取って来て用意して置いたお茶受けと一緒に配る

 

「……司令官がそんなことしなくても」

 

それを見た初見の軽巡が恐縮しつつ言って来た

 

「先日のお詫びだ、気にしないでもらいたい」

 

漣に要求されたしな

 

「司令官がそう言ってんだ、気にすんな、ってか、この程度を一々気にしてたらこの鎮守府じゃ持たないぜ、色々と」

 

書類にからは目を離さずにいう天龍

 

「そういえば自己紹介がまだでした、当鎮守府の司令官職に就いている佐伯です」

 

そういったら初見の軽巡が立ち上がって敬礼してから自己紹介を始めた

 

「長良型軽巡の一番艦、長良です」

 

「で、これはなんですか?」

 

ざっくりと目を通し終えている漣から質問だ、自己紹介の間くらい待ってやれば良いのに

 

長良は特に不満な素振りも見せずに座り直していたが

 

「それはこちらの質問だ、大本営から鎮守府への配布物だと書いてあっただろ」

 

「書いてあるだけですね」

 

あっさりと答える電

 

「郵送ですか?コレ」

 

同様に五月雨が聞いて来た

 

「それを受け取ったのは事務艦だ、私は天龍が持って来たと聞いた」

 

「悪いが、オレじゃないぞ」

 

天龍はこの書類の持ち込みを否定、まあそうだろうとは思っていたが

 

「だろうな、大本営所属の天龍なら執務室まで持ってくるしな」

 

「天龍が持って来たっていっても他の鎮守府にも天龍は所属している、何処の鎮守府から来たのかは、わからないの?」

 

「漣、ここ以外にも天龍が所属していない鎮守府はありますよ」

 

電から訂正が入った

 

「?ああ、そうか、あの無理な出撃で除籍された天龍がいたね」

 

「天龍の除籍があったのは五十鈴の説得に応じて出撃を取り止めた鎮守府です、それに応じず所属艦娘の数を半減させた鎮守府は二箇所」

 

五月雨が確かめる様にいう

 

「お爺さんが心配していた様に、官僚達が息を吹き返して来た?」

 

自信なさげに聞いてくる吹雪

 

「漣、お互い古巣に官僚達が住み着いた様です、根本的に対処する時期が来たと判断しますが」

 

電が漣に話を振ってる

 

「まあね、何処までパシリ根性なんだか」

 

漣には特に反論はない様子

 

「使うより使われるモノなのでしょう、司令官には向きません」

 

電は相変わらずだ、特定出来た訳じゃないのに

 

「二人とも辛辣だな、元とはいえ司令官だったヤツだろ」

 

天龍が口を挟んで来た

 

「電は飾られても嬉しくないです」

 

「まあ、あの気持ち悪い雑用三昧の日々には戻りたくないかな」

 

「……二人とも司令官とは上手くいってなかった?」

 

驚き半分で聞く吹雪

 

「こっちの話より大本営に電話してたね、それで言われるまま艦娘に指示してた、だから指示に一貫性も統一性も無い、状況を電話で伝えて指示をもらってそのまま実行、言いたく無いけど、アレじゃただの伝言番だ、まあ、そのお陰で大本営の官僚達からは評価されてたみたいだけど、肝心の本人が鎮守府司令官の職務に関心がなさ過ぎた、上を目指すとか言ってたけどね」

 

呆れた様子で話す漣

 

「……コネ作りに勤しんでたのか」

 

書類に目を通しながら軽く言う天龍

 

「ぶっちゃければ、そういう事」

 

あっさり肯定する漣

 

「それもどうかとは思うのですが、艦娘の運用を建造艦と戯れる事と勘違いしているよりは指示を出すだけでもマシなのです」

 

「……なにそれ」

 

驚きから呆気に変わった吹雪

 

「始めのうちは電にも出撃の機会があったのですが、ドロップ艦が増えるに従い電と建造艦は鎮守府に留め置かれてドロップ艦だけで運用する様になってしまいました」

 

「……だけで?まさか、だけど、司令官が運用を放棄したって事?」

 

呆気に取られたままの吹雪の感想かな

 

「本人は慣れた者に任せると言っていましたが、実質的にはそういう事です、電は司令官にキチンと指揮を取る様に、艦娘と、建造艦だけではなくドロップ艦とも向き合う様に言ったのですが、聞き入れてはもらえませんでした」

 

「電を留め置いたのは鎮守府の運営の為か」

 

書類を読み終えた天龍がなんでも無い様に言う

 

「そうです、電が鎮守府運営に必要な手続きを受け持っていました、ドロップ艦達を纏めるのも工廠の使用許諾も資材管理も遠征計画も出撃計画も全部受け持っていました」

 

「そこまでしてやる事ないだろ、建造艦と戯れてたっていうが、そんなの全部解体しちまえば良かったんだよ」

 

天龍が過激なことを言い出す

 

「勿論、警告しましたし、実行もしました、結果は建造艦を作り直しただけでした、初期艦に司令官の建造を止める権限は無いのですよ、遠征計画を真面目に実行していたのです、資材不足には程遠い量を備蓄していましたから」

 

「「……」」

 

天龍も吹雪もかける言葉が出てこない様子

 

「吹雪の司令官は、鎮守府をどう運用していたの?」

 

五月雨が聞いてる

 

「どうって言われても、兎に角矢継ぎ早に指示が飛んで来た、その指示を熟すので手一杯で鎮守府の運営とか、艦娘の運用とか、どうしてたのか、よくわからない」

 

「鎮守府にあまり居なかった、遠征や出撃で海に出てる事が多かったという事?」

 

五月雨の質問だ

 

「頻繁に出入りしてたって所、遠征にしろ出撃にしろ、長時間の任務は回ってこなかったかな、あ、でもお休みは一定期間毎にあったよ、眠ってるうちに終わるお休みだったけど」

 

「ふーん、休み明けはどうだった?」

 

天龍から質問だ

 

「どうって、いつもと変わらなかったよ」

 

天龍の質問の意図が吹雪にはわからなかったらしい

 

「初期艦が休んでいても艦娘達の様子に変わりがない、つまり、工廠が稼働していた、となるが、それなら何故今はそうなっていない?」

 

取り敢えず聞いてみた

 

「ああ、そういう、それは工廠が稼働していなくても所属艦に影響が出ない様に準備してからお休みもらってました」

 

「準備?それなら司令官が初期艦が休みに入る日には活動を縮小していたという事か?」

 

初期艦の休日を軸にして艦娘の稼働率を調整していたのか、佐和の奴は

 

「あー、どうなんでしょう、そこまではわからないです、司令官から予定表をもらって準備してましたから」

 

「という事は運用計画自体は司令官が立てていたって事にはなるな」

 

天龍が感想を言う

 

「五月雨の所は?」

 

吹雪が聞く

 

「司令官が運用計画を立ててましたよ、色々ムラは多かったですが、司令官が運用しなければ鎮守府としての意味を成さないので五月雨はサポートに回りました」

 

「五月雨のサポートがあったとはいえ鎮守府としての運営が出来ていたなら正解なんじゃないか」

 

感想が続く天龍

 

「うーん、どうなんでしょう、何か行き詰まると大本営に電話してましたし、他の鎮守府と同様にドロップ艦偏重の運用でしたし、建造艦は運用までに時間がかかると敬遠と迄は行かなくとも陸での仕事を割り振っていました」

 

「陸での仕事?」

 

吹雪が聞いてる

 

「鎮守府の雑用全般ですね、五月雨と一緒に鎮守府中をお掃除したり、建物の修繕をしたり資材などの数量管理とか消費材の発注、運営資金の管理もありましたし」

 

「ホントに全般だな、元は五月雨一人でやってたのか?」

 

天龍は感想で良いのか?他にも言いたい事があるんじゃないか?と余計と分かっていても思ってしまう

 

「司令官と二人で、ですね、所属艦が増えると司令官の受け持ちが艦娘に移って来た感じでしょうか」

 

「じゃあ、五月雨は鎮守府所属の頃は海には出てないの?」

 

吹雪には驚きの艦娘運用らしい

 

「余り出なかったですね、時間が空いた時に司令官の許可をもらって建造艦達と近場を回るくらいでした」

 

「訓練を兼ねてか」

 

天龍の冷めた言い様に過ぎた事は仕方ないと割り切っている様子が見える、だから感想なのね

 

「訓練という程の事は無いですね、浮く事と進む事、辛うじて意図的に加減速する事くらいでした」

 

聞いていると、なるほど、桜智の所の遠征成功率の幅が大きいのは、そういう事か

建造艦は訓練を必要とする事から運用し辛いって話は聞いてたが、他所の鎮守府だと建造艦は予備的な運用になってるのか

そこまで使い分けられてるとは考えていなかった

 

「で、ここはどうなんだ?」

 

天龍が聞いてきた

 

「どうって言われてもな、ウチは所属艦が増え始めた頃に初期艦がああなって、その後ドロップ艦は初期艦ばかり、建造艦を運用する以外になかった」

 

「ああ、そうだよね、それでこの鎮守府は建造艦とドロップ艦の比率が他の鎮守府とは逆になってるんだった、攻略隊の第一艦隊旗艦が建造艦なんてこの鎮守府だけだもの、そりゃ他の鎮守府とは根本的に違う運用になる訳だ」

 

なんか今更気が付いたとか妙に納得したとかそんな感じの漣

 

「司令官が建造艦と向き合わざるを得ない状況がこの鎮守府の状態を決定した、司令官の資質がそれに向いていた事も大きいのだと思うのです」

 

今度は電の感想か

 

「向き合い方というのもあると思います、五月雨の司令官は建造艦を艦娘として運用する事は多くありませんでした、でも仕事は割り振っていましたし、仕事振りはキチンと評価していました、だから陸の任務でも不満を持つ建造艦は少なかったですよ」

 

五月雨は桜智の運用に一定の理解を示してるのか

 

「建造艦が不満を持たないという点ではウチの鎮守府運営が一番でしょう」

 

電がなんか言いだした

 

「海に出られない運用でも不満が少なかった鎮守府よりも不満がない?艦娘なのに?」

 

吹雪にはわからない話の様だ

 

「そこまで行ってしまう程、戯れていたのですよ、電の話なんて一切聞かずに」

 

なにを思い出したのか、黒い笑み、を見せる電、こいつ毒舌持ちな上にヤバイ奴なのか、覚えとこ、逃げるタイミングを逃したくないし

 

「そういえば、今はどうなっているんです?」

 

漣からの質問らしい

 

「?何がだ」

 

私に聞いてきた様なので聞き直す

 

「漣と電が配置されていた鎮守府、ですよ、数を減らしてようやく大本営、というかこの鎮守府主導の合同作戦に戻ったと聞いていますけど」

 

古巣が気になるのかな、大本営にいるのだからここで聞かなくとも報告書を読めば良いだろうに

 

「あの行動以来数に入れていない、合同作戦は三箇所の鎮守府と大本営の遠征隊の資材集積量を基に計画を推進中だ」

 

「あらま、でも資材を持ってきてはいるんでしょう?」

 

元の鎮守府の話なのに左程気にしていない様子の漣

 

「誤差で処理してしまえる程の量だが、何度か持ち込んでは来ている、尤も向こうの目的は資材の持ち込みを口実に色々探り出す事の様だが」

 

「なにをやっているのですか、アレは」

 

「まだパシリやってるんだ、ある意味すごいね」

 

呆れと悪い意味での驚きを隠しもしない二人、探り出そうとしているのは、艦娘か司令官か

私が聞いた限りではどちらとも判断出来ない、双方が其々の思惑を持っているのかもしれないしな

それに色々と探り出すという点ではウチだって大して変わらない、難儀な事だ

 

「この話はここで区切りとして、天龍、その書類をどう思う?」

 

脱線し過ぎなのを戻そう

 

「どう思う、じゃなくて、どう対処するか、だろ?」

 

「その対処を天龍がやると混乱が起きそうなんだが、そこをどう思うか?」

 

「……そっちかよ、確かにオレが動くと先方で揉めそうではあるな、ここと同じ様に天龍から渡されたと、司令官が聞いていれば」

 

「大本営の配布物を天龍が持って来たとなれば、まあ、お前が持って来たんだろってなるよね、そこから正さないといけないのは手間だよね」

 

同意を示す漣

 

「えーと、この書類、偽物断定なの?結論出すの早くない?」

 

吹雪は疑問の様だ

 

「偽物とは言い切れないのです、作成したのは大本営の官僚達なのですから」

 

「今の大本営は監察官の統制下にあり、大本営の官僚達がこういった書類は作成する必要はない、にも関わらず作成し、配布した、その目的は?という事です」

 

「さっきブッキーも言ってたでしょ、官僚達が息を吹き返して来たって、そういう事」

 

電、五月雨、漣の言い分で漸く納得した感じの吹雪

 

「つまり、これ自体が、大本営を追い出されそうな官僚達が打ってきた布石、これを足掛かりに影響力の拡大を目論んでるって事でいいの?」

 

吹雪の性格がイマイチわからん、その確認要るか?本人はいい根性してる様だし優柔不断という訳でもないんだよな

 

「影響力の拡大というか、老提督の排斥だろうな、目論んでいるのは、老提督が今の立ち位置にいるのが余程邪魔なんだろう、どこまで準備してるのかわからないが次にあの立ち位置を占めるモノに売り込んで返り咲く筋書きじゃないかな、今大本営を統括している監察官達も一枚岩ではないし、老提督に何かあればその辺りが大揺れするだろうしな」

 

五十鈴が言うには鎮守府大増設計画の遅れが老提督を叩く格好の材料にされてるそうだし

どこまで耐えられるかは老提督次第、耐えきれなくなる前に大増設計画に着手しないといけない

 

「そこまでわかってるのに、司令官は何を待ってるの?」

 

「待ってる?」

 

漣の質問の意図がわからないんだが

 

「待っていないのなら、何故資材集積行動から鎮守府大増設計画に移らないんです?」

 

ああ、それね、誰も彼もそれを聞いて来る

 

「不安材料が多過ぎる、そこにこの書類だ、大増設計画は始めれば一気に動く、躓きそうな小石は出来るだけ除きたい」

 

「除くには鎮守府司令官の権限では足りないと、大本営の、老提督の権威が必要という事ですか」

 

五月雨が言うと慎重な確認に聞こえる不思議、吹雪と大きく違うのはなんでだろう

 

「権威ね、まあそういった類のモノは無いより有った方が良いだろう、こちらの状況は報告済みなんだから、大本営で音頭を取れないか?」

 

大増設計画は本気で大本営でなんとかしてもらいたい所、鎮守府側は資材供出で済ませられないモノかな

 

「そりゃ無理だ、老提督は上部機関を抑えるのに手一杯、この上に計画推進の旗振りまでは手が回らない、何よりそれは、あんたの仕事だろ、佐伯司令官」

 

天龍に宣言されてしまった、この場合宣告とかの方が適切か

 

「老提督がそういうつもりだとは、本人と五十鈴秘書艦から聞いている、しかし私は一介の鎮守府司令官に過ぎない、私が旗振りした所で誰が仰ぐんだ?現状でも鎮守府司令官は五人居るしその候補者となればもっと居る、この中の誰かが旗振りするとして、それを誰が仰ぐというんだ?」

 

こちらの質問に考える様な間が空く

 

「もしかして、あの二人の司令官を止められなかった事を気にしているのですか?」

 

電が探る様に聞いてくる

 

「それもある、というかそれが当たり前だ、立場が逆なら私だって他の司令官の指示なんて聞く気はないからな、だから、私が旗振り役というのは計画推進には障害となる事が見込まれる、老提督以外には適任者はいないんだ」

 

これはここまで資材集積計画を主導して来た実感として肌で感じている、どう考えても私にそれらしい肩書が付いた所で意味を成さない、必要なのは司令官達を束ねられる人望とかカリスマとかそういった類のモノだ、私にはどれも持ち合わせが無い

 

「いや、それはどう考えても佐伯司令官の仕事ですよ、ほら、例のアメリカのじーちゃんが原案を作ったっていう司令長官用の契約書、あれの検証がもうすぐ終わるって聞いてる、契約を結び直す事で佐伯司令官は大本営司令長官職に着任可能な状況になる、それにこれを活用して計画の遅れを他に転嫁してしまえばじーちゃんへの風当たりも弱く出来るかもしれない」

 

漣が良い考えとばかりに言って来た、がダメだろそれは

 

「それをやった所で風の当たる所が変わるだけじゃねーかな、老提督と立場を等しくする老兵にそんな風を分けた所で意味無いぜ」

 

天龍は私と同意見らしい

 

「あー、そうなってしまいますか」

 

天龍の指摘に同意の漣

 

「漣はお爺さんの事となると考えが足らなくなるのです」

 

電のそれは指摘かな、嫌味かな

 

「でも、契約書の検証待ちというのは使えるのでは?司令官の懸念も的外れとは言い切れないのですから」

 

五月雨が再利用を勧めてきた

 

「纏めると、佐伯司令官には検証が終わり次第契約を変更してもらって、司令長官職に就任、その第一計画として鎮守府大増設計画の旗振り役をやってもらう、こんな感じですか?」

 

勝手に纏めるな、吹雪がとんでも無い事を言い出した、どうすんだよコレ

 

「あの〜、纏まった所でこちらの話も良いでしょうか?」

 

遠慮がちに長良が言ってきた、こんな話がこれ以上進まない様に話題を変えるのに丁度良い

しかし長良はよくもここまで大人しくしていたものだ

 

「そちらの話は大体五十鈴から聞いてるが、こちらの話は伝わっていないか?」

 

五十鈴との押し問答的なアレをまたやらなきゃならないのかと思うとそれはそれで気が滅入るが

 

「それは昨日聞きました、私達が未帰還者としてこの鎮守府に着任すると色々と火種になりかねない、だからといって司令官は二重登録に手は貸せない、と言う事ですよね」

 

「まあ、そんな所だ」

 

かなりざっくりな解釈だな

 

「五十鈴の提案では私達をドロップ艦として登録、でしたが、ドロップ艦として収容して仮状態で問い合わせる、と言う方法はどうでしょう?」

 

「?問い合わせて、どうするんだ」

 

そもそもなにを問い合わせるんだ?

 

「ドロップ艦として収容した後で私達が最初の鎮守府所属だと言っていると、問い合わせるんです」

 

「……火種になるなら何時かでなく、今?」

 

なかなか大胆な手を持ち出して来たな

 

「少なくともこの火種が点くのは大本営になりますよ、この鎮守府は収容しただけになるのですから」

 

そういう長良に初期艦達が不満気な顔をする、天龍まで渋い顔だ

 

「司令官が最初の初期艦を保護してるからって、当てにし過ぎじゃないか?一人を保護するのとお前達を保護するのとは別だぞ?」

 

天龍には異論がある様子

 

「こちらは全員高練度艦な上に自力修復と資材生成可能な妖精さんを保有しています、鎮守府にとっても悪い話ではない筈です」

 

なにそれ?そんな事が可能な妖精さんがいるのか、ウチには居ないぞ

 

「……そこまで言うのか、その辺は誤魔化すのかと、思ってたけど」

 

天龍が驚いている様に見える

 

「電ちゃんが言うにはこちらの司令官に隠し事はダメなんだって、全部話せば見捨てる事はない、ウチの叢雲はそうなってる、そう言うから、皆んなとも相談して電ちゃんの話に乗ろうって決めたんだ」

 

なんでこうも私の知らない所で話が勝手に進んでるのかな、それに又しても電か

 

「それで、司令官は乗るのか?この話」

 

即答できる様な案件ではない、先ずは時間を稼がないと

 

「……その前に、特務艦の引率をしている叢雲を呼ぼうか」

 

確か工作艦の補佐として補給艦達と一緒に工廠にいる筈だしな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







登場艦娘

初期艦研修中の叢雲、現在外地研修として特務艦隊を引率中、教導艦は天龍に変更されている
単に初期艦との表記であればこの叢雲を指す、筈

一号の初期艦、吹雪、漣、電、五月雨 (叢雲は鎮守府にて睡眠中)、大本営で色々と試行錯誤中

一組の初期艦、漣、電、五月雨 (吹雪は解体、叢雲は改修素材で二名欠員)、佐伯司令官の補佐担当

老提督(大本営司令長官)秘書艦の五十鈴、艦娘部隊大本営代理人の側面を持つ

大本営の遠征隊、天龍等が率いる遠征隊、各鎮守府を巡回していたりもする

移籍組、本編中では引き籠り達として出て来ていた高練度艦達

五十鈴の姉妹艦達
・大本営で未帰還者として記録されているあの海戦の生還艦娘
・海戦からそれなりに経つが戦没扱いに出来ない事情がある、らしい
・現在五十鈴の主導、天龍達の協力により何処かに隠匿中
・大本営には同型同名艦が所属している




登場人物

老提督
・研修中の叢雲からは視察官、一期で視察官として鎮守府に来ている時が初対面だったから
・一号の初期艦からはじーちゃん、お爺さん、艦娘部隊発足前から色々あった経緯から
・稀に最初の人、艦娘の言う妖精さんを見る事が出来た最初の人
・現在監察官の一人として大本営の監察中、大本営を上部機関が統括下に置いている間の臨時司令長官

監察官
艦娘部隊上部機関より派遣された、退役軍人、国家代表、元上級官僚、という方々、大本営を監察中

老兵
・老提督に続き妖精さんを見る事が出来た二人目の人、退役軍人
・老提督と同様に艦娘部隊上部機関に席を用意されてる艦娘部隊の重鎮の一人
・漣からはアメリカのじーちゃん呼びされてる
・監察官の一人として大本営を監察中の筈
・現在大変な厄介事を抱え込み難儀中でもある

移動指揮所の自衛隊
佐伯司令官の要請で舞台となっている鎮守府に駐留、自衛隊内部で扱いが割れて紛糾中、現場の自衛官は艦娘部隊に協力姿勢を示している

桜智司令官、増設された五箇所の鎮守府の一つに着任している司令官、元五月雨の司令官

佐和司令官、増設された五箇所の鎮守府の一つに着任している司令官、元吹雪の司令官

佐伯司令官、増設された五箇所の鎮守府の一つに着任した司令官、舞台となっている鎮守府の司令官



その他

あの海戦
・過去に一度だけ発生した深海棲艦と艦娘の大規模海戦
・本編の時間経過上では一度だけしか発生事例がない
・この海戦の始まりは人の軍隊と深海棲艦で勃発した
・この海戦は相応に記録されている、らしい


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