初期の艦これ   作:弱箔

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御注意

・大幅に書き方が変わっています
・苦行用です
・長いです

ご承知頂きたく存じます


77 報告は終わり

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:秋津洲

 

 

「以上で報告は終わり、かも」

 

「静かなものだ、一日掛けて深海棲艦が全く見つからないとは」

 

「あの、司令官?大規模強襲なんて、ホントにある、かも?」

 

遠慮がちに聞いてくる秋津洲

 

「妖精さんは来る、と言ってる、無視出来ないし、私は今夜の内に何かが起こる、と思っているが、まあ、確証はないな」

 

現状で大規模強襲なんて、確かに現実味がないだろうとは思った

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

大本営所属艦:五十鈴

鎮守府所属艦:事務艦

 

 

宵の口に五十鈴が執務室に顔を出した

 

「司令官、鳳翔と祥鳳を警戒態勢で配置しているようだけど、無意味よ?空母艦娘は夜戦が出来ない、休ませた方が良いわね」

 

「……夜戦が出来ない?聞いてないんだが」

 

「発艦出来ても着艦出来ないし、艦載機の妖精さんも月明かりで制空戦闘出来るようには訓練されてない」

 

「……それは困ったな、哨戒部隊を編成して展開しなきゃならん、っと待て、長良はそれを知っているのか?」

 

「勿論知っている、夜の間に資材補給を済ませてもらうつもりでしょうし」

 

「事務艦、ウチにあるだけの電探とソナー集めて哨戒部隊を編成、周辺海域の警戒に当たらせろ、実戦部隊は工廠に召集、出撃準備を整えさせてくれ」

 

そう言ったら不思議そうにされてしまった

 

「それは既に実施済みです」

 

「なに?」

 

「叢雲の提案を基に、長門、龍田両名により行動計画が作成され、司令官も承認されましたが?」

 

どこから出したのか、行動計画書が目の前に出て来た

 

「……」

 

アッレー?見た様な覚えの無い様な、行動計画書だな、とか思ってたら五十鈴からも突っ込みが入る

 

「だから、鳳翔と祥鳳を休ませるように、言っているんだけど?」

 

「……」

 

不思議そうにする艦娘二人に何も言えなかった

 

 

 

鎮守府(元佐和鎮守府)-港

鎮守府:アメリカの司令官

大本営所属艦:吹雪/漣/電 (一号の初期艦三)

 

 

鎮守府から大本営に戻る途上の一号の初期艦三隻は想定外の無線を受け状況確認の為に、以前吹雪が配置されていた鎮守府に寄港していた

 

「ようこそ、我が鎮守府へ、歓迎するよ、最初の初期艦達」

 

その鎮守府の港で初期艦達を迎えたのは、想定していた司令官ではなかった

 

「えっと、あれ?私の記憶が確かなら、この鎮守府の司令官は貴方ではないのですが?」

 

寄港前から色々と違和感はあった、それを大増設計画の影響によるモノだと推測していた、何しろ寄るのは久しぶりなのだから

 

「確か、吹雪、と言ったね、ここは間違いなく、以前君が配置されていた鎮守府だ、しかし鎮守府の再編に伴い鎮守府司令官とその所属艦娘も配置替えになった、ここに着任していた司令官は大増設計画で増設された鎮守府に移動した」

 

港で初期艦達を迎えた司令官はそう答えた

 

「聞いていないのですが」

 

この司令官、確かに艦娘の司令官だ、大本営の士官達の様な代理や代行の司令官では無い

 

「そう言われてもね、此方としても大増設計画承認の際にアメリカの司令官もこの計画に参加することになった、それで私がこの鎮守府に配属された、それだけの事だ、詳細は大本営で聞いてもらうしかないな」

 

「……」

 

「……アメリカの司令官?」

 

言葉が出て来なかった吹雪に変わって漣が聞いている

 

「本国では艦娘が居なくてね、当面候補止まりだから、この話に志願して司令官になったという訳だ」

 

「では、この鎮守府に居た司令官、私の元司令官の移動先を教えてください」

 

寄港した目的はそれなのだ、状況確認は信頼の置ける司令官でなければ意味を成さない

 

「それは出来ない」

 

「何故ですか?」

 

「司令官の配置や所属艦娘の詳細は秘匿事項だ、正式な手続きを以って書類を揃えてもらわないと教えられない、急ぐのなら、大本営に向かうと良い」

 

悪気がある訳では無いし悪意も感じない、単純に手続きの話だと判断出来る、それは理解した、が、この靄靄はどうしてくれようか

 

「……」

 

「吹雪、ここで押し問答しているより大本営に向かった方が良いのでは?」

 

電から提案が出された、素直に受け入れろと、言ってる?

 

「……」

 

「ここに留まっても得るものはなさそうだけど?」

 

漣からも言って来た、それはそうなんだけど、確かにここでゴネても仕方ないと思い直す

 

「そうだね、突然の訪問、この様な時間にも関わらず対応頂きありがとうございました、私達はこれで失礼します」

 

寄港したものの港から上陸すらしないまま出港する事になった

 

「なにやら急いでいる様だし引き止める訳にもいかなそうだ、今度会う時にはゆっくりと話をしたい、そのトキを楽しみにしているよ」

 

アメリカの司令官はそう言って見送ってくれた

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:事務艦

 

 

長良達がこちらの無茶振りに応じ、遠征隊の護衛任務を受けてくれた、これ以降長良達は護衛隊と呼称される事になる

海域に到着したとの報告から暫くしたら別の報告が上がって来た

 

「航路変更?聞いていないが」

 

「龍驤の偵察機から得た情報です、司令官から示された他所の鎮守府遠征隊航路と実際に観測された航路がかなり離れていると言っています、尤も目的地はこの鎮守府なので近海では誤差レベルに収束しているそうですが、航路変更の理由を問い合わせますか?」

 

「おそらくこちらが出した強襲予測の影響だとは思うが、それに対応している事は伝えていないな、元々こちらに到着してから詳細を伝える予定だし、長良達が接触すればその時に説明する手筈だ、外に発信する前にその遠征隊に話を聞こう」

 

長良達の行動範囲は限られている、それを超えている様なら別の手を考えないといけない

 

 

 

外洋-航海中

大本営所属艦:漣/吹雪/電 (一号の初期艦三)

 

 

元吹雪の配置されていた鎮守府から出港、暫くしてから漣が言い出す

 

「オカシイ、絶対に大本営で何かあった」

 

「一般の海上広域無線で艦娘の指揮権譲渡なんて言い触らすんだから、よっぽどだよね」

 

同意する吹雪

 

「それで現状を確認する為に距離的に近かった吹雪の配置されていた鎮守府に行ったら、司令官が、鎮守府の中身が丸ごと入れ替えられていた、しかも新しく着任していたのはアメリカの司令官、状況を整合させるには情報が足りないのです」

 

確認する様に言う電

 

「このまま大本営に行くのは、無し、だよね」

 

自信無さげに言う吹雪

 

「……行きたければ止めないけど、でも、三組の件はどうしようか」

 

漣が考え込む様に言う

 

「それはこの際置いておきましょう、大本営で何があったのか、詳細も分からないでは危険過ぎるのです、三組の初期艦達も未だに大本営に留まっているのなら、迂闊に接触しない方が良いと思うのです」

 

「じゃあ、佐伯司令官の所に引き返すって事で、異論は無い?」

 

安心した様に言う吹雪

 

「少なくとも、あそこなら安全は確保出来るし、情報もそれなりに入るだろうし、それを精査しない事には何の判断も出来ないからね」

 

漣は最善というより次善策だと、思っている

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:事務艦

 

 

「司令官、護衛隊から報告がありました、元大本営所属の初期艦と接触、こちらに向かったとの事、なお、護衛は不要との進言があった為初期艦四隻のみで航行中との事です」

 

「一隻多いな、出発した一号は三隻だろ」

 

事務艦の報告には色々足りない部分がある、それらをまとめる様に促す

 

「護衛隊が接触した初期艦は三組の初期艦だそうです、例のメッセージが発信される前に司令長官の指示によりこの鎮守府、司令官の指揮下に転属となり大本営を出発したと、話をしているそうです」

 

厄介事は呼んでもいないのに向こうから来るものらしい

 

「……漣が呼んだという初期艦達か、もし可能なら、鎮守府周辺海域にて深海棲艦との接触の可能性がある事を警告しておいてくれ」

 

何にせよ艦娘を粗雑に扱うつもりは無い、可能な限りは相応に対処するつもりではいる

 

「わかりました、ただ、こちらの発した警告を受け取れるかは、賭けになります」

 

「通信状態に何か問題が?」

 

質問したら、何故か難しい顔になる事務艦

 

「……護衛隊からの報告を受ける際に原因不明のノイズが発生しています、妨害の可能性も視野に入れ初期艦達が調査中です」

 

「ジャミング、電波妨害が始まっていると?」

 

「意図的な妨害にしては通信そのものは可能という半端な状態です、気象条件に因るものかも知れません」

 

「五十鈴に協力を要請して、鎮守府の通信設備だけでなく向こうの旅客船の通信設備でも試してもらいたい、それでハッキリする筈だ」

 

「……申し上げ難い事ですが、移籍組の修復中断という事態を受けあの船内はかなりの混乱状態にあり、五十鈴と移籍組の一部の艦娘で他の艦娘を抑えているそうです、暴動になりかねないと、警告を受けました」

 

それは、事務艦が難しい顔をする訳だ

 

「……それ、今初めて聞いたんだけど、余計な気を回さず事態を正確に伝えてもらいたい、事態が進行し手遅れになってから聞かされても何も出来ない」

 

「では、もう一つ、新任の初期艦が現在あの船内で休息中です、危害が加えられるとは思いませんが、容易で無い状況に巻き込まれる可能性は想定した方がよろしいかと」

 

序での様に、何でもない様に言う事務艦、でもソレってオオゴトだよね

 

「……演習の後、自室に戻ったのか?それほど疲労するような演習だったという事か」

 

「いいえ、ウチの叢雲が修復不能と聞いて倒れたそうです、それを長良達が自室に運んだと聞いています」

 

あれ?そんな話は聞こえて来なかった、どういう事かと少し考えてしまった、初期艦の状況なら妖精さんの噂話として聞こえて来ても良さそうなんだが

 

「……そいうことはさ、ちゃんと報告として上がってこないといけないことではないかな?アレはこの鎮守府の初期艦だぞ?初期艦の重要性を再三説いていた事務艦とは思えない対処だな」

 

「申し訳ありません」

 

「……」

 

事務艦はあくまでも事務的だった

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:初春

 

 

護衛隊の龍驤が航路が違うと言っていた他所の鎮守府所属の遠征隊が鎮守府に到着、暫くした頃に初春が執務室に顔を出した

 

「資材供給に来た遠征隊旗艦が面会を求めておるが、通して良いか?」

 

「要件はなんだと言っている?」

 

「幾つかあるようじゃな、まあ、あんな通達を出したのだ、少しは説明責任というのを果たした方が良いと思うがの」

 

初春自身あの大規模強襲の通達には十分な説明が出来ない、それが判るだけに顔を出した初春にこれ以上の負担を負わせる訳にもいかなかった

 

「……わかった、あまり時間は取れないが、会うだけ会おう、今工廠に居るのか?」

 

「お前様が出向くのかえ?執務室に呼んでゆるりと話せば良かろうに」

 

そんな状況に置く司令官にも初春は気を遣ってくれる

 

 

鎮守府-工廠(第一工廠)資材集積場

鎮守府:司令官

桜智鎮守府所属_遠征隊:旗艦_村雨

 

 

工廠に隣接する資材集積場に行くと他所の鎮守府所属の遠征隊がウチの駆逐艦達と資材を運び込んでいる最中だった

 

「当鎮守府の司令官、佐伯だ、話というのは、何か?」

 

「司令官?!こちらから出向きましたのにお越し頂けるとは恐縮です」

 

旗艦に声を掛けた、驚かせてしまった様だ

 

「挨拶は大事だが、今は時間が惜しい、要件を速やかに済ませようと思うが、異論は?」

 

そこは置いて話を進める

 

「ありません、では桜智司令官から幾つか確認する様に言付かって参りました、少し時間を頂きます、先ず一つ目、再三に渡る要求にも関わらず未だに五月雨の帰着が達成されないのは何故ですか?」

 

中々切り替えの良い艦娘だ、伊達に旗艦をやってないと判る

 

「それは再三解答している通り大本営の許可が出ないからだ、そちらが要求している五月雨は現在大本営所属艦だ、私に要求されても決定権は無い」

 

「先程の広域無線での宣言を聞いていらっしゃらないのですか?五月雨はこの鎮守府に転属になりましたが」

 

「広域無線?私の所にはそういった報告は来ていない、来たのは指揮権の移譲だけだ」

 

「同じ事では?」

 

艦娘から見るとこの辺りは同じ事になるのかな、所属と指揮権は別の事柄なんだが

 

「艦娘の立場は艦娘部隊に所属し司令官の指揮下にある事で保護される、多くの場合所属と指揮系統は同一視して差し支えないが、そちらが要求している五月雨の場合は所属と指揮系統が分離している状態だ、指揮権はあっても所属の人事権までは私の元に来ていない、と理解してもらいたい」

 

旗艦が少し考えてから口開いた

 

「……未だに大本営の許可が無ければ五月雨はウチに戻れない、そういう事ですか」

 

「五月雨を所属不詳艦にしたくないなら、大本営に直接掛け合ってもらうしかない」

 

「……ウチの司令官はソレをとても嫌がってるんですが、何でですかね、理由をご存知ないですか?」

 

「その質問は桜智の言付けではない様だが?」

 

そう言ったら旗艦が少し慌てた様な素振りを見せた

 

「失礼しました、二つ目です、先に佐伯司令官から通達された深海棲艦の大規模強襲の可能性について、可能な限り詳しい説明を求めます、ウチの司令官は何を根拠に言っているのか見当もつかないと困惑しています、是非にウチの司令官が納得できる説明をお願いします」

 

まあ、聞かれると思った、こっちが本題だろうから

 

「長い話だ、それを今から話していると君等までこの鎮守府で最後の刻を迎える事になりかねない、私としては所属の違う君等まで私の愚行に付き合わせたくはない、無事に君等自身の司令官の下に帰着して貰いたいと思っている」

 

どこまでこちらの思惑を汲んでくれるか、それによって対応を変えて行く必要がある

 

「……最後の刻、司令官はソレを承知で強襲に備えているのですか?退避すべきでは、ないのですか?」

 

思ったより汲んでくれたか、中々どうして桜智のヤツにも優秀な艦娘が着いているじゃないか

 

「鎮守府に駐留している自衛隊の方々には退避を勧めた、彼方も指揮系統の問題で直ぐには退避できない様だが、私にそこまでの対応力は無い、限られた範囲ではあるが私の対応力でも及ぶ所がある、やれるだけの事はしないとな、司令官なんて職に就いたからには、これも給料の内だよ」

 

色々言いたい事がある様な顔を見せたが、そこは飲み込んだらしい村雨

 

「……三つ目です、初期艦はどうなりましたか?可能であれば教えて頂きたい」

 

外見でも分かるくらいに緊張し、慎重に言葉を使う村雨、そんなに聞き難いと思っているのなら言付けなんて受けなければ良いのにと思わなくはなかった

 

「初期艦?初期艦は配属されたが、それが?」

 

何を聞きたいんだろ、確かにイレギュラーな着任の仕方ではあるが、桜智が問題とする様な事では無い筈だが

 

「ああ、新任の初期艦では無く、始めに配置された、五月雨と同期の眠り姫と呼ばれていた叢雲の事です、色々な噂話が飛び交っていてどれが事実なのか判別できません、他所の初期艦とは言え五月雨の同期の初期艦、ウチの司令官は気を揉んでいますし、心配もしています、出来れば包み隠さず話していただけませんか」

 

そっちか、村雨が聞き難いと思っているのに敢えて聞いてくるのも納得だ、桜智も叢雲を保護した事を支持してくれてたし、そういう事なんだろう

 

「……ちょっと待ってもらっても?」

 

「?待つとどうなるんでしょうか」

 

話を誤魔化されるとでも思われたかな

 

「連れて来た方が話が早いだろう」

 

「!!はい、待ちます」

 

そんなに、喜ぶ様な事では無いと、思うんだが

 

 

鎮守府-工廠(第一工廠)資材集積場

鎮守府:叢雲(旧名)

大本営所属艦:五月雨(一号)

桜智鎮守府所属_遠征隊:旗艦_村雨

鎮守府所属艦:初春

 

 

司令官からの伝言を受けて資材集積場に向かっている二人

 

「忙しいのに……」

 

人化処置からの諸々の事情で五月雨を付き合わせてもホントに忙しい叢雲(旧名)

 

「まあまあ、忙しいのは司令官もですよ、聞く限り五月雨の元の所属鎮守府から来た遠征隊旗艦の話の様ですし、司令官が応対するより私達で対処した方が一度で済みそうですし、この際最適解だと思いましょう」

 

鎮守府に残る判断の後、人化処置後の叢雲(旧名)に付き添っている五月雨

 

「……五月雨?あいつに甘くない?」

 

疑わしげな目を五月雨に向ける叢雲(旧名)

 

「そうですか?そういうつもりはないですが」

 

そんな目を全く気にしない五月雨、そこに声が掛けられた

 

「五月雨!!」

 

「ん?ああ、村雨、遠征隊旗艦は貴方でしたか」

 

五月雨がそちらを見れば確かに見覚えある顔を見た

 

「貴方でしたかって、他人事みたいに、五月雨はウチに戻る気は無いの?」

 

驚いた様子を見せる村雨に対し、五月雨は冷静な対応を見せた

 

「……今は戻れません、この鎮守府で見届けなければならない事が出来ました」

 

「買い被り過ぎ、あいつはただの人で偶々この鎮守府の司令官職に就いた、それだけの事、何も特別な事は無いし、巡り合わせってヤツよね」

 

五月雨の言い様に呆れた様子を見せる叢雲(旧名)

 

「……貴方、叢雲?雰囲気は似てるけど違うか、身長も体格もそんなハズ無いし、何より人、だもの」

 

村雨にマジマジとした視線を全身に隈無く振られた、仕方ないと思う反面、少しは遠慮しろとも思う叢雲(旧名)

 

「元、鎮守府配置の初期艦、叢雲ですよ、間違いなく、私達で人にしましたが」

 

村雨に紹介する様に言う五月雨

 

「人に、しましたって、どういう事?」

 

それに疑問しかない村雨

 

「あー、そこの説明は長いし詰まら無いから何時か死ぬ程暇な時にでも、聞きに来たらいいわ」

 

「そんな訳で佐伯司令官には人になった元叢雲と初期艦として艦娘の叢雲が着く事に成りました、後、何を聞きたいですか?」

「……」

 

余りにもアッサリと言って来る五月雨に言葉が出て来ない村雨

 

「無いなら早く自分の鎮守府へ戻りなさい、長居してるとこの鎮守府から出られなくなる」

 

「それは、どういう?」

 

叢雲(旧名)に聞き返す村雨

 

「佐伯司令官が通達を出しています、そちらには届きませんでしたか?」

 

五月雨に聞き返される村雨

 

「深海棲艦の大規模強襲の可能性の通達の事?なんの根拠も無いのでは信憑性が無さすぎるんだけど」

 

「まあいいわ、長居してこの鎮守府で最後の刻を迎えるも良し、サッサと出発して自身の司令官の元に帰るも良し、好きな方を選びなさいな」

 

「五月雨?」

 

叢雲(旧名)の言い様に、一緒に鎮守府へ帰ろうと五月雨に視線を向ける村雨

 

「五月雨はこの鎮守府に残ります」

 

そんな視線に全く動じる様子もなく、五月雨にハッキリと言い切られた

 

「はぁ、あんたって子は普段はアレだけ優柔不断なのに一度決めたら頑固な事この上ないから、桜智司令官にはそう伝えておく、でも、忘れ無いで、桜智司令官も私達鎮守府の皆も、五月雨が戻ってくるのを待ってる、ウチに来た新任の初期艦、吹雪ちゃんも五月雨と一緒に司令官に仕える日を心待ちにしている、ただ、吹雪ちゃんは生真面目過ぎて司令官が少しだけ困ってるから、出来るだけ早く戻って欲しいかな」

 

「ああ、それは司令官が吹雪の扱いを間違えてる、吹雪は基本真面目なのはそうだけど堅苦しい石頭じゃない、色々試してみると良いわ」

 

叢雲(旧名)がそう言ったら、何故か村雨が呆気にとられた様子を見せる

 

「……一番艦にスゴイ言い様ね」

 

「何?あんた達白露型は一番艦の事を何も言えないの?」

 

「そういう事では、無いんだけど」

 

白露型には何かあるらしい模様、向こうの鎮守府の特異事情かも知れない

 

「ああ、そうそう、佐伯司令官から航路変更の理由を聞く様に頼まれました、ウチの龍驤が観測したそちらの航路は随分と回り込んでいる様ですが、なんでです?」

 

話題転換なのか、ただ思い出しただけなのか、五月雨から村雨に質問が入った

 

「なんでって、ウチの鎮守府からの最短航路を通っているだけだけど、回り込んでる様に見えるの?」

 

「以前の航路とは違う様ですが?」

 

五月雨の言い分に少し考えてしまう村雨

 

「……以前?ああ、鎮守府の移動命令が大本営からあったの、ここと同じ時期に増設された鎮守府から今回の大増設計画で新設された鎮守府へ移る様に、それで以前の航路とは違う方向からこの鎮守府に来てるって訳、この話は届いてないの?」

 

不思議そうにしながらも答える村雨

 

「……鎮守府の移動?引っ越したって事?多分工廠絡みだろうとは思うけど、思い切った手を打ったものね、老提督は」

 

「工廠絡み?」

 

叢雲(旧名)の台詞にも不思議そうにしている村雨

 

「理由は聞かされていないの?」

 

「何も、ただ移動しろと、命令があったとしか」

 

どうやら村雨はその辺りの事情を知らないらしい

 

「じゃあ以前の鎮守府は今空き家になっているんですか?」

 

五月雨から質問が入る

 

「いえ、誰かが入ったと聞いてる、何処の誰かまでは知らないけど」

 

いきなり別方向の質問をされて戸惑っている様な村雨

 

「誰か、ね」

 

「妖精さんはこちらから初期艦と共に送った訳ですし、それ等を全部含めてでしょうけど、工廠を新設せずに引っ越したんですか」

 

「ウチの第三工廠が元になってるからね、大増設計画で新設された鎮守府の工廠は」

 

「旧式の工廠とはいえ遊ばせておくのは、どうなんでしょう?」

 

「旧式って、そうかもしれないけど、単に仕様が違うだけだから使い様じゃない?」

 

村雨は二人の会話から状況を読み取ろうとしていたが、口を挟んで来た

 

「よく分からないけど、妖精さんは移動した後の方が機嫌が良いみたいだけど、その辺りも何かあるの?」

 

村雨の質問にはどう答えたものかと考えを巡らせる叢雲(旧名)、無難な所で済ませた方が良いだろうと当たりを付けてから答えた

 

「……そうでしょうね、初期艦と共に送った妖精さんは第三工廠の仕様に最適化されてるんだし」

 

「なにそれ?妖精さんもなにか違いがあるの?」

 

「違いといえば違いだけど、私と村雨が違うっていう類の違いよ、気にする事は無いと思うけど」

 

「何を話し込んでおるのだ?妾も混ぜてくれんかのう」

 

唐突にこれまでに無かった声が掛かった

 

「初春、どうしたの?」

 

「どうしたの?は妾の台詞じゃ、何時迄引き留めておるつもりじゃ、早う出発させねばならんというに」

 

「……そうだった」

 

早く出発する様に言っておきながら話し込んでしまった事に今思い当たった

 

「司令官からの注意事項は他の遠征隊艦娘にも話はしておる、帰りの道中で今後の遠征隊の行動をどうするか話し合って、其方の司令官とも良く話して貰いたい、なにしろウチの司令官は艦娘が沈む所は見たく無いと、此の期に及んでもまだ我が儘を抜かしよる、強襲されると分かっていて受けて立とうというに、困った事じゃ」

 

「……その強襲、ホントにあるの?」

 

未だ疑問しかない村雨

 

「予定通りに遠征隊をウチに寄越せば、結果は見れるじゃろ」

 

その疑問に簡潔に初春は応じた

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:三組の初期艦五/事務艦

 

 

護衛隊と接触した三組の初期艦と元から居た漣、合わせて五隻が整列している

 

「大本営よりこちらの鎮守府に転属になりました、以後宜しくお願いします!」

 

「……辞令は受け取った、本日より君ら五隻の初期艦は当鎮守府の所属となる、なるが、当面は出撃等の艦娘としての任務は無い、有り体に言って来る時期が悪すぎる、こちらは他の案件で手が塞がっていて君らに掛ける手が無い状態だ、他意がある訳ではない、単に時期が悪過ぎるだけだ、以前から其方の漣がいた事でもあるし詳細は漣から聞いてもらいたい」

 

「概略は聞いています、その事案には初期艦が多い方が打てる手が多くなる筈、というのが老提督のお考えです、この鎮守府所属になったのですから、使えるだけ使ってください」

 

どうやらこういう場面では吹雪が代表をやるらしい、三組の初期艦の場合は

他の組は、如何なのかな

 

「……取り敢えず、君らの仕事は無い、自由行動として良い、事務艦、この子等の部屋割りと所属艦としての備品一式の用意と配布を」

 

「わかりました」

 

事務艦はそれらを恙無く執行した

 

 

 

鎮守府-工廠(第一工廠)

鎮守府:叢雲(旧名)

大本営所属艦:五月雨(一号)

 

 

村雨達を見送った工廠で叢雲(旧名)と五月雨の話が続いている

 

「そう言えば、あの子は何処にいるの?見かけないんだけど?」

 

「あの子は自室で休んでいる、と聞いていますが」

 

「……この忙しいのに、呑気に寝てるの?器が大きいのか、ただの阿保なのか、どっちなの?」

 

「ふふっ、どちらでも無いですよ、元はと言えば叢雲の所為ですよ?修復不能と聞いて倒れたそうですから」

 

「ナニソレ?その程度で倒れるの?小心過ぎ」

 

「あの子はドロップ艦、それもドロップ直後に司令官を見つける事の出来た運の良い子、私達の様に司令官を見つけるまでに何年もかかったへそ曲りの初期艦とは、違いますよ」

 

「へそ曲りの自覚が、五月雨にあるなんて、これは漣達と共有しないといけない話ね」

 

「ちょっと?!言い方!叢雲が一番のへそ曲りじゃないですか!」

 

「ああ、人に作り変えられたからちゃんとお臍が出来た、曲がってないわよ?見る?」

 

「そういう事を言っているんじゃないですよ!分かって言ってますよね?!」

 

「まあまあ、相変わらず、五月雨がカワイくて安心した、さっきの村雨とのやり取り、変に気にし過ぎてるのかと心配だったから」

 

「……あの子が、気にし過ぎていたから?」

 

「あの子は、改修素材なんかにならず、司令官に仕えれば、良かったんじゃないかって、思わない?」

 

改修素材になり自身を起こした一組の五月雨の行動に、思う所がある叢雲(旧名)

 

「それ、今度口にしたら、許しませんよ」

 

その叢雲(旧名)に五月雨は何時に無く厳しい表情を見せた

 

「ん、そうね、ごめん」

 

過ぎた過去は動かせない、託されたモノとしては重荷であっても捨てられない

 

本来なら、自分も託す側だったのに何時の間にか託される側に回されている、因果応報というのか、自業自得というのか

 

託す側だった叢雲(旧名)は託さなければならない側の心情も良く解っていた

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:事務艦

 

 

「司令官、護衛隊から報告です、帰還途上の遠征隊が深海棲艦と接触、護衛隊で防衛線を構築し遠征隊を退避させた様です、この戦闘により護衛隊の一隻が小破、遠征隊は被害無く海域を離脱、所属鎮守府へ向かったそうです」

 

小破以下の損傷なら自己修復出来る、そう聞いていたからそこは置いて、接触した方の詳細を聞く

 

「接触した艦種は分かるか?」

 

「長良の艦種呼称基準に寄ると駆逐級二隻と軽巡級一隻の三隻だと言っています」

 

「海図を、接触海域は何処だ?」

 

「この海域の南側だと報告してきています」

 

「……ここで三隻と接触か、ウチの哨戒部隊はまだ、見つけていないのだったな」

 

「現時刻まで深海棲艦との接触はありません、電探、ソナー、艦娘自身の視聴覚、何も発見の報告はありません」

 

「……戦闘部隊に出撃用意をさせて待機、但し編成は駆逐艦を軸に軽巡が殿に付く様に、二個艦隊編成してくれ」

 

「編成は誰を?」

 

「捕まえられる奴で編成していい、急いでくれ」

 

強襲してくる集団なのか、ただの野良なのか、現状では判断材料が無かった

 

 

 

鎮守府-工廠(第一工廠)

鎮守府所属艦:長門/駆逐艦十隻/軽巡二隻

 

 

事務艦から連絡を受け、司令官からも事情説明を受けた長門が出撃する艦娘達を集めている

 

「司令官から出撃命令が出された、但し今回は強行偵察、と考えてもらいたい、戦闘行動よりも接触した深海棲艦の情報を持ち帰る事が優先だ、全員で司令官に報告できる事を願っている」

 

「そんなこと言ったって、哨戒部隊から深海棲艦の発見報告が無いじゃん、何処を偵察すればいいのさ」

 

早速駆逐艦から疑問の声が上がった

 

「哨戒部隊は電探を始め索敵に特化した装備をしている、変わって戦闘部隊は攻撃用の兵装を装備している、この違いが、深海棲艦との接触率の違いに直結する、というのが司令官の言い分だ、即ち、戦闘部隊である皆は極めて高い確率で深海棲艦と接触する、と予測される、周囲の警戒を怠るな、接触したら直ぐに来援を要請してもらいたい」

 

「来援って、この面子で、要る?」

 

周囲を見回した別の駆逐艦も疑問を口にした

 

「要る、司令官はそう判断しているし、私も同意見だ、深海棲艦の得技は判別不能な程の数が出てくる無限湧きだ、先に自衛隊がコレに直面し這々の体に成り果てたのは、知っているだろう、油断するな、警戒し接触したら直ぐに来援を要請するんだ、良いな」

 

「アレが起こるっての?私等が出撃した海域で?」

 

長門の話に眼つきが変わる駆逐艦がいる

 

「可能性の話だ、起こらないとは、言えない」

 

「ふーん、なら、接触と同時に乱戦になるね、接敵したら艦隊としての行動を解除して、個別に鎮守府へ戻った方がいいかな?」

 

「艦隊としての行動は旗艦が判断して良い、但し、単艦行動は避けよ、数が数だ、一人では対処仕切れ無くなる、分艦隊としての行動を、取ってもらいたい」

 

戦闘時の血の気の多さは軽巡並の駆逐艦達、深追い等で無用な損傷を負わない様にクギを刺した

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:事務艦

 

 

長門から出撃の報告が上がって来た、それを執務室にいる司令官に報告する事務艦

 

「司令官、指示通りに駆逐艦を主力とする二個艦隊が出撃しました、続いて長門を旗艦とする第一艦隊と、龍田を旗艦とする第二艦隊が出撃待機に入ります」

 

「第一と第二の編成は、何時も通りか?」

 

「はい、変更はありません」

 

「第一艦隊から白雪を抜いてくれ、第二艦隊は阿武隈を旗艦にして龍田は鎮守府待機、初春は遠征隊か?」

 

司令官の意図が良く分からないが、指示を履行すべく必要事項だけを答える事務艦

 

「編成上はそうです」

 

「初春に第一艦隊に加わる様に要請、断る様なら、私に話を持ってきてくれ」

 

龍田を旗艦から抜く方が問題になりそうな予感を持った事務艦、コレは対応を決めておいた方が良いと判断しそれとなく聞いてみる

 

「……龍田もゴネる様なら、司令官に話を持って来ても?」

 

探る様に聞く事務艦

 

「そっちは天龍に振ってくれ」

 

振れる事は出来るだけ誰かに振っていこう、何でもかんでも事務艦の肩書きで済ませられる訳では無いのだから

それは司令官も承知してくれている、実際、今回は天龍に振っても良いと言ってくれてる

 

 

 

鎮守府-工廠(第一工廠)

鎮守府:叢雲(旧名)

鎮守府所属艦:初春

 

 

先程から出撃準備で騒がしさを増した工廠で五月雨は一組の初期艦達の所に戻り、叢雲はその場に留まり様子を見守っていた

 

「初春を第一艦隊に編成って、何時以来かしら」

 

「なんじゃ?不服か?」

 

「あんたも何も言わずに編成されるとか、どうしたの?」

 

「人になったからかの、叢雲にはわからんか?」

 

そう言う初春は視線を叢雲(旧名)に向けなかった

 

「……そういう事、人になった所為で分からなくなった事が増えていく、仕方ないとは言え、役立たずになったものだわ、我ながら」

 

「そういう自虐は止めよ、彼奴も喜ばんし、妾も聞きとうない」

 

「……そうね、もどかしさの余り余計な事を言ってしまった、反省するわ」

 

「其方にも出来る事があろう、観察眼まで鈍った訳でもあるまい、探してみる事じゃ、己に何が出来るのか、考えてみる事じゃ、何をすべきかを」

 

「……」

 

初春の尤も過ぎる意見に何も言えない叢雲(旧名)

少なくとも艦娘にしか使えない工廠に人になった叢雲(旧名)の居場所は、見つけられない

 

 

 

鎮守府-資材管理室

鎮守府所属艦:天龍/龍田

 

 

工廠から戻った龍田は愚痴っぽく聞いてしまった

 

「んー、天龍ちゃんはどう思う?」

 

「だから、ちゃんは止めろ、第二艦隊旗艦から鎮守府待機になった事か?不満なら司令官に言ってくれば良くね?」

 

天龍の返答は素っ気なく聞こえる、それを聞く龍田は分かっている、元大本営所属の建造艦、ウチに転属して来た天龍、練度は然程高く無いが、常に自然体を保ち誰に対しても一定の態度で臨む目の前の姉妹艦

 

名目上の姉妹艦ではあるが、移籍して来た初日からウチの駆逐艦達が懐いた

 

この建造艦は潜在的な何かを持っている、ソレを引き出す事が出来ればウチで建造された艦娘に並ぶ戦力に成る、頼りに出来る姉艦に成り得る事を

 

「……不満、というより、何の考えがあって、旗艦を変えたのか、読み切れないなぁ」

 

「まあ、確かに、大規模強襲なら軽巡が一隻居ようと居まいと結果に影響は無いだろう、結果より、経過に影響させようってんじゃないか?詳しくは分からんが」

 

「経過、継戦時間の最大化?でもそれは今回意味があるとは思えないけど」

 

「前の独断先行の海域展開の時か?あの時とは状況も目的も違う、もしかしたら、出撃した駆逐艦達を迎えてもらいたいのかもな、駆逐艦も阿武隈に迎えられるより龍田に迎えられる方が良いだろうし」

 

「……その時は、天龍ちゃんも一緒に迎えましょうね」

 

帰投して来る駆逐艦を迎える、全員が無傷なら何でもない事だ、出撃した全員が無事ならば

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:事務艦

 

 

各方面との連絡と伝達に出ていた事務艦が執務室に飛び込んで来た

 

「司令官!哨戒部隊から緊急電です!!先に出撃した二個艦隊周辺に多数の深海棲艦と思われる艦影を電探にて感知、直ちに退避させる様に要請しています!!!」

 

何時に無く慌てている事務艦

 

「待て、遭遇している筈の二個艦隊からの報告は無いのか?」

 

野良では無く強襲してくる集団の先鋒だった様だ

 

「ありませんが、退避命令を出すべきと進言します」

 

「……いや、長門が対処指示を出している、それに賭けよう」

 

「……」

 

呆気に取られた様な事務艦

 

「第二艦隊に出撃を、件の二個艦隊をフォロー出来る位置に付ける様に」

 

「……わかりました」

 

流石に事務艦、切り替えは早い

 

「第一艦隊も出撃だ、但し鎮守府正面に展開し、長門の長距離砲撃に拠る支援行動に徹する様に」

 

「伝達します」

 

「それと、哨戒部隊に帰還指示を、慌てず騒がず、通常航行で落ち着いて何時も通りに帰ってくる様に」

 

「阿武隈を旗艦とする第二艦隊に出撃を下令、目的海域は先発の二個艦隊をフォロー出来る位置へ、長門を旗艦とする第一艦隊に出撃を下令、鎮守府近海に展開し、戦艦の長距離砲撃に拠る支援行動を軸に周辺警戒を実施させます、哨戒部隊に帰還指示、状況の如何に関わらず何時も通りに落ち着いて慌てず騒がず鎮守府へ向かわせます、以上でよろしいですか」

 

「……ああ、頼む」

 

復唱、アレだけ慌てて飛び込んで来たのに確認工程を忘れないとか、流石は事務艦だ

 

 

 

鎮守府-工廠

鎮守府所属艦:北上/夕張

 

 

出撃して行く艦娘達を見送った工廠組の内の二人

 

「これで五個艦隊が出撃したのか、この鎮守府って確か六個艦隊を編成するとほぼ所属艦娘を使い切るんじゃなかったかな?」

 

「そうね、六個艦隊を編成すると残るのは数隻のみ、使い切ると言っていい数しか残らない」

 

「今回はその数隻の中に主力艦の筈の龍田が入ってる、それと戦力的にどうかは兎も角第一艦隊から駆逐艦を抜いてたね、あのシロウト司令官は何を考えてるんだろうね」

 

「さあ、あの司令官とは余り話してないし、何を考えているのかわからないってのは、同意なんだけど、だからって、無闇に噛み付いたりしないでよ?アレで移籍組って云われてる私等の印象がここの艦娘達にかなり悪くなってるんだから、せめて皆んなの修復が終わるまでは大人しくしててよね」

 

「生憎おべっか使いなんてこの身体になってから何処かに消え去ったよ、半端な修復なんてしやがって、出来ないなら放って置けってんだよ、マッタク」

 

「だから、ここでちゃんと治ったでしょ?それなのに未だに噛みつきたいの北上は」

 

「……八つ当たり、だとでも言いたいの?」

 

若干睨む様に目を細める北上

 

「それ以外に見えないけど?」

 

そんな北上を普通に見返す夕張

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:駆逐艦六隻_哨戒部隊/事務艦

 

 

哨戒部隊が無事帰投、そのまま執務室に事務艦が連れて来た

 

「戻って休息も挟まずに悪いが、事は急を要する、事務艦と協力し哨戒部隊が感知した深海棲艦の分布状況を海図に落とし込んでもらいたい、それがないと長門の長距離砲撃の目標が定められん」

 

「出撃したっていう二個艦隊からの報告は?そっちの方が正確だと思うけど」

 

尤も過ぎる意見が出た

 

「……報告は無い、あの二個艦隊は出撃後深海棲艦と接敵した場合、旗艦の判断で分艦隊行動を取り鎮守府への帰還を目指す、事になっている、無線を使う余裕が無い、可能性もある」

 

「長門はもう出てるけど、砲撃目標も無いのに気が早く無い?」

 

これも尤も過ぎる質問だ

 

「出撃した二個艦隊からの来援要請に応える為だ、第二艦隊は二個艦隊のいる方向へ向かっている」

 

そこに事務艦が海図を貼り付けた台を引っ張って来た

 

「哨戒部隊の皆さんはこちらへ、大き目の海図を用意しました。深海棲艦を感知した場所にピンを指していってください、ピンの頭の色分けは、大型艦ほど明るめの色で、不明な場合は黒を使ってください」

 

事務艦の説明に困った様子の哨戒部隊の駆逐艦達

 

「……艦種までは分からないよ、電探で感知しただけなんだから」

 

「みんな黒いピンになっちゃうよね」

 

「いや、幾つか間違いなく大型艦と判別出来る反応があった、あの反応は大型の深海棲艦じゃないかな」

 

「あれは、複数の大型艦が重なって感知された影みたいなもんじゃないの?大き過ぎるよ」

 

「それは、何処に感知したんだ?」

 

有力な感知があったらしい、その場所は是非とも特定したい

 

「ここと、ここと、あとは、この辺りだったかな?こっちの探知範囲ギリギリの所で感知したんだ、だから最初は皆の言う通り複数を同時感知した影みたいなモノかと思ったんだが、皆の感知結果を総合的に検討した結果、影ではない、と私は判断する」

 

複数感知していたとは、想定より状況が悪い

 

「……指揮艦が三隻か、総数で行くと、六十隻程度の規模になるか」

 

「司令官?」

 

考え込んでしまったらしい、駆逐艦達が不思議そうな不安そうな顔を見せて来る

兎に角、対応を考えないといけない、駆逐艦は数が多い、そこに不安を感じさせたままでは色々よろしくない方向に向かって行きかねない

 

「後は、黒ピンで構わないから、感知場所にわかる限り指していってくれ、それが終わったら、小休止だ、その後補給と整備、再出撃の準備を始めてくれ」

 

「再出撃?あの数に僕たち駆逐艦の火力じゃ殆ど意味無いよ?」

 

疑問と不安が混じった言い様に言葉が足らなかったと気付かされる

 

「あの数はブラフ、見せかけだ、現に哨戒部隊は攻撃される事なく帰って来ている、お前達から見て、あの数の深海棲艦の合間を縫って帰還するのに攻撃されないという状況をどう考える?」

 

「……どういう事?」

 

不思議そうにする駆逐艦達

 

「数を並べてこちらの手数なり資材なりを削りたいのだろう、所謂飽和攻撃の手法だ、そんなもんに律儀に手間暇掛けられる程こちらの手数は無い、無いが飽和攻撃である以上無視し続けると、それはそれで詰んでしまう、お前達にはそこの対応に動いてもらいたい」

 

「それって要するに時間稼ぎだよね、詰むのを先送りすると、状況が好転するっていうの?司令官は大本営どころか何処の鎮守府にも来援を求めていないよね、時間稼ぎするにしても、永久にって訳には行かないよ」

 

再出撃の理由に納得したのか不安そうな様子は消えた、が、別の疑問が出て来た様だ

 

「その通りだ、だが、今回は向こうの行動目的が、こちらにとって状況を好転させる切っ掛けになる、かも知れない」

 

「???」

 

駆逐艦達は疑問しか浮かばなかった様子

 

 

 

鎮守府-港_旅客船(移籍組宿舎)

鎮守府:叢雲(旧名)

大本営所属艦:五十鈴

 

 

叢雲(旧名)が旅客船内の談話室など人の集まりそうな場所に片っ端から声をかけていく

 

「五十鈴は何処!」

 

幾つ目かの部屋で返事が返って来た

 

「なによ、五十鈴ならここにいるわ、って叢雲?人になった貴方が五十鈴を探すなんて、何かあったの?」

 

あんまりにも緊張感の無い様子を見せる五十鈴、それに少なくない苛立ちを感じる叢雲(旧名)

 

「あんたねぇ、いくら大本営所属艦だからって、この鎮守府に居て空母部隊の指揮を志願して引き受けた立場なんでしょう?少しは司令官に協力しようという考えはないの?」

 

「……協力しようにも空母部隊は夜間は出撃出来ない、夜明けを待つしかないわね」

 

理屈的には全く正しい、正しいが、状況は正誤の理屈を捏ねて居られる程余裕が無い

 

「あんた分かって言ってるでしょ、長良達が護衛隊として出撃してしまってる以上司令部要員がいない、その部分で司令官のチカラに成れる筈でしょう?それすらせずにこんな所に引きこもるなんて、どういうつもり?」

 

「……落ち着きなさい、人になって艦娘としての働きが出来なくなったからって五十鈴に八つ当たりしに来られても困るし」

 

八つ当たりのつもりはなかった、五十鈴にはそう聞こえた様だが

 

「……」

 

「こっちにいるのは情報収集の為、具体的な所が全く分からないけど、大本営で何かあった様なの、現在大本営が全ての回線で応答を停止している、音声回線だけでなく、データ回線まで止まってるのよ、今大本営は指揮系統の上で存在を確認出来ない、間違いなく異常事態で緊急事態で早急な対応が必要な事態が発生している」

 

五十鈴には五十鈴の言い分がある、それは判る、この鎮守府に居るのに大本営の事を気にしても出来る事などあるのだろうか

 

「それで?大本営司令長官の秘書艦は、どうしようと、いうの?」

 

「ここで司令長官秘書艦としての権限行使は賢明な判断とは云えない、なにせ司令長官の居る大本営と連絡が付かないのだから、返って混乱させかねない、指揮権の乱立という意味でね、暫く様子を見るしかないわね」

 

「他人事ね」

 

「貴方こそ五十鈴の所に何をしに来たのよ?司令官の隣に居るべきではないの?」

 

五十鈴から尤もすぎる指摘が来た

 

「……今は居ても邪魔にしかならない、ただの人になる事がこんなにも無力になる事だなんて、あいつはこんなにも無力なただの人なのにこれまで鎮守府を率いて来た、正直、見る目が変わってしまった、これまでの様には、接する事が出来ないくらいに」

 

「随分と気弱な感想ね、そのただの人の尻を叩いて、蹴り上げてまで、司令官を勤めさせて来た初期艦の言葉には、とても聞こえない」

 

「……知らなかったのよ、ただの人がこんなにも無力だなんて、あいつはこんなに無力には視え無かったし、何より私の期待に応えてくれた、最低限とはいえ司令官としての責務を果たしてくれた、だから、あいつが私に望む事があるのなら、応えたい、と思ってる」

 

五十鈴は幾らか呆れた様子を見せた後、溜息混じりに言って来た

 

「……はぁ、で、取り敢えず、五十鈴に何の用なのよ?」

 

兎も角、司令部を立ち上げさせて司令官の負っている重荷を分散させないと

 

その後、話の流れで、自室で寝ている初期艦を文字通りの意味で叩き起こした

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

大本営所属艦:五十鈴

鎮守府所属艦:叢雲(初期艦)

鎮守府:叢雲(旧名)

 

 

唐突に面会が入った、そもそも面会要請を出してくる事自体が面倒事の予感しかない

 

断る理由も無いし取り敢えず話を聞いたんだが、メンドクサイ事を言いだして来た

 

「えっとだな、急にそんな話を持って来られても対処出来ん、発案の妥当性は認めるが、実行は出来ない」

 

「何故?今回の事態に司令官一人で全対処出来るの?司令部を構築すべき、司令部要員として予定していた長良達が急遽護衛隊として出撃してしまったから、人員がいないのでしょう?移籍組から司令部要員を募って司令部を置き鎮守府内の指揮命令系統を確保、現場からのフィードバックだって事務艦一人では仕事量として多過ぎる、此方にも手数がいるでしょう、なんでもかんでも少数で済ませられる事案ばかりではない、人員の手当が付けられるのなら、余裕を持たせた方が良い、違う?」

 

五十鈴が強硬に主張して来た

 

「……正論な事は認める、が、組織としては正論が常に正解ではない、事は簡単に進められんよ」

 

「移籍組が司令官を取り込んでこの鎮守府の中枢となり、既存の所属艦を傍へ追いやる、なんて、本気で考えてるの?」

 

バカげてると云わんばかりの五十鈴

 

「……そう、懸念している所属艦が居るのは確かだ、移籍組の扱いは慎重を要する、只でさえ今は強襲を受けつつある最中だ、実行は出来ない」

 

「誰よ、そんな事言ってるのは?私が話してくる」

 

相変わらず気が強いというか押しの強い叢雲(旧名)

 

「おまえな、自分の立場を考えろ、もう初期艦じゃないんだ、話は出来ても説得は難しいだろうな」

 

「なら、初期艦の私から話すわ、それならいいでしょ?」

 

新任の初期艦が叢雲(旧名)に続いた

 

「言い難いが、初期艦として着任したばかりの艦娘の言い分を素直に聞き入れるような輩はウチの鎮守府には所属していない、何奴も此奴も腹に一物背中に荷物なヤツばっかりだ、性格が歪むから止めた方が良い」

 

新任の初期艦はウチの艦娘達の観察が足りない様だ

 

「どういう意味よソレ?まるでウチの所属艦が性格悪いみたいじゃない」

 

元凶が文句を言って来た

 

「……初期艦の薫陶が行き届いていてね、皆揃って言いたい放題だ、良い事の筈なんだがな」

 

「あー、あー、そういう事、納得した」

 

真っ先に状況を理解した五十鈴は感心した様子を見せている

 

「……それは、良い事なんだけど、ハンドリングの難易度が凄そうね」

 

新任の初期艦も察するモノがあったらしい

 

「……ちょっと、何か言いたい事があるならハッキリ言いなさいよ」

 

二人に疑惑の視線を向ける叢雲(旧名)

 

「まあ、可能性の話としては、一号の五月雨が協力してくれるのなら、実現の可能性はある、尤も五月雨がそんな面倒事を引き受けるとも思わないが」

 

可能性を言い立てても仕方ないんだが、三人の内二人が司令部を立ち上げる難易度を理解してくれた事で良しとしておこう

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:事務艦

 

 

「司令官、先発した二個艦隊と連絡が付きました、現在脱落艦なし、分艦隊として行動中、個別に鎮守府への帰還を目指すとの事です、なお、分艦隊には出撃した第二艦隊の分艦隊と帰路途上で合流した一号の初期艦三隻が行動を共にしているそうです」

 

席を外して居た事務艦から報告を受ける

 

「一号の初期艦?大本営に向かわずに戻って来たのか?」

 

「その様です、それに伴い第一艦隊が支援砲撃を開始しています」

 

「そんな距離まで戻って来てるのか、手数は足りているのか?」

 

分艦隊に別れて行動中なら支援目標の数は多くなる

 

「……弱感足りないかと、思われます、分艦隊として行動している為、支援箇所が分散されていますので」

 

事務艦にもそれは分かっていた様だ、変に気を回したのか言って来なかったが

 

「大和に白雪と龍田を付けて長門の支援砲撃を補佐させろ、ゴネる様なら、私の所に話を持って来い」

 

「伝達します」

 

状況は間違いなく悪化の一途を辿っている

 

 

 

鎮守府-工廠(第二工廠)

鎮守府所属艦:大和/龍田/白雪

 

 

出撃指示を受けた三隻が工廠に集まった、そこで詳細を詰めている

 

「支援砲撃、ですか?その、言い難いのですが、大和は直接照準射撃の経験しかありません、間接照準の砲撃はどうやるのでしょう?」

 

「その為に白雪ちゃんが付くの、駆逐艦だけど白雪ちゃんは大型艦の砲撃支援、観測射撃とかの射角の割り出しが得意なのよねぇ、だから、大和ちゃんは白雪ちゃんの言う通りに撃ってくれれば良いわよ~」

 

「大和さん、よろしくお願いします」

 

「えっ、はい、こちらこそよろしくお願いします、白雪さん」

 

側で見れば戦艦と駆逐艦がお辞儀し合っているという、ある意味微笑ましい光景が創出されていた

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:事務艦

 

 

「大和、白雪、龍田、三隻が出撃しました、第一艦隊の左舷に位置取りの予定です」

 

「白雪に大和の砲撃時には十分な安全距離を取る様に注意喚起、長門の時と同様にしていると小破では済まない損傷を負うことになりかねん」

 

「龍田からも注意喚起があった様ですが、再度注意を促します」

 

事務艦が通信室に走った

 

 

 

鎮守府-資材管理室

鎮守府所属艦:天龍

 

 

「……大和まで出撃かよ、この減りまくった資材、どーすんの?回復しようがないぞ、計画の大幅な遅延は避けられないな、大丈夫なのかね」

 

天龍の懸念は鎮守府大増設計画の遅延、このまま行けば中止になりかねない状況

 

最悪の場合、これらの責任問題の生け贄としてここの司令官が祭壇に祀られかねない

 

 

 

鎮守府-近海(支援砲撃位置)

鎮守府所属艦:第一艦隊_長門/加古/筑摩/初春

~遊撃分艦隊は長距離砲撃の支援の為別行動中~

鎮守府所属艦:第一艦隊_遊撃分艦隊_神通/時雨

 

 

「長門、大和が支援砲撃の加勢に来るってさ、大丈夫なのか?あの戦艦」

 

三隻の出撃の報を聞いた加古の感想らしいモノ

 

「白雪が補佐に付いた筈だ、心配は要らん」

 

「あー、それで白雪を抜いたのか、って事は司令官はこの事態を見越していた?」

 

長門は何時もと変わらない様子、それを見た加古は出撃直前で編成を変えた事を思い出した様だ

 

「当然だ、白雪に砲撃の補佐を、龍田に周辺警戒を任せ大和には砲撃に集中させる、過保護かも知れんが、こんな所で使い潰すには惜しい戦艦だからな大和は」

 

「情けは人の為ならず、と言うがの、はてさて、どう転ぶ事になるのやら」

 

三隻の出撃の報を聞いた初春の感想らしいモノ

 

 

 

鎮守府-工廠(第一工廠)

大本営所属艦:五月雨(一号)

鎮守府:叢雲(旧名)

 

 

五月雨を捕まえる事に成功した叢雲(旧名)は先程の遣り取りの実現性の確認を試みている

 

「……そんな事言われましても、説得を要するこの鎮守府所属艦の皆さんはほぼ出撃中で、説得しようがありませんが、帰投する皆さんを一人一人捕まえて説得しろと?」

 

「……そのタイミングで説得出来たら、口先だけで生きて行けるわね」

 

可能性が指摘されたから聞いて見たものの、無理があり過ぎな事だけが確定した

 

 

 

鎮守府-移動指揮所

自衛隊_鎮守府派遣隊-指揮所:司令官/副官

 

 

指揮所からの観測結果は状況が刻一刻と悪化の程度を増している事を示していた

 

「撤退許可は下りないんですか?正直、我々がここに留まっていても何にもなりませんが」

 

「……幕僚会議では、こちらの話を冗談として聞いた様だ、そんな大規模な強襲なら深海棲艦を観測する絶好の機会だから、その場で出来る限り情報収集に努めろといって来た、今、観測情報と共に来援要請を出し続けてる、防衛省だけでなく、自衛隊の駐屯地全てにな」

 

「……良いんですか?そんな事をしたら何時何処で漏洩するか、時間の問題ですが」

 

「鎮守府司令官の対深海棲艦戦に於ける助言は聞き流してはならない、そう報告した、無視したのは幕僚会議であり、防衛省だ、先の失態に続く失態だ、現場ばかりが泥を被る事もあるまい」

 

「死なば諸共、蜥蜴の尻尾にされるくらいなら道連れですか」

 

「官僚なんて一連托生だ、だから大家族主義なんて揶揄されるんだけどな」

 

ここは指揮所であって駐屯地ではない、自前の戦力は勿論、指揮下にも戦力となる様な部隊は編成されていない

 

砲火の飛び交う交戦地帯に指揮所だけがある、そういう状況が醸成されつつあった

 

 

 

???

米海軍_対艦娘部隊_観測班:班長/班員1/班員2/班員3

 

 

何処かのあまり広く無い室内、何かの機器類が整然とではあるが所狭しと並び、複数のオペレーターがいるのが見て取れる

 

その室内に設置された機器類に着く事なく室内を見渡せる位置に立つ人、広くない室内に椅子も持ち込めない様だ

 

「深海棲艦の動きが鈍いのは確かだ、それがあるにせよ、鎮守府単独で良くもこれ程の防衛線を構築出来るな、感心してしまう」

 

「鎮守府近海の深海棲艦の数は現在も増え続けています、最接近時で十五前後、概ね二十以上の距離を置いて半包囲状態です」

 

「鎮守府間の合同作戦行動による遠征隊が接近を試みていますが、余りの数に引き返しています、これであの鎮守府は完全に孤立、補給線が断たれた事になります、全滅は時間の問題でしょう」

 

「海だけを見ればな、陸地に幾らでも逃げようはある、全滅はしないだろう」

 

「それが、鎮守府を包囲する様に自衛隊が展開しており、陸路が遮断されています、警察とも連携している様で周辺から民間人を追い出している、一応避難という体裁ではある様ですが」

 

「……あそこの移動指揮所から盛大に情報が発信されているが、一般に出てこないのは、政府側で統制している為か?」

 

「我々にはそこまでは把握出来ません、ですが、可能性はありますね」

 

「鎮守府に着任した司令官達は何か言って来ているか?」

 

「今の所は、何も」

 

「朝陽が昇る頃には、どうなっているかな」

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

大本営所属艦:五十鈴

 

 

もうすぐ夜が明ける、そんな時間に五十鈴が執務室にやって来た

 

「司令官、軽空母三隻による薄暮攻撃を実施したい、出撃許可を」

 

「ダメ」

 

「何故!?包囲されてるのよ?包囲網を解かないと補給すら届かない、資材の減少が想定以上だと、報告が上がっているでしょう?」

 

「空母は鎮守府工廠を防御、攻撃を届かせない事、攻撃を仕掛けて来そうな飛翔体を警戒する事、これらに速やかに対応出来る様に態勢を整える事、以上だ」

 

「……」

 

言葉は無かったが、滅茶苦茶不満顔の五十鈴だった

 

 

 

鎮守府-近海(支援砲撃位置)

鎮守府所属艦:長門/加古/筑摩/初春

~近距離無線~

鎮守府所属艦:大和/龍田/白雪

 

 

「どうした大和、一晩砲撃したくらいで息が上がったのか?」

 

「私は大和型戦艦一番艦の大和、砲撃し続けたくらいで、根をあげる様な、軟弱さは持ち合わせていません」

 

強がれる内は崩れない、そこは確認出来たから、別の話を振る

 

「……らしいな、だが、随伴の駆逐艦はそうはいかない、観測機は積んでいるか?」

 

「搭載はしています、使った事は、ありませんが」

 

大本営では標的艦しかやっていなかったと聞いる、ここはフォローが必要な場面と判断した長門

 

「筑摩、ちょっと行って見てやってくれ、白雪は筑摩が合流次第鎮守府へ戻れ、龍田、付き添いを頼む」

 

「大和ちゃんに筑摩一人?大丈夫かなぁ」

 

「ご心配なく、龍田は白雪を届け終えたら直ぐにこっちに戻ってくださいね」

 

「え~、少し上陸したいんだけど、時間をもらえないかしら~」

 

「少しだけだぞ、筑摩だけで二隻分の働きは出来ない」

 

「わかってるわ~」

 

筑摩の合流を見た後、龍田は白雪を連れて鎮守府へ戻っていった

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:事務艦

 

 

事務艦からの報告を聞いて思わず声が出た

 

「なに?搬入が出来ない?陸自が鎮守府への道を封鎖しているだと?」

 

面倒事が増えるのは勘弁して貰いたい

 

「施設管理室からの報告です、これにより食堂運営に支障が出る事が確実視される為、対策を取る様に言ってきました」

 

「何を他人事の様に、だが、食堂運営に支障が出ると困るのはウチよりも指揮所と憲兵隊だろ、どうなってるんだ?」

 

陸自と海自の間でのゴタゴタって訳でもあるまいし、どうなっているのやら

 

「こちらではわかりかねます、大本営に問い合わせますか?」

 

問い合わせるしかないとしても、ソレは大本営で良いのだろうかと少し考えてしまった

 

「……陸自の行動を大本営に問い合わせてもな、憲兵隊も大枠では陸自だし、まずはそちらに問い合わせて見てくれ、状況が分かれば良い」

 

「了解です」

 

 

 

鎮守府-憲兵隊詰所

鎮守府所属艦:事務艦

自衛隊_憲兵隊:隊長

 

 

入室して来た相手に渋い顔を見せる隊長

 

「……直接来たか、しかも、事務艦が対応か」

 

「何か問題が?」

 

事務的な事務艦の言い様に余計な事は放置して本題に入る

 

「陸自が道路封鎖している事は把握している、それに関しては詳しく説明出来ない、自衛隊内規による機密指定がされているのでね、悪く思わないでくれ、食料等の必要品目の搬入については現在手続きを策定中だ、これが纏まれば搬入可能になる」

 

「何時ですか?」

 

事務艦の事務的な言葉、どう聞いても警戒というより敵視されてるとしか感じられない

 

「……現在手続きを策定中だ」

 

「先の反省に基づき司令官の食料は確保してあります、余剰はありませんので、ごゆっくりどうぞ」

 

「……」

 

隊長は事務艦の事務的な嫌味の込められた応対にも何も言い返せなかった

 

 

 

鎮守府-近海(支援砲撃位置)

鎮守府所属艦:龍田/長門/加古/初春

 

 

龍田が艦隊に戻って来るなり、愚痴りだした

 

「参ったわ〜」

 

「何かあったのか?」

 

鎮守府で何かあったのなら聞いておこうと愚痴に応じる長門

 

「陸でも何か揉めてる様でね、また食料がなくなりそうだって話よ」

 

「?なんだそれは」

 

「詳しくはわからない、何故か陸自の皆さんが鎮守府への搬入路を封鎖しているんだとか、はい、一人一本づつあるから」

 

あるからと渡されたモノを見た

 

「羊羹?」

 

「食堂運営してる艦娘が二人いるでしょ、前に作ってるのを見かけたから、良い機会だと思って、司令官に言ったら奢ってくれたわ」

 

「……司令官の奢りか」

 

「部下を労うのも司令官の務めよねぇ」

 

これの為に上陸時間が必要だったのか、何にせよ、甘食は有り難い

 

 

 

鎮守府-工廠(第一工廠)

鎮守府:叢雲(旧名)

鎮守府所属艦:白雪/明石

大本営所属艦:一号の初期艦四

 

 

叢雲(旧名)は白雪が戻ってくると聞いて工廠に来ていた、龍田から白雪を引き継ぎ工廠で休ませている

 

交戦した訳でも無いのに相応に損傷している白雪に声をかける叢雲(旧名)

 

「大丈夫?」

 

「なんとか、でも、大和の砲撃は凄いね、長門の砲撃の何倍も衝撃波が強い」

 

「それを無理に受けるから、中破したんでしょう?注意喚起されたのに何をやってるの」

 

「衝撃波が届かない程離れたら座標軸の変換に手間取っちゃう、砲撃支援に支障が出る様な時差を出す訳にはいかないんだから仕方ないよ、途中から大和の装甲の影に隠れる事を思い付いて損傷しなくなったんだから、満点じゃなくても及第点くらいは取れたんじゃないかな」

 

中破してる事を感じさせない笑顔を見せる白雪、任務を果たした充足感はシッカリある様だ

 

「ハイハイ、お喋りはそのくらいにしてサッサと入渠する、白雪ちゃんを中破のまま放置したなんて司令官に思われたら、私の立場がなくなる」

 

明石が声をかけて来た

 

「……その心配は、いらないと、思うけど」

 

「そういえば、帰って来てるんですよね、あの二個艦隊は、そっちは?」

 

白雪が直ぐに入渠出来ると言ってる明石に疑問を言う

 

「損傷艦なし、どうやったのかは知らないけど、補給だけで済んだ、あの数と渡り合って無傷で帰ってくるとか、ここの艦娘はどんな鍛錬をしてるの?正直轟沈艦が出ると思ってた、練度的にはそれ程高くないのに、不思議な事もあるのね」

 

ホントに不思議そうに語る明石に一号の漣が応じた

 

「練度は確かに高くない、けど、場数による経験というか対応力が広いんだ、一緒に戦闘行動して見てそれが良く分かった、カンも良いし、先読みもそれなりに出来る、建造艦を中心に構成されてるのにここまで底堅い駆逐艦達を育てているとは思ってなかった、佐伯司令官の評価を改めなくちゃいけないね」

 

「……漣?それはどういう意味で言ってる?」

 

他人の司令官の評価を改めるって、これまでどんな評価をしていたのか

 

「そんなにコワイ顔をしなさんな、叢雲が佐伯司令官の何処を評価してるのか、私等にはイマイチ分からなかったんだ、でも、あの子達の戦いを間近で見て、それが正しいと実感出来たって事なんだから」

 

「初代初期艦の薫陶の賜物ってヤツですね、司令官に呆れる程駆逐艦の鍛錬を進言してましたし、遠征隊での経験を活かす活用法を考える様に宿題まで出してましたから」

 

白雪から注釈とも解説とも取れる見解がなされた

 

「……そんな事、してたの?」

 

ソレに呆れ気味にする漣

 

「なによ、文句でもあるの?」

 

何を呆れる所があるのかと、面白くない叢雲(旧名)

 

「ホント叢雲は遠慮とか配慮とか、収容所に置いて来てるね、司令官に遣りたい放題やってたんだ、良く司令官がソレを受け入れてくれたよね、佐伯司令官って、もしかして寛容の人なの?」

 

「はあ?アレが寛容?吹雪、あんた視る眼が無さ過ぎる」

 

思いも寄らない吹雪の感想に今度は叢雲が呆れた

 

「懐の深い人だと、電は思いますけど?話をちゃんとすれば相応に応えてくれる人ですから、叢雲も話はキチンと通したのでしょう?」

 

「話を通さないと、何も始まらないでしょ?司令官として色々始めて貰わないといけなかったんだから」

 

「だから、司令官は叢雲を側に置きたいのですよ、自身に直言出来る相棒は得難い存在ですからね、佐伯司令官はソレを分かってる、と電は考えます」

 

「……相棒?成る程、相棒か、伴侶より余程しっくり来ますね、それ」

 

電の言い分に妙な同意と感心を示す白雪

 

「……白雪?サッサと入渠したら?明石がイラ付いてるわよ?」

 

その白雪に明石を指し示してあげた

 

 

 

鎮守府-工廠

鎮守府所属艦:夕張/明石/北上

 

 

「駆逐艦が集まると直ぐに井戸端会議が始まるね、面白い事に」

 

夕張が感想を言う

 

「何もない時なら、それで良いんだけど、入渠を先送りしてまで井戸端会議を始められたら堪らないわ」

 

明石としては工廠を任された艦娘として、言いたい事が色々ある

 

「気にし過ぎじゃない?明石は結果を出したんだから、司令官の覚えも悪くはなっていないでしょうし」

 

「……だと、良いんだけどね」

 

「そんな事より、資材、余ってない?」

 

ここの所そればっかりな同僚

 

「……北上、改装希望なら司令官に許可をもらって来て」

 

「えー、メンド臭い」

 

「じゃあ、諦めて」

 

「うー、夕張のイジメっ子」

 

「……そういう我が儘はさ、同じ球磨型に言って、長良と一緒にこの鎮守府に着任してるんだし、元からもいるし、建造艦だけど」

 

「今出撃中で鎮守府に居ないじゃん、建造艦って駆逐艦よりメンドクサイし」

 

「会おうともしなかった癖に良く言うわ、姉妹艦に会うのに何を躊躇っているの」

 

「……向こうだって、会いに来てないんだけど」

 

「保護者が必要な幼児か?アンタラは」

 

球磨型ってのは時々こうなる、艦型に因るクセなのだろうか

 

 

 

鎮守府-工廠(第一工廠)

大本営所属艦:一号の初期艦四

鎮守府:叢雲(旧名)

 

 

白雪が入渠し、一号の五人だけがその場に残っていた

 

先ず口火を切ったのは漣だ

 

「さて、この鎮守府に戻ったのは良いけど、状況の進展が無い、寧ろ悪化してる、いや、予測はされてたし、それが理由で大本営に戻ろうとしたんだけど、あの広域無線での指揮権移譲宣言、大本営で何があったのかは、未だ不明のまま、五十鈴の話だと大増設計画を実行中の天龍達にまで連絡が付かないそうだ、この状況で、私等はどう動くのが、正解か?意見をどうぞ」

 

促されて五月雨が続く

 

「天龍達は故意に無線を止めていると思われます、つまり無線封止を伴う隠密行動、大本営所属艦がそれを行う状況が想定し辛いですが」

 

「……天龍達が、自発的に無線封止している、そういう前提なの?させられているという可能性は、無いの?」

 

五月雨の想定に叢雲(旧名)が疑問を口にした

 

「させられているって、それじゃあまるで拘束されたみたいじゃないですか、大本営所属艦を誰が拘束するんですか?」

 

「私は直接的には知らないけど、聞いた話だと、ここに来る前に大和が拘束されてなかった?今大本営は上部機関の直接管理下に置かれているんでしょう?その状態で老提督は臨時の司令長官の筈、そもそもこれで鎮守府の再編を行うって如何なの?正規の司令長官が就任してからでも良くない?

急ぐのなら尚の事正規の司令長官を就任させて指揮系統をハッキリさせる筈、と私は考える、指揮権の一番上がコロコロ変わる様ではその指揮に信頼を寄せる事は難しい、と思うけど」

 

「……何かあったのは、大本営では無く、上部機関だと、叢雲は言うのですか?」

 

電が難しい顔で聞いて来る

 

「又聞きだけど、上部機関の本会議が開催されてなかったっけ?そこで何かあったのかもしれない」

 

「そう言えば、その話、全くと言っていいほど流れて来ませんね、国際機関の開かれた会議の筈なのに、ブン屋さんも興味がないのでしょうか」

 

叢雲(旧名)の指摘に五月雨も疑問を感じ始めた様子

 

「確か、アメリカでの艦娘建造が成功したレポートの公表があると老兵さんが言ってたよね、司令官候補がその用意をしているって」

 

思い出しながら言う吹雪

 

「あー、言ってたね、そんな事、元はアメリカの提督と建造された艦娘も出席予定だったのが急遽本国に呼び戻されてた、なんでもアメリカの鎮守府で勝手に建造された艦娘がいるとかで」

 

本会議と聞いて漣も感想を言って来る

 

「勝手に建造?妖精さんが司令官の指示も許可も無しに艦娘を建造したって言うの?あり得ない話だけど」

 

その中で漣の感想は聞き流せない事案を含んでいた

 

「だから、呼び戻されたんだよ、対処出来るのは司令官しかいないからね」

 

「妖精さんは確かに建造で艦娘を造る、けど、その為には誰かが資材を供給しなくてはいけない、妖精さんは資材を運べないからね、資材を運んだ所で司令官の指示なり許可なりがないと妖精さんは建造を実行しない、と思うんだけど」

 

聞き流せ無い話を掘り下げる、状況を出来るだけ確認したい叢雲(旧名)

 

「……それが通常、大本営でさえ代理の司令官である士官達の許可がなければ建造出来なかった、コレは天龍達が何度も試したから間違いない、私が配置された鎮守府でも実例はない、誰か実例を知ってる?」

 

漣が他の三人に振る

 

「さあ、五月雨は試した事が無いので」

 

「……電は試した事があります、妖精さんに拒否されましたが」

 

「試したんだ、私は聞いた事ないけど」

 

叢雲(旧名)以外の四人は実例を知らない様子

 

「勝手にではないけど、司令官が許可を出してから建造を実行する迄には時差がある事、或いは司令官の言動を妖精さんが勘違いした、とか?手続きを定めずに口頭で無理難題を言い続けると、それが妖精さんの中で変に許可というか実行して良い事として認識されるかも知れない

ただ、コレは妖精さんと会話出来る人が司令官じゃないと起こり得ないけど」

 

「……叢雲?なに?そんな事までしてたの?」

 

若干引き気味の漣を見て、意味がわからなかった叢雲(旧名)

 

「ちょっと、ソレ如何いう意味よ?」

 

「この中で妖精さんと会話出来る司令官に着いたのって、叢雲だけなんだけど?」

 

これを聞いて、漸く叢雲(旧名)は墓穴を掘った事に気が付いた

 

「……」

 

「うわー、叢雲ってば、それはマズイでしょ、司令官の信頼を利用したの?ソレは流石に引くわ」

 

「遠征隊の管理までやってたのよ?!資材備蓄も収集量も把握してた!鎮守府の運営に問題は起こしてない!!」

 

思わず反論が出て来た模様

 

「いいえ、そういう問題じゃないでしょう、立派に越権行為ですよ?それも意図して実行したのなら、悪質と、言わざるを得ません」

 

五月雨も冷静に問題を指摘して来た

 

「イヤイヤ、叢雲は勝手にじゃないと、言ってるんだし、ちょっとした、齟齬ってヤツ?司令官が問題視してないのなら、外から兎や角言う事では無いよね」

 

叢雲(旧名)の行動を擁護に出る吹雪、流石一番艦、話が分かる良い姉艦

 

「……意図して齟齬を誘発し状況を利用してたのなら、どっから見ても、悪質、と思われるって話なんだけど、ブッキーはそう思わないと、その心は?」

 

少し考えてから漣が問う

 

「司令官が問題視してない」

 

簡潔に返す吹雪

 

「つまり、バレなきゃ良いって、ブッキーは考えてるんだ、まあ、これまでの大本営の様な状況に身を置くことにでもなったらそうせざるを得ないって話なら、分からなくも無いんだけど、佐伯司令官の元でソレは無いよね、只でさえ遣りたい放題だったって言ってるんだし、その上越権行為で司令官の職権にまで手出ししてたなんて、そこまで出来るのなら、鎮守府を乗っ取れるじゃん

司令官をお飾りの傀儡にでもしたいの?」

 

若干、非難を含む口調で叢雲(旧名)に聞く漣

 

「……そうならない様に、背中を押してた、つもりなんだけど」

 

「然も、自覚あり、完全に確信犯、それで良くも司令官から信頼されてたね、ホントに如何やったらそんな状況を創れるの?不信と半疑で口も聞いてもらえなくなってる方が状況として理解しやすい、と思うんだけど」

 

叢雲(旧名)の言い分に感心しきりの漣

 

「やっぱり、寛容の人なんじゃない?佐伯司令官」

 

吹雪は余程そう思いたい様だ

 

「寛容というより鈍感とか無自覚の危険人物って感じに漣には聞こえるんだけど、何処ら辺が寛容だと、ブッキーは思うん?」

 

「好き放題の行動の自由を赦し、囲いもせずに放し飼いにしてるのに、当の叢雲が司令官の下に戻る、見えない鎖に繋ぐ事に成功してる、叢雲以外では、そんな鎖に繋がれた初期艦はいないんじゃないかな」

 

「……そういう感想は、司令官には云わないでよね、機嫌を悪くするから」

 

言いたい事は解るが、言い方を何とかしろ、と言いたい様子の叢雲(旧名)

 

「機嫌を悪く、ねぇ、叢雲ちゃんも似た様な事言ってたね、艦娘を物扱いすると気を悪くするって」

 

「私が着いた桜智司令官も良い顔はしなかったですね、まあ、相手によっては顔に出るのを抑えてましたが」

 

「ナルホド、司令官職に就いた普通の人には、艦娘には判り難い状況への対処が求められると、そこを乗り切れるかは、司令官の資質に依存する事になると、厄介事だねぇ」

 

「……もしかして、叢雲は佐伯司令官に全部話したのです?あの収容所の事を」

 

思い出した様に聞いて来る電

 

「えっ?!」

 

驚きの声を上げる漣

 

「……話した」

 

「えっ!?」

 

疑問の声を上げる漣

 

「それで、なんと?」

 

何でも無い様に聞いて来る五月雨

 

「……なにも、聞いてくれた、だけ」

 

「えっ、感想とかも無かったの?収容所に軟禁されたんだよ、艤装も取り上げられたし、当時の収容所で艦娘をどう扱ったかを話したのに、感想も無し?」

 

「だって、勝手に話した、だけだし、聞かれてもいない事を、興味所かそれ自体知らない事を一方的に話しただけだから、感想とか出てくるはずもない」

 

「良く聞いてくれる状況を作れたね、私ならそんな話を始めたら司令官が立ち去る以外の状況しか作れないかな」

 

吹雪は感心した様子の後に感想を付け加えた

 

「長いし、詰まらない話だからね、他人事だし、収容所で何が行われたかなんて」

 

吹雪の感想にアッサリと返す叢雲(旧名)

 

「だから、佐伯司令官は艦娘の側に立ってくれている、と言っているのです、それが叢雲に起因しているとは思っていましたが、叢雲がこちら側に引き摺り込んだとは、考えが及ばなかったのです」

 

「……なんか、人聞きが悪くない?電の言い様は」

 

「総合すると、叢雲が見えない鎖に繋がれたのでは無く、佐伯司令官がこちら側に来てくれた、そういう事?」

 

今一つ納得出来ない様子の漣

 

「……同情、でしょうか」

 

五月雨は漣同様に納得というか合点がいかないらしい

 

「違う、利害の一致よ、艦娘にとっての実害と、あいつにとっての利益、お互いに排除と享受を実現する為に手を組む、そういう結論で纏まった」

 

「艦娘にとっての実害は、分かるけど、佐伯司令官にとっての利益って?」

 

ナニソレ?と言わんばかりの漣

 

「簡単に言って地位とかお金とか、自立した生活を送る為に必要な条件を満たす事」

 

「……それって、単に就業の確保、では?」

 

ナニソレ?と言わんばかりの漣

 

「そうよ」

 

「そうよって……それだけの為に艦娘の側に立ってくれたっていうの?安過ぎない?」

 

漣の基準ではそうなっている様だ、尤もそう思っているのは漣だけではない様子

 

「あいつはそう思ってない、だから、私は側にと望まれる限り、側に居るつもり」

 

「そんな身売りみたいな発想は佐伯司令官が一番嫌がりそうな事じゃないんですか?それを判ってますよね、そこは改める事が出来ませんか?」

 

「……」

 

五月雨は痛い所を突いて来る、人になって艦娘としてのチカラを失くした、あいつの側に居る理由を懸命に探してるのに、否定されてしまった

 

「佐伯司令官は、あの子が司令官として認めた人、最後まで司令官の為に何が出来るのかを考え続けてた、叢雲には異論がある様ですが、五月雨は、あの子の思いを支持したいし、それが在るべき道へ続くと、確信したい、だから今この鎮守府にいる、それを見届ける為に」

 

五月雨は事を大きく捉えている様子、それだけ一組の五月雨の判断を支持しているのだろう

 

「過大評価よ、ソレ、私達艦娘は妖精さんに造られたキャリアーでしかない、艦娘にとっての在るべき道とは、妖精さんの目指す目的を遂げる事、手段に選択権はない、運び役として目的へ向かうだけ、結果は妖精さん次第でしょうね」

 

「人になって艦娘でなくなった叢雲がソレを言うと、私等なにをやってるのかって気にさせられるね、人の為に深海棲艦と戦い、艦娘を人に受け入れさせる為に人を学び、人の社会に馴染む労力をかけ、老提督の協力で漸く艦娘部隊としての地位を得て、今はそれを維持発展させる労力をかけてる、妖精さんに掛かればどれも瞬時に出来そうな事ばかりだよね、なんだって艦娘っていうワンアクションを挟んでいるんだか」

 

「漣?本気で言ってないでしょ、態々反論を誘う様な言い方しなくても、ここにいる皆は分かってると思うけど?」

 

「分かっていても、言葉に出来ない、してはいけない、妖精さんの目的は艦娘にとってはタブーなんだ、でも、艦娘では無くなった叢雲には、それが無い、話としては分かるんだけどね」

 

「……手段は手段らしく動けば良いって?そう造れば良かっただけなのに、艦娘は司令官を得る事で手段以外のモノにも成れてしまう、この自由度は何の為?妖精さんが只の手段として艦娘を造ったのなら、要らない自由度、見方によっては不良品よね、想定外の行動が出来るようになるんだから、私なんか人になってしまった、これが要らない自由度の結果、漣にとっては私はタブーなの?」

 

「……そういう考え方も、出来るのか、ナルホド、艦娘という枠組みの捉え方を間違えた、或いは狭過ぎたかも、ちょっと考え直してみる」

 

感心した様な、疑問を持った様な、複雑な顔で考え込んでしまう漣

 

 

 

鎮守府-工廠

鎮守府所属艦:夕張/明石/北上

 

 

「……あそこの井戸端会議、随分と白熱してない?」

 

「白熱というか、堂々巡りというか、人になった叢雲が他の初期艦に説法してるみたいに聞こえるけど、多分気のせいでしょう」

 

白雪が入渠したからか、駆逐艦の集まりに関心の無い明石

 

「だから駆逐艦は嫌なんだ、関わると面倒臭い」

 

北上が感想を洩らした

 

 

 

鎮守府-移動指揮所

自衛隊_鎮守府派遣隊-指揮所:副官/司令官

 

 

「正直言って、詰んでますな、補給線は断たれてるし、来援は来そうにないし、資材とやらも無限に有る訳じゃなし、行動限界を迎えて鎮守府に引き籠もった所を袋叩きに遭う未来図しか浮かびませんな、その袋叩きには我々も含まれる事になるでしょうが」

 

「……撤収準備に掛かれ」

 

「許可は出ておりませんが?」

 

「この派遣隊の現場指揮権は私にある、機材は置いていけ、人員のみだがこの鎮守府から離脱する」

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:事務艦

 

 

「司令官、指揮所の方で動きがあるようですが、対処しますか?」

 

「放っておけ、此の期に及んでこちらの邪魔はせんだろうし、対処する手も無い」

 

「憲兵隊や施設管理室に動きはありません、別行動となる様です」

 

「……困った事だ」

 

 

 

鎮守府-工廠

大本営所属艦:五十鈴

鎮守府所属艦:鳳翔/祥鳳/隼鷹

 

 

日が昇り軽空母達が警戒態勢に着いた

 

「五十鈴さん、これはどういう事ですか?」

 

「どういうって、見たまんま、何の説明がいるの?」

 

「海上封鎖されています、これでは補給線が維持出来ない、備蓄資材だけで籠城戦をやってるんですか?無謀過ぎます」

 

「司令官の指示は工廠の防衛、空母艦娘はその航空戦力を以って工廠防衛に全力を尽くす事、工廠が破壊されたら継戦は不可能になる」

 

「……資材が尽きても継戦は不可能ですが?」

 

「イイじゃん、司令官が工廠を守れって言うならそうしようぜ、それでどうなるのか、お手並み拝見だ、なにしろシロウト司令官だって噂だからな、ここの司令官」

 

「……」

 

隼鷹の言い分は五十鈴に色々な思いを抱かせる事になってしまった

 

 

鎮守府-近海(支援砲撃位置-長門の位置)

鎮守府所属艦:長門/加古/初春

 

 

明るくなった事で砲撃目標の選定作業が遊撃分艦隊から観測機に移った

 

「補給は今の所問題ないが、こっちの砲身が問題になってきたな」

 

「仕方なかろう、こんな遠距離砲撃が出来るのは戦艦だけじゃ、防衛線を後退させる訳にもいかんしの」

 

「重巡でこの防衛線を維持しろってのは、無しにしてくれよ?出来っこないからな」

 

「筑摩の奴は大和の所に行った切り帰ってこんしの、世話焼きの虫が騒いだ様じゃ」

 

 

 

鎮守府-近海(支援砲撃位置-大和の位置)

鎮守府所属艦:大和/筑摩/龍田

 

 

見てやってくれと云われて大和に着いたものの、あんまりな状態に筑摩は気が気では無かった

 

「大丈夫?昨晩から砲撃を続けているのだし、司令官に言って少し下がらせてもらおっか?」

 

一目で不慣れと判る観測機からの砲撃目標選定作業に四苦八苦しながらも砲撃を続ける大和

 

「大丈夫です、私は大和型一番艦の大和、この程度で根を上げたりしません」

 

「この程度って……」

 

もう大和が砲撃を続けているのは戦艦としての意地だけにしか見えない

 

「いいんじゃない~、当人が大丈夫と言っているのだし、それにここで下がったら、もう出る幕はないでしょうから」

 

「……」

 

「龍田!?」

 

大和の顔色と筑摩の抗議色の強い声で言葉が足らなかった事に思い当たる龍田

 

「勘違いしないで、資材残量の問題よ、大和ちゃんの消費資材量は、流石大和型戦艦、最強と謳われる戦艦なだけの事はあったわ」

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:事務艦

 

 

防衛線はどうにか構築出来た様だが、その維持には問題しかない

 

「……ウチの火力艦の代わりが出来る艦娘は、移籍組に居るか?」

 

「残念ながら、修復を終えておりません、現状では居ない、という事になります」

 

「向こうの動きが鈍過ぎる、ここまで長期戦になるとはな」

 

動きが鈍いお陰で防衛線の構築が出来たのも確かだが、今の状況は最悪を回避しているだけでしかなかった

 

 

鎮守府-工廠

鎮守府所属艦:北上/夕張

 

 

「北上、良い話を聞き込んだんだけど、聞きたい?」

 

何時に無く柔かな笑顔で寄って来る夕張

 

「なに?その気色悪い微笑みは」

 

何を考えるより先に感想が溢れてしまう北上

 

「キショ、そういう事言うんだ、なら、この良い話は聞きたくないのね」

 

「……言いたいなら、言えばイイじゃん、聞き流してあげるから」

 

「まったく、長門と大和が遠距離砲撃で防衛線を構築してるのは知ってるわね?この戦艦二隻の主砲砲身の寿命が近い、一旦下がらせなきゃならない、でも、ただ下がらせると、防衛線が崩壊する、そうならない為には誰かが戦艦の砲火力を代わり、防衛線を維持する必要がある、移籍組にも戦艦は居るけど修復待ちで現状では代わりにならない、北上なら、代われるんじゃない?改装が前提だけどさ」

 

「……!!」

 

「あーあ、文字通り、跳んで行ったよ」

 

脇目も振らず執務室に向かった北上に呆れる夕張

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:北上/事務艦

 

 

執務室に飛び込むと同時に司令官に迫る北上

 

「司令官!改装の許可を!」

 

「……いきなり、なに?」

 

不愉快そうな声で応じて来た司令官

 

「長門達を下げるんでしょ、代わりの火力担当艦がいるんでしょ?!」

 

そんな事は御構い無しに言い立てる北上

 

「軽巡が戦艦の火力を代わる?どういう事だ?」

 

不愉快そうな声から疑問形に変わった司令官

 

「あたしは改装によって重雷装艦に艦種変更する、最大火力は戦艦にも負けない」

 

「雷装?魚雷か?あんな接近戦兵装で戦艦の遠距離砲撃の代わりがどうして出来るんだ?」

 

「司令官、魚雷は近接兵装ではありません、それは運用上の問題であり、結果論です、砲弾より移動速度の遅い魚雷は遠くから発射しても避けられてしまうので、当てる為には十分に近付く必要があるだけです」

 

事務艦から訂正?が入った

 

「こっちを包囲してる深海棲艦は数が多く密集してると云える状態、これなら雷撃でも十分に遠距離砲撃の代わりが出来る、射程だけなら戦艦の主砲よりあるんだよ?それになにより、資材消費量が戦艦より少なくて済む、だから、改装の許可を!」

 

熱弁と言って良い北上の主張

 

「……北上は球磨型軽巡の三番艦だったな」

 

「それが?」

 

「今、木曾は何処にいる」

 

事務艦そう聞いたら北上が僅かに嫌そうな顔をした、気がする

 

「……」

 

「呼び出しますか?」

 

そんな北上に御構い無く事務艦は対応する様子を見せる

 

「いや、北上、探して連れて来てくれ」

 

事務艦は木曾の居場所を言わなかった、特に意味を持たせた訳でも無いのだろうが、北上の対応力を

見る機会とさせてもらうことにした

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:北上/木曾/事務艦

 

 

執務室に連れて来られた木曾、連れて来た北上

 

「……」

 

「どうした?珍しく不景気な顔してるな」

 

連れて来られた方は、そう聞いてしまうくらいには複雑な表情を見せていた

 

「木曾っちは照れ屋さんだからおねーちゃんに捕まって照れてるんだよ」

 

「おまえな、おねーちゃんって、いや、艦型的にはそうなのかも知れんが、オレは建造艦、おまえはドロップ艦だろ、姉妹艦って云われても、違和感しか無い」

 

不愉快とは違う戸惑った様子の木曾

 

「あー、それで球磨ちゃんにも会いに行ってないのか、アレでもこの鎮守府に木曾が居るって気にしてたのに、球磨ちゃん可哀想」

 

「可哀想って、云われても」

 

「まあ、姉妹艦の積もる話は別の機会にしてもらうとして、木曾、おまえから視て北上はどう視える?」

 

放って置くと続きそうなので本題に入らせて貰うことにする

 

「どうって、どういう意味でだよ」

 

「戦艦の代わりが務まる程の戦力に視えるか?」

 

「無理だろ、軽巡がどうやって戦艦の代わりに成れるんだよ、戦艦相手に戦えるって事と戦艦の代わりに戦力に成るって事は、まったく別の事だぞ?」

 

「だ、そうだ、北上の意見は?」

 

「ま、この鎮守府で軽巡の高練度艦って言ったら龍田だ、アレが軽巡の最高戦力って基準しか知らないなら、そう思うだろうね」

 

否定はしないが合ってもいない、的には当たっているが中心ではない、所謂灰色判定な言い様だ

 

「天龍型が旧式の部類の艦型だって話なら知ってる、でもそれは実艦の話だ、艦娘としての天龍型が旧式って訳じゃない、艦娘の旧式とか新型とかにどれ程の意味が?確かにスペック的な優劣は数字の上ではある、しかし、それで艦娘の優劣が決まる何て単純な話にはならないだろう」

 

北上の灰色判定に異議がある木曾

 

「スペック的な優劣を問わないって理屈で行くと、軽巡が戦艦の代わりにならないってのと矛盾してるよ」

 

「新旧の違いと艦種の違いは別の話だろ、矛盾してるとは思わない」

 

これも続きそうなので修正を試みる

 

「重雷装艦、この艦種について、木曾の知っている事は?」

 

「……話なら聞いたことがある、艦隊決戦用に魚雷発射管を積めるだけ積んだ艦種だろ、実艦では実戦の機会もなく別の艦種に改装されたとか、それが?」

 

木曾の話に満足気な北上

 

「聞いたでしょ、艦隊決戦の為の艦種なの、重雷装艦は、実艦の方は航空戦力相手に無力だって事で実戦参加出来なかった、今なら、艦娘なら、そうはならない、だから、改装許可を」

 

「話を総合すると重雷装艦ってのは相手の進路に大量の魚雷をばら撒いて混乱させる事が目的か、泡良く幾つか当たれば儲け物と、魚雷の射程は?戦艦の主砲より長いと言っていたが」

 

「射程二十以上、雷速六十以上、片舷二十門、酸素魚雷だから航跡も見つかり難い、包囲網を形成して動きが鈍く密集している艦隊相手なら最大限の効果を期待出来る、使わない手はないでしょ」

 

「二十以上?先行偵察必須なのか、今の状況なら北上の言う通りでもあるのか……木曾、皐月を捕まえて改装を終えた北上と艦隊を編成、旗艦を任せる半個艦隊だが、長門と代わり第一艦隊と行動しろ、具体的な所は第一艦隊と合流して長門等と詰めてくれ」

 

「……良いのか?」

 

木曾が何かを考えながら聞いて来た

 

「何か問題が?」

 

「長門を下げたら、防衛線を維持する戦艦は大和だけになる、正直、不安しかない」

 

「そこは、第一艦隊と合流して長門等と詰めてくれ」

 

「……丸投げかよ」

 

ヤレヤレと云わんばかりの態度の木曾だった

 

 

 

鎮守府-工廠

大本営所属艦:一号の初期艦四隻

 

 

「北上を改装して出撃させるとはね」

 

出撃して行く三隻を見送る漣

 

「本人が売り込んだ、と聞きましたが?」

 

電が応じている

 

「……いや、そこは良いんだ、司令官が移籍組の言い分をアッサリ受け入れ過ぎてない?もうちょっとこう、なんて言うか、あって良いと思うんだけど、ただでさえ、微妙な空気になってるんだし」

 

「司令官はちゃんと話せば応えてくれるのです、何が、気に入らないのです?漣は」

 

「……ちゃんと話せば、か、漣はちゃんと話せていたんだろうか、配置された鎮守府で」

 

「……話しても聞く耳を持たない司令官もいるのです、出来なかった過去より、今を視ましょう」

 

 

 

鎮守府-近海(支援砲撃位置)

鎮守府所属艦:第一艦隊_長門/加古/筑摩/神通/時雨/初春

鎮守府所属艦:龍田艦隊_龍田/大和

鎮守府所属艦:木曾艦隊_木曾/北上/皐月

 

 

「来たか、早速だが、艦隊を再編する、現在この海域にいる艦隊は龍田艦隊と我々第一艦隊、それに合流した木曾艦隊だ、龍田艦隊に筑摩、初春を加え四隻体制に、木曾艦隊に神通、時雨を加え五隻体制に、第一艦隊の加古は神通、時雨に代わり遊撃の位置に着き二個艦隊をフォローしてもらう、私が戻るまで防衛線を維持する事が目的となる」

 

「……筑摩に砲雷撃統制をさせるのか?」

 

木曾から疑問が出た

 

「異論があるのか?」

 

「白雪を戻してもらった方が良くないか?」

 

提案も出て来た

 

「……数が多過ぎる、駆逐艦の処理能力では、無理だろう」

 

「いや、白雪に統制させろって事じゃなく、筑摩のサポートに必要だろうと思うが、利根型は先行偵察や観測が主任務だ、艦隊指揮や砲雷撃統制は不慣れなんじゃないか」

 

「心配性だな、まあ、雷撃の到達時刻と砲撃の弾着を噛み合わせないと防衛線を維持出来無いんだから、懸念としては尤もだ、的外れな話じゃない事は分かるな」

 

加古は木曾の言い分に一定の理解を示した

 

「……鎮守府に戻ってから、検討してみよう」

 

より良い策があるのなら取らない手は無い、変な所で意地など張っている場合ではない

 

こういった状況で長門は鎮守府に戻った

 

 

 

鎮守府-近海(支援砲撃位置)

鎮守府所属艦:木曾艦隊_木曾/北上/皐月/神通/時雨

鎮守府所属艦:龍田艦隊_龍田/大和/筑摩/初春

 

 

「火力担当艦ってのは、分かるよ、でも、もっと好きに撃たせれくれてもいいんじゃない!?」

 

統制雷撃が気に入らないのか愚痴る北上

 

「バカ言うな、目的は防衛線の維持だ、好きに撃ちまくったって戦線は維持出来無い、我が儘は今度にしてくれ」

 

それを旗艦としての押さえる木曾

 

「……木曾っちに正論吐かれるとは、我が儘が過ぎたようだね、筑摩!座標の指示を!」

 

「今大和の砲撃が入ります、北上は再装填を」

 

通信状態は良好だ、こんな近距離で良好でなければ故障だ

 

「とっくに済んでるよ、実艦と艦娘は違うんだ、有効活用しないとね!」

 

「前回射出した魚雷の目標到達と同時着弾を狙います、少し集中させてください」

 

少し黙っててという意思表示が返ってきた

 

「……分かった、指示を待つ」

 

流石に第一艦隊に編成されている重巡相手に初出撃から遣り合おうとは思わない北上、以前にも陸ではあるが長門からクギを刺されている

 

「やっぱり筑摩だけで砲雷撃統制はキツイな、いくら重巡でも大戦艦の砲撃と重雷装艦の雷撃の同時指揮は」

 

北上の不満を感じたワケでもないだろうが、木曾が言い出した

 

「そーねー、大和の練度があれば大和が統率するだけで済む話なんだけど、今それを言ってもねー」

 

これ幸いと木曾の話に乗る北上

 

「北上、聞こえとるぞ、球磨型同士の戯言を公開無線に乗せるでないわ」

 

初春から北上に注意が飛んだ

 

「いえ、事実です、お気遣い感謝します……大和、撃ちます!」

 

宣言と同時に斉射、周囲に衝撃波、海面に波紋が拡がる

 

「うわー、砲撃は流石大戦艦、スッゴイ迫力、アレは真似出来ない」

 

感心しきりの北上に呆れる木曾

 

「……軽巡がどうやって真似るんだよ、次の射出座標、来てるぞ、射出秒読みも始まった、見えてるか?」

 

木曾の言い様から呆れられっ放しなのが分かった、コレは姉艦としての矜持に関わる、ここは締める所だ

 

「木曾っち、この北上様を何だと思ってるのさ、あんたの姉妹艦だよ?」

 

「……分かった」

 

同型艦といっても艦娘の場合はそれなりに数がいる、実艦の様に建造が難しく無いからだ

 

そんな艦娘の中での姉妹艦という関係、ソレを強調して来る北上の態度に木曾は違和感を感じずには居られなかった

 

 

 

鎮守府-工廠(第一工廠)

鎮守府司令官

鎮守府所属艦:長門

 

 

工廠で砲身交換の作業に入る長門、そこにやって来る司令官

 

「提督?態々来るとは、何か相談か?」

 

「まあ、そんな所だ、兵装の整備をしながらでいい」

 

「急ぐのなら、入渠して高速修復材を使う手もあるが」

 

資材を節約する為に砲身を交換する訳で、節約しなくて良いのなら入渠の方が良い

 

「……整備しながらきいてくれ、向こうは飽和攻撃と持久戦を同時進行させて来てる、このまま守勢に徹しても資材枯渇で詰む、だからと言って攻勢に出た所で向こうが持久戦を続ける限り、ほぼ無力化される、絶対数が違い過ぎるからな」

 

「それで?どんな手を打つんだ?この長門、提督と共に在る、言ってくれ」

 

「向こうの目的は分かってる、だからそれをエサに釣り出して、持久戦を強制解除し、本隊を引き摺り出す、その後は、火力担当艦の仕事になる、但し、大和はその中に入らない、長門の出港と同時に大和には帰投を下令する、行動限界を超えてるだろうしな」

 

「目標は何隻だ」

 

計画の中で自身の果たす仕事を確認する

 

「少なく見積もって六十隻、この数は殲滅するか、指揮系統を寸断し、撤退に追い込むか、どちらを取るにせよ、難問だ」

 

「指揮系統?以前話していた、深海棲艦の統率された艦隊、通常の野生動物の群れの様な相手ではない、そういう事か?」

 

長門には聞き及んだ話でしか知らない深海棲艦の艦隊、何時も相手にしている深海棲艦とは艦隊単位での連携した行動が全く違うらしいが、所詮伝聞でしかない

 

「おそらくだが、哨戒部隊がソレらしい艦影を電探で捉えたと報告を受けている、今正面に見えている深海棲艦は飽和攻撃と持久戦を両立させる為の数合わせだと思われる」

 

「……アレの背後に本隊が控えている?なんだそれは、こういうのをチート行為と言うのか?」

 

「用法としては間違ってない、と思うぞ、理不尽な事にそのチートに対抗しなきゃならん状況だが」

 

「条件がある」

 

「聞くだけは聞きましょう」

 

「もし、鎮守府に砲火が及ぶのなら、状況の如何に構わず、提督は退避してもらいたい、陸路なら安全域まで行ける筈だ」

 

「考えて置く」

「……」

 

考えるだけで実行する気がない事だけは、わかってしまった

 

 

 

鎮守府-港

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:子日/若葉/初霜/叢雲(初期艦)/白雪以下五隻(補給隊)

 

 

長門は交換終了と同時に再出撃、事務艦は計画遂行の準備で走り回っている

結果として司令官がこれから出撃して行く艦娘達に事前説明をしている

 

「行動計画を説明する、子日、若葉、初霜は初春、龍田と合流し艦隊を編成、包囲網を形成している深海棲艦に突貫してもらう、進路は同行する初期艦に委ねる、白雪以下は補給隊として海域に展開している艦隊に補給を実施、終了したら大和を回収して速やかに帰還する事、詳細は長門からあるだろう、今は時間が惜しい、準備が整い次第直ちに出港してくれ」

 

「それって、新任の初期艦に囮になって来いって事?幾ら何でも酷くない?」

 

駆逐艦から抗議らしい声が上がって来た

 

「向こうの目的は初期艦だ、鹵獲を目論んでいるものと推定される、釣り出すエサに最適だろう?」

 

「だからって、艦隊にも編成せずに同行?単艦突撃でもさせる気なの?司令官は」

 

駆逐艦には納得行かない行動指示の様だ

 

「艦隊に編成しないのは龍田の指揮下に入れない為だ、龍田には艦隊旗艦としての役割を果たして貰わねばならない、だからといって単艦突撃は無い、目的は初期艦をエサに向こうの大将首を引き摺り出す事だ、所で叢雲、釣りをした事はあるか?」

 

「?ないけど?」

 

聞かれて不思議そうに答える初期艦

 

「そうか、なら覚えておくと良い、釣りで一番腹立たしいのは餌だけ喰われて釣りあげられなかった時だ、タダで喰われるなよ」

 

「大物を釣り上げろって事ね」

 

「そう言う事だ、龍田と初春にもよく言っておいてくれ、お前達が仕掛けで釣り糸だ、釣り上げられるか、バラす事になるかは釣り糸次第だと、後でこっちが吊し上げられたら堪らんからな」

 

「子日達が釣り糸?どう言う事?」

 

「叢雲が獲物を引き摺り出す、そこに繋がる釣り糸が獲物を釣竿まで引っ張っていく、そこまで獲物を引き寄せられたら、釣竿を持っている釣人が獲物を頂く、この際捌けるか粉砕するかは、置いておきましょう」

 

初霜が解説?してくれた

 

「獲物が大量に掛かったら、如何するのだ?獲物は一匹だと、分かっているのか?」

 

駆逐艦にも目端の利く輩が多い事を思い知らされる指摘だ

 

「……カンの良いヤツだ、残念ながら、若葉の指摘は正しい、獲物は少なくとも三匹居る、この三匹が同時にエサに喰い付いて来たら、この行動計画は詰む、そうならない様な対策は無い、数時間前の大凡の獲物の位置は哨戒部隊が感知しているが参考になりそうな資料はこれしかない」

 

「そんな重要事項、始めに説明すべきです」

 

白雪からも抗議の声が上がった

 

「叢雲には、説明してある、出撃後に龍田等と合流、相談してもらうしか、こちらから提案出来そうな事は無い」

 

「叢雲?こんな行動計画に参加するの?危険過ぎるよ」

 

心配そうに声を掛ける初雪

 

「別に大群に単艦突撃しろって話じゃない、大物を釣り上げろって話よ、一匹づつね、艦隊にも編成されてないから、逃げるのにも許可無しで行ける、なんとかなるでしょう」

 

当の初期艦はやる気十分な様子だ

 

 

 

鎮守府-近海(支援砲撃位置)

鎮守府所属艦:龍田艦隊_龍田/初春/子日/若葉/初霜

鎮守府所属艦:叢雲(初期艦)

鎮守府所属艦:長門/加古/大和/筑摩/白雪以下五隻(補給隊)

 

 

「じゃあ、突貫してくるわ~~」

 

いつも通りの笑みを湛えたままの龍田を見送る長門

 

「……」

 

「龍田の奴、あの説明で何も聞き返さなかったな」

 

隣で同じ様に見送った加古、そちらには視線を向けることも無く長門が問う

 

「遊撃の位置に着けと、言った筈だが?」

 

「北上達が奮戦している、出る幕ない」

 

観測機で戦況は見ている加古

 

「雷撃だけで戦線を維持してるのか、それは凄まじいな」

 

感心を示す長門、同時に少し離れた所で補給に来た駆逐艦達に囲まれている大和に視線を向ける

 

「大和の主砲がヤバイ事になってるからな、幾ら何でも暴発覚悟で撃たせるわけには行かんでしょ」

 

それに応じる様に答える加古

 

「大和?鎮守府へ帰るよ?」

 

戦線の方向から視線を逸らそうとしない大和に呼び掛ける白雪

 

「……こんな所で砲身寿命だなんて」

 

零す様に呟かれた言葉、それなりの練度を有する戦艦なら、抑そこまで砲身を酷使しない

今回は例外的な運用だったとはいえ、戦艦が砲身命数を忘れた様に砲撃を続ける姿は或る意味異様だった

 

「長門だってそうだった、交換して来たんだよ?大和の技量の問題じゃない」

 

「……大和の主砲は整備してもらえるのでしょうか」

 

白雪の声に漸く応じた大和

 

「直ぐには無理、だから、鎮守府に帰ろう?」

 

ここで気休めを言っても仕方ない、大和も判って聞いているのだから

 

「……結局、肝心な時に陸に居る、戦力が最も必要な時に何も出来ず、見ているだけ、何が戦艦ですか、最強戦艦と謳われるだけの飾りじゃないですか、なんでこうなるんですか!?」

 

何時に無い大和の声に、かける言葉が見つからない白雪

 

「大和、今は鎮守府に戻れ、お前は提督の秘書艦だろ、一つ頼みがある、聞いてもらえるか?」

 

そんな大和に長門は声を掛けた

 

 

 

 

 







場所-殆ど鎮守府の何処か、断りの無い鎮守府表記の場合は佐伯司令官の鎮守府
所属:登場人物/登場艦娘 等

~近距離無線~ 通話、交信 等

上記の書き方が基本となっています、同じ所属が複数行になっている場合は行動単位




大本営所属初期艦〔一号(漣.電.吹雪.五月雨)、一組(漣.電)、二組(吹雪.叢雲.漣.電.五月雨)〕

移籍組〔修復待ちの高練度艦娘、以前の大規模海戦の帰還艦娘、現在の代表は五十鈴〕



工廠組〔明石、夕張、北上、秋津洲〕

護衛隊〔以前の大規模海戦の帰還艦娘、移籍組が回収されての帰還に対し自力で帰還している〕

鎮守府所属初期艦〔鎮守府配置の初期艦(叢雲)、三組(吹雪.叢雲.漣.電.五月雨)〕




以下本編中の書き出し



鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:秋津洲


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
大本営所属艦:五十鈴
鎮守府所属艦:事務艦


鎮守府(元佐和鎮守府)-港
鎮守府:アメリカの司令官
大本営所属艦:吹雪/漣/電 (一号の初期艦三)


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:事務艦


外洋-航海中
大本営所属艦:漣/吹雪/電 (一号の初期艦三)


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:事務艦


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:初春


鎮守府-工廠(第一工廠)資材集積場
鎮守府:司令官
桜智鎮守府所属_遠征隊:旗艦_村雨


鎮守府-工廠(第一工廠)資材集積場
鎮守府:叢雲(旧名)
大本営所属艦:五月雨(一号)
桜智鎮守府所属_遠征隊:旗艦_村雨
鎮守府所属艦:初春


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:三組の初期艦五隻/事務艦


鎮守府-工廠(第一工廠)
鎮守府:叢雲(旧名)
大本営所属艦:五月雨(一号)


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:事務艦


鎮守府-工廠(第一工廠)
鎮守府所属艦:長門/駆逐艦十隻/軽巡二隻


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:事務艦


鎮守府-工廠(第一工廠)
鎮守府:叢雲(旧名)
鎮守府所属艦:初春


鎮守府-資材管理室
鎮守府所属艦:天龍/龍田


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:事務艦


鎮守府-工廠
鎮守府所属艦:北上/夕張


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:駆逐艦六隻_哨戒部隊/事務艦


鎮守府-港_旅客船(移籍組宿舎)
鎮守府:叢雲(旧名)
大本営所属艦:五十鈴


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
大本営所属艦:五十鈴
鎮守府所属艦:叢雲(初期艦)
鎮守府:叢雲(旧名)


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:事務艦


鎮守府-工廠(第二工廠)
鎮守府所属艦:大和/龍田/白雪


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:事務艦


鎮守府-資材管理室
鎮守府所属艦:天龍


鎮守府-近海(支援砲撃位置)
鎮守府所属艦:第一艦隊_長門/加古/筑摩/初春
鎮守府所属艦:第一艦隊_遊撃分艦隊_神通/時雨
~遊撃分艦隊は長距離砲撃の支援の為別行動中~


鎮守府-工廠(第一工廠)
大本営所属艦:五月雨(一号)
鎮守府:叢雲(旧名)


鎮守府-移動指揮所
自衛隊_鎮守府派遣隊-指揮所:司令官/副官


???
米海軍_対艦娘部隊_観測班:班長/班員1/班員2/班員3


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
大本営所属艦:五十鈴


鎮守府-近海(支援砲撃位置)
鎮守府所属艦:長門/加古/筑摩/初春
~近距離無線~
鎮守府所属艦:大和/龍田/白雪


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:事務艦


鎮守府-憲兵隊詰所
鎮守府所属艦:事務艦
自衛隊_憲兵隊:隊長


鎮守府-近海(支援砲撃位置)
鎮守府所属艦:龍田/長門/加古/初春


鎮守府-工廠(第一工廠)
鎮守府:叢雲(旧名)
鎮守府所属艦:白雪/明石
大本営所属艦:一号の初期艦四


鎮守府-工廠
鎮守府所属艦:夕張/明石/北上


鎮守府-工廠(第一工廠)
大本営所属艦:一号の初期艦四
鎮守府:叢雲(旧名)


鎮守府-工廠
鎮守府所属艦:夕張/明石/北上


鎮守府-移動指揮所
自衛隊_鎮守府派遣隊-指揮所:副官/司令官


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:事務艦


鎮守府-工廠
大本営所属艦:五十鈴
鎮守府所属艦:鳳翔/祥鳳/隼鷹


鎮守府-近海(支援砲撃位置-長門の位置)
鎮守府所属艦:長門/加古/初春


鎮守府-近海(支援砲撃位置-大和の位置)
鎮守府所属艦:大和/筑摩/龍田


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:事務艦


鎮守府-工廠
鎮守府所属艦:北上/夕張


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:北上/事務艦


鎮守府-執務室
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:北上/木曾/事務艦


鎮守府-工廠
大本営所属艦:一号の初期艦四隻


鎮守府-近海(支援砲撃位置)
鎮守府所属艦:第一艦隊_長門/加古/筑摩/神通/時雨/初春
鎮守府所属艦:龍田艦隊_龍田/大和
鎮守府所属艦:木曾艦隊_木曾/北上/皐月


鎮守府-近海(支援砲撃位置)
鎮守府所属艦:木曾艦隊_木曾/北上/皐月/神通/時雨
鎮守府所属艦:龍田艦隊_龍田/大和/筑摩/初春


鎮守府-工廠(第一工廠)
鎮守府司令官
鎮守府所属艦:長門


鎮守府-港
鎮守府:司令官
鎮守府所属艦:子日/若葉/初霜/叢雲(初期艦)/白雪以下五隻(補給隊)


鎮守府-近海(支援砲撃位置)
鎮守府所属艦:龍田艦隊_龍田/初春/子日/若葉/初霜
鎮守府所属艦:叢雲(初期艦)
鎮守府所属艦:長門/加古/大和/筑摩/白雪以下五隻(補給隊)


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