初期の艦これ   作:弱箔

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御注意

・大幅に書き方が変わっています
・苦行用です
・長いです
・方言擬き注意

ご承知頂きたく存じます




81 驚いた声を挙げる

外洋-資材採掘場(無人島)

鎮守府所属艦:龍田艦隊_龍田/初春/子日/若葉/初霜

鎮守府所属艦:叢雲(初期艦)

鎮守府所属艦:龍驤/長良/名取

鎮守府所属艦:遠征隊_皐月/睦月型五

 

 

二式大艇に接触を試みていた龍驤が驚いた声を挙げる

 

「なんや?筑摩がこっちに来とるんか?」

 

「筑摩?第一艦隊に配属されている重巡が、包囲網の外に来ている?見つけたの?」

 

龍田が聞いてくる

 

「本人やのーて、筑摩の観測機と接触した、なんや、向こうもさっきのメッセージ発信自体は捉えたらしいで、ほんで状況確認に観測機を寄越したようやな」

 

「二式大艇とは接触出来たんですか?」

 

本命の確認をする名取

 

「出来とるで、やっぱり燃料切れやっちゅーとる、着水するから資材採掘地まで曳航してほしいらしいな、どないする?」

 

「……それは、出来るだろうけど、曳航する距離は?」

 

長良が難しい顔になった

 

「二十くらいか、面倒な距離やな」

 

「……曳航するのなら、護衛も必要になる、そこまで手数を出したら、他に対処出来なくなる」

 

「筑摩は一人で出て来たのではないでしょう、他に誰がいるの?」

 

長良の懸念に龍田が質問を被せた

 

「ちょっち、待てや、今聞いてみるさかい」

 

「……まさかとは、思うけど、北上達?軽巡戦隊と筑摩がこっちに来てしまったら、鎮守府側の防衛線を支えられる艦娘が長門くらいしか、いないんじゃない?」

 

叢雲(初期艦)が思い付いた事を口にした

 

「北上達だよ、僕達が補給したんだ、それで包囲網を一緒に抜けて来た」

 

皐月が元気に応じた

 

「補給、それで、こんなタイミングで遠征隊なんて来たのね、なら、筑摩と一緒にいるのは補給隊の護衛に付いた時雨と軽巡戦隊かな」

 

変な所に変な関心を持つ龍田

 

「それと、球磨が合流してる様やな、筑摩は龍田等の釣り出しに合わせて行動を起こすらしいで、今はその為に周辺海域の探索中らしいな」

 

龍驤から訂正が入った

 

「球磨ってば、どこに行ったのかと思ってたら、姉妹艦と合流してたのか、まあ、位置取りとしては、悪くないのかな?」

 

長良が若干呆れた様子を見せる

 

「……私がここまで来てしまっていますから、位置取りが悪いのは私ですよ、ね」

 

「名取は遠征隊の護衛でここまで来たんでしょう、それは護衛隊としての任務、球磨のは、哨戒中の行動、状況が違うでしょ?」

 

「そういう長良も私達と行動してるしねぇ」

 

龍田からも指摘が来た

 

「そういう事、状況に対応していかないと、戦況に於いてほぼ自由な判断と行動を許可されてるんだ、練度の高さは飾りじゃないって、実証して見せないとね」

 

得意気に言う長良、それに対して聞いていた艦娘達は様々な反応で応じていた

 

 

 

外洋-包囲網の外側

鎮守府所属艦:時雨

鎮守府所属艦:筑摩艦隊_分艦隊_筑摩/北上/木曾/神通

鎮守府所属艦:球磨

 

 

想定外の報告に驚きつつ状況を伝える筑摩

 

「……えっと、龍驤の偵察機と接触しました、遠征隊は無事に資材採掘地に到着しているそうです、現在資材採掘と機材への積み込みを実施中だそうです」

 

「そういえば護衛隊に必要って事で一隻持っていかれて、それで修復予定が三隻から四隻に変更された?んだっけ?」

 

龍驤と聞いて聞き齧った事情を思い出した感じの木曾

 

「変更というか、ドサクサに紛れたのがいたって話でしたけど、司令官は放置でしたね」

 

神通もそこは聞き齧りらしく伝聞調だ

 

「資材を積み込んでもこのままじゃ鎮守府に戻れないよ、皐月達は如何するつもりなんだい?」

 

時雨が疑問を口にした

 

「……戻る、つもりでしょうね、遠征隊の子達は資材を持って帰ると司令官が褒めてくれる事を、良く分かっていますから」

 

困った様子を見せる筑摩

 

「不味いね、それって止められる?」

 

その様子に事態を把握した北上が聞いて来る

 

「難しいですね、駆逐艦は司令官にとても懐いていますから、下手に止めようとすれば却って意地になりかねない、せめて司令官から直接待機命令が出れば、資材採掘地で待つでしょうけれど、現状では通信不能ですし」

 

筑摩の困った様子に打つ手なしと当たりを付けた北上が行動方針を言い出す

 

「しょうがない、遠征隊の資材を当てにする事になるけど、再突入する事にしますか」

 

「……言い分は、分かるんだけど、資材の無駄使い、だな」

 

「資材の無駄使いなら、取り戻せば良い、駆逐艦の無駄使いより余程マシ」

 

「だな、わかった」

 

包囲網への再突入は龍田艦隊と呼応しないと戦術的には意味を成さない、ソレを指摘した木曾だが、北上の言い分に異論はない様子

 

「筑摩はこうなると、予測出来なかったのですか?」

 

疑問というより不思議そうに聞く神通

 

「こうなる前に事態が動くと、思っていたので、龍田艦隊が資材採掘地まで行っていたのは想定外でした」

 

未だ困った様子を見せる筑摩

 

「あー、釣り出しの最中に接触出来ると、想定していたって事か、それなら戦闘海域が生じるし、それで待機命令を出せば遠征隊は資材採掘地に留まる事になる、元は非武装の補給隊だ、連れたままで龍田艦隊の釣り出しを支援する戦闘行動を取る訳にもいかないからな、詰まる所、司令官の指示した釣り出しが上手くいかなかったって事が原因か、何を読み違えたんだろう?」

 

筑摩の話に納得と疑問を持つ木曾

 

「そういう反省会は鎮守府に戻って落ち着いてからする事クマ、今は今後の作戦行動を旗艦に決めてもらうのが先クマ」

 

球磨の尤もな指摘が飛ぶ、その指摘に表情を戻す筑摩

 

「そうですね、龍驤の偵察機との接触で龍田艦隊の状況はわかりました、二式大艇は燃料切れで着水、龍驤から補給を受けた後、鎮守府へ帰還するそうです、こちらは遠征隊の帰還に合わせて行動を開始しましょう、龍田艦隊はまだ資材採掘地から動かないとの事ですし」

 

「動かない?釣り出す当てが無いって事か?」

 

木曾の疑問が続く

 

「それらしい目標は見つかっているそうです、まだ距離があるそうで行動圏内に近づくのを計っている所だそうです」

 

木曾の疑問に応じる筑摩

 

「……厄介な釣りになってるクマ」

 

それを聞いた球磨の感想

 

「釣りは時間との戯れ、焦ったら何も釣れません、特に今回は大物を釣り上げる様に指示されてますし、龍田の釣り師としての腕に任せる他ないです」

 

そもそもこの艦隊が包囲網の外に出て来たのは司令官の指示ではない、そこを踏まえれば旗艦として筑摩自身何を優先すべきか、結論は既に決まっていた

 

 

 

鎮守府-第二食堂(鎮守府専用食堂)

鎮守府:司令官/叢雲(旧名)

鎮守府所属艦:給糧艦二/補給艦二/大和

???:???(権兵衛さん)

大本営所属艦:一組の初期艦二

自衛隊_憲兵隊:隊長

 

 

「では、はっきり聞こう、鎮守府司令官は如何なる条件を満たせば、我等の要求に応じるのか?」

 

権兵衛さんがド直球に聞いて来た

 

「……応じる要件を満たす見込みは無さそうだ、如何してもと云うのなら、大本営からそう言う命令を出させる事だ」

 

相手の要求を飲めば被告席に引き出される、飲む必然性のある条件は何も提示されていない、あの包囲網の撤収と交換条件とは権兵衛さんも言っていない

 

「その大本営とやらは機能していない、命令を出させる状況に無いと、知っているだろう、我等を弄んでいるつもりか?」

 

「弄ぶ?この状況でそちらからそういう言葉が出てくるとは、如何やら根本的な所で相当大きな認識の違いがある様だ、これでは交渉の妥結など覚束ない、そうは思わないか?」

 

「……認識の齟齬がある事は、分かっているのだ、そこを正さねば成らんという事だな」

 

「要求って?」

 

叢雲(旧名)が割り込んで来た

 

「初期艦を渡してもらいたい」

 

何故か律儀に答える権兵衛さん

 

「無理でしょ、なんであんた達に初期艦を渡さないといけないの?そもそも必要な理由がないじゃない、あんた達には」

 

「……そうなのか?我等は必要と認識しているが、元とはいえ初期艦であった艦娘が必要ではないと、判断をしている理由を聞こうか」

 

叢雲(旧名)の意見は権兵衛さんには興味を引くモノがあったらしい

 

「……言っても?」

 

司令官に視線だけ寄越して来る叢雲(旧名)

 

「構わない」

 

ここで黙らせても事態は動かない、如何転ぶかは判らなくとも動かさないと埒が開かない

 

「初期艦は鎮守府運営には必要、それは人の組織の中で艦娘を運用する事に起因する、あんた達はそうじゃない、あんた達は人の組織の中で運用されてるの?」

 

「……」

 

叢雲(旧名)の質問に権兵衛さんが黙ってしまった、予想外過ぎる事態だ

 

「おい、そうなのか?それこそ聞いてないぞ」

 

これは突っ込みたくなくても踏み込まなければならない事案だ

 

「その解釈は正しくない、人の組織の中で運用されているのではない、我等の群れの中に人の組織が形成されている、群れの統率に役立っている、我等は群れの統率をより確実なモノとしたい、その為には人の組織と我等との整合を図る能力に長けた初期艦が必要なのだ

如何いう訳か初期艦は我等の元にはおらず、探しても見つけられない、初期艦は人との接触が先になってしまうのだ、結果として初期艦は全て人に付き、我等の元にいない」

 

権兵衛さんから訂正と説明があった

 

「……群れの統率?より確実なモノとする?それは手段だろう、それを成した後、如何するつもりだ」

 

隊長が厳しい口調で問い質す

 

「憲兵が心配する事ではない、我等の望みは静かに在る事だ、人の組織の様な事は望んでいない」

 

権兵衛さんはそんな隊長にも静かに応じていた

 

 

 

外洋-包囲網の外側(二式大艇着水位置)

鎮守府所属艦:龍驤/長良

 

 

採掘地で話し合った結果、二式大艇を曳航するよりも海上で補給し鎮守府に帰した方が良いと判断された

飛行艇というか飛行機への補給は空母種なら出来る、二式大艇はその機体の大きさから自前で色々出来る優れモノ、飛行艇の運用自体は任務に含まれない秋津洲でも母艦とされるのにはワケがある

 

「なんやて?鎮守府に釣り上げる筈の獲物がおる?どういうことや?」

 

「なにそれ?」

 

龍驤の驚いた様な声に長良が聞いて来る

 

「今、補給がてら話しとったら、大艇の妖精さんが言い出しよった、もちっと、詳しゅう話してみぃ」

 

「なんて言ってる?軽巡じゃ飛行機乗りの妖精さんと意思疎通が難しい、空母種なら、出来るでしょ?」

 

長良が龍驤を促す

 

「……ほなら、龍田達が待っとっても釣り上げる事は叶わんちゅー事か?どないすんねん、コレ」

 

「詳しく話しなさいよ、全然わからない!」

 

一人で納得顔の龍驤に長良が痺れを切らした

 

「こっちの作戦行動が筒抜けやったそうや、で、裏掻かれて鎮守府に乗り込まれたんやと、鎮守府に残っとる艦娘が手薄な事もバレとるそうや

でもな、なんか知らんが乗り込んできた奴が攻撃せーへんのやと、ほんで、今司令官と話しとる最中やと、言っとる」

 

「……ごめん、全然わからない」

 

龍驤は詳しい話を確かにしてくれた、それは分かった、ただ状況把握の役には立たなかった

 

「安心せい、ウチにもさっぱりわからへん、ともかくや、龍田達の釣り上げる獲物はもう居らへんちゅーこっちゃ、鎮守府に乗り込んどるんやからな」

 

「……確か、三匹居るって言ってたけど?三匹も鎮守府に乗り込んでるの?」

 

「乗り込んどるんは一匹やゆーとる、ゆーとるが他の獲物はなんや他の事に手を取られとるらしいで」

 

「なにそれ?」

 

「そこまでは聞いとらん様や、どないする?龍田達に教えるか?」

 

「教えないって選択をする理由は?」

 

龍驤がその選択を迷う理由が分からない長良

 

「……あの初期艦、大丈夫か?」

 

言葉短に言った龍驤、それを聞いて長良も龍驤の懸念事項に思い当たった

 

「あー、それを言うなら、駆逐艦全部だよね」

 

「さよか、まあ、護衛隊の旗艦は長良やさかい、どないするか決めてや」

 

酷く他人事の様に言う龍驤に何を思うよりも、提起された懸念事項が大き過ぎて頭を抱える長良だった

 

 

 

外洋-包囲網の外側

鎮守府所属艦:時雨

鎮守府所属艦:筑摩艦隊_分艦隊_筑摩/北上/木曾/神通

鎮守府所属艦:球磨

 

 

周辺警戒中の時雨が空を見上げた

 

「あれ?偵察機?筑摩の言ってた龍驤の偵察機かい?」

 

「そう見たいですけど、何故こちらに飛ばしてきたのでしょう?」

 

筑摩が応じている

 

「……長良からの伝言クマ、筑摩達も資材採掘地で合流してほしい、そうだクマ」

 

「どう言う事でしょう?」

 

球磨の言い分に表情を固くする神通

 

「詳しい話しは合流してからするそうだクマ、龍驤が二式大艇と接触して、鎮守府の現状を聞き出した様だクマ」

 

「なんで、この距離で部隊内秘匿回線で、伝言なんだい?僕らに聞かれるとマズイどんな話をしてるのさ」

 

駆逐艦ならではの率直さで不満を言う時雨

 

「それが分かるのなら、資材採掘地で合流するクマ」

 

「……鎮守府で何があった?司令官になにかあったって事?」

 

北上が憶測を口に乗せた

 

「!僕は鎮守府へ戻る、こんな時に司令官から離れるなんて嫌だ」

 

それに過剰に反応した時雨、ソレを読んでいた様に時雨を捕まえる北上

 

「コラ、駆逐艦、落ち着け」

 

「……北上が不用心過ぎる事を言うからクマ、長良達も駆逐艦を抑えるのに苦労してるクマ、兎も角、合流してほしいクマ、筑摩?」

 

確認というか同意を取りたいらしい球磨

 

「……合流して、如何するのです?そう言う事なら包囲網に再突入するのは必然、合流するにしても資材採掘地では無く、こちらで合流すれば良いハズ、資材採掘地で合流する理由は?」

 

筑摩も球磨の言い分には不満がある様子

 

「鎮守府所属艦で外洋にいる艦娘、この中で旗艦指名されているのは長良と筑摩、それと筑摩から旗艦指名されている皐月、指揮系統をハッキリさせる必要があるクマ、それに艦隊再編も必要クマ」

 

「……龍田の名が挙がりませんでしたが?」

 

球磨の言い分に不信感を隠しきれず、口調が厳しいモノになっている

その筑摩を見てこれ以上の秘匿を放棄した球磨が諦めて話し出す

 

「初期艦が飛び出して、行方不明だクマ、それを探しているそうだクマ」

 

「……さすが駆逐艦、面倒臭い」

 

時雨を捕まえた手を離さず呟く北上

 

「ならば尚の事、資材採掘地での合流は出来ませんね、初期艦の目的は間違いなく鎮守府への帰還、こちらでも網を張って回収を試みます」

 

筑摩のこの宣言により艦隊行動方針は決まった

 

「……こうなると思ったクマ」

 

球磨としても長良の方針は無理があると思わざるを得なかった

 

 

 

鎮守府-第二食堂(鎮守府専用食堂)

鎮守府:司令官/叢雲(旧名)

鎮守府所属艦:給糧艦二/補給艦二/大和

???:???(権兵衛さん)

大本営所属艦:一組の初期艦二

自衛隊_憲兵隊:隊長

 

 

「群れの統率をより確実なモノとする、と言ったが、その群れは何処までの範囲なんだ?こちらが深海棲艦と呼んでいる全てが、その群れの中、という事ではないだろう」

 

権兵衛さんからどれだけ話を聞きだせるのか、ソレを如何やって鎮守府解放に繋げるのか、考えなくてはいけない事は大量にある

 

「……そういう意味で艦娘部隊は存続出来る、我等との交渉を妥結し、契約を結んでも艦娘部隊が不要とはならない、人の組織や社会にとって深海棲艦と呼称される海洋生物は、脅威であり続けるだろう」

 

コレを聞いた隊長が割り込みをかけて来た

 

「待て、それはどういう事だ?権兵衛さんは深海棲艦の代表として来ているのではないのか?」

 

「事態を理解しない憲兵は口を開けるな、話が面倒だ」

 

今回は呆れ気味の権兵衛さん

 

「代表だとしても、極一部の代表でしかないって事、理屈の上では地球表面の七割の規模を持つ工廠で建造される海洋生物、その全てを統率出来る、と云われてもそっちの方が胡散臭い」

 

仕方ないので少しだけ説明を加えた

 

「……極一部?極一部であの包囲網を構築出来る?先程聞いた所だと、総数は一万を超えると、予測されていたが?極一部?だというのか?」

 

こちらの説明に疑問形を連ねて聞いて来る隊長

 

「気になるなら、体積比で総数がどの位になるか、計算してみたらいいんじゃないか?お勧めはしないが」

 

「……体積比、深海棲艦の平均体積を海の体積と、比較、しろと?」

 

そういう隊長の顔は感情を失くしている様だった

 

「それが、総数に近い数になる筈だから」

 

「馬鹿げてる、そんな馬鹿な話があるか!やってられんよ!!」

 

思わずだろうが、立ち上がり、テーブルを叩く隊長

 

「……大きな声を出さないでくれ、駆逐艦もいるんだ、艦娘とはいえ、生後数年の子達だ、大人として、自衛官としての対応を望む」

 

そう言ったら周囲を軽く見回して驚いた表情の艦娘達に気付いた様子の隊長

 

「ん、済まない、少し感情的になった、申し訳ないが、外の空気を吸って頭を冷やして来る」

 

そう言って第二食堂を出る隊長

 

「随分と大袈裟に言ったものね、追い出したかったの?」

 

隊長を見送ってから叢雲(旧名)が聞いて来た

 

「そういう訳じゃないが、この先の話は自衛官には聞くに堪えない話になるだろうから、丁度良いとは、云えるかな」

 

「ほう、初期艦を渡す気になったか?」

 

何故かニヤケ顔の権兵衛さん

 

「気が早すぎる、そちらから私に対する利益となる話とやらを、未だに聞けていないんだが?」

 

気になるニヤケ顔にクギを刺して置く

 

 

 

外洋-資材採掘地〜包囲網途上

鎮守府所属艦:叢雲(初期艦)

鎮守府所属艦:初春/子日/若葉/初霜

 

 

一隻の駆逐艦が脇目も振らず全速で海上を駆けていく

 

「鎮守府に乗り込まれたなんて!!!」

 

その少し後方に四隻の駆逐艦が続く

 

「待たんか!!単身で如何するつもりじゃ!!!」

 

初春が声を荒げるが、届かない

 

「ダメだよ、聞こえてない、止めるなら、手荒な手段になるけど?」

 

「ダメじゃ!あの状態の艦娘は多少の損傷なぞ気にも留めん!」

 

初霜の提案を却下

 

「なら、叢雲に付いて、あの包囲網に突入する事になる、それで良いの?」

 

子日からも質問とも疑問とも取れる発言

 

「むー、龍驤のアホんだら〜、がそれはソレじゃ!龍田は来ておるのか?」

 

この事態を引き起こした軽空母に恨み言を言っても事態は何も好転しない

 

「遅れてはいるけど、来てはいる」

 

「こっちが全速なんだ、そう簡単には追いつかないよ」

 

若葉と初霜が答える、初霜は仕方ないと言いた気だ

 

「ならば、筑摩に期待するしかあるまい、こちらの位置を筑摩等に教える為、電探発振を実施、余計な輩も引き寄せる事になるぞ、周辺警戒を厳と成せ!」

 

「……これだ、ウチの一番艦はいつもこれだ」

 

初霜が不満を口にした

 

「ええい、文句は鎮守府で聞くわい、今は集中せい!」

 

姉妹艦を率いて叢雲(初期艦)を止める努力の真っ最中の初春だった

 

 

 

外洋-資材採掘場(無人島)

鎮守府所属艦:龍驤/長良/名取

鎮守府所属艦:遠征隊_皐月/睦月型五

桜智鎮守府所属艦:村雨/白露

 

 

駆逐艦と軽巡が入り乱れている現場を見て、気後れしつつも声を掛けた

 

「あの〜、お忙しそうな所すみません」

 

「見ての通り忙しいの!誰!」

 

こちらを見向きもせずに荒っぽい返答が来た

 

「なんで鎮守府に戻るのがいけないんだ!」

 

「叢雲は鎮守府に行ったんでしょ?なんで僕等だけ駄目なのさ!」

 

軽巡から逃げ回りながらも意見表明を忘れない駆逐艦達

 

因みにこの状況は遠征隊の一人が護衛隊の主張を受け出発に不安を述べた所から拗れている

その不安を解消しようと説得に掛かる遠征隊の駆逐艦達、皐月達の出発を止めようとする軽巡等と意見対立になってしまった事で現状に至っている

 

「あんた達は遠征隊、あの包囲網をどうするの?兵装を装備してるのは六隻中一隻だけなんだよ?無理過ぎるでしょう?」

 

名取も説得を試みているが、駆逐艦達に反論されて成果はない

 

「北上達と合流すれば良い、それで抜けて来たんだ」

 

「外に出て来た時とは包囲網を構成している数が違う、倍近い数になってるんだよ、軽巡の資材保有量じゃあ、途中で補給があっても抜けられない程に、包囲網が強化されてるの、遠征隊と軽巡戦隊だけではどうにも成らない」

 

「そんなの、やってみなくちゃわかんないじゃん、北上は艦種変更してるから軽巡じゃないし、なんとかしてくれるでしょ」

 

駆逐艦達の主張から北上が大袈裟に何やら吹聴したらしいと判断、この苦労を招いた一端は北上にある事にされた

事実と異なる事でも信じたい事と云うのはあるモノらしい

 

「……あのバカ、何を吹き込んでるんだ、艦種変更した所で資材保有量は大して変わらない、なんとも出来ないだろうに」

 

思わず長良が悪態を吐く

 

「……あの〜、少しお話しを、させて頂きたいのですが」

 

「さっきから、誰!何の用!」

 

そこで漸く声の主に目を向けた

 

「はい!桜智司令官麾下の駆逐艦村雨です!この間は鎮守府帰還に当たり掩護頂きありがとうございました!」

 

見れば駆逐艦二隻が敬礼していた

 

「……村雨?桜智司令官麾下?」

 

事態を把握し切れていない様子の長良

 

「他所の駆逐艦がウチの資材採掘地に、何の用や」

 

いつの間にか龍驤が駆逐艦二隻の前に居た

 

 

 

外洋-包囲網の外側

鎮守府所属艦:時雨

鎮守府所属艦:筑摩艦隊_分艦隊_筑摩/北上/木曾/神通

鎮守府所属艦:球磨

 

 

いきなり生じた反応に戸惑いながらも感知を知らせる時雨

 

「こんな電探発振して来るなんて、探索目的じゃなさそうだね」

 

「……時雨?逆探を、積んで来たのですか?」

 

神通に聞かれて慌てる

 

「あ!いや、まあ、なんかの役に立つかと、思って」

 

「間違えた?水上電探積んだつもりが逆探だった?」

 

「……」

 

北上の指摘に言葉が出て来ない、実の所間違えた訳ではないが、敢えて言わない時雨

 

「発振方位と位置は?クマ」

 

「……球磨さん?そのクマ要りますか?」

 

筑摩が不思議そうに聞く

 

「クマちゃんはクマって付けないと駆逐艦を怖がらせるって思ってんの、意外と優秀な球磨だからねぇ、軽巡は駆逐艦を率いてなんぼだし、涙ぐましい努力でしょ?」

 

北上の軽口が入った

 

「北上、鎮守府に戻ったら、オシオキだ、ねーちゃんをバカにするとは、不心得な妹は性根を叩き直してやるクマ」

 

「オオコワイ、けど、それは木曾っちに譲るよ」

 

大袈裟な仕草で木曾の後ろに回り込む北上

 

「……姉妹漫才は球磨型の習性なのですか?今は漫才より、電探発振の相手を優先してください」

 

神通から突っ込みが入る

 

「東南東方向、こっちに向かって来てる、距離は良く分からないな」

 

「資材採掘地の方向、ですか」

 

その方角に視線を向ける筑摩

 

「叢雲?でしょうか」

 

神通も視線をそちらに向けていた

 

「発振元は違うでしょ、けど、龍田艦隊の可能性はあるんじゃない?」

 

木曾の後ろから声だけ参加して来る北上

 

「兎も角、観測機で確認してみます、皆さんは、行動準備を」

 

筑摩は戦闘準備を指示した

 

 

 

外洋-資材採掘場(無人島)

鎮守府所属艦:龍驤/長良/名取

鎮守府所属艦:遠征隊_皐月/睦月型五

桜智鎮守府所属艦:村雨/白露

 

思わぬ乱入者により事態は一時的に沈静化した、そこに強力な電探信号が届いた

 

「初春か?また盛大に発振しとるな、電探の使い方、誰に教わったんや、あの駆逐艦は」

 

「筑摩宛、だろうね、初期艦を止められないのか、そうなると初期艦を先頭に包囲網に突入する事になる」

 

「……長良さん達は突入しないのですか?」

 

探る様に聞いて来る村雨

 

「戦力不足、私達の保有資材量では、どうやっても途中で尽きる、あの数の中で資材が尽きたら、どうにも成らない」

 

「私達が補給しても、ですか?」

 

白露からも言って来た

 

「……なにを言い出すの?貴方達は他所の鎮守府所属艦、ウチの司令官は他所の鎮守府所属艦に損傷を負わせる訳にはいかないと、私達を護衛隊として外洋に配置した、だから、早く自分の鎮守府へ、司令官の元へ帰りなさい」

 

「そうはいかない、ウチの司令官はウチの五月雨があの鎮守府にいる事を凄く気にしてる、可能なら、手を貸して来いって、言ってくれた

白露型十隻、航空巡洋艦三隻、その為にここまで来たんです、見た所、遠征隊はみんな資材搬送用の機材持ちの様だし、妹達と装備変更して火力の均質化は出来る筈、なんとかなりませんか?」

 

長良の言い分に食い下がる白露

 

「航空巡洋艦?なんやそれ?」

 

「元は重巡なんですけど、改装したら艦種変更されてそうなりました、水上機だけど、あの飛翔体がいないのなら、強力な航空戦力になる」

 

「強力っちゅー事は、爆撃機か?」

 

「えっと、詳しい事は利根に聞いて、説明がいるのならここへ呼びますよ?」

 

「利根?筑摩の姉妹艦やな、なら、大丈夫やろ」

 

白露と龍驤の遣り取りに目を白黒させ戸惑いを明け透けに出してしまっている長良がやっとの事で言葉を口から出した

 

「ちょっと?龍驤?なにを考えてるの?」

 

「折角手を貸してくれるゆーとるんや、借りたらええやん、細かい事は後で司令官同士でなんとでもするやろうし、ウチもいい加減偵察任務に飽きて来たとこやし」

 

「そういう問題じゃない、包囲網が厚すぎる、北上達が抜けてきた時の倍近い厚さに補強されてる、重巡の保有量でも、足らない程の厚みがある

あの包囲網の中で一切の攻撃を受けないと仮定しても、密集度から見て通り抜けるのには時間が掛かる、突入すれば攻撃を受けないなんて有り得ないから、その分損傷を負うリスクを取らなくてはいけない、回避運動する隙間すらないって、そう報告して来たのは龍驤の偵察機、損傷を抑えようとしたら、進路上の深海棲艦を殲滅しながら進撃する事になる、それには弾薬消費を抑えながらとはいかない、結果として、資材が途中で尽きてしまう」

 

状況を並べて龍驤に翻意を促す長良

 

「やけど、あの初期艦は、突入するんやろ?黙って見とるんか?」

 

「それは……」

 

龍驤の短い言葉になんと返すか思い付かなかった

 

「もう突入してるんですか?初期艦って叢雲?他には?」

 

村雨が聞いて来る

 

「龍田艦隊が、追ってはいるけど、追いつけてない、包囲網を出た所で待機中の筑摩達に委ねる他ない状況」

 

名取が応じた、そこに新たな艦娘が一隻現れた

 

「なにを考え込んでおるのだ!サッサと準備したらどうじゃ!吾輩をいつまで待たせるのじゃ!!!」

 

「……まーた、厄介そうなのが、出おったわ」

 

龍驤の対応は駆逐艦に対した時と差して変わらなかった

 

 

 

鎮守府-第二食堂(鎮守府専用食堂)

鎮守府:司令官/叢雲(旧名)

鎮守府所属艦:給糧艦二/補給艦二/大和

???:???(権兵衛さん)

大本営所属艦:一組の初期艦二

 

 

「鎮守府司令官の利益とはなんだ?どうも我等が認識している利益とは合致しない様だ、そうなると我等にはわからない、そちらから要求してもらいたい」

 

「……何を、利益として提示されたの?」

 

確認する様に聞く叢雲(旧名)

 

「我等のチカラの及ぶ限り、鎮守府司令官の望みを叶える、と言ったのだが、どうもこれは利益にならないらしい、では、利益となるモノはなんだ?」

 

「成る程、認識の違いがあるから、下手な事を言うととんでもないトラブルになるって事ね、確かにそれでは利益にならない、つまり今の所話が全く噛み合っていない、と」

 

「金属や石の類い、それにタール、人の言う所の原油か?そう言った資源でも良い、望むだけ用意するぞ」

 

得意気な権兵衛さんに若干ウンザリしつつも答える

 

「……あのな、金属っていったって精錬前の原石だろ、石ってのも同様に原石、原油なんてどうしろっての?それをそのまま私の所に持ち込まれても、こっちには換金手段がない、寧ろ廃棄費用を払って何処かに引き取ってもらわなきゃならんじゃないか、鎮守府には精錬施設も無ければ精製施設も無い、採掘した資源をそのまま持ち込まれても私の利益とはならんよ」

 

「そんなのは妖精にやらせれば良いではないか、何の為に大挙していると思っているのだ?」

 

何を言っているんだ此奴は、と口元まで出掛かっている様子が見て取れる

 

「……妖精さんは、そういった地下資源を活用出来ない、時間をかければどうにでもするだろうが、今直ぐにはムリだし、時間もどれ程掛かるのかは、妖精さん次第だ、私の利益と言うには無理があるんじゃないか?

権兵衛さんの交渉はそちらの提示した前提条件すら、満たしていない、決裂とかそういう事の前に、交渉の条件が揃っていない、そうは思わないか?」

 

慎重に言葉を選びながら誘導を試みる

 

「地下資源を活用出来ない?それはおかしい、活用出来る筈、というかしていると、聞いている、こんな所まで齟齬を生じるとは、我等の情報精査も全般的に再検討しなければならないのか、ここまで話が噛み合わないと成ると、鎮守府司令官の言い分も、単に時間稼ぎなどではなく、交渉そのものに疑問を生じさせているのか?」

 

ここに来て漸く権兵衛さんから交渉に関しての疑問が出て来た

 

「そちらの言い分が全て偽りだとも思えないが、全てを鵜呑みにする訳にもいかない、ここはお互いに退いて、状況と情報を再度良く精査しては、どうだろう」

 

何とか退かせられないかと提案をしてみる

 

「……言い分は理解する、だが、退く訳にはいかない、先に言った様に我等が退く時は交渉の妥結、契約が成立した場合だけだ、それまでは、この状況を維持する事になる」

 

「それでは千日手ではないか、時間は有限で公平ではなかったのか?無限の時間を要する事態になってしまう」

 

「……言い分は理解する、確かに時間は有限だ、我等の得た情報と鎮守府司令官の認識の齟齬を解消するにも時間は必要だ、その上で交渉を進め妥結しなければならない、我等が退かずには情報の精査もままならんと、鎮守府司令官は言うのか?」

 

こちらの状況説明に耳を傾け始めた権兵衛さん

 

「こちらは孤立させられている、半分は自衛隊の所為だが、半分は間違いなく権兵衛さん等の行動の結果だ、そうではないか?」

 

「……孤立状態では、情報精査というより、自問自答という事か、確かに千日手になってしまいそうだ、その点は鎮守府司令官の言い分が正しかろう、では、如何するのが良いのか?参考までに聞かせてもらおうか」

 

ここは回り諄く言うより直接的に誤解を生じる隙なくこちらの言い分を言った方が良いと判断

 

「包囲網を解け」

 

「それは出来ない、我等は交渉妥結まで退くことはない」

 

アッサリと拒否されてしまった

 

「なら、情報精査出来る状況を確保したい」

 

次善策に切り換える

 

「……具体的には?」

 

「外部との通信を回復させてもらいたい」

 

「……孤立状態を解消しろと?そうなれば来援が来る事になる、我等と全面衝突になるだろう、それが狙いか?」

 

こちらの言い分を権兵衛さんなりに色々検討している様子は見て取れる、拒否を示したとはいえ考慮していない訳ではない、ここは押しが要る

 

「先程の憲兵隊長の言動を見たな、あれから推定するに、おそらく全面衝突という事態には、ならないと思う、勿論、これは私の予測であって何等の確証もないが」

 

「馬鹿げている、と?数の論理にそこまでの効果があるのか?人の軍隊が出て来て全面衝突になると、我等は考えている」

 

「全面衝突した所で無限湧きという手段がある権兵衛さん等にどんな不利益があるんだ?」

 

「……そちらの言う無限湧きを維持するリソースを割き続けなければならなくなる」

 

「そのリソースと、ここで千日手を回避するのと、何方が、権兵衛さんには利益になるんだ?」

 

この問いに権兵衛さんは考え込んでしまった

 

 

 

鎮守府-執務室

大本営所属艦:高雄/愛宕

鎮守府所属艦:秋津洲

 

 

「大変かも!!あれ?司令官は?」

 

執務室内に司令官の姿が無い事に気付き、見るからにテンションを下げる秋津洲

 

「如何したの?」

 

「……司令官は?」

 

「提督は今来客に対応されています、報告は司令部で受けます」

 

「……えっと、じゃあ、いいかも」

 

そう言って退室しようとする秋津洲に苦笑いしながら声を掛ける高雄

 

「良くないでしょう?大変かも!!ってノックもせずに執務室に来たんだから、司令部では無く、司令官に直接報告したいの?来客の前で報告する事になるけど、それで良い?」

 

秋津洲は退室しようとする位置をそのままに語り出した

 

「……来客って、こんなタイミングで、鎮守府に来られる相手って、限られるかも、それにさっきの警報と第二工廠の封鎖、その後艦載機が至近で深海棲艦を撃破してた、あの至近に湧いた深海棲艦、直ぐに撃破されたから確信が持てないけど、あの大海戦で、艦載機を落としまくって制空権をあっさり奪い去り、大型艦の多くを大破させた、あの統率された強力な深海棲艦の艦隊の感じがしたかも」

 

「……大変なのは、それ?二式大艇からの報告ではないの?」

 

高雄が特に気にする感じも無く応じる、それを聞いて秋津洲が高雄に向き直った

 

「高雄は、感じなかった、かも?」

 

「……そういう感じは、艤装がないととても曖昧にしか感じられないから、それに、提督には先刻ご承知の筈、なにしろ、あの包囲網を見てもその数を報告してもブラフだと、言い切っていました、そして、本隊を釣り上げる為の行動を起こしている、結果は伴わなかったけど、別の形で目的は達成されつつある、今は提督の交渉の行方を、見守るしか、ないと、思ってる」

 

「……来客、そういう来客だよね、じゃあ、司令官に直接報告してくるかも!」

 

「ああ、私も行きます、交渉が気になりますし」

 

今度こそ退室する秋津洲、それに続く高雄

 

「いってらっしゃい、執務室には私が残るから、何かあったら連絡するわ」

 

二人に手を振って見送る愛宕は何やら微笑ましい笑顔を見せていた

 

 

 

鎮守府-第二食堂(鎮守府専用食堂)

鎮守府:司令官/叢雲(旧名)

鎮守府所属艦:給糧艦二/補給艦二/大和/秋津洲

???:???(権兵衛さん)

大本営所属艦:一組の初期艦二/高雄

 

 

「お話中失礼します、司令官、秋津洲が司令部に、では無く司令官に直接報告したいと、駄々を捏ねたので連れてまいりました」

 

権兵衛さんが考え込んでしまった為、静かになっていた食堂に高雄の声が響く

 

「……おい、鎮守府司令官、こんな事でいちいち我等との交渉を中座させるのか?」

 

その声に反応して来た権兵衛さん、お前が言うな、と言うのはこういう事なんだろうが、口にはしない

 

「人の鎮守府に勝手に上がり込んだツケだ、嫌なら出ていく事だ、で?報告は?」

 

「包囲網の外側で電探発振を確認したかも、多分初春の電探、発振元が全速で包囲網に向かってるかも、大艇ちゃんから見えた航跡は五つ、そのうち一つが先行してる、ただ、航跡の並びから艦隊行動では無く、先行してる航跡を他の四つが追いかけている、様に見えるって大艇ちゃんは言ってる、そうなると、龍田が、艦隊旗艦が、いない、かも」

 

報告から龍田が置いてけ堀食らった感じかと推定、龍田より駆逐艦の方が全速域では速い、通常なら龍田の全速に駆逐艦が合わせる筈

 

そうなっていないという事は、そういう事なんだろう

 

「……獲物らしいモノは見ていないんだな?」

 

確認の為に聞いておく

 

「見つけてない、釣り上げる為の行動には、見えないかも、もしかしたら、大艇ちゃんが龍驤と接触した時に話した鎮守府の現状が伝わったかも」

 

「龍驤と接触?そんな、予定あったか?」

 

想定していない状況を聞かされて聞き返してしまった

 

「大艇ちゃんの燃料が尽きかけて、着水して龍驤から補給を受けたかも」

 

「……高雄?私の所には、なんの報告も来ていないが?」

 

秋津洲の隣にいる高雄に聞く

 

「こちらで処理出来る案件です、提督が全ての裁可を持たずに鎮守府を運営する為の司令部です、職権を行使しました」

 

相変わらずキッパリと言い切る高雄

 

「……その、行使した、報告がないと言っているんだ、裁可は兎も角、報告も無しなら私はどうやって鎮守府の現状を知れば良いのだ、いちいち司令部にお伺いを立てろと?立ち位置が、違くないか?この鎮守府の司令官職に就いているのは、私だ、高雄や他の司令部要員ではない、これが不満なのか?」

 

「……申し訳ありません」

 

頭を下げる高雄にどう言えばこちらの趣旨が伝わるのか分からない、高雄は重巡だ、察しが悪い事は無いと思うんだが、どうも筑摩より数段は勘が悪い様に思えてならない

 

司令部要員としても足利の様に話の判る重巡も居る事だし、そこの違いが生じる理由に見当が付けられない

 

「いや、詫びろと言っているんじゃないんだ、報告をしてくれと言っているんだ」

 

ここで焦っても仕方ない、話を重ねて行くしか無いだろう

 

「無理であろう、此奴は先も伝書鳩にも劣る報告をしてた艦娘ではないか、ん?艦娘?なんだ此奴、艤装が無い?我の覚えが確かなら、高雄型重巡の一番艦、こんな劣化艦ではない筈、艤装を持たない事と、関連があるのか?」

 

「……その可能性は気が付かなかった、そうなの?」

 

思わぬ所から違いが生じる理由の指摘が来た

 

「えっと、無い、ハズです……」

 

この返答は明から様に戸惑いが含まれていた

 

「本人にもよくわからない?今、明石の手は空いてるか?」

 

「明石は軽空母の解析作業中です、空いてはいないと思われます」

 

こういう質問にはキッパリ答えて来る、どういう条件付なのやら

 

「解析?何を調べている?あ、いや、単に興味で聞いただけだ、我に聞かせたく無い話なら無理にとは言わんよ」

 

権兵衛さんはホントに興味深々の顔をしていた

 

「まあ、ぶっちゃけるとだな、以前この子等がイタズラした事が原因で最初に着任した初期艦が目覚めなくなった、なんでそんなイタズラをこの子等がしたかというと、権兵衛さん等に繋がっていたから、らしい、そして今解析作業中の軽空母等が修復を受けた時に、この子等は権兵衛さん等に繋がっていた、また何処かにイタズラされてたら、堪らんからな、それで解析してる」

 

本当にぶっちゃけて良かったのか、多少の疑問は感じたが言ってしまったからにはしょうがない

 

「我等が鎮守府の工廠を使える様に細工した事が、不利益で有害な影響を鎮守府に与えている、可能性がある、というのか?」

 

興味深々の顔から困惑気味になる権兵衛さん

 

「直接か間接的にか、程度はある様だが、どんな影響が出るかは、出て見ないとわからない、可能性だけで鎮守府の運営を停止する訳にもいかない、どちらにしろ妖精さんが居なければ鎮守府は運営出来ないからな、妖精さんの自治に期待して気にしない様にしてる」

 

一度ぶっちゃけてるから細かい事は気にしない

 

「自治……何を言っているのか、分かっているのか?あの身勝手な妖精に自治?それに期待?我等では有り得ない行動だ、我等には自傷願望も自殺衝動もない、あるのは敵を打ち払い、薙ぎ倒す、チカラだ」

 

「そういう割には、交渉に拘っているな、こんな手間を掛けるくらいなら、力尽くで押し進めた方が目的を短時間で達成出来るだろうに」

 

「我等は学んだ、力尽くが最良の手段ではない事を、なにより、力尽くでしか物事を測れず、考えられない存在は、醜い、少なくとも我等からはそう、視えた、視えてしまったんだ、あれさえ視なければ、我等は鎮守府司令官相手にこの様な手間を掛け、交渉に臨む事など、思い付く事も無かった、知らない事は、刻として、シアワセなのかも、知れん」

 

意外過ぎる言葉が権兵衛さんから聞こえて来た

 

「それは哲学か?浪漫か?興味深い話だな」

 

「どこか、変な事を言ったか?」

 

どこか不安そうにも見える権兵衛さん

 

「いやいや、権兵衛さんから、幸せなんて言葉が聞けるとは、思ってなかった、実に興味深い」

 

「……変な所に、興味を向ける、そんな所に興味が向くとは、想定していなかった」

 

ここで秋津洲が口を挟んで来た、報告したのに放置されたら、何処かでこうなるのは時間の問題だった

 

「あの、司令官?話が脱線し過ぎかも?初春達になにかメッセージを送った方が良いかも?」

 

コレに権兵衛さんが反応した

 

「あの飛び回っている飛行艇の保有艦娘か、こちらの交渉を中座させるわ、こちらが実行中の鎮守府孤立化に穴を開けるわ、我等には邪魔な艦娘だ、何れ、シズめてくれる」

 

「いきなり物騒な話になったな、私の指揮下の艦娘を沈める?」

 

聞き捨てならない事を言い出した権兵衛さん

 

「今直ぐではない、この艦娘をシズめても交渉が進展する事も無いだろう、優先度は低いからな」

 

権兵衛さんに一睨みされる秋津洲、度胸が良いのか胆が座っているのか、秋津洲は動じる事なく話を進めて来た

 

「司令官?初春達は、このまま放って置く、かも?」

 

「包囲網突入まで、時間的猶予は?」

 

秋津洲の質疑応答の時間の様だ、権兵衛さん相手にその時間の確保に成功するとは、なかなかどうして見所のある艦娘だ

 

「あんまりないかも」

 

「近くに龍田がいるから、見つけて龍田宛にメッセージを、旗艦としての職責に期待する、と、メッセージを発信したら二式大艇は帰還させ、収納し、入渠する事、入渠後は明石の手伝いに回ってくれ」

 

「……哨戒任務は、もういいかも?」

 

少し不安そうにも聞こえる聞き方だった

 

「そっちは、当てがないんだが、こちらに報告も無い様な運用をされるよりはマシだ」

 

「わかったかも、失礼します」

 

秋津洲は納得してくれた様だ

 

「失礼します」

 

高雄の表情からは何も読み取れなかった

 

「……いいの?長門や重巡達の観測機だけでは包囲網の内側しか見れなくなるけど?」

 

叢雲(旧名)が確認してくる

 

「司令部に鎮守府を好きにされた、私が司令部に従わされた、そんな風に所属艦娘達に錯覚されるよりはな、まだ立ち上がったばかりで鎮守府所属艦娘と司令部要員の間に関係性が出来ていないんだ、誤解のタネが芽を出すのも放置して置けない、なんとかするしかない状況だ、困った事に」

 

「私の言葉に影響されての事か?」

 

権兵衛さんが〈私〉と言った事に突っ込みを入れようかとも考えたが、ここは流した

 

「どこを聞いたらその結論になるんだ?」

 

「我がシズめてくれる、と言ったからではないのか?」

 

我に戻った、あの〈私〉は何だったのか

 

「今直ぐではないんだろ?なら影響はしない、入渠させるのは、予定外の行動があったからだ、哨戒任務で無理をさせているんだ、過負荷の耐久試験をこんな状況でやりたくない、それだけだ」

 

「あの飛行艇は我等が包囲網を構築する以前から飛び回っていたと、聞いている、まさか、単機運用なのか?交代用の飛行艇と運用する艦娘がいない?」

 

「その、まさかの単機運用だが、そちらから見ても、問題のある運用に見えるか?」

 

権兵衛さんからこんな指摘が来るとは思ってもなかった

 

「どれだけ酷使しているのだ、呆れる他ない、我等の運用とは大きく異なる、よくも叛乱を起こされないものだな、その点は感心するが」

 

「叛乱?なに?あんた達はそんなに言う程叛乱を起こされてるの?」

 

嫌味にならない程度に悪戯らしく言って見せる叢雲(旧名)

 

「言ったであろう、我等の行動を制限するモノは物理制限だけだ、艦娘の様に一定の条件下でのみ行動を許容されるモノではない、叛乱というと大袈裟に聞こえるかも知れんが、統率するのは容易ではない」

 

「妖精を身勝手な存在と言いつつソレか、一層の事統率を諦める、という選択をして見たらどうだ?」

 

軽く言って見る、冗談で済む様に

 

「それも議論の俎上には上がっている、いるが、現状では取り得ない選択である事も、我等は理解している、この交渉に我等がどれ程のリソースを割いたか、そこを多少なりとも考えて貰いたいものだ」

 

「勝手に掛けたリソースに配慮しろっていうの?随分と身勝手な言い分ね」

 

叢雲(旧名)の弁舌が滑らかだ

 

「身勝手、か、そちらからはそう見えるだろう事は理解出来る、だが、それと交渉を妥結させ、目的を達成する事は別の話だ、我等から言わせて貰えばこれだけのリソースを割いて、目的を達成出来ないなど、考えたくもない、有ってはならない事だ」

 

「交渉に当たって、情報精査がこんな状態でも、そこは譲れないのか、なにか急ぐ事情でもあるのか?時間を気にしている様子がチラホラ見え隠れしているが」

 

「……鎮守府司令官は、気にしなくて良い」

 

どうもこの辺りには突っ込みを入れられたくない様子

 

「そうは言ってもだな、今のままでは千日手だ、時間がどれだけかかるのか、見当も付かない、そうではないか?」

 

「……」

 

言葉に詰まってしまったらしい、そこまで追い込まれる様な事情があるのか、どんな事情なのだろうか

 

「まあ、好きにすると良いじゃない?力尽くで来ないのなら、こっちから急がせる事もないし、ソレをやられたら一気に詰みだし、なんにしてもそちらの出方次第なんだから」

 

叢雲(旧名)が助け船を出してくれた、これは助かった、こちらの目的は権兵衛さんを黙らせる事ではないのだから

 

「好きに、したら、良い?叢雲と言ったな、元とはいえ艦娘で初期艦、それが我等に好きにしたら良い?どんな思考を辿れば、その様な言葉が出てくる?理解出来ない」

 

呆気に取られた様な権兵衛さん

 

「何処って、こっちにどんな選択の余地がある様に見えるの?参考までに聞かせて貰いたいわ」

 

それに応じて権兵衛さんが状況を並べて数え出した

 

「孤立状態、包囲され、来援は勿論補給すら寸断され、備蓄資材は減り続ける、遠からず活動不能になる事は確実、回避手段すら無い、なるほど、取り得る手段は殆ど無い、人の理屈ですら来援無き籠城は自殺行為だそうだな、籠城というには、我等で全包囲している訳では無いから条件は緩いが」

 

緩いと評された条件をこちらで足して行く

 

「もう半分は人の組織による包囲だ、もし、この半分が鎮守府に補給なり、来援として行動する事を見越しているのなら、無駄な労力をかけている事になるが、そちらのリソースを削るという意味では役に立っているのか、案外良い仕事してるんだな、陸自の皆さんは」

 

「それ、陸自の皆さんに言ったらダメ、現地入りしてる自衛官達は上の命令で動いてるんだから」

 

叢雲(旧名)に咎められてしまった

 

「現地指揮の自衛官はマトモなのに、なんで上に行くとああなるのか、近代日本の七不思議だよな、いつになったら解消されるのやら」

 

「……そちらにも、色々と、不和がある、という事か?」

 

何か感じる所があったのか権兵衛さんから聞いて来た

 

「不和というより、先を見過ぎて原因としての現在を重視しすぎてるんだろうな、この国は官僚制度を永く施行して来た国だ、でも官僚制度は万能じゃない、それが解っていても代替手段を取れずにいる、是非の判断は人に因る事になる、人に因るから、原因から生じる結果が変わる、それでこうなってしまう」

 

「人が変われば判断も変わってしまう、永続的な基準、若しくは社会論理の定義が定まらない、そういう事か?」

 

権兵衛さんがヤケに真剣に聞いて来たんだが、どういう事なんだろうか

 

「社会論理の定義?権兵衛さんからそんな言葉が出てくるとは、ちょっと吃驚なんだけど、物理制限しか行動を制限するモノがないのに、社会論理の定義にどんな興味があるんだ?」

 

「それは、皮肉とか、嫌味の類か?群れを統率するのなら、必然的に出てくる問題ではないか、鎮守府司令官にはそう映らないのか?」

 

「権兵衛さんは艦娘の運用と我等の運用は違うと言った、私にはその違う運用というのがさっぱりわからないんだが、私に解る様に説明する気はある?」

 

そう映らない理由を説明して見た、権兵衛さんには良く理解出来た様子

 

「無い、そんな事は時間の無駄だ、どれだけ話した所で人の理解が及ぶモノでは無い、ん?そうか、人成れば無駄だ、提督なら或いは、そうならない可能性も、あるかも知れない」

 

話している途中で何かに気が付いたというか思い付いたらしい権兵衛さん

 

「ちょっと?何を言い出すの?変な事を思い付いたりしてないでしょうね??」

 

叢雲(旧名)が咄嗟に突っ込みと探りを入れる

 

「ほう、我の思い付きに気が付いたか、流石は元初期艦、人になったといってもカンは良いな」

 

「なにそれ?いや、言わなくて良い、嫌な予感がする」

 

聞いてから聞かない方が良い事に思い当たったが、遅かった

 

「否、言っておこう、今思い付いたのだが、初期艦を引き渡して貰うよりも、鎮守府司令官を我等に迎えた方が、話が簡単なのでは無いか?これなら大本営とやらの許諾は必要あるまい、どうだ?」

 

良い考えだと云わんばかりの権兵衛さん、どこも良く無いんですけど

 

「それ、私になんのメリットが?二度と日の目を見れない事態になりそうなんだけど?」

 

「確かに人の社会からは離れる事にはなるだろう、しかし、それは、其処まで言う程の事か?我等の元に来れば、凡ゆる手当を以って歓迎するぞ?」

 

未だに良い考えだと主張する権兵衛さん

 

「……交渉条件さえも、一致させられない相手の歓迎と手当を、当てにしろと?リスクしか無いではないか」

 

そう言ったら至極残念そうな顔を魅せられた

 

「そこに行き着いてしまうのか、お互いの理解に齟齬がある以上ソコの解消が為されなければ堂々巡りだ、正に時間の無駄だな、だが、我の判断だけでは後に禍根を遺す、暫し我等との話し合いを要する、我が上陸した工廠を貸して貰いたい、妖精もだ」

 

「と言ってるが、如何する?」

 

連れている妖精に聞いてみた

 

「其奴らには鎮守府司令官から命令すれば良い、何故意見を求めている?」

 

「妖精さんは便利道具じゃないと、言っただろ、其方には理解出来なくとも、この鎮守府ではこうしている、ここに来た以上は、文句を言っても始まらない、この鎮守府の司令官職に誰が就いていると思ってるんだ」

 

「……致し方無い、極めて不本意だが、交渉相手が悪かった、この点は人選を誤った様だ」

 

そう言う権兵衛さんは苦り切った表情を見せていた

 

 

 

鎮守府-通信室

鎮守府:司令官

 

 

「鎮守府所属艦に告げる、こちらは鎮守府司令官の佐伯だ、この広域無線が通じている事からも分かるだろう、当鎮守府は無線封止を解除された、同時に一時的な休戦状態に入る事になった、戦闘行動を中止し、鎮守府へ帰還せよ

尚、当鎮守府を包囲している深海棲艦は攻撃を受けない限り攻撃をして来ない、依ってただの障害物と見做し、避けて行動する事、一度攻撃行動に出たら、周囲に波及し歯止めが効かなくなるそうだ、十分に留意して貰いたい

それと、確認の意味でこの広域無線を受け取る事が可能な人、及び組織に厳重なる注意喚起を促す、当鎮守府の所属では無い艦娘や艦船、その他如何なる移動体も包囲網を形成している深海棲艦に近づかない様にして頂きたい、当鎮守府の安全確保と存続の為に、必要となる、無闇な接近は当鎮守府の安全確保と存続を阻害では無く、失わせる事態に直結する

その点を十分に理解して頂きたい、以上」

 

 

 

鎮守府-近海(支援砲撃位置)

鎮守府所属艦:長門/加古/夕張

 

 

突然の広域無線による休戦宣言、それを受けた艦娘達は困惑する他ない

 

「……休戦?どういう事だ?」

 

「わからないけど、帰還命令でしょ?帰って良いって事でしょ?それも司令官からの直接命令だし、鎮守府に戻って直接聞聞けば良くない?」

 

「まあ、そういう事だな、観測機を収容して戻ろう、包囲網からの攻撃行動が皆無なのは確認出来てるんだ、何より司令官からの直接命令だ、無視って判断はないだろ?」

 

 

 

外洋-包囲網の外側

鎮守府所属艦:龍田艦隊_初春/子日/若葉/初霜

鎮守府所属艦:叢雲(初期艦)

 

突然の広域無線による休戦宣言、それは鎮守府への帰還を目指す叢雲(初期艦)にも届いた

 

「!!!司令官?!広域無線が復活してる!?休戦ってどういう事なの???」

 

「漸く止まりおったか、このバカモノが!」

 

「ったー、なによ!」

 

追いついた初春が叢雲(初期艦)にオシオキの一撃を放った

 

「なによ!はこっちの台詞だよ、いきなり飛び出してあの数相手にどうするつもりなの?」

 

「止まってくれなければこっちのまであの数を相手にさせられる所でした」

 

「……あの数?」

 

子日と初霜の台詞に叢雲(初期艦)は正面の視界一杯に、見渡す限り深海棲艦がいる事に、この時気が付いた

 

「……えっと?鎮守府に戻ろうとして、資材採掘地を出て、鎮守府へ向かってた、鎮守府はこの向こう、突入しようと、していた?」

 

「なんで疑問形なの?自分の行動でしょう?覚えてないの?」

 

「……鎮守府へ戻ろうと、それしか考えてなかった」

 

 

 

外洋-包囲網の外側

鎮守府所属艦:筑摩/北上/木曾/神通/時雨

鎮守府所属艦:球磨

鎮守府所属艦:龍田

 

 

突然の広域無線による休戦宣言、それを受け初春が発振していた電探の発信が止まった、包囲網突入直前だった

 

「如何やら突入前に止まった様ですね、流石に最大戦速まで出されたら追いつくのにも時間が掛かります」

 

「……こういう時、自分のスペックを恨みたくなる、あと少しなのに、届かない、今回は司令官の命令が間に合ったけど、私が、止められなかった、旗艦として、私が止めなければ、ならなかったのに」

 

筑摩艦隊と合流している龍田が零した

 

「龍田は初春達の旗艦だ、叢雲は単艦行動、そう聞いたよ」

 

「……そう、なんだけど、ね」

 

「時雨の言う通りでしょう、長月達から聞いています、叢雲を単艦行動としたのは龍田に艦隊旗艦としての責務を果たして貰う為だと、司令官が説明したそうですね、叢雲の単艦行動は司令官の容認事項という事です」

 

行動方針は兎も角、叢雲(初期艦)の行動に追いつく事が出来なかった龍田

そんな龍田に筑摩は司令官の方針を確認して、問題は龍田のスペックではない考えを示した

 

 

 

外洋-資材採掘場(無人島)_周辺海域

鎮守府所属艦:龍驤/長良/名取

鎮守府所属艦:遠征隊_皐月/睦月型五

桜智鎮守府所属艦:白露型十

桜智鎮守府所属艦:利根/熊野/鈴谷

 

 

鎮守府からの広域無線は外洋の資材採掘地まで届いていた

 

「……休戦?如何いう事や」

訝る龍驤

 

「わからない、けど、帰還命令だ、鎮守府へ戻ろう」

 

長良は帰還指示に従うつもりらしい

 

「そうと決まればサッサと出発しようよ、司令官に資材を持って帰らなきゃいけないし、僕達が帰れば司令官はきっと褒めてくれるよ」

 

皐月が嬉々として言い出す

 

「……そうね」

 

「鎮守府所属艦、だけ?私達が同行すると、いけないのかな?」

 

無線内容からそう考える村雨は姉妹艦の意見を求める

 

「ウチの司令官は協力して来いって言ってくれた、ウチの五月雨があの鎮守府にいる以上、私は行くよ」

 

「そうだね、五月雨を連れて帰らないと、来た意味が無いからね、僕も行くよ」

 

姉艦の二人は自身の司令官の言い分を取り、他所の鎮守府司令官の指示の優先度を下げている

 

「……夕立は、どうする?」

 

「そんなの決まってる、村雨こそ、何を迷ってるっぽい?」

 

「夕立の言う通りじゃ、何を迷う事があるか、吾輩等も行くぞ」

 

利根までも白露、時雨の意見に同意してきた

 

「……でも、当鎮守府所属艦以外は近くなって、佐伯司令官は仰られています、無闇に近づくと鎮守府の安全確保と存続に関わる重大事に成るんじゃなくて?そうなったらあの鎮守府にいるウチの五月雨にだって危険が及ぶかも知れません、慎重に判断する必要があると思いますけれど」

 

利根とは異なり他所の鎮守府司令官とはいえ完全無視には抵抗を感じるのか慎重論を唱える熊野

 

「そうだねぇ、何の手立ても講じずにこのままみんな揃ってっていうのには、賛成出来ないかな、この数を見逃してくれる程馬鹿な相手なら私達は何時も苦労しなくて済んでる筈だし、見逃してくれる様な細工は必要だと思うよ」

 

熊野の慎重論に同意する鈴谷

 

「ちょっと?何を勝手に話を進めてるの?貴方達は直ぐに自分の鎮守府へ戻りなさい、司令官は当鎮守府の所属艦以外はあの包囲網に近付かない様にと、注意喚起している、こちらからは休戦、それも一時的な休戦としか、わからない、何処にどんな地雷があるかわからないのに、敢えて踏みに行くリスクは取れない、同行は止めて貰います」

 

桜智鎮守府所属艦娘達の行動を止める長良

 

「……ちょっち、聞くが、白露達は何処まで協力出来るんや?」

 

止める長良と鎮守府に行こうとする白露達を見比べていた龍驤が聞く

 

「何処まで?とは」

 

白露が応じている

 

「ウチの司令官、自分の司令官以外の指揮で戦えるんか?」

 

「ウチの、桜智司令官は五月雨を連れ帰る事を私達に望んでる、それに必要な行動なら、桜智司令官の命令だ、指揮に矛盾は生じない、それに、佐伯司令官は、話の分るヤツだってウチの司令官から良く聞かされてます、心配はしていません」

 

白露は不安な素振りも見せずに答えた

 

「そんな事を聞いてどうするつもりなの龍驤は」

 

龍驤が何を考えているのか、旗艦の長良としては聞かない訳にはいかない

 

「戦力に成るなら、同行して貰うだけや、そうでないならこのまま帰って貰うがな」

 

「戦力にって、あの数の前にはこの国にいる全ての艦娘を集めたって、どれ程の戦力に成るって言うの?何を考えてるの?」

 

「ウチの司令官は龍田等に何を命令した?その目的と理由を考えたら、戦力の在り様も見えてこんか?」

 

「……本隊の釣り出し、あの包囲網は単なるブラフ、司令官は本隊を釣り出し、コレを撃破する事で事態を打開しようとしていた、今はその本隊が、龍田達が獲物と呼んでいた深海棲艦の連合艦隊旗艦が鎮守府に乗り込んでいる状態、でも本隊は三隊居る、鎮守府に三隊全てが乗り込んで居るのか、一隊だけなのかもわからない、これじゃあ作戦行動も何もない、状況の把握が必要」

 

見えて来んか、といわれても本隊との接触、何処にいるのかも分からないではどうしたら良いのか

長良は状況を並べて情報不足だと結論付けた

 

「そう言う事なら、私と熊野はここに残って周辺海域の探索に協力するよ、偵察出来る航空機は多い方が良いでしょう」

 

長良の言い分から情報収集に手がいると判断した鈴谷からの提案だ

 

「戦力分散になってしまうけど、集団行動が却って相手の注意を引いてしまうのなら、止むを得ない、現時点で相手の注意を引いても、得られるのは損失だけ、私達の目的は五月雨の帰着、先ずは五月雨との合流を果たしましょう」

 

白露が鈴谷の判断を後押ししている

 

「私達二人と、白露達の半数がここに残るのなら、退路の確保という意味でも意義は大きいと判断します、長良さん、護衛隊旗艦としても悪い話ではないと思いますが、如何です?」

 

熊野にそう聞かれて困る長良

 

「帰還命令が出てるんだけど……」

 

「休戦なんやろ、それを聞きつけた他所の鎮守府から遠征隊が来る事が予想されるな、ほなら、護衛隊の任務はなんやったかいな?」

 

渋る長良に龍驤が理屈を付けた

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

大本営所属艦:高雄/愛宕

自衛隊_憲兵隊:隊長

 

 

第二工廠入渠場を権兵衛さんに貸し出した、妖精達にも鎮守府に良くない事はさせないと条件を付ける事で協力を取り付けた

 

「第二工廠の様子は?」

 

「現時点では何も、監視兼警備に着いている阿武隈以下四名とも異常を認めていません」

 

「……何にしても、あんなに居たとはな、これまで普通に話してた、気が付かないモノだ」

 

自身に着けていた妖精達、その旗振りで第二工廠にいる妖精、深海棲艦の妖精が目の前に並んだ時にはどうしようかとも思ったが、着けていた妖精と同様に鎮守府工廠の妖精として鎮守府に不利益を被らせた事に落ち込む様子があった

 

「それは、それとしても今後は如何するお積りですか?あれだけの数の深海棲艦側の妖精、このままという訳には……」

 

高雄が深海棲艦の妖精に対処が必要だと主張して来た

 

「このままにするよ?如何しろと?」

 

「排除が難しい事は分かります、ですが、何の手立ても無くこのままというのは所属艦達が不安に感じるのでは?」

 

「ナルホド、では、その点も移籍組には説明する必要があるな、嫌なら大本営に戻って貰うしかないが」

 

高雄の言い分を認め対応を言う

 

「司令官は所属艦が不安に感じないと、思われているのですか?」

 

高雄はその対応が不満らしい

 

「不安も何もウチの所属艦の殆どが第一工廠を主に使っている、第三工廠は移籍組からの編入艦娘が殆どだし、両方が空いてない時に使うくらいだからな、第二工廠は」

 

「それと、他所の鎮守府所属艦、ですよね、第二工廠を使うのは」

 

愛宕が指摘して来た

 

「……そっちにまで説明しろと?やるというのなら止めないが、私に振るなよ?」

 

面倒事は御免被る、防止線を張り関わらないのが一番だ

 

そんな話をしていたら執務室の扉の方から何か聞こえて来た

 

「あー、済まないが、私への説明は頼めるか?」

 

声の方を見れば済まなそうな顔をした隊長が執務室の扉から顔を覗かせていた

 

「……憲兵隊長?無断で執務室への入室はご遠慮ください、指揮系統及び艦娘部隊組織に憲兵隊は含まれておりません」

 

「いくら自衛隊の憲兵と雖も、鎮守府執務室を断りもなく覗くとは、如何いうおつもりか?」

 

愛宕、高雄に立て続けに注意を受ける憲兵隊長

 

「……いや、他意はないんだ、入ろうとしたら、入り難そうな話が聞こえてきたので、こうなった、いや、悪かった」

 

「ここで話すよりそちらの詰所で話そう、その方が都合が良いだろうし」

 

隊長の様子からここ(鎮守府執務室)では話難いだろうと判断、場所を隊長のホームである詰所に変える

 

「提督?」

「司令官?」

 

司令部の二人は揃って疑問の声を上げる

 

「二人は司令部として、戻って来る艦娘への対応と鎮守府内の管理を、それと補給は出来るだけ実施して構わないが、修復は待ってもらってくれ」

 

最低限の指示を出し、隊長と共に憲兵隊詰所に向かった

 

 

 

外洋-包囲網の外側

鎮守府所属艦:龍田艦隊_初春/子日/若葉/初霜

鎮守府所属艦:叢雲(初期艦)

 

 

叢雲(初期艦)は捕まえたものの旗艦である龍田との合流は出来ていない初春

 

「取り敢えず、この後如何するの?」

 

子日が軽く聞く

 

「龍田と合流せねばなるまい、艦隊旗艦と別行動というのは良くないしの」

 

「……さっき艦隊再編指示がメッセージで発信されてたよ?」

 

「その確認の為にも合流しないといけないでしょ、再編は現地判断だってメッセージにあったし、旗艦権限での再編だし」

 

初霜が子日に答えた

 

「……それにしても、あれだけ派手に動いたのに、何処からも何も寄ってこなかった、この海域は何かがおかしい、警戒した方が良い」

 

若葉は叢雲(初期艦)の事より海域の様子が気になる様だ

 

「そうじゃの、まるであの包囲網がこの海域の深海棲艦を集めて構築されている様じゃな、如何やって集めたのか、不思議ではあるが」

 

「んー、それは違うと思う、よく見たらあの包囲網を形成してる深海棲艦、抜け殻じゃない、何時も相手にしてる深海棲艦とは違う」

 

初春の不思議に叢雲(初期艦)が異論を唱える

 

「叢雲?それは、どういう事じゃ?」

 

「初春はアレを見て気付かない?」

 

「わかんないよ、子日にも分かる様に言って!」

 

叢雲(初期艦)の問い掛けは如何言う訳か子日の癪に触ったらしい

 

「アレ、司令官がブラフって言ってたのが正解、もっと早く気付くべきだった、包囲網を抜けるのに集中し過ぎて気付かなかった

はぁ、こういう所が、練度が高いだけの駆逐艦って司令官の叢雲に見做される理由か、観察力と優先順位の設定、教えられたのに、実践出来なかった、初期艦として着任した以上、経験不足は理由にならないって、云われたのに」

 

初春からオシオキの一撃を受けて冷静さを取り戻した、のは良いのだが、冷静に考えられる様になったらなったで、今まで気がつかなかった事にも色々気付いた

叢雲(初期艦)は経験不足から来る対応の不味さに自己嫌悪を覚えざるを得なかった

 

「……なるほどのう、確かに良く見れば叢雲の言う通りじゃな、これだけ近いのに警戒も関心も向けられておらん、彼奴等ただ其処に居るだけ、何をしようという気力も無いと見える」

 

云われて注意して見れば、初春にも叢雲(初期艦)の言い分は理解出来た

 

「攻撃して来ないだけじゃなく、こっちを見てるのもいないね、どういう事?」

 

「その辺りを確認する為にも龍田と合流するのじゃ」

 

初霜の疑問には龍田の、艦隊旗艦の回答が必要、初春はそう考えた

 

 

 

外洋-包囲網の外側

鎮守府所属艦:筑摩/北上/木曾/神通/時雨

鎮守府所属艦:球磨

鎮守府所属艦:龍田艦隊_龍田/初春/子日/若葉/初霜

鎮守府所属艦:叢雲(初期艦)

 

 

龍田を伴う筑摩艦隊と合流した、そして合流した龍田は真っ直ぐ叢雲(初期艦)に近寄りこう言った

 

「叢雲ちゃん?分ってるわよねぇ〜」

 

「……えっと、何の話、かな?」

 

何とか誤魔化せないかと無駄と判っていても何もしないという選択は出来ない叢雲(初期艦)

 

「そう、そういう事いうんだ?聞き分けのないイケナイ駆逐艦はオシオキしないといけないでしょう?」

 

ソレを聞いた龍田はとてもイイ笑顔を見せた

 

「……えっと、鎮守府に戻ってからってワケには……」

 

無駄と判っていても……

 

「行く訳ないでしょう?」

 

「!!!」

 

「何を始めているのやら、それで?筑摩達は鎮守府へ戻るのであろう?」

 

そんな二人を見て呆れつつも放っておき、初春が筑摩に聞く

 

「そのつもりです、今は皐月達、遠征隊が来るのを待っています、先程の広域無線は届いているでしょうから、来ると思います、合流して鎮守府へ戻りましょう」

 

「……筑摩は、このまま鎮守府に戻る事に、異論は無いのか?休戦と司令官は言っていたが一時的なモノだとも言っていた

このまま戻ると、鎮守府に閉じ込められる事にもなる、戦力の集中運用は基本ではあるが、あの包囲網の前には、あの数の前では基本に忠実なだけでは、押し潰されるだけだ」

 

鎮守府に戻るという筑摩に疑問を投げる若葉

 

「……若葉の言いたい事は、分かるつもりです、ですが、帰還命令が司令官より出されています、無視出来ません」

 

「なら、別行動を取れば良いクマ、艦隊再編指示も来てるクマ、護衛隊に編成すれば良いクマよ」

 

「……長良さんは、鎮守府に戻る判断をしないと、球磨さんは考えているのですか?」

 

口出しして来た球磨に若干の驚きを感じつつも、状況分析とその判断には耳を貸す筑摩

 

「長良は護衛隊の旗艦、護衛隊の行動目的は他所の鎮守府から来る遠征隊から損傷艦を出さない事、休戦と聞いて遠征隊が来るかも知れないクマ、護衛隊の全艦が鎮守府へ戻るのは合同作戦に拠る遠征隊が来ないという状況になってからクマ

そもそも護衛隊はあの包囲網が出来る前から行動を始めてる、長良が護衛隊全艦を集結させるのは護衛隊の任務を完遂したと判断してからになる、筈クマ」

 

「……そういえば、護衛隊に編成されている艦娘は、何隻でしたか?」

 

思い出した様に、取って着けた様に質問する筑摩

 

「……そういう事は、鎮守府に戻って司令官に聞くクマ」

 

第一艦隊に所属する重巡、現に球磨の事は知っていた筑摩、敢えてその質問を出して来た意図を読み取った球磨は予測される面倒事を司令官に押し付けた

 

 

 

鎮守府-近海(支援砲撃位置)

鎮守府所属艦:長門/加古/夕張

 

 

帰還指示が出されたにも関わらず、長門は鎮守府に戻ろうとはしなかった

 

「長門?こうしていても仕方ないと思うが?」

 

加古があれだけ鎮守府が気になって仕方ないと吠えていた長門を訝る

 

「先に戻って良い、私は包囲網の外に出た者達を待つ」

 

「……えっと、さっきからあの辺でウロウロしてるのもいるんだけど、気になるから見に行っても良いかな?」

 

再編成された為、第一艦隊に編成されている夕張が旗艦に行動許可を求めている

 

「おそらく天龍と大淀だろう、事情が判らないが、司令官の指示ではある様だ、見に行くのなら事情を聞いてもらえないか?」

 

「司令部が長門に説明していないの?第一艦隊旗艦に説明しないって、どういう事?」

 

長門の依頼に疑問しか出ない夕張

 

「司令部要員は他の艦娘に説明する事に不慣れな様だ、簡潔且つ手短かに説明する事が出来ない、時間が掛かり過ぎて戦闘行動中には説明を聞いていられない」

 

「あー、高雄だったよね、凄く几帳面な性格してた覚えがある、一から十まで説明しようとしたのか、起点、経過仮定、結果論、何処かだけ欲しい時でもそこだけじゃなくて起点から話が始まっちゃうんだよね、下手するとその前の要因から、になるのかな?」

 

長門の説明で漸く合点がいった

 

「平時なら、それで良いのだ、そうしてくれなければこちらも調べる手間が必要になる」

 

「取り敢えず、その天龍と大淀の様子を見て来るとするよ、ここで浮いてるだけなんて退屈過ぎる」

 

加古は夕張に同行する様だ

 

 

 

外洋-資材採掘場(無人島)_周辺海域

鎮守府所属艦:龍驤/長良/名取

鎮守府所属艦:遠征隊_皐月/睦月型五

桜智鎮守府所属艦:白露型十

桜智鎮守府所属艦:利根/熊野/鈴谷

 

 

取り敢えず海上に出た護衛隊と遠征隊、それに桜智鎮守府所属艦娘達も加わっている

その集団の中で白露型駆逐艦の話し合い、誰が鎮守府に向かうのか、誰がこの海域に残るのか、そういった雑多な話し合いがあった

 

「本当に大丈夫なんですか?あんな大群を通り抜けるなんて」

 

「怖かったら時雨達の誰かと変わったら良い、妹達の半分は包囲網の外側に残るんだから」

 

五月雨の不安に白露が応じている

 

「他所の司令官だけど、司令官が避けて通れば大丈夫だって言ってるんだ、この先戦闘指揮を受けるかも知れない司令官の言葉に疑問があるのかい、あたいは全然無いぞ」

 

「……涼風は初期艦さんに会える事の方が大事なんですよね、それは私も同じです」

 

「怖いのなら夕立が手を繋いであげるっぽい、それなら目を瞑ってても鎮守府まで行けるっぽい」

 

「……とっても良くしてもらった初期艦さん、あんなにあっさり鎮守府を出る事になって、戻らないと言っている、直接お話を聞かなければ、五月雨は嫌な考えで頭の中が一杯になってしまいます、会える機会は追いかけてでも逃したくありません、大丈夫です、自分で追いかけられます」

 

「もー、時間掛かり過ぎ、早く鎮守府に戻るよ!司令官が待ってるんだから!!」

 

話し合いに掛かった時間が長過ぎて皐月が痺れを切らせた模様

 

 

 

???

米海軍_対艦娘部隊_観測班:班長/班員1/班員2

 

 

鎮守府から発信された広域無線、それはここでも受信された

 

「……今の、なんですかね?休戦とか言ってましたけど」

 

「わからん、そのまま上に報告しておけ、解析でも分析でも好きにするだろうからな、それよりこちらからの解析波が通る様になったのだろう、情報を集めろ、出来るだけ多くだ」

 

「やってます、やってますが、容量が足りないですね、偽装船舶に積める様な簡易式の探索機材で歯が立つ数じゃないです、ゾーニングして個別解析していますから時間が掛かります、情報の統合は本隊でやってもらうしかありません」

 

「……自衛隊の邪魔が無ければ、本隊から専用艦を出せたのに、余計な手間を掛けさせてくれる」

 

 

 

???

艦娘部隊上部機関_本会議場

???:監察官/各方面代表

大本営司令長官:老提督

 

 

「休戦?これはまた、予想外の展開になったな、老提督の意見を聞こう」

 

上部機関本会議、本来なら開かれた会議であり、関係者を多く集めて意見交換、情報収集、各所の調整などが為される筈の本会議

 

しかし今回の本会議は様相が異なっていた

 

「通信が回復したと聞いた、大本営の活動再開を認めてもらいたい」

 

その本会議に出席している老提督

 

「再開して、どうするのだ?聞こえてきた所によれば、大本営所属の艦娘達はその殆どが雲隠れして指揮を受け付けないそうではないか、指揮する艦娘がいない大本営に何の活動が出来るというのか」

 

上部機関に席を持つ人は限られる、その一人からの質問だ

 

「大本営は各地の鎮守府を結ぶ要、その様に組織として作られた、特に通信は鎮守府間では直接出来ず大本営を経由して通信する仕様になっている、この為現状では全ての鎮守府が各個の司令官の判断で個別に行動している、これは鎮守府間の合同作戦を大本営が阻止しているのと同義だ、指揮系統の上位にある大本営が鎮守府の活動を阻害しているのだ、これを解消したい」

 

「……大本営所属の艦娘達を再度指揮下に置く為ではないのか?大本営といっても元は鎮守府、艦娘を運用する為の大本営ではないのか」

 

別の人から確認する様に質問された

 

「そういう意味では、大本営は存在意義を失っている、最早大本営の指揮で動いてくれる艦娘はいない、大本営そのものが艦娘達から見捨てられたのだ、人の組織の都合に翻弄され続けた艦娘達は、叛乱ではなく、見捨てる、選択をした、と私は感じている

艦娘達は人に積極的な危害を加える事は無い、然し乍ら、消極的な、人の基準で言えばサボタージュは状況に関わらず条件次第で実行すると、今回の事でハッキリした

同時に艦娘自ら、自身を指揮下に置く司令官を選択する事も、判明した、鎮守府司令官は艦娘等に司令官と選択される必要がある、人の都合だけで司令官を配置しても、艦娘部隊としての活動は出来ない、事になる」

 

「老提督、ご自身が何を言っているのか、お分かりか?」

 

更に別の人から問われる

 

「分かっている、艦娘達が見捨てたのは、他の誰でもない、私だ、私の指揮権が人の都合により艦娘達に及ぶ限り、大本営に艦娘は着任しない、遠からず私は身を引く事になる、だが、身を引く前に、やらねばならない事がある」

 

 

 

鎮守府-近海

鎮守府所属艦:天龍/大淀

 

 

艦娘としての運用試験、戦力評価の為の演習、という名目で海に出ている二人

 

「まあ、初めて海に出た割には良くやってる」

 

「良くやっている、のでは、戦力になりません、何かないですか?」

 

「……慌てるな、と言える状況でも無いが、慌てた所で航海術が身に付く訳じゃない、先ずは艤装に、艤装を含めた自分の動きを理解しろ、艤装を展開して海に立つのと艤装を収納して陸に立つのと、何がどれだけ違うのか、感性に頼って何とかなるのはドロップ艦の特権だ、建造艦はそれを理解する所から始めるんだ、ケースバイケースってヤツでこうすれば良いって手順は無い、理解出来るか、どの程度の理解度になるかは当人の感性次第だ」

 

「……感性、センスの問題だと?」

 

「そうなる、変に勘繰る事は無い、艦娘には漏れ無く妖精さんが着いているんだからな」

 

「……妖精さん?そうか、艤装を制御しているのは妖精さん、兵装を扱うのも妖精さん、それ等を装備しているのは艦娘だけど、直接的な制御は出来ない、艦娘自身がいくら踠いても、妖精さんの協力がなければ、何も動かせない、自身に着いている妖精さんの頭越しの思考では、それなりにしか動けない、陸では艤装を展開しなくとも自由に動けるけど、海では艤装を展開しなくては自由に動けない、浮く事さえ儘為らない、妖精さんと意思疎通を図り、妖精さんが持つ知識と見識、あるのなら経験までも引き出す事が建造艦には必要になる、新規格の建造方法はこの辺りを工廠の設備を用いて人為的に敷居を下げた、それの応用なのだから、私の閾値も低くなっている、妖精さんとの意思疎通が容易になっている筈、そこから始めろという事ですね」

 

「……おまえ、頭、硬すぎる」

 

余りの理屈の捏ね様に少しだけ引く天龍だった

 

 

 

外洋-包囲網の外側

鎮守府所属艦:筑摩/北上/木曾/神通/時雨

鎮守府所属艦:球磨

鎮守府所属艦:龍田艦隊_龍田/初春/子日/若葉/初霜

鎮守府所属艦:叢雲(初期艦)

 

 

遠征隊との合流待ちの筑摩、龍田艦隊は目的の艦娘達を視認した

 

「来た様ですが、何でしょうか、数が多い?」

 

「遠征隊って二個艦隊も出てたの?いつの間に」

 

「……他所の鎮守府所属の遠征隊が同行するそうだクマ」

 

「球磨さん?また?この距離で部隊内秘匿通信?そんなに聞かれたく無い話が沢山あるのなら別行動を取った方が良いんじゃないかな」

 

弟子入りを拒否された事を根に持ってる訳でも無いだろうが、時雨の言い様はとても冷たい

 

「だって、如何するクマちゃん?駆逐艦が御立腹だよ?」

 

「……北上、そんなにオシオキが恋しいか?」

 

「オオコワイ!って、言わせて貰うけど、あたしも同感だよ、なにをコソコソ話してんのさ、同じ鎮守府所属艦、なにを秘匿してんの?」

 

秘匿通信を多用して来る護衛隊に北上も不満を言う

 

「球磨は護衛隊に編成されているクマ、北上達とは旗艦が違うクマ、仕方ないクマ」

 

「あの先頭にいる艦娘、筑摩の同型艦か?それだと重巡って事になるが」

 

視認している艦隊を観察していた木曾から観察結果が出て来た

 

「同型艦、ですが、何でしょう、なにか違う様な感じですけど」

 

木曾の観察結果には同意するものの、違和感を覚える筑摩

 

「遠征隊に重巡?如何いう事?」

 

「皐月達に名取さんが同行しています、合流して話を聞いた方が確実でしょう」

 

兎も角、合流する事が優先だ

 

 

 

鎮守府-近海

鎮守府所属艦:天龍/大淀/加古/夕張

 

 

「よう!天龍!!こんな所でなにやってんだ?」

 

気楽に声を掛ける加古

 

「何って、何だろうな?」

 

「……見た所、事務艦の戦力化を目論んだ司令官がその評価を天龍に指示したって所かな、ここの事務艦って建造されてから一度も海に出た事ないって聞いたけど、それにしては、良く動けてるじゃない、感心した」

 

接触して来た二人を差して気にしていない天龍に状況推定と見た感想を言い反応を確かめる夕張

 

「夕張!今時間ありますか?出来るのなら少しでも良いです、私の教練を指導してくれませんか?」

 

意外にも反応を示したのは天龍ではなく大淀(事務艦)だった、それも予想外の事を言い出している

 

「えっ?それは、天龍の、役割、でしょ?」

 

「いや?オレは評価をする様に頼まれただけだ、指導する様にとは指示されてない」

 

「いやでも、なんで私?今は見ての通り兵装を装備してないんだけど」

 

天龍はこちらを気にしている様子もなく大淀の言い分も否定しない、夕張としては対応に困る事態だ

 

「同じ軽巡枠、それに司令官から聞きました、私はスペック的には夕張の上位互換なんだとか、スペック倒れにならない様指導をお願い出来ませんか」

 

「……上位互換?建造艦の下位互換だって言うの?私が?」

 

この元事務艦の大淀、予想外にも程がある事を平然と言い放った

移籍組の高練度艦相手に向かって上位互換宣言?

鎮守府建造艦で始めて海に出る同種枠に下位互換だと言われて黙っていられる艦娘は、少なくとも軽巡枠にはいない

 

「えっ!?今のはスペックとしての数字の話です、艦娘の評価はスペック的な数字だけで決定されません、機器計測可能な数値と行動結果としての実績、これらは全く別の基準です」

 

何か感じるモノはあった様で大淀が慌てた様子で何かを言い立てるが、言い分を撤回する事はなかった

 

「……下位互換なんだ、ふーん、天龍、ちょっとこの子借りるよ」

 

「本人が指導を受けたいって言ってるんだ、こっちに止める理由は無い、ただ、余り時間は取れない、こっちも評価を提出する様に指示されてる」

 

天龍の返答を待つこともなく大淀の艤装を掴んで引っ張って行く夕張に、天龍は最低限の事柄を伝える

 

「わかった、サッサと評価できる様に手短かに済ませるよ」

 

天龍の方を向くこともなく大淀を引っ張りながら答える夕張

 

「……夕張でも、ああいう事ってあるんだな、工廠で見かけた限り仲裁役を買って出てる様に見えたけど」

 

声が届かない程度に離れて行く夕張と大淀を見送っていた加古が感想を言う

 

「軽巡は基本、血の気が多いんだ、重巡には解り難いかも知れないが」

 

「……ああ、そういう、夕張も軽巡枠だったな」

 

引っ張る夕張と引っ張られるままの大淀、それを見る加古と天龍

ある程度の距離を移動した所で、夕張が掴んでいた大淀の艤装から手を離した

 

 

 

鎮守府-近海(支援砲撃位置)

鎮守府所属艦:長門/加古

鎮守府所属艦:筑摩/北上/木曾/神通/時雨

鎮守府所属艦:龍田/初春/初霜/叢雲(初期艦)

鎮守府所属艦:球磨

鎮守府所属艦:遠征隊_皐月/睦月型五

桜智鎮守府所属艦:白露/村雨/夕立/五月雨/涼風

桜智鎮守府所属艦:利根

 

 

「あっ!長門ー、おーい!!」

 

ようやく待ち人、待っていた艦隊がやって来た

 

「来たか」

 

「態々待ってたのか?心配性だな、ウチの第一艦隊旗艦は」

 

合流するなり呆れつつも嬉しそうな様子を見せる木曾

 

「……ウチの鎮守府所属では無い、駆逐艦がいるが、如何いう事だ?」

 

長門はそんな木曾に応じる事も無く、状況に対しての疑問を言った

 

「吾輩は駆逐艦では無いぞ、航空巡洋艦じゃ、見知り置け」

 

その疑問に真っ先に反応を見せたのは利根だった

利根は筑摩の同型艦、しかし長門の前に立つ利根は第一艦隊配置の筑摩とは装束も艤装も兵装も異なっていた

 

「その姿、改装を受けているのか?ならば高い練度を有する艦娘、であろう」

 

「利根型一番艦、利根である!其方はこの鎮守府所属の戦艦長門か、建造艦と聞いているが、仲々如何して、良い練度じゃ、司令官の薫陶の賜物であろう、良い司令官に着いた様じゃな」

 

「……それは否定せぬが、何故他所の鎮守府所属艦があの包囲網を通って来た?目的は何だ?」

 

自身の提督を良い司令官と言われれば悪い気はしないが、それ以上に他所の鎮守府所属艦娘がここに来た疑問の方が強い

 

「この鎮守府には、ウチの五月雨がいる、ウチの司令官は五月雨が帰ってくるのを待ってる、だから、連れて帰る」

 

そんな長門に白露が応じる

 

「……五月雨なら、そこにいる様だが?」

 

艦隊を見回した長門は更に疑問を重ねる

 

「私は鎮守府で建造された建造艦、初期艦ではないです、桜智司令官が待っているのは最初に配置された初期艦の五月雨、私ではないです」

 

その疑問には当の五月雨が答えた

 

「……初期艦は新任の初期艦が配置された筈、鎮守府運営に支障が出ているのか?」

 

長門なりに白露の言い分と現状との整合を試みる

 

「いいえ、全く、新任の初期艦は吹雪ちゃんだけど、凄く頑張ってる、ウチの司令官も良く働いてくれるって褒めてる、鎮守府運営には何の問題も無い」

 

しかし白露は長門なりの推定を否定して来た

 

「ならば、最初の初期艦の五月雨がウチの鎮守府にいる事を理由に、其方が無理を押す事には疑問しか無い、ウチの司令官は当鎮守府所属艦娘以外は包囲網に近づかない様に、注意喚起している、それを無視した理由は?一歩間違えばあの包囲網の全てが、こちらに攻撃を開始する事態になっただろう、そこまでのリスクを敢えて取った理由は、何だ?」

 

第一艦隊旗艦の長門にはこんな状況のウチの鎮守府に態々来る他所の鎮守府所属艦娘達に疑問しか湧かず、明確な回答を求めた

長門には白露の言い分だけでは無理を押す理由としては全く足りない様だ

 

「長門、ここで長話をしていても仕方ないです、今は鎮守府へ戻りましょう」

 

殆ど押し問答になってしまっている長門と白露達の質疑応答に筑摩が入って来た

 

「筑摩、何故同行を許した、止められなかった理由を聞かせろ」

 

長門は回答を求める相手を白露達から筑摩に変えた

 

「それは、今後を見越してっていう事になるのかなぁ、その辺りの話は、込み入ってるし、何より司令官の判断が必要、取り得る手段を自身で狭めて良い状況じゃない、まして、こっちが釣り上げる筈の獲物に鎮守府へ乗り込まれた、なんて、笑い話にもなってない、今は戦力が必要、例え僅かでも、在れば司令官に手段を提供出来る」

 

これには筑摩では無く、龍田が応じて来た、つまり、白露達の同行は筑摩だけの判断では無い

 

「……戦力?手段?他所の鎮守府所属艦が、ウチの戦力に成る?そう言った話は聞いていない」

 

複数の艦隊旗艦が同行を承認している、それが判った長門はこれまでの推定を捨て、別の推定を以って現状の整合を試みる

 

「だから、司令官の判断が必要なの」

 

長門の疑問に龍田が重ねて応じる

 

「……そういう提案を受けた、そういう事か、ウチ以外にも我が儘な司令官というのは着任しているのだな、所で、さっきから気になっているのだが、それは何だ?」

 

龍田の返答で漸く状況に合点が行く長門、そういうことなら後は提督に投げるだけだ

それはそれとしてもう一つ気になっている事を龍田に聞いた

 

「艦隊に編成されていないのを良い事に、勝手に何処かに行ってしまう聞き分けの無い駆逐艦にオシオキしている最中、イケナイ事をする駆逐艦を躾けるのは軽巡の役割でしょう?」

 

「お、おう……」

 

とてもイイ笑顔でそう語る龍田に長門はそれ以外に言葉が出て来なかった

 

 

 

 




場所-殆ど鎮守府の何処か、断りの無い鎮守府表記の場合は佐伯司令官の鎮守府
所属:登場人物/登場艦娘 等

~近距離無線~は通話、交信 等

上記の書き方が基本となっています、同じ所属が複数行になっている場合は行動単位




大本営所属初期艦〔一号(漣.電.吹雪.五月雨)、一組(漣.電)、二組(吹雪.叢雲.漣.電.五月雨)〕

移籍組〔修復待ちの高練度艦娘、以前の大規模海戦の帰還艦娘、現在の代表は五十鈴〕



工廠組〔明石、夕張、北上、秋津洲〕

護衛隊〔以前の大規模海戦の帰還艦娘、長良を始め帰還後に原隊の大本営に戻らなかった艦娘達、広域探索役として龍驤が加わっている〕

鎮守府所属初期艦〔鎮守府配置の初期艦(叢雲)、三組(吹雪.叢雲.漣.電.五月雨)〕




上記の初期艦の所在
・二組の初期艦は大本営に、老提督から長期休暇を取らされるも老提督の補佐に勝手に着いている
・他は舞台となっている鎮守府(佐伯司令官の鎮守府)に所属、出向、立ち寄りなどで滞在中



艦娘について
・鎮守府の大規模増設計画に伴い、艦娘の複製術が確立されている
・本編中で複製艦娘は新規格の艦娘と呼ばれている
・初期艦も複製可能となり増設計画に依って増設された鎮守府に配置されている




・長門艦隊、長門、加古、夕張
・再編成され行動中

・龍田艦隊、龍田、初春、子日、若葉、初霜
・包囲網を抜け外洋に出ている
・叢雲(初期艦)のサポート役
・鎮守府への帰還に疑問を持った若葉とそれに付き合う子日が護衛隊に再編成

・筑摩艦隊、筑摩、北上、木曾、神通、時雨
・再編成されて加古が長門艦隊へ転出、時雨を編成

・夕張艦隊、補給隊、旗艦夕張、睦月型五
・包囲網突破中の北上等に補給する為、旗艦夕張を除き包囲網突破に同行
・包囲網を抜けた後、皐月を加え遠征隊に再編成
・艦隊再編で旗艦夕張が長門艦隊へ転出、夕張は旗艦としての責務を解かれた

・工廠に陣取る軽空母達、鳳翔、祥鳳、隼鷹
・工廠防衛を指示されている
・軽空母達の指揮を執っているのは大本営所属艦娘、司令長官秘書艦の五十鈴
・ちょっとした問題が発生、進行中

・戦力評価試験中の大淀(事務艦)と天龍
・そこに合流した加古と夕張
・大淀の一言で夕張が評価試験の実技を買って出た

・他所の鎮守府所属艦娘達(桜智鎮守府所属艦)
・白露型十、航空巡洋艦三
・包囲網を通って鎮守府に来たのは利根、白露、村雨、夕立、五月雨、涼風
・時雨は同名艦が居ると聞いて残留、改白露型三隻は事情により残留
・春雨は他所の資材採掘地に興味深々で残留を希望
・最上型三番艦、四番艦は護衛隊の周辺探索に協力する為に残留


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