初期の艦これ   作:弱箔

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御注意

・大幅に書き方が変わっています
・苦行用です
・長いです

ご承知頂きたく存じます



82 港まで迎えに出た

 

 

 

 

鎮守府-港

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:長門/加古

鎮守府所属艦:筑摩/北上/木曾/神通/時雨

鎮守府所属艦:龍田/初春/初霜/叢雲(初期艦)

鎮守府所属艦:球磨

鎮守府所属艦:遠征隊_皐月/睦月型五

桜智鎮守府所属艦:白露/村雨/夕立/五月雨/涼風

桜智鎮守府所属艦:利根

 

 

長門達を港まで迎えに出た司令官はそこで見た光景に理解が追いつかなかった

 

「……えっと?如何いう事になってるんだ?」

 

「其方がこの鎮守府司令官の佐伯か、吾輩は桜智司令官指揮下の艦娘、利根型一番艦の利根である!見知り置け!!」

 

「……えっと?長門?」

 

宣言された所で理解が追いつく訳でもない

 

「悪いが、私に聞かれても答えられん、龍田や筑摩に聞いてくれ」

 

「しれーかーん!!!資材もって来たー!!!」

 

理解が追い付かず戸惑っているところに駆逐艦の元気な声が掛かった

 

「は?資材もって来たって、お前達採掘地まで行ったのか?兵装も持たずに?」

 

「……ダメ、だった?」

 

先程の元気は何処かに行ってしまった様に声を小さくする駆逐艦

 

「ダメというか、筑摩、如何いう事だ、護衛に付いていたんじゃ無いのか?」

 

補給隊を引き継いだ筈の筑摩に説明を求める

 

「護衛隊の援護が受けられると球磨さんから聞きましたので、許可しました」

 

「長良達か、長良は戻って来ていないな」

 

見回せば護衛隊の旗艦は勿論、纏め役の艦娘がいない

 

「護衛隊としての任務を遂行すると言っていました」

 

「……任務ね、事情は分かった、通信不能だったのだし、旗艦指名を受けた重巡の許可も下りていた、ちゃんと手続きは取ってから遠征に出たのだな、遠征隊の皆、良く資材を持ち帰ってくれた、感謝する」

 

「ほーら、駆逐艦達、サッサと資材庫に入れちゃいな」

 

「わかったー!」

 

北上に促されて駆逐艦達が元気な声で応じた、それを見送りつつ、ここにいる筈のない艦娘に向き直る

 

「で、確か村雨だったな、桜智の奴、何を考えて来援なんて寄越した?」

 

「あー、佐伯司令官、申し訳ありませんが、今の旗艦は白露です、話は白露から、お聞き下さい」

 

隣にいる艦娘に話を振る村雨

 

「……それで?一番艦の白露、話を聞こうか」

 

「ウチの、桜智司令官は五月雨がこの鎮守府に残っている事を凄く気にしています、出来れば、私達で連れ帰りたい」

 

つまり、来援として来た訳ではないという事かな、兎も角その方向で話をして見よう

 

「……本人の意思を無視しても?」

 

「私にはそこが分からない、五月雨はこの鎮守府の何に拘ってる?ウチに戻ったって、この鎮守府に出入り禁止される訳じゃない、戻れる筈なんだ、なんで戻って来ないの?五月雨は」

 

「……村雨、説明してないのか?以前来た時に説明は受けたと、思うが」

 

「ええと、五月雨が相変わらず頑固だなって話はしたんですけど、納得してくれなかったです」

 

困った様に言う村雨の側にいる三隻の艦娘に目を向ける

 

「……五月雨はいるんだな、建造艦か?」

 

「はい!桜智司令官の指揮下で建造されました、白露型駆逐艦六番艦の五月雨です、初期艦ではありませんが、合同作戦に参加させて頂き、練度向上に励んでいます」

 

ハッキリした口調の五月雨、一組の五月雨とも一号の五月雨とも違う印象を受ける

 

「そうか、大雑把にしか聞いていないが、これまではドロップ艦重視?偏重?だかの運用だったと伝え聞いていた、建造艦だからと所属艦娘を陸に置いても意味がないからな

兎も角、来てしまったからには仕方ない、事務艦に言って……いかん、事務艦は別に当てている、当座の生活面を如何するか」

 

「司令部を活用したら良かろう、その為の司令部ではないのか」

 

長門から提案があった

 

「……三隈か、大丈夫だろうか」

 

「えっ?この鎮守府には三隈が着任してるんですか?最上型の二番艦ですよね」

 

何故か驚きを見せる白露

 

「正式な着任ではないが、鎮守府運営に協力して貰っている、ただ、協力は始まったばかりだ、不慣れな所もあるだろう、そこは上手く出来るか?」

 

「押し掛け同然ですし、多くは望みません、こちらの遠征隊と話してみても、資材減少が激しいと聞きました、それを承知で押し掛けたんですから」

 

白露達はこちらの事情を多少は汲んでくれるらしい

 

「そうか、足柄!そんな所から見ていないで手を貸してくれ!」

 

さっきからチラチラとこちらを窺っている重巡を呼ぶ

 

「!なんで見つかった?私の遮蔽術が見破られるなんて」

何かを呟く足利、そこは流して要件を伝える

 

「……手間を取らせて悪いが、三隈にこの六隻の滞在を伝えてほしい、必要手続きやら、色々あるから、滞り無く執行する様にな」

 

「了解、それと、遠征隊の駆逐艦達が待ってる、行ってあげたら?」

 

足利の指す方を見れば遠征隊の駆逐艦達が集まっていた

 

「……こちらがもう終わる、それからだな」

 

 

 

防衛省庁舎-会議室

自衛隊:幕僚(複数)/官僚(複数)

自衛隊_鎮守府派遣隊:(元)司令官

 

 

よくある会議室、そこに並ぶタダのおっさん、では無く渋いオジサマ達(自衛官の方々)、ただ机の並びが、ただの会議ではない事を物語っていた

 

「休戦だそうだ、又しても陸自に出し抜かれた、海自は艦娘達から警戒されているし、空自は抑の接点が薄い、だから、移動指揮所の設置の許可も出した、艦娘部隊との強力なパイプに成る筈だった

それを、無断で撤収して来るとは、いくら幕僚と雖も、指揮権無視は如何いうつもりなのか、お聞かせ願いたい」

 

「無視などしていない、鎮守府からの撤収は予告した、それを検討も無しに握り潰したのは、何処の誰か、それこそお聞かせ願いたい」

 

周囲を囲む様に並ぶ机とそこに座る自衛官達との会議に臨む元指揮所司令官

 

「艦娘部隊は今岐路に立っている、あの上部機関の本会議が、国内某所で開催されている、出席者は錚々たる面子だ、経済的な影響力は極めて大きい、それに伴う政治的な影響力もだ、自衛隊はそこには列席出来ない、自衛隊は軍隊では無い、という政府見解がある限りあの上部機関の席を確保する事すら、出来ないのだよ

そこで苦肉の策として、現場の鎮守府への接近と懐柔を以って、協力関係を構築する事こそ、あの移動指揮所設置の目的だった、それを身勝手にも独断で撤収、放棄するとは、指揮所を任せるに当たり、説明はしたと、記憶しているが、私の覚え違いか?」

 

「協力関係を構築するのならば、先ず必要なのはお互いの信頼関係でしょう、懐柔した関係を以って協力関係を構築して、何になりますか?」

 

「艦娘部隊上部機関への足掛かりに成るではないか、鎮守府司令官はいずれ上部機関との接点を持つ、それも極めて強力な接点をだ、これを自衛隊が活用する事で艦娘部隊とも極めて強力な関係を構築出来るだろう、その戦略的な価値がどれ程大きいか、考えなかったのか?」

 

雁首並べて苛立ちを隠そうともせず言い立てる一応の同僚達に呆れる他ない元指揮所司令官

 

「……そんな考えをしているから、艦娘達に警戒されるんですよ、鎮守府司令官を足掛かりにする?間違いなく艦娘達から反感を買うでしょうな、そんな関係でその艦娘達の戦略的な価値を自衛隊が活用出来ると、どんな思考を辿れば、そんな帰結に至るのか、本職には疑問しか持ち得ませんが?」

 

元指揮所司令官の主張に苛立ちを募らせる様子の列席者達

 

「海自の纏めた艦娘の資料は読んだ、極めて従順だそうではないか、反感を買うなど、考慮する必要があるとは、思われないが」

 

「……あの資料なら読みました、誰が纏めたのか知りませんが、事実に基かない虚構が並んでいるだけの資料でした、あの移動指揮所で僅かながらも艦娘達との接点を持った本職は、実感を持って断言出来る、あの資料は海自の自衛官が纏めた資料ではないでしょう、所属不詳の自衛官と称する何者かが海自の資料と書き込んで防衛省に蒔いた撒き餌だ、ここに並ぶ幕僚会議の出席者はその撒き餌に繋り、釣り上げられたのだ、その自覚すら、持ち得ないのか、貴方達は」

 

「……口を慎みたまえ、いくら幕僚と雖も、謂れ無き誹謗は許されるモノでは無い、どうやら、これ以上話し合いに時間を掛けても無意味の様だ、キミの処分は追って決まるだろう、それまで謹慎していなさい、キミの指揮で共に撤収した自衛官達も、同様の処分になるだろう」

 

苛立ちからの変節、突然掌を返した様に無感情に宣告する幕僚の一人

 

「指揮に従った部下達も、同様の処分?それはどういう事ですか?彼等は私の指揮権に従っただけだ、処分を受ける根拠は?」

 

「機密情報の漏洩、守秘義務違反、服務規定違反、業務上横領、挙げれば切りが無い、よくもあの短期間でこれだけの違法行為を行ったモノだ、ある意味で感心する、今、これらの違法行為を整理、精査して裁判所に告発するか、自衛隊内で処理するかを検討中だ、法務部が準備を進めているよ」

 

「……結局、他所へ丸投げか、いつまでそれが通ると思っているのか、あの大本営はどうなった?何も見えていない、何も聞こえていない、目を閉じ耳を塞いでいる、その自覚すらないとは困った事だ」

 

官僚主義もここまで来ると、如何にもならない

 

 

 

鎮守府-第二食堂

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:長門/皐月/睦月型五/初春/初霜

大本営所属艦:愛宕

 

 

駆逐艦達を連れて第二食堂に来ている、他にも付いてきたのはいるが、まあいい

そこに司令部の愛宕が近づいて来た

 

「司令官、執務室に来客です、お忙しいのであれば、追い出して、後日、日を改めてと伝えますが?」

 

「……来客?誰?」

 

予定には無い筈、来客というからには外からだろうが、そっちは陸自が封鎖しているのではなかったかな

 

「陸上自衛隊、普通科連隊の連隊長だと、言っています」

 

「一人で来る様な肩書きじゃないね、誰を連れてきてる?」

 

「当鎮守府に配置されている憲兵隊、隊長を含みます」

 

「どのくらい、待たせてるの?」

 

「……それ程でも無いです、二十分くらい、でしょうか」

 

「お茶と煎餅でも出してもう少し待って貰って、こちらが落ち着いたら行くから」

 

「……わかりました」

 

何か言いたそうではあったが口にせず戻っていく愛宕

 

「所で長門、天龍と大淀と夕張を見なかったか?白露達に驚いて、居ないのに気が付かなかったんだが」

 

「……天龍は遠征隊の持ち帰った資材を確認している、大淀と夕張は明石と秋津洲から応急処置を受け、港に係留中だ、提督から修復は待つ様に指示があったと、言っていた」

 

工廠組の北上の名が上がらなかったから聞いてみる

 

「……北上は何処にいる」

 

「筑摩等と戻った後、何処かに行った、私は見ていない」

 

「那智を呼び出して明石等から戻った艦娘達の状況を聞き、天龍等と資材残量を確認して、修復計画を立て、執務室まで実行プランを提出させてくれ、それと天龍に大淀の評価を提出する様に伝えてくれ」

 

「……北上は放置か?」

 

「一番艦が一緒だろうから、暫くはな、那智のプランを検討してから、になるかな」

 

今直ぐに用がある訳でも無し、出撃から帰ったばかりでもある、休息時間は必要だろう

 

「その一番艦に、時雨が食い付いていたが、何か聞いているか?」

 

長門から思い掛けない話が出て来た

 

「時雨?そういえば、ここに居ないな、疲れて休んでいるんじゃ無いのか、まあ、何かあれば足柄なり三隈から何か言ってくるだろう」

 

ウチの時雨は時々良く解らない行動を取るが、理由を知れば解らないでは無いし、何より時雨だ、本人の好きにさせてやるのが良いと判断している

 

 

 

鎮守府-工廠(第二工廠)

???:???(権兵衛さん)

鎮守府:司令官

 

 

我等の協議にはどういう理屈か知らないが入渠設備が要るそうで、また占拠されてしまった

入渠場から出て来た権兵衛さんは見るからに不機嫌だ

 

「我等が協議中のドサクサに紛れて来援を受け入れたそうだな、随分と卑劣な真似をするでは無いか、通信の回復も鎮守府所属艦娘達の帰還も何故実施させたと思っているのだ、こういった余計な行為が続くのであれば、我等とて許容出来ん、力尽くで来る相手ならば、力尽くで応じる事になるぞ」

 

予想通りの不機嫌な理由とこちらも予想通りの脅し文句になんだかなーと思いつつ応じる

 

「……白露達の事か?来援とは、違うんだが、そちらからはそう見える事は理解出来る、ただその認識は訂正して貰いたい」

 

「訂正?何をどう訂正するのだ」

 

不機嫌を隠しもしない権兵衛さん

 

「あれは向こうが勝手に来たのであって、私や鎮守府所属艦娘達が呼んだのではない、その根拠として、白露達の行動目的が挙げられる、其方も来援と認識しているなら、私の指揮下にいる艦娘では無いと判っているだろう

そして指揮下にいない艦娘は私の指揮を受けない事も承知しているだろう、これらの条件から白露達の行動目的を変更する指揮権が私には無いと判って貰いたい、結論としても其方が主張する様な来援では無いと理解して頂きたい」

 

不機嫌な表情を考え込む表情に変えた権兵衛さん

 

「……指揮権が無いという部分は理解出来る、しかし、指揮に従う様に命令されているのではないのか?そうする事で擬似的に指揮下に入れられるだろう、来援なれば、そうしている筈だ」

 

「白露達の行動目的は当鎮守府に滞在中の艦娘を自身の鎮守府へ連れ帰る事だそうだ、そこに私の指揮権が入り込む余地は無いし、私の指揮下に入る必要も無い」

 

「……連れ帰る?もう一度包囲網を通過出来ると判断しているのか、なれば、阻止してくれるわ」

 

どういう意図があるのかは不明だが尊大に言い放つ権兵衛さん

 

「……その必要は無い、と思うが、こちらに止める手立ても無い、如何するのかは、聞かせてもらえるのか?」

 

 

 

鎮守府-通信室

鎮守府:司令官

 

 

「鎮守府より告げる、こちらは鎮守府司令官の佐伯だ、この広域無線が通じている部署、組織、何でも良いが、聞いているのなら、当鎮守府への物理的な接触、及び当鎮守府を包囲している深海棲艦への接近は控えて頂きたい、既に当鎮守府への物理的な接触が試みられ、先方に露見した

これに伴い攻撃を受けなくとも接近すれば攻撃する様に行動仕様を変更した、と通告された、又、この事態が継続するのなら、休戦を打ち切り力尽くでの対応に切り替えるとも警告を受けた、事は当鎮守府のみの事象に留まらない、その点を十分に理解して頂きたい、以上」

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府:司令官

自衛隊_普通科:連隊長

自衛隊_憲兵隊:隊長/隊員(複数)

大本営所属艦:高雄/愛宕

 

 

執務室に入ると憲兵達と陸自の士官が煎餅を齧りながら雑談をしていた

こちらを見つけ取り敢えず雑談を止め、煎餅と湯呑みをテーブルの中央に纏めた来客達

 

「お待たせしました、込み入っておりまして申し訳ない」

 

そう声を掛けたら陸自の士官が応じて来た

 

「……先程の館内放送、アレは広域無線でも、行ったのか?」

 

「その通りです、先の事例と同様です」

 

「……物理的な接触、とあったが、まさか、我々の事か?」

 

何故そうなると思いつつ顔には出さない

 

「……想像にお任せします」

 

「おい、そういう曖昧な返答は困る、ハッキリ言ってくれ、我々の行動が先方を刺激し、力尽くの行動を誘発したなどと、後になって証言でもされたら、堪らんからな」

 

この士官の憂慮はそこですか、少し呆れたが、ソレを言ってしまうほどこちらも野暮ではない

 

「そこをハッキリさせてしまうと、こちらの首を絞めかねない、先方が曖昧にしているのです、こちらから敢えて言及する事は却って危険と判断します、如何してもと云われるのなら、先方との会合の場を用意しますが?」

 

これを聞いた士官が言葉に詰まった

 

「……それは、不要だ、あの数を見ているんだ、アレを如何しろと?我々は陸自だぞ?聞けばあの数の全てが戦車砲以上の砲火力を有する艦船だというではないか、本心から関わりたくない」

 

「……それで?御用の向きは?」

 

前段は終わりと判断して、本題に入る様に促した

 

「この鎮守府の食料備蓄、並び生活物資の在庫量を確認したい」

 

「陸自が何故それを?」

 

「これらの搬入は海自が担当していると聞いている、その海自が鎮守府への搬入を口実に良からぬ事を目論んでいる、との情報を得た、こちらの憲兵隊との協議で必要物資の搬入は認められている、その必要量を確認したい」

 

「……事情がわかりません、説明して頂けませんか?」

 

憲兵隊との話が付いているのに陸自が別途確認する必要が何処にあるのか解らない

 

「不要だ、必要量の搬入は確保する、我々が関心を持つのはソレ以外の物資の移動だ」

 

「憲兵隊で対応頂くわけには……」

 

「行かない、そこまで人員を割けない」

 

憲兵に振ったら即答で拒否されてしまった

 

「そうですか、では仕方ない、申し訳ないが、その要件は受け入れられない」

 

「……如何いう事だ?必要量は搬入させる、鎮守府側に不利はないだろう」

 

身を乗り出して来る陸自の士官、先程の憂慮を応用すればこの士官は引っ込むと予測した

 

「それを実行するには陸自の方々を鎮守府内に受け入れなければならない、これは鎮守府への物理的な接触、と見做されるでしょう」

 

「……」

 

想定通り陸自の士官は言葉に詰まった、そこに憲兵隊長が助け船を出した

 

「連隊長、上に再考を求める事を勧める、強行策は無用なだけでなく実害を伴う可能性が高い、実害を避ける為に鎮守府派遣隊は撤収している、鎮守府派遣隊のトップは幕僚だ、左官の連隊長がそこまでの危険を取る事は不合理だ」

 

「……言いたい事は理解しているつもりだ、ただ上がな、強行なのだよ、防衛省内での綱引きに本気だ、主導権を握りたいのだろう」

 

「何か、ソレと判る命令書や指示書はないか?憲兵隊も大枠では陸自だ、憲兵総監から一本入れられるかも知れない」

 

「……そのつもりがあるのなら、我々にこんな命令は下りて来ない、憲兵隊長は知らないのか?その憲兵総監が今何をしているのかを」

 

「それはどういう?」

 

助け船を出した隊長が陸自の士官に問い直すのを聞いてこちらから口を挟んだ

 

「さて、これ以上はそちらの話になるでしょう、鎮守府の執務室で話す内容ではありません、お引き取りを」

 

こちらの言い分に特に反論もない様子の二人

 

「……そうだな」

 

「……尤もだ、これで失礼する」

 

そう言って自衛官達は執務室を後にした

 

 

 

鎮守府-第二食堂

???:???(権兵衛さん)

鎮守府:司令官

大本営所属艦:一組の初期艦二

鎮守府所属艦:給糧艦二/補給艦二

鎮守府所属艦:駆逐艦(少々)

 

 

第二食堂に戻ってみたら、一つのテーブルに多量の甘味が並べられているのが見えた

 

そこに座って甘味を楽しんでいるモノ、遠くから見る限り艦娘の大型艦と差したる違いはない様に見えた

 

ただ、決定的にソノモノが纏う何かが違った、言葉に出来ない何かが

 

「……我等との交渉より優先される事案があるとは、驚きだぞ、鎮守府司令官」

 

甘味を楽しんでいるモノがこちらを見つけて不機嫌を口調に乗せて言ってきた

 

「そういう割には、甘味を堪能している様に見えるが?」

 

「仕方あるまい、協議の中で羊羹とやらの事を話したら興味を持つモノが多く居たのだ、実物が無いとはいえ類似品は多くある、余剰の時間を有効に活用したまでだ」

 

「……その連れてる妖精は?」

 

先程まで連れていなかったと思う、見落とした可能性を思い聞いてみる

 

「交渉内容を協議した訳だが、如何も我が鎮守府司令官に丸め込まれた、と疑われている、そうでは無い事を知らしめねば成らん、幾つかの我等を妖精と同調させた」

 

「アバターとかエイリアス、という事か」

 

「それが何を指すのか、我等の知識に無いが、鎮守府司令官がそう判断するのであれば、間違いでは無いだろう」

 

「分身とか依代とか、分御霊、そんな意味合いだ、本来の用語としての意味では無いが」

 

「我等はこういった妖精の活用を影と呼称している」

 

「影ね、影分身という言い方はあるから、そういう事なんだろう」

 

「それはそうと、幾つかの我等から指摘を受けた、人は睡眠という状態を定期的に繰り返さねばならないそうだな」

 

「……それが?」

 

唐突なこれまでの話となんの繋がりがあるのか分からない事を言い出す権兵衛さん

 

「それが?ではない、指摘に拠ればこの状態の繰り返しは人にとって酷く重要だとされている、これが阻害されると判断の誤り、状況把握の混乱、凡ゆる認識力の低下、正常な判断に必要な要素が尽く失われるとされている、事実か?」

 

「正確さを欠くが、誤りではない、だが、それがどうした?」

 

「なるほど、鎮守府司令官が我等との交渉に難色を示す要因に成り得るのか、いや、コレは盲点であった、我等と人との違いが交渉に影響しているとは考えなかった、お互い多数を束ねる位置に着くモノ、その観点のみで交渉が妥結出来ると考えていた」

 

「そういう話の運びには、思われなかったが」

 

そう言ったら権兵衛さんが大袈裟とも思える程に驚いた様子を見せた

 

「!なんと、そうなのか、鎮守府司令官の利益とは束ねる艦娘に対しての利益だと考えていたが、違うのか」

 

「権兵衛さんが艦娘の利益?んー?力の及ぶ限りこちらの要求を履行する事が、艦娘の利益?駄目だ、繋がらない、参考までに解説してくれない?」

 

「鎮守府司令官の職務は艦娘の運用であり、鎮守府の運営だ、これに必要なのはそこに所属する艦娘と消費可能な資材、但しこれは旧来の事、今は変更が加えられ鎮守府には海域保全という名目で深海棲艦の排除が盛り込まれた

ここで必要になるのが資材の蓄積と消費量の大きい艦娘の運用だ、この必要を我等に求めるのなら、資材の蓄積も資材量の大きい艦娘の運用も不要に出来る、コレは鎮守府司令官には利益ではないのか?」

 

権兵衛さんはとても素直に解説してくれた、一体どんな思惑があるのか見当も付かない

兎も角、聞かれた事には答えが必要だろう

 

「……それ、可能なの?理屈は解るが、実現性に疑問があるんだが」

 

コレにも大袈裟とも思える程に驚く権兵衛さん

 

「なんと!!これは驚きだ、この程度の実現性に疑問を持たれているとは、これでは交渉の前提条件が整っていないと指摘した鎮守府司令官の言い分が正確ではないか、なるほど、これでは交渉以前の問題を解消せねば、交渉に成らん、我等の協議を呼びかけたのも納得だ」

 

「……権兵衛さん?もしかして妖精と同調してる我等の方々、権兵衛さんで喋ってる?同調していても見聞き出来るだけで、話せない?」

 

「権兵衛と呼ぶな、その呼称は変更を求めただろう」

 

「……名乗れと言っているんだが?それが嫌なら諦めてもらう他ない」

 

そう言ったら権兵衛さんは少しだけ俯いた

 

「鎮守府司令官の指摘は正しい、影は会話出来ない、我等は同調しているのであって乗っ取っているのでは無いのだ、それと、この交渉が妥結した後に、この鎮守府の妖精達は我等より切り離す、我等の情報源にされるからな」

 

「切り離す?とは、放置とはどう違う?」

 

「我等が切り離せば、妖精は再び我等と繋がる事は叶わない、何を以ってしてもだ」

 

「妖精の生態とか知らないんだけど、それは妖精にどんな影響があるんだ?」

 

「影響は大きい、範囲と規模が大き過ぎて、鎮守府司令官に、人に説明しても理解が及ぶ事は無い、依って時間の無駄となる事が明らかだ」

 

断言する権兵衛さん、しかしこれは困った、言っている事にこちらの理解が追いつかない

そこに横から口を挟んで来るモノがいた

 

「……簡単に言えば存在を固定される、今の所妖精は艦娘と深海棲艦、何方にも着く事が出来る、権兵衛さんが切り離す事で艦娘にしか着けなくなる、人の側に強制的に立たされる、選択の余地は既に無い」

 

一組の漣からだ、今の話を理解している様子だ

 

「初期艦か、最初の初期艦では無い様だが、よく知っているな」

 

その漣に視線だけ向けて感心した様子を見せる権兵衛さん

 

「その辺りを知っているのは、最初の初期艦だけじゃない、尤も全ての初期艦が知っている訳でも無いけどね」

 

「鋳物も初めの内は良いモノが出来る、鋳型は使えば使う程劣化する、そうなる前に造られた初期艦か」

 

「権兵衛さんは如何なの?造り方は殆ど同じでしょう?劣化しないの?」

 

「……鋳型を新たに創れば良い、劣化を起こす前にな」

 

「それって、凄いリソースが必要な事でしょう、そんなにリソースを割いてるの?」

 

「……」

 

権兵衛さんが何かに気が付いた様に黙り込んだ

 

「如何したの?」

 

黙り込んでしまった権兵衛さんを漣が不思議そうに見つめる

 

「初期艦に乗せられていると、指摘された、我等の情報を引き出されていると」

 

「情報源を絶つ為に妖精を切り離すのに、その前に権兵衛さんが情報を出したら、切り離す意味が薄くなるものね」

 

さもありなんと言わんばかりの漣

 

「……それが狙いか、切り離す意味を薄めて、我等に妖精を切り離す意義を失わせ、情報源としてあり続けさせる、鎮守府司令官にはその方が利益になると初期艦は判断したのか」

 

乗せられているという指摘が的を射ていたと確信出来た権兵衛さんが苦々しく言う

 

「よく出来ました、如何やら論理的思考に問題は無いみたい、司令官、暫く休んでください、権兵衛さんの相手は漣がしておきますから」

 

どういうつもりかニコニコ顔の漣

 

「電もいるのです」

 

口数の少ない電も漣に同意を示した

 

「休めっていわれても」

 

一組の二人はそう言うが、こんな状況で休めって、私はそんなに太い神経をしていると思われているのだろうか

 

「権兵衛さんも人の睡眠の重要性について理解を示しました、このまま司令官の疲労を無視して交渉を続けるより、休んでもらう事に異論はないでしょう」

 

「疲労?疲労とはなんだ?」

 

ホントに疑問符を頭に浮かべそうな感じで聞いて来る権兵衛さん

 

「コレですよ、こういう話の齟齬を解消する為の話が必要です、そこを私達が引き受けましょう」

 

如何やらここでゴネても仕方ない流れだ、ここは逆らわず流れに乗ろう、このまま通しで交渉する訳にも行かないのも確かだ

 

その前に確認しなければならない事がある、コレに確信が持てなければ無理を押してでも交渉に臨まなければならない

 

「……お前達、権兵衛さんが連れてる妖精、幾つ見える?」

 

「頭に二つ、両肩に四つ、胸元に三つ、後は移動したり隠れたりしてるのが九つ」

 

躊躇いも戸惑いもなくスラスラ言う漣、話を買って出るだけの事はある

 

「わかった、権兵衛さんに異論が無ければ、休ませてもらうが、どうする?」

 

「……齟齬の解消には時間が必要だ、その時間の全てを鎮守府司令官に賄ってもらうのは、人である限り現実的ではない、それは理解する、しかし……」

 

「しかし、なに?」

 

言い淀む権兵衛さんに少なくない不安を覚えつつ聞いてみた

 

「鎮守府司令官不在でも、この食堂とやらの注文は出来るのか?」

 

「……気に入ってもらえた様で何よりだ」

 

覚えた不安は杞憂だった様だ

 

 

 

鎮守府-港

鎮守府所属艦:天龍/夕張/大淀

 

 

桟橋の上から覗き込む天龍、その視線の先に係留されている艦娘が二隻

 

「よう、調子はどうだい?」

 

声を掛けられてた二隻は空の高さを見つめていた視線を声の主に向けた

 

「……最悪」

「……」

 

声で応じたのは夕張だけ、大淀はなんとも言い難い顔をしている

 

「皐月達が資材を持ち帰ってくれた、お陰でお前達の修復に許可が下りた、後で礼を言っとけよ」

 

「そうする、このまま海産物扱いなんて御免だし」

 

視線を天龍から外しながら言う夕張

 

「入渠出来ないからって、係留されるとは、思っていませんでした」

 

こちらも天龍から視線を外し再び空の高さを見つめ始めた大淀

 

「この方が身体への負担が少ないんだ、艤装を外す必要も無いし、浮力で余計な加重は相殺されるし、大破してるから艤装への海水進入なんて気にするだけ無駄だしな」

 

「入渠で分解修復確定だしね、多少の浸水なんて確かに今更だ」

 

口調に投げやり感のある夕張

 

「……いきなり大破なんて、然も演習で大破、司令官に呆れられてしまう」

 

一方の大淀は他人事の様に感想を述べた

 

「まあ、単独大破じゃないし、呆れるって事はない、と思うぞ」

 

「それを言うなら、この練度差で、引き分けに持ち込まれた私の立場は?」

 

夕張の口調に明確に不快感が乗った、それを聞いた大淀が慌てた様に言葉を継ぐ

 

「本当に御免なさい!あんな戦い方があるなんて思っても見なかったので、兵装を装備してない夕張に手持ちの弾薬を殆ど使ってしまいました、丸腰の相手に主砲を撃つなんて、幾ら何でもやり過ぎました」

 

「……そういう事じゃ、ないんだけど」

 

大淀の様子に毒気を抜かれたのか、戸惑っている夕張

 

「しかし、アレ、夕張がやって見せた搬送用機材の兵装用法、話は知ってたが、実際やってるのを見たのは初めてだ、割と使えそうだな」

 

「そりゃどうも、参考になれてウレシイわ」

 

投げやりな感じに戻ってしまった

 

「なんだよ、拗ねてんのか?大淀の主砲は大和の副砲と同様の三連装砲、軽巡でこれに初見で対処出来たんだ、然も兵装も持たずにだ、練度の高さは証明されたと、オレは思うが?」

 

「実戦なら、沈んでる、それが全て、練度の高さなんて生き残る保証にならない」

「……」

「……」

 

感情を乗せず吐き捨てる様に言う夕張に掛けられる言葉を天龍も大淀も持ち合わせていなかった

 

 

 

鎮守府-執務室

鎮守府所属艦:天龍

大本営所属艦:高雄/愛宕

 

 

報告書を執務室まで提出しに行き、港での夕張達の話をした

 

「そう、夕張がそんな事を」

 

「オレは大本営で建造されたから、あの海戦の事は資料でしか知らない、大淀もこの鎮守府での建造艦、何も言えなかった、出来たら、あんたらから、フォローしてくれないか」

 

「……私達が生き残ったのは、偶然でしかない、参加艦娘の半数以上が、未帰還、長良達の様な帰還者が、他にもいるのか、いないのか、それさえも私達にはわからない、あの海戦は誰にとっても、苦すぎる」

 

司令部の二人は天龍の期待には応えてくれそうになかった、それだけあの海戦は参加した艦娘に取って重過ぎるのだろう

 

「まあ、ここで苦労自慢をしても始まらない、この鎮守府に着任してあの司令官が進む道を楽しみにするのも、悪くないと、オレは思うぜ」

 

努めて軽く言った、重過ぎる過去に沈まない様に

 

「……そうね、あの提督なら、そう、思える、あの包囲網を前にしても、全く振れなかった、民間上がりの素人司令官だと、聞いていたのに、そうは見えない」

 

「それだけ、所属艦娘へ信頼を寄せている、という事でしょうか」

 

「いや、単なる痩せ我慢ってヤツだろ、逃げ出したくても、部下を置いていけない、一人で逃げ出す度胸も無いって事かも知れないぞ?」

 

言いながらも、もしそうであったなら、ここの艦娘達はあんな苦労を負ってない事も分かっていた

 

「提督の評価は色々と耳にします、どれを選ぶか、迷ってますよ」

 

「私達の修復は、何時になるのかな」

 

司令部の二人は重過ぎる空気を纏ってはいなかった

 

 

 

鎮守府-工廠

鎮守府所属艦:秋津洲

大本営所属艦:那智

 

 

帰還した艦娘達への対応を明石に相談しようと工廠内を歩く秋津洲

その秋津洲に背後から声が掛けられた

 

「秋津洲、明石は何処だ?」

 

「那智?如何したかも?」

 

「出撃した艦娘達の修復計画の立案を命じられた、現状で何処まで確認出来ているのか、聞きに来た」

 

「これがその資料かも」

 

明石に相談する資料として作成した帰還艦娘達の現状を纏めた作り終えたばかりの資料だ

 

「……ほう、こういうリストを作っているのか、これは助かる」

 

その資料を手にした那智は一通り目を通してから感心した様に言った

 

「計画を立てる程では無いかも」

 

助かると言われるのは良い事なのだろう

それはそれとして明石に相談したい秋津洲は資料を返して欲しいと思った

 

「……そうだな、小破以上の損傷艦はいないのか、あの包囲網を相手にしてこの程度で済ませてしまうとは、この鎮守府の所属艦娘は素晴らしい、司令官の薫陶の賜物だろう、見て繰ればかりの上辺だけを取り繕う司令官では無いという事だ、あの司令官は」

 

「……それで、どうするかも?」

 

自身で渡した手前、資料を返してくれそうな気配が無い那智への対処に困った

 

「資材管理室に行って天龍に必要資材を出す様に交渉せねばなるまい、そこが纏まらなければ計画を立てる意味が無い、実行不能の計画を立案して司令官に無能と評されたくはないからな」

 

そういうと資料を持ったまま那智は資材管理室に行ってしまった

 

 

 

鎮守府-資材管理室

大本営所属艦:摩耶/那智

 

 

那智が秋津洲から渡された資料を元に必要資材を摩耶に要求している

 

「あー、言いたい事は分かるが、資材なら出せないぞ」

 

しかし資材管理室に居た艦娘、摩耶は拒否してきた

 

「遠征隊が資材を持ち帰った筈だが?」

 

ハイそうですかと簡単には引き退がらない那智

 

「あれな、あれはもう使った、残ってない」

 

しかし摩耶になんでも無い様に軽く返されてしまった

 

「……なに?何処に使ったのだ?」

 

「何でも演習で大破したとかで軽巡二隻を修復して、出撃した奴らに補給して、それで終わりだ」

 

「……数量が合わない、様だが?」

 

聞き及んだ資材搬入量と纏められた資料上の必要資材を大雑把に計算してみるが、如何計算しても合いそうに無い

 

「ああ、それな、そこに突っ込み入れたかったら、アレを読み込んでからにしてくれ、説明出来る程こっちも理解出来てないんだ、ワルイな」

 

アレというのは天龍が出してきた分厚い資料、摩耶が頭を抱えながらもなんとか読むだけは読んだ資材管理室備え付けの資料だ

 

「……随分な、厚みの資料だな、アレを読み込んだのか?」

 

「読んだだけだ、訳分からんが、ここにいる以上は何とかしないとな」

 

「簡潔に、言う事は出来るか、あの資料の内容を」

 

「……難しいな、けど、アレだ、使用時と搬送時に差し引きしろって事らしい、なんでかは分からん」

 

「差し引き?数量を変えろという事か?」

 

「その変えるタイミングがマチマチなんだよ、状況に拠り蹴りって事なんだが、想定してる状況が多過ぎる、条件付けも多岐に渡る、何だってこんな運用をしてるのか、訳分からん」

 

あんまりな摩耶の説明に那智もこれ以上粘っても必要資材の搬出は無理そうだと感じた

 

「数量も私が知っている数量とは、違う様だ、如何なっているのだ、この鎮守府は」

 

つい愚痴がでた那智

 

「あたしに聞くな」

 

摩耶の返答は素っ気なかった

 

 

 

鎮守府-執務室

大本営所属艦:高雄/愛宕/那智

 

 

秋津洲が作成した資料に必要資材を書き足して資材管理室での顛末とともに執務室に報告した那智

 

「立案はしたが、実行出来ない?如何言う事ですか」

 

高雄が聞いて来る

 

「資材管理室から資材の拠出を拒否された、資材在庫量自体は予定数量分はある、おそらく、補給は終えているのだから当面の問題は無いと、判断しているのではないか」

 

執務室に到着するまでに任務と現状をどう整合させるのか、この点について那智は結論を出していた

 

「確かに、小破未満の損傷ですし、取り敢えずそのままというのは、解らなくはないですが、修復計画の立案は提督の指示です」

 

「立案は確かに指示された、実行までは指示されていない」

 

「そうでした、実行プランの提出をと、指示されていました、では、この計画書はお預かりします」

 

「しかし、これで良いのか、不安があるな」

 

「実行プランが出来ていれば色々と応用も利くでしょう、問題はないと思います」

 

不安気な那智に高雄が気休めで応じた

 

 

 

鎮守府-第二食堂

大本営所属艦:三隈

桜智鎮守府所属艦:白露/村雨/夕立/五月雨/涼風

 

 

三隈に連れられた駆逐艦達、利根は筑摩を捕まえて何処かに行ってしまった

 

「へー、この鎮守府、艦娘専用の食堂なんてあるんだ、ここの利用は、如何すれば良いの?利用カードとか、貰ってないけど」

 

「こちらの食堂はそういう手続きは要らないそうです、食堂を運営している給糧艦の方々がチェックするそうなので」

 

食堂に興味津々な様子の白露に応じる三隈

 

「給糧艦?」

 

「食料や生活物資の輸送と提供を受け持つ艦娘だそうです、実艦でも給糧艦という艦種はありましたよ、ご存知ないですか?」

 

「給糧艦って、間宮?!あの間宮!?」

 

「伊良湖さんもいらっしゃいますよ」

 

「おお、なんて所だ、この鎮守府は、ウチに戻りたくなくなったんだけど」

 

間宮と聞いた白露の言い分に顔を顰める者がいた

 

「……白露?そういう事は思っても口にしたらいけないと、思いませんか?」

 

村雨としても白露の言い分は分かる、分かるがそれは言いっこ無しが暗黙の了解

その問題は鎮守府の移転と共に発生し、司令官が解決を図っている最中の課題、それを言っても司令官を困らせるだけだと所属艦娘全員が承知している懸案事項だ

 

「村雨は堅いっぽい、司令官だって、給糧艦間宮と聞けばウチにも寄越せ、くらい言うっぽい」

 

「確かに、一番愚痴ってるのは司令官だしな、移転先の鎮守府に食堂が無いとか、大本営は何を考えてあの鎮守府に引っ越させたんだか」

 

「……でも、この鎮守府にだけ、なんで給糧艦が配置されているんですか?」

 

夕立、涼風、五月雨、三人とも村雨の言い分には同調しなかった模様

 

「さあ、そこまではわかりません、兎に角、食事はこちらの食堂で出来ますので、変に断食なんてしないでくださいね、他所の鎮守府の駆逐艦達を預かっておいて飢えさせた、なんて、司令官の品格とか人格とか、諸々に関わります、何よりこの三隈がお世話を言付かっています、桜智司令官の元に帰る時には、ふっくらと、して頂きますよ?」

 

ニッコリ笑顔でいう三隈

 

「……ふっくら?」

 

「ふっくら、とは?」

 

「っぽい?」

 

「肥えさせようってのかい?」

 

「えっと、五月雨は少食なので、お手柔らかに……」

 

その笑顔に何を感じたのか、五隻五様の様子を見せた

 

 

 

鎮守府-憲兵隊詰所

鎮守府:司令官

自衛隊_憲兵隊:憲兵

 

 

一組の二人に休めと言われた司令官、権兵衛さんもそれに同意し、時間が出来た司令官は憲兵隊詰所に向かった

 

「失礼します、隊長は戻られてますか?」

 

「……鎮守府司令官か、隊長なら、外の陸自と話があるとかで鎮守府から出ている、用件を伝えるから、言ってくれ」

 

詰所に居た憲兵が応じた

 

「あ、いや、如何しようか」

 

「……問題が起こったのか?」

 

「起こったというか、継続中というか、取り敢えず食料等の搬入状況を知りたい、教えて貰えないだろうか」

 

「それは憲兵隊では無く施設管理室にきいてくれ、物品の搬入は向こうの担当だ」

 

素っ気ない憲兵

 

「……その搬入を陸自が止めていて、憲兵隊長と何か話し合っていたんだが、それでも、施設管理室に聞けと?」

 

「そうだ、そこまで人員を割けないと言った筈だ」

 

憲兵隊にも事情はあるのは分かる、しかし同様に鎮守府にも事情はある

そこを汲む気が無いと言うのなら、相応に対処するしかない

 

「わかりました、そちらの事情には関心は無いが、鎮守府運営に障害となるなら、相応に対処する事になる、お忘れなく、そう規定されている事を」

 

「……鎮守府への協力条項なら、忘れていない、無用な詮索は時間の無駄だぞ」

 

 

 

鎮守府-廊下

鎮守府:司令官/叢雲(旧名)

鎮守府所属艦:大和

 

 

食堂を出てからも精力的に動き回る司令官に同行している叢雲(旧名)と大和

 

「休むんじゃないの?折角一組が時間を作ってくれたのに」

 

痺れを切らせたのか叢雲(旧名)が聞いた

 

「権兵衛さんに釜けて鎮守府の方に手が回ってない、出来るだけは、やっておかないと」

 

「そうはいっても、ここの所マトモに寝てもいないんでしょう?無理し過ぎじゃない?」

 

「慣れたよ、数分ウトウトするだけでも大分違うしな、お前は大丈夫なのか?艦娘から人になって勝手が違うだろう、倒れられても敵わないから、良く寝てくれよ?鎮守府の方はなんとでもなるから」

 

コレを聞いた叢雲(旧名)が呆れつつも会話を続ける

 

「すごい自信ね、あの包囲網の数でも何とでもなるって、何か手があるのなら聞いておきたいんだけど?」

 

「あるわけない、あの数にウチで何をした所で、如何にもならない」

 

「言ってる事がバラバラなんだけど、何を言ってるのか解ってる?」

 

権兵衛さんの指摘した様に疲労で思考が鈍っているのかと心配になる

 

「解ってるよ、ただ、何とかしなきゃならんのは確かなんだ、人になった叢雲を鎮守府に閉じ込めたままで終わらせる訳には行かない、叢雲には、鎮守府を外から見せたい、こんな所で終わらせたくない、それに、出来るのなら、ウチの所属艦娘達で旅行とかしてみたいしな」

 

あまりに現状から掛け離れた事を言い出した司令官に戸惑いを覚えながらも会話を途切らせない様に話題をその方向へ修正する

 

「……こんな時に、何を考えてるの、旅行って、艦娘は人の社会に無闇に出られない、周囲に艦娘だと気付かれたら、厄介事になりかねない、何の為に外出許可なんて制度があると思ってるの」

 

「そういうのはさ、今だけにしたいんだ、何れは失くせないかと、目論んではいるんだけどな、目の前の現実ってヤツは、少しも妥協してくれない、よっぽど嫌われてるんだな」

 

「妥協しないと、嫌われていると、判断されるんですか?そういう基準は知らないのですが」

 

不思議そうに大和が聞いてきた、それを受けて大和に少し視線を向けた後司令官が続けた

 

「な、こういうのを、旅館に泊めて女将さん辺りと差しで話させると、興味深い事になりそうじゃないか」

 

そういわれた大和は意図が分からなかった様で反応に困っている

 

それを見ていた叢雲(旧名)は溜息から始まる対話を重ねた

 

「はぁ、そういうのを、人が悪いっていうの、接客業を生業として、経営者でもある社会的立場の人と、一介の艦娘、歯が立つ訳ないでしょう?如何いう想定をしても女将さんが話して大和が聞き入る状況にしかならない、語り部の話を聞き入る以外のどんな状況を期待してるの?」

 

「論理と話術、相手に自分の要求を飲ませるのは、どちらかな」

 

叢雲(旧名)には思いがけない台詞が返ってきた

 

 

 

鎮守府-第二食堂

???:???(権兵衛さん)

大本営所属艦:一組の初期艦二

大本営所属艦:三隈/その他少々(移籍組)

桜智鎮守府所属艦:駆逐艦五

鎮守府所属艦:駆逐艦数隻

 

 

一組の二人と話を続けている権兵衛さん

 

「……先程から、我の周りを回っている駆逐艦は何なのだ?」

 

先程まで食堂の一角を占めていた数から今は三隻にまで減り、テーブル席一つで済んでいる

その周りを通り過ぎるでもなく、近付いては離れていく艦娘がそれなりにいる事を指摘する権兵衛さん

 

「司令官と話してから、あの子達も話したいんだよ、話し掛けようとはしてるんだけどね、伊座となると、やっぱり怖いみたいだ」

 

一組の漣はそう言いながら周囲を見渡す

 

「怖い?まあ、本来ならこの様な距離で我を見る事はない、駆逐艦程度では視界に入れる事さえ叶わない事だろう」

 

「わたしも駆逐艦なんだけど」

 

「初期艦であろう、なれば話は別だ」

 

「左様で、でもよく食べるね、そんなにお腹空いてたの?」

 

相変わらず満漢全席の様相を湛えているテーブル上に漣も少しだけ呆れ気味

 

「摂取量が多いか?何か問題があるのか?」

 

「問題というか、感心してる、伊達に戦艦種じゃないなーって」

 

「……我は戦艦種ではない」

 

「!そうなの?!じゃあ何?」

 

司令官は指揮艦と言っていた、深海棲艦の上位種だろう事は推定出来る

然し上位種といっても他の個体を指揮下に置く場合があるという特性しかわかっていない

 

「艦娘の様な艦種という枠組みには入らない、種族だ」

 

「種族、種族ねぇ、じゃあ何種の何族なの?」

 

「希少種貴族、とでもなるのか?我にもその辺りは曖昧だ」

 

「なんか、イマイチな感じ?戦艦種の方が良くない?」

 

曖昧と言う権兵衛さん、漣としては如何にかして艦娘の尺度に変換出来ないかを試みる

 

「そんなに我を戦艦種にしたいのか?初期艦に利益となるとも思われないが」

 

「んー、そういわれると、あの艤装は確かに戦艦種の艤装じゃないし、兵装だけ見て戦艦種ってのも変か」

 

利益は置くとしても、権兵衛さんを艦娘の尺度に当嵌めるのは無理がある気もする漣

 

「……我が出て来た所を見ていたのか」

 

「妖精さん越しだけどね、あの時司令官から自室待機って言われてたから」

 

「あの時、我は艦娘を感知したが初期艦は感知しなかった、そういうの事情があったのか、やはり、あの鎮守府司令官を我等に迎えた方が都合が良い様に思われるな」

 

「えっ?初期艦を感知しなかった?居た筈だけど?」

 

単純に疑問に感じた、それをそのまま口にした

 

「……イミテーションの事を言っているのか?」

 

「イミテーション?」

 

「コピーと言った方が通じるのだったか?」

 

なんの話を始めたのかと思ったら、そういう事ですか、最初の初期艦が知っている事を知っている、そう言っていた権兵衛さんの言い分は確かな様だ

 

「あー、何と無く言いたい事は、読めたけど、一号の、最初の初期艦も居た筈なんだけど?」

 

「なんと?そういえばイミテーションと共に我の前に出て来たのだった、あの初期艦達は、ん?如何いう事だ?我が感知しなかったのは、何故だ?」

 

不思議そうに聞かれてしまった

 

「いや、こっちに聞かれても、積んでる電探の不具合とか?」

 

「艦娘の装備ではないぞ、不具合など皆無だ、常に万全に機能する、元から付与されていない機能は如何しようも無いがな」

 

「……でも、感知しなかったんでしょ?」

 

「……しなかった、何故だ?」

 

腑に落ちない、理屈に合わないといった感じに考え込んでしまう権兵衛さん

 

「知らんがな、あー、だからってここで艤装を展開して様子見とか、しないでよ?権兵衛さんの艤装は大き過ぎるんだから」

 

「我をなんだと思っているのか、その程度の事は理解している、現状で、鎮守府司令官の不興を買っても我等に利はないのだ」

 

「ふーん、よっぽど交渉を纏めたいんだ、正直、権兵衛さん達がそういう行動に出るのは、想定してなかったな、何でも力尽くで押し通すモノとばかり考えてた」

 

「我等は静かに在りたいのだ、全てに力尽くで対応していては静かに在る事なぞ、望み様が無い、我等は学び、学習した、静かに在る為には如何すれば良いかを」

 

「それって、聞いても良い?」

 

権兵衛さん達が学び、学習したと言う内容は今回の交渉だけでなく今後の対応を考える上でも重要な部分になる筈だ

そう考える漣は聞けるものなら聞いてみたいと好奇心から聞いてみた

 

「我等は力を振るう事は造られた時から知っている、知っている事を知っている様に行動に反映させて来た、しかし、それでは永遠に力を振るい続けなければならない、力を振るうにはリソースが必要だ、そのリソースを確保する事は怠れない、そうして力を振るい続ける事が出来る

これに疑問を持った、力を振るう為にリソースを割き、それを費やして力を振るう、力を振るわずとも済むと、仮定したなら、リソースを確保せずに済むのでは無いか?

現に多くのモノ達、艦娘が深海棲艦と呼称するあのモノ達はそのリソースを確保をしていない、それでも存在出来る、ただ眠っているだけではあるが、確かにそこに在るのだ、あのモノ達は

これに気付いた刻、我等は動揺した、それまで何の疑問も無く、リソースを確保して来た、その為に凡ゆるモノを惜しみなく費やした、あのモノ達と、我等と、何方が賢く在るのか、どんなに協議を重ねても、我等の優位性は確固足るモノに届かなかった

そんな時期に、あの醜いモノを見てしまった、我等は一致して、嫌悪した、拒絶した、その結果、学ばねばならなかった、学習し、習得しなければならなかった、力を振るう以外の行動を、我等の在り様を現実のモノとする為に」

こんな長台詞が返ってくるとは、漣は権兵衛さん達がこの交渉に賭けるモノを過小に評価していた様だ

 

「それが、この交渉なの?悪いんだけど、話が跳び過ぎてて繋がらない、原因と結果が短絡してない?経過を如何するかが、緩いというか甘くない?」

 

然し、それはそれとして権兵衛さん達の意気込みは兎も角、現実化する為の手段としては余りにも杜撰だと判定しなくてはならない

最初の初期艦と同じ様に知っているのなら、こうはならない筈だ

この違いがどこから来るのか、漣にはわからない

 

「言われずとも、解っている、鎮守府司令官の指摘通り我等は交渉の前提条件すら満たせていない、我等は我等成りに情報を集め、事象の整合を図り、万全の体勢で交渉に臨んだ、ハズだった

それが、こんな事に為ろうとは、鎮守府司令官の指摘通り、生後数年という経験、見識、他にも様々な不足を露呈してしまった

こんな事は聞くべきではないと、解ってはいるのだが、敢えて聞きたい、鎮守府司令官が我等に呆れて交渉を取り止める様な事態はあり得るか?」

 

この時の権兵衛さんは少しだけ寂しそうに見えた

 

「……それをさせない為に、あの包囲網を構築したんでしょ?」

 

「それも鎮守府司令官には知られているのか?」

 

「あのさ、権兵衛さんは交渉相手に選んだ司令官を何だと思ってるの?」

 

「……そうか、知られているのか、ならば、強行策の実行も考慮しなければならないな」

 

そう言うとテーブル上に並んだ甘味に手を伸ばした

 

 

 

鎮守府-工廠(第三工廠)集中管理室_別室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:明石/鳳翔

 

 

憲兵隊詰所を出てからも精力的に動き回る司令官、未だ解析結果の提出が無い明石を訪ねている

 

「解析に大分かかっている様だが、何を見つけた?」

 

「……司令官、いいえ、何も」

こちらを見ても口数の少ない明石、何やら面倒な事態になっている事は察した

 

「そうか、一応知らせておこうと思ってな、イタズラの主犯達を捕まえられたんで、直接聞いた所、普通に修復しただけだと言ってる、不都合は起きない筈だとな、で、鳳翔の意見は?」

 

何故か同席している鳳翔に話を振る、明石に問いかけると追い詰めてしまいそうな雰囲気なので今は居てくれて助かった

 

「今の所不具合も不都合もありません、寧ろ艦載機の仕様が初期状態より良くなっています」

 

鳳翔の回答で面倒な事態の中身を推定出来た、間違いでは無い事を明石に聞いてみる

 

「なるほど、時間が掛かっているのはそれでか、誰が艦載機を載せ替えたのかを明石は気にしている訳だな」

 

「そうです、修復ログを幾ら調べ直しても艦載機は初期状態の筈なんです、何者のどんな意図が介入して、この結果を齎したのか、さっぱり見当も付きません」

 

隠す気も無かっただろうが、言い難いことではあった事案を指摘されたからか、明石の口が回り始めた

 

「もし、修復ではなかったら?改装だとしたら整合性は取れないか?」

 

何時もの雰囲気に戻った明石、これなら変に引き摺る事もないだろうと当たりが付いたから本題を出す

明石を訪ねたのはコレを確認してもらう必要があるからだ

 

「改装?イヤイヤ、修復と改装は別の工程です、ログが修復となっていますし、私だって修復を実行しています、これで改装だったなんて事は……」

 

全否定で始まった明石の台詞は後半になるにつれて、否定調が萎んで行き、疑問に変わっていく様子が見て取れた

 

「確認して見てくれないか、確か、大本営にその辺りの資料があったと思うから、ここからなら大本営のデータベースを見れるだろう」

 

「その大本営のデータベースが停まっていて確認出来ないんです」

 

それで困ってますと言いたそうな明石

 

「復帰したと、聞いたが?ここから見るとまだ停まっているのか?」

 

「え?!ちょっと見て見ます」

 

明石はこちらの指摘を受け、早速端末に向った

 

「……司令官?何時それを?」

 

鳳翔から強い疑問調で問われてしまった

 

「鳳翔は心配性の様だ、細かい事は気にしても仕方ない、気持ち悪いのなら、私の指揮下には居辛いだろう、無理する事は無い、移籍組の最終的な所属は本人が決める事だ」

鳳翔にそう言ったら寄せていた眉を下げてくれた

 

「……そういう事を言っているのではありません、司令官こそ、ご無理をなさらない様に、人は艦娘よりも格段に脆いのです、司令官に何かあれば、指揮下に居る艦娘は路頭に迷います、艦娘は司令官と共に在る事を望んでいるのですから」

 

「……らしいな、権兵衛さんもそんな事を言ってた、ただの習性かと、思ってたんだけどな、そう造られている、そういう行動制限があるらしい、艦娘には」

 

「権兵衛さんとは?」

単純で尤も過ぎる疑問が来た

 

「鳳翔は正面に立っただろう、第二工廠から出て来た権兵衛さん」

 

「あのモノ、そんな名なのですか?」

 

余程想定外だったらしい事は表情から察した

 

「名乗らないからそう呼んでる」

 

訂正ではないが、状況は説明しておいた

 

「成る程、それなら権兵衛さんですね」

 

「司令官、今大本営のデータベースで確認しましたが、改装だとしても、装備が合わないですね、ただ、祥鳳のスペック自体は改装したと仮定すれば許容範囲内ですね」

 

「スペックが変わってる?修復で?」

 

つい聞いてしまった、瞬間明石の顔が曇った

 

「……そうなります、なにがどうなっているのやら、このログ自体がオカシイのか、工廠の設備に問題があるのか、こちらの想定外の工程を実行した事に、成ってしまいます、これでは第二工廠の使用自体を中断して原因を解明しないといけないですね、こんな想定外を頻発されたら工廠として機能しませんよ」

 

明石が表情を曇らせたのは一瞬だった、次の瞬間には何時もの雰囲気に戻っていた、状況分析から今後の対策が打てる事で自己フォロー出来たと見做して良いだろう

後は明石に確認が必要な事項を並べて実行してもらうだけだ

 

「解析自体は終わっているのか?」

 

「まだ祥鳳だけです、この後隼鷹と鳳翔と戻り次第龍驤の解析をしないと」

 

「龍驤か、通信が回復したとはいえ、こんな事情は伝えられんな、向こうで作戦行動中なんだし、かといって、リスクを取らせたままというのも不味い、どうしたものか」

 

「私が代わりましょう、一時的であれ代われば龍驤を鎮守府に戻せますし、事情も説明出来るでしょう」

 

鳳翔が代役を買って出た

 

「替わるのなら、隼鷹の方が良いでしょう、龍驤の任務は広範囲な偵察、探索行動です、搭載機数の少ない鳳翔ではその範囲が限られてしまう、それは護衛隊の行動範囲の制限に直結します」

 

「長良も修復済みの艦娘の名を聞いて龍驤を即答してたからな、搭載機数の数は考慮しなきゃいけないだろう、だが、現状では、搭載機数の前に運用の安全性を確認する必要がある訳だ、明石はそこに確信が持てない、そういう状況、という事で良いんだな」

 

「概ねその通りです」

 

状況確認は出来た、今後の作業工程の進め方を指示する

 

「調べモノが落ち着いたら解析を進めてくれ、結論を出すにも解析が済んでないと根拠が曖昧な事になりかねんし、明石の不安材料を押し仕切ってまで艦娘の運用を強行する程切迫詰まってはいないから、ソレをするのは出来るだけ避けたい」

 

念の為鳳翔へのフォローを入れる

 

「権兵衛さん、でしたか、向こうが強硬策に出て来たら、この鎮守府は瞬殺ですからね、彼我兵力差が十倍処ではありませんし」

 

代役を買って出た鳳翔には意見の否定になったが、こちらのフォローを受け入れてくれた様だ

 

「そういう事だ、鳳翔達には思う所はあるとは思うが、ここは大人しくしていてもらいたい、何を如何しても、戦力差はどうにもならんから」

 

そう言ったら鳳翔は少しだけ考える仕草を見せた

 

「……司令官は、このまま状況に任せる、おつもりなのですか」

 

「流れを作る、流れに乗る、流れに逆らう、今は何れの刻だと、思う?」

 

 

 

鎮守府-波止場

鎮守府所属艦:秋津洲/隼鷹

 

 

明石に頼まれて隼鷹を探している秋津洲は波止場で探し人を見つけた

腰を下ろし波音に聴き入っている様に見えた

 

「何を黄昏てるかも?」

 

「秋津洲か、どうした?」

 

「明石が探してる、解析を進めるんだって」

 

「……解析した所で任務に戻れる訳じゃないしな、どうやったら話が通るのやら」

 

「司令官は安全性の確認が取れない限り運用出来ないって、言ってるかも、今明石はソレを確認してるかも」

 

波音の方を見ていた隼鷹は漸く顔をこちらに向けた

 

「それは、分かってるんだけどな、単に装備変更されてるだけなんだ、ただ、その装備が艦載機なモンだから、他の艦娘の火砲やらと違って変更基準がな、艦載機だと、乗る妖精さんが違うから全取っ替えになる、明石はこの辺りを気にしてるんだろうとは、思うし、ソコも言い分としては解るんだ、だから、どうやって話を通すのか、判んなくなる」

 

「明石が言ってたかも、大本営のデータベースと照合した結果、実行されたのは修復じゃなくて、改装かも知れないって、だから、解析を進めて、どっちなのかハッキリさせたいって言ってたかも」

 

コレを聞いた隼鷹が疑問符を頭に浮かべそうな顔になった

 

「……改装?修復したんじゃ、ないのか?」

 

「司令官が改装の可能性を指摘したかも、それで明石が調べ直してる」

 

「つまり、なんかやらかしたのは、明石って、事?」

 

如何にかして事態の整合を試みている隼鷹

 

「司令官は妖精のイタズラだって、言ってたかも」

 

「なんだよ、それは、意味わからんぞ」

 

隼鷹は秋津洲の言い分に整合を試みるのを諦めた

 

「だから、隼鷹達は運用を取りやめて解析を、って司令官は指示してるかも」

 

「はぁ〜、兎に角解析してデータを揃えないと話にならないって事か、現状は明石でさえも把握出来ていないって事か?」

 

「……多分」

 

工作艦が工廠を仕切っているのに工廠内の作業工程が不明、実行した工作艦ですら把握出来ない

隼鷹には有り得ない状況にしか聞こえなかった

 

「変な鎮守府に着任しちまったな、工廠で修復と改装の区別も付かないとは、良いのか悪いのか」

 

「私は、結構楽しいかも、司令官は話が判るし、私の話もちゃんと聞いてくれる、何より、戦力としては大した事ない私をちゃんと運用してくれるし、大艇ちゃんの事も使い捨てにしたりしない、陸の上だけどお仕事も割り振ってもらってる、これ以上の待遇ってどんなのかも?」

 

「……それに加えて酒があれば、悪くはないのかもな」

 

工廠組は鎮守府所属艦で筆頭はあの明石、自身も鎮守府所属艦には違いない

然し隼鷹は自覚せざるを得なかった外様艦娘の感覚を未だ持ち続けていた

 

 

鎮守府-工廠(第三工廠)集中管理室_別室

鎮守府:司令官

鎮守府所属艦:明石

 

 

「秋津洲が隼鷹を見つけた様です、鳳翔の解析が終わり次第隼鷹の解析に掛かります」

 

「可能な限りの判定はやってくれ、判定できない所はそのままで良いから終わったら執務室に報告書を提出、運用をどうするかは、こっちで判断する」

 

「わかりました、でも、この大本営のデータベース、改めて調べ直すとなんか違和感が……」

 

見る人が見れば分かる事、それは分かるが今それを問題視されても困る

 

「あー、言いたい事はわかるつもりだ、変に突っ込まなくて良い」

 

その違和感は放置する様に誘導してみる

 

「?どういう事です」

 

明石からは疑問しか湧かない誘導だ、話をしないワケにもいかない

 

「前にもソレを感じた奴が居てな、意見書を出した事があるんだ、お陰で大本営の官僚達から目を付けられた、余計な詮索をする奴等だってな、全く自分等の怠慢を指摘されたとでも感じたのか知らんが、あんなのとは仲良く出来んわな」

 

「……奴等?司令官が出したんですか?」

 

こちらの誘導に乗ってくれた様だ、違和感を元にした疑問から大本営への対応に質問が変わった

 

「主謀者は桜智の奴だ、単独で出し難いから名前貸せってな、話を聞いたら尤もな事だったから、ウッカリ了承してしまった」

 

「このデータベースの信憑性について、意見書を出したと、なんて返って来たんですか?」

 

半歩戻ったと思ったら二歩ぐらい前進した、変に揺り戻さない様に誘導を続ける

 

「データの信頼性は大本営技術部が保証する、だった、でもな、大本営に技術部なんて無いんだ、それを知ったのはもう少し後だったけど、当時はそんなもんかで済ませていた

知らないって、怖いよな、コロッと騙されるし乗せられるし良い様に使われる、どんな結果も騙す側の思惑次第、大本営の思惑に艦娘部隊の方針はあんまり含まれてないんだよ、困った事に」

 

少しだけ考える様子を見せた明石

 

「……その話、いつか聞かせて下さい、取り敢えず、このデータベースは話半分で見ときます」

 

こちらが誘導した事情を汲んでくれた様だ

 

「丸っ切り虚構って訳でもないそうだ、所謂理論値とか、推定値とか、実測値が無いだけで」

 

「初期艦、ですか?大元のデータ提供は」

 

「多分な、そこしか提供元が無いだろうし」

 

「それって、大本営では艦娘についての見地を広めるとか深めるとか、しなかったって事ですか?」

 

別の疑問が出て来てしまった

 

「……そういうのは終わった後に、立ち上がったんだ、艦娘部隊ってのは」

 

「それは、話に聞く、収容所時代ってヤツですか」

 

「そうらしいが、そこは私も知らん、ウッカリ調べようとしたら、電話がかかって来たよ、情報部を名乗る低音を効かせた声のオッサンからな、明石もウッカリ調べようとしないでくれよ、まーた、かかって来たら敵わんからな」

 

「……それって、政府機関、ですか、艦娘部隊では無く?」

 

「だから、ウッカリ調べようとしないでくれよ?」

 

アレはホントに困るんだ

 

「そう言われましても、調べないと、今やってる解析に結論が出せませんが?」

 

「……情報の提供元がこの鎮守府にいる訳なんだが、それでは足りないと?」

 

気付いていないのか、別の問題があるのか、判断出来なかったから聞いてみた

 

「ああ!!情報の提供元からこっちでデータベースを再構築してしまえば、ウッカリ調べようとしなくても事が足りる様に出来ますね、手間は掛かりますが」

 

気付いていなかっただけか、それには多大な手間が掛かる事はシッカリ分かっている様だ

 

「夕張に協力して貰えば良いだろ、軽巡なら駆逐艦の扱いには慣れてるだろうし」

 

「夕張?北上は?」

 

「何方も工廠組だ、必要なら協力させて良い、当面出撃予定は無いから、明石が仕切れ、工廠を任された、工作艦としてな」

 

「わかりました」

 

これで空母艦娘の運用再開に目処が立つ筈だ

 

 

 

鎮守府-休憩所

鎮守府所属艦:叢雲(三組)

鎮守府所属艦:三組の初期艦四 (声だけ叢雲を中継)

~四人は第一と第三工廠にて妖精さんを観察中、妖精さんによる伝言伝達手法を活用~

 

 

「うーん、いくら艦娘としての任務は無いって言われててもですね、この状況で傍観って言うのは、所属艦として有り得ないと、漣は思う訳ですが、皆さんの意見は?」

 

「そうは言っても、何を如何するの?出撃は論外だし、司令官には一組が付いてるし、司令部があるから伝令なんかも足りてしまっている、手が足り無さそうな所って、工廠くらい?工廠組が出撃したから、手数が減ったけど、戻って来てるよ?」

 

「鎮守府運営にも司令部が入りましたから、私達の出る幕って無いんですよね」

 

「一号の先任達は如何しているのです?」

 

漣に問われて吹雪、五月雨、電が其々に意見を述べる

 

「あっちはなんか額を寄せ合って話し込んでた、その周囲を妖精さんが見張っていたよ」

 

取り敢えず返答が要りそうな電に応じる漣

 

「……ちょっと、あんた達は工廠の見張りを言い渡されたでしょ?それがなんで私を会議場にしてるの?」

 

側から見れば休憩所の椅子に一人で座っているだけの叢雲(三組)が愚痴る

 

「そんなこと言ったって、今フリーなのがムラムラだけなんだから仕方ないじゃん、ムラムラだって、このまま傍観者で良い訳?」

 

漣が愚痴に応じて来た

 

「良くはないけど、現状は見て回ったけど、何処も下手に手出しすると却って足を引っ張りかねない、いくら自由行動を許可されているからって、鎮守府運営の錘になって良いって事じゃない、聞き込んだ所だと、五十鈴がなんかヤラカシたとかで船の方で大事になったらしいし」

 

叢雲(三組)は自身の考えと聞き込んだ状況を並べた

 

「空母艦娘の独自運用を強行しようと、行動に出たって、ヤツかな?」

 

「それで、移籍組から追及されたみたいね、移籍組から見たらこれから修復を依頼する鎮守府に実害を与え、司令官の指示を無視したって実績に成りかけた、黙って見過せないでしょうね」

 

「それで、如何なったのですか?」

 

漣、吹雪が叢雲の並べた状況を補足、電が先を促した

 

「今は問題を大きくして良い状況じゃない、表面的には何も無かった、様にするけど、移籍組の代表は交代させようって、意見で纏りつつある感じかな」

 

「……移籍組からは司令部要員が出てる、それとは別に代表を立てるって事?」

 

漣は何時何処で話を聞き込んでいるのか、叢雲には疑問しか無かった

ただ、ソレをこの場で言っても時間の浪費だし、何より三組の初期艦の行動方針を決めようとしている場な訳だから、個人的な疑問は後ですれば良いと考えていた

 

「そうなるんじゃないかな、司令部要員になっていなければ、高雄や妙高なんかは代表候補だったろうけど」

 

「演習後に倒れた叢雲ちゃんを自室に運び込んだのが、重巡だったからね、その先導を別の重巡がやって道を作ってた、軽巡じゃ、戦艦やら正規空母に行く手を塞がれたら、退くしかないから、そうなったんだろうけど」

 

「……アレ、もっと驚いたのが、その重巡に駆逐艦が随伴してた事よね、長良達はあの海戦の帰還艦娘、移籍組に駆逐艦は居ないのに、長良達には、駆逐艦がいる、大型艦ほど衝撃が大きかったみたいだし」

 

「戦艦種達は長良達に駆逐艦が居る事を知って、鎮守府側への不満を口にしなくなったのです、長良達はこの鎮守府に、大本営では無く佐伯司令官の下に着く事を選んだのですから」

 

「空母艦種もその傾向にありますね、元々赤城さんの影響で戦艦種程の不満は口にはしていませんでしたけど」

 

漣、吹雪、叢雲、電、五月雨、其々の意見が共有されていく

 

「そっちは赤城の影響もあるけど鳳翔さんが纏めてたからでしょう、司令官も真っ先に鳳翔さんを現役復帰させてるし、判ってやってるよね」

 

「如何なんでしょう?単に軽空母という括りなだけかも知れません」

 

「鳳翔さんだよ?搭載機数が戦力と同義な空母艦娘なんだから、戦力が要るだけなら他に瑞鳳とか居るんだし」

 

「まあ、艦種変更が必要な母艦系の艦種は避けてる様でしたね」

 

「母艦系は秋津洲が工廠組で入ったから、それもあるんじゃないかな」

 

「艦種変更は北上?そう言う選定基準なの?アレ」

 

「さあ、そこまではわからないですね、ただ、工廠組の人選は五十鈴だそうですけど」

 

「んー、秋津洲、北上、夕張、それに天龍と大淀、軽巡が多いね」

 

「大淀って元事務艦だっけ?三隈の話だと、相当に司令官に入れ込んでるって事だけど、如何なんだろうね」

 

「演習とはいえ、あの練度差で夕張と引き分けたってさ、酷いハンデ戦だったらしいけど」

 

「練度と兵装、どちらから見ても確かに酷いハンデ戦だ」

 

「天龍は両方を高く評価してた、どちらもハンデ戦なのにそんな事を全く感じさせない全力を尽くした演習だってね、対応力は実戦に投入出来る水準に達していると判断してた」

 

「……総力戦、ですか、司令官の指示、これから出されるかも知れない命令は」

 

漣が言った実戦に投入という部分に五月雨が補足した

 

「それも如何なんだろうね、十倍処か百倍くらいになりそうな勢いであの包囲網を構成してる数が増えてるって話だけど」

 

「もうなってます、憲兵さんの予測だとあの包囲網構成している数は一万を超えるだろうと予測されていましたし、この鎮守府には移籍組を含めても百隻前後しか居ないんですから」

 

「……総力戦って、何を指してるんだろう、移籍組の修復は資材不足で出来ないし、残存資材を戦力化するにしても、あの数の前には時間稼ぎに成れば良い方、稼いだ所でどうなるってモノでもないんだけど」

 

「司令官が諦めていないのは、判るんだけど、その具体的な対処となると、さっぱりっていうのが、なんとも云えない所だよね」

 

状況に対しての疑問を言う漣、それに同意する吹雪

 

「民間上がりの素人司令官、そう言われてはいるけど、現状で最有力の司令官、移籍組がこの鎮守府に着任したなら、艦娘部隊最強且つ最大規模の鎮守府、艦娘集団の指揮権を持つ事になる司令官な訳だし」

 

「……軍事力として見たら、民間の個人が持つ様な指揮権では無いよね、しかもこの指揮権は譲渡も代理も効かない、完全に佐伯司令官個人が持つ指揮権であり、保有戦力、国家組織が黙って見てるかな」

 

「……そういう方向の話になる?だとしたら、今乗り込んできてる権兵衛さんにもなんらかの協力を求める事に、なる、のかな?」

 

「総力戦って、そういう方向の話なんですか?相手とするのは深海棲艦だけではなく、人の組織まで相手にしなくてはいけない?」

 

吹雪の言い出した推定状況に漣が仮定を乗せ、その仮定に電は疑問を付けた

 

「……そういう方向の話になるのなら、大淀の戦力化って、事務艦としての経験が重要になるし、代わりは誰にも出来ないだろうね、天龍も人との折衝はある程度出来るし、そういう方向の戦力には打って付けと言える、明石や夕張は技術者としての説明なり解説を通じた理論構築、秋津洲はあの人当たりの良さを活かすだろうし、北上はあの性格だ、余程の胆力が無いと糠に釘、柳に風って事になる、それに秘書艦名目のやまちゃん、人が相手なら、兵装を使う事態にならないから強力な戦力になるだろうね」

 

「でも、今やまちゃんは人になった元叢雲に着いています、司令官の指示だそうですけど」

 

「……自衛手段がないから、とか言ってたっけ、確か、未だに身分未確定なんだよね、それで鎮守府からは出られない、下手に出歩くと憲兵やら警官に拘束されかねないし、身元不明では、保護だと言い張られるのが分かり切ってる、そうなったら、奪還は至難だ、合法的な手段だと先ず無理、なんらかの取り引きが必要になるし、その取り引きは公に出来ない、そうなったら間違いなく、佐伯司令官のウイークポイントになる、組織のトップが公に出来ない取り引きを実行するのなら、相手を選ばなきゃいけない、その相手は、政府機関か、権兵衛さんか、艦娘部隊上部機関か」

 

「そういう事態を避けようと、していますよね、佐伯司令官は」

 

「……避けられるのなら、ね」

 

三組の初期艦たちによる状況整理が続く、ただ推定やら仮定が含まれ何を何処まで取ればいいのか、判断が難しい

現状でハッキリしているのは、司令官は事態を打開する方針を崩していない、それだけだった

 

 

 

鎮守府-第二食堂

???:???(権兵衛さん)

大本営所属艦:一組の初期艦二/三隈/その他少々(移籍組)

鎮守府所属艦:初春/叢雲(初期艦)/その他少々

桜智鎮守府所属艦:駆逐艦五

 

 

「……おい、鎮守府司令官は職務に精励しているそうではないか、休むのではなかったのか?人には睡眠が必要なのであろう?」

 

どうやって何を聞きつけたのか、権兵衛さんは対面に座る一組の初期艦に文句を言っている

 

「あの司令官もワーカーホリックですか、何だってそんなに働きたがるのか、私には分かりませんな、そりゃ、やる事が山となり山脈を形成してるってのは判るけどさ、一人で如何にかしようとする事は無いんだ、折角立ち上げた司令部もあるんだし、少しは投げたら良いのに」

 

然もありなんとばかりに呆れて見せる漣

 

「司令部?あの伝書鳩にも劣る艦娘の事か?アレでは投げたらそのままだろう、結局自身で対処せねばならなくなる、二度手間三度手間を掛けることを前提とせねばなるまい、正にリソースの無駄遣いだ、何故初期艦が複数居るのに誰も手を貸さないのだ、特に最初の初期艦がいるのだ、この者達が手を貸せば鎮守府司令官も休めるであろうに」

 

司令官に睡眠を取らせる為に時間を割いた権兵衛さんは仕事中毒に見える鎮守府司令官をなんとかしろと提案までして来た

 

「うーん、それはですね、簡単に言えば司令官が望んでないから、としか言いようがないです、司令官は司令部を通しての鎮守府運営を構築している最中なので、下手に手出しをすると後々の影響が読めないんですよ、私達は、大本営所属なので、司令官としても鎮守府運営に関わらせることを控えてますし」

 

「大本営所属?この鎮守府に居るのにか?」

 

所属が違う事を理由に提案の実現は無理だと言っている漣、権兵衛さんは疑問視している様だ

 

「書類の上では出向扱いなんですよ、一号は遠征で立ち寄っただけの扱いですし、積極的に司令官の補佐に手が出せない、勿論、居るわけですから指示があれば、良いんですが、それも無いんですから」

 

「そういう割には、我の話し相手を買って出て来たな、これは積極的な手出しではないのか?」

 

「了承を取り付けられそうな案件なら、提案もしますし、行動にも移しますが、そうではない案件の方が多くて能動的に動けるかとなると、そうは行かないんです」

 

「面倒な、所属が何処であれ、やる事は対して変わるまい」

 

「まあ、そうなんですけど、そこの後処理するをするのも司令官な訳でして、下手に積極的に動くと司令官の後日の仕事を激増させかねないってのもありまして、塩梅が難しい所です」

 

「それこそ司令部とやらに投げれば良いではないか、そこまで使えないと解っているのならその司令部とやらはサッサと解散させた方が良い、まるで役に立たん」

 

「立ち上げたばかりなんです、司令部は、結論を出すのは時期尚早って事だと思う」

 

「そんな事は理由にならない、出来ないのなら追い出せ、我等の交渉を阻害する要因にしかなっていないではないか」

 

権兵衛さんには鎮守府司令官が睡眠を取り戻って来るまでの間、只待つしかない

それを承知で時間を割いた権兵衛さんは堂々巡り気味の話にも不機嫌にはなっていない

 

「それは権兵衛さんの都合、司令官の都合じゃない、そこは考慮しないの?」

 

「……この鎮守府の司令官職に誰が就いているのか、そう言っていたな、嫌なら出ていく事だ、とも、全く熟交渉相手を間違えたとしか思えんな、我等の不運はこの交渉を持ちかけられる相手をあのモノしか見つけられなかった事か、選択の余地が無かった、正に不運としか言いようがない」

 

「交渉を焦ったのも、要因だと思うけど?それは良いんだ」

 

権兵衛さんが待ち時間を持て余して余計な行動を起こさない様に話し相手を買って出た一組の二人

漣は言葉選びや人との話し合いに必要な基本的な情報を権兵衛さんとの会話に混ぜている、ただ権兵衛さんが何処まで汲み取れるか、それが判明するのには時間が掛かる

 

「焦ってはいない、確りと状況を整え準備万端、後は交渉を進め妥結するだけの筈だった」

 

「準備万端って、今でもそう思ってる?」

 

「……上げ足を取るな、準備処か交渉の阻害要因を排除する事すらままならん、こんなにも想定外、予測出来なかった事態になるとはな、矢張り交渉相手の情報が不足していた事が原因か、人など皆同じだと、あの醜い輩と根本的に同じだと、断定した事が誤りであったかも知れん」

 

「……醜い輩と同じだと、判断してたのに交渉を持ちかけた?話がオカシクない?」

 

「団栗の背比べというヤツだ、多少はマシ程度にしか考えていなかった」

 

「あー、それじゃあ根本的にやり直さないと色々儘ならないね、佐伯司令官は癖者だって天龍辺りは評価してるし、鎮守府司令官の中じゃ自衛隊からの評価も高いって聞いてる、まあ、どんな評価かは、知らないけど」

 

「自衛隊?」

 

聞きなれない単語だったのか権兵衛さんが聞き直している、憲兵隊の事は知っていたのに

 

「この国は公式には軍を保有していないんだ、それに相当する国家組織として自衛隊っていうのが組織されてる」

 

「……先にこの辺り一帯の深海棲艦を沈めていたアレは人の軍ではないのか?」

 

「公式には軍じゃなくて自衛隊、自己防衛を行動原則に活動する国家組織、まあ、軍との違いを問われて名称以外を挙げるのが難しい組織ではあるんだけど、法制度の縛りが軍より厳しいって所は軍として活動出来ない根拠とされてる」

 

「分からん」

 

漣が説明するも権兵衛さんは理解を諦めたらしい

 

「色々あるんだよ、人の都合ってヤツが、大人の事情とも云われるけど」

 

「そんな定義不明の分からん事情など、我等は考慮しない」

 

「それでは、彼奴との交渉は進まんぞ」

 

唐突に割り込む第三者がいた

 

「……駆逐艦?何か用か」

 

「随分と話し込んでおるではないか、妾も混ぜてたもれ」

 

「初春?良いの?」

 

確認の為に聞いている漣

 

「彼奴が寝ている間此奴が暇を持て余さぬ様にするのであろう?ならば、他所の初期艦に任せっきりという訳には行くまいて、多少成りとも分けて貰おうかの」

 

「……それは、なんだ?」

 

権兵衛さんが初春の手に注目していた

 

「これか?餡蜜じゃが?やらんぞ、欲しければ自分で注文してくれば良かろう」

 

「そうしたいのは山々なのだが、給糧艦とかいうのがな、我の注文を受け付けないのだ」

 

「ほう、それは難儀な、じゃが妾の知ったことではない」

 

言いつつ権兵衛さんの対面側に座る初春

 

「くっそ、司令官との交渉に役立つのならいくらでも出すが、交渉と無関係なら出さんと来た、鎮守府司令官が休息中では交渉に役立ち様が無いとぬかしおる、我等を何だと思っているのか」

 

「アレだけ食べたのにまだ食べたいんだ、私なら増える体重を気にするけどね」

 

「体重?増えた所でどうということはないではないか、何故気にする?」

 

「こっちは陸の上が住処なの、常に浮力と共にある其方の様には出来ないの」

 

体重増加に対する意識が権兵衛さんと漣の間ではかなりの差がある様子

 

「随分な偏見を持っている様だな、我等とて常に海中にいる訳ではない、日にも当たれば陸で休む事もある、現状では海中の方が安全だからそうしているだけだ」

 

「えッ?あの鯨みたいなのが陸で休むの?」

 

意外な話に驚きの声を上げる漣

 

「クジラ?初級の事か?体形的に陸に上がって来れないとは、考えないのか?」

 

「初級?」

 

「我等は大雑把に三等級に分けて分類している、陸に上がれない初級、陸に上がるのが不得手な中級、陸に上がり活動出来る上級だ」

 

漣の疑問に応じる権兵衛さん

 

「本当に大雑把だ、艦娘だと駆逐、巡洋艦の軽、重、戦艦、航空母艦、あと潜水艦、派生系や支援艦も含めるともう少し増えるか、そっちの分類基準が陸に上がれるかって所もこっちとは違うし、権兵衛さんが言ってる様にそっちの運用が艦娘と違うって事だと思うけど」

 

「ほう?他所の初期艦とはいえ面白い所に目を付けよる、分類基準の違いが運用の違いとな?初期艦殿はその違いからどう読み解いておるのだ?ここは一つ答え合わせをして見ては如何じゃ、何事も思い込みでは儘なるまいて」

 

混ぜろと言った通り、混ざってくる初春

 

「答え合わせ?何の答え合わせだ?」

 

「初期艦殿の推定と権兵衛殿等の運用実態が何処まで一致するのか、妾としては興味深いぞ」

 

「……鎮守府司令官の休息が終わらねば交渉が進められん、時間潰しに相手をしても良いが、タダで相手をするのも気に食わんな」

 

初春の言い分に少しだけ考える様な間を空けた権兵衛さんが何か思い付いた模様

 

「ほう?それはつまり、餡蜜を奢れ、と言っておるのか?意外と食い意地の張った奴よのう」

 

「文句は我の注文を受け付けない給糧艦に言え、全く、あのモノは居なくとも注文出来ると言って休息に行ったのに、出来るだけで拒否されるとは、こういうのを一杯食わされたというのだったか」

 

「権兵衛さんは給糧艦がイジワルで注文を受け付けないと、考えているのですか?」

 

権兵衛さんの言い分に電が問う

 

「……違うのか?それ以外の見解があるのなら聞こうではないか」

 

「漣が何度も指摘しているのです、給糧艦はただ食糧を提供するだけの艦娘ではないのです、提供する食糧、提供する相手、其々を勘案して健康状態を最良の状態に誘導乃至維持出来る範囲での糧食を提供しているのです、勿論、例外もありますが」

 

「……食べ過ぎだと、言いたいのか?我の摂取する食料の適正量などあの給糧艦が知っているとは思えんが?もし、知っているのなら、それは何処から知ったのだ」

 

「権兵衛さんは明石には会ったのですよね」

 

「明石?あの変わった艦娘か?今の話と明石が如何関連する?」

 

「明石には変わった艦娘という感想を持ったのに、給糧艦には何の感想もないのですか?」

 

「腹の探り合いか?幾ら時間潰しだからといってもそんな面倒な話なら打ち切る」

 

権兵衛さんの言い様から給糧艦には何も感じていないらしい事が分かるが、それはそれで疑問が出てくる

 

「アレ?そういう感想が出てくるって事は、ホントに明石と給糧艦の類似性というか共通項が視えて無いんだ、それは意外だ」

 

「……何の感想を持てと?我を翻弄しているつもりか?」

 

「イヤイヤ、何でそうなるの、電の言ってる事はこの鎮守府の妖精さんの言動を基にしてる事実、それはこの鎮守府にいる艦娘なら誰でも知っている事、自身で見聞きした事だから伝聞の様に解釈の違いとか誤解も無いし、疑い様が無いんだ、権兵衛さんの視える範囲を妖精さんの言動から推定してみるのも、オモシロイ事になりそうだ」

 

「オモシロイ?」

 

何やら妙な解釈をした様な権兵衛さんが不快感を言葉に乗せた

 

「興味深いという事じゃ、探究心を唆られると言っておるのだ、漣は口が悪い、一々目くじらを立てるでない」

 

その不快感に訂正を求める初春

 

「口が悪いのは、叢雲では無いのか?漣とやらも口が悪いのか?」

「ブッ!」×2

 

この権兵衛さんの言い分に漣と初春が吹き出した

 

「二人とも、受け過ぎでなのです」

 

「な、何だ?受ける?何の事だ?」

冷静な電の指摘と状況が分かっていない権兵衛さん

 

「いや、済まなんだ、まさか叢雲の口の悪さがお主等にまで伝わっていようとは、思いもせなんだ」

 

「ケホッ、全くだよ、叢雲の口の悪さがそこまで有名だとは、思っても見なかった」

 

「有名?口を開けば異論を唱える文句を垂れる抗議する糸間は惜しまないと、聞いているが、違うのか?」

 

「あー、言いたい事は分かるけど、本人が聞いたらソレをそのままやられるから、しない方が良いかな」

 

「そんな突っ込みどころ満載の話をするからじゃ、アレとて話が通じん訳では無いぞ、筋の通らん話をするからそうなるのじゃ」

 

「問題なのはその筋の通し方、それは一つに定まる事では無いのですから」

 

権兵衛さんが耳にしたという叢雲の口の悪さ、それに漣、初春、電と三者三様の意見が付く

 

「立場の数だけ通す筋がある、そこを如何なる手段で対処するか、我等は力尽くで押し通してきた、これは強ち間違いではなかったのかも知れんな、今のこの状況を鑑みると」

 

「でも、力尽くでしかモノを考えられないモノは醜いのでしょう?それがこの交渉の動機だって言ってたけど?」

 

「その通りだ、アレと同じモノに、我等は成るつもりはない、故にこんな手間暇を掛ける事になった、想定外ばかりでこうも手間取るとは、挙句にこんな時間潰しにまで手を出す事になっている、非効率極りない、どこで何を誤ったのか、交渉が成立した後に検証せねばなるまい」

 

「誤ったって、さっき交渉相手の情報不足だって言ってなかった?」

 

「それは誤った要因の一つだ、それだけで原因が創出されたとは考えていない」

 

「すると、複数の要因が想定外のこの事態を創り出した原因だと、お主等は考えておるのか」

 

「そうだ、故に原因そのものを除く事は短時間では出来ない、それもあってこうして時間潰しに興じている」

 

「時間潰しなら、私も混ぜなさい」

 

またしても割り込む者がいた

 

「ウチの初期艦がやっと来おった、所で龍田の方は如何なった?」

 

その割り込んで来た者に初春が聞く

 

「お陰様で、やっと解放して貰えたわ、単艦突撃は確かに愚行だし、非難されるのは分かるけど、あんなに怒んなくても良いと思わない?」

 

「バカモノ、怒られねば繰り返すであろうが、二度としない様にお灸を据えただけじゃ、龍田がやらねば妾がやっておる、これも彼奴の我が儘の一つじゃから肝に命じておけ」

 

「……艦娘が沈む所は見たくないって、遠くで沈むんだから見る事は無いでしょうに」

 

叢雲(初期艦)の発言に真顔になる初春

 

「……本気で、言っておるのか?」

 

「そんな訳ないでしょ、司令官は提督だから、視えるんでしょ、艦娘が沈む所、妖精さんが魅せてくれるってコト、今まで見た事無い筈なのに何で知ってるんだか」

 

「……それは、なんだ?」

 

権兵衛さんは駆逐艦達の話より叢雲(初期艦)の手元に注目している

 

「ん?これ、蜜豆だけど?なに?欲しいの?あげないわよ、自分で注文してきなさい」

 

「くっそ、駆逐艦共が我の感情を逆撫でしてくるとはな、鎮守府司令官はまだ戻らんのか」

 

給糧艦に注文を拒否されているのが余程効いているらしく権兵衛さんが苛立ちを隠さない

 

「まだって、ここを離れてから幾らも経ってない、人の睡眠時間は六時間から八時間、戻る訳ないでしょ」

 

「なに?八時間?二時間程度ではないのか?」

 

漣の説明にも納得行かない様子を見せる権兵衛さん

 

「イヤイヤ、二時間って、それじゃあ昼休憩だ、人の睡眠時間の重要性を理解したんじゃなかったっけ?それが如何して二時間なの?」

 

「我等の中に形成されている人の組織では二時間程度なのだが、コレは何かオカシイのか?」

 

権兵衛さんは事前情報を持ち出した

 

「一日二日なら、それでも良いけど、長期間そうなってるのなら、明らかに異常と判断出来る状態だね、まあ、特殊な例でも四時間シフト制だし、二時間シフトは聞いたことない」

 

「異常なのか、あのモノ達は、あのモノ達から人の生態や習性を学習したが、参考にならんと、いうことか、コレも想定外を誘発させた要因であろう、交渉の前提条件が悉く崩れて行く、如何再構築したものか」

 

「再構築って、あー、何度か聞かれてるだろうけど、そもそも権兵衛さんの交渉内容って何なの?」

 

叢雲(初期艦)が聞いた

 

「妾に聞こえてきた所では、初期艦を引き渡す事、それと引き換えに司令官の望みを権兵衛等が力の及ぶ範囲で叶える事、らしいの、彼奴に初期艦を引き渡してまで叶えたい望みがあるとは思えんが」

 

それに応じたのは初春だ

 

「待て、今、何と言った?叶えたい望みが、無い?」

 

その初春に権兵衛さんが問う

 

「無いとは言うておらん、叶える代償が高すぎる、と彼奴には映るじゃろうと、妾は思うという話じゃ」

 

「……なんと、それでは交渉に応じる余地が最初から無いではないか、我等が何をもってしても初期艦を引き渡す事は無い、あのモノはそれに見合う望みを持っていない、取り引きに成らんではないか」

 

交渉の可能性をどう見たのか、権兵衛さんの表情から窺う事は難しかった

 

「でもそれって、最初に言ってましたよ?覚えてない?」

 

ここで取り引き不能と判断したら権兵衛さんがどう出るか、考えたくない漣としては何とか話を繋げる

 

「艦娘は対価でも取り引き材料でもない、そう言っていた、コレはそういう事なのか?」

 

「その後権兵衛さんが利益を云々言い出しかたら、この席に着いたんでしょう、司令官だってその内容を聞きたいからこうやって交渉してるんだし、権兵衛さんの提案次第だと思うけど?」

 

「……望みのないモノに何が叶えられようか、前提が無いではないか」

 

不満そうに零す権兵衛さん

 

「それは司令官の所為じゃないよね、話を持ちかけてきたのは権兵衛さん、提案も無しに交渉に来たんだから、営業としてはかなりの悪手だけど」

 

「交渉相手を誤った、現時点で判明した原因となり得る一番大きい要因は間違いなくコレだろう」

 

満漢全席状態だったテーブルの上は、もうすっかり片付けられていた

権兵衛さんは甘味で気を紛らわすことさえ叶わなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 







場所-殆ど鎮守府の何処か、断りの無い鎮守府表記の場合は佐伯司令官の鎮守府
所属:登場人物/登場艦娘 等

~近距離無線~は通話、交信 等

上記の書き方が基本となっています、同じ所属が複数行になっている場合は行動単位




大本営所属初期艦〔一号(漣.電.吹雪.五月雨)、一組(漣.電)、二組(吹雪.叢雲.漣.電.五月雨)〕

移籍組〔修復待ちの高練度艦娘、以前の大規模海戦の帰還艦娘、現在の代表は五十鈴〕



工廠組〔明石、夕張、北上、秋津洲〕

護衛隊〔以前の大規模海戦の帰還艦娘、長良を始め帰還後に原隊の大本営に戻らなかった艦娘達、広域探索役として龍驤が加わっている〕

鎮守府所属初期艦〔鎮守府配置の初期艦(叢雲)、三組(吹雪.叢雲.漣.電.五月雨)〕




上記の初期艦の所在
・二組の初期艦は大本営に、老提督から長期休暇を取らされるも老提督の補佐に勝手に着いている
・他は舞台となっている鎮守府(佐伯司令官の鎮守府)に所属、出向、立ち寄りなどで滞在中



艦娘について
・鎮守府の大規模増設計画に伴い、艦娘の複製が作製されている
・本編中では複製艦娘達は新規格の艦娘と呼ばれている
・初期艦も複製可能となり増設計画に依って増設された鎮守府に配置され、留守番中



・工廠に陣取る軽空母達、鳳翔、祥鳳、隼鷹
・工廠防衛を指示されている
・軽空母達の指揮を執っているのは大本営所属艦娘、司令長官秘書艦の五十鈴
・ちょっとした問題が発生、進行中

・戦力評価試験中の大淀(事務艦)と天龍
・そこに合流した夕張
・大淀の一言で夕張が評価試験の実技を買って出た

・他所の鎮守府所属艦娘達(桜智鎮守府所属艦)
・白露型十、航空巡洋艦三
・包囲網を通って鎮守府に来たのは利根、白露、村雨、夕立、五月雨、涼風
・時雨は同名艦が居ると聞いて残留
・改白露型三隻は内輪の事情により残留
・春雨は他所の資材採掘地に興味深々で残留を希望
・最上型三番艦、四番艦は護衛隊の周辺探索に協力する為に残留


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