地下九階の映写室   作:輪音

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【オリジナル】

仮装夫婦のお話にして、少々エッチな仕様となっております。
また、ほんのりと『艦隊これくしょん』的な要素を含みます。





妻は今宵も私を責め立てる

 

 

 

妻が『艦隊これくしょん』の龍驤(りゅうじょう)のコスプレ姿で居間に現れた。

赤い水干のような衣装は二〇代半ばになった今も中学生みたいな彼女によく似合っていて、コスチューム・プレイヤー界隈では『合法ロリ』などと呼ばれているらしい。

夜のことを考えたらどちらかというとサキュバスみたいに思えるのだが、夜な夜な私のすべてを搾り尽くすような真似は慎んでもらいたい。

あと、私は愛妻家であって小さい女の子が好きな訳ではない。

私は彼女が大好きなだけなのだ。

それだけはきちんと言っておく。

口説かれたのは私の方だけれども、それは些細な事実だろう。

 

「碇(いかり)司令はんの姿も似合っとったけど、提督姿もようにおうとるな。」

 

どこか怪しげな関西弁で喋ってツインテールをなびかせた彼女は、腰をかがめて撮影の準備を始める。

……白か。

 

「写真集と画像集とビデオを作るからな。バンバン撮るで。そいで、バンバン売るで。」

「お手柔らかに頼むよ。」

「任しとき、キミ。うちがばっちし撮ったるからな。」

 

妻がバシバシ私を叩く。

 

「うむ、そこは気軽に叩く場所じゃないぞ。」

「ええやん、夜は叩くどころやないんやし。」

 

そういう問題なのだろうか。

 

全年齢対象型の健全な撮影を終えたその日の夜、妻は不健全な行為に手を染めて私を完膚(かんぷ)なきまでに蹂躙(じゅうりん)し尽くした。

彼女曰く、『開幕雷撃』とやららしい。

そんなに若くも無いので、毎夜責め立てるのは勘弁して欲しい。

 

 

 

 

数日後。

出社すると、部下たちに妻と時々仮装をすることが発覚していた。

これこそが夫婦の共同作業なんですね、と言われたがなんか違う。

ネット上に画像が出回っているそうな。

どうも妻はコスチューム・プレイヤーの世界でかなり有名らしい。

結婚式で妙ちきりんな恰好をした人が多いなと思ったのだけど、おそらくそれが原因だろう。

違うかな?

我々新郎側はあれを余興だと考えたのだ。

新婦側が妙な雰囲気だったのはそれでか。

その日以降、部下たちから『司令』と呼ばれるようになった。

解せぬ。

 

 

 

更に数日後。

部長に妻共々時折仮装していることが発覚してしまった。

そして我々同様の行為に手を染めていることが判明する。

なんてこったい。

今度一緒に、なんらかの集まりに行こうと言われた。

詳しく言われたが、ちんぷんかんぷんだ。

よくわからないので、帰宅したら妻に聞いてみよう。

 

 

 

更にその一ヵ月後。

妻及び部長や部下たちと仮装大会みたいな集まりに行ったことが、社長に思いっきりバレた。

ついでに社長が昔、文学的同人誌を作っていたことまで判明する。

オーマイガー。

その上、会社の有志で公式にマンガ祭に参加することが確定する。

柔軟というべきか、めちゃめちゃというべきか。

我が社はどこへ向かっているのだろうか?

 

 

 

休日。

愛妻が可愛い高校生や中学生を集め、朝から居間で賑々しく撮影している。

見えると困りそうなモノがちらちら見えるのだけど、問題ないのだろうか?

妻曰く、なんとか見えそうでぎりぎり見えないことがとっても大切らしい。

よくわからないな。

彼女たちは『艦隊これくしょん』の仮装をしていて、軽空母に軽巡洋艦に駆逐艦を加えた編成だとか。

全員ノリノリだな。

まあ、楽しいのならばそれでよかろうなのだ。

私も着替えてくるようにと妻から言われ、詰め襟の服を着て居間へ行ったら『提督』やら『司令』やらと呼ばれる。

私の役割は彼女たちの指揮官だそうな。

夜の指揮官になったらあかんで、と妻から言われたのだけど事実無根だ。

無邪気にじゃれつく彼女たちに困惑しつつ撮影に臨んだ。

しばらくすると、近場の洋館で撮影しようという話になって、我々は中古の●イエースに乗って出かけることが決定する。

妻は既に、そこの撮影許可を得ているという。

流石は我が奥様だ。

動きが素早いのだ。

高速機動細君だな。

洋館に着くと、他の撮影する人たちも来ていた。

ボディスーツのような衣装を着た白い肌の女の子は、なんでも妻とは敵対勢力の擬人化系空母らしい。

よくわからないな。

ロシア系みたいでキレイで背の高い子だな、とちょろっと見たら即座に妻が背中をバンバン叩いてきた。

 

「ハーレムはあかんで、ハーレムは。」

「重婚は出来ませんよ、日本国では。」

「当然やけど浮気もあかん、浮気も。」

「しませんよ。」

「ホンマかいな。あの子の胸ばっかり見とったんやろ。」

「別にそんなに見ていませんよ。」

「エイッ! クリティカルヒットや!」

 

妻が飛びかかってきて、六回私をつついてきた。

私に三〇ポイントのダメージ。

そしてぐにぐにされてしまう。

おうふっ!

アウチッ!

 

「あたた。そこをそんなに握ってはいけませんよ。」

「ええやん、夜はもっと激しいことをするんやし。」

 

どうにかこうにか、なりなりてなりあまれるものを通常形態にトランスフォーマーさせることに成功する。

勘弁して欲しいものだ。

 

 

撮影は無事に終わったのだが、夜はタダで済む気配が無い。

実際、寝所に入った時点で妻は私を責め立てる気が満々だ。

ニヤリと嗤った妻は、私の上にのっかると責め始める。

 

「我、夜戦に突入す!」

 

妻の鋭く激しい攻撃に、私はあっけなく白旗を上げた。

即降参降伏。

しかし、妻は興奮していて許してくれそうに見えない。

 

「白旗やなくてな、これからきっちり出すもんはわかっとるやろ。なあ、旦那様。」

 

幼げな顔に似合わぬ妖艶さで、彼女はそう耳元で囁いてきた。

 

 

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