大泥棒の卵   作:あずきなこ

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20 愚者の塔

 天空闘技場。ジャポンの北東、そして暗殺一家ゾルディックの実家があるパドキア共和国と同じ大陸の東南東に位置し、地上251階建てで、世界第4位を誇るその高さはなんと991m。円形ではなくいびつな形に突起しながら聳えるその塔は、野蛮人の聖地とも呼ばれている。

 参加者たちの所属する階数が上がるに連れて待遇は良くなり、100階以降は個室完備、勝利時のファイトマネーもそれまでとは桁違いになる。

 トレーニングルームやサロンなどの各種施設が充実しており、個室が与えられていれば宿代もタダなので、ここに住み着く闘士も多いのだとか。

 200階以降は選手層、と言うか試合形式そのものが一新されて、武器の仕様が認められた上に念の使用が前提となる。正直ココが一番危険なのだが、ファイトマネーは存在せず、得れるのは名誉なんていうクソみたいなモノのみ。

 しかも200階手前付近の高額すぎるファイトマネーによって、そこに八百長や手抜きで長期間留まられるケースも有る。それを防ぐために個人が貰える合計のファイトマネーは上限が定められており、上限に達すると金は入ってこなくなる。それ以降も200階目指して戦い続ける者と、金が入らなくなったら帰る者の割合はほぼ半々だ。まぁそれでも10億は軽く超えるほど稼げたはず。

 

「持ってきたぜ。って、お前どこ見て……、……あぁ、あそこか。変な形だよなぁ」

 

 ファミリーレストランの窓際のテーブル席に陣取り、窓の外に見える天空闘技場を頬杖をついてぼんやりと眺めながら、それについての情報を記憶から引き出していると、横合いから声がかけられた。

 そちらに視線を向ければ、ホットとアイスの2種類のドリンクバーグラスを両手に持った銀髪の少年が、手に持ったそれらをテーブルに置くところだった。

 銀髪の少年、キルア=ゾルディックが私の前にホットカフェオレを、私の正面の彼の席にメロンソーダを置いて腰掛けた。

 

「さんきゅー。何かアレ上の方で大暴れしたら真ん中らへんからポッキリ折れそうだよね」

 

 礼を言って率直な感想を述べつつ、カフェオレに口をつける。うん、安っぽさは否めないけど甘くてまぁまぁ美味しい。

 対面のキルアもメロンソーダをストローで啜り、天空闘技場を横目で見ながら答える。

 

「バランス悪そうだしな。でも200階でドンパチやってても全然揺れねーし、かなり頑丈だぜ」

 

 その建造技術は素晴らしいの一言に尽きるだろう。電脳ページもかなり発達しているし、まったくいい時代に生まれたものだ。

 ただ、これらや陸路の移動手段と比べると、空路はどうしても発達が遅れているように思えてしまう。まぁ、そこは空路を高速で移動されると困る、とある事情のせいなんだろうけど。ぶっちゃけ今の私としては”外”に興味ないしどうでもいいから、空路の移動速度マジで何とかして欲しい。

 大陸間移動のだるさに思いを馳せて溜息をつくと、キルアが怪訝な表情でこちらを見た。すぐさま何でもないと取り繕い、カップを口に運ぶ。

 

「まぁいいや。つーかお前そういう格好するとイメージ変わるな、最初見た時誰か分かんなかったぜ。実は目ぇ悪いのか?」

「これ伊達。ハンター試験は動きやすさ重視しただけで、普段は結構こういう服装してるよ」

 

 キルアが私が掛けている眼鏡を指さしながら言い、私は眼鏡を外してフレームを指にかけてくるくると回しながら答える。

 今日の私は白いシャツに青いカーディガン、クリーム色の膝丈スカートに細い黒のベルトと茶色の動きやすいブーツという装いだ。コレにレンズ入り伊達眼鏡をかけ、肩甲骨の少し上辺りまでのセミロングの黒髪を襟足で2つに結い、ベージュのキャスケットを被っている。

 私服ではあるが、こういう服装は蜘蛛の前では一度もしたことが無い。仕事であれば暗色系の長袖長ズボンにお面、彼らが家に来た時も男女兼用(ユニセックス)な動きやすい格好だし。私だけ、或いはジャポンの友達と出かける時以外にはしないのだ。髪と帽子は余りやらないけど。眼鏡は最近では近所を歩くとき付けるようにしている。

 理由は今キルアが証明した通り、普段の私の装いとかけ離れているため、見た目での判別が難しくなるからだ。さらに小細工を加えれば、見ただけで私だと判別するのはまず無理だろう。

 私の言葉にふぅんと相槌を打つキルアは、黒いロングTシャツと茶色の長ズボンのシンプルな格好だ。

 手に持ったメロンソーダを半分ほどまで減らした彼は、それを置くとこちらに目を向けて言った。

 

「で、せっかく顔合わせたんだし幾つか聞きたいことがあるんだけどよ」

「……答えられる範囲でなら。その代わり、こっちの質問にも答えてもらうけど」

 

 これは好機かもしれない、と手の中で眼鏡を弄びながら了承する。この流れなら自然に今日の目的を果たせそうだ。

 携帯電話でやり取りはしていたけれど、それで聞いていなかったことを聞くには互いにもってこいの機会。

 質問内容も大体の予想はつくし、当たり障りの無いことだけ言って、必要な情報だけ引き出させてもらうとしよう。

 

「オレの最初の呼び出しからお前がここに来るまで、1ヶ月も掛かったのもアレだが。何でお前が来ることゴンには内緒なんだ?」

「事情があっておおっぴらに行動できないんだよ。ゴンってほら、隠し事苦手そうなタイプじゃん」

 

 私がココに居るって事を相手が誰であれ漏らされるのは困るんだよね、と続ける。キルアもそれを聞いて、あぁと頷いたので納得したようだ。さすがに彼も元裏の世界のプロ、こう言えば誰にも言わないだろうし、事情について深く突っ込んでくることもない。

 ゴンの部分についても、彼自身心当たりがあるから私の発言について疑問に思わないだろう。

 っていうか私がココに来るの遅れたのまだ根に持ってんのか。メールで忙しかったって弁明したじゃないか。詳しくは言わなかったけど、鍛えたり本読んだり旅行の計画立てたり、本読んだり鍛えたり旅行行ったり本読んだり。ほぅらすっごく忙しい。

 今日ココに来たのだって、明日の4月15日にヒソカの試合があるからなのだ。なんでも相手はヒソカから3ポイント――天空闘技場のルールで、有効打やダウンに応じてポイントが加算される仕組み。10ポイント先取かKOで勝利となる――奪取した実績の持ち主ということで、正に見逃す訳にはいかない対戦なのだ。

 観戦チケットをミルキ君に確保してもらい、前日の内に闘技場まで足を運び、余った時間でこうしてキルアと会っているという寸法だ。この格好やゴンに知らせないのはヒソカに私が居ることを悟られないための処置である。どうせゴン入院中らしいから来れないけど、やはり口を滑らす可能性があるので知られるのも駄目。

 

「確かにゴンは隠し事無理だろうなぁ。あ、そういやアレ、試験中に髪ブワッてやったやつってアレなのか?」

「うん、慣れればああいう遊びみたいなこと出来るよ。キルア達はまだ1個目だけだっけ?」

 

 キルアの言うアレ、とは間違いなく念のことだ。彼もこういう場所でその単語を口にしない辺り、認識はしっかりできているようだ。

 髪ブワッは1次試験のトンネルで私はやったやつだ。最近髪切ったからあの頃より少し短いから、今やってもやはり微妙だろう。

 そして私の言った一個目とは、念の基礎、四大行の内の最初に習得するもの、という意味合いだ。つまりは”纏”の事。キルアには正確に伝わっていたようで、彼は一つ大きな溜息をついてから零す。

 

「そ。メールでも言ったけどゴンがやらかしてさ、そのせいで師匠から2ヶ月間はアレ禁止って言われてんの。んで友達思いのオレもそれに付き合ってるってわけ」

「バカだなぁ、それが使えるだけじゃ実戦じゃ役に立たないっていうのに」

 

 私がそう答えると彼は困ったような笑顔で、アイツ頑固で言い出すと聞かねーからな、と言った。なかなかゴンとはいい関係が築けているようだ。

 キルアが光と闇どちらに転がり、またその先でうまく生きられるかはゴン次第だろうか。

 まぁ先に片付けなくちゃいけない問題があるからこっちに気を取られていられないけれど、すぐにどうこうなるわけでもないだろうし、しばらくしてから様子見ても問題ないはず。

 今は何よりも情報を。幸い念の話の流れからならば誘導しやすいので、今度はこちらから声を掛ける。

 

「っていうかキミらまだそこって、結構出遅れてるんだよね。他の奴等は今3個目やってるって言うのに」

「はあぁ!? マジかよ、どいつだよ他の奴等って!?」

「ハンゾーとポックルとボドロ。だってもう試験終了から3ヶ月近く経ってるし、全員キミらがゾルディックに居た内に師匠と接触してたしね」

 

 身を乗り出して問い返した状態から、体を反らし頭を抱えてマジかよちくしょう、と嘆くキルア。

 そりゃそうだ。キルアを迎えにゾルディック邸で時間使ったのが20日らしいし、それだけ時間があればハンター試験合格者なら念の師匠と接触できる。

 1月23日に試験が終わって、2月中旬までには3人全員が接触を終えている。彼らはベースとなる肉体もそれなりに出来ているし、精孔も上手いこと外部の刺激とか利用すれば1ヶ月あれば余裕で開くだろう。

 しかも忍者と武道家と狩猟者。自然体で流れを感じる”纏”と、2個目である気配を殺す”絶”は今までやっていたことの応用だし。

 3番目の”練”に関しては、通常以上にオーラをねって留める必要があるから前2つに比べ難易度が高く、勝手も違うので難儀しているようだ。聞く限りハンゾーはスムーズだが、他2名はそこでしばらく手こずりそうだ。

 彼らとは今でも結構連絡取り合っているから情報が入ってくる。そうこうしている内にボドロへの敬称もとれた。彼らにした幾つかのアドバイスを思い出していると、不意にキルアがこちらに顔を戻して疑問を投げかけてきた。

 

「って、お前とかそれ以外の奴はどうなんだ?」

「ん? 私とイルミさんとヒソカは四つ全部とっくに終わってるよ。レオリオは勉強中で、クラピカは返信なし」

「……分かっちゃいたけど、やっぱ差はデケェのな。っつーか後の2人は何なんだよ」

「レオリオには一応鍛えときなよってメールしといたけど、クラピカはガチで音沙汰なし」

 

 自分の兄たちとの差を今更ながら実感し、苦虫を噛み潰したような表情になるキルア。今回の試験、既に念を覚えていた者とそうでない者の差は彼の言うように、いや彼が今認識しているよりも遥かに大きい。

 彼が念について知っているのは、基礎である四大行までだろう。その先にはそれを用いた応用技があり、それを覚え、また戦闘に組み込み、更に呼吸と同レベルで行えるようになるには通常数年間の訓練が必要となる。

 ちなみにレオリオとクラピカの部分も真実だ。一応他のみんなにもメール送ってるのにクラピカだけ送らないのは不自然だし、近況を聞けるならそれで十分だ。まぁ今頃山篭りなんて時代錯誤なことやってるんだろうけどね。後ゴンは連絡手段ないから除外。

 

「……、……ちなみに、今のオレとお前が戦ったらどうなる?」

「控えめに言っても、まず戦いにすらならないと思うけど。指一本動かさずに息の音止められるし」

「怖っ! そんな事もできんのかよ! ……なぁ、お前はヒソカと兄貴と比べるとどのくらいなんだ?」

「一番下。そもそも私に限らず、そこらのまともな奴等相手にしたらだいたいそんな感じになるよ」

 

 一番下相手にそれかよ、と机に突っ伏したキルアを尻目に、少し温度が下がってきたカフェオレを口に含む。

 今のキルアを殺すのは本当に簡単。能力を使うまでもなく、キルアの急所にそれなりのサイズの念弾を当てればそれでオシマイである。

 普段蜘蛛の連中に揉まれてる私からすればキルアは遅いから簡単に当てられるし、”纏”止まりの今なら”練”が使えず、”絶”の応用技でオーラを限りなく見難くする”陰”を使えば、それを見破る”凝”を彼は使えない。

 特別なことは何もない。そもそもたった1ヶ月程度の期間では念を用いた戦闘など夢のまた夢、初心者ではそれなりの念能力者に勝てる道理はない。

 ただまぁ、それはあくまでも現状の話だとフォローは入れておこう。数年後は立場が逆転している可能性だって大いにある。そもそもコイツ3歳も年下だし。

 

「まぁ1ヶ月そこらでどうにかなるもんでもないし。キルアまだまだ伸び代あるんだから、真面目に鍛えてればいつか私くらいなら勝てると思うよ。今の自分のレベルが分かっただけでも良かったじゃん?」

「お前に勝てても兄貴に勝てなきゃなぁ……、……ここにいる間になるべく鍛えとくしかねぇな」

 

 私の言葉に、腕を組んでうんうんと唸りながらそう漏らすキルア。親切で教えてあげたのに、この野郎あろうことか私を通過点扱いしやがったな。

 

「そういやキミらココで鍛えてるんだっけね。いつ頃までやるの?」

 

 内心ちょっぴりイラッとしながらも、それはおくびにも出さずに問いかける。

 本丸を責めるにはいい頃合いだ。とりあえずはジャブで様子見。

 

「どーすっかなー。フロアマスターには興味ねーし、ゴンがやることやったら終わりにする予定だったけど……とりあえず、教わるもん全部教わるまでだなー」

 

 背もたれに体を預け、後頭部で手を組みながらキルアが言う。

 やること、か。濁してきたけど、内容いかんによっては重要だし追求はしたほうが得策か。答えるのを拒否したら流せばいい。答えてくれるかどうかは半々だろうか。

 とりあえずフロアマスターになる気はない、と言うことは200階クラスで戦い続ける気もない、と。フロアマスターは200階で10勝するのが条件だし、さすがに一箇所にとどまる気はないか。

 

「ゴンのやることって?」

「ああ……アイツ、試験でヒソカに借りがあるみたいで、それを返すって息巻いてんだよ。ここにヒソカいるんだけど、今の話聞く限りじゃキツイだろうな……」

 

 ゴンを心配するような表情を見せながらも、話してくれた。

 この情報交換は、いうなれば取引。こちらがきちんと情報を出せば、彼もそれに答えてくれる。元プロの暗殺者としての性がそうさせる。

 互いに出している情報も、彼からすれば後ろ暗いものは特に無い、世間話のようなもの。故に発言のブレーキもかかりにくい、といったところか。

 或いはただ単純に牙が抜けてしまったか。まぁどちらにせよ、これを利用しない手はない。

 新た得て頬杖をつき、カップを手に持って揺らしながら問いかける。

 

「辞めたほうがいいと思うなぁ私も……。で、それも修行も終わったらどうすんの? 他の三人はもう決まってるらしいけど」

「参考までに聞くけど、ソイツらの予定は?」

 

 情報をチラつかせれば、興味を持った彼が食いついてくる。ハラを読むつもりなのは私だけ。楽なものである。

 カップに視線を注ぎながら、なんでもない事のように3人の情報を売り渡す。

 

「ハンゾーはライセンス使って捜し物、ポックルは幻獣ハンターとして活動開始。そんでボドロは道場開きたいんだってさ。ちなみに私は自由を満喫します」

「その3人とお前との落差がハンパねぇな……オレらも似たようなもんだけど」

「あれ、ひょっとしてキルア達も予定ないクチ?」

 

 カップを揺らしていた手を止め、視線も彼の方に向ける。キルア達、をゴンと彼のみか、或いはレオリオやクラピカも含めて受け止めるのか。

 後者のほうが嬉しいけれど、多分それは無いか。正直あの2人って、キルアにとっちゃゴンのおまけ的扱いだろうし。

 

「バーカ、お前と違って忙しいからな、オレらは9月に予定があんだよ」

「意趣返しのつもりかこの野郎」

「へっ! まぁゴン次第で行ってもやることなくなるけどなー」

「ふーん……」

 

 意地悪な笑みを浮かべるキルア。私は相槌を打ちながら、手元の茶色い液体へ視線を落とす。

 9月。そのワードが聞けただけでも十分だ。それだけでは不十分だけれど、推察して確信するだけの材料はこれで揃った。

 そのままカップを煽り、ぬるくなった液体をすべて飲み干す。そして空になったカップをキルアに向けて、笑顔で言う。

 

「ハイこれ。同じのよろしく」

「あぁ? さっきオレが行ったんだから次お前がいけよ」

「いいじゃん、ココの代金私持ちなんだから。身体で払え、身体で」

 

 顔をしかめて渋るキルアに、先ほどドリンクバーを取りに行かせたのと似たような文句で催促する。

 料金のことを言われるの強く出れないようで、キルアは自分の分も飲み干し、自分のと私のを掴んで、捨て台詞を吐きながら席をたった。

 

「チッ、じゃあその代わりに後でお菓子奢れよな」

「……、……別にいいけど、自分だって金持ちなくせに……」

 

 私の言葉は聞こえないふりをして、彼は足早にドリンクバーの機会へと向かって行った。200階まで行ったなら数億稼いだはずなのに、微妙にケチである。

 ため息を付いて背もたれに体重を預け、思案する。思い出すのはつい先ほど得た情報。

 天空闘技場、ゴン、ヒソカ、借り。修行、9月、予定、ゴン次第で消えるやること。

 ある程度事情を知っており、またクラピカが9月のヨークシンの事を彼らに話していたと仮定すると、これらの言葉は綺麗につながる。

 ゴンはクラピカから、9月のヨークシンでヒソカに会えることを聞く。修行がてら天空闘技場に来たら、私も知っている通りヒソカが居た。ここにいる内にゴンがヒソカに借りを返せば、行く予定のヨークシンでのやることは消失する。ただしキルアの口ぶりからすると、その場合でも行く予定ではある。行かなくていいのであれば、ゴン次第で行く必要がなくなる、とかそんな感じのことを言うだろうし。それはつまり、ヒソカに用がなくともヨークシンには行く予定ということ……。

 流れとしては当たらずとも遠からずだろう。ヨークシンに行く予定といっても、まさかオークションに興味が有るわけでもあるまい。まだカタログすら出ていないのだから可能性はほぼ0。

 ではなぜ行くのか? 居るからだ、クラピカが。そう仮定すれば合点がいく。

 蜘蛛に滅ぼされたクルタ族の末裔。その因縁と、彼の内で滾る怨嗟、そして彼の目。

 それを思えばこそ、推察した大まかな事の流れが違っていようとも、クラピカがヨークシンに現れる事は揺るぎない事実。

 限りなく黒に近い灰色が、完全に黒になった。コレでココでやるべきことは残り1つ。

 息を漏らして目を閉じ、外したままだった伊達眼鏡をかけ直す。そうして知らぬ間に僅かに張っていた気を緩め、もうすぐ戻ってくるキルアと、やがて届く注文の品を待った。


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