全く酷い世の中だと僕は思う。
両手の鮮血をそのへんに転がっている同年代の子供の制服で拭い、よいしょっと今まで椅子の代わりにしてた死体から立ち上がった。
街の薄暗い路地はかなりスプラッタでグロテスクに変えられており、そこかしこに血がぶちまけられていた。
あの入学式からかれこれ1週間。
そして僕が始末した転生者はもうこれで5人目になったところだった。
ほぼ毎日1人のペースで転生者に襲われる。
あくまで言わせて貰うが、決して僕からアクションを起こして彼ら転生者を襲った訳でも、襲われる理由を作った覚えもない。
さすがに気になったので、大嘘憑きの副次効果とでも言うのか、何時でも何処からか取り出せるようになった巨大なネジでお話を聞いてみた。
彼曰く、何でもこれから3年後に始まる物語に介入するライバルを少しでも減らすため、弱そうな転生者を殺すことに決めたらしい。
それで真っ先に目についたのが僕で、僕が気持ち悪い雰囲気を持っていたのも決心する理由の1つになったようだ。
まったく、そんなどうでもいい事に覚悟を決めてどうするってんだか。
まぁ彼らには僕の能力の試し撃ちにちょうど良かったし、「他人の能力を奪う能力」も確り確認できたからプラスマイナス0ってところかな?
あぁ、でもどいつもこいつも強い能力は持っていなかった。
聞いたことのない能力だったり、恐らくオリジナルの能力だったりとパッとしない。
今さっき始末したやつがそれなりに便利な能力を持っていたのが唯一の救いだろうか。
本当に球磨川禊の体というのは難儀なものだ。
まだ小学1年生とは言えど、明らかに低スペックすぎる体に、大嘘憑きから発生している初対面でも気持ち悪いと言われてしまう雰囲気。
その雰囲気のせいで僕の両親は随分前から育児を放棄しており、1年生にもかかわらず既にだいたいの身の回りの世話ができるほどだ。
どうもそんな僕の様子を見て更に気味悪がっているようだが、もう他人のようなものだし。
さてと、僕はただの肉塊となった元同級生に近寄ると、無造作にネジを肉塊に突き刺した。
僕もこの元同級生もご都合主義の結界のような能力はまだ持っていない。
そんな結界がない以上、この肉塊の始末は自分で何とかしなければならない。
そういうことを考えると、僕の大嘘憑きはとても便利な能力と言えるだろう。
肉塊に突き刺したネジに手を置くと、能力を使うことを意識した。
『
まだまだ原作の球磨川禊のように上手く能力を使えないため、能力を使うときは声に出さないとちゃんと効果が出ない。
だが口に出せばこの通り、肉塊と撒き散っていた血液はなかったことになり、スプラッタでグロテスクな路地は数分前の状態戻っていた。
現実を虚構に、あったことをなかったことにする能力。
それが原作「めだかボックス」に登場する球磨川禊の能力、大嘘憑き。
正確には球磨川禊の能力は能力ではないのだが、それを説明するのはまた別の機会にしよう。
この世から完全に消えてなくなった元同級生に思うことは何もない。
だって彼は僕を殺す気で襲いかかってきたのだから。
ほらジャンプでも有名だったじゃない?
殺してもいいのは殺される覚悟のあるやつだけだってね。
『だから僕は悪くない』
ニヤニヤと笑いながら、僕は何事もなかったように帰宅するのだった。