日本兵 in the ガルパンworld!!   作:渡邊ユンカース

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別作品執筆中に唐突に思いついたネタです。
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天よりも高く地獄よりも深く

天国

 

このような単語に付けられる印象は様々であろう。

とても幸福な所や死者が向かう場所、さらには戦死した者がそこで仲睦まじく暮らしていると。

しかし、それは人間が定着させた環境に過ぎない。もっとも、それを知ることになるのは死者に限られる話ではあるが。

 

ある小さな会社のオフィスでは人間が忙しく働いている。そろばんを弾き、書類に記入していく。だが異例なことに、ある者は飛行帽を被り、ある者は略帽を被っている。一見おかしな集団だと見間違うこと間違いなしだが、それは現世での常識に過ぎない。

何故なら此処の者は皆一度死んでいるのだ。それは此処だけではなくこの世界全体がそうである。侍の恰好や戦列歩兵の恰好など、そう珍しいものではなくなっていた。

 

「うわぁ、まだやるの?」

「当たり前だろう、納入期限が明日までだ。喋っている時間さえ惜しい」

「だけどもう何十時間も働き詰めとか、僕死んじゃうよ!」

「皆はとっくの……何年前に死んだか?」

「もうドイツ兵の頭がオーバーヒートしてる!?」

 

机で書類を作成しながら会話を交わす飛行帽の白人と野戦帽の白人。飛行帽がドイツ兵と指めしている通り、彼はドイツ国防軍の軍服には鉄十字章が胸元に付けられている。

だが拳銃のホルスターは腰には存在しない。おそらくは死者をもう一度殺す必要はないという一種の気遣いなのだろう。

 

「あっはははは! どうだイタリア兵、どこまで終えた」

「まだ三分の二だよ、てかこれ今日中に終わるの?」

「安心しろよ、俺なんてまだ三分の一すらもいってないぜ。諦めてウォッカ飲んでる」

「「「「ふざけんな!!」」」」

 

イタリア兵が応対すると最悪の返事が返ってきた。その場に居た一同は彼に罵声の言葉を浴びせまくるも、ソ連兵はウォッカの入った水筒を片手に大きく笑う。逆に彼に言ってもただただ労力を消耗するだけ無駄だと感じた一同は仕事に戻る。

そして時計は回り、結構な時間が経過した。

 

「あれ、イギリス兵はどうした」

「イギリス兵ならティータイムだと言ってたぞ!」

「シャイセ!!」

「HAHAHAHAHAHA!!」

 

今度はドイツ兵がイギリス兵の存在を確認する。問いに応じたアメリカ合衆国の紋章を取り付けた軍服の青年が答える。まさかこんな時まで優雅にお茶会といった愚行により、ドイツ兵の胃はストレスで穴が空きそうになっていた。アメリカ兵は白目を剥いて半狂乱的に笑っていた。

 

「どうだ。ティータイムの残りのクッキーを分けよう」

「手前なにノコノコ帰ってきてんだよ!」

「英国紳士にとってティータイムは弾薬よりも重要なのだよ」

「会社のベランダで安いカップとアルミの机と椅子使って味わってんじゃない!」

 

ドイツ兵の叱咤をイギリス兵は紅茶片手に受け流す。その姿はまさに優雅である。一方でアメリカ兵とイタリア兵は密かに快楽同盟を結束、膝下でこっそりとお菓子を頬張っている。その同盟にはモクモクと葉巻を紫煙を焚かしているソ連兵も例外ではなかった。

 

「まあまあ、余りのクッキーはどうだ?」

「貰えるなら貰うぞ!」

「僕も僕も!」

「……おい何だ。その口元に付着しているカスは」

「あっ、やっべ」

「昨日のハンバーガーです」

「嘘を吐くな! お前らこっそり菓子を食うんじゃない!」

「てへっ」

「生前ならお前の頭をスナイパーであった俺が撃ち抜いていた」

「それは勘弁」

「ご、ごごめんなさい!」

 

彼は収集のできないこの状況に思わずため息を漏らす。しかし、その中でも真面目に書類仕事に取り込んでいる男が一人だけ居た。熱帯地用の軍服を着こんだ日本兵である。

彼だけはひたすらにペンを動かしているのが一目瞭然であった。

 

「ほらお前ら見ろ、集中して仕事を行っている日本兵の姿を!」

「……あ、あのー」

「少しばかり言いづらいけどな……」

「そいつ、寝ているんだぞ」

「……は?」

 

日本兵はすやすやと寝息を立てている。だが、書類は適切に記入されていき、一枚の書類の記入事項を終えると次の書類へと手が移る。

その一見恐ろしい光景を見てしまったドイツ兵は唖然とし、少なからずSAN値が微少ながらに下がったことだろう。

 

 

「……無茶しないように頑張るぞ」

「「「「りょ、了解」」」」

 

社畜の鑑とも言えるこの行いに畏敬の念を払いながら、各自の書類作業へと移った。

仕事が全て終わったのが深夜帯だったのは言わずと知れたことである。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それから数日後、イタリア兵とアメリカ兵だけが喜々として集会所で待っていた。機嫌が良いようで体を振り子のように揺らしている。

 

「今日は何の日!」

「ガチャの日だぞ!!」

「「いえーい!!」」

 

ハイタッチを交わしてタップダンスを踊る二人。まあ彼ら以外は普段と変わらない態度であった。ソ連兵は酒を飲み、ドイツ兵とイギリス兵は読書、日本兵は模擬刀の手入れをしている。

唐突に空襲サイレンのようなブザー音が鳴り響き、座っている者は一斉に立ち上がり、集会所に居る一同は姿勢を伸ばして静かに待機する。

 

「神様からのギフトの日が今日だ。諸君らは神様に敬意を払いながら受け取りたまえ」

 

空から翼の生えた天使が降りてくる。初めて見た者もいれば嫌というほど見た者もいる。手元には白紙の紙が出現し、それをジッと凝視する。

 

「まったく、何万分の確立だ」

「日本兵、どうやら兆よりもあるらしいぞ」

「馬鹿馬鹿しく思えるな、まあ日本男児はどんな景品が当たっても嬉しくはないがな」

「それでこそ軍人だ」

 

日本兵は呆れながらドイツ兵と会話を交わす。彼らも何回もこの行いに参加していた者だ。一向に当たりは出ることもなく、気づいたら何十年も経過していた。山よりも高く海よりも深い確立にガチャに対する期待度は底をついていた。

 

「では、最近はやっているという呼びかけで諸君の結果を発表したいと思う。ステータスオープン!!」

 

すると白紙の紙から文字が浮き出て、多くの者が三文字を視認することになるだろう。それはハズレという三文字で、イラつきの余りクシャクシャに丸め捨てる者もいる。そんな者対して天使は愉悦の笑みを浮かべる。

 

「HAHAHA! 人生は甘くないぞ、まあ死んでるが」

「残念だなぁ……」

「いつかチャンスはあるぜ、次だ次!」」

「ソ連兵の言う通り、私らには終わりが無いからな」

「ところで日本兵、黙りこくってどうした。目を見開きすぎてキモいとか通り越して怖いぞ、トンボのようだ」

「…い」

「い? 胃が痛いのか、あとで胃薬をやろう」

「……一等取った」

「胃を取った? そんなの嘘に決まって……は?」

「当たったあああああああ!!!」

「「「「「はああああああああああ!?」」」」」

 

枢軸国連合国問わず彼らは驚愕の雄叫びを叫んだ。それに釣られて集会所に居る全員が叫び、天使は想定外の出来事に冷静さをかき乱した。

 

「ぜ、絶対に当たらないはずじゃ……!?」

「それはどういうことだ!!」

「ふざけるな!」

「天使は死んでるかどうかは知らないが死ね!!」

 

漏らした反応に参加者は怒鳴り声を散らした。本音を零したことに気づいた天使は話を変えるために日本兵のもとへと寄った。

 

「お、おめでとう。ささっ、転移しようか!」

「転移って一等の景品か?」

「そ、そうだ。現世へそれー!」

 

天使の掛け声とともに彼の体が光り輝く粒子となって消えていく。

 

「か、体が!?」

「悲しくなるな」

「うん、楽しかったよ」

「また酒飲み対決しようぜ!」

「HAHAHAHA! 今度は模擬刀で殴らないでくれよ!」

「紅茶の方が美味いことを知らしめることができなくて残念だ」

「ちょ、ちょっと待てい! 俺はまだ部屋の春画集を処分して――――」

 

彼の体は全て粒子となって消滅した。何事もなかったかのように天使はその場から去ろうとする。

 

「おい、お話しようや」

「な、何をかな?」

「とぼけても無駄だァ!!」

「うぎゃああああ!!」

 

暴徒となった参加者に袋叩きにされるくそ情けのない姿の天使がそこにいた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……いきなり何処だ?」

 

一方、日本兵はというと生前使用していた陸王が道路の傍らに置かれてある。それと何故かサイドカーまでもが取り付けられている。辺りを見渡すと日本兵の年代と変わらない田舎で、見ず知らずの土地に降り立った彼は夏の日差しで自身の略帽を汗で濡らし、ただ何事も出来ずに唖然と立ち竦んでいた。

 

 

 




何気に少ない組み合わせ、日本兵の兵科は歩兵で階級は伍長のため、三人称は伍長となります。(ちゃんと名前もあります)
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