日本兵 in the ガルパンworld!! 作:渡邊ユンカース
それとグロテスクな表現もあります。
――――――寒い
いつぶりだろうか、外側から感じる冷気ではない芯から震えるような寒さに周辺の闇具合は。
寒さに関しては故郷の東北の地で体験したものとは概念が違う。
―――――――辛く寒い
俺はこの寒さを体験、いや正しくは経験している。
あの夏の日、俺が力尽きた際に味わった。
真夏で太陽が憎たらしくこの身を炙りつつと共に脱力感にさいなまれて、あんなにも強固であった意識がまるで糸が静かに切れるかのように手放してしまった。
―――――暗くて底がない
そこからである。
俺はこの真っ暗な場所に存在し、ふわりふわりと気球のように宙に浮かびながらこの凍てつく寒さに堪えるようになったのは。
あまりの寒さで態勢をうずくまらせて寒さから耐えようと検討した。
―――――独りか、また
最初は叫び助けを求めたが、声が闇に吸い込まれて音は響かなく無意味だと知った。
俺はひたすらにジッと堪えた。まさに国家にもあるよう石に苔が生えるが如く。
―――――――お腹が空いた。また母ちゃんのご飯が食べたい。
ある時に、俺の身体に大量の何かが俺に侵入してくるのを知覚した。白い人魂のような物体が間断入れずに注しこまれていくのだ。
あまりの量に俺は感じるはずもない痛みを錯覚し、脂汗を浮かばせながら忍ばせた。
それは数百万と数えられる数だった、と神の使いは吐き捨て、社交的な笑みを浮かべていたのを覚えている。
あまりの数量に目がくらみ、卒倒しかけてしまった。大の大人が情けないとは思うがこれを赦して欲しい。
―――――もう痛いのも嫌だ。悲しいのも嫌だ。山ほどしたいことがある。
―――――死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
――――――――――――誰か俺に一片の
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「……何だ。何処だよ、此処ぁ」
あの深淵の淵とは断然違う場所に出た。
上下も横も、そして立体にも着色されて白く明るい。暗闇に巻かれて俺だったが、新鮮かつ色の重要性に再度気づかされる。
ふかふかのベッドで目を覚ました俺は前に何が起きたのかを思い出そうと頭に手をやると、髪の毛や頭皮ではない謎の感触が伝わる。
これは何なのかと取ろうとした途端に、囲うように掛けられていたカーテンが勢いよく開いた。
目の前に居たのは、吹雪を共にした幼子改めカチューシャで、彼女の友人だろうか隣に黒髪で肌白の生徒がこちらを眺めている。
「目を覚ましたのね」
「おい、何があった。何故俺は此処に」
「アンタ運がいいのか悪いのかはわからないけど落雪が頭部に当たったのよ」
「そうか」
「そうか、て簡単に言うけどアンタ東北出身でしょ! 落雪の怖さは重々承知でしょ!」
落雪の怖さは知っている。
屋根に雪が降り積もり、積もった雪の重さに耐え切れずに屋根の斜面を滑り落ちる現象。まあ全ての日本国民が知っていると言っても過言ではない。
しかし、雪がただ落ちてくるだけと油断してはいけない。雪にも質量があり、それが高所から落下して直撃し死亡する事例も少なくはないのだ。
ますます運がないなと思いつつも彼女に謝罪をしておいた。彼女は不服そうに受け入れてたようにも思えるが、頭にある物体を取ることに続行し始めた。
「ちょっと何で包帯取ろうとしてんのよ! 馬鹿なの!?」
「……これ包帯だったのか、素材が俺の使っていたものとは違ってな」
「包帯って易々と材質変わらないと思うのだけど……」
違和感が巡る理由としては常に包帯の代わりにボロ帯を巻いていたのが関係するだろう。医薬品が足りないのが常の戦場でいかに他の物で代用して生命を維持するかが重要であった。
だけど薬の代用は効かず、痛みに苦しみ悶える仲間を衛生兵が麻酔も使わずに腕を切開していたのを覚えている。泣きじゃくりながら父母のことを叫んでいたのが脳裏に焼き付いて離れない。
「ねぇ、顔色悪いわよ。一度病院行ったらどうかしら?」
「いや結構、寝起きだから悪いのだ。他は元気」
この雪の中で病院に向かうこと自体が酷であるとともに俺には戸籍がない。
だから保健証すらも持ち合わせてはいない、何故俺が職につけたかは証明書やらが要らない所で働いていたからだ。
今は西住流という後ろ盾のお蔭で何とかなっている節がある。虎の威を借るキツネだ。
「ところでそこにいるのはカチューシャの友人か?」
「そうよ、ねえノンナ」
「そうですカチューシャ、私はノンナといいます。カチューシャとは同学年です」
「何だと!?」
あまりの事実に仰天し、前のめりになる。
それもそのはず、何せ身体付きが全く違う。
幼女体系で一言で表すと生意気な子供みたいな娘とは対照的に大人しめで雪のような地肌、そして何といっても胸と尻だ。
まだ成長期真っ只中とは思えない容姿に対し、どこに驚かない部位があるというのだ。
「あー! 今カチューシャのこと馬鹿にしたわね! シベリア送りよ!」
「カチューシャ、彼は用務員ですのであまり効果的ではないかと」
「じゃあ先生に仕事サボったとか校内で喫煙してたと言いふらすから」
「それは駄目だ。俺の首が吹っ飛ぶ」
仏の顔も三度目の正直という諺が存在するように、俺はもう二度バレているため次はない。バレたら会議が開かれる暇もなく即刻即日首であろう。
よくも悪くもこの学校自体、校長が絶対なのだと。冷や汗を浮かべながら決死の弁解をこなす俺にノンナから哀れみからか冷やかな視線が突き刺さる。
さながら氷柱で刺されたかのような冷たさである。
「……どうしたら許してもらえる? 示談のモノとしてはお菓子、もしくは忘れ物をした際に隠密に校門やら教室を開けてやろう」
「はあっ!? そんなモノでこのカチューシャ様が買収されるとでも思ってるわけ、二つ合わさっているのは当然のことよ」
「横暴すぎやしないか!?」
「……そうね、ならこうするのはどう?」
「常識の範疇で頼む」
「心外ね、つまり鍋パよ!」
「何だ鍋ぱぁというモノは、意味不明だ。新たに開発された電探か?」
「伍長、でしたっけ名前。要するにカチューシャは鍋をしようと提案したわけです」
なるほど、それなら納得する。
確かに鍋という英単語に祭りやドンチャン騒ぎのことをパーティーと呼称されていた。
簡単に言うと彼女らで鍋を囲むから俺は素材を買ってこいと、いいだろう乗ってやる。
「なら素材は二人分でいいな、それ相応の品を買ってくるから暫し待て」
「何を勘違いしてるのかしら、三人分よ」
「……俺も含むのか?」
「当たり前でしょ、鍋は皆で囲んだ方が美味しいのだから!」
……できる娘だ。あの態度さえなければできる娘で収まるのに、勿体なさを感じる。
けど鍋は何処でするのだ? 悲しいことに鍋は一人用しかないために、此処では開けん。
「場所は此処の用務員室、まあアンタの部屋ね」
「えっ」
「ではカチューシャ、私は部屋の炬燵を温めておきましょう」
「待て待て待て。何故そうなる、鍋は一人用だぞ?」
「だったらカチューシャの家から持ってくればいいじゃない、学校から近いし」
「そ、そうだ授業はどうなった。ほら早く教室に行け、学業を怠るな!」
「もう終わっています。カチューシャの昼寝をした際は放課後です」
ちくしょう、もう放課後なのか。
逃げ道が封鎖されていき、俺に残された選択肢は鍋を囲むという選択肢しか残らないのだがどうしたらいい?
……えぇい!! もうこうなりゃ自棄だ!!
「わかった了解した! 俺が、お前らと、鍋を囲めばいいのだな!!」
「そうよ!」
「カチューシャ案内しろ、鍋と食材は俺が運搬する」
「やりましたねカチューシャ」
「そうね!」
二時間後、俺と彼女らの鍋パーティーが始まった。
とはいったが、食材に関していえば彼女の好き嫌いが影響を及ぼし、うちの県の郷土料理であるカキが鍋に投入できなかった。無念である。
代表的な鍋の食材が鍋の色彩を彩り、食らう。炬燵と鍋は最強の組み合わせで中々に心地がいい。
「おいカチューシャ貴様、常に肉しか食っていないだろう。もっと白菜などの野菜を食え、バリバリと」
「えー、そこまで美味しくないじゃない」
「そんなこと言っていると大きくなれないぞ」
「そ、それは……」
彼女は俺の言い分が正しいことに気づかされると歯切れの悪そうに返答する。
こんなにも高圧的な態度を取る少女だ、威厳に劣らない程の体格を望んでいることは見抜いた。俺の観察眼は高いと自負できるからな。
「ノンナの体格を見ろ、チビ助のお前とはこうも違う。背も高いし落ち着きもある、それに……」
「それに?」
何故だろうか、まだ齢一五歳程度のノンナから溢れ出るこの威圧感は……。
俺は今、彼女の身体的特徴を口走りそうになって慌てて口を閉ざしたが、この言葉を言ったら最後な気がしてならない。
さながら蛇に睨まれた蛙といったところだろう、脇見をしてみたら表情は一切変えずに俺にだけその威圧を飛ばしていた。
どうにか誤魔化そうと脳内の辞書を模索した結果、彼女に該当し失礼にもならないような語彙を引っ張り出して引きつった笑みで話す。
「れ、冷静沈着な判断がこなせるようになるな!」
「そうかしら、身体の成長とは比例しないのだけど……」
「否、それは違うぞカチューシャ。つまり人の身体は食器だと仮定しよう、器が大きければ当然中身に入れる量も増える。それと一緒だ」
見苦しいまでの詭弁を吐く俺のザマをしほ殿がご覧になれば予想がつくだろう。呆れ果ててため息を吐くのが毎度恒例、それに無神経だとお叱りの激が飛ぶだろう。
だけど幸運か、それとも無知なのかは知らないがカチューシャはこの詭弁を信じ、さぞかし不愉快そうな表情を浮かべ白菜を食し始めた。
「流石ですカチューシャ」といった風に激励が飛び、さぞ誇らしげに「ふん、当然ね」と応える。
まあ無理なものは少しずつ挑戦するのが最適解だ。
強制的に強いると逆に苦手意識が高くなる。もしくは食わなくていいとなると大人になっても食えなくなる。
だけど慣れてさえしまえば後の祭り、苦手からちょっと苦手なものに昇華するのだ。
ナスが食えない己を高く棚に上げ、この微笑ましい光景を見守っていた。
カキの鍋って美味しいですよね。
例え、残ったとしても朝のスープにもなりますし。
皆さんも是非ともカキ鍋を試してみたらどうでしょうか、ただしノロウイルスなる可能性が高い生で食すのは控えた方がいいです。