日本兵 in the ガルパンworld!!   作:渡邊ユンカース

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慣れない日記形式ですがお許しを
それと残酷なシーンありです。


日記

十月二六日

 

今日は戦車道の日だった。

あたしはもう何やかんやで三年間休むことなく戦車道をやり続けた。

実際戦車道は小学生の時からやっていてもう六年が経過するんだっけ、後輩たちはすくすくと育ち、自由に戦車を操縦することができるようになっていた。

 

もちろん、カチューシャも例外ではなくて、常に先輩であるあたしにも気を使わないのが腹立たしい。

以前からどうにかしたいと思い、度々注意してもやめない頑固さは異端である。

 

 

 

十一月二日

 

久しぶりの日記である。

何があったかというと寄港の期間で羽根を外して遊びに遊んでいた。

本土の最新ファッションやパフェなどを楽しむことができて満足で日頃の恨みが吹っ飛んだような気がした。

 

あたしが敬愛する高校戦車道の先輩たちも精一杯に遊んだようで、その中の隊長を務める先輩がわざわざあたしのためにネックレスを買ってきてくれて、思わずはしゃいでしまった。

恥ずかしい。

 

先輩は安物だから気にしないでと笑みを浮かべていた。一生の宝物です先輩。

 

 

 

十一月四日

 

今日先輩自らが私にご指導してくださった。

とかいったものも卓上演習のようで実際に戦車で撃ちあうことではないが、先輩は凛々しく鞭撻を振るい戦術を指南してくださった。

 

卓上の駒を動かすために顔を近づける先輩に興奮して思わず顔が真っ赤になってしまい、先輩が体の調子を伺ってきた。

あたしはつい息を荒げながら応答してしまい、今思い出すと失礼なことをしたと後悔している。

けれどあの柑橘系の匂いが髪の毛から匂っていたのを忘れない。

 

 

 

十一月六日

 

他校との戦車道の練習試合があった。

そこであたしは先輩が教えてくださった戦術を試そうとしたのだが、あのカチューシャが反発してきた。当然のようにノンナも一緒。

あの子はまるで航空機のエンジンみたいに騒ぎ散らし、戦術の有用性について説いていた。

 

何様だと口にしかけたが、今まで積み上げてきた信頼や立場を崩してはいけないと歯が痛むほどに噛みしめた。

あたしは作り笑いを浮かべながら妥協してやった。

その後の試合はプラウダの勝利で、カチューシャはどうだと鼻を高くして自慢していてとても悔しかった。激情したかった。

 

けれど今度はあたしが折れずに自身の戦術で勝つこととしよう。

 

 

 

十一月七日

 

今日戦車道はなく自由なひだったため、同じ戦車に搭乗する友達と共に戦車カフェに行った。

そこではプラウダ店特別のT-34ケーキを食べた。甘くて安くて美味しいと学生の味方だ。これを堪能しつつあたしらは生意気なカチューシャの悪口を楽しんだ。

 

やっぱり友達も共感し、よくあの子に絡まれるあたしに同情してくれた。

その後はプリクラやUFOキャッチャーをして遊び、友達関係がよりよいものになったと思う。

 

 

 

十一月八日

 

今日から試験日なので日記は一時休止することにした。一週間頑張ろう。

試験後は戦車道の練習試合が山ほどあるので暫くは気が抜けない。

 

 

 

 

十一月二十日

 

むかつく

ムカついて壁を殴り皮がむけてしまった。

今まではこうして発散していたのに今回はすっきりしない。

まああと五回試合があるからそれに向けて頑張ろう。

 

 

 

十一月二十一日

 

今日も試合があった。

相手は重戦車を数輌持ち合わせたチームで、あたしは徹夜で対抗できるような作戦を考案した。

 

だけど途中でその作戦が破られ、一時だけ不利となってあたしが起死回生の一手を打とうと無線機に手を掛けたが、カチューシャが指示をした。

あたしが考え付いた作戦とはリスクがあり、反対したが押し切られてしまう。

 

結果は勝利、試合後にビデオで戦況を確認するとあたしが考えた作戦を読まれていたようで、迎え撃つための布陣が引かれていた。

もしもこのままであれば敗北していただろう、近くにあった椅子を蹴り飛ばした。

 

 

 

十一月二十二日

 

[ページが塗りつぶされて読めない]

 

 

 

十一月二十三日

 

[ページが塗りつぶされて読めない]

 

 

 

十一月二十四日

 

[ページが塗りつぶされているが多少は白地見える]

 

 

 

十一月二十五日

 

結果はプラウダは二位で終えた。

一位は黒森峰であり、そこには西住流の次期家元がいるという。

だから仕方がない、これは仕方がないことなのだ。

決してあたしが原因で二位という失態を犯したのではない、初戦が黒森峰だったからだ。

 

頭が割れるように痛い、風邪をひいたのかも知れない。

 

 

 

十一月二十六日

 

最近、戦車道内であたしに対して不満の声が上がっているのだという。

何せ黒森峰に敗北したのは隊長であるあたしの不手際だというのだ。

ふざけるな、あたしがどんな思いで策を練ったのかを知らないくせに。

 

そのくせなんだ、カチューシャを隊長にしようという噂が流れている。

あたしが、あたしがあのヘンチクリンより下だと言いたいのなら是非とも轢かれて欲しい。

 

 

 

じゅういちがつにじゅうななにち

 

[赤黒く塗りつぶされており、それは数ページに渡った。莫大な死ねという文字の羅列が埋め尽くしていることがわかる]

 

 

 

十一月二十八日

 

昨日、先輩の会話を盗み聞きしてしまった。

それはつい偶然のことで以前愚痴を吐き捨てた自販機前でだ。

尊敬の値に当たる先輩や先輩の同級生の方と立ち話をしていてつい隠れてしまった。

今思えばあたしは走って何処かへ行ってしまえばよかった。

 

 

先輩の口から飛び出したモノは極めて不愉快極まれりで、視界がブラックアウトした。

何故なら次期の高校戦車道では彼女を隊長にしようという内容で、話を聞いた方も納得していた。

そして新たなる追撃を喰らわせられた。

 

あたしの立場である。

先輩は申し訳なさそうに「戦争に近いこの競技において彼女は不適合だ」と仰った。

 

 

悔しさや怒り、嫉妬が今なお絶えない。

それは水面を乱す沸騰したお湯のようで過激であった。

このことを思い出すだけでペンを投げ捨てたり、折ってしまうなどで三本破壊してしまった。

 

 

 

[ここからは殴り書きで記録され、前の丸みを帯び、整った字ではない]

 

 

もうだめだもう耐えきれない。

 

 

あたしはいつもの仲間とともに行動に出よう、プライドのために奮起しよう。

如何なる障害が立ち塞がってもそれを強引に突破するのが我が校の愛言葉でもある。

入学した当初はこの言葉に疑問を抱いていたが今納得し、この学校の素晴らしさに感嘆せざるおえない。

幸い手段は幾らでも存在する。

 

やろう、やればあたしは再評価され先輩らにも認められる。あの栄光のプラウダの隊長を務められる。

これほどまでに素敵で快活で偉大なことがあるのだろうか、一口で言い表せないほどの栄光が他に存在しない。

行動は明日から実行しよう、あたしが後輩のあの子に淘汰されないようにこちらも淘汰しよう。

これはあたしとカチューシャの戦争、小競り合いというちっぽけなモノでもない。

過程を無視してどちらかが生き残るか、それだけである。

 

 

あぁ、嗤いが止まらない。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日も雪が吹き荒れて視界不良、いつもよりも激しいながらも戦車道は休むことなく続けられた。

暖房完備のガレージで生徒が続々と降りて一日の感想を呟き、また愚痴を溢す。

そんな一人にカチューシャが居た。

 

「ったく、どーして視界不良の中で隊列を崩しちゃうのかしらねぇ……」

「同志カチューシャ、まだ一年生です。それにあそこまでの猛吹雪は久しぶりですので仕方がないことでしょう」

「はぁ、ノンナは相変わらず優しいのね」

 

ノンナは一足先に降りて、ガレージ後方に設営された鍋から温かいコーンスープを貰い、カチューシャに手渡す。

カチューシャは冷えた掌を中身の熱伝導で温め、暫く経過してからコップに口を付ける。

さぞ気持ちよく飲んでいる光景を見て、ノンナはふと顔を緩める。

口にべっとりスープを付けたカチューシャは何かを思い出したのか懐から擦り切れた手帳を出してメモを取る。

 

「カチューシャは熱心ですね、反省点を記した手帳を持ち歩くなんて」

「そりゃあ当然よ。一度目の失敗を二度目に生かす、二度目も失敗したら三度目では絶対に成功させるのが成功の秘訣なのよ」

「そうですか」

 

ノンナはハンカチを手にカチューシャの付着したスープを吹き取る。

彼女は満更でもない表情を浮かべ、手帳に記す。

中にはびっしりと書き綴られていて、戦車道の無い日でも欠かさず見直していたのため手垢が付着している。

書き終えた後、彼女はあの用務員室に赴こうと歩みを始めた瞬間に田辺が声を掛ける。

 

「あらカチューシャ、ちょっといいかしら」

「何よ、カチューシャは早く行きたいのだけど?」

「重要なお話よ、プラウダ高校戦車道の隊長について」

「……わかったわ。じゃあ行くことにするわ」

「感謝するわ」

 

田辺はにっこりと笑う中、ノンナは彼女の異様と呼べる何かを察した。

以前の彼女とは違う別の何かが纏わりついて腹が読めない。ノンナが人の内情を把握できるほどの観察眼を持っていようと今回だけは読めなかった。

ノンナはそれを異質なモノと捉え、警戒を厳とする。

 

「では私も」

「あぁ、貴女はいいわ。今回は関係薄いし」

「だって、先に行ってなさいノンナ」

「……わかりました」

 

疑問が残り万が一のためと提案したのだが田辺に止められてしまう。

不安を払拭できずに胸の内を占領する感情に揺らぎながらもノンナは一足先に伍長が滞在している用務員室へと足を進める。

 

 

カチューシャと田辺、それに田辺と同じ戦車の乗員以外このガレージには存在しない。

吹雪がガレージに貼られたガラスを叩きつける音だけが聞こえる。

ある一人がガレージのドアを閉め、鍵を掛けた。大いにカチューシャを戸惑いさせた。

 

「は? なんで閉める訳よ? すぐに終わるなら別に閉めなくても―――――」

「……貴女ってさぞご気楽なのね」

「えっ――――」

 

混乱に陥いり呆けるカチューシャを尻目に、田辺は鋭い蹴りを放つ。

空手系統の見事な蹴りが腹に命中し、小柄で軽量な彼女は呆気なく吹き飛ばされる。

地面に接地したカチューシャは何が起きたか理解できないという表情を浮かべながら転がった。

どうにか立ち上がろうと腕や膝が震えながらも四つん這いの姿勢へ移行し、生まれたての小鹿のように必死に立ち上がろうとする。

だがその行為が田辺の行動に火を注いだ。

 

「な、なんで……?」

「思ったよりも吹っ飛ぶものね、ならもう一回」

「うっ!?」

 

カチューシャの眼前へと歩み、前に立ち塞がる彼女はまたもや蹴りを腹に放つ。

今回は吹き飛ぶとまでは至らなかったが、先程飲んだコーンスープを嘔吐してしまう。カチューシャの頬から水滴が垂れ落ちる。

 

あんなにも高飛車な彼女がこうも無様な光景に打って変わったことに田辺は愉悦の表情を浮かべ、満足げにけたましく嗤う。

怪鳥の如き甲高い嗤い声はガレージに響き渡り、吹雪に押されるガラスの音が上塗りされる。

 

「アハハハハハ!! なにその汚い姿! 醜いわ、実に醜悪ね!」

「う、うぅ……」

「気高そうに身に合わないプライドをぶら下げてるからこうなるのよ。身で体感するいい機会だわ!」

「ノ、ノンナに言いつ、けちゃうんだから……」

 

カチューシャは呼吸が上手くできないのか拙く言葉を発する。

この第三者に言いつけるという言葉に彼女は反応し、その場でカチューシャと視線を合わせるようしゃがみ込んだ。

そして柔らかい金髪の髪の毛を鷲掴みにして冷淡に、狂気に満ちた微笑を見せつけながら言い放つ。

 

それは一番救いを求められない理由に匹敵するモノであった。

 

「だったらその子もやっちゃうわ。今のと同じことをするわよ」

「ひ、卑怯者……」

「へー、仲のいい二人は果たして耐えきれるのかしら?」

「ぐぅ……!」

 

カチューシャは憤怒が込められた反逆の眼光を向ける。

向けられた当人はつまらなそうにいつもの表情へと直す。

 

「……何よその目気に入らない。まあ今日はやめといてあげるけど」

「絶対に、絶対にアンタにやられて堪るか! カチューシャは強いんだから!!」

「吠える元気があるなら結構。まだ遊べそうね」

 

田辺は幼少期にバッタの足を千切って遊んでいた時と同じ感情を彷彿とさせた。

自分の手に全てが委ねられているのが心地よく、最後には頭をもぎって殺してしまう。

その際は相手が虫だから殺しても無問題だが今度は人だ。もしも殺してしまえば責任や追及が自身に掛かってしまう、毛頭殺すつもりはない。

なので瀬戸際を攻めなくてはいけない。死なない範疇でバレない程度にどれだけ効率的に虐めるのかが重要だった。

 

だから次会う際に「貴女が死んだらノンナにもやる」と脅してやろうと提案、彼女は生き甲斐ができたためか不思議と心が躍っていた。

 

 

 

 

十一月二十九日

 

偉大なる先輩、どうかあたしの戦争を見守ってください。

 




いじめはよくないからやめようね
いじめダメ絶対
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