日本兵 in the ガルパンworld!!   作:渡邊ユンカース

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お久しぶりです。
筆が止まってエタリかけましたが今日も生きています。
あとダラダラ書いていたので誤字やらがあるかもしれません。


発覚

「うあああああああ!!」

 

俺はこたつから跳ね上がるように起きた。

辺りを見渡して、本当にここが現実であるかを確認する。

ゼエゼエと息を切らし身体の至る所から汗が出ているため、背中が濡れてしまって不快だ。こたつで寝ると風邪をひくというのもこれが原因ともいえよう。

まあ汗を掻いた原因としてはあの悪意しかない夢のせいでもある。

 

どうあがいても戦友を救えないという不条理に怒りが湧き出るとともに、喪失感が心を埋めるのだ。

今まで気には留めていたがまさかここまでのモノとは想像していなかった俺は、誰に向ければいいのかわからない殺気と怒りを机に置かれた煙草で解消しようと口にする。

本来、台所の換気扇を回してその近くに居なければ学校のお偉いさんに怒られるが、その後のことなんて気にもせず火を点けて紫煙を吐き出した。

 

煙草の紫煙は脳に響くような快楽を与え、一瞬ではあるものも抱えていた感情をなくしてくれた。しかし、一時的なものなので二回目からは何も感じず、抱えていたモノも帰還を果たした。

紫煙が混入したため息を吐き、しっとりと濡れた頭を乱雑に掻き時間を確認する。

 

「六時か」

 

ちょうどこの時間帯は最後の校内掃除で、この時になると生徒は誰もいない。

文化祭などのイベント前だと多少はいるものも、今日はただの平日だからだ。

俺は目元を抑えながら掃除用具入れからモップとバケツを取り出して、まずは用務員室から校内を掃除し始める。

校内は常に綺麗に保たなければ学校の威信にも関わるからな、精一杯磨かさせてもらおう。

俺は時間経過のお蔭で立ち眩みや頭痛も治り、普段と変わらずに掃除を行う。傍から見ればただの用務員になっているだろう。

 

 

ったく、どうしてこうも雪景色しかないのだ。

年中真冬で雪景色だと精神状態が参るな、あーくそ春の緑や夏の緑がみたいぞ。

こんな寒いと美女の健康的な生足やうなじが見れないし、女子生徒に至っては吹雪の中短いスカートを履いていて可哀想だ。

 

ガラス戸を叩くように吹雪いている外を心の中で愚痴りながら横目で見る。

ここ最近は吹雪は勢いを増している印象がある。例えるなら、今までは子供が叩くような威力から大人が叩くような威力になるものだ。

長年勤めている教師とから訊くと、この時期になると毎年そうで、二十年前に全てのガラスを強化ガラスにする前まで、よく割れていたらしい。

 

まあテレビで見た外国のカニの漁船はカニを求めて極寒の海へと航海し、命がけでカニを獲るのだ。その姿はまさに漢。

ということで、今夜のご飯はカニカマを食べるとしよう。カップラーメンではなく、袋ラーメンにカニカマを添えよう。

最近は酷すぎる悪天候のため、そうそう外には出れない。だからカップラーメンなどの保存がきく食べ物を買い、備蓄しているのだ。

 

 

掃除を始めて二十分、一階の掃除を終えて二階に行こうとモップとバケツを手にした時だった。

 

けたたましい謎の音が近くのドアから響いた。打ち付けたような音だった。

「もしかすると事故が起きてしまった」と考えた俺は掃除用具を離し、急いでドアへと向かって開ける。

しかし、ドアは不思議と開かない。鍵が閉められているのだ。

 

「ええい面倒だ!」

 

至急の出来事だと脳が判断して火事場の馬鹿力が働いてドアを無理やりこじ開けた。

強引に開けたため両腕が痛む。

ドアの先にはロッカーを壁沿いに設置した部屋で、三人の少女が立ち、一人の少女がロッカーにもたれ掛かって座っている。

 

そして、その一人の少女こそ俺に関わり深い人物だった。

やや薄い金髪に同世代の平均より小さい背丈で白雪のような肌、俺はすぐ彼女に近づいて声をかける。

 

「大丈夫か、カチューシャ!」

「ご、伍長?」

 

彼女は俺の顔を見て何か驚いたように目を見開いた後、罪悪感に駆られて目を逸らされる。

何故その行動をとったかを理解できないでいたが、取りあえずは立ちあがらせようと彼女の両腹に手を当てて持ち上げようとした。

 

「痛ッ!」

「ど、どうしたカチューシャ!?」

「な、何でもないわ……」

「……カチューシャ、許せ」

「きゃっ!?」

 

俺は事前に一言詫び謝罪を言ったあと、彼女の服を捲る。

唐突な行動に辺りの女子も驚愕の様子で、カチューシャ自身も驚いて声を上げる。

するとどうだろうか、腹部の白い柔肌には似合わぬ赤黒いアザが露出し、俺は何が起きたのか直感で理解してしまった。

 

「お前ら、何をしてくれたんだ?」

「ご、伍長気にしないで。これは転んだだけだから」

「なわけあるか馬鹿、どうしたらそのアザが残る。少し黙ってろ」

「それは偶然―――――」

「黙れ」

 

カチューシャは伍長から飛ばされる殺気が入り混じる視線に臆し、それが彼女が知っている人物とは違う何かを感じ取っていた。

一度睨まれるだけで鳥肌が立ち、身震いするほどに研ぎ澄まされた目つきは、陽気でどこか抜けている者が出せる代物では断じてない。それこそ戦場や危険な場所に赴いたことのある者だけが出せるもので、麗しき少女が受けとめるには過剰なモノであった。

俺は立ちあがって、三人の生徒に事情聴取をする。

 

「なあ教えてくれやお前ら、此処で何があった」

「はあ? 別にカチューシャがただ転んだだけよ。本人もそう言っているじゃない」

 

茶髪で背の高い少女が俺の問いに答える。

いかにも自分が嘘を言っているくせにやけに堂々としている態度が腹に立ち、怒りを助長させる。

 

「どう見ても転んで腹にアザができるか、それに何かがぶつかる音が聴こえたんだよ」

「それがその原因で―――――」

「ふざけるな!」

 

ロッカーを右手で叩きつけると、丁度外で訊いた音が再現される。

偶然の一致だろう、でもこれで彼女の言論を崩すことができた。

 

「あぁこんな音だったな、聴こえたのは」

「…」

「それにな、転んだだけじゃ腹にはアザがつかない、それはロッカーに打ち付けてもな。だからお前ら、カチューシャを殴っただろ」

「はあ!? なわけないでしょう、私たちは戦車道の仲間よ!」

「とぼけるのもいい加減にしろよアマ。仲間内でもいじめというのは存在する」

「……あのねぇ、勝手にいじめって決めつけないでくださる?」

「そうよそうよ!」

「てか、勝手に女子更衣室に入ってきて何様なつもり?」

 

俺が推測を述べただけなのにこうも罵声やらが飛ぶとは、まさに自分が犯人だと肯定しているものだ。

それに此処は女子更衣室だったのか、気にもしないで入ってしまった。第三者から見れば下着泥棒だな。

だけど、この出来事が明らかになってよかった。これでカチューシャはこれ以上悲惨な目に合わなくなる。

 

 

 

 

もっとも、彼女らには罰を受けてもらおう(・・・・・・・・・)

 

「なあお前ら戦車道って言ってたよな」

「そうよ履修者で現隊長よ」

「あぁ、そこまで指揮が上手くないと評判の隊長さんか。これはこれは」

「何、喧嘩売ってるの?」

「そのつもりだが」

 

隊長と称した彼女は俺の煽りに反応して睨みつけてきた。鋭いが俺を威圧させる分には足らない。

痛いところを突かれたのかはわからないが、これなら持ち込める。

俺はとある提案を彼女らに打ち明けた。

 

「そこで、お前らに有利な提案がある」

「何よ」

「俺と戦え」

「……馬鹿なのかしら?」

「あぁそうさ、俺は馬鹿だ。内容としてはお前らは戦車道、俺は歩兵道(・・・)で勝負ということだ」

「は、はははは!! 何、貴方歩兵道で戦車に勝つの!?」

「そうだ。幸いにも道具や装備がこの学校にあるからな」

 

この学校は昔から戦車道を始めとする分野で栄えてきた経歴がある。

そのため、全国の学校で発足するのに相応しいかを決めるためのいわば選定が行われた過去があり、歩兵道も選定された一つだった。

ある時、倉庫を掃除した際にその一式が揃っており、十年前の物だったが服に穴が空いてはおらず、備品も欠けていない新品そのものだった。

 

「へぇー、面白いじゃない」

「だろう、お前らが勝ったらこのことは言わないでやる」

「じゃあ貴方が勝ったら?」

「このことは俺が理事長に直談判する」

「……いいでしょう、受けます」

「決まりだ。明日にでも行うか?」

「何を言うのかしら、今日に決まってるじゃない」

 

彼女は不敵な笑みを浮かべる。笑みには狂気ともいえようモノが混じり、不純な笑みとなっている。

俺は思ってもいなかった回答に笑顔で返す。俺の笑みにも狂気と殺意が混じっていた。

 

「ねぇ、皆もいいでしょ?」

「う、うん」

「わ、わかってる」

 

彼女は笑みを浮かべつつも威圧して他の者も言われるがままに一つ返事で返した。

動揺しているのが目に見えるが、彼女の威圧の前では言われたままを肯定するしかできずにいて、お気の毒と普段なら感じていただろう。

だが今は違う。眼前にいる敵に対し情けなどを掛けてみろ、むしろこちらが容赦なく殺されるに決まっている。

俺が昔したのだ。相手もするに決まっている。

 

「じゃあルールを決めておきましょう、なるべく私も早く行いたいの」

「いいだろう」

「行動制限としては雪原ゾーンと隣接する廃村だけ。あまりに広いと索敵が大変だわ。だって非力な蟻は逃げてしまうから」

「別段構わない、毒牙と毒針にかけてやろう」

 

舐めたようにこちらを嘲笑を浮かべながら言うのでこちらからも言い返す。

やられたらやり返す、あいにく黙秘したまま耐えることはできない性分なのでな。

 

「そちらからは何かないの?」

「対戦車ライフルの使用、または火器の使用と近接武器の使用」

「全部許可するわ」

「わかった」

 

全てを許可するとはなんて優しい。これで奴らを蹂躙できそうだ。色々な策が思い浮かぶ、昔と比べれば使用できる火器が多いから、どう混乱に落とすか楽しみだ。

……そうだ、歩兵道の注意点を話さなければならないな。

 

「ちなみに撃破されたらブザーを鳴らして、体の各所が赤く光ることと履帯で踏んだらすぐに退け、死ぬのでな」

「残念ね」

「十年前の一品だ。当たり前だろう」

 

 

全てのルールを各々確認した後、俺はカチューシャを背負い先に女子更衣室を出た。

それぞれ準備があるからだ。

カチューシャはまさかこのような展開になるとは想定してはいなかった。自身が原因の出来事に伍長を巻き込んでしまい、彼女は心を罪悪感に押し潰され、泣きじゃくっていた。

 

「ごめんなさい!ごめんなさい!!」

「そう泣くなカチューシャ、俺が喧嘩を売ったから戦うのだ。お前のせいではない」

「けど!」

「安心しろ俺は負けない、だって強いからな」

「無理よ、戦車に生身なんて!!」

「はっ、俺は元軍人だ。たかが素人が操るたった一輌の戦車なんて造作でもないぞ」

 

 

沖縄戦において、俺は一度だけ戦車と戦ったことがあった。

砲塔と車体に取り付けられた機関銃が俺目掛けて飛んでくるのは恐ろしく、ずっと物陰に隠れていた。

石壁を削っていく様子は鮮明に覚えている。

 

距離を詰める戦車に半ば諦めかけていた時に偶然、誰かが埋めた対戦車地雷が起爆し戦車は履帯を切られ動けなくなった。車内の混乱に乗じて俺は素早く後部へと回り込み、キューポラを強引にこじ開けて手榴弾を中に入れた。

戦車は中の弾薬に誘爆し、高らかに爆炎を上げて爆ぜた。爆発時の破片が頬を掠めたのを覚えている。

その時と比べればどうってことはない。

 

用務員室で消毒液を当てて彼女の処置を済ませ、俺は歩兵道の遺物を取りに倉庫へと足を進める。

また姿見鏡に自分の姿が映る。その鏡に映された俺は軍服のままで血肉が付着していない、むしろ満面の笑みで生き生きとしていた。

 

「生きづらいな」

 

平和に馴染めない自分に呆れて大きくため息を吐いた。

 




ガルパンとパンプキン・シザーズのSSが消えてしまって悲しい。
あれ面白かったのに残念です。
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