日本兵 in the ガルパンworld!!   作:渡邊ユンカース

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久々に書いたので文章が稚拙かもしれませんがお許しを。


伍長、地に立つ

「……何処だ?」

 

俺は目をゆっくりと開けると見知らぬ白い天上を見つめ、アルコールの香りを嗅ぎ取る。

非常に体が重いなか、冬眠明けの熊のように上半身を起こし、辺りを見渡す。

周りは白いカーテンが引かれて外から遮断おり、隣の机にはテレビが設置、また机の中に冷蔵庫らしき機械も内蔵されていた。

脚には布のような物が巻かれている感覚がある。きっと包帯だろう。

徐々に以前、何が起きたのかを鮮明に思い出していく。

 

あぁ……。俺はあの戦闘を終えた後に倒れたんだっけか。

カチューシャが救急車を呼んで俺を病院に移したのだろう。

そういえば現代の日本は救急車を呼ぶのにお金が掛かるのだろうか?高額請求されないかが不安だ。

 

どうでもいい不安を抱きながら、ふと腕に視線を映すと点滴が打たれているため行動しづらい。元気なので不要だと感じた俺は無理に引っこ抜こうとチューブに手を伸ばす。

 

その時であった。

 

「伍長!!」

 

カーテンを勢いよく開ける小さい姿。

小さな物体は活き活きと俺の元へ近づいて俺の頬ばかりを抓っていく。

 

「元気になったのね!よかったわ!」

「おはようだカチューシャ」

 

嬉々として俺の頬をいじるカチューシャは愛らしいが、これでも中学生だという事実を忘れてはならない。

子猫が親猫の尻尾で遊ぶように何度も何度も頬をいじり続ける。

最初は何ともなかったのに回数が増える度に頬が痛くなる。これが地味に痛いのでやめてほしい。

 

「同志カチューシャ。元気になったとはいえ彼は患者です。ほどほどにしたほうがいいです」

「それもそうね!」

 

あとからノンナが現れ、カチューシャに注意を促す。

するとカチューシャは彼女の指示に従い俺の頬を抓るのをやめた。

しかし、カチューシャがいじるのをやめると今度はノンナが接近して俺の頭に手を伸ばした。

 

何をするのだろうか、流石に年下の少女に頭を撫でられても反応に困るのだが。

まあ役得と考えておこう、普通だったらされないと思うし。

いかにも俺は典型的阿保な考えをしていたが、数秒後にその考えは崩壊することとなる。

 

「イタタタタタタッ!?」

「心配を掛けた落とし前です。受け取ってください」

「頭潰れる!!」

 

彼女が行ったのは俺の顔面を掴み、力を込めるといった荒技だった。

思ったより彼女の握力は強く、親指で指圧されているこめかみが物凄く痛い。陥没してしまうほどの握力である。

俺は必死に制止を促すもこの行為は一分近く続き、ようやく離してくれた時には俺はうっすら顔を真っ赤に染めて頭を押さえて悶える。

 

「ノンナぁ、患者をいじめて楽しいか……」

「……では私からもいいましょう。私たちを心配させたくせにどの口が言うのですか」

「うっ……」

 

あまりの正論に俺は絶句した。

まあそれも当然だろう。脚に砲弾の破片が突き刺さり、機関銃の弾を全身で受け止めたわけだ。

痛みには慣れているからそこまで心配しなくてもよかったのだが。

まあ生きているからあっさり許されるだろう。

 

「けどそれはカチューシャを守るためで」

「貴方、自分がした行為を覚えていますか」

 

彼女は頭よろしく首元を掴み俺を寄せる。

凍てつくような顔からは想像できない剣幕で俺を睨みつける。

このような展開になるとは予想はしていたのだが、俺はとある別の理由で驚いていた。

何故なら眉間にしわを寄せて怒っているにも関わらず目には涙を浮かべていたからだ。

 

ノンナは声を震えさせながらも俺に向かって言い放つ。

 

「貴方は後のことを考えてください! 少なからずこうなると考えることができたでしょう!!」

「だって俺は馬鹿だからこういうのしかできないから仕方がない」

「それなら、それなら私とかにも相談すればよかったじゃないですか……!!」

 

溜まっていたモノを全てぶちまけたのか彼女は嗚咽を漏らし、涙を流しながら俯いてしまう。

自然と首元に込められた力が緩くなり、ついには剥がれた。

俺は彼女の頭に手を置いてポンポンと優しく叩き撫でる。

 

「男の俺がこういうのをするのは浅はかだろうがあいにく俺はこれしかできん。すまないな、迷惑をかけてしまって」

「本当に、貴方は馬鹿なんですから……ッ」

「よく言われる」

 

笑みを浮かべて絹糸のように滑らかな彼女の頭を撫でている反面、俺の中では不甲斐なさと申し訳なさが渦巻いていた。

もう少し俺に学があれば穏便かつ誰にも迷惑をかけずに済んだかもしれない。

もう少し俺に冷静さがあれば彼女を泣かせずに済んだかもしれない。

どうにも言えないような感情が込み上げてくるが、一つだけ確かに別のモノが存在した。

 

 

 

けれど俺はこうも大事にされていたなんて、なんて俺は幸せものだ。

 

 

「ノンナ、お前はいい女だな」

 

このことを告げた途端、一筋に光る流星は辺りを照らし暗闇を光で塗り替えた。

自然と心が温かくなっていき、目元が潤んできて視界がぼやける。

あぁ、これはマズイ。耐えられない。

俺はノンナに釣られたのか、それとも自分の在り方に歓喜したのか、あるいはどちらもなのか涙が零れてくる。

 

「ったくノンナだけじゃないのよ、心配してたのは」

「すまんなカチューシャも。要らぬ心配かけてしまって」

「別に要らない心配じゃないんだから。これは当然なの」

「馬鹿野郎、さらに泣かせるな……」

 

この言葉に心打たれたのか涙の生成が早くなり流す涙の量が増した。

青白い病院服どころこシーツまでも俺の涙で濡れてしまい、少し冷たい。

けれど感動はそんなことおかまいなしに涙を止めない。まるで決壊したダムのように俺は涙を流し続けた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

現時刻は七時

 

「退院したらまた鍋を作ろう」とカチューシャたちと約束を交わし、彼女らが帰ってからというもの、俺は暇になってしまった。

 

美味しくない薄味の病院食を喰らった後に医者が来て健康状態を聞かれた。

しかし健康状態といえば健康そのもの、体の重たさも幸福感からか何処かへ吹き飛んでしまった。

それは幸せそのもので、理由としては西住家以外にも居場所ができたからだ。

 

そして懸念していた救急車の料金はいくらかと訊いたら医者は目を丸くしたあとに笑われてしまった。

どうやら税金で無料らしい。いい時代になったものよ、俺の時には貧乏人は保険すら入れなかったからな。

 

適当に持ってきた漫画本を読んでいる最中にカーテンが開けられた。

開けたのは黒いスーツを着用したしほ殿だった。

彼女は備え付けの椅子に座り、紙袋から紙皿にリンゴと果物ナイフを取り出してリンゴを剥き始めた。

 

「いやすいませんねしほ殿、俺のために病院まで足を運んでもらって」

「いえ、家の者が怪我をしたらお見舞いに行くのは当然です」

「ははっ、涙腺が尽きてしまいます」

 

リンゴを剥き終えて皿にリンゴを並べると彼女はつまようじ代わりといって果物ナイフをこちらに渡した。

おそらくはつまようじを忘れたのだろう、思わずつまようじの件を言いそうにはなるも言ったら怒られそうな感じがするので口を閉ざした。言わぬが仏だ。

 

果物ナイフを器用に使って口を傷つけないよう食していると彼女はある紙をこちらに提示する。

俺は受け取り、片手でナイフを持った奇妙な姿で長々と羅列する文字列を読む。

そしてその内容を理解してしまった。

 

「……解雇届か」

「はい」

「……ふざけるな」

「…」

「ふざけるなよ!」

 

紙を手にしたナイフで突き刺してからも下に引き裂いた。

ふつふつと腸が煮えくり返るほどに激怒して、さらに紙の無残に引き裂かれた残骸をより細かく千切っていき、ゴミを増やした。

それでも怒りは収まらず、ベッドを渾身の力を殴り続ける。埃が部屋に舞い散っていく。

 

「伍長落ち着きなさい。本来なら貴方はプラウダに居られました」

「本来ならだと!? 俺は解雇されたのだぞ!!」

「しかしあることで事が変わりました」

「何なんだそれは!!」

 

日頃から敬語を使っているのを忘れ普段通りの口調に戻る俺。それほど俺には小劇的なものだった。

怒り狂う俺を落ち着かせるように諭すようにしほ殿は内容を告げる。

 

「……女性生徒の体内から麻薬の陽性反応です」

「麻薬!?」

「はい、体内だけではなく生徒の部屋や車内からも検出されました」

「なんでガキが持ってんだ! この現代日本は麻薬の類は一掃されたはずじゃないのか!」

「インターネットの普及で入手がより簡単になったのです」

「じゃあなんだ俺は! 俺は麻薬のせいで解雇されたのか!?」

「えぇ、情報漏洩を防ぐために」

「ふざけるな、ふざけるなよ……ッ!!」

 

先程まで幸せにであったのに数時間程度で思わぬ不幸へと爆撃機のように急降下。そして生身に爆撃を喰らったかのような衝撃を受ける。

 

この突き付けられた非常な現実に俺は頭を抱えた。

せっかく、俺が幸せを見いだせたというのにこうも破壊されてしまうなんて。何故こんな目に遭わなければならないのだ……!

 

悔し涙と悲涙が合わさり、音にもならない嗚咽を漏らしながら泣き続ける。

彼女は哀れにも思ったのか俺から目を逸らしながら告げた。

 

「けれど、口止め料として貴方のもとには多額のお金が舞い込みました」

「そんなの要らないから俺を戻してくれ…新たな居場所を見つけたのに……」

「……」

 

彼女はそんな俺を見ていたたまれなくなったのか、椅子から立ち上がり外へと出て行ってしまう。

その場には頭を抱えて悲しんだ男だけがいた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『もしもし』

『あら久しぶりね西住流』

『……何の用ですか。島田流』

『不愛想なのは変わらないのね』

『大きなお世話です』

『時に貴方、伍長とかいう男性を面倒見てたわよね」

『……監視ですか気味が悪い』

『島田流は忍者戦法よ、諜報も欠かさないわよ』

『それで、うちの臨時剣道指南人がどうしたのですか。寄越せと言われても渡しませんから』

 

『……貴方、彼から手を引きなさい』

『……仰る意味がわからないです』

『何、至極簡単なこと。彼は危険よ、さっさと手放してほしいの』

『貴方らしくありませんね。変なものでも食べましたか?』

『至って健康体ですよ、常に強面の人とは違って。これは一人の友人として忠告しとくわね』

『…』

 

『彼は西住家で飼われている忠犬じゃないの。彼はただ自分に好都合な環境(・・・・・・・・・・・)を与えられて(・・・・・・)いるから傍にいる狂犬よ(・・・・・・・・・・)

『……ただの身内の悪口なら容赦しないわ』

『甘いわよ貴女、確かに彼と接触していない私には彼のことはわからない。…だけどね彼はいつか暴走して大きなことをしでかすわ。これだけは肝に銘じておきなさい』

『……ご忠告感謝します』

『じゃあ今度ご飯でも行きましょう。貴女の奢りで――――――』

 

プツンと電話は切られた。

 




感情に弱い主人公。またの名を号泣系主人公。
もしかしてガルパンSSの主人公中で最弱では?

まあゴールデンカムイの杉本とパンプキンシザーズのランデル伍長を合わせてみた主人公だし……。
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