日本兵 in the ガルパンworld!!   作:渡邊ユンカース

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みほは中三、まほは高一という設定でお願いします。



乗船 黒森峰

「うーん、やることがない」

 

現在、俺は熊本の港にある小さなカフェでコーヒーを啜っている。

ガラス越しからでもわかるように、巨艦の艦が一隻停泊しており港全体に己を知らせるように威圧感を醸し出している。

 

俺の再就職の場はあの艦である。

正体をバラすと黒森峰の所有する学園艦であり、その学園の用務員として働くのである。

しかしまあ、学園艦というのは改めてみるとデカいものだ。空母や戦艦の大きさを優に超す。全ての学園艦に共通することといえば住民がいることだ。農作物とか潮風で駄目になったり鉄が錆びやすそうな環境ではあるが住みやすいのだろうか。

 

艦の荷物やらを船外に出し終えたらしく、生徒や住民がぞろぞろと陸地に上陸を始めた。俺は煙草を灰皿に押し付けてゆっくりと立ちあがる。

そしてちゃっかりシュガ―スティックを一本ネコババし、会計を払った。野宿で調味料は必要だからな。カレー粉もあったりする。

 

「んじゃ、みほでも捜すか」

 

駐車場に停めていた陸王を引っ張り、人混みの中から妹分であるみほの捜索に移る。

かなりの人数が学園艦から放出されているので目移りする。同じ制服の生徒もいるので厄介だ。失敗したな、事前にどの服で来るのかを調査すればよかった。

 

ふらりふらりと捜索をして十五分、前方に明るい茶髪の女子生徒を見つけた。彼女も首を右往左往に振って誰かを捜している様子だ。検討はつく、みほだろう。

だが、このまま普通に行っても面白くはない。どれ、少しだけ驚かしてやろう。

ひっそりと心の底から溢れる悪戯心に支配された俺は麻袋の中からいつの日にか装着した丸いサングラスをつけ、戦闘帽を隠す。

 

ちょうどよく彼女が後ろを振り向き俺が視線から完全に消えた。今だ。

 

「やあお嬢さん、俺と供に銀ブラしませんか?」

「ふぇっ!?」

 

突如声を掛けられたのか彼女は目を見開き困惑している様子だ。

アタフタと慌てている仕草が可愛らしい、あの時とは少し様子が変わったが可愛いものは可愛いものよな。

にしても、以前ナンパをこれで行ったら「銀ブラ何それー」「銀だこのことじゃない?」「ならタピオカだよね」という返事が返ってきた。可笑しい、きちんと銀座で言ったのに。

 

「あ、いやその! ある人を待っていて……」

「ふっ、その待ち人はこれのことかな」

「あっ!?」

 

サングラスを外し、戦闘帽を被るとみほは察しがついたのか声を上げる。目をそんなに見開き口をあんぐり開けて、まったく元気な生娘め。

 

「伍長さんずるいですよ!」

「ふっ、すまないな。でも、こんな骨董品に近いバイクで気づいて欲しかったのはある」

「だ、だって……」

「ふっ、冗談だ」

 

やはりみほは可愛いな。

そういや未だにあのクマのぬいぐるみを好んでいるのだろうか、確かボコだったな。殴られっぱなしで見ててやるせない気持ちになる。

俺がボコの友達なら代わりにボコボコに……あっ、そういや自分から喧嘩売ってたわボコの奴。救いようのない阿保だ。

 

「さっ、学園艦を案内します。ついてきてください」

「了解」

「もー、堅苦しくしないでくださいよ」

「せめて妹分にカッコよく振る舞いたいのだ」

「むぅ」

 

彼女は頬を膨らまして怒ってますよと表現する。

はははっ、可愛げのあるやつめ。突いてやろう。

人差し指で膨らんだ頬を突いてみるととても柔らかい、乙女の肌はこういうものなのか。まあ一度だけカチューシャにもしたが、あれは乙女ってか女児だし……。

おっと、流石に恋愛対象にはならんよ。両者とも。

 

何処かの暴君の側近を努める雪女が聞いたら俺は冷ややかな目線を向けられ、彼女から溢れかえる威圧感に気圧され、やがては押しつぶされるだろう。もっともそう簡単にはやられないが。

かくして俺は艦内?いや甲板へと案内されるのであった。

 

 

学園艦内、というか甲板はドイツを模したような建物が所狭しと建築されており、レンガの家とかも存在した。

気分としては海外旅行といった感じだ。無論、行ったことはないがな。

しかしまあ、学園艦は国に当てはまるような外観にしなければいけないのだろうか。イタリアを模したアンツィオ高校もそうだった。

ドイツ兵に見せたらきっと喜ぶだろう、アイツの死に場所はスターリングラードだったからな。

もしや歓喜余って踊り狂うのではないか?あの堅物。

 

「伍長さん」

「何だみほ?」

「バイクの旅はどう?」

「あぁ、楽しかったよ。痛いこともあれば嬉しいこともあったさ」

「じゃあ後で聴かせてもらえませんか?」

「いいぞ、にしても口調がやけに他人行儀だぞ。俺には砕いた口調で話してもいいのだぞ」

「あはは……。善処するね」

 

彼女は自嘲気味に笑みを浮かべる。

まあ察するに大変なんだろうな、戦車道ってのは。体育会系の競技だから血気盛んな者を事を荒げることなく何事も治めるのが大変なのだろうな。

軍隊ならまだしも学生の競技だからな、下手にはできないか。

 

けれど、彼女の息抜きには俺の存在はうってこいなのだろう。まほは高校上がったから今は大変だろうし。入れる隙間がないのもあるし、半端に俺が介入したら逆に迷惑になると思うし。きちんと機を見て接してみよう。

 

彼女の学園でのあり方について考えていると香ばしいビールの匂いが鼻をくすぐる。そういえばビールが有名だったなドイツは。

キンキンに冷えたビールを飲むのもいいかもしれない。あいにく、今日はバイクに乗らないから飲酒は可能である。

 

「みほ、ビールの匂いがするから飲んでくるな。飲みに行こうかな」

「あっ、じゃあ私も」

「……みほ、お前も悪いことして箔をつけようとしているのか。うん、煙草と薬以外は基本許すが酒の量については言及するからな」

「いやいや違うから!」

「何故だ?」

「アルコールの無い疑似ビールだからね!」

「なるほど、若くしてビールの味を覚えることにより酒などの需要を高めようとする政府の策か……」

「もう!そんな難解に考えないで、ただのジュースだから!」

 

少しみほを揶揄うと彼女は怒涛のツッコミをいれているためか、顔を紅潮させている。ゼーゼーと息を切らしている姿が数十秒後に存在した。

やはりみほは面白いな。話してて飽きないぞ。

とまあ、俺も久しぶりの再会で心が高揚しているのだろう。少し落ち着かせるため、ビールを飲みに行こうという意思がより強調された。幸いにも、みほも食べられそうなものがあるらしい。

余計に高揚しそうだとは思わない、思わないようにしている。

 

「よし、ではみほの分も俺が奢ってやろう。さあ行こうではないか、麦の成長ぶりを喉で感じようではないか」

「え、えぇ……」

「安心しろ金ならある。ちょいとばかし汚れた案件で大金を得たがそれはそれ。金は社会の血液でな、俺が出して少しでも多くを循環させてやらなくてはな!」

「あ、あはは……」

「ということで道案内頼む」

 

みほは昔からこういう人柄だったなと達観した目で俺を見る。何故彼女が幼いときに、彼の言動や思想についていけたかが不思議である。常識がついた今となっては理解できないでいた。

彼女は俺の言われたとおりに目的地まで案内していく。

 

 

俺がビールを口に含めたのは十分後の出来事であった。

露店だろうか大型の車を台所代わりに使う店で、そこからビールの匂いや肉を焼く匂いが漏れている。

その店のすぐ近くにベンチやテーブルがいくつもの点在している。

アンツィオ学園で食べた時とと一緒だな。そういえばあの娘たちは元気だろうか、学園の戦車道はどうなったのだろうか。

 

手渡されたビールは琥珀色に輝き、炭酸特有の気泡がコップの底から上へと目指し浮上、そしてビールが酒類の王様であることを主張するように泡の冠が零れそうになる。

脳内ではどんな味や風味がするのかと期待が高まり、目を輝かせるとともに余計涎が分泌される。

 

先に購入していたみほはハンバーガーを美味しそうに食べている。

値段の方を確認したらそこそこの値段でかなりの大きさのハンバーガーが出てくるからな。食べ盛りの学生の味方だ。

 

木製の椅子に座り、手にしていたコップを口に近づける。独特の匂いが鼻をくすぐり、我慢ができなくなる。

もう限界だ。

容器を傾け、ビールを口に流し込む。味は予想以上のコクが脳を刺激し、舌に炭酸のシュワシュワとした感触を受ける。

 

最高だ! まったくもって最高だ!

 

この世のできとは想えない美味しさに舌鼓を打ち感銘を受ける。一度口から離すと再度飲めという悪魔の催促が己の理性を揺らす。俺は易々と屈して催促されるがままにビールを瞬く間に飲み干した。

 

「美味い、美味過ぎる!」

「よかったね伍長さん」

「あぁ、もう一杯買ってくることにしよう」

 

俺は注文、購入、飲食を数度繰り返す。

回数が経つたびにレジの女性店員が徐々に引き気味に笑みを浮かべて、みほは何かを察したような顔つきになる。

一時間経過した際には足はふらつき、顔に赤みを帯びてきた。単刀直入にいうと酔ったのである。

元々俺は酔いには強いのだが限界は勿論ある。視界はもうぼやけ始めている。

 

「もう飲めん……」

「そりゃあ何度も飲み続けるから」

「あぁー明日来て飲もう」

 

みほが察していたことが見事的中した。流石は西住流である。

さて、そろそろ行くか。新しい家を確認してから即寝よう。風呂は後でいいな。

その前に高ぶる気持ちを静かにさせなくては。流石にこの高揚ぶりでは何らかの事故を起こしそうだ。

 

「みほ、悪いが此処で暫時待てくれないか?」

「どうして?」

「喫煙さ、喫煙」

「えーと確か喫煙所はそこの通りを右に曲がって、二度目の交差点を左折したらあとは真っ直ぐだよ」

「わかった。小遣い渡すから何か購入しててもいいからな」

 

俺は財布から取り出した千円を彼女に渡して喫煙所へと向かう。

その道中、昼間から酒の匂いをまき散らす俺を羨ましがる通りかかりのサラリーマンに、昼間から酒を飲む俺に嫌悪感を顔に出す中年の女性。反応様々な反応には共通点として俺の存在自体が異質であるといった感じだ。

 

正直慣れた。俺を厄介払いにする人間は少なからず存在したからな、無論戦争の時ではない。

 

何故慣れてしまったかといえば、家族の結核だろう。

俺は小さな集落で産まれ育った。家は農家ということで金が無い、保険という便利なシステムが存在しない当時では俺ら家族は町医者で診察されるだけの生活を送った。いやむしろそれが昔の常識だった。

ある時に母親が結核になった。しかし入院させる金はない。

そのため結核は母親から父親へと伝染した。入院させる金銭すらなく、家で一日中寝かせていた。

二年後に母親が死ぬと、後を追うように父親が死んだ。

 

不幸中の幸いとしては俺は何故か結核には罹らなかったのだ。医者は珍しいと口にしていた。

しかし、結核に罹った家族を許容できるほど村は優しくはなかった。俺は持っていけるだけの荷物を背負い、からぶき屋根に松明を投げ込む、病原菌が蔓延している恐れがあるからだ。家は離れにあるため山火事などの二次災害はなかった。

囂々と燃え盛る我が家を尻目に俺は関東へと足を運んだ。何処かでひっそりと生きれればいいと考えていたからである。この出来事の時には俺は齢十二歳であった。

 

もしも何事もなく育てば俺はあの娘(・・・)と婚約できたのだろうか。

記憶をぶり返して考えていたらいつのまにか変な路地に来てしまった。辺りを見渡しても薄暗く、街頭が二本ある程度だ。壁にはわけのわからぬ絵が描かれ、英語も書かれている。

 

しまった。道に迷った。

しかしどうしたらこんな変な道に辿り着くのか不思議にならなくもない。取りあえずは踵を返して戻ろうと帰路につこうとする。この際、喫煙は諦めてみほと合流しよう。

流石に長く待たせてはいけないからな。俺はペチンと両頬叩いて活を入れる。

 

 

「キャッ! やめて!!」

 

誰かを求める声が小さいながらも聴こえ、俺は思わず目を細めると同時に酔いも覚ます。

こんな人目もつかないであろう路地に加え暗い場所、声質が高かったことも考慮すると女性だな。

外道じみた輩には正義の鉄拳を与えなければならない。

先程までは千鳥足だったのに対し、今の俺は走って音源まで向かう。

 

さあ、天に代わって誅罰をくだそう。

半ば大戦時の虚ろで狂気に満ちた瞳へと移り、戦いを求める狂犬の如く嗤った。

 




神などの人間を超越した存在が、悪行を行った人間に対して誅伐を下すことを天罰で人間が神に代わって罰するのを天誅といいます。
最近ではfateのあるキャラが検索ワード数を持ち上げましたね。
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