日本兵 in the ガルパンworld!!   作:渡邊ユンカース

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前の話で誤字が酷かったため初投稿です。
SM本をSN本と間違えたりしてました。(訂正済み)
何故fate本になったのか、これがわからない。


透明な夢と殺意

……今度はこの夢か

俺はため息を吐きながら見慣れた風景を見渡すと、周りには何処にでもありそうな民家と田んぼや畑の存在があった。稲は収穫期を迎えたので黄金の種もみが風で揺れて、大海の波のようにうねりだす。まさしく黄金の波だ。

 

少し歩くと目の前に若い()が居た。小さな駅の駅前で佇む俺の恰好は大きめの麻袋を肩に掛けて戦友から借りた帽子を被っており、清潔感を表すために白いワイシャツに黒のズボンを穿いている。そして片手にはお土産ともいえる紙袋を所持していた。

確かこの場面は村を出て五年が経過した頃で、ちょうど軍の休暇申請書が認可されたな。

俺が過去の俺の目の前にひょいと現れても、過去の俺は俺のことが見えていないのか表情を微塵も変えない。声を発しても反応はない。……まあ予想はしていた。

 

過去の俺と俺はバス停でしばらく待つと本日の最終バスがやって来て、それに乗車した。俺も姿を見られないなら、と考え俺も乗車した。完全な無賃乗車である。

車内には俺と過去の俺以外の乗客は見受けられず、過去の俺は適当な席に座り、俺もその隣に座り込んだ。バスの扉はゆっくりと閉まり、ゆっくりと動き出した。道路はろくな舗装が成されていないため、道中ひっきりなしに揺れている。しかし、過去の俺は懐かしの故郷に胸を高鳴らしていてずっと外ばかり眺めていた。

 

俺は当時の若い俺の純朴さを羨ましく見つめる。戦場で身を汚してしまった俺が失ったモノの一つが純朴さだからだ。当時まだ誰も殺めていないその手は瑞々しく綺麗であるが、その点俺の手というものはボロボロでなおかつ乾燥していて醜いありさまだ。

バスは荒れる道を進んでいくこと五十分、最後のバス停に到着した。

 

「こちら終点です。お忘れ物のないようにしてください」

 

運転手の声が車内に響いた後に扉が開いた。外へ出てみるともう夕日は沈み辺りは暗い。そこは森に囲まれているため辺りは鬱蒼としていて不気味だ。過去の俺は唇を吹きながら麻袋の中から懐中電灯を取り出して慣れ親しんだ道を力一杯踏みしめて進んでいく。バス停から二十分歩いたところに村があるからだ。

 

だが山道を進んでいる最中、一人の竹籠を背負った老人と遭遇した。俺はこの老人を知っている。この人の名前は権蔵さんで子供の頃によく竹とんぼや竹馬を作ってくれた。権蔵さんは過去の俺の顔を見て驚嘆の声をあげる。

 

「おおっ!? ###。生きていたか!?」

「権蔵さん久しぶりです」

 

権蔵さんが俺の本名を呼んだ瞬間に名前の代わりにノイズが耳に響き始め顔を顰める。ノイズは俺の本名を聞かせまいと全力で抵抗している様子だ。俺の本名をやっと知ることができるという好機がこのように妨害されるのは無性に腹立たしいことだ。俺は舌打ちを鳴らし、足元の小石を蹴飛ばした。

 

「両親が結核で死んでから何年も経過していたが、大丈夫だったのか?」

「まあなんとか。今は軍隊で働いています」

「そうか。……ここだけの話、村の誰もがお前のこと死んだと誤認していたぞ」

「まあ運よく結核に感染せずに今日まで生きていましたし、死んだと思われても当然」

「どうだ###、今日はうちに泊まって酒でも飲まないか?」

「そりゃあいい。喜んでいきましょう」

 

懐かしい会話だ。当時の俺は軍歴も浅くて殆ど酒を飲む機会がなかった。だからこの時の俺は酒が飲めるだけで喜んでいたな。いくら橋の下で暮らしていた時期があったとはいえ、この頃は軍規に従っておとなしくしていたからな。

 

「いいぞいいぞ。日本酒に焼酎も出してやるからな。なんせ、天皇陛下をお守りする兵士だからな!」

「大袈裟だな権蔵さん。近衛兵じゃないですよ俺は」

「立派なお前の姿を雪子さんに見せたかったのう」

「……はっ?」

 

二人の会話を俺はどこか寂しそうに一度行われた会話を聞いていると、権蔵さんが衝撃的なことをポロリと零した。その内容を聞いた過去の俺は笑顔から真顔へと移る。きっと過去の俺は権蔵さんの言葉の意味がわからなかったのだ。一度経験しているから断言できる。

その反応を目にした権蔵さんはバツが悪そうに顔を崩して沈黙する。錯乱した過去の俺は手にしていた紙袋と懐中電灯を離し、権蔵さんの肩を掴むと前後に揺らし始める。懐中電灯のガラスが割れて地面に散乱する。

 

「それってどういうことですか!? 雪子に何かあったのですか!?」

「……お前さんはわからないよな。当たり前か」

「教えてくれ! 雪子がどうしたんだ!?」

 

感情が高ぶる過去の俺に対し、今の俺は冷静かつつまらなさそうにこの光景を俯瞰していた。今までの夢は自分が体験したことを再体験できるだけで、どう足掻いても結末は変わらない。そして今回の夢は相手が俺自身を認識できず、こちら側からも接触することができないのならなおさらだ。

権蔵さんは決意を決めたのか、重々しく短めに言葉を紡いでいった。

 

「……雪子さんは五年前に死んだ」

「……嘘だ。だって雪子はあんなに元気だったじゃないか!」

「病気だよ。雪子さんは生まれつき病弱だから」

「もしやその病気は結核か!? 俺ら一家が彼女を殺したのか!?」

「早計すぎるぞ###。彼女はお前さんが出てから翌年に風邪を拗らせてしまってな、そこから体調が悪化の一途を辿ったのだ」

「そ、そんな……」

 

過去の俺は愕然とした表情を浮かべると、権蔵さんから手を離し膝を地につけて俯いた。その姿はまるで電池の切れたおもちゃのようだ。過去の俺の目は虚ろで、想い人の死という現実を受け止めきれずに何度も戯言を小さく呟いていった。まさにそれは呪詛そのものだ。

その姿を見た権蔵さんは優しい声色で声をかける。

 

「明日お前さんを雪子さんの墓へ連れていってやる。もう暗い、今日はわしの家に泊まれ」

「……ありがとうございます

「……構わんよ」

 

権蔵さんは無理やり過去の俺を立たせると持ってきたお土産を片手に持つ。そして過去の俺の手を引いて彼の家へと連れていく。

その場に残されたのは透明人間となった俺と壊れた懐中電灯のみだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……つまらない夢を見せやがって」

 

先程の夢に苛立ちを覚えながらゆっくりとソファーから体を起こす。目の前のテーブルには何も置かれていない。俺は左右を寝ぼけ眼で見渡すとみほとまほがテレビを見ていた。

……そういえば、みほたちと鍋を食っていたんだっけか。

何があったのかを整理しようと立ち上がった時、コツンと足の指先に硬いものが当たった感触を覚える。ふと足元を見ると足元には酒の空き瓶が転がっていた。

……そりゃあこの量を飲んだら寝てしまうな。くそ、久しぶりに羽目を外しすぎたせいで頭が痛い。

 

二日酔いで苦しんでいるとみほが物珍しそうにこちらを見つめていた。

何故起きただけの俺をそのような視線で見るのかが理解不能だ。俺が彼女に理由を訊く前に、彼女がその答えを言った。

 

「本当に珍しいね、伍長さんが爆睡してから起きあがるなんて」

「本当にそうだ。母さんが何度叩き起こそうとしてもすやすやと寝息を立てて寝ているのに」

「まさに冬眠中の熊って感じだよね」

「なるほどそういうことか。俺だって起きるときは起きるぞ、失礼な」

 

理由を知った俺はみほたちの人外のような意見に不満を抱きつつも壁に掛けられた時計を確認する。ちょうど短針が十と長針が六を指している。つまりは十時半だ。変な時間帯に起きてしまったな、と頭を掻いているとこの場にいないエリカの存在に気が付いた。

 

「そういやエリカはどうした。帰ったのか?」

「いいや。お菓子買いに行ってくるって出てった限り帰ってこなくて」

「少なくともエリカさんは途中で帰るような人じゃないですし」

「……エリカはここから出て何分経つ?」

「……一時間半」

「エリカを捜しに行ってくる!」

 

二日酔いで痛む頭を瞬時に叩き起こしてから軍服を羽織り、追加で携帯電話と陸王の鍵を持った俺は用務員室のドアに手をかけた。

その時、俺の携帯電話から着信を伝える音楽が流れる。ポケットから携帯電話を取り出して電話の相手を確認すると、その電話先の相手はエリカであった。

無事であることに胸を撫で下ろした俺はそのまま携帯電話を開き、相手と対話ができる通話ボタンを押した。

 

「何処に行ってたんだよエリカ。みほとまほが心配していたぞ」

『―――――お初にお目にかかります』

「……誰だテメエ」

 

聞こえてきたのは高くてよく響くエリカの声ではなく、低くどこか殺伐とした口調の男の声であった。この謎の男の声を聞いた俺は思わず身構え、敵意を部屋にまき散らす。俺の雰囲気が変わったことに気付いたみほとまほは俺の方へ心配した視線を向けている。

 

「テメエ、その携帯の持ち主をどうした」

『はっ、おまんも薄々わかっとうはずじゃ。携帯の持ち主のエリカっちゅうアマは攫わさせてもろうたぜよ』

「……お前、やりやがったな。このクソ野郎が」

『怒るか、まあ当然じゃき。おまんの恋人を攫ったんじゃからねゃ』

「お前高知の者か。その喋り方は隊内で聞いたことがある」

『どだいその通りぜよ。そういうおまんも宮城とかの東北地方出やか?若干だが訛っちょる』

「そうだ。さて本題に移ろう、さっさとエリカを返せさもなくば……」

『さもなくば、何じゃ?』

 

 

 

殺すぞ

 

 

 

俺の殺気と怒気を誘拐犯に対し最大限詰め込んだ脅迫は場の空気を氷結させた。これほどまでの殺気はまほとみほには初めての体験だったためか、無意識に彼女らは硬直し、なおかつ悪寒が体中を駆け巡る。

 

何故なら彼女らは今まで俺のこの狂気的ともいえる一面を垣間見ることはあっても、ここまで剥き出しにしたものは見たことはなかったのだ。

なお、その原因である誘拐犯は俺の態度をカラカラと揶揄(からかい)いながらも呑気に彼女を攫った場所を教える。この男は俺の威圧が効かず、さらに俺をイラつかせる要因となった。

 

『場所は西地区の第三空き倉庫ぜよ。そこで待っちょる。おまん一人で来いや、ほんならまた』

「……」

 

ツーツーと電子音が聞こえる。男が電話を切った証拠だ。

俺は携帯電話を握りしめたままその場に硬直する。みほたちには一見俺が息を整えて冷静になったと感じるかもしれないが、実際にはどのように誘拐犯をぶちのめすこと以外の思考は俺の脳内にはなかった。

 

俺は掃除用具入れから以前プラウダ学園に居た時に購入した模擬刀を腰に取り付けた。毎朝この模擬刀で素振りやらの鍛錬をしているため柄に巻かれた紐はボロボロだ。だが、これだけの装備で相手を打倒することはできないと考えて、みほとまほにとある物を要求した。

 

「みほとまほ、お前らにやった拳銃と軍刀を貸せ」

「えっ。流石にそれはマズいんじゃ……」

「威圧のためだ。使用はしない」

「……伍長さんごめんなさい。拳銃は海上だと湿気で劣化すると思って家にあって」

「であるか。まほ、軍刀は?」

「……軍刀は私のロッカーにある」

「そうか。ロッカーの鍵は掛かっているか?」

「いいや。場所は一年一組の出席番号二十三番です」

「わかった。借りるぞ」

 

まほから軍刀の在りかを聞き出した俺は勢いよく用務員室の扉を開けた。ピシャンと扉は音を立てて開いて廊下中に響くも、その音を聞く者は誰もいない。校舎全体が生徒がいない空虚な建物へと変わっているからだ。

俺はエリカを攫った者に対する制裁を思考しながら軍刀の在りかへと足を進める。瞳には殺意の炎を轟々と燃やし、その姿はまさに鬼や悪魔ともいえた。もうみほたちの知る俺ではなかった。

 

みほとまほは不安そうな表情を浮かべつつも、エリカが無事に帰ってくることを祈る。そして同時に俺が人としての道を踏み間違えないようにも願った。

はたしてその祈りは誰が受諾し誰が叶わせるのかは誰もわからない。

 




暴力装置伍長爆誕

補足として伍長がまほやみほに預けた物にはきちんと許可証が添付されています。
なお刃が研がれてあったり、実弾や弾倉は伍長が所持していて、もう明らかにやばいですね。
なお、ガルパンの世界で人に向けて射撃した者(みほ)もいる模様。
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