日本兵 in the ガルパンworld!! 作:渡邊ユンカース
某犬を殺された暗殺者をオマージュしています。
「あー、ちきしょう。頭が痛い」
両腕に大量の荷物を抱えたりぶら下げて地下駐車場の通路を歩き、そして俺は頭にガンガンと響く二日酔いに悩まされていた。理由としては昨日ココや仲間と一緒にドンチャン騒ぎをしたからだろう。その騒ぎでくじ引きゲームをしてハズレを引いたせいで現在俺は各個人の買い物を引き受けてしまった。
戦闘においては勘を働かせることができるのに平時や遊戯の際にはさほど働かないのだ。そのため、俺はまんまと負けてしまったのだ。
ため息を吐いて目の前に停めているレンタカーの鍵を取り出そうと、右腕でなんとかズボンのポケットをまさぐっていると不意に目の前から殺気が俺の体を貫いた。
―――――敵か。
俺は手にしていた大量の荷物を地面に置き、懐に手を伸ばす。懐にはココから授かったグロックG17という拳銃が隠されている。すぐに拳銃を抜けるよう安全装置を外してグリップを握る。臨戦態勢だ。
「何者だ」
たどたどしい英語で隠れているでろう敵に殺意と警戒心を込めて伝える。すると駐車場の支柱や付近の車の陰から顔にマスクをして体には甲冑の如く堅固そうな防具を纏った漆黒の敵が十人現れた。そしてM4A1という小銃を構えている。
「我らは貴様らを殺す者だ。ある組織から命令されてな、最初はお前からだ」
「そうか。なら俺がお前を殺してもいいわけだ」
リーダーらしき人物が俺に伝えやすいように簡素に答えてくれた。
不敵な笑みを零して略帽を義手で被り直した後に、俺はリーダー格らしき人物に三連発の銃を撃ちを始めた。距離としては十メートル、俺の銃の技術では多少の誤差はあるが部位には殆ど当てられる。対団体戦においてリーダー格から倒すのは定石だ。
銃撃と同時に素早く移動をして、俺は駐車場の支柱に身を隠した。すぐさま敵からの銃撃が始まり、弾丸で支柱が削られる音や衝撃が背中に響く。
「ハハハッ! そんな程度じゃ殺せないぞ!」
「……カブトムシみたいな防具付けやがって」
愚痴を漏らし舌打ちを鳴らしてから背後の敵を確認する。敵はジリジリと迫り寄ってくるのが傍目で見える。このままでは距離を詰められて蜂の巣にされるのは確実、早いうちにどうにかしなければならない。
……相手が一人、傍に近づいた瞬間に近接戦を行って仕留めるか。密着すれば敵からの銃撃もできない、合理的だ。
背後から忍び寄ってくる気配を感じる。相手も軽視しているのかワザと足音を鳴らして怖がらせようとしている。
……気配からして二人組か面倒だ。だが倒すことはできる。
左側に相手の銃身が柱から伸びる。その瞬間、左腕で銃身を掴んではこちらに引っ張って寄せる。まさか相手も引っ張られるとは想定していなかったらしく、たいした抵抗もなく近づけることに成功した。
互いの距離が一メートルにも近づくと、俺は手にしていた拳銃を相手の腹部に密接させてゼロ距離で二発撃ち放つ。
「ガアッ!?」
防弾装備なので弾丸は相手の体を貫くことはできないが衝撃までは殺せない。
今度は腕に目掛けて引き金を引き、相手から小銃を奪うことに成功した。小銃を奪取した俺は銃床で相手の顔面を突き飛ばす。そして右側から来た敵に対して頭部めがけて銃撃をする。流石に防弾装備といえど小銃でこの近距離だと弾丸は貫通することができて、力なく倒れた。
また、突き飛ばした敵にも頭部を狙って撃ち二人殺害することに成功した。
「気を抜くな! 奴は強いぞ!」
「俺を舐めるからだ」
俺が支柱を盾に銃撃を始めると敵も銃撃を撃ち始めた。支柱の欠片が飛び散るので正確な射撃ができないので、数発敵には当たるものも決定打にはならない。
「火力が足らないじゃねえかっ!」
撃ち終えた小銃を支柱に立てかけてから俺は銃撃の中、最初に頭部を撃った敵の遺体の足を掴みこちらに寄せる。ベストから弾薬を奪い装填してから再度応戦する。
それでも敵は一向に倒せない。腹が立った俺は死体の首を右腕で掴んでは持ち上げて、即席の盾を作った。そして肉壁で身を防ぎながら敵に向かって接近する。
「うおおおおおッ!!」
「な、なんだこいつ!?」
「撃てッ!撃つんだッ!」
銃撃は死体の強固な防弾装備に弾かれて価値を成さない。稀に足を掠めたりするが気にせずに突進する。そして近くまで迫った敵二人に対して死体を投げつける。一人はその死体の下敷きとなって動けなくなり、俺はもう一人の敵に対し近接格闘を仕掛ける。ちょうど此処は車が陰となっているので射線は通らない。安心だ。
「どっ、こいしょ!!」
「じゅ、柔道!?」
大里刈りを相手に行い姿勢を崩す。その際、敵は引き金を指にかけていたのか天井に幾つか銃痕を残した。そして俺はズボンのベルトに挟んでいた俺自身の拳銃を抜いて首の関節部を二発撃つ。関節部は防弾性能が低いのから拳銃の威力でも貫通することができた。
「お、重い!!」
「だろうな」
死体の下敷きとなって動けずに暴れていた敵に対しても即座に射撃を行って、この戦闘で二名射殺することができた。
新たに死体となった敵二人から弾薬を補充して小銃が使用可能となった。車越しに射撃を行って威嚇射撃をして安易に接近させないようにした。
「クソが! これでも喰らえ!」
「そんなの散々味わったわ!」
敵の一人が手榴弾を投げ込んできたので俺は速やかに持ち主の元へと返却させた。持ち主の足元を二回転がると無事爆ぜた。
――――今が好機。
音と衝撃で相手を一瞬でも怯ませることに成功した俺は低姿勢のまま小銃の射撃を実施、銃口の先にいた敵は何度も来る衝撃に身をもがきながら立ちすくんでいた。
首の関節部を撃ち抜いたのを確認すると、俺は倒れこむように伏せてから最寄りの敵に射撃を行う。姿勢を低くされたことで狙いが定まらなかった敵は足元を撃たれて、思わず膝を着いた。その隙に再装填を行ってから相手の頭部を撃ち抜いた。
残り三人だ。
すぐに中腰となって障害物へと身を隠す。リーダー格の敵も部隊を壊滅させられて焦燥しているのが目に見えた。今まで防具に頼っていたばかりにそのような経験がなかったのだろう。
障害物の陰から再度銃撃を始めるも敵も俺を恐れたのか接近する様子はない。
仕方が無い、ここは一つ芝居でも打つか。
「ぐはっ!?」
俺は誰にも聞こえるような悲鳴を上げて倒れこんだ。銃撃はその悲鳴から数秒後に止まった。一分の間を置いてから一名がこちらに銃口を向けながら静かに迫ってくる。
俺の傍まで近寄ると足で蹴って反応はないかを調べた後に、しゃがんでから俺の脈拍を調べようと首に手を伸ばしてきた。
「……芝居だ」
「ッ!?」
俺は腕を伸ばして敵の頭を鷲掴みにして、首の可動域を超える方向へと向ける。骨が外れる音と感触が直に伝わる。
大慌てで敵側も銃撃を始めるが、俺も撃ち返す。手榴弾がまたもや転がってきたので足元に転がしていた死体に被せて威力を殺した。衝撃で敵の血肉を浴びるもなんてことなく、俺は牽制射撃をしながらリーダー格ではない相手に向かい合って接近する。
すると、偶然にも両者の弾薬が切れたのか敵は腰から拳銃を取り出して撃とうするも俺は手にしていた小銃を相手に投げつける。
「グアッ!?」
「甘いな」
投げつけられて怯んだ敵に俺は股間に膝蹴りを入れた後に、相手の拳銃を取り上げてゼロ距離で相手の脊髄目掛けて銃弾が切れるまで撃ち込んだ。この攻撃で脊髄に重大なダメージを受けたのか痙攣した状態で俺に倒れ掛かる。
それを利用してリーダー格からの銃撃を防ぐことに成功した。
「あ、悪魔め!!」
「何度でも言えよ。その言葉は沖縄で聞き飽きたんだ」
「よ、よくも隊員を! お前は銃じゃなくて俺が直々に殺してやる」
「いいだろう。その挑戦受け取った」
俺は相手が装備していた武器全てを外したのを視認すると俺も自身の拳銃を懐に納めて互いに歩み寄る。
そして距離が互いに一メートルに迫った瞬間、激しい肉弾戦が始まった。相手は最近の軍隊格闘術を駆使して俺に挑むが、肉弾戦の経験は薄いようで隙がちらほら見受けられた。隙を見て俺は拳を防弾装備越しに叩きつけて内臓に損傷を与えようとする。
「ぐぬぅ!!」
「遅いッ!」
右腕の相手の拳が俺の顔面目掛けて打ち込まれるが体を屈めて回避。そしてその腕を掴んだ後に俺は肩を使って敵の肘をあらぬ方向へと折り曲げる。
「グギャアアアアアッ!!」
悲痛な叫びを耳にしながら俺は左の肋骨目掛けて肘打ちを行い、肋骨が折れたのを実感すると何度も何度も打ち込んだ。打つ度に肘から相手の骨を折る感覚を味わうのでいい気分ではなかった。
何度も打ち込まれた相手は口から鮮血を吐きだすと、糸の切れたように倒れ掛かる。俺の狙いは骨折した肋骨が心臓を突き刺すことであった。
「ふぅ、久々に疲れたな」
最後の敵を突き放した俺は下ろした荷物の元へと歩む。荷物は先程の戦闘に巻き込まれたにも関わらず無傷であり、レンタカーの方も弾痕が見受けられなかった。
「よかった。これならココに怒られずに済む」
唯一の懸念であった荷物とレンタカーに安堵しながら俺はレンタカーに荷物を載せてから乗り込んだ。鍵を差してエンジンを機動させて俺は戦闘があった駐車場から離脱した。
その場には無数の銃痕と爆発跡、そして無慈悲にもやられていった死体しか残らなかった。
ジョン・ウィックシリーズ面白いですよね。
てか作中できちんと鉛筆で人を殺してくれるの本当に好き。