日本兵 in the ガルパンworld!!   作:渡邊ユンカース

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夏祭り行ったけど一人です。
なお焼きそば美味しかった模様。


夏祭り

「そこ! 振りが甘いぞ、しっかりやれ!」

「は、はい!」

「おい貴様、何だその竹刀の構え方は!」

「す、すみません!」

 

俺が西住流の剣道の講師となって一週間が経過していた。最初は男性から教わるということで女性しかいない門下生たちから変な視線で見られていた。いや現在進行でそうなのだが、俺はなんやかんややっている。セクハラという現代の禁止事項に触れないように教えており、漫画に影響されてかふざけた構えをする者もいる。そんな者に対してあえてその構えで俺と立ち会せる。そして完膚なきままに叩く、まったく剣道の基礎ができてからやれば幾分かマシなのに。……えっ、パワハラ? 過度なのは駄目だが多少は許すとしほ殿が言っていた。

 

「どうだ、誰か俺と五分闘って一本取ってこい」

「なら私がいきます」

 

手を挙げたのはまほだった。背丈はまだ低いが彼女の小手や突き、胴が鋭い。俺の身長は170だが気は抜けない。

俺と彼女は礼節に則り礼、蹲踞(そんきょ)というしゃがみ込む姿勢を取り、立ち上がる。その際に腰に持っていた剣を構える。

 

「はああああ!!」

「ふっ」

 

まほの鋭い小手と胴打ちを竹刀で防御、反撃しようとすると戦車道で鍛えられた勘により間合いを取られる。他の生徒とは違い弱音をすぐには吐かずかなり鍛えがいがある。

俺は喜々として防具内から笑みが零れる。だが本気は出さない、自分の実力を知らしめるためだ。

 

「やああああ!」

「ちっ!?」

 

面打ちかと思いきや彼女は胴を狙ってきた。一週間しかしていない初心者とは思えない動きだ。まあこんなものか、反撃しようともせず打たせた。道場がざわめく、まあ厳しい講師の権化とか陰で揶揄されているから当然だろう。けど嬉しいよな、もしかしたら自分らも通用するかもしれないと思うと。

蹲踞をし竹刀を腰に当てて、一歩下がり礼をする。時間を確認すると剣道を終える時間帯に越そうとしている。

 

「今日はやめ、各々防具を片付けろ」

 

労働から解放された門下生は私語を話しながら防具を片付ける。そこに俺のところまで歩み寄るまほがいた。ささくれでも刺さったか、医療箱は何処だっけか。

 

「伍長さん、何故手を抜いたのですか?」

「……気づいていたか」

「はい」

 

バレないようにしていたがもう気づいていたのか、驚きだ。じゃあ全てを暴露するか、バレてるから関係ないし。

 

「そうだ。簡単には俺は負けないさ」

「なおさら何故ですか?」

「そりゃあまほ、褒めることも大事だからだ。いつも叱ってばかりで褒めずにいると捻くれて結果を出さなくなるからな」

「じゃあまだ私は弱いのですね、残念です」

「確かに己の実力を過信するのは良くないことだがお前はそこを弁えている。あとは一種のプロパガンダだ」

「プロパガンダ?」

 

まほは首を傾げた。まだ幼い彼女も知らないようで俺は丁寧に理由を話す。

 

「俺の剣道を習っているまほが俺から一本取れば、まほと同じ剣道を習っている自分らでも勝てるかもしれない、といった思わせた。けどよくぞ一週間でここまで辿り着いたな、正直嬉しいぞ」

「そ、そうですか」

 

俺は乱雑に彼女の頭を撫でる。汗でしっとりしているがそんなのお構いなしになでると

頬を赤くして照れてた。まったく、もっと喜んでもいいんだぞ俺の幼少期みたいに。ちなみに俺は剣道に我流の剣術取り入れている。剣術を習っていた同じ小隊の兵士から教えて貰った。意味は当然実戦で通用させるためだ。何せ占領下に置かれた沖縄で便衣兵として敵を斬ったりしていたからな。

 

「ほら防具やらを置いて風呂に行け。お前は女子だから汗臭いと異性から嫌われるぞ」 

「伍長!」

「どうしたみほ」

 

道場の扉を音を立てて開けたみほは走ってこちらに飛びかかった。避けることもたやすかったが怪我を考慮するとただただ構えることしかできなかい。俺は彼女を抱きしめて倒れるのを防いだ。態勢が崩れかかるもなんとか立て直す。

 

「あ、危なかった……」

「祭り行こうよ!」

「祭りだと?」

「うん!」

 

彼女を下ろし、祭りの詳細を聞く。どうやらこの時期に一度開催されるらしく、出店が多いそうだ。しかし夜なので万が一があると危険だとしほ殿と行っていたが今日は用事があっていけないそうだ。そうなると彼女たちは祭りにいけなくなる。そこでみほは俺を頼ったという。

 

「いやいや、俺は構わないがしほ殿から許可は得たか? 俺が連れていくから遊びはいいよね、と」

「そこは大丈夫! もう貰ってた」

 

早いですよしほ殿。まあ特に俺の方も用事がある訳でもないし、現代の勉強ついでに同行するか。別にただ遊ぶだけじゃない、これは社会勉強の一環なのだ。間違えないでほしい。俺は自分への言い訳を心で唱えながら行くことにした。

 

「むっ、まだ時間あるな。共に風呂でも浸かるか?」

「ご、伍長さん。何を言い出すんですか……」

「ははは、冗談だ。思春期をそろそろ迎える娘に対しあまりにも無礼だろ、俺はその次だ」

「そ、そうですよね」

 

俺がからかったらまほは顔を赤らめる。それが普通だろう、しかし彼女の胸中では多少落胆していた。そして彼女はそそくさと防具を片付けて道場から出てしまった。今度は俺が着ていた道具を仕舞いにいくとみほがついて来た。

 

「じゃあ私が伍長と浸かる!」

「ははは、まだみほは幼いからな俺的には構わないがしほ殿に何を言われるか怖いから駄目だ」

「えー」

「残念だったな」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うわー! すごい煌いてるよ!」

「そうだな」

「伍長さん見てください、アレ」

「そうだ、と言いたいが指し示しているのがよくわからん」

 

祭り会場に俺らはいた。しほ殿からお駄賃の五千円を貰い受け赴いた。子供二人に大人一人で五千円とはまあまあの大金である。みほとまほは祭りの明かりにも負けないほど瞳が輝いている。やれやれ二人に引っ張られるとするか、俺も友と街歩いてたら、気づくと独りになってしまう。

ちなみにまほとみほは普段と変わらない服装、俺は麻袋に入っていたワイシャツと黒いズボンだ。軍服は流石に駄目だと金を貰う際にしほ殿に言われてしまった。ついでに略帽も取られてしまった、寂しい。

 

「伍長これ見てよ!」

「ほお綿菓子か、買いたいか?」

「うん!」

「では一つ貰おう」

 

金を払い綿菓子をみほが持つ、彼女は嬉しそうな顔を浮かべている。今度はおれのシャツをまほが引っ張るその先にはふらんくるとという品が売っている。生前ではあまり知られていない食べ物だ。

 

「これは、ああ腸詰めか」

「違います。フランクフルトです」

「名前が横文字で覚えずらいな、これを一つ」

「はいよ」

「ほら、垂れてるのから気をつけろよ」

 

フランクフルトを一本貰い、まほに渡す。かかっているケチャップに注意を払えと喚起しする。俺は何を買おうかね、ビールがあるはずだ。できれば朝日ビールで。海軍は麒麟、陸軍は朝日と決まっているのだ。

まあ酒の類も当然売っており、買って飲み歩きをする。まほは食べ終えて次は何を食べようかと探している様子だ。そんな時、みほが声を上げる。

 

「射的やろ!」

「射的だと、いいだろう俺も混ぜろ!」

 

射的の出店では多くの客がおり、パイプの脚組机を高さを変えて置いた三段の台の上では様々な商品が置かれている。

 

「まほもするか?」

「私はいいです。下手だもん」

「そうか、けど俺の射撃術を舐めるなよ」

「私あれが欲しい!」

 

みほが指差す先にはつぎはぎだらけの熊の小さなぬいぐるみがあった。あまり俺的には可愛いとは思えなかったが彼女のために狙うと意気込むことにしよう。

みほの番になって彼女は銃とコルクの弾五発を貰うが彼女は銃のコッキングが固くてできなさそうなのでそれを手伝い、銃口を哀れな熊に向ける。残念だが、みほのために撃ち落とされてくれよ。

 

「えい!」

 

みほの結果は惨敗であった。弾がほぼ当たらずに逸れまくり参加賞のお菓子を貰った。彼女はやや涙目である。どれどれ、彼女の敵討ちとするか。

店主から銃と弾を貰い、構える。

 

「さて、軍隊あがりの実力を見てろよ。みほとまほ」

「うん!」

「はい」

 

重さや弾が特殊でも所詮は銃、基本的なものは同じなのだ。銃口を熊に向け、息を止める。呼吸によるずれを防ぐためだ。俺は思わず気張るってしまい、出店周辺の空気は戦場に似た異質な空間に陥る。店主とその他の客は息を飲んで俺の姿を見届けている。

 

「…」

 

一発目は銃の癖を確かめるために外し、二発目は熊の顔面に当てる。残りは三発、気は抜けない。この場にドイツ兵がいれば容易いだろう、しかし俺はあくまでもただの歩兵、そこまでの技量はない。しかし、戦場に身を置いた自分であれば遠距離からの精密射撃はできなくても近距離なら確実に当てられる自信があった。

三発目を当てた瞬間、あることに気づいた。

 

あの熊、やたら動かない。おもりか。おそらくは人気のある商品なのだろう、だから小細工を仕掛けて稼ごうと、小賢しい店主だ。しかし、俺には無用だ。

最後の二発を左右のある部分に撃ち込んだ。上手くいくかはわからない、あとは運に願うのみだ。

 

「はい残念だったね兄ちゃん」

「伍長…」

「いや、貰ってくぞ。熊だけを」

「はあっ!?」

 

俺が勝利を確信した証拠、それは熊が置かれた台で縦に置かれた多くが商品が一個ずつ後ろに倒れていくことだ。にやりと笑みを浮かべると熊の置かれた台だけが半回転したのだ。台に陳列された商品が全て落ちていく。

 

「な、何故だ!!」

「簡単な話、机のネジを緩めた。この銃でな」

 

パイプの机は基本的に収納できるように机の部分が半回転できるようになっている。それをてれびで知っていたため俺はそのネジを狙って撃ったのだ。けどここまでいくとは思わなかった。正直自分でも引いてるぞ。

 

「これはノーカンッ! ノーカンだ!」

 

あまりの奇策に騒ぎ立てる店主に耳打ちをする。

 

「あの熊に重りあるのは見抜いている。バラされたくなかったら商品の方の熊を寄越せ、これで喧嘩両成敗というこう。俺とてアイツらの前で喧嘩沙汰にはしたくない。別に裏でするなら引き受けよう、軍隊あがりだが」

「ぐぬぬ……!」

 

店主は致し方なしに裏に回って落とした商品の熊と同種なのを持って出てきた。苦虫を潰したような顔で熊を突き付けてきた。熊を受け取りみほに手渡す。

 

「ほら、みほはこれが欲しかったんだろう」

「うん! ありがとう伍長!」

「気にするな、宿泊料だと思え。さあ焼きそばでも食いにいくぞ、二人も何かするぞ」

「うん!」

「はい」

 

こうして三人は明かり煌く夏祭りへと姿を消していった……

 

 

 

 

 

「さ、流石に二人はきつい……」

 

帰り道中、みほとまほは寝息を立てて俺に背負われていたのを彼女らは知らない。

 




食べたのはあんず飴、ソース煎餅、焼きそば、いかげそ
いかげそは脚一本三百円とかぼったくらないでほしい……。
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