日本兵 in the ガルパンworld!!   作:渡邊ユンカース

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クリスマスですね。とかいってサンタの悪魔が来たら絶望ですが。
一応クリスマスネタをいれてみました。


アンツィオ戦の準備はローマとともに

戦車を手に入れるため一年生と沙織が遭難した翌日、俺と優花理を除いたあんこうチームと生徒会の面子で対アンツィオ高校の作戦会議を開いた。

なお、長いソファで沙織の膝枕を受けながら気怠そうに寝転ぶ麻子と気分が悪そうに頭を押さえる俺以外の面子は気を引き締めている。

麻子はいつも通りだが、俺に至っては昨日の遭難騒動が解決したことによる安堵で酒を飲みすぎてしまった。少し酒を控えるか。

 

「かぁしまー、次のステージ何処?」

「はっ、アンツィオとの次のステージは山岳と荒れ地ステージになりました」

「はーい質問、アンツィオってどんなところ?」

「あー、確か創始者がイタリア人だった気がする」

「イタリアの文化を日本に伝えようとしたイタリアの学校だ。伍長、お前も放浪しているときに立ち寄ったよな。どんな感じだ」

 

俺は河島に訊かれ、記憶の重箱の隅を突くようにアンツィオ高校の記録をゆっくりと思い出していく。

 

「街並みが綺麗で料理が美味くて……それしか思いだせん」

「まあ想像通りのイタリアって感じだね。あっちの学園艦の売り文句でパスタのことも挙げられてるし」

「そして戦車道もイタリアの戦車が中心だ。先の試合で使われたのはCV33とセモベンテM41」

 

天国に居た頃、イタリア兵に自国の戦車自慢の際に聞いたことがある。CV33は足は速いが装甲と火器が貧弱という豆戦車に分類されるもので、セモベンテM41は自走砲だ。なお、北アフリカ戦線では英国のマチルダやM3リーやらにフルボッコにされた。確かに運用方針が対戦車じゃないけどここまでやられるとなぁ……。ちなみにチハは大和魂があるので例外だ。

 

「小さくて大きくてお花を活ける花器にピッタリです」

「俺初めて戦車で花活けようとするやつ見た」

「いくらなんでも花器でも大きすぎない?ひまわりでも活けるの?」

「新型戦車も入ったと聞くが」

「どんなの?」

「ちょっとわからないです」

「一回戦には出なかったもんね」

「だからこその秘密兵器かー、まっいっか。そのうちわかるし」

「何でわかるの!?」

 

杏の楽天的で先を見据えた発言に沙織はわけもわからず驚嘆する。また沙織が驚嘆した瞬間に生徒会の扉が大きく音を立てて開かれた。皆の視線は一気に扉を開けた来訪者のもとへ集まる。

 

「秋山優花理、ただいま戻りました」

「お帰りー」

「おおっ、待っていたぞ」

 

謎の来訪者は優花理であった。彼女は愛用しているリュックサックと何処かで見たようなコンビニの制服を着ていた。その理由を事前に知らされていなかった俺とあんこうチームは優花理の変わった姿に目を丸めていたが、生徒会の面子はそうではない。おそらく事前に知っていたのだろう。

……どうして俺が知らないんですかねー、下手すれば監督不届きで俺の首が飛ぶのだが。

 

「その恰好!?」

「優花理さん、ひょっとしてまた……?」

「はい!」

 

困惑するみほと対照的に優花理は自信ありげにカメラのチップをこちらに提示した。彼女の恰好とそのチップからあることに合点がいった。

そう偵察である。俺は優花理の大胆な性格と常識外れな行動にため息を吐いて、別の意味で頭が痛くなった。……一見、普通の優等生だと思ってたんだけどなぁ。

 

テレビに移されるはアンツィオ高校の日常で最後に行ったきり何も変わっていない。文化祭でもやっているのかという程度に毎日が活気づいているのだ。まあ何故ここまで出店を出すのかというと学園艦が大洗女子学園と同様に資金不足であるからだ。切実な理由に涙が出る。

 

『ここだけの話だけど重戦車を手に入れたんだ!』

 

最後に会った時と変わってないんだなペパロニのやつ。こうも秘密を簡単にバラまく姿に俺はアンツィオの隊長が心配だ。悪いやつじゃないのだが、いささか頭が弱いからなぁ……。まあ純粋さと元気が彼女の取柄なんだけどさぁ……。

てか、よくよく考えるとアンツィオの隊長はアンチョビか。まあ普段の付き合いで慣れていると信じたい。

 

「すごい伍長さんの顔」

「あれは憐みの顔ですね。哀愁を感じます」

 

ペパロニから情報を聞き出すと、シーンがコロッセオに切り替わる。コロッセオではP40に乗って鞭を振り回す楽しそうなアンチョビの姿がそこにあった。そしてアンチョビを他の女子生徒が囲み、ひたすらに彼女を指導者として称える。

よほど新しい戦車を手に入れられて嬉しいのだろうなぁ……。何年も同じ戦車を使い古していたからなぁ……。けど情報を派手に掲示するのはいかがなものだが、まあいいか。

 

「今度は子供を見るような温かい目に」

「あのアンチョビさんという方とどのような関係だったんでしょうか?そして重戦車もちょっと強そうですね」

「ちょっとじゃないだろ!」

「私P40初めて見ました」

「俺もだ。相当な知名度の低い戦車だからな」

「もうちょっと考えないと駄目だねー」

 

とりあえず今日はこれで解散となった。だが、戦車道に多くの時間を費やしたみほでさえも知らないときたらどう対策を練ればいいのだろうか。思わずみほと俺は帰宅しても頭を抱えて考えこんだ。ウィキペディアや個人のブログでもP40の情報は少ない。ならばどうするべきか。

だがその答えは案外簡単なものであった。ビールを片手に中古のテレビを着けて夕食を食べようとした時であった。偶然にも国営番組のチャンネルで歴史クイズをやっており、可愛らしい女史が解説をしていた。

 

「それだああああ!」

 

俺はビールを片手に家から飛び出してみほの部屋まで直行した。そして無数にチャイムを連打してドアを某映画の音楽に似せて叩く。

 

「どうしたの伍長さん!」

「ぐえっ!?」

 

こんな風変わりな呼び出し方は俺しかいないとみほも直感したのだろう。みほは慌てた様子でドアを勢いよく開けた。その際に思い切りみほがドアを開けたせいでドアが俺の額に直撃した。

突然の痛みに俺は蝶なんだからビールを落とさずに耐えることができた。俺が次男だったら落としていただろう。……まあ俺は当時にしては珍しい一人っ子だったが!

 

「ご、ごめんなさい伍長さん」

「い、いいんだ。それよりも良い案が思いついたんだ!」

「それってP40のこと?」

「その通りだ!情報が少ないならより詳しい情報がありそうな場所に行けばいいだけだ!」

「そうだけどその場所がわからないんだよ?」

「けど専門的な知識を有する奴らがいるじゃないか!」

「……それって!?」

 

どうやらみほも俺の考えを理解した様子だ。俺はニヤリと笑みを浮かべて告げる。

 

「歴女チームのもとへ行けばいい!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「暑いな。こんなに熱いと義手で目玉焼きが作れるぞ」

「そんなの作らなくていいよ。てか片方だけ長袖っておかしいね」

「まあ仕方ない。此処が歴女チームのハウスか、デカい」

「ごめんくださーい。誰か居ませんかー!」

「今からでも遅くないから玄関を開けろ。抵抗する者は全部逆賊であるから訓練させる。お前達の父母兄弟は俺らに開けてくれないので皆泣いておるぞ」

「伍長さん、唐突に226事件始めないで」

 

炎天下の中、俺とみほは歴女チームの家に赴いて、その玄関先で待っていた。まさか表札が本名ではなくあだ名だとはな、宅配の人が混乱しそうだ。

……にしてもさっきから謎の金属音がうるさい。音の出所は歴女チームの家だが何か作っているのか?

 

「「「いらっしゃい」」」

 

そして俺とみほの応答に反応して、エルヴィンと左衛門佐とおりょうが出迎えてくれた。エルヴィンと左衛門佐は現代風の服装なのにおりょうだけは袴だ。この真夏に袴はかなり蒸し暑いのによくやるぜ。

……ついでに音の正体を調べるか。

 

「時折聞こえる音は何だ?」

「あれか。あれはカエサルが空薬莢で装填の練習をしている」

「そうだったのか。じゃあ明日でもアイスでも買ってやるか」

 

頑張っているやつにはご褒美をあげないとな。まあ頑張っているのは全員だが!

 

 

俺らが居間に招かれて一段落ついているとカエサルがお茶を淹れてくれた。お盆に乗せられたコップにも各々の個性が出ていて面白い。だがどうして枡にお茶を淹れたのかがわからない。

 

「P40の資料はあまりないけど」

 

一方でエルヴィンがイタリア戦車に関する文献を七冊持ってきてくれた。エルヴィンは謙遜する様子だがこの量は素晴らしい。

 

「こんなにたくさん」

「よく揃えたな」

「英語じゃないぜよ」

「イタリア語?」

「イタリアに友人が居るから訊いて見るか。時間はかかるが」

 

まあ歴史書となると自国の兵器を紹介する文献の方が情報は性格だ。武器商人の護衛をやっていた仲間のRがイタリア人だった。どの程度、時間がかかるかはわからないが試す価値はある。一応、元雇い主で俺に義手をくれたココがいるが彼女には負担させたくないなぁ……。

俺が携帯のカメラを開いて本に手を掛けようとすると、横からカエサルが本の題名を流暢に読む。彼女のイタリア語のレベルに俺ら一同は驚いた。

 

「イタリア語読めたんだ!」

「びっくりぜよ!」

「イタリア語ラテン語は読めて常識だろ」

「常識じゃない!」

「俺は頑張って英語しか話す聞くできないから……」

「一応伍長さんは話せるのか?」

「まあ海外行ってたし。そこで無理やり習わされた」

「へぇー意外だな」

「ちなみに多く間違えたり逃亡したらドアや車に爆弾仕掛けられると思ってた。今でも思う」

「どういう環境なの……?」

 

そりゃあ超一流の爆弾魔が身近にいたらそうなる。敵に仕掛けられた爆弾を簡単に見抜いて解除して、火薬の量と仕掛けられた方法で敵に反撃するとか頭おかしい。それ以上に建物を倒壊させないで階を一階分だけ無くすとかどういうことだよ。

 

「図面やスペックはわかるからコンビニコピーにしよう。キリがないけどこんなもんかな」

「どうもありがとう」

「助かるぜ」

「本当は私の知り合いがアンツィオ校に居るから訊いてみるのが早いんだけどな」

「そんなのいたのか」

「初耳ぜよ」

「どんなお友達なんですか?」

「小学校の同級生でずっと戦車道やってる子だ」

「そんな情報源が居るなら最初から訊けばいいのに」

「いや、敵が友達だからこそ正々堂々情報を集めたいな私は」

「そういうのははっきりと分けないと後悔するからな」

 

戦場では奇妙な与太話もあるからな。例えば第一次世界大戦のクリスマス休戦だ。非公式の休戦でありながら、多くの兵士が銃殺刑を前にするまで戦闘を拒否した。さらにその戦闘も見せかけのものばかり。この問題は休戦してた兵隊を別の戦線に回すことで解決したが、回された兵士たちは前と同じように敵を殺せたのだろうか。一度敵と友情を育んでしまうと、いざというときに心障を負いやすい。だから線引きはしっかりしないといけないな。

 

「いいライバルですか、羨ましいです」

「じゃあ坂本龍馬と武市半平太!」

「ロンメルとモントゴメリー」

「武田信玄と上杉謙信!」

「宮本武蔵と佐々木小次郎だな」

「ミハイル・ヴィットマンとジョー・エーキンス」

「「「それだぁ!」」」

「後者は誰だ?」

「って誰?」

 

なお俺と左衛門佐はその人物たちを認知していない模様である。ドイツ兵からミハイル・ヴィットマンは聞いたことあるがジョー・エーキンスは知らない。まあ、おそらく戦車に関することなんだろう。

 

かくしてこれらの情報を取り入れた訓練と作戦を行うこととなった。俺もできるだけチームに貢献できるように新たな戦法を取り入れなくてはならないな。彼女たちだけが苦労するのは性に合わないからな。




伍長は大正昭和の農村部にしては珍しい一人っ子です。
まあ母親の体が一人しか持ちこたえられなかったのが原因です。
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