日本兵 in the ガルパンworld!!   作:渡邊ユンカース

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冬の間に友達をガルパン沼に沈めることができました。
やったぜ。

それと今回話は短いです。


最後の記憶

……これは最後の生前の記憶か。

俺は見知った風景を見渡す。辺りには鉄条網や半球みたいな小屋にジープが走っている。どうやら此処は米兵の前線基地みたいだ。その証拠に米兵が何処かからくすねてきた日本人形を持って嬉々としており、その仲間が羨ましそうにそれを見つめていた。

 

そして米兵たちはどうやら俺の存在が認知できていないらしい。正確には存在していないのが正しいのだろう。大声を出しても米軍の反応はないのが証拠だ。

となると俺は傍観者であり、観察対象は生前の俺だろう。

 

米兵たちが祈りを捧げる時間を知らせるベルが鳴る。基地に居る米兵たちは持ち場に見張りを残してせっせと移動した。

数分経過すると、ガサリと隣の林が揺れた。そこには生前の俺が居た。もう戦闘服

と略帽は度重なる戦闘や砲撃でボロボロで至るところに穴があいていた。

 

こう見ると当時の俺と橋の下生活していた頃の俺は姿が変わらないな。服はボロボロで痩せこけているが、一丁前に闘志だけはある。

 

生前の俺は小銃を片手に匍匐前進で鉄条網に進み、辿り着くとペンチを取り出して鉄条網を切る。これにより小さな通り道ができた。音を立てずに慎重に這って進み、基地内に侵入した。俺も生前の俺の跡をつけることにした。

 

生前の俺が真っ先に行くのは医薬品貯蔵庫だ。武器弾薬や食料は森や畑で調達できるが医薬品は難しかったからだ。さらに放置された医薬品よりも厳密に管理されている医薬品の方がよく効いた。

時折周回する米兵に気をつけて進み、医薬品貯蔵庫に着くと南京錠をなるべく静かに破壊して室内に入る。

 

「えーと、軍医殿はどれを多く使ってるんだっけ。わからん」

 

英語の読めずどれがいいかわからなかったが手当たり次第に鞄に詰めて急いで外に出た。だがその時、偶然米兵の将軍や士官と遭遇してしまう。

生前の俺はすぐさま小銃を構えて連射しながら退却する。日本の小銃は連射できないが米国の小銃はできたため、俺は米国の方を愛用していた。

士官たちは将軍を守ろうと囲み、各々の拳銃を乱射する。俺の方は動いて射撃しているので狙いが定まらないが、士官が放った拳銃の一発が当時の俺に当たる。当時の俺は高熱な金属を押し付けられた感覚に顔をしかめていた。

 

「ち、ちきしょう!」

「Fire!Fire!」

「Fucking Jap!」

 

入ってきた通り道になんとか辿り着くと医薬品の入った鞄を鉄条網を超えるように投げた。鞄を失ったことで身軽になった俺は武器を捨てて急いで通り道を通る。荷物を回収すると山に逃走しようとした。

 

「ぐあっ!?」

 

しかし、背後から米兵たちの重機関銃や小銃から放たれた銃弾が何発も俺の体を撃ち抜いた。意識を手放したくなるはずなのに、俺は懸命に逃走を続けていた。

 

逃走を始めて五分ほど経過した。もう米兵たちは追撃してこないため、生前の俺は速度を緩めて呼吸を乱しながら木に寄り掛かる。そして自身の傷を確認した。

心臓以外の全ての部位に銃弾が貫通しており、何故生きているのかが不思議なほど重体であった。せっかく持ち帰った医薬品も過半数が割れて使えなくなってしまった。

 

包帯で傷口を押さえるも流血は止まらない。次第に目が虚ろになり、鳥肌が立っていた。この時点で生前の俺は死を確信した。

もう助からないのはわかっているが右腕を動かしてヒロポンが入った注射器を取り出して、左腕に注入した。さらにその左腕にモルヒネを打ち込んだ。

 

今までで体験したことない不快な感覚が体を襲うが、少しの間は歩けるようになった。

たどたどしい足取りで前進する。もう目的地はないのにそれでも進む。

 

薬の効能が切れるとどさりと生前の俺は倒れこんでしまい、その場で滑落した。何度も体を木に打ち付けながら下山した際、目の前には一本の白い花が咲いていた。生前の俺はその白い花に手を伸ばす。しかし、その花を触ることなく死んでしまった。

 

―――――――こうして見ると今の俺も昔の俺も雪子のことは忘れられないのか。一生頑張っても二度と逢えない彼女に一途に惚れ続けるとは、なんて愚かで哀れなんだろうか。

そうやって俺は自分に嘲笑すると場面は突如として暗転した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……あぁ、ちくしょう。胸糞悪い夢だ」

 

俺は自分の自室で目を覚ます。外では小鳥が鳴き、時計の短針は六時を指している。

頭を掻きむしりながらテレビを付けた。ちょうどテレビには大洗女子学園の活躍を讃える番組が映る。みほたちの努力を振り返りながら、俺は義手をつけて飯を食う。今日の朝飯は昨夜購入したコンビニ弁当だ。

 

「……このソース辛いはずだよな?」

 

エビフライに付けていたチリソースが辛くないことを不振に思ったが、ただ刺激に慣れたか不良品なのだと判断して朝飯を続ける。試合は今日の昼頃、俺は活力をつけるため追加でカップ麺を食べた。物足りなさを胸に秘めながら腹は満たされた。

 

それから外出用の服に着替えていると携帯電話のコール音が鳴ったため出た。声の相手は杏だった。

 

『もしもーし、聞こえてる?』

「よお杏。どうした」

『いやー、例のブツは今回無理だわ』

「……そうか。そりゃあデカいもんなぁ」

 

杏がいう例のブツとは、以前一年生と沙織が学園艦の地下に潜った際に見つけた重戦車のことだ。バラシてその場に放置されていたため何の戦車かはわからないが、俺的には決戦兵器になりえると考えている。

デカいのはパワーだって陸軍の大砲と海軍の戦艦が教えてくれた。……運用とかは問題にしないこととする。

 

「まあ準決勝なら間に合うか?」

『どうだろうねー。だってカタログに載ってない戦車だし』

「マジぃ?」

『マジマジ。特にエンジンがおかしいらしくてさ、従来のものとは違うんだって』

「今はルノーが来たが、今の戦力で準決勝を望むのはマズい。せめて一輌増やさないと』

『そうだね。まあ他学年にも探させるよ。人海戦術で艦全体を探せば見つかるでしょ』

「期待してるぞ。じゃあな」

『そうそう。例のブツが完成したら自動車部に乗せてあげてもいいよね?』

「構わないぞ。自分で作ったものなら的確な整備もできそうだ」

『わかった。じゃあねー』

 

ぷつんと杏との電話が切れた。

例のブツがどのようなものなのかに期待しながら俺は外に出た。太陽の光に体は包まれて、今にも昇天しそうな気分になった。

 




最近モチベが上がらず、筆の進みが襲いですが交互に週一投稿できるようにします。
ということで拙作のストライクウィッチーズも読んで❤



あとアンツィオ戦は基本これで終わりです。
アンチョビ「えっ」
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