日本兵 in the ガルパンworld!!   作:渡邊ユンカース

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ウマ娘始めました。
まだURA獲れなくて悲しい。


地響きとブリザード

「痛ッてェ……!何処だ此処?」

 

頭がぐわんぐわんして気分が悪い中、俺は瞼を開いた。見慣れぬ天井と蛍光灯が目に入り、右腕に異物が刺さっているような感覚もある。そっと上半身を持ち上げてみるとそこはベッドの上で、隣には点滴があった。おそらく異物の正体はこれだろう。

 

「確か俺はあの時……」

 

時間が経つにつれて記憶が鮮明になっていき、事故のことを思い出した。スピードを出し過ぎて早く帰還しようとした結果、段差に躓いて吹き飛んだ。このギャグ漫画のような展開には笑うしかなかった。

 

「となると此処は救護室か病院の医療室だな」

 

事故と漂うアルコールの臭いでこの結論に至った。

にしてもかつて戦場で銃弾を浴びたり爆発で吹き飛ばされてもピンピンしていた俺があんな事故で気絶するとはな、情けなくなったものだ。

俺は義手のある左腕で頬を掻こうとした。だが操ることができない。故障を危惧しながら左腕に目を向けると義手が無くなっていた。

 

「あれぇ……?もしかして失くしちゃったぁ?」

「あっ、伍長さん起きてるー!」

「本当ですね」

 

部屋に入ってきた華と沙織が拍子抜けた声で困惑する様子の俺を視認した。

 

「よお二人とも。此処は何処だ」

「此処はプラウダの救護室です」

「へぇー、随分と変わったな。設備が良くなった」

「えっ、伍長さんプラウダに居たの!?」

「言ってなかったか。俺は用務員として働いたんだぞ。短い期間だったが」

 

……本当は短期で働くんじゃなくて長期的に働こうとしたんだけどな。流石に戦車道の学生と喧嘩したのがマズかった。けど戦わないでいじめを傍観するだけはまっぴらごめんだが。

……そうだ。重要なことを聞かなくちゃならないな。本当は耳を閉ざして現実を逃避したいけどそんなことは許されない。

俺は重々しい口調でとある重要事項を二人に訊いた。

 

「試合、どうだった?」

 

この試合で負ければ学園艦は廃艦になり、多くの人たちが離れ離れになる。齢十八にも満たない少女にこの重責は重過ぎる。俺は懇願するかのように目を閉じて拝みながら結果を待った。

すると二人はその姿が面白かったのかくすりと微笑を零しながら告げた。

 

「勝ったよ。準決勝」

「判定勝ちでしたけど確かに勝ちました」

「……本当か。俺を騙すための嘘じゃない、よな?」

「もー!嘘なんかつかないよ!真実だよ!」

「……よっしゃー!!」

「伍長さん、一応病室なので静かにしといた方が」

「この発表に歓喜しない者はいないぞ!大本営発表よりも百倍信じられる!」

 

両腕を上げて万歳三唱する俺に二人は苦笑する。当然、華の言った通り騒ぎを聞きつけた学校医の人に怒られることとなった。しかしそれでも俺の歓喜は止まらなかった。

 

「これは皆に飯を奢ってやらんとな。翌日ファミリーレストランに行こう、ココスとか」

「まあ!ちょうど私、気になるメニューがありました!」

「私も私も!」

「ははは、いいぞ!頼め頼め!男子は肉付きのいい女子を好むからな!」

「やだもー!それって私たちに太れって言いたいの?」

「そうなるな!」

「痩せたいけど男子にモテるためには太る……ジレンマだよぉ!」

「まるでハリネズミの揶揄ですね。愛を得るためには苦痛を耐えなければならないという」

 

俺ら三人で談笑を繰り広げているとガラガラと扉が開いた。誰かと思い視線を投げてみると、そこには懐かしきカチューシャとノンナの姿があった。

カチューシャこそ昔と変わっていないものも、ノンナに至ってはさらに身長が伸びてスタイルが良くなっている。もちろん何がとは言わないが出るとこもより出ている。

俺は懐かしき友人にあえたことで顔を明るくした。

 

「久しぶりだな、カチューシャとノンナ!元気だったか!」

「……どうして」

「むっ?なんだカチューシャ、聞こえんぞ」

「どうしてカチューシャたちに知らせなかったの!!」

 

ピシリと空気が凍った。カチューシャは怒りと悲しみを滲ませた顔でこちらを見る。

ノンナも表情にこそ露わにしていないものも彼女と同様の反応だった。

……無論俺も何のことだと白を切ることもないし何に対して反応しているの理解している。さしづめ俺が誰にも別れを告げずにプラウダを出たことだろう。

今の自分が取れる行動はただ一つ、俺はカチューシャとノンナに向けて言う。

 

「ごめんな。勝手に出ちまって」

「ひどいじゃない……!いつも俺を頼れと言うくせに、いざ頼ったら居なくなっちゃうなんて」

「そうですよ。身勝手すぎます」

 

カチューシャは涙を零し、ノンナは声を震わせながら募らせてきた思いをぶつける。俺はそれを弁解することなく黙って受け入れた。だって俺が悪いのだから。

 

「要らない心配をかけさせないで!このバカ!」

「貴方はいつも女性の人に心配をかけさせて、少しは自重してください」

「そうよそうよ!それに連絡の一つぐらいちょいうだい!」

「しかも目を離した隙になんですか、その左腕と右目は。アメコミのヒーロー(ウィンターソルジャー)にでもなったつもりですか」

「……これは守るべき者を救うためにだな」

「その崇高な意思は尊敬します。ですが自分の体を労わってください」

「いつも体を擦り減らしてばかりね!多少は頭を使ったり、人を頼ればいいじゃない!」

 

つらつらと述べられる積年の文句に俺はゲンナリしていた。けどそれほどまでに鬱憤を溜めていたことになる。俺も罪な男だな、カッコいいとかそういう意味じゃなくて。

……この光景を傍から見てる華と沙織が苦笑しているな。まあ何も言わないあたり彼女たちもわかっているのだろう。

 

「今回、貴方が食料を届けにスノーモービルで走ったのは許しましょう。ですが事故ってより迷惑かけるなんて最低ですよ」

「……そういやどうやって俺が事故ったことを知った?」

「プラウダのスノーモービルには盗難防止及び紛失防止のためにGPSが付けられています」

「あぁ、発信機か。それでわかったのか」

「不審者に盗難されたと連絡が来ましたし、貴方と観戦していたダージリンさんがまだ帰ってきてないというので瞬時に繋がりました」

「どのくらい寝てた?」

「軽く二時間は寝てましたね。顔が埋まってなかったとはいえ、よく生きてましたよ」

「もはや人外ね」

「ひどぉい」

「ちなみに義手はスノーモービルの下敷きになって壊れてました」

「特注品だから簡単に修理に出せないな……」

 

前雇い主であるココから貰い受けた義手はハイスペックな技術が搭載されている逸品である。そこらの民間の企業に渡しても直すことは難しい。しかもココのもとに送っても修理に時間がかかる。暫く隻腕で生活するとなると憂鬱だ。

 

「貴方のことを心配している人は多いです。退室した際、存分に謝ってあげなさい」

「どうだった沙織?」

「そうだよ!遭難の連絡が来た時なんて皆心配してたんだから」

「みほさんは慣れてる様子でしたが、河嶋さんは気絶しましたからね」

「大会が事故で中止になるのを恐れたんだな。菓子折りもって謝るか。……そういや変な物は見つからなかったか?」

 

俺の言う変な物とは拳銃である。常に携帯していた拳銃が俺と一緒に見つかったとなれば大目玉である。普通に警察送りは免れない。となると優勝したとしても、この不祥事で廃艦になりうることもあるのだ。危惧しないわけがなかった。

 

「うーん、特に見つからなかったかな」

「そうか。ならよかった」

「……ちょっと、何を失くしたのよ」

「拳銃」

「……冗談に聞こえません」

「同じく」

「わかる」

「ありえそうなのがまた……」

「ははは、冗談だ忘れてくれ」

 

彼女たち全員に案の定な反応をされた俺は乾いた笑いをする。もっとも、これがみほとまほに伝えると顔面蒼白で回収に行くだろう。何故なら二人にプレゼントした物が弾を抜いた拳銃と軍刀だからだ。

……今更ながら俺はすごい物を与えたな。

 

「まあ冗談が言えるぐらいには回復したわね」

「体は強い方だからな」

「では私たちはこれで」

「せっかく再開できたのですからもう少しお話をなさっても」

「いいえ、こちらは反省会を開かなくてはならないので」

「カチューシャたちは二度目の失敗を繰り返さないの!だから次こそは勝つんだから!」

「そうか。なら楽しみに待ってるぜ」

「いつか黒森峰も打倒してやるんだから!」

 

カチューシャたちに来る日の挑戦を叩きつけられた俺は不敵に答えた。カチューシャという指導者とそれを補佐をするノンナのペアは強い。彼女らは互いに足りないものを補ってここまで成長したとなれば嬉しいと感じるしかない。

 

「……そろそろ出なくちゃな」

「あっ、そうそう。伝えないといけないことがあったわ」

「何だよ」

「黒森峰の逸見エリカ知ってるでしょ」

「知ってるが?」

「あの子と何かあったの?たまに伍長の話題を出すと気迫が変わるのだけど」

「怯えてましたね」

「うっさいわね!」

「……彼女は俺が隻眼隻腕になるきっかけになってしまったからだな。別に彼女は悪くないんだ。そこは信じてくれ」

「……詳しくは訊かないけど連絡ぐらい入れて話しなさいよ」

「わかった。忠告感謝する」

「いいのよ。あの子も苦しそうな顔だったから、らしくもなく同情しちゃったのよ」

 

おそらくカチューシャたちと同様に何も言わずに去ってしまったことなのだろうと察した。あの時の俺は唯一の取り柄である暴力がなくなって何もできないと項垂れていた時期だった。

何も言わないで去られたことに関してはカチューシャたちとエリカはどこか通じるところがあったのだろう。後から思えば上手くやれたのではないかと思えるほどに自分の不器用さには呆れるぜ。

 

俺は自身の失態を取り返すための覚悟を決めた。そうすることでエリカだけでなく俺も救われるのではないかと淡い期待を持って。

 




アグネスタキオンとダイワスカーレットとトウカイテイオー好き。
なのでもっと二次創作増えろ。ただしアグネスタキオンの口調は大泉洋に似ていると言った輩は許せない。何故か想像できるけど。
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