日本兵 in the ガルパンworld!!   作:渡邊ユンカース

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お久しぶりです。
バイトが無くなって無職となり、クソ暇な夏休みをウマ娘やAPEXとオリジナル小説を書いて過ごしていました。すごい時間の浪費を感じますね。



狂犬の行方

大洗のとある田舎のコンビニに一輛の戦車が停まっていた。道行く現地の人たちは物珍しい目で眺めている。

コンビニ内ではあんこうチームが廃校に皆居る皆のために買い物をしていた。

 

どうしてみほたちが廃校舎に居るのかは、ある事情が絡んでいる。

みほ率いる大洗女子学園は確かに戦車道大会で黒森峰を破り、勝利を収めた。優勝すれば大洗女子学園の廃校は免れるという条件だったので皆が涙を流して抱きしめ合い、副会長の河嶋なんて号泣していた。

みほはまほとエリカとも仲直りできてハッピーエンドを迎え、誰しもが安心しきっていた。

 

そんな時だった。

大洗女子学園と知波単学園の混成チームと聖グロリアーナ女学院とプラウダ高校の混成チームが大洗の優勝記念でエキシビションマッチが行われた後、彼女たちが校舎へ戻ると校門には立ち入り禁止のテープが張られていた。

 

ただちに生徒会は文部科学省の学園艦教育局担当官の辻のもとへ抗議に行ったが、口約束だから無効であると宣言されてしまった。

さらに、これ以上抗議をするものなら学園艦に住んでいる人々の再就職先を斡旋しないと脅されてしまった。そのため泣く泣くみほたちは廃校舎にて転校先が決まるのを待つことになった。

 

「やっぱり虫よけスプレーと蚊取り線香の減りが早いね」

「そうですね。ほら、変なところまで刺されちゃいました」

「首筋刺されてんじゃん。……なんかキスマークに見えるよ」

「まあ蚊が吸血した痕だから間違いではないな」

「デング熱やマラリアとかの心配はないと思うんですけど痒みが嫌ですね」

「ホントそれ。もー、クーラーとかも無いし最悪!」

「お風呂も銭湯に行かないとないし……」

「ま、まあ水洗式トイレがある分マシですよ」

 

今まで使われていなかった旧式の校舎ということで施設が揃っていない。かなり古い時代に作られたためクーラーとシャワー室もない。下水道が通っているのが奇跡とも言える。

 

「逆に言うと自然に囲まれているわけなんでキャンプをしていると思えばいいんですよ」

「ホントにキャンプだったらよかったんだけどね」

「此処に来てから多くの人が堕落してしまいました……」

「ウサギさんチームなんて一日中ウサギ小屋で寝転がってるからね」

「それ以上にヤバいのはそど子たちだな。学園が無くなったから風紀委員の仕事がなくて死んでるぞ」

「アヒルさんチームはいつも通りですね。流石です」

 

カモさんチームは居場所がなくなったため活力を失ってしまいウサギ小屋で堕落した日々を送っていた。まさに生きる屍(ゾンビ)と言って過言ではない。

アヒルさんチームは日中バレーに勤しんで気力を維持、アリクイさんチームは決勝戦での屈辱を噛み締めて筋力トレーニングに励んでいる。

カバさんチームは卓上演習を何度も行っていて平常運転だ。歴女は強かった。

 

「……」

「どうしたのみほ?」

 

ピタリとおにぎりが売られているコーナーで立ち止まっているみほに沙織が話しかける。

 

「いや、伍長さんがおにぎり大好きだったなって」

「あー、そういえば伍長さんお米大好きだったね」

「うん。なんならお米で出来ている食べ物全部好きだったよ」

「いつかデンプンのりとか食べ始めそうだな」

「流石にそれはないよ。……無いよね?」

「にしても伍長殿は何処に行かれたんでしょうか……」

 

校門に張られているテープを見てから伍長は忽然と消えてしまった。家に行っても小奇麗にされた状態で机には「探さないでください」との書置きがあった。

駐輪場にもバイクが置かれていないし、学園艦の監視カメラにはその日に出ていく伍長の姿があった。

 

失踪したことを知ったみほはしほのところに電話を掛けて行方不明のことを知らせる。すると西住家の門下総出で捜すと答えてくれた。

しかし、西住家の門下生やツテを使っても未だに見つからないでいた。

 

「本当に何処に行っちゃったんだろうね。伍長さん」

「……うん。何も言わないで去ることはあったけど今回は様子が違ったからすごい心配」

「もう大丈夫って言ってたけど何か策があるのかな?」

「きっと素晴らしい案があるのでしょう」

「そもそも伍長にそんな頭があるか?」

「ある……とは言い難いよね」

「戦略家のグデーリアンというよりは隊長のミハイル・ヴィットマンですからね」

 

誰もが顧問である伍長のことを心配していた。一応、屈強な健康体と根性を持つ伍長が野垂れ死ぬことは万に一つないと踏んでいるものも心配なものは心配だったのだ。

暗い雰囲気が立ち込める中、空気を変えようと沙織が陽気に声を張り上げて言う。

 

「皆そんな暗いと伍長さんが活を入れてくるよ!元気出して!」

「そうですね。体罰こそはしないもののキツイ練習をさせられますから!」

「二度と森での対人戦はやりたくないですもんね。帰ってきたらご飯を奢ってもらいましょう」

「それはいい考えだ。皆の分も払ってもらおう」

「うちらを心配させたんだから当然だよね!」

「うん、伍長さんを出迎えるために頑張らないといけないね」

「そうですとも!」

「……だから伍長さん無事に帰ってきて」

 

一同は伍長に想いを馳せて帰還を願う。

それほどまで伍長という人間は信頼されて心配をさせる人物だった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

みほたちが伍長が見つかるよう祈ったその夜、東京のとある住宅街の裏路地に怪しい人影があった。

灰色のシャツを着て夜中なのにキャップ帽を着けた不審な男はリュックサックから小包を取り出した。中を開けるとそこには一本の注射器と薬品が入ったアンプルがある。

慣れた手つきで片手でアンプルを折り、注射器で吸い取る。

 

「……ふぅ」

 

薬品が入った注射器を口で腕に打ち込んで男は一息ついた。

アンプルに入っていた薬品は覚醒剤で、実は前職の雇い主である武器商人から覚醒剤を送ってもらっていたのだ。あまり薬物には良い顔をしない雇い主だったが何故か今回ばかりは快諾してくれた。

 

「ようやく、ようやく見つけたぞ」

 

この不審な男こそ彼女たちが心配する伍長だった。

しかし明らかに平時の様子とは違い、目をギラギラと光らせて顔色も悪い。暫くの間、風呂にも入っていないのか頬が薄汚れていた。

 

「必ず助けてやるからな」

 

伍長の視線の先には一人の男を乗せた車が地下駐車場へと入っていく。その黒塗りの高級車には約束を破り廃艦と言った辻が乗っていた。

気配を消して迅速に伍長も中へ入っていく。隠密行動は前世と現世の職業柄得意だった。

 

地下駐車場に入るといなや、リュックサックから一本の軍用ナイフを取り出す。

そう、どうして今まで伍長は行方不明になっていたか。それは辻を殺害するために捜しまわっていたからだ。ツテとコネを頼りに追い求め、彼が所在している土地を見つけて住居の特定にまで至ったのだ。

大義名分としては教え子を助けるため。もし辻やその関係者を殺害出来たら廃艦の件はうやむやになると踏んでいた。

 

伍長は地下駐車場の柱に身を隠して背中を向けて出口へ向かう辻を捉える。

本当なら銃器を使いたかったが、音などで周りにバレてしまうのを避けるためナイフを採用した。しかし例の事件で片手と隻眼だが一般人を殺す分には十分だ。

 

「天に変わってお前を殺す」

 

音を立てずに静かに辻へと駆け寄る。薬物を使ったことで全神経を辻へ向けることができる最高の状態だった。ナイフの刃も限界まで研ぎ澄まされている。

後ろから脅威が迫ってきていることに辻は気づけないでいる。暗殺はほぼ完了する。

 

 

 

―――――はずだった。

 

「ッ!?」

 

何かが肌に刺さったと思うとバチバチと電流が走った。声をあげる余裕すらなく伍長は倒れる。電流にもがきながら辻が出口から出て行ってしまうことを見届けてしまう。

あと少しで成功したのに妨害が入り、たちまち怒りが込み上げてきた。激痛に耐えながらなんとか体に刺さったものを引き抜く。刺さった物の正体はスタンガンだった。

 

「お前ェ!!俺の邪魔をするんじゃねぇぞ!」

 

伍長はなんとか立ち上がり、飛んできた方向へ雄叫びを発する。

ナイフを構えて臨戦態勢を取っていると、柱の陰から五人程度の黒のライダースーツとヘルメットをした人物が出てくる。うっすらとライダースーツにくびれや胸部の膨らみが浮かんでいることから女性ということがわかる。

 

「ちっ!?」

 

まだ撃っていない四人からスタンガンが放たれるが戦場で鍛えられた感覚と経験を総動員して躱す。彼女らはまさか全弾躱されるとは思っていなかったらしく、僅かに動揺の色を見せていた。

しかし腕に赤色の腕章を付けた者が警棒を取り出すとその他の者も警棒を構える。おおよそリーダーは腕章の者なのだろう。

 

「誰だがわからんが俺の邪魔をする奴は全員ぶっ殺す。女であろうとただじゃおかんぞ」

 

愛というモノに妄信した狂犬は正体不明の敵に牙を向ける。

 




頭が某二大事件の陸軍と海軍の青年な伍長、やっぱりパワープレイが性に合う模様。
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