日本兵 in the ガルパンworld!! 作:渡邊ユンカース
UAが千を超えるとはたまげたなぁ、それと日刊ランキング三十二位になりました。ありがとナス!
夕日が窓辺に差し込み木材で作られた窓枠が色彩を明るくする。カラスが鳴きつつ、中学校の下校時間を示す鐘が街中に鳴り響く。そして鐘を聴いた子供たちは遊び相手に別れを告げている。
俺は煙草を台所で吸いむ、此処なら換気扇を回せば室内に煙がたち込めることはないからである。ケイの家はアパートなので近隣住民とは仲良く接していかないと駄目だ。煙が隣室に向かって苦情を言われたら俺だけではなく彼女の印象も悪くなるからだ。
それに成人していない娘が喫煙をしていたとなると学校の規則に基づき退学しなければならない、自分の行いで恩人である彼女の名誉や将来を台無しにはしたくない。
さて、飯を作るか
俺にも多少の料理に心得を持っている。本来料理は女性の仕事だと前世で認知されていたがこのご時世違うらしい、なので俺が毎度腕を奮って彼女に飯を作っている。居候だから家事ぐらいは任せてほしい。
幸いにも器具の使い方はしほ殿に指南を受けたのである程度は使える。
「よし、店で安く購入した食材で作るとするか」
ちなみにこう見えて仮就職、俗にいうバイトとやらをしていて運送業の仕分け作業をしている。時給はケイがいない日中かつ休日は土日に決めているのでさしてよくはない、しかし二人分に生活費が増えたのでそれを補うために働き始めたのだ。
半透明のビニール袋から食材を取り出して俺は料理を始める。
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「ただいまー!」
「おかえりだケイ、飯はできている」
「もうちょっとマイルドに言いなよ!」
「英語を混ぜるな、そしてこれが普通だ」
「まあご飯にしましょう、今日はどんなディナー?」
「白米と味噌汁、焼き魚と肉じゃがだ」
「Oh! いつも変わらないじゃない、朝と夜は毎日和食なのは飽きるわよ」
「和食は最高だ。それに昼は洋食を食べたのだろ、和食は健康にいいから食え」
「ちえっ」
和食しか俺作れないから仕方がない、明日はライスカレーでも作ってみよう。子供にはお似合いの料理であろう。
てか洋食はしほ殿に食べさせてもらい美味であった。確かに子供が好きになるのだな、特にハンバーグとやらが美味しかった。料理本に作り方が書かれているらしいからそれを参考にするか、彼女も喜ぶだろう。
器用に焼き魚の骨を取り除き白身を食べる。塩が適切に掛かっているので魚の味を引き立たせる。肉じゃがもじゃがいもを箸で摘まむと箸が食い込む程に柔らかかった。俺は柔い方が好みだ。
夕食を進めていると唐突に彼女が箸を止め口を開いた。
「ふぇふぇごしょう」
「食い終わってから喋れ」
「……ふぅ、ねえねえ伍長」
「何だ」
「来週の土曜日暇かしら?」
「土曜か、まあ暇だ。休日は仕事は取ってない」
「なら私の学校のフェスティバルに来ない?」
「……悪いが英語わからんぞ」
「要するに祭りよ、ま・つ・り!」
なるほど祭りか、そういやチラシでサンダース校の学園祭とやらが開くと書かれていたな。サンダース校は広くて有名らしいが、なおかつ金を持っている学校だ。規模は他校とは違うぐらい立派なのなのだろう、面白そうだ。
みほにも伝えて連れてやりたいが此処は学園艦で航海中だし無理か。
「いいぞ」
「本当!?」
「男に二言はない」
「じゃあこれあげるわ!」
差し出されたのは一枚のチケット用紙、入場券のようなものだ。おおよそこれがないと校内には入れないといったところか、不審者が安易に入ってきたら困るしな。
「無くしてもセーフよ、だって門で受付しているから」
「それは防犯にはならない気がするぞ?」
「そうしないと受験生が来れないじゃない」
「むっ、そうだな」
じゃあこのチケットの役目は受付の行列を少なくさせるものか。そして贈られたものだから大事に扱わなければ相手に迷惑を被ることとなる。財布に入れるとしよう。
そうだ、ついでにアレも訊いておこう。
「喫煙所はあるか」
「そんなのないわよ、仮にも学園よ」
「そ、そうか。喫煙者にはキツイな」
まあ察しはついていたが仕方ない、ともかく来週は他所に出かけるからそれ相当の服を着なければ。軍服は駄目らしいからスーツでいいか、万能だし。何気にケイにスーツ姿見せてなかったな、驚いてくれれば嬉しいのだが。
「なら約束だから来てね!」
「わかった。
「その言い方だと破ってきた言い口ね」
ケイの放った言葉が俺自身の心に深く突き刺さる。彼女は悪意すらも感じられなかったのでワザとではないのは確かだ。だがその言葉は俺を酷く正しく指し示している。ふと一瞬、俺の眼から輝きが消えどす黒い黒に変わる。脳裏にはあの前世の思い出が点滅するかのように姿を表し始めた。
頭痛がする。頭を万力で挟まれたような痛みだ。痛くて苦しい、けど俺がしてきた行為に比べればこんなの序の口だろう。
幸いにも彼女は俺のその変化に気づかなかったらしい、頭を激しく振ることで色を取り戻した。
「どうかしたの?」
「別に、なんでもない」
張り付いたような笑顔を見せる。彼女には知らなくていい、俺がどんな人間であったのかを。もし真実を知って彼女が襲ってきても俺は抵抗をしない。俺には抵抗する権利はとっくのとうにないのだ。
一人の男は気味が悪い笑みを浮かべながらも二人の夕食は進んでいった。
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「楽しみだな学園祭」
胸に期待を抱きながら普段ケイが通っている通学路を通って学園へ向かう。よく道に迷うため地図と方位磁石を持参した。今回は陸王を停める場所がないと思い運転はせずに来た。服装は灰色のワイシャツに黒のカーディガン、黒字のズボンに革靴と潔癖に仕立てた。実はスーツ系統は二着持っており、西住家に一時的に預けてある。なので昨日宅配で送られたのを受け取った。
にしてもみほやまほ元気そうだ。
その運送物の中には写真が入れられておりみほの姿とまほの姿が映っていた。きちんと戦車道にも励んでいるまほの写真、こちらに微笑みかけるみほの姿だ。顔も凛となり成長していくさまが伺える。
カーディガンの胸ポケットにいれた煙草を取り出して機嫌よく吸う。己の気分がいいのか煙草の味も自然と美味い。こんな感じは久しぶりだった。
―――ある晴れた日、小さな花畑彼女はこちらに微笑みかける。突如として風が吹きさらして花弁を散らす。花弁が彼女を舞台の演出の紙吹雪の如く空に舞い、彼女を昇化させた。
俺は心がときめきその幻想的な光景に目を奪われながらも不愛想に煙草を吸いこんだ。彼女に惚れている様子を見せたくはないからであろう。その時も自然と煙草が至極美味かった。
「……変な思い出だ。煙草が―――――湿気ってしまう」
思い出を踏みにじるように取りだした携帯用の灰皿にまだ吸いかけの煙草を嫌という程押し込んだ。煙草は内部の葉をまき散らしながら底に溜まっていく。
苦しみに悶える表情を堪えきれず暫しの間、苦悶に満ちた顔立ちのままただひたすらに道を歩いていった。
十分も歩くと門が見えてきた。大きな門の周りには装飾がされており開催数を知らせる看板が門に掛けられており、その門の隅では行列ができて忙しなく受付係は紙を書く。あいにく俺は入場券を持ち合わせているためこの長蛇の行列に関わらなくてもいい。
「すみません、チケットを拝見させてくれませんか」
門に入ると係員らしき生徒から声を掛けられる。財布から入場券を取り出し彼女に提示した。すると協力に感謝されて何処かへ行ってしまわれた。大変だな、と同情する。
校内では生徒たちがクラスごとで店を開き、俺が知らないような名前の商品を商売している。全てがカタカナかつ横文字なので未だ慣れないままだ。
にしてもケイは何処で店を開いているのだろうか、少しばかり訊いてみるとするか。
「そこのお嬢さん、ちょいとばかし訊きたいことがあるのだが今は平気か?」
「お、お嬢さん!? は、はい構いませんが!」
普通聞かないような掛け声に驚いている様子の少女、俺は気にせずに語りだす。
「一年生のケイという少女の店は知っているか?」
「ケ、ケイのクラスは校舎の一階にありますよ」
「そうか。感謝する」
俺は一階へと歩みを進めた。行く途中で女子生徒からの注目を何故か浴びながらも気にせずに進む。
……所々にある店で商品を食べ歩きながらな。
「何だこれ」
俺はケイの教室へと辿り着いたがあまりに異質な雰囲気だったため驚いた。入り口の看板にはメイド喫茶と書かれている。人の列はなく、すんなりと入室できるのがわかった。だがこういうのに不慣れな俺は入ることができずに戸惑っていた。
……メイドか、娼婦館で小倉がよくメイドのご奉仕とやらを選択していたな。だけど俺は小倉ではない、これは確実にわかることだ。どうすればいいものか、入りずらいぞコレは。
「スーツ姿の男性を捜しに行くわ!」
「うおっ!?」
入り口周辺で狼狽えている俺の目の前に突如ケイが飛び出してきた。唐突すぎて驚嘆の声をあげる。
彼女の姿はメイド服でよく似合っていた。
「あっ、伍長じゃない。来てたんだ」
「そうだ。約束は守ったぞ」
「そういやスーツ姿の男性って見なかったかしら?」
「道中見とらんぞ」
「……もしかして伍長がスーツ姿の男性?」
「訊いてどうする」
「取りあえず入店しなさい! ハリー!」
「ま、待つんだ。心の準備が!!」
ケイに強引に手を引かれて入店してしまう俺、中では桃色が大半を占めたなんとも洋風な喫茶があった。
彼女と同じ服を着た女子生徒が何人もおり、小倉が居れば歓喜間違いなしであっただろう。
「「「「いらっしゃいませご主人様!!」」」」
「早く席に着きなさい伍長ご主人様」
「…覚悟を決めた。やり遂げる」
俺は設営された席に座る。流石に教室で使われる机と椅子ではあるものも机掛けが黒白でチェスの盤面みたいなのが掛けられている。
メニューが書かれた冊子を眺め、商品を決めた。するとケイ本人がやってきた。喜々としながら笑顔である。
「メニューはどういたしましょうか、伍長ご主人様」
「伍長でいい」
「いえいえ、そういう店なの」
「ならばコーヒーだけで……」
「他には?」」
「いやコーヒーだけで」
「他には」
「だからコーヒーだけだと」
「ほ・か・に・は?」
「……お勧めを頼む」
「かしこまりました。萌え萌えパンケーキですね」
「もはやそれで構わん」
「わかりましたー!」
なんで押し売りされているんだ俺、よもや悪徳商売じゃないかコレ。てかなんだ萌え萌えパンケーキは、草でも萌ゆる気かこの娘たちは。頼んでしまったから取り消しは不可、渋々受け止めよう。
そして頼んだコーヒーをお盆に置いた少女がこちらに向かってきた。
「こちらコーヒーでございます」
「あぁ感謝するお嬢さん」
「し、失礼します!」
彼女はコーヒーを持ってきたお盆で顔を隠しながら裏手へと回る。
するとどうだろうか、黄色い声が薄っすらと聞こえてきた。
「私お嬢さんと呼ばれちゃったわ!」
「いいないいな!」
「やっぱりあの人ね!」
どうやら俺を指し示しているようだ。喜ばれて嬉しいがとても複雑な気持ちである。イギリス兵から歳半端な少女に掛ける言葉はこれだと教わったのだが……。
数分もするとお盆を持ったケイが運びに来た。パンケーキは五枚のパンケーキが敷かれて上にはクリームやアイス、チョコがある豪華な仕様だ。
「Hey! 萌え萌えパンケーキよ!」
「あ、あぁ」
「にしてもご主人様はあんな言葉を掛けるなんて……」
「人から教えてもらったんだ。勘違いするなケイ」
「私にも言ってもいいのよ、お嬢さんと」
「一緒に住んでるお前に言ってたまるものか」
「ケチ」
「はっ、言っとけ言っとけ」
「こういう場所初めてなくせに」
口を尖らせる彼女にやや腹だったので反撃に出るとしよう。
「そうだ、だがもっと過激な場所に俺は行ったことあるんだ」
「へっ!?」
小声でからかいの意味を込めた言葉に反応して彼女は顔を赤らめる。耳まで赤らめてリンゴのようだった。こういう態度で向かってくるが精神はまだまだ子供らしい。
ふっ、大人を出し抜こうなんざ早いぞ、こちとらもう童貞ではないのでな。
「あっはっは!! 大人だからな、精神も身体も全てがな」
「ひ、卑怯な!」
「それよりどうだこの恰好、なかなか様になっているだろう」
「た、確かにカッコいいわ……」
悪いが俺は最近流行りの鈍感男子ではないからな、自慢ではないがこう見えて娼婦の受けがいいから指名した娼婦が化粧を直すことは多々あった。おまけに指名した娼婦がきちんと来ることもあった。ちなみに小倉は最長二時間待ったが知らなかったことにしよう。
三十分後、甘ったるいパンケーキを食らい終えて勘定をした。あのパンケーキが千円とは軽くぼったくりな気がするが気にしないでおこう。だけど甘いものは暫くの間食べたくはない、口にしたくはない程に満足した。強制的にだが。
「またのご来店お待ちしてまーす」
「美味かったぞ、嫌という程な」
その後俺は学園祭を周り満足することができた。今日はライスカレーにしようと商店街に寄ったらいつものおばちゃんがサービスをしてくれた。嬉しい限りである、親には感謝しよう。
だけどイギリス兵、お前変なことを教えた罰としていつか殴り倒す、と胸に決めて帰路についた。
肉じゃがはしほ殿に教えてもらいました。
それと伍長は童貞ではない上、頼れる兄貴的なポジションです。
忠犬かつ兄貴とは一体(困惑)